JP4364188B2 - ピストンシール部材及び該ピストンシール部材を用いたディスクブレーキ - Google Patents

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Description

本発明は、ピストンシール部材及び該ピストンシール部材を用いたディスクブレーキに関する。
ピストンシール部材は、一般にゴムを主成分とするゴム組成物によって成形されている。例えば、車両用のディスクブレーキには、ピストンおよびシリンダを内蔵したキャリパボディが装着され、シリンダの内周面に形成された環状溝には、ピストンシール部材が装着されている。ディスクブレーキは、液圧によって、各車輪に固定されているディスクロータにブレーキパッドを押し付け、摩擦材であるブレーキパッドの摩擦力で車輪の回転を止めるものである。このピストンシール部材は、ブレーキ液をシールする役割と、液圧によって前進したピストンを戻す(ロールバック)役割とを有する。ここで、このブレーキパッドは、液圧によって、シリンダの孔にピストンが挿入されることにより、ディスクに押し付けられる。
すなわち、このピストンシール部材が装着されていることにより、前記シリンダと、前記シリンダの孔に挿入されたピストンとを液密的に移動可能な状態で密接させることができる。また、液圧にて前進した該ピストンは、ピストンシール部材によってロールバックされる(特許文献1参照)。したがって、このピストンシール部材には、ブレーキ液を確実にシールするための靭性と、液圧にて前進した該ピストンを元の位置に戻す(ロールバック)ための弾性との両方が求められる。
また、ディスクブレーキのキャリパボディは、ディスクロータとブレーキパッドとの間に生じる摩擦熱によって、作動中に高温になる。これに伴い、ピストンシール部材も高温に曝される。ゴム組成物からなるピストンシール部材は、高温になると熱膨張するとともに、ピストンシール部材の弾性率が低下する。この場合、ピストンシール部材の熱膨張及びピストンシール部材の弾性率の低下によってピストンのロールバック量が変化することになり、ブレーキの効き代が変化することになる。例えば、オートバイのディスクブレーキにおいては、ブレーキ・レバーのストローク量が変化することになり、運転者のブレーキ操作に違和感を生じることがある。
そこで、エチレンプロピレンゴム100重量部に対し、少なくともカーボンブラック100重量部以上を添加したゴム組成物によって成形されたピストンシール部材が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
特公平3−59291号公報 特開2004−316773号公報
本発明の目的は、温度上昇に伴う熱膨張を抑えると共に、弾性率の低下を減少させ、耐久性に優れたピストンシール部材及び該ピストンシール部材を用いたディスクブレーキを提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の第一の態様に係るピストンシール部材は、シリンダ孔と、該シリンダ孔内を摺動するピストンと、を液密にかつ摺動可能に保持するピストンシール部材であって、
前記ピストンシール部材は、該ピストンシール部材を補強する第1のカーボンブラックと、該ピストンシール部材の線膨張係数を低減する第2のカーボンブラックと、を含むゴム組成物によって成形され、
前記ゴム組成物は、エチレンプロピレンゴム100重量部に対し、平均粒径が35〜100nmでDBP吸油量が50〜200ml/100gの前記第1のカーボンブラックを20〜60重量部と、平均粒径が60〜500nmでDBP吸油量が5〜50ml/100gの前記第2のカーボンブラックを50〜100重量部と、を合わせて70〜160重量部を含み、
前記ゴム組成物は、20℃〜150℃における線膨張係数の平均値が50〜180ppm(/K)であり、かつ、10Hz、30℃における動的弾性率が7〜16MPaであることを特徴とする。
本発明の第一の態様に係るピストンシール部材によれば、耐熱性、耐寒性、シール性、及びブレーキフルード等の作動液に対する耐性を得ることができる。特に、第2のカーボンブラックを用いることによって、ピストンシール部材の線膨張係数を低減させ、温度上昇に伴う熱膨張を抑えることができるので、温度変化によるシール性の低下を防止することができる。さらに、ピストンシール部材の温度上昇に伴う弾性率の低下を減少させることによって、低温時だけでなく高温時においても高い弾性率を維持することができ、シール性や追従性の低下を防止することができる。また、第1のカーボンブラックを用いることによって、ピストンシール部材を補強することができ、耐久性を向上させることができる。
