JP5816603B2 - ピストンシール部材及び該ピストンシール部材を用いたディスクブレーキ並びにピストンシール部材の製造方法 - Google Patents

ピストンシール部材及び該ピストンシール部材を用いたディスクブレーキ並びにピストンシール部材の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ピストンシール部材及び該ピストンシール部材を用いたディスクブレーキ並びにピストンシール部材の製造方法に関する。
ピストンシール部材は、一般にゴムを主成分とする架橋体のゴム組成物によって成形されている。例えば、車両用のディスクブレーキには、ピストンおよびシリンダを内蔵したキャリパボディが装着され、シリンダの内周面に形成された環状溝には、ピストンシール部材が装着されている。ディスクブレーキは、ブレーキ液圧によって、各車輪に固定されているディスクロータに摩擦パッドを押し付け、摩擦材である摩擦パッドの摩擦力で車輪の回転を止めるものである。ピストンシール部材が装着されていることにより、シリンダと、シリンダの孔に挿入されたピストンと、を液密的に移動可能な状態で密接させることができる。また、液圧にて前進したピストンは、ピストンシール部材によってロールバックされる(例えば、特許文献1参照)。
このようなゴム組成物からなるディスクブレーキ用ピストンシール部材は、シリンダとピストンとの間のブレーキ液の漏れの防止やロールバックの他、ブレーキ間隙調整特性等が要求される。ブレーキ間隙調整特性は、摩擦パッドが摩耗してもピストンとピストンシール部材とが適度に摺動することによってロールバック量の変化を抑える特性である。ピストンシール部材によるブレーキ間隙調整特性は、一般にディスクロータと摩擦パッドとの摩擦に起因する熱負荷によって変化する場合があった。
そこで、耐熱性を向上させたエチレン−プロピレンゴムを主成分とするゴム組成物からなるディスクブレーキ用ピストンシール部材が提案された(例えば、特許文献2、3参照)。
また、ブレーキ間隙調整特性を向上させるため、ピストンシール部材の内周面に減摩剤をコーティングすることによって、ピストンシール部材のピストンに対する摩擦係数を低減させることが提案された(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、ピストンシール部材のゴム組成物と減摩剤のコーティング層との接着強度が十分でないので剥がれる虞があることや、減摩剤のコーティング層を設けたことによるピストンシール部材の柔軟性の低下という課題があった。
特公平3−59291号公報 特開2004−316773号公報 特開2004−232786号公報 特開2001−65614号公報
本発明の目的は、ブレーキ間隙調整特性に優れたピストンシール部材及び該ピストンシール部材を用いたディスクブレーキ並びにピストンシール部材の製造方法を提供することにある。
本発明にかかるピストンシール部材は、
無端状のゴム組成物からなるディスクブレーキ用ピストンシール部材であって、
前記無端状のゴム組成物の内周面は、カーボンブラックが存在しないスキン層が無く、カーボンブラックが分散したゴム組成物で形成されることを特徴とする。
本発明にかかるピストンシール部材によれば、ピストンシール部材の内周面にスキン層が無いので、ピストンシール部材のピストンに対する摩擦係数を低減させることができ、ピストンシール部材としての諸物性にほとんど影響を与えることなく、ブレーキ間隙調整特性を向上させることができる。
本発明にかかるピストンシール部材において、
前記ゴム組成物中にグラファイト粒子を分散させることができる。
本発明にかかるピストンシール部材において、
前記ゴム組成物中にフッ素樹脂粒子を分散させることができる。
本発明にかかるディスクブレーキは、
前記ピストンシール部材と、
シリンダ孔を有するシリンダと、
前記シリンダ孔に挿入されるピストンと、を含み、
前記ピストンシール部材は、前記シリンダ孔の内周壁に形成された環状溝に嵌め込まれ、前記シリンダ孔に挿入された前記ピストンを液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進した該ピストンをロールバックさせることを特徴とする。
