JP5843164B2 - サブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤ - Google Patents

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本発明は、サブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤに関する。より詳しくは、軟鋼又は低合金鋼を適用した構造物等をサブマージアーク溶接する際に使用されるフラックス入りワイヤに関する。
高張力鋼又は低温用鋼のサブマージアーク溶接ワイヤは、溶接金属部の高強度化や低温靭性の安定化を目的に、Mn、Ni、Mo等の合金成分が添加されており、更に、ワイヤ形態としては、主にソリッドワイヤが使用されている。しかし、溶接構造物等の更なる高強度化や低温靭性安定化のために、ソリッドワイヤの合金成分量は増大し、ワイヤ強度が高くなっている。このため、溶接ワイヤ製造時のワイヤ伸線加工の際に、焼鈍等の熱処理によりワイヤ強度の低減を図ってはいるものの、生産性が良くないという問題がある。また、このような高強度のソリッドワイヤを使用して溶接を行おうとすると、ワイヤ送給が不安定となり、安定した溶接ビードが得られないという問題も生じる。
そこで、従来、サブマージアーク溶接用のフラックス入りワイヤが提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。これらの特許文献に記載されたサブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤでは、いずれもソリッドワイヤに比べてワイヤの強度が低減されており、ワイヤが硬いことによる生産性及びワイヤ送給性の低下に関しては、改善が認められる。
一方、サブマージアーク溶接にフラックス入りワイヤを使用すると、ソリッドワイヤを使用して溶接した場合と比較して溶け込みが浅くなるため、同じ溶け込み深さを得るためには入熱を高くしなければならず、溶接金属の靭性が劣化するという問題がある。これに対し、特許文献1に記載のサブマージアーク溶接用複合ワイヤでは、充填フラックスの比表面積を特定の範囲にすることにより、溶け込み形状を良好にし、更に、アンダカット等の溶接不良の発生も防止している。
また、フラックス入りワイヤは、ソリッドワイヤと比較して、溶接金属中の水素量が増加して低温割れが生じやすくなったり、溶接金属中の酸素量が増加して靭性が劣化したりするという問題もある。これに対し、特許文献2に記載のサブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤでは、シームレス化により溶接金属中の拡散水素量を低減すると共に、C及びCaFを特定量添加することにより、溶接金属中の酸素量を低減している。
特開2006−142377号公報(特許第4260127号) 特開2009−131870号公報(特許第4558780号)
しかしながら、前述した従来技術では、溶接金属の耐低温割れ性の向上及び高靭性化が十分ではなく、特に軟鋼や低合金鋼で顕著である。具体的には、例えば、特許文献1に開示されている従来技術では、同じ板厚での比較では入熱を低減することが可能であるが、厚板を溶接する際には、入熱を低減して、溶接金属を高靭性化することは困難である。また、特許文献2に開示されている従来技術は、シームレスワイヤにすることで拡散性水素量の低減が実現されたものであり、シームを有するワイヤの場合には適用できない。
そこで、本発明は、サブマージアーク溶接により、軟鋼又は低合金鋼を溶接しても、作業性が良好で、かつ耐低温割れ性及び低温靭性に優れた溶接金属が得られるサブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤを提供することを主目的とする。
