JP5825591B2 - 型枠兼用パネル、及びコンクリート壁体の構築構造 - Google Patents
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しかし、この特許文献1では、型枠締め付け用金具であるフォームタイ(登録商標)3・セパレータ5等が断熱材6、補強材7を貫通し、補強材7の表面(外側)まで突出しているため、貫通孔からノロ(セメント水)が漏れるという問題があった。また、このノロは、強アルカリであって補強材7の外面を汚損するため、硬化後にノロを拭き取ったり、補強材7の外面を仕上げ材(内装ボード11)で覆う必要があった。さらに、補強材7で兼用型枠を押さえるため、作業を兼用断熱材パネルAの外側から行う必要があり、足場を組むスペースが必要となり、狭小地(隣家との間に十分なスペースが無い等)での構築は難しかった。また、硬化後の化粧仕上げも、狭小地の場合、作業が困難になるという問題もあった。
しかし、この特許文献2では、図示されるように、アンカー部材5のボルトやナット、セパレータの端部などが仕上げ材3の表面に表れるため、意匠的に好ましくなかった。それを解消するためには、前記特許文献1と同様の処理が必要であった。
また、隣り合うパネル同士の連結構造について、十分に記載されていないので、大面積のコンクリート構造物に適用できるか否かも不明であるが、さらに、その連結部分、断面材の突き合わせ部分から、ノロが漏れ出し、前述のように硬化後にノロを拭き取ったり、表層材の外面を仕上げ材で覆う必要があることは、容易に想定されるものであった。
したがって、隣接する型枠兼用パネルを容易に連結することができ、しかも型枠兼用パネル同士の連結部分(定着部)からのノロの漏れ出しをも防止できるので、外装仕上げ材を別途仕上げ処理(拭き取り等)する必要が無く、そのまま外装材として用いることができる。さらに、定着部として被重合片にナットや雌ねじ加工を施したプレート等を取り付けた状態で搬送すればよく、平坦状のボートとして取り扱うことができ、積み重ねも可能であり、搬送コストの削減にも繋がる。
例えば外装仕上げ材として高強度の金属面材を用いることにより、コンクリートの打設圧力に抗する強度を備え、広い面積を備える壁体にも適用することができる。また、化粧材を兼ねる金属面材を用いてもよいため、表面に別途化粧材を配設する必要がなく、足場等を組めない敷地(施工場所)においても外壁の施工(工事)を行うことができ、型枠兼用パネルをそのまま外装化粧として使用することができる。
以下に、断熱材、外装仕上げ材について、それぞれ説明する。
この断熱材の表面側には、外装仕上げ材の連結部を嵌合(遊嵌)する凹部を設けることが望ましく、一体の断熱材に一枚のみの外装仕上げ材を取り付ける場合には端縁のみに凹部を設ければよく、例えば後述する図示実施例のように一体の断熱材に二枚の外装仕上げ材を取り付ける場合には、端縁と中央との二箇所に凹部を設けるようにすればよい。
前記連結部は、一方の連結部も他方の連結部も、面板部の端縁を裏面側へ折り曲げる点は共通しているが、一方の連結部では更に内側へ折曲して被重合片を形成し、他方の連結部では更に外側へ折曲して外向きの横片である重合片を形成した構成である。一方側の連結部における内側への折曲片には、予め棒状部材を貫通させる通孔を設けておく。なお、ここで「内側」とは、面板部側を指し、「外側」とはその逆側を指す。
この定着部は、棒状部材を螺合させる螺子部を備えるものであればよく、雌螺子部でも雄螺子部でもよい。
・定着部が雌螺子部を有し、棒状部材が雄螺子部を有する場合;
定着部は、後述する図示実施例のように六角ナット、四角ナットなどの角ナットや複数の雌螺子部を螺設した板状材を定着材として配置したもの、或いは被重合片を肉厚にしてタップ加工(雌ねじ加工)を施したものでもよい。その場合の棒状部材は、棒状のボルト材等を用いる。
