JP5820721B2 - 光コネクタ清掃工具 - Google Patents
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Description
これに鑑みて、近年では、光コネクタの接合端面の清掃に好適に使用できる清掃工具(光コネクタ清掃工具)が提供されている。
また、光コネクタ清掃工具としては、糸状の清掃体を、回転駆動可能な回転シャフト先端のヘッド部に巻き掛けた構成のものもある(以下、第2従来工具。例えば特許文献2)。この光コネクタ清掃工具は、前記ヘッド部を光コネクタの接合端面に押圧したまま、前記ヘッド部及び回転シャフトの軸回り回転と糸状清掃体の送り移動とによって前記接合端面を清掃する。
第1、第2従来工具は、作業者が手指で把持可能な工具本体から突出する筒状突出部の先端に前記ヘッド部を有する。前記筒状突出部は、光コネクタアダプタに挿入することで、光コネクタアダプタに該筒状突出部とは反対の側から挿入嵌合された光コネクタの接合端面に前記ヘッド部が対面するように、光コネクタアダプタによって光コネクタに対して位置決めできる。
なお、第1、第2従来工具は、光コネクタレセプタクルに組み込まれたフェルールの接合端面の清掃についても、筒状突出部をレセプタクルハウジングのコネクタ穴に挿入することで、レセプタクルハウジングを位置決めハウジングとして利用して行なうことができる。
しかしながら、この場合の清掃は、清掃工具のヘッド部の光コネクタの接合端面に対する押圧向きを安定させることが容易でなく、清掃ムラが生じやすいのが実情であった。
ここで、SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector)は、JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ、あるいは、IEC(国際電気標準化会議) 60874−14:1993、又はIEC 60874−19:1995に準拠する光コネクタを指す。MT形光コネクタ(MT:Mechanically Transferable)は、JIS C 5981に制定されるF12形光コネクタ、あるいはIEC 60874−16:1994に準拠する光コネクタを指す。MPO形光コネクタ(MPO:Multi-fiber Push On)は、JIS C5982に制定されるF13形光コネクタ、あるいはIEC
61754−7に準拠する光コネクタを指す。
前記屈曲光路透過型光コネクタは、前記光素子に位置決めして前記接合面をハウジング上面に接合し前記モジュールに取り付けることで、前記凹所の反射面を介して形成される光路を以て光素子と光ファイバとを光結合できる。なお、前記モジュールの光素子は、前記モジュールのハウジングに形成された透光窓を介して、ハウジング上面側に対する受発光が可能になっている。
第1、第2従来工具は、作業者が手指で工具本体を把持して操作し、ヘッド部を屈曲光路透過型光コネクタの接合面中央部に位置合わせして押圧することで、清掃テープを屈曲光路透過型光コネクタの接合面中央部に押し付け可能である。しかしながら、この工具を使用した清掃は、ヘッド部先端の接合面中央部に対する押圧向きの安定化が難しく、接合面中央部をむら無く清掃することは容易でない。特にサイズが小さい屈曲光路透過型光コネクタの接合面の清掃は、工具のヘッド部先端の接合面中央部に対する押圧向きの安定化がより難しく、清掃ムラの問題がより顕著になる傾向になる。
第1の発明は、光コネクタの接合面を、送り移動される清掃体により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、前記清掃体の供給および引取りを行う送り機構と、前記送り機構を収容する収容体と、前記清掃体を前記光コネクタの接合面に当接させるための清掃体押圧部材と、この清掃体押圧部材を収容しかつ該清掃体押圧部材の清掃体受け面に沿って配置された清掃体を表出させる押圧部材収容壁部に脱着可能あるいは前記清掃体受け面に垂直の方向にスライド移動可能に取り付けられ、前記光コネクタを前記清掃体