JP5825605B2 - 仮設工事用道路の防護方法、砕石流出防護構造、及び防護ネット - Google Patents
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Description
流出した砕石を補充するには再度砕石を購入して運搬しなければならず、コスト増の要因となっている。
この問題を解消するために、砕石の流出を防止する方法として、例えば以下の方法がある。
(1)図5のように鉄板を敷き詰めたとしても、海岸沿いの現場では、台風や津波等によって高波が繰り返し押し寄せてくると鉄板そのものが浮き上がって移動してしまい、仮設用道路全体が流されてしまう場合があった。
(2)特許文献1に記載の方法では、袋体に都度砕石を投入する手間がかかり、作業効率性に改善の余地がある。
(3)特許文献1に記載の方法では、一つの袋体による敷設面積が袋体の大きさに依存するため、仮設用道路の様々な諸元(幅、長さ)に対する追従性に改善の余地がある。
(4)特許文献1に記載の方法では、袋体に都度砕石を投入する必要があるため、既に構築済みの砕石層に対して、そのままの状態から流出防止機能を付加することができない。
また、本願の第2発明は、前記第1発明において、前記砕石層の下面にも網体を設け、上下の網体でもって砕石層を包むように、該網体を前記不動点に固定することを特徴とするものである。
また、本願の第3発明は、前記第2発明において、一枚の網体を折り返すことにより、前記上下の網体となすことを特徴とするものである。
(1)砕石層の上面を網体で被覆するため、波浪や増水等の冠水による砕石の流出を防止することができる。
(2)網体を周囲の不動点で固定するため、網体自体が流されることもない。
(3)既設の仮設用道路に対して、網体を敷設して固定するのみの簡易な作業で流出防止機能を付加することができ、汎用性が高い。
(4)砕石層を上下から網体で挟むことにより、仮設用道路が下から崩壊するような現象が発生しても、砕石の流出を防止することができる。
(5)一つの網体で袋状を呈するように砕石層を全周から包み込むことにより、砕石の流出をより確実に防止することができる。
(6)仮設用道路の残存期間が長い場合、道路位置が頻繁に変わる場合、通行車両がタイヤ式の場合には、砕石の再購入よりも防護ネットの導入コストの方が経済的と見込まれる。
<1>仮設用道路
仮設用道路Bは、資材運搬などの工事の為に、仮に作られる道路である。
仮設用道路Bの表層は、砕石を敷設してなる砕石層B1を想定する。
網体1は、砕石の流出を防止する為の部材である。
網体1は、少なくとも、砕石層B1の上面を被覆可能な程度の大きさを呈する。
網体1の網目は、砕石層B1を構成する砕石の粒径よりも小さいものとする。
網体1の素材は、ポリエステル製などを用いることができるが、紫外線による劣化や、重機の通行等による破損等の恐れがないものがより望ましい。
不動点3は、砕石の流出要因(波浪や高潮など)の影響を受けずに、仮設用道路に対して、相対的に不動状態を維持することが可能な物或いは箇所を指す。
不動点3は、重量物である消波ブロックを利用することができる。
次に、本発明の砕石流出防護構造の構築手順の詳細について説明する。
前提となる仮設用道路Bの構築は、公知の方法であるため、説明を省略する。
まず、既設の仮設用道路Bの表層に相当する砕石層B1の上から、網体1を敷設する。
網体1は、一枚で砕石層B1全体を覆うようにしてもよいし、複数の網体1を適宜周知の方法で連結してもよい。これらは、仮設用道路Bの諸元に応じて適宜設計すればよい。
次に、網体1の両側端部を、適宜不動点3に連結して固定する。
前記網体1と前記不動点3との連結方法は、直接的でも間接的でも良く、特段限定するものではない。例えば、網体1の端部を不動点3に直接連結しても良いし、網体1から適宜延出した連結材(図示せず)などによって不動点3に巻き付けたり、アンカー留めなどしても良い。
この時点で、仮設用道路Bの表層は、網体1が露出した状態である。
このとき、網体1の素材等によっては、車両の通行等によって、網体1の劣化が進むことが想定される。このような場合には、網体1の上に海岸砂を適宜撒くなどすればよい。
また、仮設用道路B上で、キャタピラによる走行や転回が頻繁に行われるような現場の場合には、網体1の破損がより進むことが想定されるため、網体1の上に更に鉄板を敷くなどしても良い。
これらの処理は、網体1の全体に渡って行っても良いし、部分的に行っても良い。
以上の方法で形成した砕石流出防護構造によれば、被覆するように敷設した網体1によって砕石層B1を構成する砕石が押さえ込まれる為、仮設用道路Bへの高波等の到来による砕石の流出を防止することができる。
また、網体1も周囲の不動点3で固定されるため、網体1自体が流されることもない。
また、既設の仮設用道路Bに対して、網体1を敷設して固定するのみの簡易な作業で流出防止機能を付加することができる為、汎用性が高い。
したがって、仮設用道路Bの残存期間が長い場合や、仮設用道路Bを設ける箇所が頻繁に変わる場合には、砕石流出の危険性が挙がることから、砕石を再購入するよりも、本発明の導入コストを低廉に抑えることができ、本発明の優位性が高まるものと予想される。
また、通行車両がタイヤ式のものが多い場合には、網体1の破損等の恐れが少ないことから、本発明の優位性が高まるものと予想される。
<1>構成
本実施例と前記第1実施例との異なる点は、仮設用道路Bの構築にあたり、砕石層B1の形成前に、事前に網体1を敷設しておく点である。