本発明に係るサブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤは、鋼製外皮と該外皮内に充填されたフラックスとからなり、サブマージアーク溶接に使用されるフラックス入り溶接ワイヤであって、ワイヤ全質量あたり、C:0.005〜0.4質量%、Mn:0.5〜4.0質量%、アルカリ金属化合物(アルカリ金属元素換算):0.01〜5.5質量%を含有すると共に、Si:1.5質量%以下、Ni:8.0質量%以下、Cr:1.5質量%以下、Mo:3.0質量%以下、Ti:1.0質量%以下に規制され、残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有するものである。
充填フラックス中に融点が高い金属粉末が添加されていると、通電部の鋼製外皮との間で溶融速度に差が生じ、溶融池における均一な混合・攪拌が困難になるため、溶着金属で成分の偏析や不均一化が発生する。一方、本発明のサブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤでは、融点の低いアルカリ金属化合物(Li,Na,K等)を含有しているため、これらが、溶融補助剤として機能することで、充填フラックス中の金属粉末の溶融が容易になり、溶着金属に成分偏析や不均一が発生しなくなる。
このサブマージアーク溶接用フラックス入りワイヤでは、前記アルカリ金属化合物がLi化合物であってもよい。
その場合、前記Li化合物としては、例えばLiを含む合金を使用することができ、その中でも特に、Li−Fe、Li−Al、及びLi−Mgからなる群から選択される少なくとも1種の合金が好適である。
なお、ここでいう「合金」には、固溶体、共晶、金属間化合物のいずれの形態も含まれ、以下の説明においても同様である。
本発明によれば、ワイヤ中にアルカリ金属化合物を特定量含有しているため、軟鋼又は低合金鋼を溶接したときに、作業性が良好で、かつ耐低温割れ性及び低温靭性に優れた溶接金属を得ることができる。
本発明の実施例で使用した鋼板の開先形状を示す断面図である。 本発明の実施例で使用した電極の配置を示す断面図である。 本発明の実施例の窓枠拘束割れ試験で使用した試験体の形状及び寸法を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
<ワイヤ組成>
サブマージアーク溶接では、ガスシールドアーク溶接用ワイヤに比べて、ワイヤ径とその適正電流範囲から決定される電流密度が低く、フラックスを溶融させるためにもアーク熱が消費される。このため、サブマージアーク溶接では、ガスシールドアーク溶接ワイヤでは問題にならなかった比較的溶けやすい原料粉末でも溶接金属の成分偏析が発生しやすく、これが低温割れの発生や靭性の不安定化の原因になることが判った。
具体的には、充填フラックス中に、融点が高い金属粉末が添加されていると、通電部の鋼製外皮とフラックスとの溶融速度及びフラックス内の各成分における溶融速度に差が生じ、溶融池において均一な混合・撹拌が困難になるため、溶着金属で成分の偏析や不均一が発生すると考えられる。そこで、本発明者等は、溶接金属における成分偏析を改善する方法について検討を行い、フラックス中に融点が低いアルカリ金属化合物を特定量添加すると、これが溶融補助剤として機能し、充填フラックスに含有される金属粉末が容易に溶融し、溶着金属の成分偏析及び不均一が抑制されることを見出し、本発明に至った。
即ち、本発明の実施形態に係るワイヤは、サブマージアーク溶接に用いられるものであり、ワイヤ全質量あたり、Cを0.005〜0.4質量%及びMnを0.5〜4.0質量%を含有すると共に、アルカリ金属化合物をアルカリ金属元素換算で0.01〜5.5質量%含有している。また、このフラックス入りワイヤでは、Siを1.5質量%以下、Niを8.0質量%以下、Crを1.5質量%以下、Moを3.0質量%以下、Tiを1.0質量%以下に規制している。なお、本実施形態のフラックス入りワイヤにおける残部は、Fe及び不可避的不純物である。以下、本実施形態のワイヤにおける組成限定理由について説明する。
[C:0.005〜0.4質量%]
Cは脱酸元素であり、適当量の添加により溶接金属中の酸素量を低減し、靱性を向上させる。しかしながら、C含有量が0.005質量%未満では、この効果が得られず、強度も不足する。一方、C含有量が0.4質量%を超えると、強度が過大になって靱性が劣化すると共に、溶接金属の凝固時に粒界に偏析しやすくなって高温割れを生じる。従って、C含有量は0.005〜0.4質量%とする。なお、C含有量は0.01〜0.3質量%が好ましく、これにより、強度が過大になることによる靱性劣化及び高温割れを回避することができる。