また、このような構成とすることで、ピストンシール部材は、温度上昇に伴う熱膨張を抑えることができ、温度変化によるシール性の低下を防止することができる。
さらに、このような構成とすることで、ピストンシール部材は、高い弾性率を有することができ、シール性や、ピストンシール部材における高い追従性を有することができる。
本発明の第一の態様にかかるピストンシール部材は、前記第1のカーボンブラックは、SRF−HSグレードまたはFEFグレードであり、前記第2のカーボンブラックは、MTグレードであることができる。
ここで、本発明の第一の態様に係るピストンシール部材は、ディスクブレーキのキャリパボディに用いることができる。
このような構成とすることで、ディスクブレーキは、引きずりがないため耐久性に優れ、低温領域から高温領域にわたって安定したロールバック量を再現することができ、運転者のブレーキ操作の違和感を少なくすることができる。
ここで、本発明の第二の態様に係るディスクブレーキにおいて、本発明の第一の態様に係るピストンシール部材と、
シリンダ孔を有するシリンダと、
前記シリンダ孔に挿入されるピストンと、を含み、
前記ピストンシール部材は、前記シリンダ孔の内周壁に形成された環状溝に嵌め込まれ、
前記シリンダ孔に挿入された前記ピストンを液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進した該ピストンをロールバックさせることができる。
このような構成とすることで、ディスクブレーキのピストンシール部材においては、第1のカーボンブラックの補強による耐久性を有するとともに、第2のカーボンブラックによって、ピストンシール部材の温度上昇に伴う熱膨張を抑え、弾性率の低下を減少させることができる。したがって、ピストンのロールバック量を安定化させ、運転者のブレーキ操作の違和感を少なくすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係るピストンシール部材8を模式的に示す断面図である。図2は、図1に示すピストンシール部材8を含むディスクブレーキ20を模式的に示す断面図である。本実施の形態においては、一例として、フローティングタイプの車両用ディスクブレーキ(図2参照)について説明する。
ディスクブレーキ20には、ピストン5およびシリンダ6を含むキャリパボディ1が設けられている。キャリパボディ1は、作用部1bおよび反作用部1cを含む。この作用部1bおよび反作用部1cは、ブリッジ部1aを介して一体的に形成されている。
車輪(図示せず)と一体回転するディスクロータ2の両側の摩擦面に臨ませて、一対の摩擦パッド4b,4cが配置されている。ブラケット3には、摩擦パッド4b,4cをディスクロータ2に押圧するキャリパボディ1がスライドピン(図示せず)を介して進退可能に連結している。このキャリパボディ1は、一方の摩擦パッド4bの背面に配置する作用部1bと、他方の摩擦パッド4cの背面に配置する反作用部1cと、ディスクロータ2の外周を跨いで作用部1bおよび反作用部1cを連結するブリッジ部1aとで構成される。
このディスクブレーキ20は、車体(図示せず)に固定されたブラケット3に摺動可能な状態で支持されている。また、図2に示すように、ピストン5およびシリンダ6は作用部1bに形成されている。
摩擦パッド4bは、シリンダ6の孔6aに挿入されたピストン5によって押されて移動し、ディスクロータ2の一側面に接する。摩擦パッド4cは、反作用部1cによって押されて移動し、ディスクロータ2の他方の側面に接する。上記の動作により、制動が行なわれる。
シリンダ孔6aの内周壁には、環状のピストンシール溝7が設けられている。このピストンシール溝7にピストンシール部材8が嵌め込まれている。ピストンシール部材8の材質については後述する。
液圧室9は、ピストン5の底部とシリンダ6との間に設けられている。この液圧室9には、供給口10よりブレーキフルードが供給される。ピストンシール部材8は、このブレーキ液をシールする機能と、液圧が低下したときに、前進していたピストン5をロールバックさせる機能を有する。供給口10は、液圧経路28を介して、液圧源であるマスタシリンダ(図示せず)の出力ポート(図示せず)に接続されている。