・定着部が雄螺子部を有し、棒状部材が雌螺子部を有する場合;
定着部は、被重合片の外側(=断熱材側)にボルトを立設されるもの(溶接等による固着)、孔からボルトを立設したものでもよい。その場合の棒状部材は、少なくともその先端に雌ねじ加工を施したもの、或いは筒状の部材が用いられる。
特に好ましくは、定着部として、汎用のナットを用いた構成、即ち雌螺子部を備える構成であり、その場合、棒状部材としてボルト材を用いることができ、更に汎用のナットの頭部は角形であるため、棒状部材(ボルト材)の取付に際して供回り(自転)が防止されるものとなる。
また、後述する図示実施例のように面板部の裏面側に、側方又は裏面側が開放する空間部を設け、該空間部内に螺子部を有する定着材を取り付けて定着部を形成してもよい。この場合の定着材としては、雌螺子部を備える定着材として、前述の六角ナット、四角ナットなどの角ナットや複数の雌螺子部を螺設した板状材が挙げられ、雄螺子部を備える定着材として、前述のボルト等が挙げられる。
この棒状部材は、前記定着部の螺子部に螺合する被螺子部を有する構成であり、定着部がナット等のように雌螺子部を有する場合には、この棒状部材として雄螺子部を備えるボルト材等を用いればよく、後述する図示実施例のように間隔保持部材(セパレータ)の一部を兼ねるものであってもよい。
また、後述する図示実施例では、鍔状材を備える構成であるが、この鍔状材の有無、形状等は特に限定するものではない。また、鍔状材を用いる場合であっても、必ずしも全ての棒状部材に用いる必要はなく、所定の列や隅部等の任意の位置に用いるものでもよい。即ち外装仕上げ材と断熱材の一体化手段の仕様や強度、或いは全体の強度等に応じて適宜に設ければよい。
まず、外装仕上げ材については、その両端に、前記構成の連結部をそれぞれ設けるように成形する。そして、一方の連結部の被重合片に、ナット等を取り付けて定着部を設けておく。なお、ナット等のズレや分離が懸念される際には、適宜接着剤などを用いて接着しておくようにしてもよい。
一方、断熱材については、後述する図示実施例のように単層の場合には、外装仕上げ材の連結部を取り付ける凹部を、表面側の一方側の端縁と略中央との二箇所に設けるように成形する。
前記断熱材の表面に、前記外装仕上げ材を並列状に敷設するが、一方側の外装仕上げ材から沿わせ、続いて他方側の外装仕上げ材を沿わせる。これは中央の凹部に対し、一方側の外装仕上げ材の他方側の連結部(重合片)を嵌合状に取り付けた後、その上方に他方側の外装仕上げ材の一方側の連結部(被重合片)を配するためである。
なお、断熱材と外装仕上げ材とは、型枠兼用パネルの使用に際して分離したりズレたりしない程度に一体化するが、その手段を限定するものではなく、例えば面板部裏面を断熱材表面と接着してもよいし、爪等によるものでもよい。或いは後述する図示実施例では、棒状部材に鍔状材を取り付けて断熱材を押さえる(挟着する)役割を果たすので、それまでの仮止めであってもよい。また、接着して一体化する場合には、使用する接着剤や接着面(全面接着に限らず部分接着でもよい)について何等限定するものではない。
定着部が雌螺子部を有し、棒状部材が雄螺子部を有する場合;
前記断熱材の貫通孔に、裏面側から棒状部材である棒状のボルト材等を貫通させ、その先端を隣接する外装仕上げ材の重合片及び被重合片に貫通させ、被重合片内の定着部の螺子部(雌螺子部)に取り付けることにより、断熱材の表面にて隣接する外装仕上げ材を連結(接続)する。
定着部が雄螺子部を有し、棒状部材が雌螺子部を有する場合;
定着部に立設したボルト等の螺子部(雄螺子部)を、表面側から隣接する外装仕上げ材の重合及び被重合片に貫通させ、その先端を表面側から前記断熱材の貫通孔に貫通させ、断熱材の裏面にて棒状部材であるナット等を取り付けることにより、連結(接続)する。
