JP5824317B2 - パターン形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ナノインプリント用組成物を用いたパターン形成方法に関する。
リソグラフィ技術は、半導体デバイスプロセスのコアテクノロジーであり、近年の半導体集積回路(IC)の高集積化に伴い、さらなる配線の微細化が進行している。微細化手法としては、より短波長の光源、例えばKrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、Fレーザー、EUV(極端紫外光)、EB(電子線)、X線等を用いる光源波長の短波長化や、露光装置のレンズの開口数(NA)の大口径化(高NA化)等が一般的である。しかしながら、光源波長の短波長化は、高額な新たな露光装置が必要となってしまう。
このような状況のもと、Chouらによって、ナノインプリント リソグラフィが提案された(特許文献1参照)。ナノインプリント リソグラフィでは、所定のパターンが形成されたモールドを、表面に樹脂層が形成された基体に対して押し付け、モールドのパターンを樹脂層に転写している。
Chouらによって最初に提案されたナノインプリント リソグラフィは、樹脂層に熱可塑性樹脂であるポリメタクリル酸メチル(PMMA)が用いられ、樹脂層を変形させる前に加熱により樹脂を軟化させておき、次いで、モールドを押し付けて樹脂層を変形させ、その後、樹脂層を冷却して固化させる工程を経ることから、「熱サイクルナノインプリント リソグラフィ」と呼ばれている。
特開2003−168810号公報
シルセスキオキサン材料の化学と応用展開、著者: 伊藤真樹 (235ページ、熱ナノインプリント リソグラフィにおけるスループットの問題についての記載)
従来の熱サイクルナノインプリント リソグラフィには、樹脂層の昇温、冷却に時間を要するためスループットが低いという問題があった。より具体的には、樹脂層をガラス転移以上に加熱した後、樹脂層にモールドを押し当て、モールドを樹脂層に押し付けた状態で樹脂層をガラス転移温度以下に冷却した後に、モールドを剥離する必要がある。この冷却工程に多大な時間を要する。
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、熱サイクルナノインプリント リソグラフィによるパターン形成に要する時間を短縮することができる技術の提供にある。
本発明のある態様は、パターン形成方法である。当該パターン形成方法は、熱硬化性を有するケイ素化合物と酸発生剤を含むナノインプリント用組成物を基板に塗布して膜を形成する工程と、前記膜中に酸を発生させる工程と、前記膜にモールドを押圧する工程と、前記モールドによって膜が押圧されている間に、前記ケイ素化合物の熱硬化温度以上に前記膜を加熱する工程と、前記モールドを剥離し、硬化パターンを得る工程と、を備えることを特徴とする。
この態様のパターン形成方法によれば、硬化パターンを得るための冷却工程が不要になるため、製造工程のスループットを高めることができる。
本発明によれば、熱サイクルナノインプリント リソグラフィによるパターン形成に要する時間を短縮することができる。
実施の形態1−1に係るナノインプリントリソグラフィによるパターン形成方法で用いられるパターン形成装置の概略を示す図である。 実施の形態1−2に係るナノインプリントリソグラフィによるパターン形成方法で用いられるパターン形成装置の概略を示す図である。 実施の形態1−3に係るナノインプリントリソグラフィによるパターン形成方法で用いられるパターン形成装置の概略を示す図である。 パターンの形成1−1で得られた硬化パターンの走査型電子顕微鏡(SEM)造である。 パターンの形成1−2で得られた硬化パターン(条件1)の走査型電子顕微鏡(SEM)造である。 実施の形態2に係るナノインプリントリソグラフィによるパターン形成方法を示す工程図である。 パターンの形成2で得られた硬化パターンの走査型電子顕微鏡(SEM)造である。 実施の形態3に係るナノインプリントリソグラフィによるパターン形成方法を示す工程図である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
(実施の形態1)
はじめに、本実施の形態のパターン形成方法で用いられるナノインプリント用組成物30について説明する。ナノインプリント用組成物30は、熱硬化性を有するケイ素化合物(A)および酸発生剤(B)を含む。
具体的には、ケイ素化合物(A)は下記一般式で表される。
上記式中、Rは、エポキシ基、オキセタニル基を含み、Rは、フッ素原子を有していてもよいアルキル基、アリール基を含む。Rは、好ましくはエポキシ基である。Rは、炭素数1〜5のアルキル基;フェニル基、ベンジル基、またはナフチル基等のアリール基が好ましい。m:nは、モル比であり、30:70〜100:0である。より好ましくは、m:nは、40:60〜99:1である。また、ケイ素化合物(A)は、異なるR及び/またはRを有していてもよい。
