JP5821811B2 - 絶縁性基板、金属張積層板、プリント配線板、及び半導体装置 - Google Patents
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Description
一般的に、コア基板上に導体回路層、特に近年においてはビルドアップにより多層化された導体回路層を設けてプリント配線板が構成され、当該プリント配線板の導体回路層上に半導体素子を搭載、接続して半導体装置が構成される。
プリント配線板を薄くするための方法として、その支持体であるコア基板を薄くすることが有効である。しかし、半導体素子の線膨張係数(通常3〜4ppm程度)よりもコア基板の線膨張係数(通常8〜15ppm程度)が大きく、コア基板の熱膨張率よりも導体回路層の線膨張係数(通常18ppm程度)のほうが更に大きいため、これら各部分の線膨張係数差によってプリント配線板や半導体装置の内部に応力が発生する。このため、コア基板を薄くすると、各部分の線膨張係数差によって生じる応力がコア基板の剛性よりも優るようになって、反りが起こり易くなるという問題がある。
まだ半導体素子が搭載されていない状態のプリント配線板は、コア基板の一面側に設けられた導体回路層により生じる応力と、他面側に設けられた導体回路層により生じる応力のバランスによって、半導体素子が搭載される側の面を内側にして反るプラス反り(図15A参照)と、半導体素子が搭載される側の面を外側にして反るマイナス反り(図15B参照)の何れかが生じる。
これに対し、プリント配線板上に半導体素子を搭載した状態の半導体装置が反る方向は、半導体素子の線膨張係数と剛性が支配的に作用するため、通常は、半導体素子が搭載された側の面を外側にして反るマイナス反りになる。半導体装置のマイナス反りが大きすぎると、半導体装置の素子搭載面とは反対側の面をマザーボードに二次接続する際に接続位置がずれて接続不良が生じるという問題や、冷熱衝撃試験において半導体素子中の配線層の破壊やプリント配線板と半導体素子を接続する半田バンプにクラックが生じ信頼性が低下する等の問題が生じやすい。
半導体装置(半導体パッケージ)の反りを解決する提案としては、特許文献1には、コア基板の表面Aと表面Bに、層間絶縁樹脂層と配線層とが少なくとも一層ずつ積層されたビルドアップ配線層が形成されたビルドアップ配線板において、半導体素子が実装される表面A側の層間絶縁樹脂層の平面方向の熱膨張係数が、実装基板に実装される表面B側の層間絶縁樹脂層の平面方向の熱膨張係数より大きいことを特徴とする半導体装置用ビルドアップ配線板が記載されている。
また、特許文献1の発明のようにプリント配線板(ビルドアップ配線板)のビルドアップ層に含まれる層間絶縁樹脂層の線膨張係数を調節して反りを防止しようとする方法においては、コア基板の一面側とその反対面側に積層される層間絶縁樹脂層の数の違いによっても反り軽減の程度が変動し、また層間絶縁樹脂層を用いない両面板の場合は利用できないなど、配線層の数が制約される。また、層間絶縁樹脂層にガラスクロスを含むプリプレグを用いるため、レーザーによるビア加工の不具合が生じ、ビア間の信頼性に影響を及ぼすおそれがある。
さらに、プリント配線板のビルドアップ層には層間絶縁樹脂層だけでなく配線層(所定の回路パターンを形成する金属層)も含まれており、当該配線層の線膨張係数も反りに影響する。配線層は均一な連続膜ではなく、各層ごとに回路パターンの形状や面積が異なるため、応力に与える影響を予測することが困難である。
また、プリント配線板の配線層の数や回路パターンの形状が設計上の制約を受けるためにコア基板の一面側とその反対面側の応力が拮抗する場合があり、その場合には、同じ仕様のプリント配線板であっても個々の製品ごとに反りの方向が不規則となり、プラス反りとマイナス反りの両方が発生する場合がある。
従って、特許文献1の発明では半導体装置の反りを軽減するための制御が難しい。
本発明の第一の目的は、半導体装置のマイナス反りを充分に軽減又は防止することができる絶縁性基板又は金属張積層板を提供することにある。
また本発明の第二の目的は、半導体装置のマイナス反りを軽減又は防止するための制御が容易な絶縁性基板又は金属張積層板を提供することにある。
また本発明の第三の目的は、上記本発明の絶縁性基板又は金属張積層板を用いて作成された、反りが制御されたプリント配線板を提供することにある。
また本発明の第四の目的は、上記本発明の絶縁性基板又は金属張積層板を用いて作成された、反りが軽減又は防止された半導体装置を提供することにある。
前記絶縁性基板に含まれる前記繊維基材層を第一の面側からその反対側の第二の面側に向かって順にCx(xは1〜nで表される整数であり、nは繊維基材層の数である。)とし、
前記絶縁性基板の全体厚み(B3)を前記繊維基材層の数(n)で均等に分割し、分割した各領域の厚み(B4)をさらに均等に2分割する位置を繊維基材層の基準位置とし、当該各々の基準位置を第一の面側から順にAx(xは1〜nで表される整数であり、nは繊維基材層の数である。)としたときに、
前記均等に分割された厚みB4の各領域内に、それぞれ1つの繊維基材層が存在し、且つ、
前記繊維基材層のうち、少なくとも最も第一の面側に位置する繊維基材層が、対応する順位の基準位置よりも第一の面側に偏在し、第二の面側に偏在している繊維基材層がないことを特徴とするものである。
また、本発明によれば、半導体装置の反りを制御するために導体回路層の数や回路パターンなどの回路設計を制約しないため、設計の自由度が高い。
本発明の絶縁性基板は、1層以上の繊維基材層及び2層以上の樹脂層を含み、両面の最外層が樹脂層である積層体の硬化物からなる絶縁性基板であって、
前記絶縁性基板に含まれる前記繊維基材層を一面側から順にCx(xは1〜nで表される整数であり、nは繊維基材層の数である。)とし、
前記絶縁性基板の全体厚み(B3)を前記繊維基材層の数(n)で均等に分割し、分割した各領域の厚み(B4)をさらに均等に2分割する位置を繊維基材層の基準位置とし、当該各々の基準位置を一面側から順にAx(xは1〜nで表される整数であり、nは繊維基材層の数である。)としたときに、
前記繊維基材層のうち少なくとも1つが、対応する順位の基準位置よりも一面側又は他面側に偏在し、異なる方向に偏在しているものがないことを特徴とする。
基準位置=(全体厚み(B3)÷繊維基材層の数(n))×(繊維基材層の順位を表す整数(Cx)−0.5)
で算出される高さの位置である。
なお、本発明の絶縁性基板が複数の繊維基材層を有する場合は、少なくとも1つの繊維基材層が対応する順位の基準位置よりも一面側又は他面側に偏在していれば、その他の繊維基材層は対応する順位の基準位置上に設けられていても良い。
本発明の絶縁性基板は、この性質を利用して、繊維基材層の位置を調整することにより、絶縁性基板の反りを制御することができる。
図1は、本発明の絶縁性基板の一例として、1層の繊維基材層と2層の樹脂層からなるものの断面を模式的に示した図である。図1Aに示す絶縁性基板111は、一面側から樹脂層r1、繊維基材層C1、樹脂層r2の順に積層した層構成を有する。繊維基材層C1は、対応する順位の基準位置A1−A1線よりも一面側(樹脂層r1側)の方向に偏在する。絶縁性基板111は、繊維基材層を1層しか有しないので、全体厚みB3を繊維基材層の数で均等に分割した各領域の厚みB4は、全体厚みB3と同じ厚みである。
図1Aに示す絶縁性基板111は、製造過程において加熱加圧成形後冷却される時に、樹脂層が繊維基材層よりも大きく収縮するため、常温では、図1Bに示すように、繊維基材層C1が偏在する方向を外側にして反る性質がある。
図2Aに示す絶縁性基板112は、製造過程において加熱加圧成形後冷却される時に、樹脂層が繊維基材層よりも大きく収縮するため、常温では、図2Bに示すように、繊維基材層C1が偏在する方向を外側にして反る性質がある。
本発明の絶縁性基板は、図2Aに示す樹脂層r2、r3や、後述する図3Aに示す樹脂層r2、r3のように、複数の樹脂層が積層してなる部分を含んでいても良い。本発明において複数の樹脂層が積層するとは、絶縁性基板を硬化させる前の製造段階において複数の樹脂層を積層することを意味し、硬化後の絶縁性基板断面においては、複数の樹脂層の境界面を確認できなくても良い。
