JP5821802B2 - 溶銑の脱燐処理方法 - Google Patents

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本発明は、上底吹き型の転炉設備を用いて行う溶銑脱燐処理方法に関し、より具体的には底吹きガス流量の制御を通じて、溶銑予備脱燐処理におけるスクラップ溶解を含む各種操業指標を向上させる方法に関する。
近年、溶銑の予備脱燐処理は上底吹き型の転炉等の転炉設備を用いて行うことが多く、その処理の際の熱的余裕の範囲で、スクラップ等の冷鉄源を溶解することが一般に行われている。その状況下、生産量の変化に対するバッファとして、溶銑予備脱燐処理を利用する必要性が高まってきた。すなわち、増産時は溶銑予備脱燐処理において冷鉄源の配合率を増加させる一方、減産時はそこで冷鉄源の配合率を低下させる操業を、効率的に行うことが望まれるようになってきたのである。
その場合、上吹き酸素や底吹き撹拌ガスの供給方法を工夫して、脱燐率や鉄分歩留まりを低下させないようにすることが望まれる。しかし、上吹き酸素はランス位置やガス流量の変更が容易であるのに比べ、底吹きガスは転炉の使用を一旦開始した後では供給条件変更が容易ではない。底吹き羽口は、転炉の炉底耐火物に組み込まれているため、転炉耐火物の築造を終えた後では羽口位置やサイズの変更が難しいし、ガス流量を変えるために吹込み圧力を大きく変えると羽口寿命に悪影響を及ぼしてしまうからである。
そこで、溶銑脱燐予備処理において、操業条件の変動に合わせられるような適切な底吹きガス供給条件を把握し、その条件調整方法を開発する必要がある。しかし、転炉製鋼法に関しては、撹拌ガスの底吹き方法と鋼浴撹拌強度及びその撹拌効果との関係について、特許文献1等多数の公知文献が存在しているが、転炉を用いる溶銑脱燐処理に関しては、撹拌ガスの底吹き方法と溶銑撹拌効果との関係について具体的に規定した公知文献は少ない。
例えば、特許文献2には、溶銑の予備処理を脱珪反応促進期とその後の期間に区分して撹拌動力値をそれぞれ650−1100W/t、300−650W/tに調節する溶銑の脱珪・脱燐方法が開示されている。しかし、その文献には底吹き羽口数が撹拌動力値に及ぼす影響は記載されておらず、ましてや底吹き羽口毎にガス流量を変えることの効果は全く記載されていない。
また、特許文献3には、転炉の底吹きに同径羽口を使用すると、各羽口の撹拌エネルギーが互いに干渉し合って溶鋼全体の撹拌力が理論計算値よりも著しく小さくなることが記載され、その対策として底吹き羽口径を変えることをその発明の特徴とすることや、その従来例として、全羽口を数ブロックに分け周期的に順次ガス吹込量を増減して溶鋼をより強く撹拌する方法も散見されることが説明されている。しかし、その文献には溶銑予備脱燐処理に関する記載は無く、専ら溶銑から溶鋼を製造する通常の転炉製鋼法に関する記載と解されるほか、従来例としてしか紹介されていない順次ガス吹込量を増減して溶鋼をより強く撹拌する方法に関しては、具体的な説明が記載されていない。
特開平2−179810 特開昭62−109911 特開昭58−120708
本発明は、上底吹き型の転炉等の転炉設備を用いて行う溶銑の脱燐処理方法において、精錬効率の向上と同時に効率的な冷鉄源の溶解を行うことを可能とする、溶銑の脱燐処理方法を提供する。
本発明者等は、上述の技術的背景に鑑み、従来、操業条件に合わせた適切な底吹きガス供給方法が殆ど検討されてこなかった、上底吹き型転炉を用いる溶銑の予備脱燐処理において、合計の底吹きガス流量を増加させることなく精錬反応とスクラップ溶解を促進し、しかも底吹き羽口寿命に悪影響を与えることの無いような底吹きガス供給方法を検討した。
従来、一般的な転炉の底吹き羽口は炉心を挟んで並列に偶数個配置されており、それらの各底吹き羽口から同一のガス流量を吹き込んでいた。それらの底吹き羽口は、基本的に転炉の中心軸に対して対象位置に配置されていることが多い。その方が相互の羽口間距離に偏りが少なくなり、各底吹き羽口の周囲の炉底耐火物の損耗が均等化されて、炉底耐火物全体としての寿命が長くなるからである。
しかも、従来においては、転炉設備の建設時期に或る程度の範囲で底吹きガス流量を固定して考えており、特に転炉の炉底耐火物を築造した後では、そこに組み込まれた底吹き羽口は位置もサイズも基本的に固定されてしまうために、その条件範囲内では大幅な底吹きガス流量の増加等の底吹き条件変更は困難である。