本発明にかかるピストンシール部材の製造方法は、
ディスクブレーキ用ピストンシール部材の製造方法であって、
原料エラストマーにカーボンブラックを配合して混練したゴム組成物を、前記ピストンシール部材成形用の金型を用いて無端状のゴム組成物を成形する工程(a)と、
前記工程(a)で得られた無端状のゴム組成物の内周面からカーボンブラックが存在しないスキン層を除去する工程(b)と、
を含み、
前記工程(b)で得られた無端状のゴム組成物の内周面は、カーボンブラックが存在しないスキン層が無く、カーボンブラックが分散したゴム組成物で形成される
本発明にかかるピストンシール部材によれば、ゴム組成物の内周面を除去することでピストンシール部材のピストンに対する摩擦係数を低減させることができ、ブレーキ間隙調整特性を向上させたピストンシール部材を得ることができる。しかも、ゴム組成物の内周面以外の物性には影響を与えることが無い。
本発明にかかるピストンシール部材の製造方法において、
前記工程(b)は、前記内周面を研磨して除去することができる。
本発明にかかるピストンシール部材の製造方法において、
前記工程(b)は、前記内周面をバレル研磨して除去することができる。
本発明にかかるピストンシール部材の製造方法において、
前記工程(b)は、前記内周面をショットブラスト法で除去することができる。
本発明にかかるピストンシール部材の製造方法において、
前記工程(b)は、前記内周面を切削して除去することができる。
本発明にかかるピストンシール部材の製造方法において、
前記工程(b)は、前記工程(a)で得られた無端状のゴム組成物の前記内周面から0.1μm〜100μmの厚さ範囲を除去することができる。
本発明の一実施の形態に係るピストンシール部材をディスクブレーキ20に組み込まれた状態で模式的に示す拡大断面図である。 図1に示すピストンシール部材を含むディスクブレーキを模式的に示す断面図である。 本発明の一実施の形態に係るピストンシール部材8の製造工程を説明する図である。 本発明の一実施の形態に係るピストンシール部材8の製造工程を説明する図である。 本発明の一実施の形態に係るピストンシール部材8の一部を切り欠いて断面を示す斜視図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るピストンシール部材8をディスクブレーキ20に組み込まれた状態で模式的に示す拡大断面図である。図2は、図1に示すピストンシール部材8を含むディスクブレーキ20を模式的に示す断面図である。本実施の形態においては、一例として、フローティングタイプの車両用ディスクブレーキについて説明する。
(ディスクブレーキ)
本実施の形態にかかるディスクブレーキ20は、ピストンシール部材8と、シリンダ孔6aを有するシリンダ6と、シリンダ孔6aに挿入されるピストン5と、を含み、ピストンシール部材8は、シリンダ孔6aの内周壁に形成された環状溝のピストンシール溝7に嵌め込まれ、シリンダ孔6aに挿入されたピストン5を液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進したピストン5をロールバックさせる。
ディスクブレーキ20は、車体(図示せず)に固定されたブラケット3と、ブラケット3に摺動可能な状態で支持されたキャリパボディ1と、を有している。キャリパボディ1は、作用部1bおよび反作用部1cを含み、ピストン5およびシリンダ6は作用部1bに形成されている。この作用部1bおよび反作用部1cは、ブリッジ部1aを介して一体的に形成されている。車輪(図示せず)と一体回転するディスクロータ2の両側の摩擦面に臨ませて、一対の摩擦パッド4b,4cが配置されている。ブラケット3には、摩擦パッド4b,4cをディスクロータ2に押圧するキャリパボディ1がスライドピン(図示せず)を介して進退可能に連結している。このキャリパボディ1は、一方の摩擦パッド4bの背面に配置する作用部1bと、他方の摩擦パッド4cの背面に配置する反作用部1cと、ディスクロータ2の外周を跨いで作用部1bおよび反作用部1cを連結するブリッジ部1aとで構成される。摩擦パッド4bは、シリンダ孔6aに挿入されたピストン5によって押されて移動し、ディスクロータ2の一側面に接する。摩擦パッド4cは、反作用部1cによって押されて移動し、ディスクロータ2の他方の側面に接する。上記の動作により、制動が行なわれる。