より具体的には、ケイ素化合物(A)は下記式で表される。
(B)酸発生剤
本実施の形態のパターン形成方法に用いられる酸発生剤(B)は、露光によって酸を発生する。
膜中に酸が発生するため(後述する)熱を加えることでケイ素化合物(A)におけるエポキシ基(またはオキセタニル基)の開環重合反応が促進される。言い換えると、上述したケイ素化合物(A)の熱に対する感応性がより敏感になり、ケイ素化合物(A)をより容易に硬化させることができる。なお、「熱」とは、ケイ素化合物(A)の開環重合が進行する温度であれば特に限定されないが、典型的には60〜150℃、好ましくは80〜140℃の温度範囲をいう。また「露光」とは、酸発生剤(B)からの酸発生が進行する電磁波の照射であれば特に限定されないが、典型的には450nm以下、特に365〜248nmの波長範囲の電磁波の照射をいう。
露光により酸を発生する酸発生剤としては、たとえば、オニウム塩、ジアゾメタン誘導体、グリオキシム誘導体、ビススルホン誘導体、β−ケトスルホン誘導体、ジスルホン誘導体、ニトロベンジルスルホネート誘導体、オキシムスルホネート誘導体、スルホン酸エステル誘導体、N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体などの公知の酸発生剤を用いることができる。
前記オニウム塩としては、具体的には、トリフロオロメタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラn−ブチルアンモニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸テトラフェニルアンモニウム、p−トルエンスルホン酸テトラメチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート、上記種々のスルホニウムまたはチオフェニウムとリン酸との塩等が挙げられる。
前記ジアゾメタン誘導体としては、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
前記グリオキシム誘導体としては、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等が挙げられる。
前記ビススルホン誘導体としては、ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等が挙げられる。
前記β−ケトスルホン誘導体としては、2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等が挙げられる。
ジスルホン誘導体としては、ジフェニルジスルホン誘導体、ジシクロヘキシルジスルホン誘導体等のジスルホン誘導体を挙げることができる。
前記ニトロベンジルスルホネート誘導体としては、p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体を挙げることができる。
前記スルホン酸エステル誘導体としては、1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体を挙げることができる。前記オキシムスルホネート誘導体としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリル、[(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル]等のオキシムスルホネート誘導体を挙げることができる。
前記N−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体としては、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等が挙げられる。
これらの酸発生剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸発生剤の量は、特に限定されるものではないが、ケイ素化合物(A)100質量部に対して、0.1〜30質量部含まれることが好ましく、0.5〜15質量部含まれることがより好ましく、1〜7質量部含まれることがさらに好ましい。上記の下限値以上にすることにより、熱硬化性を向上させることができる。また、上記の上限値以下にすることにより、硬化時のアウトガス発生を抑制することができる。
ナノインプリント用組成物30は無溶剤系組成物としても使用できるが、この他、ナノインプリント用組成物30は必要に応じて、有機溶剤(C)を含む。ケイ素化合物(A)および酸発生剤(B)を有機溶剤(C)に溶解させることで塗布液が製造される。