しかし、底吹き流量等の条件一定のもとでは、生産量が増加し、スクラップ配合率を増加させた際に溶銑の撹拌が不足し、スクラップ溶解が不十分になることが懸念される。溶銑予備脱燐処理では、処理時の溶銑温度が1250〜1400℃等と低いため、スクラップ溶解を促進する技術が重要となるのである。
但し、その溶銑撹拌不足を補うために、同じ底吹き羽口からのガス供給を高圧化して流量を大幅に増やすと、底吹き羽口の損耗が激しくなってその使用寿命が低下してしまう問題が懸念される。
そこで、底吹き流量を大幅に増加することなく、撹拌動力を上昇させ、精錬反応促進およびスクラップ溶解促進が可能な方法を検討した結果、底吹きガス流量を複数の羽口に対して個別に変えて制御(独立制御)することで、そのような処理を効率的に行えることを見出した。
その要旨は、次の通りである。
(1) 酸素上吹きランスと偶数個の底吹き羽口を有する転炉を用いる溶銑脱燐処理方法であって、
各底吹き羽口を、互いに転炉の中心軸に対して対称位置に設置されたもう1個の底吹き羽口と1組をなすように設置し、
酸素上吹きランスからの酸素吹込み中には、そのうちの少なくとも1組の底吹き羽口において、一方の羽口からの吹き込みガス流量が、他方の羽口からの吹き込みガス流量と比べて増加または減少された関係に維持されるよう制御し、
前記の一方の羽口からの吹き込みガス流量が、他方の羽口からの吹き込みガス流量と比べて増加または減少された関係は、ガス流量の低い一方に比べ、高い一方が1.3倍以上2.0倍以下の関係を満たし、
前記底吹き羽口からのガス流量は、羽口1本当たり0.05Nm /min/t以上10Nm /min/t未満とすること
を特徴とする溶銑脱燐処理方法。
(2) 前記した少なくとも1組の底吹き羽口において、そのうちの少なくとも1個の底吹き羽口からの吹込みガス流量を、前記酸素上吹きランスからの酸素吹込み時間が経過するに伴って変化させること
を特徴とする、上記(1)に記載の溶銑脱燐処理方法。
本発明を用いることで、底吹き流量を大幅に増加することなく、撹拌動力を上昇させ、精錬反応促進およびスクラップ溶解促進が可能な方法となる。
転炉羽口の配置を示す説明図であり、(a)は側断面図、(b)は底面の羽口配置図である。 羽口別底吹きガス流量制御の例を示す説明図である。(a)(b)はそれぞれ本発明の実施例1、2を示し、(c)(d)は従来例、(e)は比較例のものである。 実施例および従来例、比較例の脱りん率を示すグラフである。 実施例および従来例、比較例の鉄分歩留を示すグラフである。 実施例および従来例、比較例の羽口寿命を示すグラフである。
酸素上吹きランスと偶数個の底吹き羽口を有する転炉を用い、各底吹き羽口を互いに転炉の中心軸に対して対称位置に設置されたもう1個の底吹き羽口と1組をなすように設置して、
酸素上吹きランスからの酸素吹込み中には、そのうちの少なくとも1組の底吹き羽口において、各々の底吹き羽口からの吹込みガス流量が互いに増加または減少された関係に維持されるよう制御する。
(1)底吹き羽口の設置位置
偶数個の底吹き羽口は、2個以上の偶数であれば幾つであっても良いが、上底吹き型転炉で溶銑撹拌機能を利用する目的では、実際上8個以下が想定される。また、8個を超える底吹き羽口数では、底吹きガス流量を非対象に制御する効果が現われにくいことも考慮しておく方が良い。
転炉の炉底における底吹き羽口の位置を、図1を用いて説明する。図1(a)の上底吹き転炉では、転炉上部の中心軸位置に1本の酸素上吹きランスが設置されていて、転炉の炉底部の中心寄りの位置に底吹き羽口が複数設置されている。図1(b)は、その転炉の炉底部分(転炉の側壁との接合部分以下)における、底吹き羽口設置位置を説明する図である。
