JP5815461B2 - 固定部材および切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、工作機械に装着して用いられる固定部材および切削工具に関する。
従来、内径のボーリング加工や溝入れ加工に用いられる切削工具として、インサートをホルダの孔内に挿入しボルトで締め込み固定し、このホルダを工作機械の刃物台に装着して加工する方法が知られている。
このように刃物台にホルダを装着するに際して、図7に示すように、刃物台60に対してそれぞれにインサート(図示せず)を装着した複数種類のホルダ61を装着して自動で複数種類のホルダ61を取換えながら被削材を加工する方法が用いられているが、各ホルダ61間の隙間が狭いために、機上でインサートの着脱を行うことが難しいという課題があった。そのために、ホルダ61を刃物台から外してインサートを着脱する方法が考えられるが、ホルダ61を一旦外すと、再び取り付けた際にホルダ61の位置がずれてしまい、それにつれてインサートの切刃部もずれてしまうという課題があった。また、内径加工、ボーリング加工または溝入れ加工において被削材の加工長さが違う場合には、びびり振動の抑制等を目的としてインサートやホルダ61の突き出し長さを調整する必要がある。しかしながら、ホルダ61を刃物台60に装着する際には、インサートの切刃の位置は同じ位置に設定する必要があるために、刃物台に収納されるホルダ61の長さを加工条件に合わせてその都度調整する必要があった。
また、例えば、特許文献1には、断面が円形のシャンク部に続くフランジ部を有するホルダにおいて、フランジ部の工作機械への当接面に、この当接面から突出したピンを2つ設けて、この2つのピンを工作機械に設けたピン受容孔に挿入した状態で装着することによって、ホルダの回転を防止できることが開示されている。
特開2003−025175号公報
しかしながら、特許文献1のような当接面から突出したピンを工作機械に設けたピン受容孔に挿入する方法では、ホルダの突き出し量を可変とすることできず、インサートの切刃の位置を調整することが困難であった。
本発明の目的は、ホルダの位置決めが容易で、ホルダの着脱が容易な固定部材および切削工具を提供することにある。
本発明固定部材は、先端にインサートが着脱可能に取り付けられるインサート収容部を有するホルダ先端部と、該ホルダ先端部に続く後端側に設けられる横断面が略円形のシャンク部とを有するとともに、工作機械の刃物台に設けられたホルダ挿入孔に挿入されて取り付けられるホルダと、
該ホルダが挿入されて、前記シャンク部の外周の所定の位置に固定されるとともに、外縁の少なくとも一部が前記ホルダ挿入孔を有する前記刃物台に当接されるストッパリングと、
を具備するものである。
さらにまた、本発明の切削工具は、前記固定部材にインサートを装着してなるものである。
本発明の第1の固定部材によれば、ストッパリングを装着したホルダがホルダ挿入孔内に挿入されて、ストッパリングが刃物台の先端壁面に当接された状態でホルダが固定されるので、ストッパリングがホルダの長手方向の位置決めとなり、1回目だけ位置合わせを行えば、2回目以降は長さ方向の位置決めを行う必要がなく、ホルダの着脱が容易である。
また、本発明の第2および第3の固定部材によれば、ホルダをホルダ挿入孔に挿入して位置決めする際に位置決め棒または位置決めピンがホルダの長手方向および回転方向の位置決めとなるので、1回目だけ位置合わせを行えば、2回目以降は長手方向と回転方向の位置決めが不要で、ホルダの着脱がさらに容易である。
本発明の固定部材のホルダ、ストッパリングおよび刃物台の配置の一例を説明するための(a)斜視図、(b)側面図、(c)ホルダにストッパリングを挿入する状態を示す斜視図である。 図1のストッパリングを装着したホルダを他の刃物台に装着した状態を示す断面図である。 (a)本発明の固定部材において、外面に直線部を有するストッパリングを示す斜視図、(b)ホルダ挿入孔を中心にストッパリングの外形形状に合致する凹部が設けられた刃物台の斜視図である。 本発明の他の固定部材のホルダを刃物台に装着した状態を示す断面図である。 本発明のさらに他の固定部材のホルダを刃物台に装着した状態を示す断面図である。 (a)本発明の固定部材にて固定できるインサートの一例、(b)本発明の固定部材にて固定できる他のインサートおよび小型ホルダの一例を示す側面図である。 (a)工作機械の一例を示す模式図であり、(b)工作機械の刃物台の一例を示す模式図である。