有機溶剤(C)としては、ケイ素化合物(A)および酸発生剤(B)等の各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、ナノインプリント用組成物の溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。たとえば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノンなどのケトン類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤;メタノール、エタノール、ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1,4−ブタンジオール、ペンタノール、1−メチル−1−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、シクロペンタノール、ヘキサノール、4−メチル−2−ペンタノール、シクロヘキサノール、ヘプタノール、シクロヘプタノール、オクチルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、4−メトキシ−1−ブタノール等のアルコール類;ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、ジイソペンチルエーテル等のエーテル類;などを挙げることができる。
有機溶剤(C)の使用量は特に限定されるものではなく、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定すればよい。本実施において好ましくは、(ケイ素化合物(A)の)濃度が0.1〜50質量%、より好ましくは1〜20質量%の範囲内となるように用いられる。
(パターン形成方法)
図1は、実施の形態1−1に係るナノインプリントリソグラフィによるパターン形成方法で用いられるパターン形成装置10の概略を示す図である。
図1を参照して、パターン形成装置10について説明する。パターン形成装置10は、基板20を移動させるための搬送機構12を有する。基板20は特に限定されないが、たとえば、ガラス基板やフィルム等のシートである。搬送機構12は、たとえば、基板20を搬送可能な複数の搬送コロである。複数の搬送コロは一定の間隔をもって配置されるが、そのうちの1つは後述のローラ50の真下の位置で基板20とナノインプリント用組成物30とを挟んだ状態であることが好ましい。搬送機構12の上流側には、塗布機構があり(図中省略)、次いで基板20に向けてUV光などの光を照射する光照射器40が設けられている。また、搬送機構12の下流側に回転しながら基板20に加圧可能なローラ50が設置されている。ローラ50の表面には、所定の凹凸パターン(モールド)が形成されている。また、ローラ50にはヒータ(図示せず)が内蔵されており、パターン転写時のローラ50の温度を上述したケイ素化合物(A)の熱硬化温度以上に昇温することができる。ローラ50にヒータが内蔵されていない場合は、ローラ50を支えるコロにヒータを内蔵することで加圧中の加熱を行う。あるいは、ローラ50とその下のコロの両方で加熱を行ってもよい。なお、本実施の形態における加熱時間は15秒以上が好ましく、20秒から120秒であることがより好ましい。なお、ローラ50の直径は特に限定されないが、1mm〜10m程度とすることができる。ローラ50の直径が1mmより小さいと、ローラ50の曲率が大きすぎるため、転写性が低減する。一方、ローラ50の直径が10mより大きいと、ローラ50の表面に凹凸パターンを形成することが困難になる。
本実施の形態に係るパターン形成方法を説明する。まず、スリットコート法、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、ダイコート法により基板20の上にナノインプリント用組成物30を塗布して、ナノインプリント用組成物30の塗布層(膜)を形成する。続いて、光照射器40を用いてナノインプリント用組成物30を露光する。UV露光により、ナノインプリント用組成物30中の酸発生剤(B)から酸が発生する。続いて、搬送機構12によって搬送される基板20上のナノインプリント用組成物30の塗布層にローラ50を回転させながらローラ50を押圧することによりパターンを転写する。本実施の形態では、ローラ50(および/またはローラ50の下にある搬送コロ)が加熱されているため、ローラ50の押圧とナノインプリント用組成物30の加熱とが同時に行われる。言い換えると、ナノインプリント用組成物30の塗布層にパターンが転写される間、すなわち、ナノインプリント用組成物30がローラ50と接触している間に、ナノインプリント用組成物30がケイ素化合物(A)の熱硬化温度以上に加熱される。これにより、酸発生剤(B)から発生した酸の存在下で熱硬化性を有するケイ素化合物(A)が硬化し、基板20が搬送機構12によってローラ50の下流側に搬送され、基板20がローラ50から剥離すると、ナノインプリント用組成物30の開環重合による硬化した転写パターンとして保持される。なお、基板20およびパターン形成されたナノインプリント用組成物30は、ローラ50の下流側に設置された巻き取り用ローラ(図示せず)に巻き取られる。巻き取り用ローラに巻き取られた基板20およびナノインプリント用組成物30は、巻き取り用ローラから引き出されたのち、所定の領域に個片化される。なお、搬送コロによる基板20の搬送をステップバイステップとし、所定領域のナノインプリント用組成物30にパターンを形成してもよい。この場合、搬送を停止した状態でローラ50の下流側にて、所定領域の基板20およびナノインプリント用組成物30を個片化してもよい。
