JP5818522B2 - スクリュー圧縮機 - Google Patents
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Description
また、このずれを小さくする従来の方法として、モーター駆動電力の変化推移を位置制御にフィードバックさせる制御が開示されているが、制御方法が複雑で制御装置が高価になる問題があった。
また、前記可変Vi弁の内面吐出側端部から取り出された歯溝内圧を可変Vi弁に連結されたピストンを収納するシリンダー室へ導き、吐出開始前後の歯溝内圧力と吐出圧力との差により、最適な位置へ自動的に可変Vi弁を移動させることで、複雑な制御装置を必要とせず、簡素で安価な機構で高効率なスクリュー圧縮機を提供することを目的とする。
図1は、本発明の実施の形態1に係るスクリュー圧縮機の概略構成図である。
この実施の形態1に係るスクリュー圧縮機は、シングルスクリュー圧縮機であり、図1に概略の構成を示すように、筒状のケーシング本体1と、このケーシング本体1内に収容されたスクリューローター3と、このスクリューローター3を回転駆動するモーター2とを備えている。このモーター2は、ケーシング本体1に内接して固定されたステーター2aと、ステーター2aの内側に配置されたモーターローター2bとから構成され、インバーター方式で回転数が制御されるようになっている。スクリューローター3とモーターローター2bとは互いに同一軸線上に配置されており、いずれもスクリュー軸4に固定されている。また、スクリューローター3は、複数の螺旋状の溝(スクリュー溝)が形成されており、スクリュー軸4に固定されたモーターローター2bに連結されて回転駆動される。また、スクリューローター3の円筒面に形成された隣接する溝の空間は、ケーシング本体1の内筒面およびこの溝に噛み合い係合する一対のゲートローター(図示せず)によって囲まれて圧縮室5を形成する。また、ケーシング本体1は隔壁(図示せず)により吐出圧力側と吸入圧力側とが隔てられ、吐出圧力側には吐出室6に開口する一対の吐出口7が形成されている。さらに、ケーシング本体1には一対のロッド9および駆動装置10に連結され軸方向に移動可能な一対の可変Vi弁8が設けられており、吐出口7の一部を形成している。なお、もう一方の可変Vi弁8に連結する駆動装置10については図示を省略している。
図2に示すように、可変Vi弁8は、弁本体8aと、ガイド部8bと、連結部8cとから構成されており、ガイド部8bの内面吐出側端部8eには連結部8cが設けられ、駆動装置10側端面8fには上記ロッド9が連結されている。また、弁本体8aとガイド部8bとの間は連結部8cによって連結されるとともに、上記吐出口7に連通する空隙を形成している。そして、弁本体8aの内面吐出側端部8dの近傍に歯溝内圧取り出し穴14が設けられている。この歯溝内圧取り出し穴14を通じて吐出開始前後の圧縮ガスの歯溝内圧が検出可能となっている。
駆動装置10は、内部容積比可変機構の一部であり、シリンダー11内に設けられたピストン12、13と、可変Vi弁8とをロッド9にて連結する構成となっている。
また、ピストン隔壁15に対して前側(可変Vi弁方向)にある第1ピストン12の両側には2つの第1シリンダー室16a、16bが形成され、ピストン隔壁15に対して後ろ側(反可変Vi弁方向)にある第2ピストン13の両側にも同様に2つの第2シリンダー室17a、17bが形成される。つまり、シリンダー11の内部は、ピストン隔壁15と2つのピストン12、13とによって、前方から順に4つのシリンダー室16a、16b、17a、17bに分けられている。
また、各シリンダー室16a、16b、17a、17bには、それぞれ吐出室6、歯溝内圧取り出し穴14、吐出室6、ケーシング本体1内の吸入圧力室と連結する圧力導入孔116a、116b、117a、117bを設けている。