この転炉には、No.1〜No.4の4個の底吹き羽口が設置されていて、転炉からの溶銑出銑孔は、No.1とNo.2の羽口側にある。即ち、転炉を傾動して溶銑を装入する際には、転炉内の溶銑浴面に対してNo.3とNo.4の羽口とが一緒に下側になり、溶銑装入中にも羽口詰まりを防止するために底吹きガスを吹き続ける必要があることから、比較的早くから装入途中の溶銑を吹き飛ばす状況になる。逆に、転炉を傾動して溶銑を出銑させる際には、No.1とNo.2の羽口とが一緒に下側になって、比較的遅くまで溶銑を吹き飛ばす状況になる。これらのいずれも、なるべく短時間に終わらせたいために、底吹き羽口の設置位置は転炉の中心軸位置を挟んで、あまり離れていない間隔で並列させることが普通である。羽口数を増やす場合にも、No.1とNo.2の列と、No.3とNo.4の列とに、基本的に並べて配置する。
また、溶銑浴に対する酸素の吹き付けを、転炉側壁の溶損を避けるために転炉の中心軸周辺に限定している関係で、底吹き羽口も溶銑浴の撹拌効果を高めるために中心軸寄りに設置する方が適しているほか、底吹き撹拌に伴う転炉側壁の損耗を避けるためにも、底吹き羽口位置は中心軸寄りが好ましい。
これらの諸々の事情に配慮した上で、しかも複数羽口間の距離をなるべく離して配置するためには、これらの羽口位置は、従来のように、基本的には転炉の炉底中心軸を挟んで並列に配置し、かつ、転炉の中心軸に対して対象位置範囲に反対側の底吹き羽口を配置して、2個を1組として管理することが適している。
本発明において「各底吹き羽口を互いに転炉の中心軸に対して対称位置」とは、転炉の炉底耐火物の溶銑側表面において、任意の底吹き羽口の中心軸と転炉中心軸との距離に対し、その反対側の底吹き羽口の中心軸と転炉中心軸との距離がその±15%以内にあって、かつ、その任意の底吹き羽口の中心軸と転炉中心軸とを結ぶ線分と、その反対側の底吹き羽口の中心軸と転炉中心軸とを結ぶ線分とがなす角度が180±6°以内にある範囲のことを指す。
そして、本発明においては、「各底吹き羽口を互いに転炉の中心軸に対して対称位置に設置されたもう1個の底吹き羽口と1組をなすように設置」するため、全部の底吹き羽口が前記した転炉の軸対象位置の範囲にある、もう1個の底吹き羽口と1組をなしている。
このように底吹き羽口を炉底に均等に配置することで、そのうちの任意の1組の底吹き羽口において、各々の底吹き羽口からの吹込みガス流量を互いに増加または減少された非対称関係に維持する効果を、他の1組において非対称関係に維持する効果と実質的に変わらなくすることが可能になる。その結果、所定のガス量増減関係を保った上で、適当に組を変更することによって、安定して本発明に係る溶銑撹拌効果を発揮させると共に、底吹き羽口寿命の低下をも防止することができる。
したがって、本発明に係る1組の軸対象関係から外れている場合には、溶銑撹拌効果が不安定になったり、底吹き羽口の寿命が低下したりという懸念が生じる。このことは、羽口数が奇数の場合にも当てはまる。羽口数が奇数の場合には、少なくとも1個の底吹き羽口に対して、転炉中心軸に対する軸対象位置に該当しないものが存在していることになるので、そこから底吹きガスを溶銑に吹き込む以上、本発明の技術的範囲に属することは無い。その代わりに、少なくともその1組になっていない1個の底吹き羽口に関しては、他の羽口からのガス底吹きと協働して底吹き撹拌効果を発揮しつつ、底吹き羽口寿命の低下を防止するという、本発明に係る所定の効果を享受することができない。
(2)溶銑率(スクラップ使用比率)
上記した設備条件と底吹き羽口の配置条件を満たした転炉に、溶銑とスクラップを装入する。溶銑とスクラップとを合計した質量に対する溶銑質量(溶銑率)は、基本的には92%以下のようなスクラップを多量に配合する操業を想定しているが、そのような溶銑率で無くとも本発明の実施効果は脱燐率の向上や底吹き羽口寿命の向上により、享受することができる。
(3)底吹きガスの流量制御
底吹きガス流量の調節は、底吹きガス流量を羽口毎に独立に制御することができ、かつ、上記した底吹き羽口の配置条件を満たす転炉を用いて、その内の少なくとも1個の羽口のガス流量を、その転炉中心軸に対して対象位置にある羽口のガス流量と比べて、増減させて脱燐処理する必要がある。
そのガス流量の増減率は、ある1個の底吹き羽口のガス流量に対して、その軸対象の反対側にある羽口のガス流量が1.3倍以上であるような関係が、脱燐処理中に少なくとも1組は存在し続けることが好ましい。1.3倍以上の差があると、非対象制御の効果が明確に現われるからである。但し、この倍率は2.0倍以下が現実的である。底吹きガスの最少流量は、底吹き羽口のサイズに応じて(そのノズル径に応じて)溶鉄侵入を防止するために定まってくる。一方、最多ガス流量は、溶銑浴から吹き抜けてしまっては底吹き撹拌の意味が無くなるほか、スラグ等への粒鉄ロスが多くなってしまう弊害が生じるために、上限が定まってくるからである。