図3Aに示す絶縁性基板113は、製造過程において加熱加圧成形後冷却される時に、樹脂層が繊維基材層よりも大きく収縮するため、常温では、図3Bに示すように繊維基材層C1及びC2が偏在する方向を外側にして反る性質がある。
図4Aに示す絶縁性基板114は、製造過程において加熱加圧成形後冷却される時に、樹脂層が繊維基材層よりも大きく収縮するため、常温では、図4Bに示すように繊維基材層C2が偏在する方向を外側にして反る性質がある。
図5Aに示す絶縁性基板115は、製造過程において加熱加圧成形後冷却される時に、樹脂層が繊維基材層よりも大きく収縮するため、常温では、図5Bに示すように繊維基材層C1が偏在する方向を外側にして反る性質がある。
図6Aに示す絶縁性基板116は、製造過程において加熱加圧成形後冷却される時に、樹脂層が繊維基材層よりも大きく収縮するため、常温では、図6Bに示すように繊維基材層C1及びC3が偏在する方向を外側にして反る性質がある。
なお、本発明において「樹脂充填領域」とは、繊維基材層の界面から隣の繊維基材層又は空気層までの界面までの距離を意味する。前記樹脂充填領域は、1層の樹脂層からなるものでも良いし、複数の樹脂層が積層してなるものであっても良い。また、本発明において「界面」とは、樹脂層と繊維基材層又は空気層との境界となる面の凹凸を平均化した平坦な面を意味する。
図1A、図2A、図3A、図4A、図5A及び図6Aに示す各絶縁性基板に、それぞれ偏在する繊維基材層を基準としたときのB5及びB6を示す。なお、図3Aに示す絶縁性基板113と図6Aに示す絶縁性基板116は、2つの繊維基材層が偏在するため、偏在する繊維基材層各々を基準としたB5及びB6を示す。
なお、本発明の絶縁性基板は、B5/B6が1以上となる場合があるが、これは、例えば図4Aに示す絶縁性基板114の場合や、図6Aに示す絶縁性基板116において繊維基材層C3を基準とした場合等が挙げられる。
本発明の絶縁性基板は、B5/B6が前記下限値未満の場合は、繊維基材層が極端に偏在することになるため、絶縁性基板の反りが大きくなりすぎることがある。一方、B5/B6が前記上限値を超える場合は、繊維基材層間の距離が大きすぎて、反りの制御が困難となることがある。よって、B5/B6が前記範囲内であると、繊維基材層がバランス良く配置されるため、絶縁性基板の反りの制御が容易になる。
図1A、図2A、図4A、図5A及び図6Aに示す各絶縁性基板に、それぞれ偏在する繊維基材層を基準としたときのB7及びB8を示す。なお、図3Aに示す絶縁性基板113のように、厚みB4の領域内に1つも繊維基材層が存在しない場合や複数の繊維基材層が存在する場合は、B7及びB8を特定することができない。図1Aに示す絶縁性基板111や図2Aに示す絶縁性基板112のように、繊維基材層を1層しか有しない絶縁性基板の場合は、B7及びB8は、それぞれ上述したB5及びB6と同じ値になる。
同様の観点から、前記複数の繊維基材層のうち最も一面側に位置するものが、対応する順位の基準位置よりも前記一面側に偏在して配置され、且つ、最も他面側に位置するものが、対応する順位の基準位置よりも前記一面側に配置されていることが特に好ましい。
また、本発明に用いられる絶縁性基板は、繊維基材層の一面側にある樹脂層と、他面側にある樹脂層とが異なる硬化性樹脂組成物で形成されていても良い。複数の樹脂層が隣接して積層する場合は、樹脂層同士の接着性に影響がない範囲で、隣り合う樹脂層は互いに異なる硬化性樹脂組成物で形成されていても良い。また、繊維基材層は、一面側の樹脂層又は他面側の樹脂層のいずれかを形成する硬化性樹脂組成物が含浸しているか、或いは、一面側の樹脂層を形成する樹脂が含浸し、他面側の樹脂層を形成する樹脂が含浸し、繊維基材の内部で2種類の樹脂が接触または混合していてもよい。
前記エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、実質的にハロゲン原子を含まないエポキシ樹脂であり、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールZ型エポキシ樹脂(4,4’−シクロヘキシジエンビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールP型エポキシ樹脂(4,4’−(1,4−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)、ビスフェノールM型エポキシ樹脂(4,4’−(1,3−フェニレンジイソプリジエン)ビスフェノール型エポキシ樹脂)等のビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、キシリレン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂、トリスフェノールメタンノボラック型エポキシ樹脂、1,1,2,2−(テトラフェノール)エタンのグリシジルエーテル類、3官能、又は4官能のグリシジルアミン類、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂等のアリールアルキレン型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、メトキシナフタレン変性クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、メトキシナフタレンジメチレン型エポキシ樹脂、ナフトールアルキレン型エポキシ樹脂等のナフタレン型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、フェノキシ型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ノルボルネン型エポキシ樹脂、アダマンタン型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、上記エポキシ樹脂をハロゲン化した難燃化エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中の1種類を単独で用いることもできるし、異なる重量平均分子量を有する2種類以上を併用することもでき、1種類又は2種類以上と、それらのプレポリマーを併用することもできる。
ビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂とは、繰返し単位中に一つ以上のビフェニルアルキレン基を有するエポキシ樹脂をいう。例えばキシリレン型エポキシ樹脂、ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂等が挙げられる。ビフェニルジメチレン型エポキシ樹脂は、例えば、下記式(I)で示すことができる。
また、エポキシ樹脂の含有量は特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物の固形分基準で1〜65重量%が好ましい。
前記プレポリマーは、通常、前記シアネート樹脂を加熱反応等により、例えば3量化することで得られるものであり、ワニスの成形性、流動性を調整するために好ましく使用されるものである。
前記プレポリマーは、特に限定されないが、例えば、3量化率が20〜50重量%のプレポリマーを用いた場合、良好な成形性、流動性を発現できる。
前記シアネート樹脂の含有量は、特に限定されないが、熱硬化性樹脂組成物全体の固形
分基準で5〜42重量%が好ましい。
熱硬化性樹脂組成物に含ませる硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)トリスアセチルアセトナートコバルト(III)等の有機金属塩、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタン等の3級アミン類、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−エチル−4−エチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシイミダゾール、2,3−ジヒドロ−1H−ピロロ(1,2−a)ベンズイミダゾール等のイミダゾール類、フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノール等のフェノール化合物、酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸等の有機酸等、またはそれらの混合物が挙げられる。