に押さえ込むコネクタ押さえ部材とを有し、前記コネクタ押さえ部材又は前記押圧部材収容壁部に前記光コネクタを前記清掃体押圧部材の前記清掃体受け面に沿って配置された清掃体に対して位置決めするためのコネクタ位置決め部が設けられ、前記コネクタ押さえ部材は、前記コネクタ押さえ部材を前記収容体を握った手の手指で前記収容体側へ引っ張り操作するための指掛け部を有し、前記指掛け部を引っ張り操作して前記光コネクタの接合面を前記清掃体に押し当てた状態にて前記清掃体を送り移動させることで前記光コネクタの接合面を清掃することを特徴とする光コネクタ清掃工具を提供する。
第2の発明は、前記光コネクタは、前記接合面が形成されたボディに光ファイバの先端部が前記接合面に沿う方向に内挿固定され、前記光ファイバの入射光又は出射光の光路を前記光ファイバ先端の光軸に対して曲げて前記接合面を通るように形成する光軸変更部が前記ボディに設けられ,前記清掃体に向かって前記光ファイバ先端の光軸方向とは異なる方向への押圧によって前記接合面が前記清掃体に押し当てられることを特徴とする第1の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第3の発明は、前記収容体に一体あるいは別体に構成され前記収容体から前側に延出する筒状延出部を有し、この筒状延出部の先端部を構成する押圧部材収容壁部に前記清掃体押圧部材が収容され、前記コネクタ押さえ部材は、前記押圧部材収容壁部にその軸線方向にスライド移動可能に外挿された筒状本体と、この筒状本体に突設され、前記清掃体押圧部材の前側に張り出すコネクタ押さえ部が形成された押さえ片部とを有することを特徴とする第1又は2の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第4の発明は、前記コネクタ押さえ部材は、前記筒状本体の外周あるいは後側に向かって突出し前記収容体からその前側に離隔させて配置された前記指掛け部を有することを特徴とする第3の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第5の発明は、前記コネクタ押さえ部材の前記押さえ片部の前記コネクタ押さえ部に、光コネクタを収容するコネクタ収容溝と、該コネクタ収容溝の溝幅方向両側の内壁面における前記コネクタ収容溝の溝底から離隔した位置に突設され前記光コネクタの前記コネクタ収容溝からの脱落を規制するコネクタ保持突部とが形成され、前記コネクタ収容溝及び/又はコネクタ保持突部が前記コネクタ位置決め部として機能することを特徴とする第3又は4の発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第6の発明は、前記筒状延出部の前記押圧部材収容壁部外周に、前記コネクタ押さえ部材の筒状本体が後側から当接される抜け止め突部が突設され、前記コネクタ押さえ部材はその前端が前記抜け止め突部に当接する位置が、前記押圧部材収容壁部に対する工具前側への移動限界位置とされていることを特徴する第3〜5のいずれか1つの発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
第7の発明は、前記送り機構に設けられて前記収容体にその前後方向に移動可能に収容された支持枠を前記収容体に対して前方向に弾性付勢する付勢手段とを有し、前記送り機構は、前記清掃体を前記清掃体押圧部材に供給する供給リールと、前記清掃体押圧部材を経た前記清掃体を巻き取る巻取リールとを前記支持枠に取り付けて構成され、前記筒状延出部は前記送り機構に設けられて前記支持枠からその前側へ延出され、前記収容体は、前記支持枠が、前記収容体に対して後側へ相対移動されることで、前記巻取リールを巻取り方向に回転駆動させて前記清掃体を送り移動させる駆動部を有することを特徴する第3〜6のいずれか1つの発明の光コネクタ清掃工具を提供する。
