JP2015044954A - インクジェット記録用インク及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】連続的にインクの吐出が行われる場合にラインヘッドのノズル面をインクミストが汚染するミスト汚染、及び紙上のインクがローラーに付着しローラーのインクが後続の紙に付着、後続の紙を汚してしまうオフセットの両方を抑制出来る、又は、ラインヘッドで高画質の画像を形成することが出来るインクジェット記録用インクの提供。
【解決手段】多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルと多価アルコールモノブチルエーテルとを含み、アニオン性の樹脂12で覆われた顔料11粒子と、疎水性セグメントを有するノニオン性のアクリル樹脂13又は前記アクリル樹脂のプレポリマーとを含むインクジェット記録用インク。
【選択図】図7

Description

本発明は、インクジェット記録用インク及びその製造方法に関する。
近年、インクジェット記録技術の急速な進歩により、銀塩写真に匹敵する高精細な画質のインクジェット写真を得ることが可能になってきている。また、印刷速度の高速化に伴い、ラインヘッド(長尺ヘッド)が用いられることがある。
高画質の画像を形成するためにはインクの特性が重要になる。例えば特許文献1には、ノニオン(非イオン)性ポリマーを含有するインクが開示されている。ノニオン性ポリマーにより、被記録材料上における顔料の凝集を促進するとともに、インク中での顔料の分散安定性を高めている。
特開2005−8725号公報
しかしながら、ラインヘッドを用いたインクジェット記録装置では、次のような課題が生じ易い。
(1)連続的にインクの吐出が行われる場合に、ラインヘッドのノズル面をインクミストが汚染することがある。ノズル面に付着したインクミストが乾燥及び凝集すると、拭き取れなくなることがある。また、ノズル面に固着したインクミストはノズルにダメージを与えることがある。
(2)紙(記録シート)に対してインクの吐出が行われた後、インクが付着した紙はローラーを通って排出される。この際、紙がローラーに接触するため、紙上のインクがローラーに付着することがある。ローラーにインクが付着すると、ローラーのインクが後続の紙に付着(オフセット)し、後続の紙を汚してしまうことが懸念される。オフセットは、低温及び高湿の条件で特に生じ易い。
(3)画質を評価する場合には、画像濃度、裏抜け、及び濃淡むらが重要なファクターになる。インクの表面張力が低い場合には、インクが紙を濡らし易いため、裏抜け濃度が高くなり易い。他方、インクの表面張力が高い場合には、紙に対するインクの濡れ性が不足し易い。濡れ性が不足すると、濃淡むらが生じ易くなり、画像濃度が低下し易くなる。なお、特許文献1に記載のインクは、ノニオン性ポリマーとしてポリビニルアルコール又はポリビニルピロリドン等を含むため、表面張力が高くなり易い。
そこで、ラインヘッドに適用した場合にミスト汚染及びオフセットを抑制して高画質の画像を形成することのできるインクが求められている。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、ミスト汚染及びオフセットの両方を抑制することを目的とする。また、本発明は、ラインヘッドで高画質の画像を形成することを他の目的とする。
本発明に係るインクジェット記録用インクは、多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルと多価アルコールモノブチルエーテルとを含む。
本発明に係るインクジェット記録用インクの製造方法は、顔料とアニオン性の樹脂と水とを混練することにより顔料分散液を形成するステップと、前記形成された顔料分散液と、水溶性ノニオン性アクリル樹脂のプレポリマーと、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、ジエチレングリコールモノエチルエーテル又はジエチレングリコールモノプロピルエーテルと、水とを混合するステップと、前記混合された液をろ過するステップとを含む。
本発明によれば、ミスト汚染及びオフセットの両方を抑制することが可能になる。また、本発明によれば、この効果に加えて又はこの効果に代えて、ラインヘッドで高画質の画像を形成することが可能になるという効果が奏される場合がある。
本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置(特にインク吐出に係る構成)の概要を示す図である。 図1に示される画像形成部を構成する各ラインヘッドを示す図である。 (a)は、図2に示されるラインヘッドの吐出ユニットを示す図である。(b)は、(a)のB−B断面図である。 本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の電子制御に係る構成の概要を示すブロック図である。 インク中の顔料粒子を示す図である。 水溶性ノニオン性アクリル樹脂を含まないインク中の顔料粒子の状態の一例を示す図である。 水溶性ノニオン性アクリル樹脂を含むインク中の顔料粒子の状態の一例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態に係るインクジェット記録用インクは、例えば図1に示されるようなインクジェット記録装置(プリンター100)で用いられる。以下、主に図1を参照して、プリンター100の構成及び動作について説明する。
図1に示すように、プリンター100は、例えば外部コンピューターから受信した画像データ及び印刷条件(両面印刷の有無など)に基づいて、記録シート上にインクを吐出して画像を形成する。プリンター100は、例えばカラープリンターである。
プリンター100は、給紙カセット101を有する。給紙カセット101には紙Pがセットされる。紙Pは、例えば普通紙である。本実施形態では紙Pが記録シートに相当する。
給紙カセット101には給紙装置102が設けられている。給紙装置102は、モーター等により駆動されるローラー102aと、ローラー102aに圧接されて従動するローラー102bとから構成される。給紙装置102は、給紙カセット101にセットされた紙Pを1枚ずつ分離して搬送ユニット10に送り出す。
搬送ユニット10は、ローラー10a及び10bと、無端状の搬送ベルト10cとから構成される。搬送ベルト10cは、互いに離間したローラー10a及び10bに巻き付けられることにより張設されている。搬送ベルト10cは、両端に位置するローラー10a及び10bの回転に応じて回転する。本実施形態では、ローラー10a及び10bのうち、搬送方向の下流側(X2側)のローラー10aのみが駆動される。本実施形態では、例えばローラー10a又は10bに電圧を印加して交番電界を発生させることで、搬送ベルト10cが紙Pを静電吸着する。静電吸着を解除する場合は、例えばローラー10a又は10bを接地する。
ローラー10aにはエンコーダー10dが設けられている。エンコーダー10dは、ローラー10aの回転軸の回転変位量に応じたパルス列を出力する。なお、必要に応じて、搬送ベルト10cにテンションローラーを設けてもよい。また、静電吸着に代えて、吸引により搬送ベルト10c上に紙Pを吸着するようにしてもよい。
ローラー10aは、例えばモーターにより駆動される。ローラー10aが回転すると、その力が搬送ベルト10cを介してローラー10bに伝達され、ローラー10bが回転(従動)する。ローラー10a及び10bの回転に応じて搬送ベルト10cが回転する。これにより、搬送ベルト10c上に吸着された紙Pが搬送方向の上流(X1側)から下流(X2側)へ搬送される。
搬送ユニット10の上方(Z1側)には画像形成部200が設けられている。搬送ユニット10が紙Pを搬送しているときに、画像形成部200から紙Pに向かってインクが吐出され、インクにより紙Pの片面(記録面)に画像が形成(記録)される。
搬送ユニット10の下流端(X2側の端部)近傍には排出装置103が設けられている。また、排出装置103の下流側には排紙トレイ104が設けられている。排出装置103は、モーター等により駆動されるローラー103aと、ローラー103aに圧接されて従動するローラー103bとから構成される。画像形成後の紙Pは、搬送ユニット10により排出装置103に搬送され、排出装置103により排紙トレイ104へ排出される。排紙トレイ104には、排出された紙Pが積載される。
本実施形態では、インクの吐出後に紙P(記録シート)の印刷面(記録面)がローラー103b(搬送ローラー)に接触する。また、本実施形態では、インクの浸透前又は乾燥前に紙Pの印刷面がローラー103bに接触する。こうした構成によれば、浸透又は乾燥の完了を待たずに紙Pを搬送することで、印刷速度(スループット)を高めることが可能になる。しかしその一方で、搬送ローラーに付着したインクが次に通る紙の表面に再付着(オフセット)し易くなる。
画像形成部200は、互いに異なる4色のインクを吐出するラインヘッド20a、20b、20c、20dから構成される。以下、ラインヘッド20a、20b、20c、20dを区別する必要がない場合(共通の性質などについて述べる場合)は、ラインヘッド20a、20b、20c、20dの各々をラインヘッド20と記載する。
次に、主に図2を参照して、画像形成部200の構成について説明する。図2は、画像形成部200を構成する各ラインヘッド20を示す模式図である。
各ラインヘッド20はライン型のインクジェットヘッドである。各ラインヘッド20は、長尺インクジェットヘッドに相当する。各ラインヘッド20は紙Pの搬送方向(X方向)に対して直交する方向(Y方向)に延設されている。各ラインヘッド20の長さは、紙Pの幅よりも大きいことが好ましい。これにより、画像を一行ごと一括形成することが可能になる。
