JP5817195B2 - ドア開閉装置 - Google Patents
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Description
車両のドアに設けられたドア開閉用のドアハンドルと、このドアハンドルに配置された電極と、人体部分の前記ドアハンドルへの接近または接触によって前記電極の付近に生じる静電容量の変化を検出してロックまたはアンロックの操作信号を出力する検出回路と、前記操作信号によって前記ドアのロックまたはアンロックを実行する装置と、前記車両に対応する携帯機との間で送受信を行うための送受信アンテナとを備え、
前記ドアハンドルが絶縁体からなる基体を有し、
前記基体の少なくとも車両外側面には、SiO2及びAl2O3の少なくともいずれかで構成され、前記基体の表面に被着された無機薄膜層と、互いに分離された島状の金属粒子の集合からなり、前記無機薄膜層の表面に被着された金属薄膜層とが設けられ、
前記金属薄膜層は、インジウムを用いた構成であり、1.0×10 14 (Ω/□)を超える表面抵抗を有する点にある。
図1に示すように、本発明に係るスマートエントリー式のドア開閉装置は主に、車両に設置された車載機Aと、車両のユーザによって懐中などに携帯される携帯機Bとで構成されている。
図2に示すように、ドアハンドル2は、車両の外側に面したアウタ部材2aと、アウタ部材2aの内側に取り付けられたインナ部材2bとを有する。アウタ部材2aの一端には、ドアハンドル2をドア50に軸心X回りで揺動自在に支持させるための軸部材2Sが形成され、他端にはロック機構52Lと係合可能な被係止片2Pが設けられている。アウタ部材2aとインナ部材2bの間の空隙には、ロックセンサ4a、アンロックセンサ4b、送信アンテナ10、検出回路6の基板などが配置されており、これらはインナ部材2bに固定されている。アウタ部材2aおよびインナ部材2bはいずれも樹脂(絶縁体の一例)で形成されており、互いに前後の両端箇所でネジによって固定されている。ドアパネル50Pの窪み50Hとインナ部材2bとの間にはユーザが手を差し入れることの可能な空隙Sが形成されている。
実際には、図5に示すように、アウタ部材2aの車両外側に相当する樹脂基体19に金属薄膜層22を含む5層の膜が形成されている。
尚、樹脂基体19の材質としてはPBTに限らず例えばPC(ポリカーボネート)など種々の樹脂を用いることができる。
第1の層は、樹脂基体19の表面をより平滑化させる目的で形成された約20μmの厚さの平滑塗膜層20であり、具体例としては樹脂基体19の表面にアクリルウレタン系塗料を塗布し、熱乾燥方式によって焼付ければよい。
第2の層は、平滑塗膜層20の表面にスパッタリングによって形成された約30nmの厚さの無機薄膜層21であり、SiO2またはAl2O3の各単一組成、或いはSiO2とAl2O3の混合物または複合体で構成されている。尚、無機薄膜層21の厚さは約30nmに限らず1〜200nmの範囲であればよく、5〜50nmの範囲であれば更に好適である。
また、無機薄膜層21をスパッタリングによって形成する場合、スパッタリングによる無機薄膜層21の形成工程と、後述するスパッタリングによる金属薄膜層22の形成工程とは連続的に実施することが可能である。
第3の層は、無機薄膜層21の表面にスパッタリングによって被着された金属薄膜層22である。ドアハンドル2の鏡面状の外観は主にこの金属薄膜層22によって与えられる。金属薄膜層22は、SiO2またはAl2O3で構成された無機薄膜層21の上にインジウムをスパッタリングによって形成することで、図5に示すように、自然に互いに電気的にも十分に分離された島状のインジウム粒子(金属粒子の一例)の集合からなり、全体としては約20nmの厚さを備える。尚、金属薄膜層22の厚さは約20nmに限らず10〜100nmの範囲であればよく、20〜50nmの範囲であれば更に好適である。
金属薄膜層22は、十分な反射率を備えるにも関わらず、互いに電気的に十分に分離された島状の金属粒子の集合という形態をとることで、1.0×1014(Ω/□)以上(トップコート層23を設ける前の測定結果)という非常に大きな表面抵抗を示す。