本発明の固定部材の第1の実施態様である図1において、被削材を切削加工するための工作機械1は、切削工具2を装着する刃物台3を具備している。なお、図2、4、5は断面図であるが、斜線の一部は省略して記載している。そして、図1において、刃物台3にはホルダ挿入孔7が設けられており、このホルダ挿入孔7にはホルダ4が差し込まれて、ネジ部材20によって所定の位置で固定されている。
ホルダ4は、先端にインサート8が着脱可能に取り付けられるインサート収容部11を有するホルダ先端部9と、ホルダ先端部9に続く後端側に存在して横断面が略円形のシャンク部10とを有している。また、ホルダ4のシャンク部10の外周の所定の位置にはストッパリング5が固定されている。ストッパリング5は、その外縁の少なくとも一部が刃物台3のホルダ挿入孔7よりも大きい構成からなる。図1では、ストッパリング5の外径がホルダ挿入孔7の内径よりも大きい形状となっている。
図1の構成によれば、ホルダ4を刃物台3に初めて装着する際には、ストッパリング5に挿入したホルダ4をホルダ挿入孔7内に挿入して、インサート8の切刃部44の位置合わせを行った状態で、ストッパリング5のネジ部材6を締めこんでストッパリング5をホルダ4に固定する。その後、ホルダ4の側面は、刃物台3のネジ孔22に螺合されたネジ部材20で押圧されて、ホルダ4が刃物台3に固定される。そして、ホルダ4を刃物台3に2回目以降に装着する際には、ストッパリング5をネジ部材6で固定したホルダ4をホルダ挿入孔7内に挿入して、ストッパリング5を刃物台3の先端壁面に当接させた状態でホルダ4が刃物台3に装着されている。
この構成によって、ホルダ4を刃物台3に挿入して位置決めする際にストッパリング5がホルダ4の長手方向の位置決めとなるので、1回目だけ位置合わせを行えば、2回目以降は長さ方向の位置決めを行う必要がなくて回転方向の位置決めのみを行えばよく、ホルダ4の着脱が容易である。
ここで、図1および図2によれば、ストッパリング5はシャンク部10の先端側に装着されて、ストッパリング5が刃物台3の前面に当接されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、ストッパリング5はシャンク部10の後端側に装着されて、ストッパリング5が刃物台3の後面に当接されていてもよい。この構成であっても、ホルダ4を2回目以降に装着する際に、ストッパリング5が切刃部44の位置決めをすることができる。
また、図1(c)および図2によれば、ホルダ挿入孔7の断面は円形であり、シャンク部10の内部には研削液流路13が設けられている。また、ホルダ4のシャンク部10の側面は、先方部14が円柱状で、先方部14の後方に円柱状の後方部15が設けられており、後方部15には平面部が長さ方向に延びるように設けされている。この平面部が刃物台3’に設けられたネジ部材22で押圧固定されている。そして、図2に示すように、ストッパリング5はその内部に円柱状の空間を有する、すなわち、ストッパリング5は枠状
で、その内縁が円形となっており、ストッパリング5がホルダ4の先方部14と後方部15の境界部分を含む先方部14から後方部15に亘る領域を覆うように設けられている。なお、ストッパリング5の長さは、インサート8の切刃部44の位置合わせを行っても、先方部14と後方部15との境界部分を覆う長さとされている。
この構成であれば、図2のような、内部に研削液を供給する研削液供給路12を有する刃物台3’にホルダ4を装着して、ホルダ4の内部にこの研削液を通して、インサート8側にこの研削液を吐出する構造である場合に、ストッパリング5がホルダ挿入孔7とホルダ4との隙間を塞いでホルダ4内に充填される研削液の液漏れを抑制する効果を発揮する。そのために、刃物台3’の研削液供給路12からホルダ4の研削液流路13を通って研削液が吐出される図1(c)の研削液吐出孔16からインサート8に供給される研削液の勢いがなくなって、切削液がインサート8の切刃部44にかかりにくくなることを抑制できる。
なお、図1、2の構成では、ホルダ4の長手方向の位置決めはできるが、回転方向の位置決めは別途行う必要がある。しかしながら、以下の構成によれば、回転方向の位置決めも可能となる。