本実施形態では、各ラインヘッド20が複数の吐出ユニット30を有する。吐出ユニット30はY方向に配列されている。吐出ユニット30は、例えば各ラインヘッド20(1つのヘッド)に166個形成され、全体(4つのヘッドの合計)で664個形成されている。各ラインヘッド20における吐出ユニット30間のピッチは、例えば150dpiに設定される。また、隣り合うラインヘッド20を1/4ピッチずつずらすことで、全体(4つのヘッド)のドット密度を600dpiにしている。
各ラインヘッド20は、画像信号に応じて各吐出ユニット30によりインクを吐出する。インクの吐出方式は、例えばピエゾ素子によりインクを押し出すピエゾ方式である。ただしこれに限られず、画像形成部200のインク吐出方式は任意であり、発熱体で気泡を発生させることにより圧力をかけてインクを吐出するサーマルインクジェット方式等であってもよい。
本実施形態では、ラインヘッド20a、20b、20c、20dに異なる色(例えばY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)のいずれか)のインクが充填される。
本実施形態のプリンター100では、ラインヘッド20ごと順にインクを吐出して紙P(記録シート)に画像を形成(記録)する。詳しくは、本実施形態では、ラインヘッド20が、搬送方向の上流(X1側)から下流(X2側)に向かってラインヘッド20a、20b、20c、20dの順で配置され、この順でインクを吐出する。これにより、紙Pの同じ位置に4色のインク(Yインク、Mインク、Cインク、及びBkインク)を吐出することができる。その結果、紙Pにフルカラー画像を形成(記録)することが可能になる。また、プリンター100は、モノクロ画像を形成(記録)することも可能である。
続けて、主に図3(a)及び図3(b)を参照して、吐出ユニット30の構成について説明する。図3(a)は、吐出ユニット30を示す模式図であり、図3(b)は、図3(a)のB−B断面図である。
図3(a)及び図3(b)に示すように、吐出ユニット30は、ノズル30aと、アクチュエーター31と、振動板31aと、孔32と、加圧室33と、ノズル流路34とを有する。孔32、加圧室33、ノズル流路34、及びノズル30aはつながっている。また、各吐出ユニット30の加圧室33は孔32を介して共通流路201とつながっている。インクは、図示しないインクタンクからポンプ等により共通流路201に供給される。
アクチュエーター31は、例えば圧電素子からなる。圧電素子(アクチュエーター31)に電圧を加えると、逆圧電効果により圧電素子が変形する。圧電素子の変形は振動板31aを介して加圧室33に伝わる。これにより、加圧室33が圧縮される。共通流路201から孔32を通って加圧室33に送られたインクは、加圧室33でアクチュエーター31により加圧され、ノズル流路34を通ってノズル30aから吐出される。
加圧室33は、例えば面積(XY平面)0.2mm2、幅(Y方向)200μm、深さ(Z方向)100μmの寸法を有する。ノズル流路34は、例えば直径200μm、長さ(Z方向)800μmの寸法を有する。孔32(絞り部)は、例えば直径30μm、長さ(Z方向)40μmの寸法を有する。ノズル30aの長さ(Z方向)は、例えば30μmである。ノズル30aの吐出口(XY平面)の形状及び寸法は、例えば半径10μmの円である。
次に、主に図4を参照して、プリンター100の電子制御に係る構成について説明する。図4は、プリンター100の電子制御に係る構成の概要を示すブロック図である。
図4に示すように、制御部40は、CPU(Central Processing Unit)41と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、給紙制御回路44と、搬送部制御回路45と、排出制御回路46と、ヘッド制御回路47とを有する。
ROM42は、例えばフラッシュメモリーのようなPROM(Programmable ROM)からなる。ROM42には、例えばBIOS(Basic Input/Output System)、OS(Operating System)、各種ドライバー、及び各種アプリケーションのようなプログラムが格納されている。RAM43は、例えばDRAM(Dynamic RAM)からなる。
CPU41は、給紙制御回路44を通じて給紙装置102(ローラー102aを駆動するモーター等)を制御する。また、CPU41は、排出制御回路46を通じて排出装置103(ローラー103aを駆動するモーター等)を制御する。
CPU41は、搬送ユニット10からエンコーダー10dの出力信号等を受信する。また、CPU41は、搬送部制御回路45を通じて搬送ユニット10(ローラー10aを駆動するモーター等)を制御する。また、搬送部制御回路45は、静電吸着のための電圧をローラー10a又は10bに印加する。CPU41は、例えばエンコーダー10dの出力信号に含まれるパルス数をカウントすることにより、ローラー10aの回転量、ひいては紙の送り量(紙の位置)を検出することができる。
CPU41は、ヘッド制御回路47を通じてラインヘッド20(アクチュエーター31等)を制御する。
制御部40は、入力部51と、表示部52と、記憶部53と、インターフェイス54とそれぞれ通信可能に接続されている。
入力部51は、キーボード、マウス、又はタッチパネル等から構成される。表示部52は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)又はELD(Electro Luminescence Display)のようなディスプレーから構成される。なお、入力部51及び表示部52がタッチパネルから構成される場合は、入力部51と表示部52とは一体化していることになる。
記憶部53は、例えばハードディスクのような不揮発性メモリーから構成される。記憶部53には、印刷用の画像データ、各種制御に係るプログラム、及びプログラムで用いられるデータ等が格納される。
インターフェイス54は、制御部40と外部の装置との間でのデータの送受信を可能にする。制御部40は、インターフェイス54を介して汎用コンピューター(いわゆるパーソナルコンピューター)等に接続される。制御部40は、例えばインターフェイス54を介して受信した画像データ及び印刷条件等に基づいて、給紙装置102、搬送ユニット10、ラインヘッド20、及び排出装置103等を制御する。
次に、本実施形態に係るインク(詳しくは、インクジェット記録用インク)について説明する。
本実施形態に係るインクは、水性インクである。インクにおける水の含有量は、インク全質量に対して20質量%以上70質量%以下であることが好ましく、25質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
本実施形態に係るインクは、水と、着色剤(顔料分散体)と、分散剤と、浸透剤とを含む。以下、本実施形態に係るインクに含まれる顔料、分散剤(界面活性剤)、及び浸透剤について、順に説明する。なお、インク成分の溶解状態を安定化させるために、溶解安定剤をインクに添加してもよい。また、インクの粘性を安定化させるために、インクの液体成分の揮発を抑制する保湿剤をインクに添加してもよい。
[着色剤]
以下、図5を参照して、本実施形態に係るインクの着色剤について説明する。
本実施形態に係るインクの着色剤は、顔料分散体であり、図5に示すように、顔料粒子11と、顔料粒子11を覆う樹脂12とから構成される。樹脂12は、顔料粒子11の表面に形成される(顔料粒子11に吸着する)ことで、顔料粒子11の凝集を抑制する。なお、インク中には、顔料粒子11に吸着していない樹脂12(未吸着樹脂)も存在する。樹脂12はアニオン性を有する。
(顔料)
黄色顔料としては、例えばC.I.ピグメントイエロー(74、93、95、109、110、120、128、138、139、151、154、155、173、180、185、又は193)が好ましい。橙色顔料としては、例えばC.I.ピグメントオレンジ(34、36、43、61、63、又は71)が好ましい。赤色顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド(122又は202)が好ましい。青色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブルー(15)が好ましい。紫色顔料としては、例えばC.I.ピグメントバイオレット(19、23、又は33)が好ましい。黒色顔料としては、例えばC.I.ピグメントブラック(7)が好ましい。
インクにおける着色剤の含有量は、インク全質量に対して4質量%以上8質量%以下であることが好ましい。着色剤の含有量が4質量%以上であれば、所望の画像濃度の画像が得られ易い。また、着色剤の含有量が8質量%以下であれば、インクの流動性が確保されることにより所望の画像濃度の画像が得られ易くなり、記録シートに対するインクの浸透性が確保されることにより優れたオフセット性が得られ易くなる。
インクの色濃度、色相、又は安定性を向上させるためには、着色剤の体積平均粒径が30nm以上200nm以下であることが好ましく、70nm以上130nm以下であることがより好ましい。
(樹脂)
樹脂12としては、スチレンに由来する単位と、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、又はメタクリル酸エステルに由来する単位とを含むスチレン−アクリル系樹脂が好ましい。具体的には、樹脂12としては、例えばスチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸アルキルエステル−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、又はビニルナフタレン−マレイン酸共重合体が好ましい。
