JP7313667B2 - 型枠兼用パネル、及びコンクリート壁体の構築構造 - Google Patents
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Description
しかし、この特許文献1では、型枠締め付け用金具であるフォームタイ(登録商標)3・セパレータ5等が断熱材6、補強材7を貫通し、補強材7の表面(外側)まで突出しているため、貫通孔からノロ(セメント水)が漏れるという問題があった。また、このノロは、強アルカリであって補強材7の外面を汚損するため、硬化後にノロを拭き取ったり、補強材7の外面を仕上げ材(内装ボード11)で覆う必要があった。さらに、補強材7で兼用型枠を押さえるため、作業を兼用断熱材パネルAの外側から行う必要があり、足場を組むスペースが必要となり、狭小地(隣家との間に十分なスペースが無い等)での構築は難しかった。また、硬化後の化粧仕上げも、狭小地の場合、作業が困難になるという問題もあった。
しかし、この特許文献2では、図示されるように、アンカー部材5のボルトやナット、セパレータの端部などが仕上げ材3の表面に表れるため、意匠的に好ましくなかった。それを解消するためには、前記特許文献1と同様の処理が必要であった、
また、隣り合うパネル同士の接続構造について、十分に記載されていないので、大面積のコンクリート構造物に適用できるか否かも不明であるが、さらに、その接続部分、断面材の突き合わせ部分から、ノロが漏れ出し、前述のように硬化後にノロを拭き取ったり、表層材の外面を仕上げ材で覆う必要があることは、容易に想定されるものであった。
なお、形成される空間部の全てに螺子部を形成することを限定するものではない。
また、間隔保持部材等の棒状部材を伝って打設コンクリートからノロが漏れだそうとしても、面板部の表面側へ突出状に設けられた定着部が、その漏れ出しを防止できるので、コンクリートの打設後に面倒な処理や仕上げ作業を必要とすることがなく、そのまま外装パネルとして用いることができる。
そして、隣接する型枠兼用パネル同士の接続も、建築物の構造体への固定部材としての棒状部材との連結も、コンクリート打設空間内に配設される間隔保持部材(セパレータ)としての棒状部材との連結も、極めて容易に行うことができる。
前記連結部は、表面側へ、更に端側へ折曲された重合片を有し、前記連結受部は、端側へ延在する被重合片を有し、前記外装材の連結部に形成した重合片は、空間部を挟んで、左右に隣接する前記外装材の連結受部に形成した被重合片に重合され、前記空間部に螺子部を有する定着部が形成されると共に、前記面板部の裏面側に沿うように断熱材が積層され、前記断熱材を貫く棒状部材が前記定着部の螺子部に螺合されて連結可能であることを特徴とする。
以下に、外装材、断熱材について、それぞれ説明する。
例えばこの外装材としては、素材や成形法を限定するものではなく、各種素材の面材を適用することができ、金属面材でも硬質樹脂板でもよいが、後述する図示実施例のようにアルミ等の押出型材を用いることが望ましい。
そして、前記連結部に形成した重合片は、空間部を挟んで、左右に隣接する前記外装材の連結受部に形成した被重合片に重合され、前記空間部に螺子部を有する定着部が形成される。即ち螺子部を有する定着部は、平板状の面板部の表面側へ突出状に設けられるものとなる。
なお、前述のように形成される空間部の全てに螺子部を形成することを限定するものではなく、一部の空間部に螺子部を有する定着部が形成される。
なお、この外装材としては、一種の外装材を用いてもよいし、二種(以上)の外装材を用いてもよく、二種(以上)の場合には、その幅が異なるものでもよい。
後述する図示実施例に応じて一種の外装材を用いるものとして説明すると、一体の断熱材に対して一枚の外装材を添設することも可能ではあるが、外装材にも断熱材にもそれぞれの加工費用や強度特性等を含めた好適(適切)な成形幅があるため、一体の断熱材に対して複数枚の外装材を添設することが望ましい。
この定着部は、棒状部材を螺合させる螺子部を備えるものであればよく、雌螺子部でも雄螺子部でもよい。
・定着部が雌螺子部を有し、棒状部材が雄螺子部を有する場合;
