JP5820436B2 - 窯業タイル表面塗装用カラークリヤー塗料、塗装タイルおよび既設の窯業タイルの補修方法 - Google Patents

窯業タイル表面塗装用カラークリヤー塗料、塗装タイルおよび既設の窯業タイルの補修方法 Download PDF

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本発明は、主として建物の外壁等に使用される窯業タイルの表面塗装用カラークリヤー塗料、塗装タイルおよび既設の窯業タイルの補修方法に関する。
従来から、建築分野においては、耐久性、意匠性に優れていることから、外装材料として窯業タイルが広く使用されている。外装材料として使用される窯業タイルは経年変化による劣化、変色、割れ、剥落が生じると、その都度補修が必要となる。
この場合、補修が必要な既存の窯業タイルと同様の色合いの窯業タイルを新たに製造しようとしても、焼き物であるため、意図する一定の色合いの窯業タイルを必ずしも製造できるとは限らない。また、補修のための小ロットでの窯業タイルの製造は、コスト面で難がある。さらに、補修用の窯業タイルをタイル業者に発注してから手元に届くまでに3〜5ヶ月かかる場合があり、窯業タイルの発注から補修工事の施行までに時間がかかることがあった。
特許文献1には、磁器質タイルの表面に、タイル用エポキシ樹脂プライマーなどの強接着プライマーを塗装し、このプライマー上に色付きアクリルシリコン樹脂塗料などを用いた塗膜を形成する意匠タイルの塗膜形成方法が開示されている。
しかしながら、この塗膜形成方法では、磁器質タイルの表面にあらかじめプライマーを形成する必要があるため、時間がかかり、作業性が悪いという問題があった。また、光に脆弱なエポキシ樹脂がプライマーで存在するため、実体として最も需要の多いカラークリヤー仕上げは不可能である。
特許文献2には、窯業タイル面を塗装によって改修する方法であって、シリコン樹脂、フッ素樹脂などの結合剤及び着色剤を必須成分として含む、所定の隠ぺい率である着色透明塗料(A)を全面に塗装する第1の工程、所定の着色透明塗料(B)を斑点状に吹付塗装する第2の工程を含む窯業タイル面の改修方法が開示されている。
しかしながら、着色透明塗料(A)を用いて形成された塗膜と、窯業タイルとの密着耐久性が十分ではなかった。
特開2009−249866号公報 特開2004−225296号公報
本発明の課題は、塗装が迅速、簡単にでき補修工事などの作業性に優れ、しかも窯業タイルとの密着耐久性に優れるカラークリヤー塗膜を形成することができる窯業タイル表面塗装用カラークリヤー塗料、塗装タイルおよび既設の窯業タイルの補修方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
(1)トリアルコキシシリル基を有する塗料樹脂、着色剤および溶剤を含み、さらにジアルキルジアルコキシシランを含むものであることを特徴とする窯業タイル表面塗装用カラークリヤー塗料。
(2)トリアルコキシシリル基を有する塗料樹脂が、トリアルコキシシリル基を有する変性された架橋型アクリル樹脂および架橋型フッ素樹脂から選ばれる少なくとも1つである前記(1)記載のカラークリヤー塗料。
(3)着色剤が、金属酸化物系顔料である前記(1)または(2)に記載のカラークリヤー塗料。
(4)窯業タイルと、この窯業タイルの表面に前記(1)〜(3)のいずれかに記載のカラークリヤー塗料を塗装して形成されたカラークリヤー塗膜とからなる塗装タイル。
(5)カラークリヤー塗膜は、可視光領域での透過率が20%以上である前記(4)に記載の塗装タイル。
(6)カラークリヤー塗膜上にフッ素系アイオノマーを含有させた超親水性塗料を塗布して形成された超親水性塗膜を有する前記(4)または(5)に記載の塗装タイル。
(7)フッ素系アイオノマーが、パーフルオロスルホン酸基を側鎖に有する4フッ化エチレンおよびフッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位からなるグラフトポリマーのアイオノマーである前記(6)に記載の塗装タイル。
(8)構造体の表面に貼着された既設の窯業タイルから補修が必要なタイルを外した部位または既設の窯業タイルが剥落した部位に、既設の窯業タイルの色調に合うように調整された前記(4)〜(7)のいずれかに記載の塗装タイルを貼着する既設の窯業タイルの補修方法。