図1〜図5に示すように、清掃工具1は、清掃体2の供給および引取り(巻き取り)を行う送り機構3(図3参照)と、送り機構3が組み立てられた支持枠35と、該支持枠35を収容する収容体11と、前記支持枠35から収容体11外側に延出する筒状延出部20とを有している。また、この清掃工具1は、筒状延出部20(以下、単に延出部とも言う)の先端において清掃体2を光コネクタ70の接合面に押し当てるヘッド部材23(清掃体押圧部材)と、光コネクタ70を前記ヘッド部材23との間に清掃体2を挟み込むようにして清掃体2に押さえ込むコネクタ押さえ部材62と、を備えている。
以下の説明においては、延出部20の支持枠35に対する延出方向、すなわち延出部20の先端側(図3の右方)を前、その反対方向を後、として説明する。
ケース部12の前端には、延出部20が挿通する挿通口12aが形成されている。ケース部12の後端には、送り機構3等を出し入れする開口部12bが形成されている。
ギア受け部56は、送り機構3に対する駆動体13の前方移動によって巻取リール31を巻取り方向に回転駆動させる駆動部であって、基板53の長手方向に並んだ複数の受け歯部56aからなる。
なお、本形態例では、鋸歯状のギア受け部56が採用されているが、巻取リール31を駆動させるための構成はこれに限らず、巻取リール31に回転方向の力を加えることができるものであれば、例えば巻取リール31の外周縁に当接して摩擦により巻取リール31に回転方向の力を加えるものなど、他の構成を採用してもよい。
駆動体13は、係止突起53bが係止穴12cに係止することによってケース部12に対し位置決めされており、支持枠35に対してケース部12とともに移動する。
この先端ヘッド部28の先端面は、清掃体2を光コネクタ70の接合面72(図23(b)、(c)参照)に押し当てる押当て面24(清掃体受け面)となる。
ここでガイド口部25は、送り機構3(供給リール30)からの清掃体2を押当て面24に導く(または押当て面24を通過した清掃体2を送り機構3(トラバース機構120のガイド部材122および巻取リール31)に導く)ためのものである。このように先端ヘッド部28のガイド口部25は、清掃体2が押当て面24から外れることを防ぐ。
またこの挿入部91には、係合爪93aを有する弾性片93bが形成されている。係合爪93aは、ガイド筒部81に形成された係合開口部81a(係合凹部)(図5参照)の前縁に係止することにより、ヘッド部材23の前方移動を規制することができる。
ここで清掃体2は、連続的に繰り出し可能な程度に軟質で一方向に連続するテープ状のものであれば、特に限定されるものではなく、公知の適当な清浄布(不織布や織布)をテープ状に加工したものを採用することができる。具体的には、例えばポリエステルやナイロンなどの極細の繊維で構成されたテープを使用することができる。なおテープ状の清掃体2としては、その幅は1.0〜2.5mm程度が好適であり、厚さは0.1〜0.2mm程度が好適である。
なお逆にテープ状の清掃体2を、供給リール30からガイド筒部81内側の挿通孔87を経てヘッド部材23に達し、平坦部93B、通過口92B、ガイドスリット26B、ガイド口部25を経て押当て面24に至り、ガイドスリット26A、平坦部93A、挿通孔87を通り、さらにトラバース機構120のガイド部材122を経て巻取リール31に達するように巻回すこともできる。
このような構成により、筒体基部収容部36は、筒体基部81bの後方移動を規制板42A、42Bにより規制するとともに、前端板46によって前方移動を規制することになる。
図示の例では、供給リール支持軸32は、供給リール30がトラバース機構120(回転部材126とガイド部材122)および巻取リール31の後方に位置するように、巻取リール支持軸33の後方に定められている。またその巻取リール支持軸33は、巻取リール31がトラバース機構120(回転部材126とガイド部材122)の後方に位置するように、回転部材支持軸136および中間ギヤ支持軸132の後方に定められている。