シリンダ孔6aの内周壁には、環状のピストンシール溝7が設けられている。このピストンシール溝7に環状のピストンシール部材8が嵌め込まれている。ピストンシール部材8の材質及びその製造方法については後述する。
液圧室9は、ピストン5の底部とシリンダ6との間に設けられている。この液圧室9には、供給口10よりブレーキ液が供給される。ピストンシール部材8は、このブレーキ液
をシールする機能と、液圧室9の液圧が低下したときに、前進していたピストン5をロールバックさせる機能と、を有する。供給口10は、液圧経路28を介して、液圧源であるマスタシリンダ(図示せず)の出力ポート(図示せず)に接続されている。
図1に示すように、ピストンシール溝7は、面取コーナ7aと面取コーナ7bとを有している。ピストンシール部材8は、図1に示す黒い矢印方向(図2におけるディスクロータ2側)にピストン5が摺動して前進することによって、ピストン5の摺動面に追従してピストンシール部材8の一部が面取コーナ7aに入り込む。そして、液圧室9の液圧が低下したらピストンシール部材8の弾性によって復元することでピストン5が矢印と反対方向にロールバックされる。なお、ディスクブレーキ20の形式は、本実施の形態のようなピンスライド式に限らず、ピストンがディスクロータの両側に配置された対向型ディスクブレーキでもよく、ピストンの数やピストンシール部材の形状も本実施の形態に限定されない。
(ピストンシール部材)
図1、図5を用いて、本実施の形態にかかるピストンシール部材8について説明する。図5は、本発明の一実施の形態に係るピストンシール部材8の一部を切り欠いて断面を示す斜視図である。
ピストンシール部材8は、無端状のゴム組成物からなるディスクブレーキ用ピストンシール部材であって、無端状のゴム組成物の内周面8aは、カーボンブラックが存在しないスキン層が無く、カーボンブラックが分散したゴム組成物で形成される。スキン層とは、円筒状もしくは切断されて無端状になったゴム組成物82において成形直後に存在する最表面層のことである。従来のように、この内周面8aに形成されたスキン層840が存在すると、例えば高温においてピストン5に対する粘着性が高くなり摩擦係数が高くなる。本実施の形態にかかるピストンシール部材8は、内周面8aにスキン層が無いので、ピストン5に対する摩擦係数が低く、したがって良好なブレーキ間隙調整特性を安定化することができる。ピストンシール部材8は、図5に示すように断面が矩形のリング状であって、ディスクブレーキに組み付けられると図1のようにピストンシール溝7の形状によって変形し、その内周面8aがピストン5の外周面5aに適度な荷重分布で押し付けられる。
図2を用いてブレーキ間隙調整特性について説明する。ブレーキ間隙dは、ピストン5のロールバック量に相当し、非ブレーキ時の摩擦パッド4b,4cとディスクロータ2との間隔であり、ブレーキングの繰り返しによって摩擦パッド4b,4cがディスクロータ2と接触して摩耗すると広くなる傾向がある。ブレーキ間隙調整特性は、摩擦パッド4b,4cが摩耗してもブレーキ間隙dが広くならないように調整することである。このようにブレーキ間隔dが広くならなければ、ピストン5のロールバック量が安定し、運転者においては例えばブレーキレバーのストローク量の変化を感じにくくすることができる。本実施の形態にかかるピストンシール部材8を用いると、摩擦パッド4b,4cが摩耗してもブレーキング時にピストンシール部材8がピストン5の表面5aに対して適度にすべることによりブレーキ間隙が広くなることを防止することができる。より詳細には、ピストンシール部材8及びピストン5が特に高温の状態においても、ブレーキング時にピストン5をディスクロータ2に対して前進する力がピストンシール部材8とピストン5との間の摩擦力を超えてピストン5を前進させることによって、所定ブレーキ間隙を維持することができるということである。