定着部は、後述する図示実施例のように六角ナット、四角ナットなどの角ナットや複数の雌螺子部を螺設した板状材を定着材として配置したもの、或いは被重合片を厚肉にしてタップ加工(雌ねじ加工)を施したものでもよい。その場合の棒状部材は、棒状のボルト材等を用いる。なお、前述のように外装材を押出型材にて成形する場合には、厚肉の被重合片を成形する態様にも容易に対応できる。
・定着部が雄螺子部を有し、棒状部材が雌螺子部を有する場合;
定着部は、空間部の外側(=断熱材側)にボルトを立設されるもの(溶接等による固着)、孔からボルトを立設したものでもよい。その場合の棒状部材は、少なくともその先端に雌ねじ加工を施したもの、或いは筒状の部材等が用いられる。
定着部として、汎用のナットを用いた場合には、ナットの頭部は角形であるため、棒状部材(ボルト材)の取付に際してとも回り(自転)が防止される部位を設けることが望ましい。
この緩衝材としては、前記断熱材と同材であってもよいし、ゴム等の弾性材であってもよい。また、この緩衝材は、空間部内に連続的に設けるものでも、ナット介在部分(棒状部材の先端位置)のみに配するものでもよい。さらに、予め、或いは配設作業に際し、外装材の裏面側に設けるものであっても、定着材の上部(ナット頭部)に設けるものであってもよい。
また、定着部を形成しない空間部は、後述する図示実施例に示すように外装材同士を連結する連結固定具を打ち込む箇所としてもよい。
この棒状部材は、前記定着部の螺子部に螺合する螺合受部を有する構成であり、定着部がナット等のように雌螺子部を有する場合には、この棒状部材として雄螺子部を備えるボルト材等を用いればよく、後述する図示実施例のように間隔保持部材(セパレータ)の一部を兼ねるものであってもよい。また、定着部がボルトを立設した雄螺子部を有する場合には、この棒状部材として雌螺子部を備える筒状部材等を用いればよい。
まず、外装材については、平板状の面板部と、該面板部の左右の一方端に設けた連結部と、他方端に設けた連結受部とを備えている。
前記連結部は、表面側へ、更に端側へ折曲された重合片を有し、前記連結受部は、端側へ延在する被重合片を有し、前記外装材の連結部に形成した重合片は、空間部を挟んで、左右に隣接する前記外装材の連結受部に形成した被重合片に重合され、前記空間部に螺子部を有する定着部が形成される。
前記空間部は、平板状の面板部の表面側へ突出状に設けられるので、この一部の空間部には、ナット等の定着材を収容して定着部とする。なお、定着材のズレや分離が懸念される際には、適宜接着剤などを用いて接着しておくようにしてもよい。
一方、断熱材については、表裏面や側端に施す前処理(前加工)を必要最低限とできるので、例えば各種素材の断熱材をそのまま適用することができるが、前述のように前後方向に貫通する貫通孔を形成してもよい。
前記断熱材の表面に、前記外装材を並列状に敷設するが、連結部(重合片)は表面側へ突出状に形成され、連結受部(被重合片)は端側へ延在するように形成されているため、連結部や連結受部が一体化の支障にならないため、容易に重合状に接続すればよい。
なお、断熱材と外装材とは、型枠兼用パネルの使用に際して分離したりズレたりしない程度に一体化するが、その手段を限定するものではなく、例えば面板部裏面を断熱材表面と接着剤等にて接着してもよいし、爪等にて物理的に接合してもよい。或いは後述する図示実施例では、棒状部材に鍔状材を取り付けて断熱材を押さえる(挟着する)役割を果たすので、それまでの仮止めであってもよい。また、接着して一体化する場合には、使用する接着剤や接着面(全面接着に限らず部分接着でもよい)について何等限定するものではない。
前記連結部と前記連結受部の接続については、前述の定着部の形成と同様であるが、重合だけでなく、係合や嵌合等を伴って接続されるものとすると、組付状態が安定に維持される。定着部としない空間部は、前述のように連結固定具を打ち込む箇所(連結固定部)として用いてもよい。そして、後述する図示実施例においては、一体の断熱材上に、一種の外装材を合計4枚を取り付け、一体の断熱材上には、二つの定着部(及び二つの連結固定部)が形成されるものとなる。
そして、この型枠兼用パネルは、隣接する型枠兼用パネル同士における外装材同士を接続できるので、接続強度が高い接続を行うことができる。
