本技術は、熱媒循環経路を流れる熱媒を加熱する二つの熱源(第1熱源及び第2熱源)を備える風呂装置に好適に適用することができる。特に、第1熱源の熱媒を加熱する能力が、第2熱源の熱媒を加熱する能力よりも低く、第1熱源を優先的に運転させることが望まれる時に、顕著な効果を奏することができる。
本技術を第1及び第2熱源を有する風呂装置に適用すると、第1熱源を優先的に運転させ、第2熱源の運転機会を減少させることができる。そのことから、第1熱源は、エネルギー効率に優れたものが好ましく、例えば、ヒートポンプ又は発電装置(即ち、コージェネレーションシステム)であることが好ましい。一方、第2熱源は、エネルギー効率の点では第1熱源より劣るものでもよいが、構造がシンプルで加熱能力に優れた(高出力)のものが好ましく、例えばガス燃焼器であることが好ましい。
本技術の一実施形態では、風呂装置が、浴槽に温水を供給するための第3熱源を備え、浴槽に供給する温水の温度を調節可能であることが好ましい。一例ではあるが、第3熱源は、構造がシンプルで高出力のものが好ましく、例えばガス燃焼器であることが好ましい。但し、本技術の風呂装置は、必ずしも第3熱源を有する必要はなく、例えば外部から温水の供給を受けてもよい。
本技術の一実施形態では、コントローラが、第1の湯張り動作(通常湯張り)と第2の湯張り動作(エコ湯張り)を含む、複数種類の湯張り運転を択一的に実行可能であることが好ましい。ここで、第1の湯張り動作は、風呂水の温度が設定温度となるまで、必要に応じて第2熱源を運転して、湯張りを行う動作である。一方、第2の湯張り動作は、風呂水循環経路の流れを止めた状態で第1熱源を運転し、熱媒の温度が所定の予熱温度に達した後に、風呂水循環経路による風呂水の循環を行って、湯張りを行う動作である。
本技術の一実施形態では、コントローラが、前記第2の湯張り動作(エコ湯張り)の実行中に「追い焚き」、「足し湯」、「ぬる湯」といった、浴槽の湯量又は湯温を調節する動作を指示する操作がなされたときに、第1の湯張り動作へ移行することが好ましい。ユーザが「追い焚き」、「足し湯」、「ぬる湯」といった操作をした場合、ユーザは速やかに入浴することを望んでいると推定される。従って、そのような場合には、加熱能力に優れる第2熱源を利用して、風呂水を早期に沸き上げたり、給湯装置による湯の追加を行うことが望ましい。
熱媒を予熱しておいても、低温で多量の風呂水の沸き上げを行えば、熱媒の温度は大きく低下してしまう。そのことから、前記した湯張り動作では、浴槽の水位の上昇(即ち、湯量の増大)に応じて、予熱工程と沸き上げ工程を繰り返し実施することが好ましい。この観点に基づいて、本技術の一実施形態では、浴槽の水位が設定水位よりも低い中間水位にある段階と、浴槽の水位が設定水位にある段階で、沸き上げ工程がそれぞれ実施されることが好ましい。このような構成によると、熱媒の大幅な温度低下を避けることができるので、熱媒の予熱温度を比較的に低く設定することができる。
上記した手法、即ち、予熱工程と沸き上げ工程とを繰り返し実施する方式は、浴槽の水位にかかわらず有効である。例えば、浴槽の水位が設定水位となった後に、予熱工程と沸き上げ工程を繰り返し実施しても、次に説明する効果を奏する。即ち、熱媒に蓄積できる熱量には限りがあるので、一度の予熱工程及び沸き上げ工程だけで湯張りを完了しようとすると、熱媒の予熱温度を比較的に高く設定しても、風呂水の初期温度によっては、熱媒の温度が大きく低下し、結露が生じることが想定される。それに対して、予熱工程と沸き上げ工程とを繰り返し実施し、風呂水の温度を設定温度まで段階的に沸き上げていけば、熱媒の大幅な温度低下を避けることができ、もって、熱媒の予熱温度を低く設定することもできる。
図面を参照しながら、実施例の給湯暖房装置10について説明する。図1に示すように、給湯暖房装置10は、コージェネレーションシステム12(以下、コジェネシステムと略す)と、ガス燃焼ユニット20と、複数の低温暖房端末70と、複数の高温暖房端末72とを備える。