樹脂12の質量平均分子量(Mw)は、10000以上160000以下の範囲にあることが好ましい。質量平均分子量(Mw)はゲルろ過クロマトグラフィーにより測定できる。樹脂12の分子量は、樹脂12の重合条件(重合開始剤の使用量、重合温度、又は重合時間等)を変えることによって調整できる。ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モルあたり、0.001モル以上5モル以下の範囲にあることが好ましく、0.01モル以上2モル以下の範囲にあることがより好ましい。重合温度は60℃±10℃の範囲にあることが好ましい。重合時間は10時間以上24時間以下の範囲にあることが好ましい。
樹脂12の酸価は150mgKOH/g以上300mgKOH/g以下の範囲にあることが好ましい。樹脂12の酸価が150mgKOH/g以上であれば、顔料分散性が向上し、顔料を微粒子化し易くなると考えられる。一方、樹脂12の酸価が300mgKOH/g以下であれば、インクの保存安定性が向上すると考えられる。また、印刷の品質を高めるためには、顔料粒子11が数万の分子量をもつ樹脂12に被覆されることが望ましい。
樹脂12の酸価は、樹脂12を合成する際に使用する単量体の量を変えることによって調整できる。樹脂12の合成には、酸性の官能基(例えば、カルボキシ基)を有する単量体(例えば、アクリル酸又はメタクリル酸)が使用される。酸性の官能基を有する単量体の使用量を増やすことによって樹脂12の酸価を高めることができる。
顔料分散体における樹脂12の量は、顔料100質量部に対して15質量部以上100質量部以下の範囲にあることが好ましい。
インク中の樹脂12のうち、顔料粒子11に吸着している樹脂12(吸着樹脂)の割合は95質量%以上100質量%未満であることが好ましい。吸着樹脂の割合が95質量%以上であれば、ミスト汚染を抑制することができる。
[分散剤]
分散剤は、インクにおいて、主に顔料粒子の分散安定性を高める。本実施形態に係るインクの分散剤は、疎水性セグメントを有する水溶性ノニオン性アクリル樹脂又はそのプレポリマーから構成される。以下、特定せずに単に「ノニオン性アクリル樹脂」と記載した場合は、ノニオン性アクリル樹脂とノニオン性アクリル樹脂のプレポリマーとの両方を意味する。
ノニオン性アクリル樹脂はミスト汚染を抑制する効果が大きい。以下、図6及び図7を参照して、この効果について説明する。
ノニオン性アクリル樹脂もそのプレポリマーも含まないインクでは、樹脂12がアニオン性を有するため、水分がなくなると溶解性が低下して、図6に示すように樹脂12の剥がれ及び顔料粒子11の凝集が生じ易くなる。
一方、図7に示すように、ノニオン性アクリル樹脂13を分散剤(サブレジン)としてインクに添加した場合には、ノニオン性アクリル樹脂13が樹脂12の表面に付着することにより、アニオン性を有する樹脂12の溶解性が高められる。その結果、水分がなくなっても、顔料粒子11の高い分散性が維持されるようになる。そして、インクの分散安定性(再溶解性)が高められると、インク吐出時にヘッドのノズル面に付着(乾燥)したインクが未乾燥のインクに溶解して除去され易くなるため、ミスト汚染が抑制される。ミスト汚染を抑制する効果は、ノニオン性アクリル樹脂のプレポリマー(オリゴマー)をインクに添加した場合に特に大きい。
ノニオン性アクリル樹脂の質量平均分子量は3000以上8000以下であることが好ましい。ノニオン性アクリル樹脂の質量平均分子量(Mw)が3000以上であれば、所望の画像濃度の画像を得ることができる。また、ノニオン性アクリル樹脂の質量平均分子量(Mw)が8000以下であれば、オフセットを抑制することができる。
また、温度20℃で水100質量%に0.1質量%のノニオン性アクリル樹脂を溶解させたときの溶液の表面張力が29mN/m以上33mN/m以下であることが好ましい。ノニオン性アクリル樹脂が水の表面張力を29mN/m以上にする場合には、所望の画像濃度の画像を得ることができる。また、ノニオン性アクリル樹脂が水の表面張力を33mN/m以下にする場合には、ミスト汚染を抑制することができる。
ノニオン性アクリル樹脂としては、親水性セグメントと疎水性セグメントとを重合させたアクリル系樹脂が好ましい。親水性セグメントとしては、例えばポリエチレングリコールアクリレート(PEGA)、メタクリル酸メチル(MMA)、アクリル酸メチル(MA)、アクリル酸エチル(EA)、又はメタクリル酸エチル(EMA)が好ましい。疎水性セグメントとしては、例えばステアリルアクリレート(SA)、ベンジルアクリレート、又はベンジルメタクリレートが好ましい。上記表面張力は、例えば親水性セグメント又は疎水性セグメントの種類、配合比、分子量(質量平均分子量)を変えることによって調整できる。
なお、ノニオン性アクリル樹脂と一緒に、他の分散剤(界面活性剤)を併用してもよい。
ノニオン性アクリル樹脂の含有量はインク全質量に対して0.05質量%以上0.5質量%以下であることが好ましい。ノニオン性アクリル樹脂の含有量が0.05質量%以上であれば、オフセットを抑制することができる。また、ノニオン性アクリル樹脂の含有量が0.5質量%以下であれば、所望の画像濃度の画像を得ることができる。
[浸透剤]
浸透剤は、記録シートに対するインクの浸透性を高める。
本実施形態に係るインクは、2種類の浸透剤(第1浸透剤及び第2浸透剤)を含む。第1浸透剤は多価アルコールモノブチル(n−、sec−、iso−、又はtert−ブチル基のいずれでもよい)エーテルである。第2浸透剤は多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピル(n−又はiso−プロピル基のいずれでもよい)エーテルである。
多価アルコールモノブチルエーテルは、記録シートに対するインクの浸透性(濡れ性)を高める。そのため、多価アルコールモノブチルエーテルを配合すれば、オフセットを抑制することが可能になる。
しかし、多価アルコールモノブチルエーテルは、水分濃縮後におけるインクの分散安定性(再溶解性)を低下させる傾向がある。多価アルコールモノブチルエーテルの高い疎水性により顔料分散体の樹脂が膨潤してインクの分散安定性(再溶解性)が低下すると考えられる。
再溶解性が低下すると、ミスト汚染が発生し易くなる。他方、再溶解性を高めることができれば、インク吐出時にヘッドのノズル面に付着(乾燥)したインクが未乾燥のインクに溶解して除去されるため、高沸点の保湿性材料でも良好なミスト付着性が得られる。
そこで、本実施形態では、多価アルコールモノブチルエーテル(第1浸透剤)と共に、多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテル(第2浸透剤)を使用する。多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルの浸透性を高める効果は多価アルコールモノブチルエーテルに比べて小さいが、多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルを加えることで、インクの分散安定性(再溶解性)を大きく改善することができる。その結果、ミスト汚染を抑制することが可能になる。
本実施形態のインクによれば、多価アルコールモノブチルエーテルと多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルとを併用することで、ミスト汚染及びオフセットの両方を抑制することが可能になる。また、ラインヘッドで高画質の画像を形成することが可能になる。
多価アルコールモノブチルエーテルの含有量は2.0質量%以上4.5質量%以下であり、多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルの含有量は3.0質量%以上6.0質量%以下であることが好ましい。多価アルコールモノブチルエーテルの含有量が2.0質量%以上であれば、オフセットを抑制することが可能になる。多価アルコールモノブチルエーテルの含有量が4.5質量%以下であれば、ミスト汚染を抑制することが可能になる。また、多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルの含有量が3.0質量%以上であれば、ミスト汚染を抑制することが可能になる。多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルの含有量が6.0質量%以下であれば、ミスト汚染を抑制することが可能になる。
多価アルコールモノブチルエーテルの含有量が、2.0質量%以上であり、且つ、多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルの含有量の1.5倍以下であり、多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルの含有量が、3.0質量%以上であり、且つ、多価アルコールモノブチルエーテルの含有量の2.0倍以下であることが好ましい。多価アルコールモノブチルエーテルの含有量が多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルの含有量の1.5倍以下であれば、ミスト汚染を抑制することが可能になる。多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルの含有量が多価アルコールモノブチルエーテルの含有量の2.0倍以下であれば、ミスト汚染を抑制することが可能になる。
多価アルコールモノエチルエーテルとしてジエチレングリコールモノエチルエーテルが特に好ましい。しかしこれに限られず、エチレングリコールモノエチルエーテル又はトリエチレングリコールモノエチルエーテル等を用いてもよい。