第4の層は、無機薄膜層21及び金属薄膜層22を保護するための保護塗装として形成された約30μmの厚さのトップコート層23であり、金属薄膜層22を形成後の表面に例えばアクリルウレタン系塗料を塗布し、熱乾燥方式によって硬化させたものである。
ドアハンドル2のアウタ部材2aの表面を以上のような構成とした結果、電気的にも十分に分離された島状の金属粒子の集合からなる金属薄膜層22が得られるため、一般的なクロムメッキに匹敵する優れた意匠性を備え、しかも、その金属薄膜層22がロックセンサ4a、アンロックセンサ4b、送信アンテナ10などの電磁波および静電容量に関する作用に悪い影響を及ぼす虞の少ないドア開閉用のドアハンドル2が得られた。特に、ロックセンサ4aやアンロックセンサ4bが金属薄膜層22と容量結合する現象が抑制されるので、ユーザが手をドアハンドル2に近接または接触させて実行しようとするロックやアンロックの操作において誤作動や不作動が生じ難いドアハンドル2が得られる。
尚、スパッタリングによって形成する金属薄膜として成膜性においてクロム(Cr)よりも有利なインジウム(In)を用いた構成では、前述した単層薄膜構造では、ドアハンドルの外観が目標とする金属光沢の色相よりも黄色味を帯びるという好ましくない傾向が認められていた。
本発明の実施例として、SiO2による無機薄膜層21及びInによる金属薄膜層22を形成した場合の各値が(○)で示され、及び、Al2O3による無機薄膜層21及びInによる金属薄膜層22を形成した場合の各値が(●)で示されている。
また、比較例に関する多数のプロット(◇で示す)は、全て、無機薄膜層21を設けることなく、下記の金属薄膜層の成膜条件で基体19上の平滑塗膜層20の上に直に金属薄膜層22を形成した場合の2つの表面特性を示す。
・成膜方法:RFマグネトロンスパッタ法
・投入電圧:300W
・スパッタ圧:0.5Pa
・成膜速度:0.1〜0.2nm/秒
・成膜方法:DCマグネトロンスパッタ法
・投入電圧:10000W
・スパッタ圧:1.0Pa
・成膜速度:10〜20nm/秒
また、L*a*b*表色系におけるb*の値は保護層(トップコート層23)を設ける前の金属薄膜層22について、分光側色計(コニカミノルタ製CM−700d)による測定値である。
また、Al2O3による無機薄膜層21を設けた上で、Inによる金属薄膜層22を形成した場合も、1.00×1014を超える表面抵抗が認められ、b*値は黄色味がなく、むしろ若干の青味を帯びた外観に対応する−1.7前後を示すことがわかる。
〈1〉無機薄膜層21や金属薄膜層22の形成方法としては、スパッタリング以外の成膜技術、すなわち、蒸着、イオンプレーティング、CVD、PVDなどを用いることも可能である。
B 携帯機
2 ドアハンドル
2a アウタ部材
2b インナ部材
4a ロックセンサ(電極)
4b アンロックセンサ(電極)
6 検出回路
8 アクチュエータ
10 送信アンテナ
14 受信アンテナ
19 樹脂基体
21 無機薄膜層
22 金属薄膜層
Claims (1)
- 車両のドアに設けられたドア開閉用のドアハンドルと、このドアハンドルに配置された電極と、人体部分の前記ドアハンドルへの接近または接触によって前記電極の付近に生じる静電容量の変化を検出してロックまたはアンロックの操作信号を出力する検出回路と、前記操作信号によって前記ドアのロックまたはアンロックを実行する装置と、前記車両に対応する携帯機との間で送受信を行うための送受信アンテナとを備え、
前記ドアハンドルが絶縁体からなる基体を有し、
前記基体の少なくとも車両外側面には、SiO2及びAl2O3の少なくともいずれかで構成され、前記基体の表面に被着された無機薄膜層と、互いに分離された島状の金属粒子の集合からなり、前記無機薄膜層の表面に被着された金属薄膜層とが設けられ、
前記金属薄膜層は、インジウムを用いた構成であり、1.0×10 14 (Ω/□)を超える表面抵抗を有するドア開閉装置。
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