ピストンシール部材8は、ゴム組成物中に減摩剤の粒子を分散させてなることができる。減摩剤の粒子としては、グラファイト粒子やフッ素樹脂粒子が経済性や摩擦特性から好ましい。ピストンシール部材8は、例えば図2に示すようなディスクブレーキ20のキャリパボディ1に用いられることができ、図1に示すようにシリンダ孔6aと、該シリンダ孔6a内を摺動するピストン5と、を液密にかつ摺動可能に保持することができる。
ピストンシール部材8は、ゴム組成物からなるディスクブレーキ用ピストンシール部材であって、ゴム組成物中に減摩剤の粒子は3〜5重量%含むことができる。減摩剤の粒子の配合量は、摩擦係数を下げるために3重量%以上配合することが好ましいが、一般に減摩剤はマトリックスのゴムと濡れにくいためピストンシール部材8の物性が低下しないように5重量%以下の配合が好ましい。減摩剤としては、グラファイト粒子やフッ素樹脂粒子を用いることができる。グラファイト粒子とフッ素樹脂粒子については後述する。ピストンシール部材を構成するゴム組成物としては、エチレン−プロピレンゴム、フッ素ゴム、スチレンゴム(SBR)、天然ゴム、熱可塑性エラストマーおよび、これらのブレンド物を用いることができるが、エチレン−プロピレンゴムを主成分とするゴム組成物が好ましい。エチレン−プロピレンゴムとしては、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン共重合体)を用いることが好ましく、ピストンシール部材に必要な耐熱性、耐寒性、シール性を得るため、エチリデンノルボルネンなどの第3成分を含み、かつ、エチレンとプロピレンの共重合比は、エチレン含量で45%〜80%のEPDMが好ましい。
ピストンシール部材は、例えば、エチレン−プロピレンゴム100重量部に対し、平均粒径が35〜100nmでDBP吸油量が50〜200ml/100gの第1のカーボンブラックを20〜60重量部と、平均粒径が60〜500nmでDBP吸油量が5〜50ml/100gの第2のカーボンブラックを50〜100重量部と、を合わせて70〜160重量部を含むゴム組成物によって成形されることができる。第1のカーボンブラックは、20重量部以上配合されることでピストンシール部材に補強効果を与えることができ、60重量部以下配合されることでピストンシール部材の柔軟性を維持することができるため好ましい。第2のカーボンブラックは、50重量部以上配合されることでピストンシール部材中のゴムポリマー分率を小さくして線膨張係数を低く抑えることができ、100重量部以下配合されることでピストンシール部材が適度な柔軟性を維持することができる。さらに好ましくは、ピストンシール部材8は、エチレン−プロピレンゴム100重量部に対し、第1のカーボンブラックを30〜50重量部と、第2のカーボンブラックを60〜80重量部と、を含むゴム組成物によって成形される。ここで、「重量部」は、特に指定しない限り「phr」を示し、「phr」は、parts per hundred of resin or rubberの省略形であって、ゴム等に対する添加剤等の外掛百分率を表すものである。
グラファイトは、炭素同素体であって、黒鉛とも呼ばれる。本実施の形態にかかるピストンシール部材においては、グラファイト粒子はゴム組成物中に分散された減摩剤として用いることができ、ピストンシール部材のピストンに対する摩擦係数を小さくすることができる。グラファイト粒子は、平均粒径が4〜250μmであることができる。グラファイト粒子は平均粒径が4μm以上であるとピストンシール部材の減摩剤としての効果が得られ、平均粒径が250μm以下であればピストンシール部材の靭性への影響が少ない。グラファイトの平均粒径は、市販されている場合はメーカーで分級されて各グレードごとに平均粒径を測定し公表しているが、篩分け法によるメディアン径(D50)とすることができる。