すなわち、本実施例は、砕石層B1の上下を別の網体1a,1bによって挟む構成となる。
本実施例によれば、砕石層B1が、網体1a,abによって上下から挟まれることとなり、仮設用道路Bが下から崩壊するような現象が発生しても、砕石の流出をより確実に防止することができる。
<1>構成
本実施例は、前記第2実施例の変形例に相当する。
より詳細には、砕石層Bの上下に敷設する網体を、一つの網体1で実現したものである。この網体1を含む、防護ネットAの各構成について説明する。
図3(a)は、防護ネットAの展開図である。
防護ネットAは、網体1と、網体1の両側縁に設けた連結部2と、を少なくとも含んで構成する。
網体1の構成について説明する。
網体1は幅方向に途上で折り返すことにより、砕石層B1を上下から挟み込むことが可能な幅長を有する。
このとき、砕石層B1の下方に敷設される部分を底面部11とし、砕石層の上方に敷設される部分を上面部12と定義する。
網体1の両側縁には、網体1を不動点3に固定する為の連結部2を設ける。
連結部2の一例としては、網体1の側縁から延伸する紐材21と、前記紐材21の一端に設けた輪状の固定具22がある。
前記紐材21の長さは、不動点3までの距離や、不動点3への巻き付けしろなどを考慮して適宜決定すればよい。
また、底面部11の側縁に設ける紐材21bは、少なくとも仮設用道路Bの幅長よりも冗長に構成しておく。これは、後述する使用方法において、底面部11の側縁側の紐材21bを、仮設用道路Bを跨ぐように折り返すためである。
図3(a)〜(c)を順に参照しながら、本発明の防護ネットの使用方法について説明する。
仮設用道路Bの表層である砕石層B1を構築する前に、防護ネットAを敷設する。このとき、仮設用道路Bへの敷設部分が網体1の底面部11に相当する。
そして、底面部11の上から砕石を撒きだし、砕石層B1を形成する。
この時点では、防護ネットAと不動点3との固定は未だ行わない。
防護ネットAを構成する網体1のうち、砕石層B1が形成されていない部分である上面部12を幅方向に折り返して砕石層B1を上から被覆する。
その後、上面部12の側縁に設けてある連結部2aでもって、網体1と、不動点3とを連結して固定する。
この時点で、砕石層B1のうち、一方の側部が防護ネットAによって閉塞されることとなる。
底面部11の側縁に設けてある連結部2bを上面部12を跨ぐように折り返して、仮設用道路Bの他側へと配置する。その後、連結部2bと不動点3とを連結して固定する。
この時点で、砕石層B2の他方の側部も、防護ネットAによって閉塞されることとなる。
本実施例によれば、砕石層B1は網体1の上下によって挟まれるだけでなく、一つの網体1で袋状を呈するように砕石層B1を全周から包み込むため、砕石の流出をより確実に防止することができる。
図4は、本発明の砕石流出防護構造の第4実施例を示す図である。
本実施例は、前記した各実施例に適用可能な変形例である。
本実施例は、砕石層B1を網体1で被覆した後、露出した網体1の上面に保護層B2を形成してなる。
保護層B2には捨て砕石や、その他、網体1の損傷を防止できる周知の材料を用いることができる。
保護層B2はあくまで網体1の損傷や劣化を防ぐことを目的とするため、保護層B2の厚さは網体1の露出を遮ることができる程度の薄さで構わない。
本実施例によれば、保護層B2でもって網体1の露出を防止することから、重機の通行・転回、又はその他の要因に起因する網体の破損や劣化を抑制することができる。
また、保護層B2の厚さは、網体1の露出を遮ることができる程度の薄さである為、保護層B2を構成する捨て砕石が波浪等で流出しても、その流出量を最低限に抑えることができる。
なお、仮設用道路の表層として最低限必要な厚さをt、砕石層B1の厚さをt1、保護層B2の厚さをt2とした場合、以下の様な関係式とすることができる。
関係式1:t≦t1
関係式2:t≦t1+t2
11 底面部
12 上面部
2 連結部
21 紐材
22 固定具
3 不動点
A 防護ネット
B 仮設用道路
B1 砕石層
Claims (5)
- 砕石層を表層とする仮設工事用道路の防護方法であって、
少なくとも、前記砕石層の上面を、網体で覆い、
前記網体を、消波ブロックからなる不動点に固定することにより、波浪や増水等の冠水による前記砕石層内の砕石の流出を防止することを特徴とする、
仮設工事用道路の防護方法。 - 前記砕石層の下面にも網体を設け、上下の網体でもって砕石層を包むように、該網体を前記不動点に固定することを特徴とする、請求項1に記載の仮設工事用道路の防護方法。
- 一枚の網体を折り返すことにより、前記上下の網体となすことを特徴とする、請求項2に記載の仮設工事用道路の防護方法。
- 仮設工事用道路の表層を構成する砕石層内の砕石の流出を防止する為の、砕石流出防護構造であって、
少なくとも前記砕石層の上面を覆う為の網体と、
前記網体を固定する為の不動点と、
を少なくとも備え、
前記不動点が、消波ブロックからなることを特徴とする、砕石流出防護構造。 - 仮設工事用道路の表層を構成する砕石層内の砕石の流出を防止する為の、防護ネットであって、
前記砕石層を上下から被覆するための上面部及び底面部を備える網体と、
前記網体の両側縁に設け、不動点に固定するための連結部と、からなり、
前記上面部側の連結部は、上面部を折り返した後、不動点に固定可能に構成し、
前記底面部側の連結部は、上面部を折り返した後、さらに上面部の上方へと折り返して、不動点に固定可能に構成したことを特徴とする、
防護ネット。
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