[Mn:0.5〜4.0質量%]
Mnは、靱性を得るために必須の成分であるが、Mn含有量が4.0質量%を超えると強度が過大となり、かえって靱性が劣化する。一方、Mn含有量が0.5質量%未満では十分な靱性を得られない。従って、Mn含有量は0.5〜4.0質量%とする。なお、Mn含有量は1.0〜3.0質量%が好ましく、これにより十分な靭性を得ることができる。なお、MnはMn単体の他、Fe−Mn等の形態で添加することができる。
[アルカリ金属化合物:(アルカリ金属元素換算)0.01〜5.5質量%]
アルカリ金属化合物は、一般的な金属粉体と比べて融点が低く、充填フラックス中に添加すると溶融補助剤として金属粉体の溶融を促進する効果がある。しかしながら、アルカリ金属化合物の含有量が、アルカリ金属元素換算で0.01質量%未満の場合、その効果が得られない。一方、アルカリ金属化合物の含有量が5.5質量%を超えると、フラックスが吸湿しやすくなり、耐低温割れ性が劣化する。
従って、アルカリ金属化合物の総含有量は、アルカリ金属元素換算で0.01〜5.5質量%とする。なお、ワイヤ中に複数のアルカリ金属化合物が添加されている場合は、その合計が、アルカリ金属元素換算で0.01〜5.5質量%となるようにする。なお、アルカリ金属化合物の含有量は、アルカリ金属元素換算で0.01〜3.0質量%とすることが好ましく、これにより溶接金属の成分偏析及び不均一を抑制することができる。
本実施形態のフラックス入りワイヤに添加されるアルカリ金属化合物は、Li、Na、K等のアルカリ金属類を含む化合物であればよく、鉄化合物、弗化物、炭酸化合物等の形態で添加することができる。また、アルカリ金属化合物は、吸湿性の観点から、合金が好適である。なお、ここでいう、「合金」には、固溶体、共晶、及び金属間化合物の全てが含まれる。
更に、アルカリ金属化合物としては、脱窒効果を有するLi化合物を使用することが好ましく、これにより、溶接金属の靭性を更に向上させることができる。各種Li化合物の中でも、特に、Li−Fe、Li−Al及びLi−Mg等のLiを含む合金は、吸湿しにくい性質であることから、アルカリ金属化合物には、Li−Fe、Li−Al及びLi−Mgのうち少なくとも1種の合金を使用することが好ましい。これにより、耐低温割れ性を向上させることができる。
[Si:1.5質量%以下]
Siは脱酸元素であり、特定量添加することで溶接金属中の酸素量を低減し、靱性を向上させる効果はあるが、母材である鋼板成分にSiが適当量含まれている場合は積極的に添加しなくてもよい。一方、母材にSiが含まれていない場合は、ワイヤ成分として添加する必要があるが、ワイヤ中に含有されるSiの量が1.5質量%を超えると、強度が過大となり、溶接金属の靱性が劣化する。
従って、本実施形態のフラックス入りワイヤにおいては、Si含有量を1.5質量%以下に規制する。なお、溶接金属の靱性劣化回避の観点から、Si含有量は1.0質量%以下に規制することが好ましい。また、Siは、Si単体の他、Fe−Si、SiC等の形態で添加することができる。
[Ni:8.0質量%以下]
Niは、溶接金属の強度及び靭性を向上させる効果があるが、積極的に添加する必要はない。一方、高張力鋼や低温用鋼の溶接においては、ワイヤ成分にNiを添加することにより、溶接金属の強度や低温域での靭性を向上させることができる。ただし、その場合でも、ワイヤ中に含有されるNiの量が8.0質量%を超えると、オーステナイト粒径が粗大化し、靭性が劣化するため、本実施形態のフラックス入りワイヤにおいては、Ni含有量を8.0質量%以下に規制する。
なお、溶接金属の靱性劣化回避の観点から、Ni含有量は5.0質量%以下に規制することが好ましい。また、Niは、Ni単体の他、Fe−Ni、Ni−Mo等の形態で添加することができる。
[Cr:1.5質量%以下]