多価アルコールモノプロピルエーテルとしてはジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル又はジエチレングリコールモノノルマルプロピルエーテルが特に好ましい。しかしこれに限られず、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル又はトリエチレングリコールモノイソプロピルエーテル等を用いてもよい。
多価アルコールモノブチルエーテルとしては、トリエチレングリコールモノブチルエーテルが好ましく、中でもトリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテルがより好ましい。しかしこれに限られず、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、又はプロピレングリコールモノブチルエーテル等を用いてもよい。
以下に、本発明の実施例を説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
[評価1]
以下、評価1について説明する。評価1では、異なる顔料分散液を用いた各試料(インク)について、再溶解性、粒径変化率、ミスト付着性、オフセット性、及び画像濃度を評価した。
<試料の調製方法>
表1に、評価1に係る試料(インク)の組成を示す。
Figure 2015044954
(顔料分散液)
表2に、評価1で使用した7種類の顔料分散液(分散液A1〜A7)を示す。分散液A7は自己分散型であるため、分散液A7では樹脂を使用していない。分散液A7として、キャボット社製の「CAB−O−JET(登録商標)450C(PB15:4)」を使用した。
Figure 2015044954
表3に、分散液A1〜A6の調製にて使用した樹脂A〜Eを示す。樹脂A〜Eはそれぞれ水溶性(アルカリ可溶性)を有する。
Figure 2015044954
以下、樹脂Aの合成方法について説明する。なお、樹脂B〜Eの合成方法も、表3に示される分子量にするために一部の条件を変更したこと以外は概ね樹脂Aの合成方法と同じであるため、樹脂B〜Eの合成方法についての説明は省略する。
1000mlの四つ口フラスコに、スターラー、窒素導入管、コンデンサー(攪拌機)、及び滴下ロートをセットした。そして、フラスコ内に、イソプロピルアルコール100g及びメチルエチルケトン300gを入れて、窒素ガスでバブリングしながら加熱還流した。
また、メタクリル酸メチル40g、スチレン40g、アクリル酸ブチル10g、メタクリル酸10g、及び開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4gを混合し、溶融した。そして、滴下ロートに溶融物を入れ、70℃で加熱還流させた状態で約2時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流した。
続けて、AIBN0.2gを含むメチルエチルケトン溶液を15分かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、さらに5時間加熱還流した。その結果、分子量20000のスチレン−アクリル樹脂(樹脂A)を得た。
得られたスチレン−アクリル樹脂の質量平均分子量(Mw)を、ゲルろ過クロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC−8020GPC」)を用いて下記条件により確認した。また、得られた樹脂の酸価を滴定により確認したところ、150mgKOH/gであった。
次に、分散液A1の調製方法について説明する。表2に示されるように、分散液A1の調製では樹脂Aを用いた。なお、分散液A2〜A6の調製方法も、表2に示されるように使用樹脂の種類及び量を変更したこと以外は概ね分散液A1と同じである。
メディア型分散機(株式会社シンマルエンタープライゼス製「ダイノミル」)の容量0.6Lのベッセルに、15質量%のシアン色顔料、6質量%の樹脂A、及び0.5質量%のアセチレンジオールのエチレンオキシド付加物(日信化学工業株式会社製「オルフィンE1010」)と、残余(78.5質量%)の水(イオン交換水)とを入れた。また、樹脂Aの中和に必要な量の水酸化カリウム(KOH)をベッセル内に加えた。
シアン色顔料としてフタロシアニンブルー15:3(東洋インキ製造株式会社製「リオノールブルーFG−7330」)を用いた。
樹脂Aの中和は、105%のKOH水溶液による等量中和で行うようにした。Kの質量は樹脂Aの質量に基づいて計算した。また、KOH水溶液に含まれる水の質量と中和反応で生じた水の質量とを含めて水(イオン交換水)の質量を計算した。
続けて、ベッセル容量に対して70%となるようにメディア(径0.5mmのジルコニアビーズ)をベッセル内に充填して、10℃、周速8m/秒の条件で、水冷しながら顔料の体積平均粒径(D50)が70nm以上130nm以下の範囲に入るように混練した。その結果、顔料分散液が得られた。
体積平均粒径(D50)の測定は、顔料分散液をイオン交換水で300倍に希釈した溶液について、動的光散乱式粒径分布装置(シスメックス株式会社製「ゼータサイザー ナノ」)により行った。
小径ビーズを使用すると、顔料の微粒子化が容易になる。また、小径ビーズを使用すると、顔料粒子に対する樹脂の被覆が強くなる。分散機で用いるビーズの径を変えることで、被覆粒子の分散度合、遊離樹脂量、又は顔料の粒子径などを変化させることができる。
未吸着樹脂量の測定に際しては、顔料分散液10gを遠心分離機(「NS−C100」)のセル(容器)に入れて回転速度5000rpmの条件で24時間遠心分離を行った。その後、セル中の顔料分散液の上澄み液が透明であることを目視で確認し、上澄み液を全量採取した。続けて、採取した上澄み液を0.67Paの減圧条件下、150℃で固化した。これにより、遊離樹脂を主成分とする固形分が得られた。得られた固形分の質量は、未吸着樹脂(イオン状態の樹脂と対イオンに結合した状態の樹脂とを含む)の質量に相当する。表2中の「未吸着樹脂量」は、顔料分散液100gに対する遊離した樹脂(未吸着樹脂)の質量である。また、吸着樹脂比率(吸着樹脂の割合)を次の式1により算出した。
(式1)吸着樹脂比率=100×(1−未吸着樹脂量/全樹脂量)[質量%]
なお、表2中の「樹脂量」は、顔料分散液100gに含まれる全樹脂量を示し、表2中の「吸着樹脂比率」は、式1により求められる。
未吸着樹脂量は、分散機のパス回数、ビーズ径、及び吐出量に基づいて制御できる。表4に、異なる分散条件(条件1〜4)によって得られた顔料分散液の未吸着樹脂量を示す。
Figure 2015044954
表4に示されるように、小径ビーズを使用することで、未吸着樹脂量を減らすことができた。特に、2パス目で小径ビーズを使用した場合に未吸着樹脂量が少なくなった。表4からも分かるように、分散条件を変えることにより未吸着樹脂量(ひいては吸着樹脂比率)を調整することができる。また、遠心分離法により上澄み液をイオン交換水で置換することによっても未吸着樹脂量を減らすことができる。
(ノニオン性アクリル樹脂)
以下、表1に示されるノニオン性アクリル樹脂の合成方法について説明する。
1000ml四つ口フラスコに、スターラー、窒素導入管、コンデンサー(攪拌機)、及び滴下ロートをセットした。そして、フラスコ内にイソプロピルアルコール100質量部及びメチルエチルケトン300質量部を入れて、窒素ガスでバブリングしながら加熱還流した。
また、ポリエチレングリコール・アクリレート(PEGA)60質量部、ブチルアクリレート(BA)15質量部、ラウリルアクリレート(LA)15質量部、メタクリル酸メチル(MMA)10質量部、及び開始剤としてのアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.4gを混合し、溶融した。そして、滴下ロートに溶融物を入れ、70℃で加熱還流させた状態で約2時間かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、さらに6時間加熱還流した。
続けて、AIBN0.2gを含むメチルエチルケトン溶液を15分かけてフラスコ内に滴下した。滴下後、さらに5時間加熱還流した。その結果、ノニオン性アクリル樹脂を得た。得られたノニオン性アクリル樹脂は水溶性を有する。水100質量%に0.1質量%のノニオン性アクリル樹脂を添加し、表面張力を測定したところ、30.6mN/mであった。また、得られたノニオン性アクリル樹脂の分子量は4000であった。
(インクの調製)
以下、評価1に係るインクの調製方法について説明する。
40質量%の顔料分散液と、4.5質量%のトリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(第1浸透剤)と、3.0質量%のジエチレングリコールモノエチルエーテル(第2浸透剤)と、5.0質量%の2−ピロリドン(溶解安定剤)と、0.4質量%の水溶性ノニオン性アクリル樹脂(分散剤)と、0.6質量%の1,2−オクタンジオール(高浸透剤)と、15質量%のグリセリン(保湿剤)と、15質量%の1,3−プロパンジオール(保湿剤)と、残余(16.5質量%)のイオン交換水とを攪拌機(アズワン株式会社製「スリーワンモーター BL−600」)により回転数400rpmで攪拌して均一に混合した。続けて、異物又は粗大粒子等を除去するため、孔径5μmのフィルターを用いて混合液をろ過した。その結果、インクが得られた。
<評価方法>
以下、評価1に係る再溶解性、粒径変化率、ミスト付着性、オフセット性、及び画像濃度の評価方法について、順に説明する。
(再溶解性及び粒径変化率)
シャーレ(φ50mm)に5gのインク(試料)を入れて、シャーレごとインクを恒温器(乾燥機)に入れた。続けて、インクに含まれる水分がなくなるまで恒温器内でインクを乾燥させた。具体的には、60℃に設定した恒温器内にインクを3日間静置した。そして、乾燥後のシャーレ内のインクの質量W1及び顔料粒子の体積平均粒径(D50)R1を測定した。なお、体積平均粒径(D50)の測定は、動的光散乱式粒径分布装置(シスメックス株式会社製「ゼータサイザー ナノ」)により行った。