給湯暖房装置10は、給湯機能及び暖房機能に加えて、浴槽2への湯張り機能を有している。なお、ここでいう湯張りとは、空の浴槽2に風呂水を溜めることに限られず、残り湯のある浴槽2へ必要に応じて給湯(又は給水)し、それを沸き上げることも含まれる。また、予め浴槽に十分な残り湯が存在する場合のように、給湯(又は給水)を行うことなく、風呂水の沸き上げのみを行うことも含まれる。以下の説明では、湯張り機能に係る構成及び動作についてのみ説明し、給湯運転や暖房運転に係る構成及び動作については適宜省略する。
給湯暖房装置10は、コジェネシステム12及びガス燃焼ユニット20で加熱した熱媒を用いて、湯張り機能に係る動作を行う。図1に示すように、給湯暖房装置10は、コジェネシステム12からガス燃焼ユニット20へ熱媒を送る第1熱媒管路60と、ガス燃焼ユニット20からコジェネシステム12へ熱媒を送る第2熱媒管路62とを備える。これらの管路60、62は、コジェネシステム12とガス燃焼ユニット20との間で熱媒を循環させる熱媒の循環経路を構成している。なお、第2熱媒管路62にはコジェネバルブ66が設けられており、第2熱媒管路62の中間位置は、バイパスバルブ64を介して、第1熱媒管路60の中間位置に接続されている。このような構成により、例えばコジェネシステム12が運転を中止しているときは、両バルブ64、66の開閉を切り替えることにより、コジェネシステム12をバイパスして、熱媒をガス燃焼ユニット20へ直接的に戻すことができる。
コジェネシステム12は、電気と熱を供給する電熱併給システムであって、循環する熱媒を加熱する第1の熱源の一例である。コジェネシステム12は、電気を発電した時に発生する熱(排熱)によって熱媒を加熱する。コジェネシステム12の具体的な構造については、特に限定されない。一例ではあるが、本実施例のコジェネシステム12は、エンジン14と、エンジン14によって駆動される発電機16と、エンジン14の排熱によって熱媒を加熱する熱交換器18と、エンジン14と熱交換器18との間で冷媒を循環させる冷媒循環経路15と、冷媒循環経路15を流れる冷媒の温度を測定する冷媒温度センサ17を備えている。エンジン14の燃料は、一例ではあるが、可燃性ガスである。本実施例におけるコジェネシステム12は、熱需要に応じて運転される。そのことから、コジェネシステム12による排熱を確実に回収するため、コジェネシステム12は熱媒の循環経路上に設けられた排熱回収ポンプを備えている(図示省略)。
ガス燃焼ユニット20は、熱媒用バーナ32と、熱媒循環ポンプ40と、シスターン34を備える。シスターン34には、コジェネシステム12から伸びる第1熱媒管路60が接続されている。シスターン34内の熱媒は、低温熱媒管路36を通じて、熱媒用バーナ32に送られる。熱媒用バーナ32は、熱媒を加熱する第2の熱源の一例であり、可燃性ガスを燃焼し、その燃焼熱によって熱媒を加熱する。熱媒用バーナ32の内部には、吸熱フィン32aが設けられている。吸熱フィン32aは、熱媒が流れる管路に固定されており、燃焼熱を吸収して熱媒へ伝達する。熱媒循環ポンプ40は、低温熱媒管路36上に設けられており、前述した熱媒循環経路に沿って熱媒を循環させる。なお、熱媒循環ポンプ40の位置は、熱媒の循環経路上であればよく、特に限定されない。熱媒用バーナ32及び熱媒循環ポンプ40は、後述するコントローラ100(図2参照)によって制御される。
ガス燃焼ユニット20は、熱媒の温度を測定する低温熱媒温度センサ38と、高温熱媒温度センサ42を備える。低温熱媒温度センサ38は、低温熱媒管路36に配置されており、熱媒用バーナ32による加熱前の熱媒の温度を測定する。高温熱媒温度センサ42は、高温熱媒管路44に配置されており、熱媒用バーナ32による加熱後の熱媒の温度を測定する。両温度センサ38、42による測定値は、コントローラ100へ教示される。