フッ素樹脂粒子は、分子内に炭素―フッ素結合を有する熱可塑性プラスチックの粒子であって、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリトリフルオロクロロエチレン(PTFCE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等の粒子を用いることができる。特に耐久性及びコスト面において、フッ素樹脂粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)粒子であることが好ましい。
(ゴム組成物の製造方法)
本実施の形態にかかるピストンシール部材8の製造方法は、ディスクブレーキ用ピストンシール部材の製造方法であって、原料エラストマーにカーボンブラックを配合して混練したゴム組成物を、ピストンシール部材成形用の金型を用いて無端状のゴム組成物を成形する工程(a)と、工程(a)で得られた無端状のゴム組成物の内周面からカーボンブラックが存在しないスキン層を除去する工程(b)と、を含み、工程(b)で得られた無端状のゴム組成物の内周面は、カーボンブラックが存在しないスキン層が無く、カーボンブラックが分散したゴム組成物で形成される
ゴム組成物の製造方法としては、例えば原料エラストマーとしてのエチレン−プロピレンゴムと、必要に応じて減摩剤粒子と、補強剤としての例えば第1のカーボンブラック及び第2のカーボンブラックと、その他の配合剤と、をミキシングロール、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなど公知の混合機に供給して混練することができる。通常、この混練の際に、カーボンブラックと同量程度のプロセスオイルが使用されるが、本発明のゴム組成物の製造過程では使用しないことが望ましい。プロセスオイルを用いて製造されたディスクブレーキのピストンシール部材を用いた場合、プロセスオイルがブレーキフルード中に溶け出し、ブレーキフルードの性能の経時変化や耐熱性の変化の原因となるからである。このようにエチレン−プロピレンゴムと各種配合剤を混練して得られたゴム組成物は、押出成形機、圧縮成形機、射出成形機、トランスファ成形機などによって円筒状のゴム組成物に成形され、架橋される。架橋条件は、エチレン−プロピレンゴムの場合例えば150〜220℃、1〜30分である。ゴム組成物の製造方法において、通常、エチレン−プロピレンゴムの加工で用いられる配合剤を加えることができる。配合剤としては公知のものを用いることができる。
図3及び図4を用いて、本実施の形態にかかるピストンシール部材成形用の金型を用いて無端状のゴム組成物を成形する工程(a)についてより詳細に説明する。図3及び図4は、本実施の形態にかかるピストンシール部材8の製造工程を説明する図である。一般に、ディスクブレーキ用のピストンシール部材8は、その外形について高い寸法精度が求められる。そのため、混練りされたゴム組成物は、例えば図示しない射出成形機を用いて図3に示すコア型92を備えた金型90内に充填され、所定時間加熱することで架橋し、円筒状のゴム組成物80を成形することができる。円筒状のゴム組成物80は中心の孔部88を円柱状のコア型92で保持されたまま金型90から取り出され、図4に示すように、所定厚さ例えば1.5mm〜4.0mmに輪切り状に切断されて複数の無端状のゴム組成物82を得る。金型内から取り出された円筒状のゴム組成物80の内周面84及び外周面
86は、成形時にコア型92及び金型90壁面に接触していたため、いわゆるスキン層840、860が形成される。スキン層840、860とは、円筒状もしくは切断されて無端状になったゴム組成物82において成形直後に存在する最表面層のことで、このスキン層840、860は成形時の種々の要因により、組成がゴム組成物の内部層820と異なる。無端状のゴム組成物82の内部層820においては配合されたカーボンブラックが分散されているが、スキン層840、860にはカーボンブラックが存在しない原料エラストマーだけで形成されている。