第1のギヤ38は、図10、図11に示すように、円板状の基板89と、基板89の一方の面に形成された歯車部88とを有する。基板89の他方の面には、巻取リール31の係止凸部(図示略)に係止する係止突起(図示略)が形成されている。そして歯車部88は、駆動体13のギヤ受け部56の受け歯部56aに噛み合う歯部88aを有する。ここで、第1のギヤ38は、巻取リール31の第2フランジ板49Bに重ねて配置され、基板89の係止突起(図示略)が第2フランジ板49Bの係止凸部(図示略)に係止されるため、第1のギヤ38の回転に従って巻取リール31も回転する。一方、第1のギヤ38が巻取り方向とは逆の方向に回転する場合には、係止突起(図示略)は、係止凸部(図示略)には係止されない。
図3、図5に示すように、前記ガイド筒部81は、既述のように支持枠35(図3参照)の筒体基部収容部36に組み込んで支持枠35に組み付けられたブロック状の筒体基部81bと、この筒体基部81bから前側へ延出する延出筒部81cとを有する。
筒体基部81bの駆動体13に対面する側には、前後方向に互いに平行に延在する一対の突条81dが突設され、この一対の突条81dの間に、駆動体13の挿入凸部54が挿入される凸部案内溝81eが確保されている。
また、後筒部材82は、その後端部外周に突設されたフランジ部82bと、ガイド筒部81の筒体基部81bとの間に介在配置された後筒付勢手段85によってガイド筒部81に対して工具前側へ弾性付勢されている。図示例の後筒付勢手段85は具体的にはコイルスプリングであり、後筒部材82の前記フランジ部82bから後側の部分、及びガイド筒部81の延出筒部81cに外挿して、後筒部材82のフランジ部82bと、ガイド筒部81の筒体基部81bとの間に介在配置されている。
固定突起82cは、前筒部材83が後筒部材82前端部から不用意に抜け出さないように係止する機能を果たす。
なおここで回転部材126の円柱部126Bについて「円柱」と表現しているが、これは厳密な意味での中実円柱に限られることを意味するものではなく、中空な円筒をも含むことはもちろんである。
なお図16(a)〜(c)において、Tは往復動する回転部材126の片道分の移動距離、Wはテープ状の清掃体2(清掃テープ)のテープ幅、Lは巻取リール31のフランジ部間の距離である。また、図16(a)〜(c)は、第2のギヤ130、大径ギヤ128A、小径ギヤ128B、被動ギヤ部126Aの間のギヤ比を、図示の例では巻取リール31が6回転する間に、回転部材126が1回転するように定めた場合を例示している。
図1、図18から図20(a)〜(f)に示すように、図示例のコネクタ押さえ部材62は、前筒部材83にその軸線方向にスライド移動可能に外挿された筒状本体63と、この筒状本体63から前側に突設された門形の押さえ片部64と、筒状本体63からその後側に突出された指掛け部65とを有する。
指掛け部65は、外観角筒状の筒状本体63の4面の側壁部の一つから、工具後側に行くに従って筒状本体63の軸線から離隔するように湾曲して形成されている。
前筒部材83に対して、筒状本体63を強く引っ張ることで、筒状本体63が抜け止め突部83cを乗り越えて、前筒部材83から抜き出し可能である。また、前筒部材53から取り外した状態のコネクタ押さえ部材62の筒状本体63を前筒部材83前端から外挿することも可能である。
図示例の清掃工具1の延出部20は、清掃工具1の延出方向(前後方向)の長さを短くするため、収容体11内側にて付勢手段40をその前方のガイド筒部81と並べたことにより、収容体11前端中央からずれた位置に設けられている。コネクタ押さえ部材62は、図1に示すように、指掛け部65が、細長容器状の収容体11の中心軸線の仮想延長に対する延出部20のずれ方向とは反対の方向に向かって筒状本体63から突出する向き(第1の向き)と、延出部20を介して図1とは反対の方向に向かって突出する向き(第2の向き)でのみ前筒部材83に対して取り付け可能である。コネクタ押さえ部材62を第1の向きで取り付けた場合、第2の向きに比べて省スペース化の点で有利であり、例えば、清掃工具1を狭隘な作業スペースに差し入れて光ファイバの接合面を清掃する作業を楽に行えるといった利点がある。
前筒部材83に筒状本体63を外挿して取り付けたコネクタ押さえ部材62の指掛け部65は、収容体11を把持する手の手指を使って引っ張り操作可能な位置に配置される。