硬化剤の量は、特に限定されないが、有機金属塩、イミダゾール類を用いる場合は、熱硬化性樹脂組成物全体の固形分基準で0.05〜4重量%であることが好ましい。また、フェノール化合物、有機酸を用いる場合は、熱硬化性樹脂組成物全体の固形分基準で3〜40重量%であることが好ましい。
充填材の含有量は、特に限定されないが、前記熱硬化性樹脂組成物全体の固形分基準で20〜80重量%が好ましい。
本発明の絶縁性基板は、前記繊維基材及び前記硬化性樹脂組成物を用いて、1層以上の繊維基材層及び2層以上の樹脂層を含み、両面の最外層が樹脂層であり、少なくとも1つの繊維基材層が、対応する順位の基準位置よりも一面側又は他面側に偏在し、異なる方向に偏在しているものがないような層構成の積層体を形成し、当該積層体を加熱加圧成形して硬化させることにより得ることができる。なお、加熱加圧成形前の前記積層体が有する硬化性樹脂組成物は、Bステージ状態である。この加熱加圧成形前の積層体を、以下、単に「積層体」と称することがある。
プリプレグとは一般に、繊維基材等の含浸性基材に熱硬化性樹脂等を含む樹脂組成物を含浸させ、さらに必要に応じて当該基材の片面または両面に含浸できなかった過剰分の樹脂組成物が担持されてなる樹脂層を形成し、Bステージ状態に硬化又は乾燥させたものである。
前記積層体を得るために用いるプリプレグとしては、非対称プリプレグ及び対称プリプレグがある。本発明において、非対称プリプレグとは、基材層の一面側に設けられた樹脂層と、他面側に設けられた樹脂層の厚みが異なるプリプレグのことを意味する。即ち、非対称プリプレグとは、プリプレグの厚さ方向に対して基材層が偏在しているプリプレグのことである。
一方、対称プリプレグとは、基材層の両面に設けられた樹脂層の厚さが互いに等しいプリプレグのことを意味する。また、本発明において、基材層から厚さ方向にはみ出した樹脂層がほとんど無いプリプレグも対称プリプレグとする。
前記硬化性樹脂組成物のワニスを得るための溶剤としては、少なくとも前記熱硬化性樹脂組成物に対して良好な溶解性、分散性を示すことが望ましいが、悪影響を及ぼさない範囲で貧溶媒を使用してもよい。具体的には、アルコール類、エーテル類、アセタール類、ケトン類、エステル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテルアルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類、及びエステルエーテル類等の有機溶剤を用いることができる。良好な溶解性を示す溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。
前記ワニスの固形分(不揮発分)濃度は、特に限定されないが、通常は30〜80重量%程度とする。
非対称プリプレグにおいて、比較的薄い樹脂層を第1樹脂層と称し、比較的厚い樹脂層を第2樹脂層と称する。また、前記第1樹脂層を形成するために用いる硬化性樹脂組成物を第1樹脂組成物と称し、前記第2樹脂層を形成するために用いる硬化性樹脂組成物を第2樹脂組成物と称する。
非対称プリプレグは、両面の樹脂層の厚みが異なるため、繊維基材をワニス中に浸漬させる単純な方法で作製することは難しい。
図7に非対称プリプレグを得る方法の一例を示す。この方法では、先ず、図7Aに示すように、第1樹脂組成物のワニスをキャリアフィルム2’(film)に塗工した第1キャリア材料2’、および第2樹脂組成物のワニスをキャリアフィルム3’(film)に塗工した第2キャリア材料3’を製造する。また、繊維基材1’を準備する。次に、図7Bに示すように、これら第1及び第2キャリア材料を、それらのワニス塗工層2’(layer)、3’(layer)が繊維基材1’と向き合うように、当該繊維基材1’に重ねてラミネートすることにより、非対称プリプレグ101の第1樹脂層2側表面および第2樹脂層3側表面にキャリアフィルム2’(film)、3’(film)がそれぞれ積層されたキャリアフィルム付き非対称プリプレグ102が得られる。非対称プリプレグ101の繊維基材層1は、非対称プリプレグの厚みを2分割したA−A線よりも第1樹脂層2側に偏在している。
キャリアフィルムは、非対称プリプレグが得られた後、必要に応じて剥離等の方法で除去してもよい。例えば、非対称プリプレグを含む2枚以上のプリプレグをラミネート成形する段階で、プリプレグ積層体の最表面に位置するキャリアフィルム以外のキャリアフィルムを全てのプリプレグから予め除去した後で、それらプリプレグを重ね合わせる。
前記金属箔としては、例えば、銅箔、アルミ箔等の金属箔、支持体上に銅メッキ処理を行って形成した銅薄膜等が挙げられる。
前記樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、シリコーンシート等の離型紙、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂等の耐熱性を有した熱可塑性樹脂フィルム等が挙げられる。これらの中でも、ポリエステルで構成されるフィルムが最も好ましい。これにより、樹脂層から適度な強度で剥離することが容易となる。
前記加熱処理する他の方法は、例えば赤外線加熱装置、加熱ロール装置、平板状の熱盤プレス装置等を用いて実施することができる。
(1)繊維基材1’の片面に、第1樹脂層2となる第1樹脂組成物のワニスを含浸、乾燥させ、その上にキャリアフィルム2’(film)を重ね合わせ、さらに、繊維基材1’のもう一方の片面に、第2樹脂層3となる第2樹脂組成物のワニスを含浸、乾燥させ、その上にキャリアフィルム3’(film)を重ね合わせて、加熱、加圧する方法。
(2)繊維基材1’の一面側に、第1樹脂組成物のワニスを塗布、含浸、乾燥して第1樹脂層2を形成し、当該繊維基材1’の他面に第2樹脂組成物のワニスをロールコーター、コンマコーター等にて塗布、乾燥して第2樹脂層3を形成し、第1及び第2樹脂層をBステージ化し、このBステージ化した第1及び第2樹脂層2、3の表面にそれぞれキャリアフィルム2’(film)、3’(film)を重ね合わせて、加熱、加圧下にラミネートする方法。
(3)繊維基材1’に、第1樹脂組成物のワニスを塗布、含浸、乾燥して第1樹脂層2を形成し、次いで当該第1樹脂層の表面にキャリアフィルム2’(film)を重ね合わせる。更に、第2樹脂組成物のワニスをキャリアフィルム3’(film)に塗工した第2キャリア材料3’を別途製造し、当該第2キャリア材料3’を、その第2樹脂層3’(layer)が繊維基材1’の第1樹脂層2を設けたのとは反対側の面に向き合うように重ね合わせて加熱、加圧下にラミネートする方法。
(4)繊維基材1’の一方の面に第1樹脂組成物のワニス、他方の面に第2樹脂組成物のワニスをそれぞれダイコーターで塗布、含浸、乾燥して、それぞれ第1樹脂層2、第2樹脂層3を形成する方法。この時、予め繊維基材1’に第1樹脂組成物または第2樹脂組成物を含浸させ、その後一方の面に第1樹脂組成物のワニス、他方の面に第2樹脂組成物をそれぞれダイコーターで塗布、乾燥しても構わない。
一方、対称プリプレグは、非対称プリプレグとは異なり両面の樹脂層の厚みが等しいので、一般的な含浸の手法、例えばガラスクロスをワニスに浸漬する方法、各種コーターによる塗布する方法、スプレーによる吹き付ける方法等を採用することができ、適当な手法により樹脂組成物を含浸させた基材を、例えば90〜220℃の温度で1〜10分乾燥させることにより、Bステージ状態の対称プリプレグが得られる。
また、対称プリプレグは、上述した非対称プリプレグの製造方法と同様の方法で、繊維基材層の両面に設ける樹脂層の厚みが互いに等しくなるように調整することにより得ることもできる。
以下、上記(a)〜(c)の各方法について詳細に説明する。なお、通常は、加熱加圧成形前の積層体が有する各繊維基材層及び各樹脂層の厚みは、加熱加圧成形後もあまり変わらないため、前記積層体においても、繊維基材層を一面側から順にCx(xは1〜nで表される整数であり、nは繊維基材層の数である。)とし、積層体の全体厚み(B3)を繊維基材層の数(n)で均等に分割し、分割した各領域の厚み(B4)をさらに均等に2分割する位置を繊維基材層の基準位置とし、当該各々の基準位置を一面側から順にAx(xは1〜nで表される整数であり、nは繊維基材層の数である。)とする。