図1に示すように、ピストンシール溝7は、面取コーナ7aと面取コーナ7bとを有している。ピストンシール部材8は、図1に示す黒い矢印方向(図2におけるディスクロータ2側)にピストン5が摺動して前進することによって、ピストン5の摺動面に追従してピストンシール部材8の一部が面取コーナ7aに入り込む。そして、液圧室9の液圧が低下したらピストンシール部材8の弾性によって復元することでピストン5が矢印と反対方向にロールバックされる。
ピストンシール部材8は、該ピストンシール部材を補強する第1のカーボンブラックと、該ピストンシール部材の線膨張係数を低減する第2のカーボンブラックと、を含むゴム組成物によって成形され、前記ゴム組成物は、エチレンプロピレンゴム100重量部に対し、平均粒径が35〜100nmでDBP吸油量が50〜200ml/100gの前記第1のカーボンブラックを20〜60重量部と、平均粒径が60〜500nmでDBP吸油量が5〜50ml/100gの前記第2のカーボンブラックを50〜100重量部と、を合わせて70〜160重量部を含み、前記ゴム組成物は、20℃〜150℃における線膨張係数の平均値が50〜180ppm(/K)であり、かつ、10Hz、30℃における動的弾性率が7〜16MPaである。第1のカーボンブラックが20重量部未満の場合は、ピストンシール部材に必要な補強効果が得られず、ディスクブレーキのキャリパーボディに用いられた場合に充分な耐久性を発揮することができない。また、第1のカーボンブラックが60重量部を越えると、固くて脆くなる。第2のカーボンブラックが50重量部未満の場合は、ピストンシール部材中のゴムポリマー分率を小さくして、線膨張係数を低く抑えられない恐れがある。また、第2のカーボンブラックが100重量部を越えると、ピストンシール部材が脆くなり、第1のカーボンブラックによる補強効果によってピストンシール部材に必要な強度を維持することができない。さらに好ましくは、ピストンシール部材8は、エチレンプロピレンゴム100重量部に対し、第1のカーボンブラックを30〜50重量部と、第2のカーボンブラックを60〜80重量部と、を含むゴム組成物によって成形される。ここで、「重量部」は、特に指定しない限り「phr」を示し、「phr」は、parts per hundred of resin or rubberの省略形であって、ゴム等に対する添加剤等の外掛百分率を表すものである。


(エチレンプロピレンゴム)
エチレンピロピレンゴム(EPR)は、EPDM(エチレン・プロピレン・ジエン・共重合体)、EPM(エチレン・プロピレン共重合体)等を用いることができる。また、本実施の形態におけるエチレンプロピレンゴムは、ピストンシール部材に必要な耐熱性、耐寒性、シール性を得るため、エチリデンノルボルネンなどの第3成分を含み、かつ、エチレンとプロピレンの共重合比は、エチレン含量で45%〜80%のEPDMが好ましい。
(カーボンブラック)
第1のカーボンブラックは、ゴム組成物の補強として用いるため、平均粒径が35nm〜100nmでDBP吸油量が50〜200ml/100gであることが好ましく、さらに好ましくは平均粒径が40〜75nmでDBP吸油量が100〜160ml/100gである。第1のカーボンブラックの平均粒径が35nm未満及び/またはDBP吸油量が50ml/100g未満であると、高温における補強効果が得られなくなり、平均粒径が100nmを超え及び/またはDBP吸油量が200ml/100gを超えると望ましい補強効果が得られない。本発明のゴム組成物は、第1のカーボンブラックによって補強されることで、弾性率を低く抑えて剛性及び耐久性を向上させ、ディスクブレーキのピストンシール部材に用いられた場合には充分なロールバック量を得ることができ、引きずりもない。
第2のカーボンブラックは、ピストンシール部材に必要な硬さと機械的強度を持たせながら、ゴム組成物中におけるゴムポリマー分率を小さくしてゴム組成物の線膨張係数を低く抑えるため、平均粒径が60〜500nmでDBP吸油量が5〜50ml/100gであることが好ましく、さらに好ましくは80〜150nmでDBP吸油量が30〜45ml/100gである。第2のカーボンブラックの平均粒径が60nm未満及び/またはDBP吸油量が5ml/100g未満であると、望ましい硬さや線膨張係数の組み合わせが得られなくなり、平均粒径が500nmを超え及び/またはDBP吸油量が50ml/100gを超えると、補強効果が得られない。
(ゴム組成物)