なお、本発明に係る底吹き羽口からの最少ガス流量は、羽口1本当たり0.05Nm/min/t以上が適当である。この羽口1本当たりのガス流量が少な過ぎると、ガス流量の非対象制御の効果が実際現れにくくなり好ましくない。
この羽口毎のガス流量の制御パターンは、酸素上吹きランスからの酸素吹込み中に上記したガス流量の非対象制御が続けられていれば良いのであるが、例えば図1に示した上底吹き転炉において、図2(a)、図2(b)等のパターンにすることが考えられる。
図1に示した上底吹き転炉では、その中心軸に対してNo.1とNo.4とが1組となり、No.2とNo.3とが1組となっている。図2(a)では、上吹き酸素吹き付け時間の25%までは、No.4を低流量にして、No.1をその1.7倍の高流量にしている。併せて、もう一つの組であるNo.2を低流量にして、No.3をその1.7倍の高流量にしている。上吹き酸素吹き付け時間の25%から50%までは、各組における流量関係を逆転させて全体としての底吹きガス流量は一定を保っている。その後も、同様に繰り返して、上吹き酸素の吹き付けによる溶銑脱燐処理を終了する。
図2(a)では、各組の非対称流量制御の変化を、両方同時に規則的に繰り返しているが、本発明ではこのように常に両方同時に規則的に繰り返す必要は無い。
また、全底吹き羽口とも酸素吹き付け時間の途中で底吹きガス流量を変更しているが、例えば最初の25%の期間における底吹き流量非対称制御を、酸素吹き付け時間の終了時点まで継続しても脱燐促進やスクラップ溶解促進の効果はあるため、その後の溶銑脱燐処理において、適当なタイミングで底吹き流量の割り付けを変更すれば、底吹き羽口寿命の低下を防止する効果も認められる。
但し、時にはスクラップの溶解状況が溶銑浴中で偏ることがあるために、1回の溶銑脱燐処理中に、各底吹き羽口において1回以上は底吹きガス流量の割り付けを変更する方が、本発明の効果を一層安定して享受することができる。この変更は、概ね酸素吹き付け時間の25%程度の間隔で実施するとよい。
図2(b)では、上吹き酸素吹き付け時間の50%まで、No.4を低流量にして、No.1をその1.7倍の高流量にしている一方、もう一つの組であるNo.2とNo.3とは、上吹き酸素吹き付け時間の25%まで両方とも同じ高流量とし、その25%〜75%までは両方とも同じ低流量としている。流量変化の時期と比率を柔軟に変更しながらも、常に1組は中心軸に非対称の流量制御を保ちつつ、かつ、全体としての底吹きガス使用量を図2(a)と同一にしている、本発明の流量制御パターンの一例である。
次に、図2(c)と図2(d)は、底吹きガス流量の非対称制御を行わない従来例であって、図2(c)では底吹き羽口全体からのガス流量(ガス使用量)を図2(a)や図2(b)と同一に保つ例、図2(d)はそれらよりも底吹きガス流量を全体に増加して、底吹きガスが溶銑からの吹き抜けない範囲で底吹き撹拌を強化する例を示す。
さらに、図2(e)には、各底吹き羽口からの底吹きガス流量を、同じサイズの羽口から設備的に可能な最大限まで増やす比較例で、底吹きガスの溶銑浴からの吹き抜けが懸念されるパターンである。
これらの各パターンでの溶銑脱燐処理実績を、次に実施例と比較しつつ纏めて説明する。
本発明の実施例および従来例、並びに比較例について、以下に詳しく説明する。まず、共通条件として、公称250ton規模の上底吹き型転炉に予備脱硫処理を行った225tonの溶銑と、25tonのスクラップを装入した。ここで溶銑の成分は、質量濃度でC:4.4〜5.0%、Si:0.20〜0.60%、Mn:0.10〜0.25%、P:0.10〜0.12%、溶銑温度は1250〜1400℃である。溶銑とスクラップを装入後、転炉内に生石灰(CaO)等のフラックスを実施例、従来例、比較例ともに同様になるよう調整した条件で投入し、実施例・従来例・比較例の各パターンに従い、底吹きガスを吹込みながら、上吹きランスから規定の酸素量を吹き込んだ後、溶銑鍋へ出銑した。上方からの酸素流量は処理対象溶銑1t当たり1.0〜2.0Nm/minとし、その酸素吹込み時間(処理時間)は6.0〜12.0分とした。