非対称プリプレグは上述した通り、繊維基材層の両面に樹脂層を有し、プリプレグの厚さ方向に対して繊維基材層が偏在している。従って、1枚の非対称プリプレグを、絶縁性基板を得るための積層体として用いることができる。1枚の非対称プリプレグを加熱加圧成形して硬化させることにより、図1に示すような絶縁性基板を得ることができる。
また、非対称プリプレグと対称プリプレグを組み合わせて積層することによっても前記積層体を得ることができる。
例えば、まず、図8Aに示すように、1枚の非対称プリプレグ101と2枚の対称プリプレグ103を準備する。非対称プリプレグ101は、繊維基材層1の一面側に第1樹脂層2(薄い樹脂層)、他面側に第2樹脂層3(厚い樹脂層)を有し、対称プリプレグ103は、繊維基材層1の両面に同じ厚さの樹脂層4を有する。これらのプリプレグを、一面側から非対称プリプレグ101、対称プリプレグ103、103の順に配し、薄い第一樹脂層2が一面側の最外層になるように非対称プリプレグ101は配向される。次に、図8Bに示すように、これらのプリプレグを重ね合わせてラミネートすることで、積層体121を得ることができる。積層体121が有する繊維基材層C1は、対応する順位の基準位置A1−A1線よりも一面側の方向に偏在する。得られた積層体121を加熱加圧成形して硬化させると、図5Aに示すような絶縁性基板を得ることができる。
その他の例としては、まず、図9Aに示すように、一面側から非対称プリプレグ101、対称プリプレグ103、非対称プリプレグ101を順に配する。次に、図9Bに示すように、これらのプリプレグを重ね合わせてラミネートすると、積層体122が得られる。積層体122が有する繊維基材層C1、C3が、それぞれ対応する順位の基準位置A1−A1線、A3−A3線よりも一面側の方向に偏在するように、前記2つの非対称プリプレグ101、101は配向される。得られた積層体122を加熱加圧成形して硬化させると、図6Aに示すような絶縁性基板を得ることができる。
また、図示はしないが、複数の非対称プリプレグを積層することによって本発明で用いられる積層体を得ることもできる。
複数の非対称プリプレグを用いるときは、非対称プリプレグの繊維基材層が同じ方向に偏在するように積層する。
(a)の方法で用いられるプリプレグの厚みは、特に限定されず、得られる積層体の少なくとも1つの繊維基材層が対応する順位の基準位置よりも一面側又は他面側に偏在し、異なる方向に偏在するものがないように、適宜調整することができる。
本発明に用いる積層体を得る他の方法として、対称プリプレグの片面にさらに樹脂層を積層する方法がある。対称プリプレグの片面に樹脂層を積層させる方法としては、特に限定されないが、例えば、上述した硬化性樹脂組成物のワニスを塗布、乾燥させる方法や、樹脂シートを重ね合わせて、加熱、加圧する方法等が挙げられる。前記樹脂シートとは、上述した硬化性樹脂組成物をBステージ状態とした樹脂層を含むシートである。前記樹脂シートとしては、Bステージ状態の樹脂層の片面又は両面にキャリアフィルムが積層されてなるものを用いることもでき、このようなキャリアフィルムを有する樹脂シートを用いる場合は、対称プリプレグ上に積層する際に、当該対称プリプレグの樹脂層と接する面側のキャリアフィルムは除去してから積層する。
樹脂シートが有するキャリアフィルムとしては、前記非対称プリプレグの作製に用いられるキャリアフィルムと同様のものを用いることができる。また、樹脂シートが有する樹脂層は、前記硬化性樹脂組成物をBステージ状態にしたものからなる。
なお、JIS−K6900での定義では、シートとは薄く一般にその厚さが長さと幅のわりには小さい平らな製品をいい、フィルムとは長さ及び幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通例、ロールの形で供給されるものをいう。したがって、シートの中でも厚さの特に薄いものがフィルムであるといえるが、シートとフィルムの境界は定かではなく、明確に区別しにくいので、本発明では、厚みの厚いもの及び薄いものの両方の意味を含めて、「シート」と定義する。
また、対称プリプレグの片面にさらに樹脂層を積層した積層体を複数枚作製し、作製した複数枚の積層体を重ね合わせてラミネートすることによっても本発明に用いる積層体を得ることができる。このとき、異なる方向に偏在する繊維基材層がないように、前記複数の積層体を積層する。
(b)の方法で用いられるプリプレグ及び樹脂シートの厚みは、特に限定されず、得られる積層体の少なくとも1つの繊維基材層が対応する順位の基準位置よりも一面側又は他面側に偏在し、異なる方向に偏在するものがないように、適宜調整することができる。
本発明に用いる積層体は、厚みの異なるプリプレグを組み合わせて積層することによっても得ることができる。例えば、厚みの異なる対称プリプレグを組み合わせて積層する方法を図11に示す。まず図11Aに示すように、比較的薄い対称プリプレグ103’と比較的厚い対称プリプレグ103’’を準備し、一面側から薄い対称プリプレグ103’と厚い対称プリプレグ103’’を順に配する。これらの対称プリプレグ103’、103’’を重ね合わせてラミネートすることによって、図11Bに示す積層体124を得ることができる。得られた積層体124が有する繊維基材層C1及びC2がそれぞれ対応する順位の基準位置A1−A1線及びA2−A2線よりも一面側に偏在するように、薄い対称プリプレグ103’及び厚い対称プリプレグ103’’は配向される。なお、積層体124には、厚みB4の各領域内にそれぞれ1つの繊維基材層が存在する。
(c)の方法で用いられるプリプレグとしては、得られる積層体の少なくとも1つの繊維基材層が対応する順位の基準位置よりも一面側又は他面側に偏在し、異なる方向に偏在するものがなければ、図11に示すように対称プリプレグに限らず、非対称プリプレグを用いることができ、その厚みも特に限定されず、適宜調整することができる。
なお、この方法によって本発明で用いる積層体を作製する場合、さらに積層する樹脂層の厚みは、当該積層体が有する少なくとも1つの繊維基材層が対応する順位の基準位置よりも一面側又は他面側に偏在に偏在し、且つ、異なる方向に偏在している繊維基材層がないように適宜調整する。
前記積層体において、複数の樹脂層が隣接して配される場合は、樹脂層同士の接着性に影響がない範囲で、隣り合う樹脂層は互いに異なる硬化性樹脂組成物からなるものであっても良い。
本発明の金属張積層板は、上記本発明の絶縁性基板の少なくとも一面側に金属箔層が設けられていることを特徴とするものである。
本発明の金属張積層板は、例えば、本発明の絶縁性基板の製造に用いられる前記積層体の少なくとも一面側の最外層樹脂層上に、さらに金属箔を積層し、通常は120〜230℃、1〜5MPaで加熱加圧成形することによって得られる。
なお、前記積層体の最外層に金属箔以外のキャリアフィルムが積層されている場合は、当該キャリアフィルムを除去し、露出した樹脂層上に金属箔を積層することができる。一方、少なくとも一面側の最外層にキャリアフィルムとして金属箔が積層された積層体を用いる場合は、当該金属箔は除去せずに積層させたまま加熱加圧成形することにより、本発明の金属張積層板を得ることができる。
本発明のプリント配線板は、上記本発明の絶縁性基板の少なくとも一面に、1層又は2層以上の導体回路層を設けたものである。
上記絶縁性基板又は金属張積層板をコア基板として用い、その片面又は両面に、サブトラクティブ法、アディティブ法、セミアディティブ法等の公知の方法により導体回路を形成し、両面の導通を取ることにより、プリント配線板が得られる。通常は、コア基板に形成した内層回路上に層間絶縁層と導体回路層をビルドアップして、導体回路層間の導通を取り、最外層回路をその端子部のみ露出させてソルダーレジストで被覆することにより、多層プリント配線板とする。