本発明のゴム組成物を得る方法としては、エチレンプロピレンゴム100重量部と、第1のカーボンブラックを20〜60重量部と、第2のカーボンブラックを50〜100重量部と、を合わせて70〜160重量部をミキシングロール、単軸あるいは2軸の押出機、バンバリーミキサー、ニーダーなど公知の混合機に供給して混練する方法がある。通常、この混練の際に、カーボンブラックと同量程度のプロセスオイルが使用されるが、本発明のゴム組成物の製造過程では使用しないことが望ましい。プロセスオイルを用いて製造されたディスクブレーキのピストンシール部材を用いた場合、プロセスオイルがブレーキフルード中に溶け出し、ブレーキフルードの性能の経時変化や耐熱性の変化の原因となるからである。
本発明のゴム組成物を混練する際に添加する架橋剤としては、1,1−ビス(第3ブチルペルオキシン)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(第3ブチルペルオキシ)ヘキシン−3第3ブチルクミルペルオキシド、ジ(第3ブチルペルオキシ)−m−ジイソプロピルベンゼン、ジ第3ブチルペルオキシド、1,3−ジ(第3ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物、及びトリアリルイソシアネート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリアリルシアヌレート、キノンジオキシム、イオウ化合物、1,2−ポリブタジエンなどの共架橋剤を用いることができる。
このようにエチレンプロピレンゴムとカーボンブラックとを混練して得られたゴム組成物は、押出成形機、圧縮成形機、射出成形機、トランスファ成形機などによってピストンシール部材8に成形され、架橋される。架橋条件は、例えば150〜220℃、1〜30分である。
本発明におけるピストンシール部材(架橋後のゴム組成物)は、例えばディスクブレーキに採用された場合には、温度変化に伴うブレーキレバーのストロークの変化量が小さい、つまり熱安定性が良く、ディスクブレーキの引きずり不良を起こさない。このようにピストンシール部材の熱安定性を向上させるためには、線膨張係数を低く抑える必要がある。本発明におけるピストンシール部材は、20℃〜150℃における線膨張係数の平均値が50〜180ppm(/K)であることが好ましく、さらに好ましくは80〜150ppm(/K)である。ピストンシール部材の20℃〜150℃における線膨張係数の平均値が50ppm(/K)未満であれば金属と同程度であり、シール性が得られない可能性がある。また、ピストンシール部材の20℃〜150℃における線膨張係数の平均値が180ppm(/K)を超えると、温度上昇に伴う熱膨張を抑えることができず、温度変化によるシール性が低下する。
また、本発明におけるピストンシール部材(架橋後のゴム組成物)は、10Hz、30℃における動的弾性率が7〜16MPaが好ましい。ピストンシール部材の10Hz、30℃における動的弾性率が7MPaより低いと必要なシール性や追従性が得られず、16MPaを超えると引きずり不良を生じる可能性がある。ピストンシール部材は、第1のカーボンブラックを所定量含むことで補強され、耐久性が向上し、特に、剛性、強度、耐熱性、耐疲労性が向上する。
以下、実施例をあげて本発明を詳細に説明する。
JSR株式会社製のEPDM(商品名EP33)100重量部に対して、SRF−HSグレード(平均粒径72nm、DBP吸油量152ml/100g)の第1のカーボンブラック20重量部、MTグレード(平均粒径122nm、DBP吸油量41ml/100g)の第2のカーボンブラック100重量部、有機過酸化物2.5重量部、共架橋剤1重量部を混練してゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて射出成形し、75℃、20分間加熱して架橋してピストンシール部材のサンプルを得た。また、このゴム組成物を同様に加熱して架橋して試験片(1.5×1.0×10mm)を得た。
まず、得られた試験片を用いて10Hz、30℃における動的弾性率(E’)と、線膨張係数(CTE)を測定した。測定結果を表1に示す。
次に、このピストンシール部材をディスクブレーキの環状のピストンシール溝に嵌め込み、ロールバック量の評価試験、マスタシリンダを作動させる操作レバーのレバーストローク増加量、引きずりについて評価試験を行い、その特性を評価した。なお、ロールバック量の測定は、ピストンシール部材140℃において、液圧0.5MPaをディスクブレーキ20に10回加えて作動させた後、液圧6.9MPaで5秒間保持し、そのときのピストン位置に対する液圧を解放した時のピストン移動量を測定した。また、レバーストローク増加量は、ピストンシール部材が30℃と140℃の状態におけるブレーキの効きはじめまでの2輪車用のブレーキレバーのストローク量を測定した。さらにディスクブレーキの引きずりの有無を確認した。評価試験の結果を表1に示す。