無端状のゴム組成物の内周面のスキン層を除去する工程(b)について説明する。ここでは、輪切り状に切断された無端状のゴム組成物82を用いて内周面のスキン層を除去する方法を説明するが、工程(b)における無端状のゴム組成物は、輪切り状に切断された無端状のゴム組成物82だけでなく、円筒状のゴム組成物80のままの状態をも含む。このスキン層を除去する方法としては、バレル研磨、バフ研磨などの研磨法、エンドミル切削やダイヤモンドバイト切削等の切削法、ショットブラスト、砥石研削、ベルト研削などの研削法などスキン層が除去可能な公知の装置を適宜採用することができる。スキン層は非常に薄いので、特に研磨加工が好ましい。工程(b)のスキン層840の除去は、無端状のゴム組成物の内周面から0.1μm〜100μmの厚さ範囲を除去することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内にお
いて種々の形態に変形可能である。例えば、配合剤として減摩剤とカーボンブラックを用いた例を述べたが、用途に応じて適宜公知の配合剤を用いることができる。
例えば、本実施の形態においては、車両用のディスクブレーキに内蔵するピストンシール部材であったが、その他のディスクブレーキ用のピストンシール部材であってもよい。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1)ゴム組成物サンプルの作製
JSR株式会社製のEPDM(商品名EP33)100重量部に対して、SRF−HSグレード(平均粒径72nm、DBP吸油量152ml/100g)の第1のカーボンブラック20重量部、MTグレード(平均粒径122nm、DBP吸油量41ml/100g)の第2のカーボンブラック100重量部、有機過酸化物2.5重量部、共架橋剤1重量部及び表1に示す量の減摩剤粒子(グラファイト粒子:平均粒径20μm、PTFE粒子:平均粒径30μm)を混練してゴム組成物を得た。なお、実施例1では表1に示すとおり減摩剤粒子を配合していない。
このゴム組成物を用いて射出成形し、175℃、20分間加熱して架橋して円筒状のゴム組成物を成形し、輪切り状に切断して比較例1〜5のピストンシール部材のサンプルを得た。
また、このゴム組成物をシート状のまま同様に加熱して架橋して実施例1〜5のJISダンベル状3号形の試験片を得た。
さらに、比較例1〜5のピストンシール部材のサンプルの内周面の表面を20μm深さ切除してスキン層を除去し、実施例1〜5のピストンシール部材のサンプルを得た。
(2)常態物性の測定
各試験片について、ゴム硬度(JIS−A)、引張強さ(TB)、切断伸び(EB)及び100%引張応力(M100)を測定した。ゴム硬度(JIS−A)については、JIS K 6253−1997によって測定した。TB、EB及びM100については、JIS K 6251−1993によって測定した。より詳細には、100%引張応力(MPa)は、サンプルを10mm/minで伸長し、100%変形時の応力(M100:100%モジュラス)を求めた。これらの結果を表1に示す。
(3)耐熱老化特性の測定
各試験片を、試験槽内につるして老化温度200℃、老化時間24時間で加熱し老化させた後、試験槽内から取り出して室温まで放冷し、ゴム硬度(JIS−A)、引張強さ(TB)及び切断伸び(EB)をJIS K 6253によって測定し、常態物性の各測定値に対する変化をJIS K 6257−1993にしたがって計算した。これらの結果を表1に示す。
(4)圧縮永久ひずみ試験
各試験片について、圧縮永久ひずみをJIS K6262によって測定した。圧縮永久ひずみは、200℃、24時間、25%圧縮の条件で行なった。圧縮永久ひずみは、高温におけるピストンシール部材のいわゆる耐ヘタリ性についての評価である。これらの結果を表1に示す。
(5)摩擦係数の測定
各試験片(20mm×100mm×2mm厚)について、新東科学社製の直線摺動型の試験機(ヘイドン14DR)を用いて、静的・動的摩擦係数を測定した。
測定治具:SUS球
荷重分銅:100gf
移動テーブル速度:30mm
繰り返し測定回数:5回(5回目の静・動の摩擦抵抗力を測定)
なお、摩擦係数=静・動摩擦抵抗力/垂直荷重で計算した。
評価試験の結果を表2、3に示す。
(6)ブレーキテスト
次に、実施例2,4、比較例1〜5のピストンシール部材をディスクブレーキの環状のピストンシール溝に嵌め込み、ロールバック量の評価試験を行い、その特性を評価した。なお、ロールバック量の測定は、ピストンシール部材140℃において、液圧0.9MPaをディスクブレーキに10回加えて作動させた後、液圧6.9MPaで5秒間保持し、そのときのピストン位置に対する液圧を解放した時のピストン移動量を測定した。評価試験の結果を表2、3に示す。