ビルドアップの層間絶縁層としては、熱硬化性樹脂組成物のシート又はプリプレグを用いることができる。層間絶縁層上に導体回路層を形成する方法としては、セミアディティブ法が好適である。コア基板の両面あるいは各導体回路層の間の導通は、ドリル又はレーザーにより孔あけ加工を行い、孔の内部をメッキするか又は導電性材料で充填することにより形成できる。
これに対し本発明においては、コア基板の絶縁性部分である絶縁性基板が、上述したように、1層以上の繊維基材層及び2層以上の樹脂層を含み、両面の最外層が樹脂層である積層体の硬化物からなり、少なくとも1つの繊維基材層が、対応する順位の基準位置よりも一面側又は他面側に偏在し、異なる方向に偏在しているものがないことによって、当該絶縁性基板及びこの絶縁性基板を用いたプリント配線板が、繊維基材層が偏在している方向を外側にして反るか又は平坦に成形され、反りの方向や程度を制御できる。
本発明の半導体装置は、上記本発明のプリント配線板の導体回路層上に半導体素子を搭載してなるものである。
一般的に、プリント配線板の熱収縮率は半導体素子の熱収縮率よりも大きいため、プリント配線板の一面に半導体素子を搭載すると、半導体素子搭載面側を外側にして反る、いわゆるマイナス反りが発生しやすい。
また、本発明のプリント配線板は、コア層に含まれる繊維基材層が偏在する方向を外側にして反る性質を有する。
従って、半導体装置のマイナス反りを軽減又は防止できる観点から、本発明の半導体装置は、前記プリント配線板に含まれる絶縁性基板において繊維基材層が偏在する方向の面とは反対側の面に設けられた導体回路層上に半導体素子が搭載されていることが好ましい。
同様の観点から、前記プリント配線板に含まれる絶縁性基板が有する繊維基材層のうち、最も一面側に位置する繊維基材層が対応する順位の基準位置よりも前記一面側に偏在して配置され、前記半導体素子が、繊維基材層が偏在する方向の面とは反対側の面に設けられた導体回路層上に半導体素子が搭載されていることが特に好ましい。
ダイアタッチ材としては、例えば(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の熱可塑性樹脂を含有する熱可塑性樹脂組成物からなるダイアタッチ材フィルムや、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を含有する熱硬化性樹脂組成物からなるダイアタッチ材ペーストが用いられる。
通常、半導体素子を固定と同時に、又は固定した後、半導体素子とプリント配線板を半田ボール、ワイヤボンディング等の公知の方法で電気的接続する。
電気的接続の後、素子搭載面は必要に応じて公知の方法で封止してもよい。封止材は、特に限定されないが、従来から知られている半導体封止用エポキシ樹脂組成物が好適に用いられる。半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、硬化促進剤、その他必要に応じて着色剤、離型剤、低応力成分、酸化防止剤等の添加剤を含有し、これらの材料を混練し、顆粒状又はシート乃至フィルム状に成形したものを封止材として用いることができ、例えば、特開2008−303367号公報の記載を参考にして調製できる。
また、別の方法としては、プリント配線板に半田バンプを有する半導体素子を実装し、半田バンプを介して、前記プリント配線板と半導体素子とを接続する。そして、プリント配線板と半導体素子との間には液状封止樹脂(アンダーフィル)を充填し、半導体装置を製造する。
半田バンプは、錫、鉛、銀、銅、ビスマスなどからなる合金で構成されることが好ましい。半導体素子とプリント配線板との接続方法は、フリップチップボンダーなどを用いてプリント配線板上の接続用電極部と半導体素子の半田バンプとの位置合わせを行ったあと、IRリフロー装置、熱板、その他加熱装置を用いて半田バンプを融点以上に加熱し、プリント配線板と半田バンプとを溶融接合することにより接続する。なお、接続信頼性を良くするため、予めプリント配線板上の接続用電極部に半田ペースト等の比較的融点の低い金属の層を形成しておいても良い。この接合工程に先んじて、半田バンプ、及び/またはプリント配線板上の接続用電極部の表層にフラックスを塗布することで接続信頼性を向上させることもできる。
図12において半導体装置131は、プリント配線板7に含まれる繊維基材層C1が偏在する方向の面とは反対側の面に半導体素子8を搭載してなる。
半導体装置131のプリント配線板7は、半導体装置131のコア層5の両面に多層化された導体回路層が設けられている。半導体装置131のコア層5は、図1に示す絶縁性基板111と同じ層構成であり、一面側から樹脂層r1、繊維基材層C1、樹脂層r2の順に積層し、繊維基材層C1が対応する順位の基準位置A1−A1線よりも樹脂層r1側に偏在するように配向してなる。
導体回路層の部分は、プリント配線板の両面ともに内層回路9、層間絶縁層10、外層回路11の順にビルドアップされてなり、導体回路層の内層回路9と外層回路10の間はビアホール12を通じて導通され、コア基板両面の回路の間はスルーホール13を通じて導通され、両面の外層回路11はいずれも端子部を除きソルダーレジスト14で被覆されている。
プリント配線板の熱収縮率は半導体素子の熱収縮率よりも大きく、半導体装置はいわゆるマイナス反りが発生しやすい。これに対し、半導体装置131に用いられたプリント配線板7は、そのコア層5として図1に示す絶縁性基板111を有し、繊維基材層C1が偏在する方向の面を外側にして反る性質があるため、半導体素子搭載面との関係では、いわゆるプラス反りの力を発生させる。
従って、プリント配線板7が半導体素子搭載時のマイナス反りを軽減し、半導体装置131に優れた平坦性を付与することができる。
図13において半導体装置132は、プリント配線板7に含まれる繊維基材層C1が偏在する方向の面とは反対側の面に半導体素子8を搭載してなる。
半導体装置132のプリント配線板7は、コア層5の両面に多層化された導体回路層が設けられている。半導体装置132のコア層5は、図5に示す絶縁性基板115と同じ層構成であり、一面側から樹脂層r1、繊維基材層C1、樹脂層r2、r3、繊維基材層C2、樹脂層r4、r5、繊維基材層C3、樹脂層r6の順に積層し、3層の繊維基材層のうち、一面側の外側に設けられた繊維基材層C1は対応する順位の基準位置A1−A1線よりも樹脂層r1側に偏在し、繊維基材層C2及びC3はそれぞれ対応する順位の基準位置上に存在するように配向してなる。
導体回路層の部分は、プリント配線板の両面ともに導体回路層17と層間絶縁層18が交互にビルドアップされてなり、各導体回路層の間はビアホール12を通じて導通され、コア基板両面の回路の間はスルーホール13を通じて導通され、両面の外層回路はいずれも端子部を除きソルダーレジスト14で被覆されている。
半導体装置132に用いられたプリント配線板7は、そのコア層5として図5に示す絶縁性基板115を有し、コア層5の繊維基材層C1が偏在する方向の面を外側にして反る性質があるため、半導体素子搭載面との関係では、いわゆるプラス反りの力を発生させる。
従って、プリント配線板7が半導体素子搭載時のマイナス反りを軽減し、半導体装置132に優れた平坦性を付与することができる。
図14において半導体装置133は、プリント配線板7に含まれる繊維基材層C1及びC3が偏在する方向の面とは反対側の面に半導体素子8を搭載してなる。
半導体装置133のプリント配線板7は、コア層5の両面に多層化された導体回路層が設けられている。半導体装置133のコア層5は、図6に示す絶縁性基板116と同じ層構成であり、一面側から樹脂層r1、繊維基材層C1、樹脂層r2、r3、繊維基材層C2、樹脂層r4、r5、繊維基材層C3、樹脂層r6の順に積層し、3層の繊維基材層のうち、一面側の外側に設けられた繊維基材層C1は対応する順位の基準位置A1−A1線よりも樹脂層r1側に偏在するように配向してなり、他面側の外側に設けられた繊維基材層C3は対応する順位の基準位置A3−A3線よりも樹脂層r5側に偏在するように配向してなり、即ち繊維基材層C1及びC3は同じ方向に偏在している。繊維基材層C2は対応する順位の基準位置A2−A2線上に存在する。
導体回路層の部分は上記半導体装置132と同様にビルドアップされ、半導体素子8がプリント配線板7に含まれる繊維基材層C1及びC3が偏在する方向の面とは反対側の面に搭載されている。