そのため、適宜に断熱材や外装材を選定して様々な仕様のコンクリート壁を容易に且つ安価に構築することができる。
そして、型枠兼用パネルの前面側からノロが漏れ出そうとしても、面板部の表面側へ突出状に設けられた定着部が、その漏れ出しを防止できるので、コンクリートの打設後に面倒な処理や仕上げ作業を必要とすることがなく、そのまま外装パネルとして用いることができる。
また、間隔保持部材等の棒状部材を伝って打設コンクリートからノロが漏れだそうとしても、面板部の表面側へ突出状に設けられた定着部が、その漏れ出しを防止できるので、コンクリートの打設後に面倒な処理や仕上げ作業を必要とすることがなく、そのまま外装パネルとして用いることができる。
そして、前記連結部22に形成した重合片221は、空間部24を挟んで、連結受部23に形成した被重合片231に重合されている。
なお、この空間部24は、図1(b)に示すように面板部21の表面側(図では下方)へ突出状に形成されて端側(図では右方)が開放する空間であって、図示実施例ではそれぞれ筺状の筒状空間に形成されているが、図1(a),(c)に示されるように定着材4Aが収容される定着部25、連結固定具5が打ち込まれる連結固定部26として用いられ、それぞれ交互に形成されるように用いられている。
また、前記重合片221の先端には、上方へ突出する突部bが形成されている。
更に、前記延在片223の基端には上方が開放する溝cが形成され、該延在片223の先端には下方へ垂下する規制部dが設けられている。
また、前記垂下片233の下端には、二瘤状の突部aが形成されている。
また、前記垂下片233の下端の突部aは、重合片221先端の突部bと圧接状に当接し、前記溝cには前記垂下片232が挿着されることで、より安定に断面筺状の筒状空間が維持されている。また、前記規制部dは、空間部24に六角ナットである定着材4Aを収容させた際に供回りを防止する役割を果たす。なお、この定着材4Aの周囲には、図示しない定形又は不定形の弾性材を充填させて空間部24からの定着材4Aの脱離を防止する。
そして、形成された空間部24のうち、図示しない螺子部を有する定着材4Aを収容させた定着部25は、連結固定具5を打ち込んだ連結固定部26と交互に形成されている。
前記棒状部材6Aは、先端(図では下端)に雄螺子部61を備え、後端(図では上端)62に図示しない雌螺子部を備えるボルト材であって、図示した棒状部材6Aは後述する図2に用いた間隔保持部材6の一部を構成するものであるが、建築物の構造材等に取り付けるための固定部材であってもよい。
まず、前述のように隣り合う外装材2,2同士を連結するが、当該図示実施例では、外装材2を2枚を連結したものを二組用意しておく。なお、2枚の外装材2を連結する際には、空間部24に連結固定具5を打ち込んで固定しておき、残る二箇所の空間部24には定着材4Aを収容させておく(前述のように図示しない弾性材を充填して定着材4Aの脱離を防止しておく)。
一方では、その2箇所の貫通孔31にそれぞれ棒状部材6Aを挿着した断熱材3を用意しておく。なお、各棒状部材6Aは、先端(雄螺子部61)が断熱材3から突出するように貫通させておく。
その後、外装材2の面板部21の裏面側に断熱材3が沿うように重合させる。この重合に際し、断熱材3からは、2本の棒状部材6Aの先端(雄螺子部)61が突出しているので、該先端61が被重合片231に設けた孔fにそれぞれ挿通するように、外装材2と断熱材3とを容易に重合させ、定着部25の定着材4Aに螺着(連結)させる。即ち棒状部材6Aの先端61と被重合片231の孔fが位置調整の役割を果たすので、断熱材3と外装材2とを適正位置に重合させることができる。
一方では、略中央の一箇所のみの貫通孔31に棒状部材6Aを、先端(雄螺子部61)が断熱材3から突出するよう挿着しておく点が前述の手順と相違する。
その後、外装材2の面板部21の裏面側に断熱材3が沿うように重合させるが、断熱材3の略中央からは、1本のみの棒状部材6Aの先端(雄螺子部)61が突出しているので、該先端61が被重合片231に設けた孔fに挿通するように、外装材2と断熱材3とを重合させ、定着部25の定着材4Aに螺着(連結)させることができる。この場合も、棒状部材6Aの先端61と孔fが位置調整の役割を果たし、断熱材3と外装材2とを適正位置に重合させることができる。