なお、指掛け部65の形状は、収容体11を把持する手の手指を使って引っ張り操作可能であれば良く、図示例の形状に限定されない。
指掛け部65は、例えば、筒状本体63後端からその軸線に垂直の方向に突出する形状とすることも可能である。
押さえ片部64は、筒状本体63の内側孔を介して互いに対面する側壁部から筒状本体63軸線方向に突出された一対の脚部64aを、筒状本体63軸線方向に垂直に延在する橋絡部64bによって橋絡した門形に構成されている。
前記橋絡部64bの延在方向中央部は、前筒部材83内側に収容されているヘッド部材23の先端ヘッド部28の押当て面24の前方にて、該押し当て面24に対向する位置に配置されている。
図18、図19、図21に示すように、コネクタ取付部66は、橋絡部64bの延在方向中央部に、その先端ヘッド部28に対向する側に光コネクタ70を収容するコネクタ収容溝66aと、該コネクタ収容溝66aに収容した光コネクタ70のコネクタ収容溝66aからの脱落を規制するコネクタ保持突部66bを形成した構成になっている。
図22、図23(a)〜(c)は、前記光コネクタ清掃工具1を用いて接合面の清掃を行う適用対象の光コネクタの一例を示す。
図示例の光コネクタ70の前記ボディ71には、光ファイバ61の先端部が、ボディ71片面の接合面72に沿う向きで内挿固定されている。また、前記ボディ71には、前記光ファイバ61先端の入射光又は出射光を反射して前記接合面72に交差する屈曲した光路H(図23(b)参照)を形成する凹所73が形成されている。前記凹所73は、前記光ファイバ61先端の光軸(具体的には、後述の裸光ファイバ61b先端の光軸)上に位置する。
前記光ファイバ61先端から出射された出射光は、前記光路Hを以て光コネクタ70のボディ71内を進行して、接合面72中央部から出射される。光コネクタ70の接合面72側から前記光ファイバ61に入射される入射光は、前記光路Hを以てボディ71内を進行して、光ファイバ61にその先端から入射する。
光ファイバテープ心線61Aは、テープ状の被覆部61aの両面及び被覆部61a先端から突出する裸光ファイバ61bがボディ71の接合面72に沿う向きで、ボディ71に固定されている。
ボディ71の凹所73は、前記反射面73aによって、光ファイバテープ心線61Aの複数本の裸光ファイバ61bについて前記光路Hを互いに平行に形成するべく、ボディ71の接合面72とは反対の背面76から窪んで、ボディ71幅方向に延在する溝状に形成されている。
前記接合面72の長手方向中央部の光路Hが配列されている領域を、以下、入出射領域77とも言う。
図23(b)、(c)に示すように、ボディ71の接合面72の長手方向中央部には、ボディ幅方向に延在する溝部74が形成されている。前記反射面73aによって、光ファイバテープ心線61Aの複数本の裸光ファイバ61bについてそれぞれ形成される光路Hは、具体的には、前記溝部74の溝底面74aを通るように形成される。図示例の光コネクタ70は、前記溝部74の溝底面74aが前記入出射領域77となっている。
なお、図示例の光コネクタ70の前記溝部74の溝底面74aは、前記接合面72に沿う平坦面に形成されている。
ここでは、一例として、清掃工具1を用いて、図22、図23を参照して説明した光コネクタ70の接合面72を清掃する場合について説明する。
なお、本明細書において、光コネクタ70の接合面72の長手方向中央部は、溝底面74aを含むものとして扱う。
光コネクタ70をコネクタ取付部66に取り付ける作業は、その作業性の確保に鑑みて、橋絡部64bを前筒部材83前端から前側へ離隔させた位置に配置する(図24の状態)か、あるいは、前筒部材83から取り外した状態で行なう。
この取り付け作業は、光コネクタ70をコネクタ取付部66のコネクタ収容溝66aに収容する。
また、コネクタ保持突部66bは、コネクタ収容溝66aの溝幅方向両側の内壁面における前記コネクタ収容溝溝底から離隔した位置に突設されている。図示例のコネクタ押さえ部材62にあっては、コネクタ保持突部66bは、前記内壁面の溝底とは反対側の端部に突設され、コネクタ収容溝66aの延在方向全長にわたって延在形成されている。