半導体装置133に用いられたプリント配線板7は、そのコア層5として図6に示す絶縁性基板116を有し、繊維基材層C1及びC3が偏在する方向の面を外側にして反る性質があるため、半導体素子搭載面との関係では、いわゆるプラス反りの力を発生させる。
従って、プリント配線板7が半導体素子搭載時のマイナス反りを軽減し、半導体装置133に優れた平坦性を付与することができる。
その結果、当該プリント配線板に半導体素子を搭載した時にマイナス反りが軽減され又は完全に防止され、特に良好に制御できる場合にはプラス反りもマイナス反りも全くない平坦な半導体装置が得られる。
平坦性に優れた半導体装置は、マザーボードに二次接続する際に位置合わせ精度が高いので、接続不良の防止、接続信頼性の向上を図ることができる。
また本発明は、半導体装置の反りを制御するために導体回路層の数や回路パターンなどの回路設計を制約しないため、設計の自由度が高い。
ここで、多面取りプリント配線板とは、複数のプリント配線板が面方向に連続するように一体成形されたものであり、そのような多面取りプリント配線板の上に複数の半導体素子を搭載し、素子搭載面を一括封止した後、ダイシング等の個片化を行うことによって半導体装置を大量生産することができる。
多面取りプリント配線板は大面積であり、その上に多数の半導体素子を二次元並列的に搭載すると、著しいマイナス反りが発生し、ダイシング等の個片化を正確に行うことが困難になる場合がある。
このような多面取りプリント配線板のコア基板として、本発明の絶縁性基板又は金属張積層板を用いることによって、多面取りプリント配線板のマイナス反りが軽減され又は完全に防止され、優れた平坦性を有する一括封止基板が得られる。
まず、プリプレグの製造について説明する。得られたプリプレグ1〜11が有する各層の厚みを表1に示す。なお、表1〜3に記載のP1〜P11とはプリプレグ1〜プリプレグ11を意味し、表1に記載のユニチカとはユニチカグラスファイバー株式会社を意味する。
1.熱硬化性樹脂組成物のワニスの調製
エポキシ樹脂としてビフェニルアラルキル型ノボラックエポキシ樹脂(日本化薬社製、NC−3000)11.0重量部、硬化剤としてビフェニルジメチレン型フェノール樹脂(日本化薬株式会社製、GPH−103)8.8重量部、ノボラック型シアネート樹脂(ロンザジャパン株式会社製、プリマセットPT−30)20.0重量部、をメチルエチルケトンに溶解、分散させた。さらに、無機充填材として球状溶融シリカ(アドマテックス社製、「SO−25R」、平均粒径0.5μm)60.0重量部とカップリング剤(日本ユニカー社製、A187)0.2重量部を添加して、高速攪拌装置を用いて30分間攪拌して、不揮発分50重量%となるように調整し、熱硬化性樹脂組成物のワニス(樹脂ワニス)を調製した。
前記樹脂ワニスをPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート、帝人デュポンフィルム株式会社製ピューレックスフィルム、厚さ36μm)上に、ダイコーター装置を用いて乾燥後の樹脂層の厚さが10.0μmとなるように塗工し、これを160℃の乾燥装置で5分間乾燥して、第1樹脂層用のPETフィルム付き樹脂シートを得た。
また、前記樹脂ワニスをPETフィルム上に同様に塗工し、乾燥後の樹脂層の厚さが16.0μmになるように、160℃の乾燥機で5分間乾燥して、第2樹脂層用のPETフィルム付き樹脂シートを得た。
前記第1樹脂層用のPETフィルム付き樹脂シート、および第2樹脂層用のPETフィルム付き樹脂シートをガラス繊維基材(厚さ28μm、日東紡社製Eガラス織布、WEA1035−53−X133、IPC規格1035)の両面に樹脂層が繊維基材と向き合うように配し、圧力0.5MPa、温度140℃で1分間の条件で真空プレスにより加熱加圧して、熱硬化性樹脂組成物を含浸させ、キャリアフィルムが積層されたプリプレグ1を得た。プリプレグ1は、第1樹脂層の厚みが3μm、繊維基材層厚みが28μm、第2樹脂層厚みが9μmで、総厚40μmの非対称プリプレグであった。
プリプレグ2〜6は、第一樹脂層の厚み、第二樹脂層の厚み、及び用いた繊維基材を表1のように変えたこと以外は、プリプレグ1と同様にして製造した。なお、プリプレグ2〜6も非対称プリプレグとなる。
前記で得られた樹脂ワニスをガラス繊維基材(厚さ28μm、日東紡社製Eガラス織布、WEA1035−53−X133、IPC規格1035)に含浸し、150℃の加熱炉で2分間乾燥して、プリプレグ7を得た。プリプレグ7は、繊維基材層が28μmであり、当該繊維基材層の両面には同じ厚さ(6μm)の樹脂層が設けられ、総厚みは40μmの対称プリプレグであった。
プリプレグ8〜11は、樹脂層の厚み及び用いた繊維基材を表1のように変えたこと以外は、プリプレグ7と同様にして製造した。なお、プリプレグ8〜11も対称プリプレグとなる。
1.金属張積層板の製造
プリプレグ1の両面に12μmの銅箔(三井金属鉱業株式会社製3EC−VLP箔)を重ね合わせ、220℃、3MPaで2時間加熱加圧成形することにより、金属張積層板を得た。得られた金属張積層板のコア層(絶縁性基板からなる部分)は、図1Aの絶縁性基板111と同様の層構成であり、一面側から樹脂層r1、繊維基材層C1、樹脂層r2の順に積層した層構成を有し、各層の厚みは、r1が3μm、C1が28μm、r2が9μmであり、前記コア層は、繊維基材層C1が基準位置よりも樹脂層r1側に偏在するものであった。また、コア層の全体厚み(B3)は、40μmであった。
前記コア層は、繊維基材層C1を基準としたときの一面側の樹脂充填領域の厚み(B5)がr1の厚みであり、他面側の樹脂充填領域の厚み(B6)がr2の厚みであるので、B5/B6は0.33であった。
また、前記コア層は繊維基材層が1層のみなので、全体厚み(B3)を繊維基材層数で均等に分割したB4の厚みは、B3と同じである。よって、繊維基材層C1が属するB4領域内においては、C1の一面側の距離(B7)は前記B5と同じであり、C1の他面側の距離(B8)は前記B6と同じである。従って、B7/B8もB5/B6と同様に0.33であった。
得られた金属張積層板をコア基板として用い、その両面に回路パターン形成(残銅率70%、L/S=50/50μm)した内層回路基板の表裏に、市販のプリプレグ(住友ベークライト株式会社製、6785GS−F、厚さ50μm)を重ね合わせ、更にその上下に12μmの銅箔を重ねて、圧力3MPa、温度220℃で2時間加熱加圧成形した。
これを脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅めっき皮膜を約0.5μm、めっきレジスト形成、無電解銅めっき皮膜を給電層とし、パターン電気めっき銅10μm形成させ、L/S=50/50μmの微細回路加工を施した。次に、熱風乾燥装置にて200℃で60分間アニール処理を行った後、フラッシュエッチングで給電層を除去し、4層プリント配線板を製造した。
半導体装置は、前記半導体装置用のプリント配線板上に、コア基板の繊維基材層が偏在する方向の面とは反対側の面が半導体素子側になるように、半田バンプを有する半導体素子(TEGチップ、サイズ8mm×8mm、厚み725μm)を、フリップチップボンダー装置により、加熱圧着により搭載し、次に、IRリフロー炉で半田バンプを溶融接合した後、液状封止樹脂(住友ベークライト株式会社製、CRP−4160A3)を充填し、当該液状封止樹脂を硬化させることで得た。尚、液状封止樹脂は、温度150℃、120分の条件で硬化させた。尚、前記半導体素子の半田バンプは、Sn/Pb組成の共晶で形成されたものを用いた。
実施例2ではプリプレグ2を用い、実施例3ではプリプレグ3を用い、実施例4ではプリプレグ5を用い、実施例5ではプリプレグ6を用いて、それぞれ金属張積層板を製造し、得られた金属張積層板をコア基板としたこと以外は、実施例2〜5は、実施例1と同様にプリント配線板及び半導体装置を製造した。実施例2〜5で用いたコア基板は、繊維基材層が基準位置よりも一面側に偏在するものであった。なお、コア基板の繊維基材層が偏在する方向の面とは反対側の面が半導体素子側になるように、半導体素子を半導体装置用のプリント配線板上に搭載した。
1.金属張積層板の製造
