JP5818132B2 - インゴットの製造方法 - Google Patents
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Description
このような問題に対して、合金−スラグ間の反応平衡を制御するために、ESR用消耗電極中のTi量およびAl量に対して所定のTiおよびAlを含有させたスラグを用いることが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示される提案は、得られるインゴット中のTiおよびAlを所定濃度で維持できるという点で優れたものである。
本発明の目的は、インゴットの表面肌の悪化の問題を解決し、インゴット歩留が良好で、尚且つインゴット長手方向に対し、Ti、Alの成分変動を極力抑えた、成分偏析の少ないインゴットを得るための製造方法を提供することである。
本発明のインゴットの製造方法は、前記スラグに、Alを3質量%以下、および/またはLiFを15質量%以下添加することが好ましい。
また、本発明のインゴットの製造方法は、前記スラグが、式(1)を満たすことがより好ましい。
式(1) 3.2≦0.81log{[%Ti]3/[%Al]4}−log[(N TiO2 )3/(NAl2O3)2]≦4.5
但し、[%]=合金中のTi、Al質量%、(N)=スラグ中のTi、Alのモル分率
本発明の最も重要な特徴は、エレクトロスラグ再溶解法で適用するスラグの主成分にCaF2を適用したことにある。これは、インゴットの表面肌の悪化を防ぐためである。CaF2が70%を超えると、スラグの電気伝導度の上昇から、スラグの発熱量不足によりスラグスキンが増加することでインゴットの表面肌の悪化を招くという問題が生じる場合がある。このため本発明では、CaF2は70%以下の範囲が好ましい。より好ましくは、65%以下である。
一方、CaF2が55%未満になると、スラグの融点上昇とスラグ流動性の低下によるスラグスキンの増加から、得られるインゴットの表面肌が悪化する場合がある。このため本発明では、CaF2は55%以上が好ましい。
CaOを15%以下としたのは、インゴット表面肌の悪化を防ぐという理由である。CaOが15%を超えるとCaO/Al2O3のバランスが崩れ、発熱量不足を招くためスラグスキンが増加し、インゴットの表面肌が悪化するという問題が生じる。また、CaOは吸湿性があるため、インゴットの水素ピックアップによる水素欠陥を防ぐ必要がある。したがって本発明では、CaOを15%以下の範囲とした。
TiO2を1〜15%の範囲にしたのは、インゴット中のTiをコントロールするためである。TiO2が1%未満であると、インゴット中の活性元素の酸化を有効に阻止できないという問題が生じる。一方、TiO2が15%を超えると、TiO2の過剰な還元により、インゴット中のAlが著しく減少し、インゴット中のAl量の制御が困難になるという問題が生じる。したがって本発明では、TiO2を1〜15%の範囲とした。
Al2O3を5〜30%の範囲にしたのは、インゴット中のAlをコントロールするためである。Al2O3が5%未満であると、インゴット中のAlの酸化を有効に阻止できないという問題と、スラグによる発熱量が不足し、スラグスキンが増加することでインゴットの表面肌が悪化するという問題が生じる。一方、Al2O3が30%を超えると、スラグの融点が上がり、スラグスキンが増加することによりインゴットの表面肌が悪化するという問題を生じる。したがって本発明では、Al2O3を5〜30%の範囲とした。
「Al:3質量%以下」
本発明で適用するスラグには、Alを3%以下添加することが好ましい。これは、Alの添加により、溶解初期におけるTiO2の還元を促進し、インゴットボトム側におけるTiの歩留低下を防止することができるためである。一方、Alを3%以上を越えて添加すると、インゴットボトム側において、極端にAlが上昇するという問題が生じやすい。このため、Alを3%以下添加することが好ましい。
「LiF:15質量%以下」
本発明で適用するスラグには、LiFを15%以下添加することが好ましい。これは、LiFの添加により、スラグ融点を下げ、スラグスキンを減少させてインゴット表面肌の悪化を防ぐという理由である。一方、LiFが15%を超えると、電気伝導度の上昇による発熱量の不足から、スラグスキンが増加しインゴット表面肌が悪化するという問題が生じやすくなる。このため、LiFを15%以下添加することが好ましい。