ガス燃焼ユニット20は、風呂水熱交換器50と、風呂水循環経路58を備えている。風呂水熱交換器50は、熱媒と風呂水との間で熱交換を行う熱交換器である。風呂水熱交換器50の具体的な構造は特に限定されない。風呂水熱交換器50には、高温熱媒管路44を通って、熱媒用バーナ32から熱媒が送られる。高温熱媒管路44には、コントローラ100によって開閉される沸き上げバルブ45が設けられている。風呂水循環経路58は、浴槽2と風呂水熱交換器50との間で風呂水を循環させる。風呂水循環経路58には、風呂水ポンプ54が設けられている。風呂水ポンプ54は、コントローラ100によって制御され、風呂水循環経路58に沿って風呂水を循環させる。それにより、浴槽2の風呂水は、風呂水熱交換器50において加熱され、浴槽2へ戻される。
風呂水循環経路58には、風呂水温度センサ52と、風呂水位センサ56が設けられている。風呂水温度センサ52は、風呂水熱交換器50の上流側に配置されており、浴槽2の風呂水の温度を測定する。風呂水位センサ56は、浴槽2の風呂水の水位を測定する。風呂水温度センサ52及び風呂水位センサ56による測定値は、コントローラ100へ教示される。
ガス燃焼ユニット20は、給湯用バーナ22を備えている。給湯用バーナ22は、可燃性ガスを燃焼して、給水経路24から送られる上水を加熱する。加熱後の温水は、出湯経路26を通って出湯される。また、加熱後の温水は、風呂給湯経路30を通って、浴槽2にも給湯可能となっている。出湯経路26と風呂給湯経路30の共通区間には、三方混合弁28と給湯温度センサ29が設けられている。三方混合弁28には給水経路24が接続されている。給湯用バーナ22と三方混合弁28は、コントローラ100よって制御される。また、給湯温度センサ29の測定温度は、コントローラ100へ教示される。風呂給湯経路30には、風呂給湯バルブ46と、風呂流量センサ48が設けられている。風呂給湯バルブ46は、コントローラ100によって開閉され、風呂給湯経路30を導通/遮断する。風呂流量センサ48は、風呂給湯経路30を流れる温水の流量、即ち、浴槽2への給湯量を測定する。風呂流量センサ48による測定結果はコントローラ100へ教示される。
図2は、給湯暖房装置10が備えるコントローラ100の構成を示す。図2に示すように、コントローラ100は、メインコントローラ102とインターフェースユニット104とコジェネコントローラ106とを備える。メインコントローラ102は、ガス燃焼ユニット20に搭載されており、主に、ガス燃焼ユニット20の動作を制御する。コジェネコントローラ106は、コジェネシステム12に搭載されており、主に、コジェネシステム12の動作を制御する。メインコントローラ102とコジェネコントローラ106は、インターフェースユニット104を介して接続されており、互いに通信可能となっている。
コントローラ100はさらに、複数の低温暖房端末コントローラ112と、複数の高温暖房端末コントローラ114とを備える。これらのコントローラ112、114は、メインコントローラ102に通信可能に接続されている。各々の暖房端末コントローラ112、114は、メインコントローラ102と共に、対応する一又は複数の暖房端末70、72を制御する。また、各々の暖房端末コントローラ112、114は、ユーザのための操作パネルでもあり、対応する一又は複数の暖房端末70、72の運転/停止、暖房温度の設定、及びその他の機能(例えばタイマー機能)の設定のために用いられる。
コントローラ100はさらに、浴室操作パネル108と台所操作パネル110とを備える。浴室操作パネル108と台所操作パネル110は、メインコントローラ102に通信可能に接続されているとともに、インターフェースユニット104を介してコジェネコントローラ106にも接続されている。通常、浴室操作パネル108は浴室に設置され、台所操作パネル110は台所に設置される。ユーザは、浴室操作パネル108又は台所操作パネル110を操作することによって、コジェネシステム12及びガス燃焼ユニット20の主電源のオン/オフ、運転モードの選択、給湯温度の設定、浴槽2への湯張り、湯張りの水位、温度、予約時刻の設定、追い焚き、足し湯、ぬる湯の指示等を行うことができる。