光コネクタ70は、コネクタ収容溝66aにその延在方向片端から挿入する。光コネクタ70は、コネクタ収容溝66aに対して、その光ファイバ61が延出されている後面78a(図22参照)とは反対の先端部から挿入していく。また、光コネクタ70は、その背面76を溝底側としてコネクタ収容溝66aに挿入する。
これにより、ボディ71の幅方向両側の、前記切り欠き部71aが形成された部分がコネクタ収容溝66aの溝底とコネクタ保持突部66bとの間にがたつくことなく保持される。また、このコネクタ取付部66では、コネクタ収容溝66aの内壁面及び/又はコネクタ保持突部66bが、光コネクタ70を先端ヘッド部28に対して位置決めする位置決め部として機能する。
このとき、光コネクタ70の溝部74は、コネクタ押さえ部材62の橋絡部64bの延在方向に沿って延在している。また、このとき、光コネクタ70の溝部74は、清掃体2(清掃テープ)の、先端ヘッド部28の押当て面24に沿って巻き回された部分に正対して配置される。
したがって、コネクタ押さえ部材62の指掛け部65を引っ張り操作して、光コネクタ70の接合面24に清掃体2を押し当てる際に、コネクタ保持突部66bが障害になるこはない。また、光コネクタ70の接合面24に清掃体2を押し当てるとき、コネクタ取付部66は、光コネクタ70を清掃体2に押さえ込むコネクタ押さえ部として機能する。
この作業は、例えば、コネクタ押さえ部材62の指掛け部65の引っ張り操作、によって行なうことができる。
そして、指掛け部65の引っ張り操作を継続して前筒部材83及び後筒部材82を収容体11に対して相対的に後側へ向かって移動する。
この初期状態においては、収容体11は、延出部20および送り機構3に対して相対的に比較的後方に位置している。
なお、コネクタ押さえ部材62の指掛け部65の引っ張り操作にかえて、収容部11を把持する手とは別の手でコネクタ押さえ部材62を収容部11に向かって押圧することでも、光コネクタ70を先端ヘッド部28の押当て面24に巻き回されている清掃体2に当接させることは可能である。
このとき、延出部20の筒体基部81bは、図9に示す規制板42A、42Bによって後方移動が規制された状態で筒体基部収容部36に収容されているため、送り機構3の前後方向位置は大きく変化しない。このため、付勢手段40は駆動体13により圧縮され、支持枠35からの反力により駆動体13を後方に付勢する状態となる。
またここで駆動体13が送り機構3に対し相対的に移動すれば、ギヤ受け部56によって、第1のギヤ38に回転方向の力が与えられる。この第1のギヤ38の回転に伴って巻取リール31も回転するため、テープ状の清掃体2は、ガイド部材122の貫通ガイド部124を経て、後述するように巻取リール31の軸線方向に沿って移動(トラバース)せしめられながら、巻取リール31の胴部47に巻取られる。
これに伴ってテープ状の清掃体2が供給リール30から引き出され、ヘッド部材23の押当て面24を通って送り移動される。このような清掃体2の送り移動によって、接合面72に付着しているゴミや埃、油分などの汚れが確実に拭き取られる。
ガイドピン付きの光コネクタ70の清掃の場合、テープ状の清掃体は接合面72のうち一対のガイドピン75の間の領域に押し当てる。
先端ヘッド部28には、押当て面24の幅方向中央部に、光コネクタ70の溝部74の溝底面74aに清掃体2を押し込んで溝底面74aの清掃を確実に行なうための突条部27が、押当て面24のその長手方向全長にわたって延在形成されている。
なお、清掃工具としては、ヘッド部材23に突条部27を具備していない構成も採用可能である。例えば、光コネクタ70の溝部54の深さは微小であることが多く、接合面72に押し付けた清掃テープの厚みによって溝部54内の清掃も可能である場合がある。