図3の構成では、ストッパリング30の外縁の少なくとも一部が直線部31を有する。また、ストッパリング30が当接される刃物台3の先端壁面にストッパリング30の外形形状に合わせた凹部32が設けられている。さらに、ストッパリング30の後方側もしくは全体が凹部32に収容されるように嵌め込まれる。そして、ホルダ4を刃物台3のホルダ挿入孔7内に初めて挿入した際に、ストッパリング30を凹部32に嵌め込んだ状態で、ストッパリング30のネジ部材6を締めこんで、ストッパリング30をホルダ4に固定する。この構成であれば、2回目以降の装着時には、長さ方向に加えて回転方向の位置決めも可能である。
図4は固定部材の第2の実施形態を示すものである。この図4の構成では、ホルダ4の後側には当接面18が設けられている。また、ホルダ4がホルダ挿入孔7の前方からホルダ挿入孔7内に挿入されて、インサート8の切刃部44の位置を調整した状態で、ホルダ挿入孔7の後方からホルダ挿入孔7内に位置決め棒19を挿入して、位置決め棒19が当接面18に線当たりするように当接されている。そして、位置決め棒19の側面に刃物台1に設けられたネジ孔22の少なくとも1つに螺合されるネジ部材20にて、位置決め棒19が固定されている。なお、当接面18はホルダ4の中心軸に対して傾斜している。
ここで、位置決め棒19は、例えば、円柱状の棒19aの先端に球状の先端部19bがロウ付け等により接着、固定された構造からなる。
図4の構成によって、ホルダ4を刃物台3に装着する1回目にはホルダ4の位置決めが必要であるが、2回目以降の装着時にはホルダ4を位置決め棒19に当接させるだけで位置決めできるために、ホルダ4を着脱する際のホルダ4の位置決めが容易である。また、図4の構成では、位置決め棒19とホルダ4の傾斜した当接面とが線当たりした状態で当接されるために、回転方向に対する拘束力も高い。加えて、ホルダ4の側面は刃物台3のネジ孔22に螺合されたネジ部材20で押圧されて、ホルダ4が刃物台3に固定されているので、結果的にインサート8は刃物台3に対しても切刃部44の長手方向および回転方向の位置精度が高く、かつ回転ずれが発生しにくくなる。
図5は固定部材の第3の実施形態を示すものである。この図5の構成では、刃物台3のホルダ挿入孔7内に挿入されて固定される位置決め部材23が設けられている。また、ホルダ4は前方部材25と後方部材26との2つの部材からなり、後方部材26の前側には
前方部材挿入孔27が設けられるとともに後側には傾斜面からなる当接面28が設けられ、前方部材25が後方部材26の前方部材挿入孔27内に挿入されている。そして、ホルダ4がホルダ挿入孔7内に挿入されて、当接面28が位置決め部材23に線当たりするように前方部材25と後方部材26とが位置決めされて、後方部材26の側面に設けられたネジ孔33からネジ部材39が螺合されて、前方部材25の側面にネジ部材39の先端面を当接させた状態で前方部材25と後方部材26とが固定されている。
図5の構成によっても、ホルダ4を刃物台3に装着する1回目にはホルダ4の位置決めが必要であるが、2回目以降の装着時にはホルダ4の傾斜した当接面28を位置決めピン23に当接させるだけで位置決めできるために、ホルダ4を着脱する際のホルダ4の位置決めが容易である。また、図5の構成では、位置決めピン23とホルダ4の当接面28とが線当たりした状態で当接されるために、回転方向に対する拘束力も高い。加えて、ホルダ4の側面は刃物台3のネジ孔22に螺合されたネジ部材20で押圧されて、ホルダ4が刃物台3に固定されているので、結果的にインサート8は刃物台3に対しても切刃部44の長手方向および回転方向の位置精度が高く、かつ回転ずれが発生しにくくなる。
なお、図1〜5に装着されている図6(a)のインサート8は、横断面が略円形の棒状をなしており、インサートシャンク部43と、インサートシャンク部43に続く端部に設けられるとともに切刃稜線の一方端側が棒状の外周側に向かって突出した切刃部44とを有している。また、インサート8の切刃部44とは反対側の端部には傾斜面45を有している。
また、本発明の固定部材に装着されるインサートは図6(a)の構成に限定されるものではなく、図6(a)のインサート8に代えて、図6(b)のように主面が多角形の略板状のインサート50を装着した小型ホルダ51を用いることもできる。インサート50の主面は円形であってもよい。小型ホルダ51は、さらに図1〜5のホルダ4に装着される。小型ホルダ51は先端にインサート収納部52を有し、後端に傾斜面54を有して、凹状のインサート収納部52にインサート50を嵌め込んでネジ部材53等で固定した配置からなる。かかる構造であっても、インサート50が刃物台3に対して、切刃部55の長手方向および回転方向の位置精度が高く、かつ回転ずれが発生しにくくなる。