本発明の窯業タイル表面塗装用カラークリヤー塗料によれば、塗装が迅速、簡単にでき補修工事などの作業性に優れ、しかも窯業タイルとの密着耐久性に優れるカラークリヤー塗膜を形成することができる。
本発明の塗装タイルによれば、窯業タイルとの密着耐久性に優れ、例えば、この塗装タイルを補修用に用いれば、長期間補修する必要はなくなる。
本発明の既設の窯業タイルの補修方法によれば、窯業タイルの表面にプライマーを形成する必要がないため、作業効率を向上し、従来の補修方法よりも作業性に優れる。さらに長期にわたって補修が不要となり、構造体の補修箇所を周囲と同化させ目立たなくすることができ、以前とほとんど見分けがつかないほど自然な感じで仕上げることができる。また、補修用の窯業タイルを小ロットで製造する場合に比べてコスト面で有利である。さらに、補修用の窯業タイルをタイル業者に発注する場合に比べて、補修用の窯業タイルの納期を短縮することができ、補修工事の受注から施行完了までの期間を短縮することができる。
〔カラークリヤー塗料〕
本発明の窯業タイル表面塗装用カラークリヤー塗料は、所定の塗料樹脂、着色剤および溶剤を含み、さらにジアルキルジアルコキシシランを含み、窯業タイルの表面の塗装に用いられる。このカラークリヤー塗料で窯業タイルの表面を塗装することで、窯業タイルの意匠を観察できる透明性を有するカラークリヤー塗膜を窯業タイルの表面上に迅速、簡単に形成することができる。
(塗料樹脂)
塗料樹脂としては、トリアルコキシシリル基を有し、窯業タイルとの密着耐久性に優れるカラークリヤー塗膜とすることができるものであれば従来公知の塗膜形成性樹脂が挙げられ、なかでも、塗装適性、塗膜強度、高度の耐候性の観点から、トリアルコキシシリル基が架橋官能基となるように変性された熱可塑性アクリル樹脂、架橋型アクリル樹脂、熱可塑性ポリエステル樹脂、架橋型ポリエステル樹脂、架橋型フッ素樹脂等が好ましく、なかんずく窯業タイルと同等の耐候性を保持させる観点に加えて窯業タイル面への良好な接着性を確保する観点からトリアルコキシシリル基が架橋官能基となるように変性された架橋型アクリル樹脂および架橋型フッ素樹脂から選ばれる少なくとも1つであるのがより好ましい。
塗料樹脂は、例えば、架橋型アクリル樹脂、架橋型フッ素樹脂などの有機樹脂にトリアルコキシシリル基を有する硬化剤成分を反応させて得られる。
トリアルコキシシリル基を有する硬化剤成分としては、トリアルコキシシリル基を有し、使用する有機樹脂が有する反応性基に応じて、該反応性基と反応性を有するものであればよく、例えば、イソシアネート化合物、アミンアダクト、ポリアミン、ポリアミド、酸無水物、アミノ変性シラン、イソシアネート変性シラン等のシラン化合物、イソシアネートシラン、シランカップリング剤などが挙げられる。
イソシアネートシランの具体例としては、分子の一端にアルコール性水酸基と反応するイソシアネートシランを有し、他端にトリメトキシシリル基あるいはトリエトキシシリル基を有する化合物などが挙げられる。
硬化剤成分におけるトリアルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基などの各アルコキシ基が炭素数1〜4、特に1〜2のものが挙げられる。
硬化剤成分を用いる場合の硬化剤成分の使用量は、カラークリヤー塗料100重量部に対して、通常、3〜15重量部、好ましくは5〜10重量部、より好ましくは5〜7重量部である。
この塗料樹脂としては、例えば、後述する市販品を使用することができる。(株)カネカ製の「ゼムラックAM−1226」は、樹脂そのものの側鎖にすでにトリメトキシシリル基が備わっているタイプであり、このような架橋型アクリル樹脂は業界の慣例として特に「アクリルシリコン樹脂」と呼ばれる。
また、DIC(株)製の「アクリディックBZ−1161」は本来3級アミノ基がグラフトされた架橋型アクリル樹脂である。この架橋型アクリル樹脂と、エポキシシランの硬化剤成分であるDIC(株)製の「アクリディックA−9585」とを反応させることにより末端にトリメトキシシリル基が備わる樹脂に変性される。
同様に例えば側鎖にアルコール性水酸基がグラフトされた一般的な架橋型アクリル樹脂や、側鎖にアルコール性水酸基がグラフトされた架橋型フッ素樹脂と、硬化剤成分であるイソシアネートシランとを反応させても同様に末端にトリメトキシシリル基が備わる樹脂に変性させられることになる。