本実施例で使用した転炉の底吹き羽口の設置状況は、図1に示したものと同じである。底吹き羽口3は、本実施例、従来例、比較例とも同一サイズの羽口4個を本発明に係る転炉の中心軸に対する軸対象位置に配置し、ガス流量のみを変える制御を行った。底吹きガス種はいずれもNである。
底吹きガス流量の制御パターンは、実施例1、実施例2、従来例1、従来例2、並びに比較例として、先に図2(a)〜図2(e)に示した通りである。
底吹き流量制御の比較調査を、実施例1、実施例2および従来例1の各制御パターンについては約30回、従来例2に関しては20回、比較例に関しては10回の溶銑脱燐処理を連続して行った。結果について、図3〜図5に纏めて示す。
図3は、脱りん率を比較して示すデータである。ここで、脱燐率=((処理前[P]−処理後[P])/処理前[P])×100である。
実施例1と実施例2は、全体としての底吹きガス流量が同じである従来例1と比べて脱燐率が高く、底吹きガス流量を増加させた従来例2と同じレベルであった。但し、底吹きガス流量の増加には制約があり、そのガス流量をさらに増やしてみた比較例では却って脱燐率が低下してしまった。この比較例の底吹きガス流量では、底吹きガスが溶銑浴から吹き抜けてしまう現象が発生していたものと推測される。
したがって、本発明のように底吹きガス流量を転炉中心軸に対して非対称に制御すると、従来と同程度の底吹きガス流量でもその撹拌効果が高くなり、脱燐反応が促進されることが確認された。
図4は、鉄分歩留の比較データを示す。ここで、鉄分歩留=((出湯した溶銑に含まれる鉄分(ton))/(転炉に装入した鉄分(ton))×100である。
鉄分歩留の比較でも、脱燐率の比較と同様な結果が得られた。本発明の実施例において鉄分歩留が高かったのは、底吹きガス流量を溶銑中でスクラップが溶解される途中で羽口毎に変更し、溶銑浴の流れを変えてスクラップの溶解を促進した効果と、底吹きガス流量を従来例1と同じに制限したために、スラグ中への粒鉄ロスや炉外へのダストロスを少なく抑えた効果とによると考えられる。
図5は、転炉の底吹き羽口寿命の比較を示す。ここで、底吹き羽口寿命は、各実施例、各従来例、比較例の連続操業調査を開始する前とその調査後とに、各底吹き羽口の残存厚を測定して、その損耗進行速度の平均値を従来の通常損耗速度と対比して、指数で表示したものである。
実施例1、実施例2と従来例1とを比較すると、底吹きガス流量が同等であれば羽口寿命はほぼ同等になるという、従来の知見に合致した結果が得られた。従来例2と比較例は、底吹きガス流量を増加させたために、羽口寿命が低下してしまった。
以上の結果より、本発明を用いると、底吹き流量を大幅に増加することなく底吹き撹拌効果を強化することができ、しかも底吹き羽口寿命の低下も防止することができるということが確認された。
1 転炉
2 上吹きランス
3 底吹き羽口
4 炉底部(炉底部分)

Claims (2)

  1. 酸素上吹きランスと偶数個の底吹き羽口を有する転炉を用いる溶銑脱燐処理方法であって、
    各底吹き羽口を、互いに転炉の中心軸に対して対称位置に設置されたもう1個の底吹き羽口と1組をなすように設置し、
    酸素上吹きランスからの酸素吹込み中には、そのうちの少なくとも1組の底吹き羽口において、一方の羽口からの吹き込みガス流量が、他方の羽口からの吹き込みガス流量と比べて増加または減少された関係に維持されるよう制御し、
    前記の一方の羽口からの吹き込みガス流量が、他方の羽口からの吹き込みガス流量と比べて増加または減少された関係は、ガス流量の低い一方に比べ、高い一方が1.3倍以上2.0倍以下の関係を満たし、
    前記底吹き羽口からのガス流量は、羽口1本当たり0.05Nm /min/t以上10Nm /min/t未満とすること
    を特徴とする溶銑脱燐処理方法。
  2. 前記した少なくとも1組の底吹き羽口において、そのうちの少なくとも1個の底吹き羽口からの吹込みガス流量を、前記酸素上吹きランスからの酸素吹込み時間が経過するに伴って変化させること
    を特徴とする、請求項1に記載の溶銑脱燐処理方法。
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