以上説明した実施の形態1に係るパターン形成方法によれば、加熱されたローラ50(および/またはローラ50の下にある搬送コロ)によってナノインプリント用組成物30の塗布層にパターンが転写されるとともに、転写されたパターンが加熱により硬化するため、パターン転写後にナノインプリント用組成物30を冷却する工程が不要となり、パターン形成に要する時間を大幅に短縮することができる。また、冷却に要する設備が不要になるため、パターン形成のための装置を簡素化、小型化することができる。
本実施の形態では、ローラ50に内蔵されたヒータによって(および/またはローラ50の下にある搬送コロによって)ナノインプリント用組成物30が加熱されているが、ヒータはローラ50の近傍に別途設けられていてもよい。これによれば、ナノインプリント用組成物30の加温状況に応じて、ヒータの位置を調節することができる。
図2は、実施の形態1−2に係るナノインプリントリソグラフィによるパターン形成方法で用いられるパターン形成装置10の概略を示す図である。実施の形態1−1では、基板20を水平方向に搬送しながらパターン形成を行っているが、基板20がフィルム等の場合、図2に示すように搬送コロの位置を変えてもよい。具体的には、搬送コロ12aを通過した基板20およびナノインプリント用組成物30がローラ50の外周面に所定長さ(たとえば、ローラ50の半周分)だけ密着した後、ローラ50から離れるような位置に、搬送コロ12bを設置する。これにより、ニップ幅(ローラ50で加圧できる接触幅)が拡大し、開環重合をより促進させることができる。
図3は、実施の形態1−3に係るナノインプリントリソグラフィによるパターン形成方法で用いられるパターン形成装置10の概略を示す図である。実施の形態1−1では、パターン転写をローラ50により行っているが、実施の形態1−3では、図3に示すように凹凸構造の所定パターンが形成されたモールドが用いられる。
図3(A)に示すように、基板20の上にナノインプリント用組成物30を塗布して、ナノインプリント用組成物30の塗布層を形成する。本実施形態における基板20は特に限定されないが、たとえば、半導体微細加工が施されるSiウェハ、銅配線、絶縁層など、またはパターン形成前のDTM用磁性層が形成されたハードディスク基板、ガラス基板等である。ナノインプリント用組成物30を塗布する方法としては、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、スリットコート法等が挙げられる。基板20に塗布されたナノインプリント用組成物30の厚みが均一であることが好ましい場合には、スピンコート法を用いてナノインプリント用組成物30を基板20上に堆積することが好適である。
次に、次に、図3(B)に示すように、塗布層を形成した後、UVなどの電磁波を照射することにより、ナノインプリント用組成物30中の酸発生剤(B)から酸が発生させる。
次に、図3(C)に示すように、膜中に酸の発生しているナノインプリント用組成物30が積層された基板20に、凹凸構造の所定パターンが形成されたモールド100を、ナノインプリント用組成物30に対向して押し付け、ナノインプリント用組成物30をモールド100の凹凸構造のパターンに合わせて変形させる。モールド100の押圧時の圧力は、ナノインプリント用組成物30の粘度にもよるが、たとえば、50MPa以下である。押し付けた状態の保持時間は、適宜設定すればよいが10〜120秒程度である。
そして、モールド100を押圧した状態で、ナノインプリント用組成物30を上述したケイ素化合物(A)の熱硬化温度以上に加熱する。加熱により、膜中に酸によるケイ素化合物(A)におけるエポキシ基(またはオキセタニル基)の開環重合反応が促進され、ケイ素化合物(A)の硬化が進行し、ナノインプリント用組成物30が硬化した転写パターンとして保持される。当該加熱は、あらかじめ加熱したモールド100を押し付けて保持することで行ってもよいし、モールド100を押し付けた後、別途ホットプレート等の加熱機構によるベーク処理を行ってもよい。本実施形態における加熱時間は適宜設定されればよく、15秒〜20分程度である。
次に、図3(D)に示すように、基板20からモールド100を剥離する。これにより、ナノインプリント用組成物30の開環重合物が基板20上で硬化した転写パターンが得られる。