プリプレグ10、プリプレグ10、プリプレグ4の順で、プリプレグ4は第二樹脂層がプリプレグ10側になり、第一樹脂層が空気層側になるように、合計3枚のプリプレグを積層し、得られた積層体の両面に、12μmの銅箔(三井金属鉱業株式会社製3EC−VLP箔)を重ね合わせ、220℃、3MPaで2時間加熱加圧成形することにより、金属張積層板を得た。得られた金属張積層板のコア層(絶縁性基板からなる部分)は、図5Aの絶縁性基板115と同様の層構成であり、一面側から樹脂層r1、繊維基材層C1、樹脂層r2、r3、繊維基材層C2、樹脂層r4、r5、繊維基材層C3、樹脂層r6の順に積層した層構成を有し、各層の厚みは、C1〜C3がそれぞれ130μm、r1が1.0μm、r2とr3の合計厚みが4.0μm、r4とr5との合計厚みが3.4μm、r6が1.7μmであり、前記コア層は、繊維基材層C1が対応する順位の基準位置よりも樹脂層r1側に偏在し、繊維基材層C2及びC3は対応する順位の基準位置上に存在するものであった。また、コア層の全体厚み(B3)は、400μmであった。
前記コア層は、繊維基材層C1を基準としたとき、一面側の樹脂充填領域の厚み(B5)はr1の厚みであり、他面側の樹脂充填領域の厚み(B6)はr2とr3の合計厚みであるので、繊維基材層C1を基準としたときのB5/B6は0.25であった。
また、前記コア層は繊維基材層を3層有するので、当該全体厚み(B3)を繊維基材層の数で均等に分割したときの各領域の厚み(B4)は133.3μmであり、当該厚みB4の各領域内には、それぞれ1つの繊維基材層が存在していた。繊維基材層C1が属するB4領域内においては、C1の一面側の距離(B7)は樹脂層r1の厚みであり、C1の他面側の距離(B8)は、B4の厚み(133.3μm)から樹脂層r1の厚み(1.0μm)及び繊維基材層C1の厚み(130μm)を差し引いた厚み、即ち2.3μmであるので、繊維基材層C1を基準としたときのB7/B8は0.43であった。
得られた金属張積層板をコア基板として用い、その両面に回路パターン形成(残銅率70%、L/S=50/50μm)した内層回路基板の表裏に、市販のPETフィルム付き樹脂シート(味の素ファインテクノ株式会社製、ABF−GX−13、厚さ40μm)を重ね合わせ、これを、真空加圧式ラミネーター装置を用いて、温度150℃、圧力1MPa、時間120秒で真空加熱加圧成形し、その後、熱風乾燥装置にて220℃で60分間加熱硬化を行い、PETフィルムを剥離し、次いで炭酸レーザーによりブラインドビアホール(非貫通孔)を形成した。次にビア内および、樹脂層表面を、60℃の膨潤液(アトテックジャパン株式会社製、スウェリングディップ セキュリガント P)に5分間浸漬し、さらに80℃の過マンガン酸カリウム水溶液(アトテックジャパン株式会社製、コンセントレート コンパクト CP)に10分浸漬後、中和して粗化処理を行った。
これを脱脂、触媒付与、活性化の工程を経た後、無電解銅めっき皮膜を約0.5μm形成し、めっきレジストを形成し、無電解銅めっき皮膜を給電層としてパターン電気めっき銅10μm形成させ、L/S=50/50μmの微細回路加工を施した。次に、熱風乾燥装置にて200℃で60分間アニール処理を行った後、フラッシュエッチングで給電層を除去した。
さらに、PETフィルム付き樹脂シートを用いて同様に繰り返すことにより、最外層も回路加工した8層プリント配線板を製造した。
次にソルダーレジスト(太陽インキ製造株式会社製、PSR−4000 AUS703)を印刷し、半導体素子搭載パッド等が露出するように、所定のマスクで露光し、現像、キュアを行い、回路上のソルダーレジスト層厚さが12μmとなるように形成した。
最後に、ソルダーレジスト層から露出した回路層上へ、無電解ニッケルめっき層3μmと、さらにその上へ、無電解金めっき層0.1μmとからなるめっき層を形成し、得られた基板を50mm×50mmサイズに切断し、半導体装置用のプリント配線板を得た。
上記で得られた半導体装置用のプリント配線板を用い、半導体素子として、TEGチップ(サイズ15mm×15mm、厚み725μm)を用いたこと以外は、実施例1と同様にして半導体装置の製造を行った。なお、コア基板が含む繊維基材層C1が偏在する方向の面とは反対側の面が半導体素子側になるように、半導体素子を半導体装置用のプリント配線板上に搭載した。
プリプレグ4、プリプレグ10、プリプレグ4の順で、一方のプリプレグ4は第一樹脂層がプリプレグ10側になるようにし、もう一方のプリプレグ4は第二樹脂層がプリプレグ10側になるようにして、合計3枚のプリプレグを積層し、得られた積層体の両面に、12μmの銅箔(三井金属鉱業株式会社製3EC−VLP箔)を積層し、220℃、3MPaで2時間加熱加圧成形することにより、金属張積層板を製造し、得られた金属張積層板をコア基板としたこと以外は、実施例6と同様にしてプリント配線板及び半導体装置を得た。得られた金属張積層板のコア層(絶縁性基板からなる部分)は、図6Aの絶縁性基板116と同様の層構成であり、一面側から樹脂層r1、繊維基材層C1、樹脂層r2、r3、繊維基材層C2、樹脂層r4、r5、繊維基材層C3、樹脂層r6の順に積層した層構成を有し、各層の厚みは、C1〜C3がそれぞれ130μm、r1が1.0μm、r2とr3の合計厚みが4.0μm、r4とr5の合計厚みが2.7μm、r6が2.3μmであり、前記コア層は、繊維基材層C1及びC3が対応する順位の基準位置よりもそれぞれ樹脂層r1側及び樹脂層r5側に偏在し、繊維基材層C2は対応する順位の基準位置上に存在するものであった。また、コア層の全体厚み(B3)は、400μmであった。
前記コア層は、繊維基材層C1を基準としたとき、一面側の樹脂充填領域の厚み(B5)はr1の厚みであり、他面側の樹脂充填領域の厚み(B6)はr2とr3の合計厚みであるので、繊維基材層C1を基準としたときのB5/B6は0.25であった。また、繊維基材層C3を基準としたとき、一面側の樹脂充填領域の厚み(B5)はr4とr5の合計厚みであり、他面側の樹脂充填領域の厚み(B6)はr6の厚みであるので、繊維基材層C3を基準としたときのB5/B6は1.17であった。
また、前記コア層は繊維基材層を3層有するので、当該全体厚み(B3)を繊維基材層の数で均等に分割したときの各領域の厚み(B4)は133.3μmであり、当該厚みB4の各領域内には、それぞれ1つの繊維基材層が存在していた。繊維基材層C1が属するB4領域内においては、C1の一面側の距離(B7)は樹脂層r1の厚みであり、C1の他面側の距離(B8)は、B4の厚み(133.3μm)から樹脂層r1の厚み(1.0μm)及び繊維基材層C1の厚み(130μm)を差し引いた厚み、即ち2.3μmであるので、繊維基材層C1を基準としたときのB7/B8は0.43であった。また、繊維基材層C3が属するB4領域内においては、C3の一面側の距離(B7)は、B4の厚み(133.3μm)から樹脂層r6の厚み(2.3μm)及び繊維基材層C3の厚み(130μm)を差し引いた厚み、即ち1.0μmであり、C3の他面側の距離(B8)は、樹脂層r6の厚み(2.3μm)であるので、繊維基材層C3を基準としたときのB7/B8は0.43であった。
なお、コア基板が含む繊維基材層C1及びC3が偏在する方向の面とは反対側の面が半導体素子側になるように、半導体素子を半導体装置用のプリント配線板上に搭載した。
プリプレグ1で用いた樹脂ワニスをPETフィルム(ポリエチレンテレフタレート、帝人デュポンフィルム株式会社製ピューレックスフィルム、厚さ36μm)上に、ダイコーター装置を用いて乾燥後の樹脂層の厚さが14.0μmとなるように塗工し、これを160℃の乾燥装置で5分間乾燥して、PETフィルム付き樹脂シート1を得た。
PETフィルム付き樹脂シート1の樹脂層面をプリプレグ11側に配し、一面側からプリプレグ11、PETフィルム付き樹脂シート1の順で、プリプレグ11とPETフィルム付き樹脂シート1を積層した。次いで、PETフィルムを剥離後、得られた積層体の両面に、12μmの銅箔(三井金属鉱業株式会社製3EC−VLP箔)を積層し、220℃、3MPaで2時間加熱加圧成形することにより、金属張積層板を製造し、得られた金属張積層板をコア基板としたこと以外は、実施例1と同様にしてプリント配線板及び半導体装置を得た。