続けて、乾燥後のシャーレに未乾燥のインク(フレッシュなインク)を5g加えた後、水平な台上で30分間シャーレを静置した。その後、シャーレの底面と台の上面とのなす角が135°となるようにシャーレを傾けてシャーレからインクを落下させた。そして、インクを落下させた後のシャーレ内のインクの質量W2を測定した。
測定した質量W1及びW2から、次の式2に従ってインクの再溶解率を算出した。
(式2)再溶解率=100×(1−(W2−W0))/W1[質量%]
なお、式2中の「W0」は、未乾燥のインク5gをシャーレに加えてシャーレからインク液滴が滴下しなくなるまでインクを落下させた後にシャーレに付着しているインクの平均的な質量(シャーレに対するインクの濡れ重量)を示す。本実施例では、W0が0.3gであった。再溶解率が90質量%以上であれば「○(良好)」と評価し、再溶解率が90質量%未満であれば「×(不良)」と評価した。
また、測定した乾燥後の顔料粒子の体積平均粒径(D50)R1から、次の式3に従ってインクの粒径変化率を算出した。
(式3)粒径変化率=100×R1/R0[質量%]
なお、式3中の「R0」は、未乾燥のインク(フレッシュなインク)に含まれる顔料の体積平均粒径(D50)を示す。粒径変化率が105質量%以下であれば「○(良好)」と評価し、粒径変化率が105質量%よりも大きければ「×(不良)」と評価した。
(ミスト付着性)
プリンター100(図1)を用いて、排出装置103(排出ローラー)に最も近い位置のヘッド(ラインヘッド20d)にインク(試料)を充填し、吹きつけファンによりラインヘッド20dのノズル30a(図3(a)及び図3(b))に風速1m/秒の風を当てた。その後、1ノズルあたり3pLの液滴を10000回吐出してノズル面にミストを付けた。続けて、ミストを付けたノズル30aに1時間風を当ててミストを乾燥させた。そして、そのノズル30aで0.5ccのパージ(インクの排出)を行った後、ノズル面をワイプで拭き取り、ノズル面に付いたミストを除去できたか否かを判断した。このようなパージとワイプでの拭取りとを繰り返し行った結果、1回目でミストを除去できた場合を「○(良好)」と評価し、ミストを除去できなかった場合を「×(不良)」と評価した。
(オフセット性)
プリンター100(図1)を用いて、排出装置103(排出ローラー)に最も近い位置のヘッド(ラインヘッド20d)にインク(試料)を充填し、ノズル面から出ている余剰液をワイプブレードにより掻き取った。また、給紙カセット101にA4サイズの紙P(王子製紙株式会社製「IJW」)をセットした。ラインヘッド20dのノズル面と紙Pとの距離を1mmに固定し、給紙カセット101から排出装置103までの紙Pの搬送速度を846.7mm/秒に設定した。
10℃、80%RHの環境下で、紙Pへのインクの打込み量が15g/m2となるようにラインヘッド20dからインクを吐出して10cm×10cmのソリッド画像を10枚連続で形成した。そして、10枚目に形成された紙Pについて、表面材質PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)のローラー103b(従動ローラー)に接触する部分(オフセット部)の汚れを評価した。
汚れの評価には、イメージスキャナー(セイコーエプソン株式会社製「GT−X820」)を用いた。詳しくは、10枚目の紙Pのオフセット部をイメージスキャナーで読込み、しきい値220を超える画素を黒色画素(汚れ)と認定した。そして、黒色画素数から、次の式4に従ってオフセット面積率を算出した。
(式4)オフセット面積率=100×黒色画素数/全体の画素数[%]
なお、オフセット面積率が大きいほどオフセットによる記録用紙の汚れの程度が大きいと考えられる。オフセット面積率が0.03%を超えると、オフセットによる記録用紙の汚れを目視で確認できる場合が多い。そのため、オフセット面積率が0.03%未満であれば「○(良好)」と評価し、オフセット面積率が0.03%以上であれば「×(不良)」と評価した。
(画像濃度)
プリンター100(図1)を用いて、排出装置103(排出ローラー)に最も近い位置のヘッド(ラインヘッド20d)にインク(試料)を充填して、A4の普通紙(富士ゼロックス株式会社製の「C2」)に10cm×10cmのソリッド画像を形成した。ラインヘッド20dから吐出されるインクの量はインク一滴あたり11pLになるように制御し、各インクについて同一条件で画像を形成した。
画像が形成された普通紙を一昼夜、常温常湿(25℃、60%RH)環境下で静置した後、画像濃度をポータブル反射濃度計(サカタインクスエンジニアリング社製「RD−19」)により測定した。画像内の10箇所の画像濃度の平均値を評価値とした。評価値(画像濃度の平均値)が1.10以上であれば「○(良好)」と評価し、評価値(画像濃度の平均値)が1.10未満であれば「×(不良)」と評価した。
<試料及び評価結果>
表5に、評価1で評価したインクA1〜A7を示す。評価1では、前述の方法によりインクA1〜A7を調製し、インクA1〜A7について評価した。インクA1〜A6ではそれぞれ、顔料分散液として、表2に示される分散液A1〜A6を用いた。また、インクA7では、自己分散型の顔料分散液を用いた。
Figure 2015044954
以下、評価1に係る各試料の評価結果について説明する。
(再溶解性)
インクA1〜A4、及びA7ではそれぞれ、再溶解性が90質量%以上であった。インクA5及びA6ではそれぞれ、再溶解性が90質量%未満であった。
(粒径変化率)
インクA1〜A4ではそれぞれ、粒径変化率が105質量%以下であった。インクA5〜A7ではそれぞれ、粒径変化率が105質量%よりも大きかった。
(ミスト付着性)
インクA1〜A4では、ミスト付着性が「○(良好)」であった。他方、インクA5〜A7では、ミスト付着性が「×(不良)」であった。
(オフセット性)
インクA1〜A5ではそれぞれ、オフセット性が0.03%以下であった。インクA6及びA7ではそれぞれ、オフセット性が0.03%よりも大きかった。
(画像濃度)
インクA1〜A7のいずれにおいても、画像濃度が1.1以上であった。
表2及び表5に示されるように、インクA1〜A4はそれぞれ、吸着樹脂比率(吸着樹脂の割合)が95質量%以上100質量%未満である着色剤を含む。吸着樹脂比率が95質量%以上であれば、高い再溶解性が確保されるため、良好なミスト付着性が得られると考えられる。
[評価2]
以下、評価2について説明する。評価2では、異なる組成を有する分散剤を用いた各試料(インク)について、再溶解性、粒径変化率、ミスト付着性、オフセット性、及び画像濃度を評価した。
<試料及び評価結果>
表6に、評価2に係る試料(インク)の組成を示す。
Figure 2015044954
表7に、評価2に係る試料(インク)で用いた分散剤(樹脂PA、樹脂PB、樹脂PC、樹脂PD、樹脂PE、及び樹脂680)を示す。
Figure 2015044954
なお、表7において、「PEGA」はポリエチレングリコールアクリレート、「BA」はブチルアクリレート、「MMA」はメタクリル酸メチル、「LA」はラウリルアクリレート、「PPGA」はポリプロピレングリコールアクリレートである。また、表7中の「樹脂680」は、市販のアニオン性スチレンアクリル樹脂(BASFジャパン株式会社製「ジョンクリル680」)である。
表7に示される各樹脂の表面張力は、水100質量%に対して樹脂を0.1質量%溶解させたときの溶液(温度20℃)の表面張力である。樹脂PEは水に溶けなかった。水(温度20℃)の表面張力は72.75mN/mである。
表7に示される各樹脂の質量平均分子量(Mw)は、ゲルろ過クロマトグラフィー(東ソー株式会社製「HLC−8020GPC」)を用いて下記条件により測定した。
<質量平均分子量の測定条件>
・カラム:東ソー株式会社製「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」(4.6mmI.D.×15cmのセミミクロカラム)
・カラム本数:3本
・溶離液:テトラヒドロフラン
・流速:0.35mL/分
・サンプル注入量:10μL
・測定温度:40℃
・検出器:IR検出器
なお、検量線は、東ソー株式会社製のTSKgel標準ポリスチレンから、F−40、F−20、F−4、F−1、A−5000、A−2500、A−1000、及びn−プロピルベンゼンの8種を選択して作成した。
表8に、評価2で評価したインクB1〜B7を示す。
Figure 2015044954
表8に示されるように、インクB1では分散剤を用いなかった。また、インクB2、B3、B4、B5、B6、B7ではそれぞれ、分散剤として、表7に示される樹脂PA、樹脂PB、樹脂PC、樹脂PD、樹脂PE、樹脂680を用いた。なお、評価2に係るインクB1〜B7の調製方法は、分散剤を変えたこと以外は概ね評価1に係る試料の調製方法と同じである。
以下、評価2に係る各試料の評価結果について説明する。
(再溶解性)
インクB3〜B5ではそれぞれ、再溶解性が90質量%以上であった。インクB1、B2、B6、及びB7ではそれぞれ、再溶解性が90質量%未満であった。
(粒径変化率)
インクB4〜B6ではそれぞれ、粒径変化率が105質量%以下であった。インクB1〜B3及びB7ではそれぞれ、粒径変化率が105質量%よりも大きかった。
(ミスト付着性)
インクB4及びB5では、ミスト付着性が「○(良好)」であった。他方、インクB1〜B3、B6、及びB7では、ミスト付着性が「×(不良)」であった。
(オフセット性)
インクB4〜B6ではそれぞれ、オフセット性が0.03%以下であった。インクB1〜B3及びB7ではそれぞれ、オフセット性が0.03%よりも大きかった。
(画像濃度)
インクB3〜B6ではそれぞれ、画像濃度が1.1以上であった。インクB1、B2、及びB7ではそれぞれ、画像濃度が1.1未満であった。