以上説明した実施の形態1−1〜1−3に係る、凹凸構造の所定パターンが形成されたモールドを用いた場合のパターン形成方法によれば、パターン硬化のための冷却工程が不要になるため、パターン形成に要する時間を短縮することができる。また、露光後にモールド100を押し付けるパターン形成方法であるため、モールド100に光透過性が要求されず、石英モールドのような高価な光透過型モールドではなく、シリコンモールドやニッケルモールドのような比較的安価で量産が容易な非透過型モールドも用いることができる。このため、パターン形成に要するコストを低減することができる。
なお、実施の形態1−1〜1−3において、UV露光により、酸発生剤(B)から酸を発生させた後、ローラ50を押圧したり、モールド100を押し付けたりする前に、加熱工程を設けてもよい。これによれば、ナノインプリント用組成物30の硬化に要する時間を更に短縮することができる。ただし、ローラ50やモールド100を押圧する前に実施される加熱の程度は、ナノインプリント用組成物30の塗布層の硬さがローラ50やモールド100によってパターン形成が可能な程度に適宜調節される。
また、ローラ50やモールド100が基板20から剥離した後、さらにケイ素化合物(A)の熱硬化温度以上で加熱する手段を設けることにより、ナノインプリント用組成物30の開環重合物の熱硬化をより確実に進行させ、転写パターンの精度や形状保持性をより高めることができる。
(実施例1−1)
以下に示す各成分を混合、溶解してナノインプリント用組成物を調整した。
ケイ素化合物(A):下記式で表されるケイ素化合物100質量部(式中、m/nはモル比である)。
酸発生剤(B):トリフェニルスルホニウムリン酸塩(サンアプロ社製:CPI−210S)3質量部(光酸発生剤)
有機溶剤(C):メチルイソブチルケトン330質量部
(ナノインプリントによるパターンの形成1−1)
シリコン基板上に、上記ナノインプリント用組成物をスピンナーを用いて塗布し、乾燥することにより、膜厚約2.7μmのナノインプリント用組成物の膜を形成した。
次に、上記ナノインプリント用組成物膜に対して、ST200付属のi−lineLEDにより30秒間の露光を行った。
次に、ナノインプリンターST200(東芝機械製)を用いて、室温(25℃)において、上記ナノインプリント用組成物膜に対してシリコンモールド(光透過型でない、200nm/200nmの1:1ラインアンドスペース(L/S)パターン)をプレス圧力5MPaで押し付けた状態で、上記ナノインプリント用組成物膜を100℃で60秒間加熱した。当該加熱の後、シリコンモールドを剥離し、硬化パターンを得た。
得られた硬化パターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、基板上にライン幅200nm、スペース幅200nmのL/S状の構造体を形成できたことが確認できた(図4参照)。なお、得られたパターンを3日間放置した後、再びSEM写真で確認した結果、形状を保持しており、確実に硬化反応が起こっていたことが確認できた。
(ナノインプリントによるパターンの形成1−2)
シリコン基板上に、上記ナノインプリント用組成物をスピンナーを用いて塗布し、乾燥することにより、膜厚約350nmのナノインプリント用組成物の膜を形成した。スポット光源LA−410UV(林時計工業(株)製、I線短波長)により30秒間の露光を行った。具体的には、高圧キセノン水銀ランプにI線フィルターを入れたものを光源として使用した。
次に、ナノインプリント装置(明昌機工社製、NANOIMPRINTER NM0901−HB)を用いて、室温(25℃)において、上記ナノインプリント用組成物膜に対してあらかじめ80℃に加熱しておいたシリコンモールド(光透過型でない、L/S=200nm/200nm)をプレス圧力0.5MPaで押し付けた状態で、20秒間保持した。当該加熱の後、シリコンモールドを剥離し、硬化パターンを得た(条件1)。同様に、シリコンモールドの温度と保持時間とプレス圧力条件を以下のとおり変更した場合の硬化パターンも得た。
得られた硬化パターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、いずれの条件についても、基板上にライン幅200nm、スペース幅200nmのL/S状の構造体を形成できたことが確認できた。条件1による硬化パターンを図5に示す。なお、得られたパターンを3日間放置した後、再びSEM写真で確認した結果、いずれのパターンも形状を保持しており、確実に硬化反応が起こっていたことが確認できた。
(比較例1)
実施例1−1のケイ素化合物(A)のかわりに下記式(A’1)で示される珪素化合物(100質量部)、実施例1−1の光酸発生剤(B)のかわりに重合開始剤としてIRGACURE369(CHIBA社製)(3質量部)を用いたほかは同様の組成でナノインプリント用組成物を調整した。なお、式(A’1)中のカッコの右下の数字はモル比である。
比較例1−1のナノインプリント用組成物を用いて、上記(ナノインプリントによるパターンの形成1−1)及び(ナノインプリントによるパターンの形成1−2)によりパターン形成を行ったが、いずれの場合も硬化反応は進まず、硬化パターンを得ることはできなかった。
(実施の形態2)