このような架橋型フッ素樹脂の例としては、旭硝子(株)製の「ルミフロンLF−600X」、「ルミフロンLF−552」、「ルミフロンLF−600X」、「ルミフロンLF−600X」;ダイキン工業(株)製の「ゼッフルGK−510」、「ゼッフルGK−570」、「ゼッフルGK−580」;DIC製(株)の「フルオネートK−702」、「フルオネートK−703」等が挙げられる。
これらの変性に用いられるイソシアネートシランの例としては、信越化学工業(株)製の「KBE−9007」;モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製の「SILQUEST A−LINK35」等が挙げられる。
塗料樹脂の使用量は、カラークリヤー塗料100重量部に対して、通常、10〜40重量部、好ましくは15〜35重量部、より好ましくは15〜30重量部である。
(ジアルキルジアルコキシシラン)
本発明のカラークリヤー塗料は、トリアルコキシシリル基を有する塗料樹脂を含み、さらにジアルキルジアルコキシシランを含む。これにより、窯業タイルとの密着耐久性に優れるカラークリヤー塗膜とすることができる。これは、塗膜形成成分の構造中にシラノール基と反応して結合を形成するトリアルコキシシリル基に加え、その硬化収縮を緩和するジアルキルジアルコキシシラン由来の直鎖状構造が多く存在することに起因すると考えられる。
ジアルキルジアルコキシシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジプロポキシシラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジプロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、メチルエチルジエトキシシラン、メチルエチルジプロポキシシラン、メチルエチルジブトキシシランなどが挙げられ、なかでも、ジメチルジメトキシシランが好ましい。
ジアルコキシジルコキシシランとしては市販品を使用することができ、例えば、信越化学工業(株)製の「KBM22」、モメンティブパーフォーマンスケミカルズ製の「TSL8802」などが挙げられる。
ジアルキルジアルコキシシランの使用量は、カラークリヤー塗料100重量部に対して、通常、0.5〜8.0重量部、好ましくは0.5〜5.0重量部、より好ましくは0.6〜3.0重量部である。
<着色剤>
着色剤としては、例えば、金属酸化物系顔料、有機顔料、体質顔料などが挙げられ、なかでも、構造体の表面に貼着された既設の窯業タイルの褪色傾向にそろえる観点から、金属酸化物系顔料が好ましい。
金属酸化物系顔料としては、例えば、酸化チタン、赤色酸化鉄、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、フェライト、カーボンブラック、酸化クロム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マンガン、酸化コバルト、二酸化ケイ素、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、チタンイエロー、雲母、コバルトグリーン、チタンコバルトグリーン、コバルトブルー、コバルトアルミクロムブルー、コバルトクロムグリーン、セルリアンブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、酸化亜鉛、銅クロムブラック、銅−鉄マンガンブラック、クロムスズピンク、クロムアルミナピンク、バナジウムブルー、プラセオジウムイエロー、ビクトリアグリーン、ケイ酸コバルトなどが挙げられる。
着色剤の使用量は、所望する塗装タイルのカラーに応じて適宜調整すればよく、カラークリヤー塗料100重量部に対して、通常、20.0重量部以下、好ましくは0.5〜15.0重量部、より好ましくは0.5〜10.0重量部である。着色剤の使用量が上記範囲内であれば、下地の意匠性、すなわちカラークリヤー塗料が塗装される窯業タイルの表面の意匠性を生かした塗装タイルとすることができる。
<溶剤>