表7及び表8に示されるように、インクB4及びB5はそれぞれ、温度20℃で水100質量%に対して0.1質量%溶解させたときの溶液の表面張力が29mN/m以上33mN/m以下である分散剤を含む。分散剤が水の表面張力を29mN/m以上にする場合には、十分な親水性が確保されて、所望する画像濃度(例えば1.1以上の画像濃度)の画像が得られると考えられる。また、分散剤が水の表面張力を33mN/m以下にする場合には、十分な疎水性が確保されて、優れた耐ミスト付着性(連続吐出性)が得られると考えられる。
表7及び表8に示されるように、インクB4及びB5はそれぞれ、質量平均分子量(Mw)が3000以上8000以下である分散剤を含む。分散剤の質量平均分子量(Mw)が3000以上であれば、浸透性が高くなり過ぎないため、所望する画像濃度(例えば1.1以上の画像濃度)の画像が得られると考えられる。また、分散剤の質量平均分子量(Mw)が8000以下であれば、十分な浸透性が確保されるため、優れたオフセット性(例えば0.03%以下のオフセット性)が得られると考えられる。
インクB4に含まれる樹脂PCとインクB5に含まれる樹脂PDとはそれぞれ、表7に示されるように、ポリエチレングリコールアクリレート(PEGA)とブチルアクリレート(BA)とラウリルアクリレート(LA)とメタクリル酸メチル(MMA)とを含むノニオン性アクリル樹脂であり、各樹脂におけるメタクリル酸メチルの含有量は5質量%以上30質量%以下である。こうした組成にすることで、質量平均分子量(Mw)が3000以上8000以下であり、且つ、表面張力が29mN/m以上33mN/m以下である分散剤が得やすくなる。
[評価3]
以下、評価3について説明する。評価3では、異なる表面張力又は分子量を有する分散剤を用いた各試料(インク)について、再溶解性、粒径変化率、ミスト付着性、オフセット性、及び画像濃度を評価した。なお、評価3に係る試料(インク)の組成は、評価2に係る試料の組成(表6参照)と概ね同じである。
<試料及び評価結果>
表9に、評価3に係る試料(インク)で用いた分散剤(樹脂PD−st、樹脂PD−1、樹脂PD−2、樹脂PD−3、樹脂PD−4、及び樹脂PD−5)を示す。表9に示される各樹脂の表面張力は、水100質量%に対して樹脂を0.1質量%溶解させたときの溶液(温度20℃)の表面張力である。表9に示される各樹脂の質量平均分子量(Mw)の測定方法は、評価2(表7)の測定方法と同じである。
Figure 2015044954
表10に、評価3で評価したインクC1〜C6を示す。
Figure 2015044954
表10に示されるように、インクC1、C2、C3、C4、C5、C6ではそれぞれ、分散剤として、表9に示される樹脂PD−st、PD−1、樹脂PD−2、樹脂PD−3、樹脂PD−4、樹脂PD−5を用いた。なお、評価3に係るインクC1〜C6の調製方法は、分散剤を変えたこと以外は概ね評価1に係る試料の調製方法と同じである。
以下、評価3に係る各試料の評価結果について説明する。
(再溶解性)
インクC1〜C6のいずれにおいても、再溶解性が90質量%以上であった。
(粒径変化率)
インクC1〜C6のいずれにおいても、粒径変化率が105質量%以下であった。
(ミスト付着性)
インクC1〜C6のいずれにおいても、ミスト付着性が「○(良好)」であった。
(オフセット性)
インクC1〜C5ではそれぞれ、オフセット性が0.03%以下であった。インクC6では、オフセット性が0.03%よりも大きかった。
(画像濃度)
インクC1及びC3〜C6ではそれぞれ、画像濃度が1.1以上であった。インクC2では、画像濃度が1.1未満であった。
表9及び表10に示されるように、インクC1及びC3〜C5はそれぞれ、質量平均分子量(Mw)が3000以上8000以下である分散剤を含む。分散剤の質量平均分子量(Mw)が3000以上であれば、浸透性が高くなり過ぎないため、所望する画像濃度(例えば1.1以上の画像濃度)の画像が得られると考えられる。また、分散剤の質量平均分子量(Mw)が8000以下であれば、十分な浸透性が確保されるため、優れたオフセット性(例えば0.03%以下のオフセット性)が得られると考えられる。
表9及び表10に示されるように、インクC1及びC3〜C5はそれぞれ、温度20℃で水100質量%に対して0.1質量%溶解させたときの溶液の表面張力が29mN/m以上33mN/m以下である分散剤を含む。分散剤が水の表面張力を29mN/m以上にする場合には、十分な親水性が確保されて、所望する画像濃度(例えば1.1以上の画像濃度)の画像が得られると考えられる。また、分散剤が水の表面張力を33mN/m以下にする場合には、十分な疎水性が確保されて、優れたミスト付着性(連続吐出性)が得られると考えられる。
インクC1、C3、C4、又はC5に含まれる樹脂PD−st、PD−2、PD−3、及びPD−4はそれぞれ、表9に示されるように、ポリエチレングリコールアクリレート(PEGA)とブチルアクリレート(BA)とラウリルアクリレート(LA)とメタクリル酸メチル(MMA)とを含むノニオン性アクリル樹脂であり、各樹脂におけるメタクリル酸メチルの含有量は5質量%以上30質量%以下である。こうした組成にすることで、質量平均分子量(Mw)が3000以上8000以下であり、且つ、水の表面張力を29mN/m以上33mN/m以下にする分散剤が得やすくなる。
[評価4]
以下、評価4について説明する。評価4では、分散剤の含有量が異なる各試料(インク)について、再溶解性、粒径変化率、ミスト付着性、オフセット性、及び画像濃度を評価した。
<試料及び評価結果>
表11に、評価4で評価したインクD1〜D5を示す。
Figure 2015044954
評価4に係る試料(インク)の組成は、概ね評価2(表6参照)と同じである。ただし、表11に示されるように、評価4に係るインクD1、D2、D3、D4、D5では、分散剤の含有量をそれぞれ0.03質量%、0.05質量%、0.3質量%、0.5質量%、0.6質量%とした。また、インクD1〜D5ではそれぞれ、分散剤として、表7に示す樹脂PCを用いた。なお、評価4に係るインクD1〜D5の調製方法は、分散剤の添加量を変えたこと以外は概ね評価1に係る試料の調製方法と同じである。
以下、評価4に係る各試料の評価結果について説明する。
(再溶解性)
インクD1〜D5のいずれにおいても、再溶解性が90質量%以上であった。
(粒径変化率)
インクD1〜D5のいずれにおいても、粒径変化率が105質量%未満であった。
(ミスト付着性)
インクD1〜D5のいずれにおいても、ミスト付着性が「○(良好)」であった。
(オフセット性)
インクD2〜D5では、オフセット性が0.03%以下であった。インクD1では、オフセット性が0.03%よりも大きかった。
(画像濃度)
インクD1〜D4ではそれぞれ、画像濃度が1.1以上であった。インクD5では、画像濃度が1.1未満であった。
表11に示されるように、インクD2〜D4はそれぞれ、インクの全質量に対して0.05質量%以上0.5質量%以下の割合で分散剤を含む。分散剤の含有量が0.05質量%以上であれば、十分な浸透性が確保されるため、優れたオフセット性(例えば0.03%以下のオフセット性)が得られると考えられる。また、分散剤の含有量が0.5質量%以下であれば、浸透性が高くなり過ぎないため、所望する画像濃度(例えば1.1以上の画像濃度)の画像が得られると考えられる。
[評価5]
以下、評価5について説明する。評価5では、分散剤として一般的なノニオン性界面活性剤を用いた各試料(インク)について、再溶解性、粒径変化率、ミスト付着性、オフセット性、及び画像濃度を評価した。
<試料及び評価結果>
表12に、評価5で評価したインクE1及びE2を示す。比較のため、インクE1、E2の評価結果とともに、インクB4(表7及び表8参照)の評価結果も、表12に示す。
Figure 2015044954
表12に示されるように、インクE1では、分散剤として、570の分子量(Mw)を有する日信化学工業株式会社製の「サーフィノール440」を用いた。また、インクE2では、分散剤として、2300の分子量(Mw)を有する第一工業製薬社製の「エパン720」を用いた。なお、評価5に係るインクE1及びE2の調製方法は、分散剤を変えたこと以外は概ね評価1に係る試料の調製方法と同じである。
以下、評価5に係る各試料の評価結果について説明する。
(再溶解性)
インクE1及びE2のいずれにおいても、再溶解性が90質量%未満であった。
(粒径変化率)
インクE1及びE2のいずれにおいても、粒径変化率が105質量%以上であった。
(ミスト付着性)
インクE1及びE2のいずれにおいても、ミスト付着性が「×(不良)」であった。
(オフセット性)
インクE1では、オフセット性が0.03%以下であった。インクE2では、オフセット性が0.03%よりも大きかった。
(画像濃度)
インクE1及びE2のいずれにおいても、画像濃度が1.1以上であった。
表12に示されるように、市販の分散剤「サーフィノール440」又は「エパン720」を用いたインクE1及びE2ではそれぞれ、再溶解性が低くなり、良好なミスト付着性が得られなかった。また、分子量(Mw)の低い「サーフィノール440」では、十分な分散安定性が得られなかった。
[評価6]
以下、評価6について説明する。評価6では、浸透剤の含有量が異なる各試料(インク)について、再溶解性、粒径変化率、ミスト付着性、オフセット性、及び画像濃度を評価した。
<試料及び評価結果>
表13に、評価6に係る試料(インク)の組成を示す。
Figure 2015044954
表14及び表15に、評価6で評価したインクF1〜F8又はG1〜G6を示す。
Figure 2015044954
Figure 2015044954