Figure 0005816603
Figure 0005816603
Figure 0005816603
表1〜表3から、本発明の実施例1〜5によれば、以下のことが確認された。すなわち、表2,3に示すように、実施例1〜5のゴム組成物の摩擦係数は比較例1〜5のゴム組成物の摩擦係数に比べて小さくなった。また、表2、3に示すように、比較例2〜5は減摩剤の配合によってロールバック量が小さくなっているが、実施例2、4は比較例2、4に比べてさらにロールバック量が小さくなっていることがわかった。実施例1〜5及び比較例1〜5のゴム組成物は、スキン層の有無だけであるので、表1に示す常態物性、耐熱老化特性及び圧縮永久ひずみ特性には差が無かった。
1 キャリパボディ、1a ブリッジ部、1b 作用部、1c 反作用部、2 ディスクロータ、3 ブラケット、4b,4c 摩擦パッド、5 ピストン、5a ピス
トンの表面、6 シリンダ、6a シリンダ孔、7 ピストンシール溝、7a,7b
面取コーナ、8 ピストンシール部材、8a 内周面、9 液圧室、20 ディスクブレーキ、80 円筒状のゴム組成物、82 無端状のゴム組成物、84 内周面、90 金型、92 コア型、840 スキン層

Claims (10)

  1. 無端状のゴム組成物からなるディスクブレーキ用ピストンシール部材であって、
    前記無端状のゴム組成物の内周面は、カーボンブラックが存在しないスキン層が無く、カーボンブラックが分散したゴム組成物で形成される、ピストンシール部材。
  2. 請求項1において、
    前記ゴム組成物中にグラファイト粒子を分散させた、ピストンシール部材。
  3. 請求項1において、
    前記ゴム組成物中にフッ素樹脂粒子を分散させた、ピストンシール部材。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項のピストンシール部材と、
    シリンダ孔を有するシリンダと、
    前記シリンダ孔に挿入されるピストンと、を含み、
    前記ピストンシール部材は、前記シリンダ孔の内周壁に形成された環状溝に嵌め込まれ、前記シリンダ孔に挿入された前記ピストンを液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進した該ピストンをロールバックさせる、ディスクブレーキ。
  5. ディスクブレーキ用ピストンシール部材の製造方法であって、
    原料エラストマーにカーボンブラックを配合して混練したゴム組成物を、前記ピストンシール部材成形用の金型を用いて無端状のゴム組成物を成形する工程(a)と、
    前記工程(a)で得られた無端状のゴム組成物の内周面からカーボンブラックが存在しないスキン層を除去する工程(b)と、
    を含み、
    前記工程(b)で得られた無端状のゴム組成物の内周面は、カーボンブラックが存在しないスキン層が無く、カーボンブラックが分散したゴム組成物で形成される、ピストンシ
    ール部材の製造方法。
  6. 請求項5において、
    前記工程(b)は、前記内周面を研磨して除去する、ピストンシール部材の製造方法。
  7. 請求項5において、
    前記工程(b)は、前記内周面をバレル研磨して除去する、ピストンシール部材の製造方法。
  8. 請求項5において、
    前記工程(b)は、前記内周面をショットブラストで除去する、ピストンシール部材の製造方法。
  9. 請求項5において、
    前記工程(b)は、前記内周面を切削して除去する、ピストンシール部材の製造方法。
  10. 請求項5〜9のいずれか1項において、
    前記工程(b)は、前記工程(a)で得られた無端状のゴム組成物の前記内周面から0.1μm〜100μmの厚さ範囲を除去する、ピストンシール部材の製造方法。
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