本実施例の給湯暖房装置10は、ユーザの操作に応じて、「通常湯張り」と、「エコ湯張り」とのいずれかを、選択的に実行することができる。通常湯張りは、風呂の設定温度又はそれに近い温度で浴槽2に湯を溜め、その後、必要に応じて熱媒用バーナ32を運転し、風呂水を設定温度まで沸き上げるものである。通常湯張りによると、湯張りを短時間で行うことができる。一方、「エコ湯張り」とは、風呂水循環経路58の流れを止めた状態でコジェネシステム12を運転し、熱媒の温度が所定の予熱温度に達した後に、風呂水循環経路58による風呂水の循環を行って、湯張りを行う動作である。エコ湯張りによると、湯張りに要する時間は長くなるが、コジェネシステム12を優先的に使用することで、エネルギー効率を高めることができる。以下では、本実施例の特徴的な機能である「エコ湯張り」について詳細に説明する。
図3は、エコ湯張り動作において、コントローラ100が実行する処理の流れを示すフローチャートである。コントローラ100は、ユーザによってエコ湯張りが指示されたときに、エコ湯張り動作に係る処理を実行する。なお、ユーザが予約時刻を設定した場合は、当該予約時刻から所定時間前になった時点で、エコ湯張りの動作が開始される。この所定時間は、エコ湯張りに要する時間に基づいて定められている。なお、コントローラ100は、設定水位又は設定温度の少なくとも一方に応じて、当該所定時間を変更可能に構成することもできる。
先ず、熱媒循環ポンプ40と、コジェネシステム12の運転が開始される(S12)。それにより、コジェネシステム12(詳しくはエンジン14)の排熱による熱媒の加熱が開始される。その一方で、風呂水ポンプ54については、残り湯の有無にかかわらず運転されない。その結果、加熱された熱媒の熱は消費されず、熱媒に蓄積される。即ち、浴槽2の風呂水への熱供給に先立って、熱媒が予熱されていく。
次に、風呂水位センサ56の測定値に基づいて、浴槽2の水位が下限水位以上であるのか否かが判別される(S14)。ここでいう下限水位とは、空気を巻き込むことなく、風呂水循環経路58が風呂水を循環し得る水位の下限値である。浴槽2の水位が下限水位未満であれば(NO)、浴槽2の水位が下限水位となるまで浴槽2に温水を供給する(S16)。即ち、コントローラ100は、給湯用バーナ22を運転し、風呂給湯バルブ46を開く。そして、給湯温度センサ29による測定温度に基づいて、給湯用バーナ22の出力と三方混合弁28の開度(即ち、上水の混合量)を調節し、温水の温度を当該給湯温度に調節する。浴槽2の水位は、風呂水位センサ56によって監視される。ここで、浴槽2に供給する温水の温度(給湯温度)は、露点温度以上であることが好ましく、本実施例では33℃に設定されている。この33℃という値は、一例ではあるが、給湯暖房装置10が北海道に設置されることを想定し、北海道の露点温度が一年を通して30℃を上回らないという調査結果に、余裕温度(ここでは3℃)を加味したものである。このように、ここで用いる所定の給湯温度は、露点温度が気候や季節によって変動することを考慮し、給湯暖房装置10が使用される場所で予想される露点温度以上とすることが好ましい。
次に、浴槽2の風呂水の温度を測定する。風呂水の温度測定では、風呂水ポンプ54が一時的に運転され、風呂水温度センサ52の測定温度が参照される。そして、風呂水の温度が、33℃以上であるのか否かが判定される(S18)。浴槽2に残り湯がある場合や、浴槽2が冷えていた場合には、33℃の温水を浴槽2に給湯しても、浴槽2の風呂水の温度は33℃を下回ることがある。風呂水の温度が33℃未満の場合(NO)、図3のステップS20〜26に示すように、予熱された熱媒を用いて、一度目の沸き上げが行われる。