ケーシング本体1には歯溝内圧取り出し穴14に連通する連通路19が設けられ、この連通路19と歯溝内圧取り出し穴14とは可変Vi弁8の表面(外周面)において軸方向に延びる溝状の凹部20を介して連通している。すなわち、凹部20は、可変Vi弁8が所定の距離を移動しても常に連通路19が凹部20内にあるような範囲に設けており、連通路19と歯溝内圧取り出し穴14とが確実に連結するように構成されている。
連通路19はケーシング本体1の壁内部をシリンダー11の方向に延ばして設けてあり、上記の第1シリンダー室16bに接続されている。
(i)不足圧縮状態からの動作
図4に不足圧縮状態からの動作説明図を示す。図4において(a)は圧力バランス前の圧縮室内の圧力変化、(b)は圧力バランス後の圧縮室内の圧力変化、(c)は(a)の状態における可変Vi機構内の圧力分布図である。
次に、各ピストンと可変Vi弁に作用する圧力と動作を図4(c)を用いて説明する。
弁本体8aの吸入側端部には吸入圧力が作用し、端部8dには吐出直後の圧力が作用している。またガイド8bの端部8eには端部8dに作用するのと同じ圧力が作用し、端部8fには吐出室6の圧力が作用している。すなわち、可変Vi弁内部の端面8dと8eに作用する荷重は相殺されるので、可変Vi弁には両端に作用する吸入圧力と吐出圧力の差圧による荷重が作用することになる。
第2シリンダー室17において、第2ピストン13のロッド9を連結した端面側には吐出室6の圧力を導入、反対側には吸入圧力が導入される。第2ピストン13に作用する圧力方向が可変Vi弁とは逆方向に作用し、さらに作用面積についてもロッド9の有無を一致しているので、可変Vi弁に作用する荷重が第2ピストンに作用する荷重で相殺される。
なお、可変Vi弁8の内面吐出側端部の歯溝内圧取り出し穴14より取り出される歯溝内圧は図4の白抜き矢印のように検出範囲があり、歯溝内圧取り出し穴14の穴径や位置によって調整可能である。
これらのことから、不足圧縮による動力ロスが小さくなる運転が可能となり、スクリュー圧縮機の効率を向上させることができる。
図5に過圧縮状態からの動作説明図を示す。図5において(a)は可変Vi機構圧力バランス前の圧縮室内の圧力変化、(b)は可変Vi機構圧力バランス後の圧縮室内の圧力変化、(c)は(a)における可変Vi機構に作用する圧力と可変Vi機構の駆動方向である。
図5(a)に示すように低圧縮比運転時の場合には、逆に冷媒ガスの吐出が開始する前に歯溝内圧力が既に吐出圧力を超えており、過圧縮状態となっている。このように、過圧縮状態では吐出が開始される前に既に歯溝内圧力が吐出圧力を超えているため、余分な圧縮仕事がなされており、それにより動力ロスが発生する。また、可変Vi弁8の内面吐出側端部の歯溝内圧取り出し穴14より取り出された歯溝内圧は図5(a)に示すような圧力検出範囲となっている。このような状態から吐出圧力と吐出開始前後の歯溝内圧の関係は吐出圧力が吐出開始前後歯溝内圧より低くなることにより、第1シリンダー室は可変Vi弁(図5(c)中右)方向へ荷重が作用することとなり、ピストンおよび可変Vi弁は可変Vi弁(図5(c)中右)方向すなわち内部容積比が小さくなる方向へ移動することとなる。そして、可変Vi弁8が可変Vi弁(図5(c)中右)方向すなわち内部容積比が小さくなる方向へ移動することにより、吐出口が開くタイミングが早くなるため、吐出開始前後の歯溝取り出し圧力は低下する。このとき、不足圧縮状態の場合同様、第2シリンダー内に設けられているピストン13の荷重と可変Vi弁8に作用される荷重はどちらも吐出圧力と吸入圧力の差圧となるため、相殺されている。これらのことから可変Vi弁8は図5(b)に示すような歯溝取り出し圧力と吐出圧力の差圧が小さい位置すなわち最適Vi値となる位置まで移動する。そのため、過圧縮による動力ロスが小さくなる運転が可能となり、スクリュー圧縮機の効率を向上させることができる。
図6は本発明の実施の形態2に係るスクリュー圧縮機の概略構成図である。
上記の実施の形態1では可変Vi弁8の軸方向移動を各圧力の差圧およびバランスにより自動的に制御する駆動装置10をそれぞれの弁に対して一つ設ける構成を示したが、この実施の形態2では可変Vi弁8の内面吐出側端部近傍に設けた歯溝内圧取り出し穴14より検出された歯溝内圧を参照し、内部容積比可変機構を構成する駆動装置21により可変Vi弁8の軸方向へ駆動するとともに、この駆動装置21および可変Vi弁8の位置を制御する内部容積比制御装置22を設ける構成とする。