表14又は表15に示されるように、インクF1〜F8及びG1〜G6ではそれぞれ、第1浸透剤としてトリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(BTG)を用い、第2浸透剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテル(EDG)を用いた。インクF1、F2、F3、F4、F5、F6、F7では、第2浸透剤(EDG)の含有量は同じ(それぞれ3.0質量%)にして、第1浸透剤(BTG)の含有量をそれぞれ0質量%、1.5質量%、2.0質量%、3.0質量%、4.0質量%、4.5質量%、5.0質量%とした。インクF8では、第1浸透剤(BTG)の含有量を4.5質量%にして、第2浸透剤(EDG)の含有量を6.0質量%とした。インクG1、G2、G3、G4、G5、G6では、第1浸透剤(BTG)の含有量は同じ(それぞれ3.0質量%)にして、第2浸透剤(EDG)の含有量をそれぞれ0質量%、2.0質量%、3.0質量%、5.0質量%、6.0質量%、6.5質量%とした。
なお、評価6に係るインクF1〜F8及びG1〜G6の調製方法は、浸透剤を変えたこと以外は概ね評価1に係る試料の調製方法と同じである。
以下、評価6に係る各試料の評価結果について説明する。
(再溶解性)
インクF1〜F6及びF8ではそれぞれ、再溶解性が90質量%以上であった。インクF7では、再溶解性が90質量%未満であった。
インクG2〜G6ではそれぞれ、再溶解性が90質量%以上であった。インクG1では、再溶解性が90質量%未満であった。
(粒径変化率)
インクF1〜F8のいずれにおいても、粒径変化率が105質量%以下であった。
インクG3〜G5ではそれぞれ、粒径変化率が105質量%以下であった。インクG1、G2、及びG6ではそれぞれ、粒径変化率が105質量%よりも大きかった。
(ミスト付着性)
インクF1〜F6及びF8では、ミスト付着性が「○(良好)」であった。他方、インクF7では、ミスト付着性が「×(不良)」であった。
インクG3〜G5ではそれぞれ、ミスト付着性が「○(良好)」であった。他方、インクG1、G2、及びG6ではそれぞれ、ミスト付着性が「×(不良)」であった。
(オフセット性)
インクF3〜F8ではそれぞれ、オフセット性が0.03%以下であった。インクF1及びF2ではそれぞれ、オフセット性が0.03%よりも大きかった。
インクG1〜G6のいずれにおいても、オフセット性が0.03%以下であった。
(画像濃度)
インクF2〜F6及びF8ではそれぞれ、画像濃度が1.1以上であった。インクF1及びF7ではそれぞれ、画像濃度が1.1未満であった。
インクG1〜G5ではそれぞれ、画像濃度が1.1以上であった。インクG6では、画像濃度が1.1未満であった。
表14又は表15に示されるように、インクF3〜F6、F8、及びG3〜G5ではそれぞれ、BTGの含有量が2.0質量%以上4.5質量%以下であり、且つ、EDGの含有量が3.0質量%以上6.0質量%以下である。BTGの含有量が2.0質量%以上であれば、十分な浸透性(濡れ性)が確保されるため、優れたオフセット性(例えば0.03%以下のオフセット性)が得られると考えられる。また、BTGの含有量が4.5質量%以下であり、EDGの含有量が3.0質量%以上6.0質量%以下であれば、十分な分散安定性(再溶解性)が確保されるため、優れたミスト付着性及び所望する画像濃度(例えば1.1以上の画像濃度)の画像が得られると考えられる。
また、表14又は表15に示されるように、インクF3〜F6、F8、及びG3〜G5ではそれぞれ、BTGの含有量が、2.0質量%以上であり、且つ、EDGの含有量の1.5倍以下であり、EDGの含有量が、3.0質量%以上であり、且つ、BTGの含有量の2.0倍以下である。BTGの含有量がEDGの含有量の1.5倍以下であり、EDGの含有量が2.0質量%以上BTGの含有量の2.0倍以下であれば、十分な分散安定性(再溶解性)が確保されるため、優れたミスト付着性が得られると考えられる。
なお、表14又は表15に示されるように、EDGの含有量に対するBTGの含有量の比率(質量比)は、インクF3で0.67、インクF4で1.0、インクF5で1.33、インクF6で1.5、インクF8で0.75、インクG3で1.0、インクG4で0.6、インクG5で0.5である。また、BTGの含有量に対するEDGの含有量の比率(質量比)は、インクF3で1.5、インクF4で1.0、インクF5で0.75、インクF6で0.67、インクF8で1.33、インクG3で1.0、インクG4で1.67、インクG5で2.0である。
[評価7]
以下、評価7について説明する。評価7では、浸透剤の含有量が異なる各試料(インク)について、再溶解性、粒径変化率、ミスト付着性、オフセット性、及び画像濃度を評価した。
<試料及び評価結果>
評価7に係る試料(インク)の組成は、評価6に係る試料の組成(表13参照)と同じである。評価7に係る試料(インク)では、第2浸透剤としてジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPDG)を用いた。
表16に、評価7で評価したインクH1〜H4を示す。
Figure 2015044954
表16に示されるように、インクH1〜H4ではそれぞれ、第1浸透剤としてトリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(BTG)を用い、第2浸透剤としてジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(IPDG)を用いた。インクH1、H2、H3、H4では、第1浸透剤(BTG)の含有量は同じ(それぞれ3.0質量%)にして、第2浸透剤(IPDG)の含有量をそれぞれ2.5質量%、3.0質量%、6.0質量%、6.5質量%とした。
なお、評価7に係るインクH1〜H4の調製方法は、浸透剤を変えたこと以外は概ね評価1に係る試料の調製方法と同じである。
以下、評価7に係る各試料の評価結果について説明する。
(再溶解性)
インクH1〜H3ではそれぞれ、再溶解性が90質量%以上であった。インクH4では、再溶解性が90質量%未満であった。
(粒径変化率)
インクH2及びH3ではそれぞれ、粒径変化率が105質量%以下であった。インクH1及びH4ではそれぞれ、粒径変化率が105質量%よりも大きかった。
(ミスト付着性)
インクH2及びH3ではそれぞれ、ミスト付着性が「○(良好)」であった。他方、インクH1及びH4ではそれぞれ、ミスト付着性が「×(不良)」であった。
(オフセット性)
インクH1〜H4のいずれにおいても、オフセット性が0.03%以下であった。
(画像濃度)
インクH1〜H4のいずれにおいても、画像濃度が1.1以上であった。
表16に示されるように、インクH2及びH3ではそれぞれ、BTGの含有量が2.0質量%以上4.5質量%以下であり、且つ、IPDGの含有量が3.0質量%以上6.0質量%以下である。BTGの含有量が2.0質量%以上であれば、十分な浸透性(濡れ性)が確保されるため、優れたオフセット性(例えば0.03%以下のオフセット性)が得られると考えられる。また、BTGの含有量が6.0質量%以下であり、IPDGの含有量が3.0質量%以上6.0質量%以下であれば、十分な分散安定性(再溶解性)が確保されるため、優れたミスト付着性及び所望する画像濃度(例えば1.1以上の画像濃度)の画像が得られると考えられる。
また、表16に示されるように、インクH2及びH3ではそれぞれ、BTGの含有量が、2.0質量%以上であり、且つ、IPDGの含有量の1.5倍以下であり、IPDGの含有量が、3.0質量%以上であり、且つ、BTGの含有量の2.0倍以下である。BTGの含有量がIPDGの含有量の1.5倍以下であり、IPDGの含有量が3.0質量%以上BTGの含有量の2.0倍以下であれば、優れたミスト付着性及び所望する画像濃度(例えば1.1以上の画像濃度)の画像が得られると考えられる。
なお、表16に示されるように、IPDGの含有量に対するBTGの含有量の比率(質量比)は、インクH2で1.0、インクH3で0.5である。また、BTGの含有量に対するIPDGの含有量の比率(質量比)は、インクH2で1.0、インクH3で2.0である。
[評価8]
以下、評価8について説明する。評価8では、浸透剤の含有量が異なる各試料(インク)について、再溶解性、粒径変化率、ミスト付着性、オフセット性、及び画像濃度を評価した。
<試料及び評価結果>
評価8に係る試料(インク)の組成は、評価6に係る試料の組成(表13参照)と同じである。評価8に係る試料(インク)では、第2浸透剤としてジエチレングリコールモノノルマルプロピルエーテル(PDG)を用いた。
表17に、評価8で評価したインクI1〜I4を示す。
Figure 2015044954
表17に示されるように、インクI1〜I4ではそれぞれ、第1浸透剤としてトリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(BTG)を用い、第2浸透剤としてジエチレングリコールモノノルマルプロピルエーテル(PDG)を用いた。インクI1、I2、I3、I4では、第1浸透剤(BTG)の含有量は同じ(それぞれ3.0質量%)にして、第2浸透剤(PDG)の含有量をそれぞれ2.5質量%、3.0質量%、6.0質量%、6.5質量%とした。
なお、評価8に係るインクI1〜I4の調製方法は、浸透剤を変えたこと以外は概ね評価1に係る試料の調製方法と同じである。
以下、評価8に係る各試料の評価結果について説明する。
(再溶解性)
インクI1〜I3ではそれぞれ、再溶解性が90質量%以上であった。インクI4では、再溶解性が90質量%未満であった。
(粒径変化率)
インクI2及びI3ではそれぞれ、粒径変化率が105質量%以下であった。インクI1及びI4ではそれぞれ、粒径変化率が105質量%よりも大きかった。
(ミスト付着性)