風呂水の温度が33℃未満の場合(S18でNO)、コントローラ100は、コジェネシステム12の冷媒温度センサ17の測定温度を参照し、冷媒の温度が80℃以上であるのか否かを判別する(S20)。冷媒の温度が80℃以上であると、熱媒は露点温度を十分に超える温度に予熱され、熱媒や冷媒に十分な熱が蓄積されることが、実験によって確認されている。なお、ここで用いる80℃という閾値は、熱媒の予熱の完了を判断するための閾値であるが、一つの具体例であり、給湯暖房装置10の構造等を考慮して、適宜変更し得るものである。他の一例として、コントローラ100は、低温熱媒温度センサ38又は高温熱媒温度センサ42の測定温度を参照し、熱媒の温度が前記予熱温度以上であるのか否かを、直接的に判断してもよい。ここで、必要とされる熱媒の予熱温度は、露点温度以上であることを条件とし、風呂水の初期温度や浴槽2の容量等を考慮して、適宜設定することができる。
冷媒の温度が80℃以上であって(S20でYES)、熱媒(及び冷媒)の予熱の完了が確認されると、風呂水ポンプ54の運転が開始される(S22)。それにより、浴槽2と風呂水熱交換器50との間で風呂水が循環し、予熱された熱媒によって風呂水の沸き上げが開始される。コジェネシステム12の熱媒を加熱する能力は低いので、熱媒から風呂水への熱供給が開始されると、熱媒の温度は徐々に低下していく。このとき、仮に熱媒の温度が露点温度を下回ると、熱媒循環経路を構成する管路や、特に、停止中にある熱媒用バーナ32内の吸熱フィン32aに、結露が生じることがある。このような結露は、当該配管や吸熱フィン32aの劣化を早める要因となり得る。しかしながら、本実施例の給湯暖房装置10では、風呂水の沸き上げに先立って、熱媒が十分に予熱されている。そのため、熱媒の温度が露点温度未満とならず、上記した結露の発生を防止することができる。
風呂水の温度が33℃以上となると(S24でYES)、風呂水ポンプ54が停止され、予熱を用いた一度目の沸き上げが終了する。即ち、風呂水の設定温度ではなく、露点温度を超えた時点で、一度目の沸き上げを終了する(S26)。このように、一度目の沸き上げでは、設定水位よりも低い水位の風呂水を、設定温度よりも低い温度(但し露点温度以上)まで沸き上げるだけに留める。このような構成によると、熱媒に蓄積しておくべき熱量が比較的に少なくてもよく、必要とされる熱媒の予熱温度を低くすることができる。熱媒の予熱温度を低くするほど、コジェネシステム12からの排熱の回収率は上がり、また、熱媒循環経路等からの放熱等によるエネルギー損失を低減することができる。
次いで、浴槽2の水位を監視しながら(S28)、浴槽2の水位が設定水位となるまで、浴槽2へ温水が給湯される(S30)。このときの給湯温度も、露点温度以上であることが好ましく、本実施例では33℃に設定されている。この給湯の間、熱媒循環ポンプ40とコジェネシステム12の運転は継続されており、熱媒の二度目の予熱が並行して行われる。浴槽2に設定水位の温水が張られたら、風呂水ポンプ54の運転が再び開始される(S32)。それにより、予熱された熱媒を用いた二度目の沸き上げが開始される(S34)。二度目の沸き上げを開始する段階では、必ずしも冷媒や熱媒の温度を測定する必要はない。一度目の沸き上げと、その後に33℃の温水を給湯したことによって、風呂水の温度は33℃に限りなく近い温度(即ち、露点温度以上)になっている。さらに、それに続く二度目の予熱によって、熱媒の温度は確実に33℃よりも高い温度(即ち、露点温度以上)に予熱されている。従って、風呂水の沸き上げを開始しても、熱媒の温度が露点温度未満に低下することはない。
風呂水の温度が設定温度に達したら(S36でYES)、コジェネシステム12、熱媒循環ポンプ40、風呂水ポンプ54などの運転が停止され、湯張りが完了する。このように、給湯暖房装置10は、熱媒から風呂水への熱供給に先立って、熱媒を十分に予熱しておくことにより、熱媒用バーナ32の運転を必要とすることなく、結露を防止しながら、湯張りを行うことができる。