この施工手順では、更にその後、図の左端に示すように棒状部材6Aを貫通孔31に挿通し、定着部25にその先端61を螺着(連結)させて図2(b)に示す型枠兼用パネル1を一体化することができる。
前記間隔保持部材6は、先端側(図では下方側)に、前記棒状部材6Aが位置し、後端に棒状部材6Bが螺合され、該棒状部材6Bの周囲に筒状部材6Cが配され、更に前記筒状部材6Cより大径の断面視台形状(錐状)の台座6Dを介して他方側の型枠であるパネル7に至る構成である。なお、この間隔保持部材6は、その後端の外側には図示しない締付機構が配され、コンクリートの打設に際して強固に固定される。
そして、この間隔保持部材6は、前記螺合を外すことで分割可能であり、コンクリートの打設後には、パネル7を取り外すと共に他方側の棒状部材6Cを抜き取って再利用することができ、熱橋の形成を防止することができる。
前記パネル7は、図3にも示すように縦長の表面部71の片面に、左右の端部から裏面側へ垂直状に連結部72,72が延出し、これら連結部72,72間の空間を3分割するように二枚の仕切板73,73が連結部72,72と平行状に設けられ、各連結部72には、一定間隔の孔722が長さ方向に5箇所形成されている。前記二枚の仕切り板73,73の略中央の表面部71には、前記間隔保持部材6の後端が突出するための貫通孔が予め形成されている。また、連結部72,72の先端721,721は、内側(仕切板73側)に向かって厚肉に形成され、仕切板73,73の先端731,731は、外側(連結部72側)に向かって厚肉に形成されている。
このように前記型枠兼用パネル1と前記パネル7とを隔てるコンクリートの打設空間8には、間隔保持部材6が配設され、その一部が前記棒状部材6Aである。
また、間隔保持部材6を伝って打設したコンクリートからノロ等の水分が漏れだそうとしても、面板部21の表面側(図では手前側)に突出状に設けられた定着部25が、その漏れ出しを防止できるので、コンクリートの打設後に面倒な処理や仕上げ作業を必要とすることがなく、そのまま外装パネル2として用いることができる。
そして、この型枠兼用パネル1は、隣接する外装材2,2同士を重合によって容易に接続できると共に、用いる断熱材3の表裏面や側端に施す前処理(前加工)を必要最小限とできる(図示実施例では全く必要としない)ので、容易に外装材2と断熱材3とを積層させて型枠兼用パネル1を作成できる。
2 外装材
21 面板部
22 連結部
221 重合片
23 連結受部
231 被重合片
24 空間部
25 定着部
26 連結固定部
3 断熱材
31 貫通孔
4A 定着材(六角ナット)
5 連結固定具
5A 棒状部材
6 間隔保持部材
7 パネル
Claims (4)
- 外装材と、断熱材とからなる型枠兼用パネルであって、
前記外装材は、平板状の面板部と、該面板部の左右の何れか一方端に設けた連結部と、他方端に設けた連結受部とを備え、前記連結部は、表面側へ、更に端側へ折曲された重合片を有し、前記連結受部は、端側へ延在する被重合片を有し、
前記外装材の連結部に形成した重合片は、空間部を挟んで、左右に隣接する前記外装材の連結受部に形成した被重合片に重合され、前記空間部に螺子部を有する定着部が形成されると共に、前記面板部の裏面側に沿うように断熱材が積層され、前記断熱材を貫く棒状部材が前記定着部の螺子部に螺合されて連結可能であることを特徴とする型枠兼用パネル。 - 前記断熱材には、表裏方向に貫通する貫通孔が所定間隔で開孔され、該貫通孔には前記棒状部材が挿通可能であることを特徴とする請求項1に記載の型枠兼用パネル。
- 一体の前記断熱材の表面側に、複数の前記外装材が積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の型枠兼用パネル。
- 請求項1~3の何れか一項に記載の型枠兼用パネルをコンクリート打設空間の少なくとも一方の型枠として用いたことを特徴とするコンクリート壁体の構築構造。
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