得られた金属張積層板のコア層(絶縁性基板からなる部分)は、図2Aの絶縁性基板112と同様の層構成であり、一面側から樹脂層r1、繊維基材層C1、樹脂層r2、r3の順に積層した層構成を有し、各層の厚みは、r1が3μm、C1が80μm、r2とr3の合計厚みが17μmであり、前記コア層は、繊維基材層C1が基準位置よりも樹脂層r1側に偏在するものであった。また、コア層の全体厚み(B3)は、100μmであった。
前記コア層は、繊維基材層C1を基準としたときの一面側の樹脂充填領域の厚み(B5)がr1の厚みであり、他面側の樹脂充填領域の厚み(B6)がr2とr3の合計厚みであるので、B5/B6は0.18であった。
また、前記コア層は繊維基材層が1層のみなので、全体厚み(B3)を繊維基材層数で均等に分割したB4の厚みは、B3と同じである。よって、繊維基材層C1が属するB4領域内におけるC1の一面側の距離(B7)は前記B5と同じであり、C1の他面側の距離(B8)は前記B6と同じである。従って、B7/B8もB5/B6と同様に0.18であった。
比較例1ではプリプレグ7を用い、比較例2ではプリプレグ8を用い、比較例3ではプリプレグ9を用いて、それぞれ金属張積層板を製造し、得られた金属張積層板をコア基板としたこと以外は、比較例1〜3は、実施例1と同様にプリント配線板及び半導体装置を製造した。比較例1〜3で用いたコア基板は、繊維基材層が基準位置上に存在するものであった。
プリプレグ10を3枚積層して得られた積層体を用いて金属張積層板を製造し、得られた金属張積層板をコア基板としたこと以外は、実施例6と同様にプリント配線板及び半導体装置を製造した。比較例4で用いたコア基板は、すべての繊維基材層が対応する順位の基準位置上に存在するものであった。
前記各実施例及び各比較例で作製した半導体装置について、温度可変レーザー三次元測定機(LS200−MT100MT50:株式会社ティーテック社製)を用いて、常温(25℃)における半導体パッケージの反りの測定を行った。測定範囲は実施例6、7、及び比較例4は48mm×48mmの範囲で、それ以外は13mm×13mmの範囲で、半導体素子搭載面とは反対側のBGA面にレーザーを当てて測定を行い、レーザーヘッドからの距離が、最遠点と最近点の差を反りとした。
前記各実施例及び各比較例で得られた半導体装置を、大気中で、15分間−65℃にした後、15分間150℃にすること、又は15分間150℃にした後、15分間−65℃にすることを1サイクルとして、1000サイクル処理後、フライングチェッカー(1116X−YC ハイテスタ:HIOKI社製)を用いて、プリント配線板から半田バンプを介して半導体素子を通りプリント配線板に戻る回路端子について、100箇所導通試験を行い、断線した箇所を調べた。各符号は、以下の通りである。
◎:断線箇所が無かった。
○:断線箇所が1〜10箇所であった。
△:断線箇所が11〜50箇所であった。
×:断線箇所が51箇所以上であった。
本発明に係る絶縁性基板、即ち少なくとも1層の繊維基材層が対応する順位の基準位置よりも一面側又は他面側に偏在し、異なる方向に偏在している繊維基材層がない絶縁性基板をコア層として用いた場合の効果を確認するために、表4に、繊維基材層の厚み(種類)と枚数、コア層、パッケージ及びチップの厚みとサイズが等しい実施例と比較例とで比べたパッケージ反り変化量を示した。繊維基材層の厚みと枚数、コア層、パッケージ及びチップの厚み、チップのサイズが異なると、パッケージ反りの曲率半径が異なり結果としてパッケージ反り量が異なり、またコア層やパッケージサイズが異なると、パッケージ反りの曲率半径が同じでもコア層やパッケージのサイズが大きい方がパッケージ全体の反り量が大きくなるため、実施例と比較例を比較する際はこれらを統一しておく必要がある。表4からわかるように、実施例1〜8は、対照した比較例よりもパッケージ反り量が減少していた。これにより、少なくとも1層の繊維基材層が、対応する順位の基準位置よりも一面側又は他面側に偏在し、異なる方向に偏在している繊維基材層がないコア基板を用いて得られた実施例1〜8の半導体装置は、すべての繊維基材層が対応する順位の基準位置上に存在するコア基板を用いて得られた比較例1〜4の半導体装置に比べて、パッケージ反りが軽減されることが明らかとなった。
また、表2、3からわかるように、比較例1〜4で得られた半導体装置は、温度サイクル試験での断線箇所が多く、接続信頼性に劣っており、一方、実施例1〜8で得られた半導体装置は、温度サイクル試験での断線箇所がない又は少なく、接続信頼性に優れていた。
102 キャリアフィルム付き非対称プリプレグ
103、103’、103’’ 対称プリプレグ
111、112、113、114、115、116 絶縁性基板
121、122、123、124 積層体
131、132、133 半導体装置
C1〜C3 繊維基材層
r1〜r6 樹脂層
1 繊維基材層
2 第1樹脂層
3 第2樹脂層
2’ 第1キャリア材料
3’ 第2キャリア材料
4 樹脂層
5 コア層
7 プリント配線板
8 半導体素子
9 導体回路層(内層回路)
10 層間絶縁層
11 導体回路層(外層回路)
12 ビアホール
13 スルーホール
14 ソルダーレジスト
15 液状封止樹脂
16 半田バンプ
17 導体回路層(内層回路)
18 層間絶縁層
Claims (7)
- 1層以上の繊維基材層及び2層以上の樹脂層を含み、両面の最外層が樹脂層である積層体の硬化物からなる絶縁性基板であって、
前記絶縁性基板に含まれる前記繊維基材層を第一の面側からその反対側の第二の面側に向かって順にCx(xは1〜nで表される整数であり、nは繊維基材層の数である。)とし、
前記絶縁性基板の全体厚み(B3)を前記繊維基材層の数(n)で均等に分割し、分割した各領域の厚み(B4)をさらに均等に2分割する位置を繊維基材層の基準位置とし、当該各々の基準位置を第一の面側から順にAx(xは1〜nで表される整数であり、nは繊維基材層の数である。)としたときに、
前記均等に分割された厚みB4の各領域内に、それぞれ1つの繊維基材層が存在し、且つ、
前記繊維基材層のうち、少なくとも最も第一の面側に位置する繊維基材層が、対応する順位の基準位置よりも第一の面側に偏在し、第二の面側に偏在している繊維基材層がないことを特徴とする、絶縁性基板。 - 前記繊維基材層のうち、対応する順位の基準位置よりも第一の面側に偏在する繊維基材層は、
当該繊維基材層の第一の面側の樹脂充填領域の厚み(B5)と、
当該繊維基材層の第二の面側の樹脂充填領域の厚み(B6)との比(B5/B6)が、0.1<B5/B6<1.2である、請求項1に記載の絶縁性基板。 - 前記繊維基材層の数が1つ又は2つである、請求項1又は2に記載の絶縁性基板。
- 前記均等に分割された厚みB4の各領域のうち、対応する順位の基準位置よりも第一の面側に偏在する繊維基材層は、
当該繊維基材層の第一の面側の界面から当該繊維基材層が属する厚みB4の領域の当該第一の面側の境界までの距離(B7)と、
当該繊維基材層の第二の面側の界面から当該繊維基材層が属する厚みB4の領域の当該第二の面側の境界までの距離(B8)との比(B7/B8)が、0.1<B7/B8<0.9である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の絶縁性基板。 - 2層以上の繊維基材層を含み、最も第一の面側に位置する繊維基材層、及び、最も第二の面側に位置する繊維基材層が、対応する順位の基準位置よりも前記第一の面側に配置されている、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の絶縁性基材。
- 厚みが0.03mm以上0.5mm以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の絶縁性基板。
- プリプレグ1枚のみ又はプリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の硬化物からなる絶縁性基板において、
繊維基材層の第一の面側に第1樹脂層、第二の面側に第2樹脂層が設けられ、前記第1樹脂層の厚みが前記第2樹脂層の厚みよりも小さい非対称プリプレグを少なくとも1枚含むことを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の絶縁性基板。
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