Crは、溶接金属の強度を向上させる効果があるが、積極的に添加する必要はない。一方、高張力鋼の溶接においては、ワイヤ成分にCrを添加することにより、溶接金属の強度を向上させることができる。ただし、その場合でも、ワイヤ中に含有されるCrの量が1.5質量%を超えると、強度が過大となり、溶接金属の靭性が低下するため、本実施形態のフラックス入りワイヤにおいては、Cr含有量を1.5質量%以下に規制する。
なお、溶接金属の靱性劣化回避の観点から、Cr含有量は1.0質量%以下に規制することが好ましい。また、Crは、Cr単体の他、Fe−Cr等の形態で添加することができる。
[Mo:3.0質量%以下]
Moは、溶接金属の強度を向上させる効果があるが、積極的に添加する必要はない。一方、高張力鋼の溶接においては、ワイヤ成分にMoを添加することにより、溶接金属の強度を向上させることができる。ただし、その場合でも、ワイヤ中に含有されるMoの量が3.0質量%を超えると、金属間化合物を生成して硬化するため、溶接金属の靭性が低下する。従って、本実施形態のフラックス入りワイヤにおいては、Mo含有量を3.0質量%以下に規制する。
なお、溶接金属の靱性劣化回避の観点から、Mo含有量は2.0質量%以下に規制することが好ましい。また、Moは、Mo単体の他、Fe−Mo等の形態で添加することができる。
[Ti:1.0質量%以下]
Tiは、フェライト粒内に酸化物を生成して、組織を微細化することにより溶接金属の靭性を向上させる効果があるが、積極的に添加する必要はない。一方、溶接金属組織がフェライトである場合は、ワイヤ成分にTiを添加することにより、溶接金属の靭性を向上させることができる。ただし、ワイヤ中に含有されるTiの量が1.0質量%を超えると、強度が過大となり、溶接金属の靭性が劣化するため、本実施形態のフラックス入りワイヤにおいては、Ti含有量を1.0%質量以下に規制する。
なお、溶接金属の靱性劣化回避の観点から、Ti含有量は0.5質量%以下に規制することが好ましい。また、TiはTi単体の他、Fe−Ti等の形態で添加することができる。
[その他の成分]
本実施形態のフラックス入りワイヤにおいては、前述した各成分に加えて、Cu(めっき膜成分も含む):0.6質量%以下、P:0.03質量%以下及びS:0.03質量%以下を含有していてもよい。また、その他残部は、Fe及び不可避的不純物である。
<ワイヤ構造>
本実施形態のフラックス入りワイヤの構造は特に限定されず、バット型、ラップ型、溶接シーム型、又はシームレス型のいずれのタイプにも適用することができる。
<フラックス成分>
フラックスのタイプは限定されず、溶融型、焼結型のいずれのタイプでも組み合わせることができる。表1は、フラックスS1〜S9についての溶融タイプ若しくは焼結タイプ、フラックスS1〜S9についてのフラックス組成(質量%)、及び、フラックスS1〜S9についての塩基度BIを示す。
以上詳述したように、本実施形態のフラックス入りワイヤは、アルカリ金属化合物を特定量添加しているため、アルカリ金属化合物が充填フラックス中で溶融補助剤として機能し、金属粉体の溶融が促進される。その結果、軟鋼又は低合金鋼をサブマージアーク溶接した場合に、耐低温割れ性に優れ、良好な靭性安定性を示す溶接金属が得られる。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。本実施例においては、下記表3及び表4に示すフラックス入りワイヤW1〜W33を作製した。また、下記表2に示す外皮組成における残部は、Fe及び不可避的不純物である。
[評価]
そして、実施例及び比較例の各フラックス入りワイヤについて、水分量、各種鋼板をサブマージアーク溶接したときの低温割れの発生、低温靭性及び溶接金属の窒素量について評価した。図1(a)〜(c)は本実施例で使用した鋼板の開先形状を示す図である。また、図2(a)〜(c)は電極配置を示す図であり、図2(a)は1電極溶接、図2(b)は2電極溶接、図2(c)は4電極溶接を示す。
低温靭性及び溶接金属の窒素量については、下記表5に示す鋼板B1〜B5を母材10とし、図1(a)〜(c)に示す開先形状G1〜G3と、図2(a)〜(c)に示す電極配置とを組み合わせ、下記表6に示す溶接条件でサブマージアーク溶接を実施した。その際、開先形状が、図1(a)に示すG1の場合には、裏当材11を使用した。また、開先形状がG1の場合は多層盛で溶接し、図1(b)に示すG2及び図1(c)に示すG3の場合は1パス盛で溶接した。なお、下記表5に示す鋼板組成における残部は、Fe及び不可避的不純物である。