インクI2及びI3ではそれぞれ、ミスト付着性が「○(良好)」であった。他方、インクI1及びI4ではそれぞれ、ミスト付着性が「×(不良)」であった。
(オフセット性)
インクI1〜I4のいずれにおいても、オフセット性が0.03%以下であった。
(画像濃度)
インクI1〜I4のいずれにおいても、画像濃度が1.1以上であった。
表17に示されるように、インクI2及びI3ではそれぞれ、BTGの含有量が2.0質量%以上4.5質量%以下であり、且つ、PDGの含有量が3.0質量%以上6.0質量%以下である。BTGの含有量が2.0質量%以上であれば、十分な浸透性(濡れ性)が確保されるため、優れたオフセット性(例えば0.03%以下のオフセット性)が得られると考えられる。また、BTGの含有量が6.0質量%以下であり、PDGの含有量が3.0質量%以上6.0質量%以下であれば、十分な分散安定性(再溶解性)が確保されるため、優れたミスト付着性及び所望する画像濃度(例えば1.1以上の画像濃度)の画像が得られると考えられる。
また、表17に示されるように、インクI2及びI3ではそれぞれ、BTGの含有量が、2.0質量%以上であり、且つ、PDGの含有量の1.5倍以下であり、PDGの含有量が、3.0質量%以上であり、且つ、BTGの含有量の2.0倍以下である。BTGの含有量がPDGの含有量の1.5倍以下であり、PDGの含有量が3.0質量%以上BTGの含有量の2.0倍以下であれば、優れたミスト付着性及び所望する画像濃度(例えば1.1以上の画像濃度)の画像が得られると考えられる。
なお、表17に示されるように、PDGの含有量に対するBTGの含有量の比率(質量比)は、インクI2で1.0、インクI3で0.5である。また、BTGの含有量に対するPDGの含有量の比率(質量比)は、インクI2で1.0、インクI3で2.0である。
[評価9]
以下、評価9について説明する。評価9では、浸透剤の含有量が異なる各試料(インク)について、再溶解性、粒径変化率、ミスト付着性、オフセット性、及び画像濃度を評価した。
<試料及び評価結果>
評価9に係る試料(インク)の組成は、評価6に係る試料の組成(表13参照)と同じである。ただし、評価9に係る試料(インク)では、第2浸透剤としてジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG)を用いた。
表18に、評価9で評価したインクJ1〜J3を示す。
Figure 2015044954
表18に示されるように、インクJ1〜J3ではそれぞれ、第1浸透剤としてトリエチレングリコールモノノルマルブチルエーテル(BTG)を用い、第2浸透剤としてジエチレングリコールモノメチルエーテル(MDG)を用いた。インクJ1、J2、J3では、第1浸透剤(BTG)の含有量は同じ(それぞれ3.0質量%)にして、第2浸透剤(MDG)の含有量をそれぞれ2.0質量%、4.5質量%、6.0質量%とした。
なお、評価9に係るインクJ1〜J3の調製方法は、浸透剤を変えたこと以外は概ね評価1に係る試料の調製方法と同じである。
以下、評価9に係る各試料の評価結果について説明する。
(再溶解性)
インクJ1〜J3のいずれにおいても、再溶解性が90質量%未満であった。
(粒径変化率)
インクJ1〜J3のいずれにおいても、粒径変化率が105質量%よりも大きかった。
(ミスト付着性)
インクJ1〜J3のいずれにおいても、ミスト付着性が「×(不良)」であった。
(オフセット性)
インクJ1〜J3のいずれにおいても、オフセット性が0.03%以下であった。
(画像濃度)
インクJ2及びJ3ではそれぞれ、画像濃度が1.1以上であった。インクJ1では、画像濃度が1.1未満であった。
表18に示されるように、第2浸透剤としてMDGを用いたインクJ1〜J3ではそれぞれ、再溶解性及び分散安定性が低くなり、良好なミスト付着性が得られなかった。
本発明は、上記実施形態及び実施例に限定されない。例えば以下のように変形して実施することもできる。
インクの構成(構成要素、寸法、材質、又は形状等)は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において任意に変更又は割愛することができる。
インクジェットヘッドはラインヘッドに限られず任意である。例えばインクジェットヘッドはシリアルヘッドであってもよい。シリアルヘッドは、紙の搬送方向とは直交する方向に往復移動運動(シャトル運動)しながらインクを吐出する方式のインクジェットヘッドである。
プリンター以外で本発明のインクを用いてもよい。例えば複合機(複合的な画像形成装置)で本発明のインクを用いてもよい。複合機は、例えばスキャナー、複写機、プリンター、及びファクシミリの機能を有する。また、画像形成以外の用途(データの記録等)に本発明のインクを用いてもよい。
上記実施形態、実施例、及び変形例は、任意に組み合わせることができる。インクジェット記録用インクが、少なくとも多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルと多価アルコールモノブチルエーテルとを含んでいれば、ミスト汚染及びオフセットの両方を抑制すること、又はラインヘッドで高画質の画像を形成することが可能になる。
本発明に係るインクジェット記録用インクは、カラープリンター等において画像の形成に用いることに適している。
10 搬送ユニット
10a、10b ローラー
10c 搬送ベルト
10d エンコーダー
11 顔料粒子
12 樹脂
13 ノニオン性アクリル樹脂
20、20a〜20d ラインヘッド
30 吐出ユニット
30a ノズル
31 アクチュエーター
31a 振動板
32 孔
33 加圧室
34 ノズル流路
40 制御部
41 CPU
42 ROM
43 RAM
44 給紙制御回路
45 搬送部制御回路
46 排出制御回路
47 ヘッド制御回路
51 入力部
52 表示部
53 記憶部
54 インターフェイス
100 プリンター
101 給紙カセット
102 給紙装置
102a、102b ローラー
103 排出装置
103a、103b ローラー
104 排紙トレイ
200 画像形成部
201 共通流路
P 紙

Claims (10)

  1. 多価アルコールモノエチルエーテル又は多価アルコールモノプロピルエーテルと多価アルコールモノブチルエーテルとを含む、インクジェット記録用インク。
  2. 前記多価アルコールモノエチルエーテルはジエチレングリコールモノエチルエーテルであり、
    前記多価アルコールモノプロピルエーテルはジエチレングリコールモノプロピルエーテルであり、
    前記多価アルコールモノブチルエーテルはトリエチレングリコールモノブチルエーテルである、請求項1に記載のインクジェット記録用インク。
  3. 前記多価アルコールモノブチルエーテルの含有量は2.0質量%以上4.5質量%以下であり、
    前記多価アルコールモノエチルエーテル又は前記多価アルコールモノプロピルエーテルの含有量は3.0質量%以上6.0質量%以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用インク。
  4. 前記多価アルコールモノブチルエーテルの含有量は、2.0質量%以上であり、且つ、前記多価アルコールモノエチルエーテル又は前記多価アルコールモノプロピルエーテルの含有量の1.5倍以下であり、
    前記多価アルコールモノエチルエーテル又は前記多価アルコールモノプロピルエーテルの含有量は、3.0質量%以上であり、且つ、前記多価アルコールモノブチルエーテルの含有量の2.0倍以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク。
  5. アニオン性の樹脂で覆われた顔料粒子と、
    疎水性セグメントを有するノニオン性のアクリル樹脂又は前記アクリル樹脂のプレポリマーと、
    を含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク。
  6. 前記アクリル樹脂又は前記アクリル樹脂のプレポリマーは水溶性を有し、
    前記アクリル樹脂又は前記アクリル樹脂のプレポリマーの質量平均分子量が3000以上8000以下であり、
    前記アクリル樹脂又は前記アクリル樹脂のプレポリマーを温度20℃で水100質量%に0.1質量%溶解させたときの溶液の表面張力が29mN/m以上33mN/m以下である、請求項5に記載のインクジェット記録用インク。
  7. 前記アクリル樹脂又は前記アクリル樹脂のプレポリマーは、ポリエチレングリコールアクリレートとブチルアクリレートとラウリルアクリレートとメタクリル酸メチルとを含み、
    前記アクリル樹脂又は前記アクリル樹脂のプレポリマーにおけるメタクリル酸メチルの含有量が5質量%以上30質量%以下である、請求項5又は6に記載のインクジェット記録用インク。
  8. 前記アクリル樹脂又は前記アクリル樹脂のプレポリマーの含有量が0.05質量%以上0.5質量%以下である、請求項5〜7のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク。
  9. 吸着樹脂の割合が95質量%以上100質量%未満である着色剤を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク。
  10. 顔料とアニオン性の樹脂と水とを混練することにより顔料分散液を形成するステップと、
    前記形成された顔料分散液と、水溶性ノニオン性アクリル樹脂のプレポリマーと、トリエチレングリコールモノブチルエーテルと、ジエチレングリコールモノエチルエーテル又はジエチレングリコールモノプロピルエーテルと、水とを混合するステップと、
    前記混合された液をろ過するステップと、
    を含む、インクジェット記録用インクの製造方法。
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