図34(a)〜(c)、図35(a)、(b)に示すように、前記カバー部材59は、光コネクタ70のボディ71の背面76を覆うカバー天板部59aの片面側に、前記ボディ71の長方形状の前記背面76の外周の4辺に対応する4面の外壁面(後面78a、側面78b、78c、先端面78d)のうちの光ファイバ61が延出されている後面78aを除く3面を覆うコ字状側壁部592を立設した構成のカバー部材本体591を有する。そして、このカバー部材59は、カバー部材本体591の内側に嵌合した光コネクタ70を収容して、前記光コネクタ70の接合面72を表出させた状態で光コネクタ70外側に装着される。
また、カバー部材59は、カバー端板部59d側の先端部とは反対の基端部に、一対のカバー側板部59b、59cのカバー天板部59aとは反対の突端部間を橋絡する橋絡片である第2位置決め突部59fを有する。第2位置決め突部59fは、一対のカバー側板部59b、59cの基端部(カバー端板部59dとは反対側の端部)間を橋絡している。第2位置決め突部59fは、一対のカバー側板部59b、59cに対して、カバー天板部59aとは反対のカバー開口側に突出して形成されている。
カバー付き光コネクタ70Aは、光コネクタ70の接合面72側が、カバー側板部59b、59c及びカバー端板部59dの突端から若干突出し、溝部74全体がカバー部材59外側に配置される構成になっている。溝部74の溝底面74aは、カバー側板部59b、59c及びカバー端板部59dの突端からカバー天板部59aとは反対のカバー部材59外側に配置される。また、光コネクタ70は、ボディ71長手方向中央部が、カバー部材59のカバー側板部59b、59cの延在方向中央部、該延在方向における第1、第2位置決め突部59e、59f間の位置に配置される。
この清掃工具210は、筒状延出部222に挿脱可能に外挿されたコネクタ押さえ部材62(図36では図示を省略)を有し、このコネクタ押さえ部材62によって、光コネクタを、ヘッド部材230に巻き回されて筒状延出部222先端に露呈する清掃体2に押し付けることができる。そして、この清掃工具210は、光コネクタの接合面を清掃体2に押し付けた状態で、ダイヤル225を回転操作することで、光コネクタの接合面を清掃できる。
この清掃工具210の筒状延出部222は、収容体部221前端部において、その片側に設けられたダイヤル225を避けるべく、ダイヤル225とは反対の側にずれた位置に設けられている。コネクタ押さえ部材62の筒状延出部222に対する取り付け向きは、指掛け部65が筒状延出部222に外挿されている筒状本体63からダイヤル225に向かって斜め後方(図37において右側が後)へ突出する第1の向き(図37に例示した向き)と、ダイヤル225とは反対の側に斜め後方へ突出する第2の向きとがある。筒状延出部222は、その軸線方向に垂直の断面外形が長方形状である。コネクタ押さえ部材62としては、例えば、前記第1の向きあるいは第2の向きでのみ筒状延出部222に筒状本体63を外挿可能なように、筒状延出部222の内側孔の断面形状を調整した構成とする。
コネクタ押さえ部材62は、筒状延出部222に対する取り付け向きが第1の向きであれば、第2の向きに比べて省スペース化の点で有利である。
例えば光コネクタの具体的構成は、本発明の技術的思想に適合する限り、なんら限定されるものではない。上述の実施形態では、光コネクタとして、図23(a)〜(c)に例示した多心用の表面実装型光コネクタを例示したが、これに限定されず、例えば単心用の表面実装型光コネクタも適用可能である。
また、表面実装型光コネクタには限定されず、種々のファイバ先端露出形光コネクタも適用可能である。例えば、多心光コネクタであるMT形光コネクタ、MPO形光コネクタ、単心光コネクタであるSC形光コネクタ、LC形光コネクタ、MU形光コネクタ等も適用可能である。
なお、光ファイバ先端に組み立てられた表面実装形光コネクタは、コネクタから延出する光ファイバが、コネクタ押さえ部材の押さえ片部64と干渉しにくいため、本発明に係る実施形態の清掃工具を用いた清掃に適用する光コネクタとして好適である。
Claims (7)
- 光コネクタの接合面を、送り移動される清掃体により拭き取り清掃する光コネクタ清掃工具であって、