図6は、実施の形態2に係るパターン形成方法を示す工程図である。本実施の形態で用いられるナノインプリント用組成物30は実施の形態1と同様である。
まず、図6(A)に示すように、基板20の上にナノインプリント用組成物30を塗布して、ナノインプリント用組成物30の塗布層を形成する。本実施の形態における基板20は特に限定されないが、たとえば、半導体微細加工が施されるSiウェハ、銅配線、絶縁層など、またはパターン形成前のDTM用磁性層が形成されたハードディスク基板、ガラス基板等である。
ナノインプリント用組成物30を塗布する方法としては、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、スリットコート法等が挙げられる。基板20に塗布されたナノインプリント用組成物30の厚みが均一であることが好ましい場合には、スピンコート法を用いてナノインプリント用組成物30を基板20上に堆積することが好適である。
次に、図6(B)に示すように、ナノインプリント用組成物30が積層された基板20に、凹凸構造の所定パターンが形成されたモールド100を、ナノインプリント用組成物30に対向して押し付け、ナノインプリント用組成物30をモールド100の凹凸構造のパターンに合わせて変形させる。モールド100の押圧時の圧力は、ナノインプリント用組成物30の粘度にもよるが、たとえば、50MPa以下である。押し付けた状態の保持時間は、適宜設定すればよいが10〜120秒程度である。本実施の形態では、モールド100は露光に用いられるUV光に対して透光性を有する。たとえば石英モールドやフィルムモールドが用いられる。モールド100を押圧した状態で、UVなどの電磁波を照射することにより、ナノインプリント用組成物30中の酸発生剤(B)から酸が発生し、後述の加熱処理をすることでケイ素化合物(A)の開環重合反応が促進される。
次に、図6(C)に示すように、UV露光の後、モールド100を押圧した状態で、ナノインプリント用組成物30をケイ素化合物(A)の熱硬化温度以上に加熱する。加熱により、熱硬化性を有するケイ素化合物(A)の硬化が進行し、ナノインプリント用組成物30の開環重合反応により硬化した転写パターンとして保持される。
次に、図6(D)に示すように、基板20からモールド100を剥離する。これにより、ナノインプリント用組成物30の開環重合反応により基板20上で硬化した転写パターンが得られる。
本実施の形態によれば、実施の形態1と同様に、パターン硬化のための冷却工程が不要になるため、パターン形成に要する時間を短縮することができる。
(実施例2−1)
上述の実施例(1−1)と同様のナノインプリント用組成物を調整した。
(ナノインプリントによるパターンの形成2)
シリコン基板上に、上記ナノインプリント用組成物をスピンナーを用いて塗布し、乾燥することにより、膜厚約3μmのナノインプリント用組成物の膜を形成した。
次に、ナノインプリンターST200(東芝機械製)を用いて、室温(25℃)において、上記ナノインプリント用組成物膜に対してフィルムモールド(光透過型、ドットパターン(周期:300nm))をプレス圧力5MPaで押し付けた状態で、ST200付属のi−lineLEDにより30秒間の露光を行った。露光終了後、上記ナノインプリント用組成物膜を60℃で10分間加熱した。当該加熱の後、フィルムモールドを剥離し、硬化パターンを得た。
得られた硬化パターンを走査型電子顕微鏡(SEM)により観察したところ、基板上に周期300nmのドットパターン状の構造体を形成できたことが確認できた(図7参照)。なお、得られたパターンを3日間放置した後、再びSEM写真で確認した結果、いずれのパターンも形状を保持しており、確実に硬化反応が起こっていたことが確認できた。
(実施の形態3)
図8は、実施の形態3に係るパターン形成方法を示す工程図である。本実施の形態で用いられるナノインプリント用組成物30は酸発生剤(B)を除いて実施の形態1と同様である。
ここで、本実施の形態で用いられる酸発生剤(B)について説明する。本実施の形態では、酸発生剤(B)として熱によって酸を発生する。熱により酸を発生する酸発生剤(B)としては、たとえば、4,4,6−テトラブロモシクロヘキサジエノン、ベンゾイントシレート、2−ニトロベンジルトシレート、その他の有機スルホン酸のアルキルエステル等が挙げられる。また上述した、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、ベンゾチアゾニウム塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等のオニウム塩等からも適宜使用することが可能である。
まず、図8(A)に示すように、実施の形態2と同様に、基板20の上にナノインプリント用組成物30を塗布して、ナノインプリント用組成物30の塗布層を形成する。