溶剤としては、樹脂との相溶性を示す範囲で公知慣用の塗料用有機溶剤を採用することができる。また更にはフッ素系溶剤の採用も可能である。フッ素系溶剤の市販品の例としては旭硝子(株)製の「アサヒクリンAK−225」、「アサヒクリンAE−3000」;日本ゼオン(株)製の「ゼオローラH」等が挙げられる。
溶剤の使用量は、カラークリヤー塗料100重量部に対して、通常、30〜80重量部、好ましくは40〜70重量部、より好ましくは40〜60重量部である。
<添加物>
カラークリヤー塗料は、所定の塗膜形成成分、着色剤および溶剤の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、触媒、可塑剤、防腐剤、防黴剤、消泡剤、レベリング剤、顔料分散剤、沈降防止剤、たれ防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤などの添加剤を単独あるいは併用して含有してもよい。
〔塗装タイル〕
本発明の塗装タイルは、窯業タイルと、この窯業タイルの表面に上述したカラークリヤー塗料を塗装して形成されたカラークリヤー塗膜とからなる。カラークリヤー塗膜は、上述したカラークリヤー塗料を用いて形成されるので、窯業タイルとの密着耐久性に優れ、例えば、この塗装タイルを補修に用いれば、長期間補修する必要はなくなる。
(窯業タイル)
窯業タイルとしては、特に限定されず、磁器質タイル、せっ器質タイル、半磁器質タイル、陶器質タイルなどを含み、市販されている新品のものであっても、例えば、構造体の表面に貼着された既設の窯業タイルなど使用済みのものであってもよい。
(カラークリヤー塗膜)
カラークリヤー塗膜は、可視光領域での透過率が好ましくは20%以上、より好ましくは25〜80%、さらに好ましくは30〜60%である。可視光領域での透過率が上記範囲内であれば、下地の意匠性、すなわちカラークリヤー塗料が塗装される窯業タイルの表面の意匠性を生かすことができる。なお、可視光領域での透過率は実施例に記載の測定方法により測定される。
カラークリヤー塗膜の厚みは、特に限定されず、通常、10〜80μm、好ましくは20〜60μm、より好ましくは20〜40μmである。
(超親水性塗膜)
塗装タイルは、カラークリヤー塗膜上にフッ素アイオノマーを含有させた超親水性塗料を塗布して形成された超親水性塗膜を有するのが好ましい。これにより、窯業タイルと同等の親水性を塗装タイルに付与することができ、降雨やシャワー水の噴射によって塗装タイルに付着した汚れなどを容易に落とせ、窯業タイルと同等の防汚防止機能を付与することができる。また、超親水性塗料の乾燥時間が常温で数十秒程度と極めて短いために養生が不要である。なお、本発明における超親水性とは、水との接触角に換算して5゜以下の水濡れ性を呈する状態をいう。
超親水性塗膜の厚みは、特に限定されず、通常、0.5〜5μm、好ましくは1〜4μm、より好ましくは1〜3μmである。
超親水性塗料は、例えば、下記式で表わされるパーフルオロスルホン酸基を側鎖に有する4フッ化エチレンおよびフッ化ビニリデンから選らばれる少なくとも1つの繰り返し単位からなるフッ素系グラフトポリマー(Nafion(ナフィオン)(デュポン社の登録商標)を主成分とし、このフッ素系グラフトポリマーをメタノールで溶解して希釈し、そのままあるいはさらに水を加えて混合し水溶液にした透明な塗料である。
フッ素系グラフトポリマーの使用量は、超親水性塗料100重量部に対して40重量部程度もしくはそれ以上含有するのが好ましい。
Figure 0005820436
(式中、Rfはパーフルオロ基、SO3Hはスルホン酸基で、x、yは整数である。)
(カラークリヤー塗料、超親水性塗料の塗布方法)
カラークリヤー塗料、超親水性塗料の塗装方法は、特に限定されず、例えば、はけ塗り、ローラ塗り、スプレー塗りなどの公知の塗装方法が挙げられる。このような塗布は、コストの点で、例えば、工場などで、カラークリヤー塗料、超親水性塗料を窯業タイルに一枚一枚塗装するのが好ましい。
(塗装タイルの用途)
このような塗装タイルは、後述する構造体の表面に貼着された既設の窯業タイルの補修用窯業タイルなどに好適に用いられる。
〔既設の窯業タイルの補修方法〕