前記清掃体の供給および引取りを行う送り機構と、前記送り機構を収容する収容体と、前記清掃体を前記光コネクタの接合面に当接させるための清掃体押圧部材と、この清掃体押圧部材を収容しかつ該清掃体押圧部材の清掃体受け面に沿って配置された清掃体を表出させる押圧部材収容壁部に脱着可能あるいは前記清掃体受け面に垂直の方向にスライド移動可能に取り付けられ、前記光コネクタを前記清掃体に押さえ込むコネクタ押さえ部材とを有し、
前記コネクタ押さえ部材又は前記押圧部材収容壁部に前記光コネクタを前記清掃体押圧部材の前記清掃体受け面に沿って配置された清掃体に対して位置決めするためのコネクタ位置決め部が設けられ、
前記コネクタ押さえ部材は、前記コネクタ押さえ部材を前記収容体を握った手の手指で前記収容体側へ引っ張り操作するための指掛け部を有し、前記指掛け部を引っ張り操作して前記光コネクタの接合面を前記清掃体に押し当てた状態にて前記清掃体を送り移動させることで前記光コネクタの接合面を清掃することを特徴とする光コネクタ清掃工具。 - 前記光コネクタは、前記接合面が形成されたボディに光ファイバの先端部が前記接合面に沿う方向に内挿固定され、前記光ファイバの入射光又は出射光の光路を前記光ファイバ先端の光軸に対して曲げて前記接合面を通るように形成する光軸変更部が前記ボディに設けられ、
前記清掃体に向かって前記光ファイバ先端の光軸方向とは異なる方向への押圧によって前記接合面が前記清掃体に押し当てられることを特徴とする請求項1に記載の光コネクタ清掃工具。 - 前記収容体に一体あるいは別体に構成され前記収容体から前側に延出する筒状延出部を有し、この筒状延出部の先端部を構成する押圧部材収容壁部に前記清掃体押圧部材が収容され、
前記コネクタ押さえ部材は、前記押圧部材収容壁部にその軸線方向にスライド移動可能に外挿された筒状本体と、この筒状本体に突設され、前記清掃体押圧部材の前側に張り出すコネクタ押さえ部が形成された押さえ片部とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光コネクタ清掃工具。 - 前記コネクタ押さえ部材は、前記筒状本体の外周あるいは後側に向かって突出し前記収容体からその前側に離隔させて配置された前記指掛け部を有することを特徴とする請求項3に記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記コネクタ押さえ部材の前記押さえ片部の前記コネクタ押さえ部に、光コネクタを収容するコネクタ収容溝と、該コネクタ収容溝の溝幅方向両側の内壁面における前記コネクタ収容溝の溝底から離隔した位置に突設され前記光コネクタの前記コネクタ収容溝からの脱落を規制するコネクタ保持突部とが形成され、前記コネクタ収容溝及び/又はコネクタ保持突部が前記コネクタ位置決め部として機能することを特徴とする請求項3又は4に記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記筒状延出部の前記押圧部材収容壁部外周に、前記コネクタ押さえ部材の筒状本体が後側から当接される抜け止め突部が突設され、前記コネクタ押さえ部材はその前端が前記抜け止め突部に当接する位置が、前記押圧部材収容壁部に対する工具前側への移動限界位置とされていることを特徴する請求項3〜5のいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
- 前記送り機構に設けられて前記収容体にその前後方向に移動可能に収容された支持枠を前記収容体に対して前方向に弾性付勢する付勢手段とを有し、
前記送り機構は、前記清掃体を前記清掃体押圧部材に供給する供給リールと、前記清掃体押圧部材を経た前記清掃体を巻き取る巻取リールとを前記支持枠に取り付けて構成され、
前記筒状延出部は前記送り機構に設けられて前記支持枠からその前側へ延出され、
前記収容体は、前記支持枠が、前記収容体に対して後側へ相対移動されることで、前記巻取リールを巻取り方向に回転駆動させて前記清掃体を送り移動させる駆動部を有することを特徴する請求項3〜6のいずれか1項に記載の光コネクタ清掃工具。
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