そして、この連結構造では、型枠兼用パネル同士の連結部分からノロが漏れ出そうとしても、面板部の裏面側に設けた定着部、空間部がその漏れ出しを防止できるので、コンクリートの打設後に面倒な処理や仕上げ作業を必要とすることがなく、そのまま外装材として用いることができる。
また、前記外装仕上げ材2は、仕上げ面となる面板部21と、該面板部21の対向する両端に、連結部22,23が設けられ、一方の連結部22は、裏面側へ折り曲げた略鉛直状の折曲片221と、更に内側へ折曲した略水平状の被重合片222とを有する構成である。他方の連結部23は、裏面側へ折り曲げた略鉛直状の折曲片231、更に外側へ折曲した略水平状の重合片232とを有する構成である。なお、詳しくは前記一方側の連結部22は略コ字状に成形されているので、面板部21の裏面側には側方が開放する横溝状の空間部223が形成され、該空間部223は、前記折曲片221と被重合片222と、面板部21の端縁を表面側へ隆起する膨出片224とで囲まれる空間を指す。また、ここで「一方」又は「一方側」とは図面左側を指し、「他方」又は「他方側」とは図面右側を指す。更に、「裏面側」とは、仕上げ面が表面であるからその逆側を指す。
そして、隣接する型枠兼用パネル1,1を連結する際には、他方側に隣接する型枠兼用パネル1の一方側に敷設された外装仕上げ材2の被重合片222と断熱材3との間に、一方側に位置する型枠兼用パネル1の他方側に敷設された外装仕上げ材1の差し込み片232を差し込むように重合させた状態で、棒状部材である棒状のボルト材5Aを断熱材3から重合片232へ貫通させ、被重合片222の内側、即ち空間223内に定着部として角ナット4Aの螺子部(雌螺子部)に取り付けて連結することができる。
この間隔保持部材は、図5に示すように先端が前記空間部223内の角ナット4Aの図示しない螺子部に螺合する棒状ボルト材雄5Aに、鍔状材5bを介して合成樹脂製の筒状部材5cが連結された構成であり、更に前記筒状部材5cより大径の中間連結部5dを介して内部に棒状部材5eが配された筒状部材5fが連結され、図示しない他方側の型枠に至る構成である。そして、この間隔保持部材は、前記中間連結部5dにて分割可能であり、コンクリートの打設後には、他方側の棒状部材5eを抜き取って再利用することができ、熱橋の形成を防止することができる。
なお、断熱材3と外装仕上げ材2とは、型枠兼用パネル1の使用に際して分離したりズレたりしない程度に面板部21裏面を断熱材3表面と接着するために、図示しない汎用の接着剤を用いた。
しかも型枠兼用パネル1,1同士の連結部分からのノロの漏れ出しを防止できるので、外装仕上げ材2を別途仕上げ処理する必要が無く、そのまま外装材として用いることができる。
なお、ノロの漏れ出しについては、図1(d)に太矢印で示すルートにてコンクリート打設空間から棒状部材5Aを伝ってノロが漏れ出そうとしても、空間部222が表面側への漏れ出しを防止するため、面板部21を汚すことがなく美麗に保持することができるため、面倒な処理や仕上げ作業を必要とすることがない。
前記外装仕上げ材22は、前述のように面板部212が連続角波状に成形され、一方側の連結部222に膨出片224が形成されないだけ前記第1実施例の連結部22よりも簡易な構成である以外は、他方側の連結部23などは全く同様である。
この第3実施例における断熱材3は図3(c)に、外装仕上げ材2は図3(b)に、それぞれ裏面側から見た斜視図を示したが、これらを一体化するには、図3(b)に示すように外装仕上げ材2の裏面側を上にした状態で面板部21の裏面に接着剤を塗布し、図3(c)に示す断熱材3を、その貫通孔33が定着部を形成する定着材として四角ナット4Bの螺子部41に連通するように、上方から被せるように配置して接合すればよい。