本発明のインゴットの製造方法は、合金中のTi質量%およびAl質量%をそれぞれ[%Ti]、[%Al]とし、スラグ中のTiO2およびAl2O3のモル分率をそれぞれNTiO2、NAl2O3としたときに、前記スラグが、式(1)を満たすことがより好ましい。以下、その理由について説明する。
式(1) 3.2≦0.81log{[%Ti]3/[%Al]4}−log[(NTiO2)3/(NAl2O3)2]≦4.5
式(1)の上限・下限を超えると、ESR用消耗電極中のTi、Alと、スラグ中のTiO2、Al2O3のバランスが不適切となり、ESR用消耗電極中のAlおよびTiに対する、ESR後のインゴットのAlおよびTiの値が極端に変動し、インゴット成分の制御が困難になる場合があるため、本発明の範囲内に管理することが好ましい。
また、本発明のインゴットの製造方法は、インゴットサイズの大小によらず、あらゆるサイズのインゴットにも適用可能である。
本発明の製造方法が適用できる合金としては、例えばJIS G4901で規定されるA286相当等のFe基の超耐熱合金や、NCF80A相当等のNi基の超耐熱合金があり、中でもAlloy718相当といった超耐熱合金に最適である。
先ず、表1に示す超耐熱合金のESR用消耗電極を作製した。尚、表1に示す合金A、合金B、合金C、合金Dは、以下の組成(質量%)である。
合金A=C:0.05%、Si:0.55%、Mn:1.80%、Ni:10.5%、Cr;17.5%、Mo:0.2%、Cu:0.2%、Al:0.15%、Ti:0.55%、残部Fe及び不可避的不純物
合金B=C:0.04%、Cr:15.0%、Ni:26.0%、Mo:1.3%、Al:0.3%、Ti:2.2%、残部Feおよび不可避的不純物
合金C=C:0.3%、Cr:19.0%、Ni:53%、Mo:3.0%、Al:0.55%、Ti:0.95%、残部Feおよび不可避的不純物
合金D=C:0.05%、Cr:20.0%、Al:1.35%、Ti:2.3%、残部Niおよび不可避的不純物
得られたインゴットの表面肌状態については、有害となる深さが10mm以上のしわや疵といった凹凸がないものを○、あるものを×として評価を行ない、その結果を表1に示す。
また、各インゴットの上端部相当位置から試料を採取し、TiおよびAlの成分分析を実施し、ESR用消耗電極中のTiおよびAl含有量を基準とする変動率として表1に示した。このとき、各インゴットのトップおよびボトムの成分濃度差も確認し、その結果を表1に示す。
また、本発明のインゴットの製造方法によると、スラグ組成を本発明の範囲内とすることで、ESR用消耗電極に対してインゴット長手方向のTiおよびAlの変動が0.13%以下と少なく、健全なインゴットが得られることが確認できた。一方、本発明のスラグ組成から外れるスラグを用いた比較例では、電極Al成分に対するインゴットAl成分の変動率が大きくなり、インゴット成分の制御が困難であった。
Claims (3)
- インゴットの製造方法において、質量%で0≦CaO≦15%、1%≦TiO2≦15%、5%≦Al2O3≦30%、残部CaF2のスラグを用いて、質量%で0.04%≦C≦0.3%、0.5%≦Ti≦5.0%、0.1%≦Al≦2.0%を含むFe基の超耐熱合金またはNi基の超耐熱合金を不活性ガス雰囲気中でエレクトロスラグ再溶解することを特徴とするインゴットの製造方法。
- 前記スラグに、添加後のスラグ全体に対して、Alを3質量%以下、および/またはLiFを15質量%以下添加することを特徴とする請求項1に記載のインゴットの製造方法。
- 前記スラグが、式(1)を満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインゴットの製造方法。
式(1) 3.2≦0.81log{[%Ti]3/[%Al]4}−log[(NTiO2)3/(NAl2O3)2]≦4.5
但し[%]=合金中質量%、(N)=スラグ中モル分率
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