なお、図6(a)のインサート8を装着する図1〜5のホルダ4は、長尺状であって、先端からインサート8を差し込む長尺の挿入孔40が設けられ、挿入孔40内には、インサート8の傾斜面45に当接される位置決めピン47が設けられている。そして、ホルダ4の挿入孔40内に、インサート8を切刃部44が設けられた端部の反対端側から挿入して、ホルダ4に固定されている。この構成によれば、インサート8のホルダ4に対する切刃の長手方向および回転方向の位置精度が高く、かつインサート8のホルダ4に対する回転ずれが発生しにくい。
なお、図4、5の構成によれば、位置決めピン47はホルダ4の側面に設けられたネジ孔49に螺合されたネジ部材48によって固定されている。また、図2の構成によれば、研削液の液漏れを抑制するために、位置決めピン47が挿入されてその両端がホルダ4の壁面に嵌められる一対の貫通孔57は、その両方がネジ部材(図示せず)によって封止されている。また、この一対の貫通孔57から挿入されるこのネジ部材の先端面によって、位置決めピン47の両端が挟み込まれて、位置決めピン57が固定されている。
さらに、インサート8が装着されるホルダ4には、インサート8の脱落やがたつきを抑制するために、位置決めピン47以外に、位置決めピン47よりもホルダ4の先端側で、ホルダ4の外周面から挿入孔40に貫通するネジ孔41を設けている。また、ネジ孔41にネジ部材42を螺合して、ネジ部材42の先端でホルダ4のインサートシャンク部43
の外周面を押圧固定している。このとき、ネジ部材42に当接されるインサートシャンク部43の外周面が平面である場合には、ネジ部材42の先端平面がインサートシャンク部43の外周平面に面当たりするように当接されて固定される。この面当たりする固定状態のほうが、ネジ部材42の拘束力が高い。なお、ネジ部材42に当接されるインサートシャンク部43の外周面は曲面であってもよい。
1 工作機械
2 切削工具
3、3’ 刃物台
4 ホルダ
5、30 ストッパリング
7 ホルダ挿入孔
8、50 インサート
9 ホルダ先端部
10 シャンク部
11 インサート収容部
12 研削液供給路
13 研削液流路
14 先方部
15 後方部
16 研削液吐出孔
18、28 当接面
19 位置決め棒
20、39、42 ネジ部材
22、41 ネジ孔
23、47 位置決めピン
25 前方部材
26 後方部材
27 前方部材挿入孔
31 直線部
32 凹部
40、46 挿入孔
43 インサートシャンク部
44、55 切刃部
45、54 傾斜面
51 小型ホルダ
57 貫通孔

Claims (4)

  1. 先端にインサートが着脱可能に取り付けられるインサート収容部を有するホルダ先端部と、該ホルダ先端部に続く後端側に設けられる横断面が略円形のシャンク部とを有するとともに、工作機械の刃物台に設けられたホルダ挿入孔に挿入されて取り付けられるホルダと、
    該ホルダが挿入されて、前記シャンク部の外周の所定の位置に固定されるとともに、外縁の少なくとも一部が前記ホルダ挿入孔を有する前記刃物台に当接されるストッパリングと、
    を具備する固定部材。
  2. 前記ホルダ挿入孔の断面は円形であり、前記シャンク部の内部には研削液流路が設けられているとともに、前記ホルダの前記シャンク部の側面は、先方部が円柱状で、該先方部の後方に平面部を有する後方部が設けられた形状からなり、前記ストッパリングの断面は円形であり、前記ストッパリングが前記ホルダの前記先方部と前記後方部との境界部分を含む前記先方部から前記後方部に亘る領域を覆うように設けられている請求項1記載の固定部材。
  3. 前記ストッパリングの外縁の少なくとも一部が直線部を有するとともに、前記ストッパリングが当接される前記刃物台の先端壁面に前記ストッパリングの外形形状に合わせた凹部が設けられて、前記ストッパリングが前記凹部に嵌め込まれる請求項1または2記載の固定部材。
  4. 請求項1乃至のいずれかに記載の固定部材にインサートを装着してなる切削工具。
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