この定着部を形成する定着材である長尺な板状材4Cは、長さ方向に所定間隔にて螺子部41が形成された構成であり、特にその素材を限定するものではないが、連結部22,23の変形等を抑制する補強効果をも果たす。
まず図4(a)及び(b)は、一体の断熱材3に二枚の外装仕上げ材2,2を取り付けて一体化した状態を示す。この作業については、前記図1の説明のとおりであり、棒状部材5Aとして、鍔状材5bを備える雄ねじ部材(棒状ボルト材)が用いられ、間隔保持用部材の一部を構成している。この棒状部材5Aを一方の連結部22に設けられた定着部(六角ナット4A)に螺合することにより、隣り合う外装仕上げ材2,2を断熱材3の表面に一体化すると共に連結して型枠兼用パネル1を作成した。
なお、断熱材3には、前述のように前記図1では図示していなかったが、貫通孔33が中央及び一方側(同図では右奥側)の端縁に設けられる凹部31B,31Aを表裏に貫通するように設けられ、この時点では端縁の貫通孔33には棒状部材5Aは取り付けられていないが、中央の貫通孔33には棒状部材5Aが取り付けられている。
そして、この間隔保持部材は、前記中間連結部5dにて分割可能であり、コンクリートの打設後には、他方側の棒状部材5e及び台座を抜き取って再利用することができ、熱橋の形成を防止することができる。
2,22 外装仕上げ材
21 面板部
22 (一方側の)連結部
222 被重合片
223 空間部
23 (他方側の)連結部
232 重合片
3 断熱材
31A,31B 凹部
4A,4B,4C 定着部(定着材)
5A 棒状部材
Claims (7)
- 外装仕上げ材と、断熱材とからなる型枠兼用パネルであって、
前記外装仕上げ材は、仕上げ面となる面板部と、該面板部の両端に連結部を備え、一方の連結部は、裏面側へ折り曲げ、更に内側へ折曲した被重合片を有し、他方の連結部は、裏面側へ折り曲げ、更に外側へ折曲した重合片を有し、
前記一方の連結部における裏面側への折曲片と被重合片と面板部との間に、螺子部を有する定着部を設けると共に前記外装仕上げ材を断熱材の表面に沿わせ、
前記外装仕上げ材を断熱材の表面に沿わせ、
前記外装仕上げ材の重合片を、隣接する外装仕上げ材の被重合片に重合させた状態で、棒状部材を断熱材の裏面側から定着部の螺子部に螺合させて連結可能であることを特徴とする型枠兼用パネル。 - 一方の連結部における裏面側への折曲片と被重合片と面板部との間に空間部を設け、該空間部内に螺子部を有する定着材を取り付けて定着部を形成したことを特徴とする請求項1に記載の型枠兼用パネル。
- 定着部は雌ねじ加工を施したものであり、棒状部材は棒状のボルト材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の型枠兼用パネル。
- 断熱材には、表裏面に貫通する貫通孔が所定間隔で開孔され、該貫通孔には棒状部材が挿通可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の型枠兼用パネル。
- 棒状部材に鍔状材を取り付けて断熱材を挟着状に押さえることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載の型枠兼用パネル。
- 一体の断熱材に、複数の外装仕上げ材を配設していることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の型枠兼用パネル。
- 請求項1〜6の何れか一項に記載の型枠兼用パネルをコンクリート打設空間の少なくとも一方の型枠として用いたことを特徴とするコンクリート壁体の構築構造。
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