試験片の動的弾性率(E’)は9.2MPa、線膨張係数(CTE)は160ppm(/K)であった。また、ピストンシール部材のロールバック量は0.065mm、レバーストローク増加量は9mmであった。引きずりは無かったので、表1に「○」を記入した。なお、ロールバック量の許容範囲は0.04mm以上であり、レバーストローク増加量の許容範囲は15mm以下である。
エチレンプロピレンゴム(商品名EP33)100重量部に対して、SRF―HSグレード(平均粒径72nm、DBP吸油量152ml/100g)の第1のカーボンブラック40重量部、MTグレード(平均粒径122nm、DBP吸油量41ml/100g)の第2のカーボンブラック80重量部、有機過酸化物2.5重量部、共架橋剤1重量部を混練してゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて実施例1と同様に、ピストンシール部材のサンプルと試験片を得た。試験片及びピストンシール部材のサンプルにおける動的弾性率、線膨張係数、ロールバック量、レバーストローク増加量を測定し、引きずりの有無を確認した。その結果を表1に示す。
試験片の動的弾性率(E’)は15.4MPa、線膨張係数(CTE)は130ppm(/K)であった。また、このピストンシール部材のロールバック量は0.055mm、レバーストローク増加量は5mmで許容範囲内であった。引きずりは無かった。
エチレンプロピレンゴム(商品名EP33)100重量部に対して、FEFグレード(平均粒径43nm、DBP吸油量115ml/100g)の第1のカーボンブラック20重量部、MTグレード(平均粒径122nm、DBP吸油量41ml/100g)の第2のカーボンブラック100重量部、有機過酸化物2.5重量部、共架橋剤1重量部を混練してゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて実施例1と同様に、ピストンシール部材のサンプルと試験片を得た。試験片及びピストンシール部材のサンプルにおける動的弾性率、線膨張係数、ロールバック量、レバーストローク増加量を測定し、引きずりの有無を確認した。その結果を表1に示す。
試験片の動的弾性率(E’)は8.5MPa、線膨張係数(CTE)は150ppm(/K)であった。また、このピストンシール部材のロールバック量は0.07mm、レバーストローク増加量は8mmで許容範囲内であった。引きずりは無かった。
エチレンプロピレンゴム(商品名EP33)100重量部に対して、FEFグレード(平均粒径43nm、DBP吸油量115ml/100g)の第1のカーボンブラック40重量部、MTグレード(平均粒径122nm、DBP吸油量41ml/100g)の第2のカーボンブラック80重量部、有機過酸化物2.5重量部、共架橋剤1重量部を混練してゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて実施例1と同様に、ピストンシール部材のサンプルと試験片を得た。試験片及びピストンシール部材のサンプルにおける動的弾性率、線膨張係数、ロールバック量、レバーストローク増加量を測定し、引きずりの有無を確認した。その結果を表1に示す。
試験片の動的弾性率(E’)は14.8MPa、線膨張係数(CTE)は120ppm(/K)であった。また、このピストンシール部材のロールバック量は0.06mm、レバーストローク増加量は2mmで許容範囲内であった。引きずりは無かった。
Figure 0004364188
[比較例1]
エチレンプロピレンゴム(商品名EP33)100重量部に対して、第1のカーボンブラックよりも小さなHAFグレード(平均粒径28nm、DBP吸油量101ml/100g)のカーボンブラック20重量部、MTグレード(平均粒径122nm、DBP吸油量41ml/100g)の第2のカーボンブラック100重量部、有機過酸化物2.5重量部、共架橋剤1重量部を混練してゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて実施例1と同様に、ピストンシール部材のサンプルと試験片を得た。試験片及びピストンシール部材のサンプルにおける動的弾性率、線膨張係数、ロールバック量、レバーストローク増加量を測定し、引きずりの有無を確認した。その結果を表2に示す。
このピストンシール部材のロールバック量は0.045mm、レバーストローク増加量は10mmで許容範囲内であったが、引きずりが確認された。
[比較例2]