<低温靭性>
溶接金属の低温靱性は、試験温度を−20℃、−40℃又は−60℃にして、JIS Z2242に準拠した衝撃試験によって、吸収エネルギーを測定することにより評価した。
<窒素量>
溶接金属の窒素量は、JIS G1228に規定される不活性ガス融解−熱伝導度法によって、抽出した窒素ガスを測定することにより評価した。
<低温割れ>
低温割れは、窓枠拘束割れ試験により評価した。図3はその使用した試験体の形状及び寸法を示す図であり、図3(a)は平面図であり、図3(b)は側面図である。。具体的には、図3に示す試験板12を、下記表7に示す条件で、鋼製拘束板13に拘束溶接し、低温割れの発生の有無を確認した。
<水分量>
ワイヤの水分量については、JIS K0113に規定されるカールフィッシャー法の電量滴定法に基づいて測定した。以上の評価結果を下記表8にまとめて示す。
表8に示すように、本発明の範囲内で作製したフラックス入りワイヤW1〜W22を使用した実施例1〜22では、低温割れの発生がなく、低温靭性にも優れていた。
これに対して、アルカリ金属化合物が含有されていないW23のフラックス入りワイヤを使用した比較例1では、低温割れの発生はなかったが、溶接金属の低温靭性が劣っていた。また、アルカリ金属化合物の含有量が、本発明範囲の下限未満であるW24のフラックス入りワイヤを使用した比較例2、及びアルカリ金属化合物の含有量が、本発明範囲の上限を超えているW25のフラックス入りワイヤを使用した比較例3では、低温割れが発生した。
また、Li化合物、Na化合物及びK化合物それぞれの含有量は5.5質量%未満であるが、総含有量が5.5質量%を超えているW26のフラックス入りワイヤを使用した比較例4では、低温靭性が著しく劣っていた。一方、C含有量が本発明範囲の上限を超えているW27のフラックス入りワイヤを使用した比較例5では、低温割れが発生した。また、Si含有量が本発明範囲の上限を超えているW28のフラックス入りワイヤを使用した比較例6、Mn含有量が本発明範囲の上限を超えているW29のフラックス入りワイヤを使用した比較例7、及びMo含有量が本発明範囲の上限を超えているW30のフラックス入りワイヤを使用した比較例8では、溶接金属の低温靭性が劣っていた。
そして、Ti含有量が本発明範囲の上限を超えているW31のフラックス入りワイヤを使用した比較例9では、低温割れが発生した。更に、Ni含有量が本発明範囲の上限を超えているW32のフラックス入りワイヤを使用した比較例10、及びCr含有量が本発明範囲の上限を超えているW33のフラックス入りワイヤを使用した比較例11では、溶接金属の低温靭性が劣っていた。
以上の結果から、本発明のワイヤを使用することにより、軟鋼又は低合金鋼のサブマージアーク溶接において、作業性が良好で、かつ耐低温割れ性及び低温靭性に優れた溶接金属が得られることが確認された。
10 母材
11 裏当材
12 試験板
13 鋼製拘束板

Claims (1)

  1. 鋼製外皮と該外皮内に充填されたフラックスとからなり、軟鋼又は低合金鋼のサブマージアーク溶接に使用されるフラックス入り溶接ワイヤであって、
    ワイヤ全質量あたり、
    C:0.005〜0.4質量%、
    Mn:0.5〜4.0質量%、
    アルカリ金属化合物(アルカリ金属元素換算):0.01〜5.5質量%
    を含有すると共に、
    Si:1.5質量%以下、
    Ni:8.0質量%以下、
    Cr:1.5質量%以下、
    Mo:3.0質量%以下、
    Ti:1.0質量%以下
    に規制され、
    残部がFe及び不可避的不純物からなる組成を有し、
    前記アルカリ金属化合物が、Li−Feであることを特徴とするサブマージアーク溶接用フラックス入り溶接ワイヤ。
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