次に、図8(B)に示すように、ナノインプリント用組成物30が積層された基板20に、凹凸構造の所定パターンが形成されたモールド100を、ナノインプリント用組成物30に対向して押し付け、ナノインプリント用組成物30をモールド100の凹凸構造のパターンに合わせて変形させる。モールド100の押圧時の圧力は、ナノインプリント用組成物30の粘度にもよるが、たとえば、50MPa以下である。押し付けた状態の保持時間は、適宜設定すればよいが10〜120秒程度である。
次に、図8(C)に示すように、モールド100を押圧した状態で、ナノインプリント用組成物30をケイ素化合物(A)の熱硬化温度以上に加熱する。加熱により、ナノインプリント用組成物30中の酸発生剤(B)から酸が発生し、ケイ素化合物(A)における開環重合反応が促進される。さらにケイ素化合物(A)の熱硬化温度以上で加熱を続けることにより、熱硬化性を有するケイ素化合物(A)の硬化が進行し、ナノインプリント用組成物30の開環重合物が硬化した転写パターンとして保持される。このように、本実施の形態では、酸発生剤(B)による酸発生とナノインプリント用組成物30の熱硬化とが同じ加熱工程中で同時進行する。
上記加熱工程は、あらかじめ加熱したモールド100を押し付けて保持することで行ってもよいし、モールド100を押し付けた後、別途ホットプレート等の加熱機構によるベーク処理を行ってもよい。本実施形態における加熱時間は適宜設定されればよく、15秒〜20分程度である。
次に、図8(D)に示すように、基板20からモールド100を剥離する。これにより、ナノインプリント用組成物30の開環重合反応により基板20上で硬化した転写パターンが得られる。
本実施の形態では、酸発生剤(B)による酸発生とナノインプリント用組成物30の熱硬化とが同じ加熱工程で行われるため、上述した実施の形態1および2と異なり、光照射に必要な工程や設備が不要となる。このため、パターン形成に必要な時間をさらに短縮することができる。また、パターン形成のための設備を簡略化し、パターン形成に要するコストを抑制することができる。
また、モールド100に光透過性が要求されないため、石英モールドのような高価な光透過型モールドではなく、シリコンモールドやニッケルモールドのような比較的安価で量産が容易な非透過型モールドを用いることができる。このため、パターン形成に要するコストを低減することができる。
なお、本実施の形態では、酸発生剤(B)による酸発生とナノインプリント用組成物30の熱硬化とが同じ加熱工程で行われているが、モールド100をナノインプリント用組成物30の塗布膜に押し付ける前に、加熱によって酸発生剤から酸を予め発生させておいてもよい。これによれば、ナノインプリント用組成物30の硬化に要する時間を更に短縮することができる。
10 パターン形成装置、20 基板、30 ナノインプリント用組成物、40 光照射器、50 ローラ、100 モールド

Claims (7)

  1. 熱硬化性を有するケイ素化合物と酸発生剤を含むナノインプリント用組成物を基板に塗布して膜を形成する工程と、
    前記膜中に酸を発生させる工程と、
    酸が発生している状態の前記膜にモールドを押圧する工程と、
    前記モールドによって膜が押圧されている間に、前記ケイ素化合物の熱硬化温度以上に前記膜を加熱する工程と、
    前記モールドを剥離し、硬化パターンを得る工程と、
    を備え
    前記酸発生剤が光酸発生剤であって、
    前記酸を発生させる工程は、露光により行うことを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記モールドを剥離した後、さらに加熱する工程を有する請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. 前記ケイ素化合物が下記一般式で表される請求項1または2に記載のパターン形成方法。
    上記式中、Rは、エポキシ基、オキセタニル基を含み、Rは、フッ素原子を有していてもよいアルキル基、アリール基を含む。m:nは、30:70〜100:0である。
  4. 前記モールドを押圧する工程は、光透過型でないパターンが形成されたモールドを用いて前記パターンを前記膜に押圧する工程である請求項1乃至のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  5. 前記モールドを押圧する工程は、パターンが形成されたローラを回転させながら前記パターンを前記膜に押圧する工程である請求項1乃至のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  6. 前記膜を加熱する工程は、前記ローラを加熱することにより、前記膜への押圧と同時に実施される請求項に記載のパターン形成方法。
  7. 前記膜を加熱する工程は、前記ローラの近傍に設けられた加熱手段を用いて、前記ローラによる前記膜への押圧と同時に実施される請求項に記載のパターン形成方法。
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