エチレンプロピレンゴム(商品名EP33)100重量部に対して、第1のカーボンブラックよりも小さなHAFグレード(平均粒径28nm、DBP吸油量101ml/100g)のカーボンブラック40重量部、有機過酸化物2.5重量部、共架橋剤1重量部を混練してゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて実施例1と同様に、ピストンシール部材のサンプルと試験片を得た。試験片及びピストンシール部材のサンプルにおける動的弾性率、線膨張係数、ロールバック量、レバーストローク増加量を測定し、引きずりの有無を確認した。その結果を表2に示す。
このピストンシール部材のロールバック量は0.058mmであったが引きずりは無く、レバーストローク増加量は30mmで許容範囲をオーバーした。
Figure 0004364188
表1に示すように、実施例1〜4の架橋ゴム組成物の線膨張係数は180ppm(/K)以下、動的弾性率は8〜16MPaであった。このゴム組成物を用いた実施例1〜4のピストンシール部材は、ロールバック量、レバーストローク増加量、引きずりの評価がよかった。これは、高温(140℃)時においてもピストンシール部材があまり膨張しないため、低温(30℃)時の性能とほとんど変化せず、耐久性がよいことを表している。
また、表2に示すように、比較例1においては、動的弾性率(E’)が24.5ppm(/K)であり、その結果、ロールバック量が減り、引きずりが発生した。比較例2においては、線膨張係数が210ppm(/K)であり、高温でのピストンシール部材の体積膨張によってロールバック量が増え、レバーストローク増加量が15mmを超えることになり、運転者がブレーキ操作時に違和感を受けるようになると評価された。
なお、本発明は、本実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の形態に変形可能である。
例えば、本実施の形態においては、車両用のディスクブレーキに内蔵するピストンシール部材であったが、その他のピストンシール部材であってもよい。
本発明の一実施の形態に係るピストンシール部材を模式的に示す断面図である。 図1に示すピストンシール部材を含むディスクブレーキを模式的に示す断面図である。
符号の説明
1 キャリパボディ
1a ブリッジ部
1b 作用部
1c 反作用部
2 ディスクロータ
3 ブラケット
4b,4c 摩擦パッド
5 ピストン
6 シリンダ
6a シリンダ孔
7 ピストンシール溝
7a,7b 面取コーナ
8 ピストンシール部材
9 液圧室
10 供給口
11 ブーツ
20 ディスクブレーキ
28 液圧経路

Claims (4)

  1. シリンダ孔と、該シリンダ孔内を摺動するピストンと、を液密にかつ摺動可能に保持するピストンシール部材であって、
    前記ピストンシール部材は、該ピストンシール部材を補強する第1のカーボンブラックと、該ピストンシール部材の線膨張係数を低減する第2のカーボンブラックと、を含むゴム組成物によって成形され、
    前記ゴム組成物は、エチレンプロピレンゴム100重量部に対し、平均粒径が35〜100nmでDBP吸油量が50〜200ml/100gの前記第1のカーボンブラックを20〜60重量部と、平均粒径が60〜500nmでDBP吸油量が5〜50ml/100gの前記第2のカーボンブラックを50〜100重量部と、を合わせて70〜160重量部を含み、
    前記ゴム組成物は、20℃〜150℃における線膨張係数の平均値が50〜180ppm(/K)であり、かつ、10Hz、30℃における動的弾性率が7〜16MPaである、ピストンシール部材。
  2. 請求項1において、
    前記第1のカーボンブラックは、SRF−HSグレードまたはFEFグレードであり、
    前記第2のカーボンブラックは、MTグレードである、ピストンシール部材。
  3. 請求項1または2において、
    前記ピストンシール部材は、ディスクブレーキのキャリパボディに用いられる、ピストンシール部材。
  4. 請求項1〜のいずれかにおいて、
    シリンダ孔を有するシリンダと、
    前記シリンダ孔に挿入されるピストンと、を含み、
    前記ピストンシール部材は、前記シリンダ孔の内周壁に形成された環状溝に嵌め込まれ、
    前記シリンダ孔に挿入された前記ピストンを液密的に移動可能な状態で密接させるとともに、液圧にて前進した該ピストンをロールバックさせる、ディスクブレーキ。
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