本発明の既設の窯業タイルの補修方法は、構造体の表面に貼着された既設の窯業タイルから補修が必要なタイルを外した部位または既設の窯業タイルが剥落した部位に、当該既設の窯業タイルの色調に合うように調整された上述の塗装タイルを貼着する方法である。これにより、長期にわたって補修が不要となり、構造体の補修箇所(タイル張替箇所)を周囲と同化させ目立たなくすることができ、以前とほとんど見分けがつかないほど自然な感じで仕上げることができる。また、補修用の窯業タイルを小ロットで製造する場合に比べてコスト面で有利である。さらに、補修用の窯業タイルをタイル業者に発注する場合に比べて、補修用の窯業タイルの納期を短縮することができ、補修工事の受注から施行完了までの期間を短縮することができる。
本発明における構造体とは、窯業タイルが表面に貼着されている構造体を指し、例えば、マンサード、パラペット、勾配屋根、外壁がタイル貼りされた建物;屋内の水廻り、飾り台、天井、内壁がタイル貼りされた建物などが挙げられる。
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(比較例1)
熱硬化型アクリル樹脂「アクリディックBZ−1161」(DIC(株)製品)50gと、銅、クロム、マンガンを主成分とする金属酸化物系黒色顔料「ダイピロキサイドブラック#3510」(大日精化工業(株)製品)3gを混合してミル分散し、その後、キシレン20g、酢酸エチル22gを加えてよく攪拌した。さらに末端にトリメトキシシリル基を有する硬化剤成分として「アクリディックA−9585」(DIC(株)製品)5gを追加して均一になるまでよく攪拌し、耐久性を有し、トリメトキシシリル基を架橋硬化成分とする黒色系カラークリヤー塗料(A)を得た。
(実施例1)
比較例1で得られた黒色系カラークリヤー塗料(A)にジメチルジメトキシシランである「KBM22」(信越化学工業(株)製品)を更に5g添加してよく攪拌し、黒色系カラークリヤー塗料(A−1)を得た。
なお、「アクリディックBZ−1161」は不揮発分44%の溶液であるため50g中の樹脂分は24.2gとなる。硬化剤成分の「アクリディックA−9585」はほぼ100%が反応成分であるため、これの5gがグラフト重合することにより不揮発分換算で29.2gの「トリアルコキシシリル基を有する変性された架橋型アクリル樹脂」が生成されたことになる。
(比較例2)
熱硬化型アクリル樹脂「アクリディックBZ−1161」(DIC(株)製品)55gと、銅、クロム、マンガンを主成分とする金属酸化物系黒色顔料「ダイピロキサイドブラック#3510」(大日精化工業(株)製品)10gを混合してミル分散し、その後、キシレン20g、酢酸エチル15gを加えてよく攪拌した。さらに末端にトリメトキシシリル基を有する硬化剤成分として「アクリディックA−9585」(DIC(株)製品)5gを追加して均一になるまでよく攪拌し、耐久性を有し、トリメトキシシリル基を架橋硬化成分とする黒色塗料(B)を得た。
(比較例3)
フッ素樹脂「ルミフロンLF600X」(旭硝子(株)製品)45gと酸化鉄系赤色顔料「モリシタカラーMR−320A」(森下弁柄工業(株)製品)3gを混合してミル分散し、その後、キシレン32g、トルエン15gを加えてよく攪拌した。さらに架橋成分にトリメトキシシリル基を導入するための硬化剤成分としてγ―イソシアネートプロピルトリメトキシシラン「SILQUEST A−LINK35」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製品)5gとその反応促進触媒であるジブチル錫ジアセテート0.005gを加えて均一になるまでよく攪拌し、更に30℃で24時間静置してその反応を進めて、耐久性を有し、トリメトキシシリル基を架橋硬化成分とする赤色系カラークリヤー塗料(C)を得た。
(実施例2)
比較例3で得られた赤色系カラークリヤー塗料にジメチルジメトキシシランである「KBM22」(信越化学工業(株)製品)を更に5g添加してよく攪拌し、赤色系カラークリヤー塗料(C−1)を得た。
なお、「ルミフロンLF600X」は不揮発分50%の溶液であるため45g中の樹脂分は22.5gとなる。硬化剤成分の「SILQUEST A−LINK35」はほぼ100%が反応成分であるため、これの5gがグラフト重合することにより不揮発分換算で27.5gの「トリアルコキシシリル基を有する変性された架橋型フッ素樹脂」が生成されたことになる。
(比較例4)