上述したエコ湯張りの動作中に、ユーザが「追い焚き」、「足し湯」、「ぬる湯」といった、浴槽2の湯量又は湯温を調節する動作を指示する操作を行うことが想定される。このような場合、ユーザは速やかに入浴することを望んでいると推定される。従って、コントローラ100は、エコ湯張りの動作中に「追い焚き」、「足し湯」、「ぬる湯」の操作が行われたときは、エコ湯張りを中断し、湯張りを早期に完了し得る通常湯張りの動作へ移行する。それにより、湯張りを早期に完了させる。
図3に示すフローチャートから明らかなように、エコ湯張りの開始時において、浴槽2に十分な残り湯(即ち、設定水位以上の残り湯)が存在する場合、浴槽2への温水の給湯は行われず、熱媒を予熱する工程と風呂水を沸き上げる工程のみが実施される。このような動作は、いわゆる追い焚きの動作と同じである。従って、給湯暖房装置10は、エコ湯張りに加えて、「エコ追い焚き」の動作を実行可能とすることもできる。図4は、エコ追い焚きの動作の一例を示すフローチャートチャートである。図4に示すフローチャートにおいて、図3に示すフローチャートと共通するステップについては、同一の符号を付すことによって重複する説明は避けるように努める。
エコ追い焚きでは、最初に浴槽2の水位を確認し(S11)、浴槽2の水位が下限水位よりも低いときは、台所操作パネル108及び浴室操作パネル110によって所定の報知動作(メッセージ表示及びアラーム鳴動)を実行し(S17)、エコ追い焚きの動作を終了する。一方、浴槽2の水位が下限水位以上のときは(S11でYES)、熱媒の予熱を開始し(S12)、風呂水の温度に応じて(S18でNO)、一度目の沸き上げを行う(S20〜S24)。次いで、熱媒の二度目の予熱が完了したら(S31)、一度目あるいは二度目の沸き上げを行う(S32〜S36)。それにより、風呂水を設定温度に沸き上げる(S34でYES)。なお、エコ追い焚きの動作中についても、ユーザが「追い焚き」、「足し湯」、「ぬる湯」等の操作を行った場合は、熱媒用バーナ32を使用した通常の追い焚き動作へ移行するとよい。
以上、本発明の実施例について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
例えば、給湯暖房装置10は、コジェネシステム12に代えて、ヒートポンプ又はその他の種類の熱源を採用することもできる。この場合、エネルギー効率に優れた熱源や、再生可能エネルギーを使用する熱源を採用することが有効である。本技術によると、長時間に亘る風呂水の沸き上げを行うことができるので、加熱能力が非常に低い熱源であっても採用することができる。
例えば、浴槽2へ供給する温水の温度は、露点温度未満であってもよく、未加熱の水をそのまま浴槽2へ供給してもよい。この場合、予熱によって熱媒に蓄積し得る熱量が不足するときは、熱媒の予熱と風呂水の沸き上げを何度か繰り返し、風呂水を段階的に沸き上げるとよい。このような構成によると、給湯用バーナ22の運転も不要となり、コジェネシステム12の排熱のみで湯張りを行うことができる。
露点温度は、気温や湿度によって変化する。そのことから、給湯暖房装置10は、気温又は湿度の少なくとも一方を検出する手段を備え、前記した所定温度を気温や湿度に応じて変更してもよい。あるいは、気温や湿度は、場所、季節、暦、時刻に応じて変化することから、給湯暖房装置10は、暦及び時刻の少なくとも一方を保持又は取得する手段を備え、当該所定温度を季節、暦、時刻に応じて変更してもよい。また、給湯暖房装置10は、例えば全地球測位システム(GPS)など、自己の設置場所(緯度、経度、標高)を取得する手段を備え、設置場所に応じて当該所定温度を変更してもよい。
本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。