以上に説明した実施の形態1、2において、可変Vi弁8の内面吐出端部近傍の穴より取り出された圧力は圧縮ガスの歯溝内圧であるため、図4、図5に示されるように検出範囲内で圧力変化があること、また、歯溝間を跨ぐ際にも圧力変化が発生するため、圧力脈動が発生し、この圧力脈動が可変Vi弁8の駆動へ微小な振動などの影響を与える場合がある。したがって、この圧力脈動がピストン12、13などの内部容積比駆動機構へ伝播することを低減する必要があり、そのためには、可変Vi弁8の歯溝内圧取り出し穴14より取り出された圧力の経路内に絞り機構(図示せず)を設ける構成とする。これにより、可変Vi弁8の歯溝内圧取り出し穴14より取り出された圧力の検出時に発生する圧力脈動を低減でき、精度良く内部容積比を制御することが可能となり、より安定したスクリュー圧縮機の性能向上が可能なる。
Claims (5)
- 内部容積比Viを可変にするための可変Vi弁を含む内部容積比可変機構を備えたスクリュー圧縮機において、
前記可変Vi弁は、吐出開始前後の歯溝内圧を取り出すための穴を有し、ロッドを介して前記内部容積比可変機構に連結され、
前記内部容積比可変機構は、
シリンダーと、前記シリンダー内の空間を隔てるピストン隔壁と、前記ピストン隔壁の両側に設けられた2つのピストンと、を有し、
前記可変Vi弁に連結されたロッドは、
前記ピストン隔壁と前記2つのピストンと前記シリンダーを貫通して設けられ、
前記シリンダーの内部は、
前記ピストン隔壁と前記2つのピストンにより4つの空間室に区画され、
前記4つの空間室は、
2つの吐出圧力室、前記穴と連結された歯溝内圧室、吸入圧力室から構成され、
前記2つのピストンは、
前記吐出圧力室、前記歯溝内圧室、前記吐出圧力室、吸入圧力室に導入された各圧力で前記内部容積比可変機構を駆動することにより前記可変Vi弁の位置制御を行うことを特徴とするスクリュー圧縮機。 - 内部容積比Viを可変にするための可変Vi弁を含む内部容積比可変機構を備えたスクリュー圧縮機において、
前記可変Vi弁は、吐出開始前後の歯溝内圧を取り出すための穴を有し、ロッドを介して前記内部容積比可変機構に連結され、
前記内部容積比可変機構は、
シリンダーと、前記シリンダー内の空間を隔てるピストン隔壁と、前記ピストン隔壁の両側に設けられた2つのピストンと、を有し、
前記可変Vi弁に連結されたロッドは、
前記ピストン隔壁と前記2つのピストンと前記シリンダーを貫通して設けられ、
前記シリンダーの内部は、
前記ピストン隔壁と前記2つのピストンにより4つの空間室に区画され、
前記4つの空間室は、
前記可変Vi弁に近い順に、吐出圧力室、前記穴と連結された歯溝内圧室、吐出圧力室、吸入圧力室として配置されており、
前記2つのピストンは、
前記吐出圧力室、前記歯溝内圧室、前記吐出圧力室、吸入圧力室に導入された各圧力で前記内部容積比可変機構を駆動することにより前記可変Vi弁の位置制御を行うことを特徴とするスクリュー圧縮機。 - 前記歯溝内圧を取り出すための穴は、
前記可変Vi弁の内面吐出側端部の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスクリュー圧縮機。 - 前記穴から取り出された歯溝内圧が前記内部容積比可変機構に連通する径路に、絞り機構を設けたことを特徴とする請求項1又は2記載のスクリュー圧縮機。
- 前記歯溝内圧を取り出すための穴に連通する連通路をケーシング本体に設け、前記穴と前記連通路とは前記可変Vi弁の外周面に設けた軸方向に長い凹部を介して連通していることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のスクリュー圧縮機。
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