フッ素樹脂「ルミフロン LF600X」(旭硝子(株)製品)45gと、酸化鉄系赤色顔料「モリシタカラーMR−320A」(森下弁柄工業(株)製品)10gを混合してミル分散し、その後、キシレン25g、トルエン15gを加えてよく攪拌した。さらに架橋成分にトリメトキシシリル基を導入するための硬化剤成分としてγ―イソシアネートプロピルトリメトキシシラン「SILQUEST A−LINK35」(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製品)5gとその反応促進触媒であるジブチル錫ジアセテート0.005gを加えて均一になるまでよく攪拌し、更に30℃で24時間静置してその反応を進めて、耐久性を有し、トリメトキシシリル基を架橋硬化成分とする赤色塗料(D)を得た。
(塗装タイルの作製)
外装用の模様入り窯業タイル「STG−1−89」(ニッタイ工業(株)製品)の表面に、実施例1,2、比較例1〜4で得られた各々の塗料をスプレー塗装し、24時間常温で放置の後、湿度70%室温45℃の恒温恒湿槽でエージングし、塗装タイルを得た。尚、スプレー塗装時は乾燥時のクリヤーカラー塗膜の厚みがほぼ20μmになるように塗布量を調整した。
得られた塗装タイル各々について、下記の評価をした。その結果を表1に示す。
(光沢保持率)
塗装タイルの促進耐候試験を行なった。具体的には、塗装タイルをメタルウェザー促進耐候試験機(ダイプラウィンテス(株)製)に入れ、メタルハライドランプ照射強度を60mW/m2とし、照射時間を16時間、降水時間を2時間、暗置時間を6時間の合計24時間を1サイクルとして、20サイクル実施した(屋外曝露12〜15年に相当)。
光沢計GM−1(スガ試験機(株)製)を用いて、試験後の塗装タイルの試験前の塗装タイルに対する光沢保持率を算出し、その結果を表1に示す。
(1次密着性)
塗装タイルについて、JIS K 5400(1990)に定められる碁盤目テープ法に準拠して行ない、100個の桝目のうち剥離しなかった桝目の数で評価した。
(2次密着性)
塗装タイルを沸騰水中に5時間浸漬し、次いで、この塗装タイルについて、JIS K 5400(1990)に定められる碁盤目テープ法に準拠して行ない、100個の桝目のうち剥離しなかった桝目の数で評価した。
(下地意匠の維持効果)
塗装タイルの外観を目視観察して、以下の判定基準で評価した。
◎:意匠模様がまったく損なわれずにくっきりと映っている。
○:意匠模様がほぼ確認できる。
△:目を凝らすと意匠模様がうっすら確認できる。
×:意匠模様が隠ぺいされてしまって確認できない。
(可視光透過率)
ガラス(武藤化学(株)製の「カバーグラス」)の表面に塗装タイル同じ条件で実施例1,2、比較例1〜4で得られた各々の塗料を塗装した試験片を用意した。
この試験片について、可視光透過率(紫外・可視分光光度計「ShimadzuUV=3150」((株)島津製作所社製)を用いて波長400〜750nmでの透過率を測定し、測定した透過率のうち、一番低い値を示した透過率を表1に示す。
Figure 0005820436

Claims (4)

  1. 窯業タイルと、
    この窯業タイルの表面に、トリアルコキシシリル基を有する塗料樹脂、着色剤および溶剤を含み、さらにジアルキルジアルコキシシランを含むカラークリヤー塗料を塗装して形成されたカラークリヤー塗膜と
    このカラークリヤー塗膜上にフッ素系アイオノマーを含有させた超親水性塗料を塗布して形成された超親水性塗膜と
    からなる塗装タイル。
  2. カラークリヤー塗膜は、可視光領域での透過率が20%以上である請求項に記載の塗装タイル。
  3. フッ素系アイオノマーが、パーフルオロスルホン酸基を側鎖に有する4フッ化エチレンおよびフッ化ビニリデンから選ばれる少なくとも1つの繰り返し単位からなるグラフトポリマーのアイオノマーである請求項に記載の塗装タイル。
  4. 構造体の表面に貼着された既設の窯業タイルから補修が必要なタイルを外した部位または既設の窯業タイルが剥落した部位に、
    既設の窯業タイルの色調に合うように調整された請求項のいずれかに記載の塗装タイルを貼着する既設の窯業タイルの補修方法。
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