JP5814896B2 - 炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法 - Google Patents
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Description
そこで、原子炉圧力容器に設置されている炉心差圧及び液体注入制御装置を新規のものと取り替えることができれば、信頼性を向上することができる。
関連先行技術として中性子計測(ICM)ハウジングの取替方法に関する下記の技術が知られている。
先ず、原子炉圧力容器の炉底部内面に設けられた肉盛座の開口に挿通され溶接されたICMハウジングをICM配管から切断する。切断したICMハウジングを原子炉圧力容器の炉底部に設けられた貫通孔から原子炉圧力容器の炉底部の下方外部に引き出す。新規のICMハウジンングを上記貫通孔から原子炉圧力容器内に挿通する。新規のICMハウジングの上端面とICM配管の切出し端面との位置合せを行って、両部材を溶接する。(例えば、特許文献1参照)。
図1は、この発明の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法が適用される原子力発電プラントの一実施の形態の概略構造を示す断面図である。
原子力発電プラントは、改良沸騰水型原子炉(ABWR)を一例として示されている。
原子炉建屋100の中央部には、黒塗りして示す原子炉格納容器101が設置され、原子炉格納容器101内に原子炉圧力容器1が収容されている。原子炉建屋100の上部には、使用済み燃料貯蔵プールまたは機器仮置き場としての保管部107が設けられている。
ドライウェル125の下部ドライウェル125aには、原子炉圧力容器1の底部を貫通して炉底部26(図2参照)内に延出されたICMハウジング4およびCRD(制御棒駆動機構)ハウジング5が設けられている。
原子炉圧力容器1の内部には、燃料集合体(図示せず)の下端部付近に配置された炉心支持板3、燃料集合体の上部側に配置された上部格子板2、シュラウド6、上部側に設置された不図示の蒸気乾燥器等の炉内構造物が設けられている。
炉心支持板3および上部格子板2はボルトにより固定され、それぞれ、板部の厚さ方向に貫通する開口部3aおよび2a(図13参照)を有している。
原子炉圧力容器1内の炉心支持板3より下方の炉底部26側には、炉心差圧・液体注入制御装置33が取り付けられている。
炉心差圧・液体注入制御装置(以下、DP/SLC装置という。以下同じ。)33は、炉心差圧・注入ノズル(DP/SLCノズル)10、注入制御用配管(SLC用配管)12および炉心差圧用配管(DP用配管)13が一体的に組み付けられた二重管構造を有する。DP用配管13は、SLC用配管12の外周に配置されており、SLC用配管12から分岐する分岐部13bを有している。DP/SLCノズル10とDP用配管13とは、ソケット11で溶接されている。
DP用配管13は、その最上部に、溶接により取り付けられた炉心差圧(DP短管)13aを含んでいる。
図5(a)に図示されるように、原子炉圧力容器1の底部には貫通孔1aが形成されており、貫通孔1a上には、貫通孔1aに連通する開口17aが形成された肉盛座17が形成されている。
図3に図示されるように、DP/SLC装置33のSLC用配管12のキャップ12aは、炉心支持板3より少し下方に位置している。DP/SLC装置33のDP用配管13のDP短管13aの上端部は炉心支持板3の上方に位置している。
DP/SLC装置33のDP/SLCノズル10は不図示の配管を介してほう酸水溶液貯留槽に連通している。
制御棒の挿入が不能となる異常状態が発生すると、ほう酸水溶液の注入系が作動し、キャップ12a直下の開口から、炉心に向けてほう酸水溶液を噴射して中性子の吸収を行うと共に原子炉を停止させる。
このように、DP/SLC装置33は、原子炉運転の安全性に重要な役割を担う。
従って、必要に応じて、新規のものに取り替えることにより、その安全性を向上することができる。
以下に、炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法を説明する。
炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法は、図6に示す既設炉心差圧・液体注入制御装置の撤去工程と、図7に示す新規炉心差圧・液体注入制御装置の取付け工程との2つの工程に大別される。
先ず、図6および図10〜図15を参照して、既設炉心差圧・液体注入制御装置の撤去工程を説明する。
図10は、原子炉圧力容器1内を炉水Wにより満たした状態を示す。図10において、炉水Wは、炉心支持板3上のみに図示されているが、これは、図示の都合であって、炉水Wは、図2に図示された原子炉圧力容器1内の炉底部26の底面から、最上部の上端面まで原子炉圧力容器1内の全体に満たされる。
DP/SLC装置33の切断は、長さ方向の複数個所で行う。例えば、原子炉圧力容器1の底部内面とソケット11との間、ソケット11、SLC用配管12、DP用配管13を切断する。また、ブラケット14における、シュラウド6、シュラウドサポートシリンダ8またはシュラウドサポートレグ7のいずれかと、SLC用配管12またはDP用配管13を連結する各ブラケット14の中間部で分断する。つまり、図11に図示されるように、分断した各ブラケット14の一部が、シュラウド6、シュラウドサポートシリンダ8またはシュラウドサポートレグ7に固定された状態で残存するように分断する。以下、このように、シュラウド6、シュラウドサポートシリンダ8またはシュラウドサポートレグ7に残存するブラケット14aを、残存ブラケット14aという。
DP/SLC装置33の切断および全ブラケット14の分断は、水中加工であり、例えば、遠隔操作による放電加工装置により行う。
また、ステップS3では、DP/SLCノズル10の残存部と肉盛座17の突出部の除去を行う。図12(a)に図示されるように、原子炉圧力容器1の底部内面とソケット11との間で切断することにより、DP/SLCノズル10の切断面より下の部分は、原子炉圧力容器1の底部に固定されて残存している。このDP/SLCノズル10の残存した部分の中、原子炉圧力容器1の内面から突出している部分と、肉盛座17とを、図12(b)に図示されるように、肉盛座17の上面が原子炉圧力容器1の底部内面と同一となる程度まで除去する。このDP/SLCノズル10の突出部と肉盛座17の除去も、例えば、遠隔操作による放電加工装置により行う。図11(b)に図示されるように、除去後には、残存DP/SLCノズル10aが原子炉圧力容器1に残っている。
シュラウド遮へい体25およびRPV遮へい体23を設けることにより、原子炉圧力容器1の外部雰囲気の放射線量を低下することができ、炉水を抜いた後の作業の安全性が向上する。
ステップS5で炉水Wを原子炉圧力容器1から抜いたので、以降の作業および加工はすべて気中で行うことになる。
ガイドパイプ24aは、RPV遮へい体23、シュラウド遮へい体25および炉心支持板3を貫通して炉底部に達するように設けられている。ガイドパイプ24bは、RPV遮へい体23、シュラウド遮へい体25を貫通し、炉心支持板3に達した位置または炉心支持板3の上面の手前で終端するように設けられている。既設炉心差圧・液体注入制御装置33の撤去工程では、ガイドパイプ24bのみが使用され、後述する新規炉心差圧・液体注入制御装置の取付け工程では、ガイドパイプ24aとガイドパイプ24bの両方が使用される。
図14は、図13に続く工程を説明するための図であり、残存DP/SLCノズル10aを原子炉圧力容器1から取り外す方法を説明するための図である。また、図15は、図14に続く工程を説明するための図であり、肉盛座の残存部を除去する方法を説明するための図である。
図14に図示されるように、原子炉圧力容器1の底部外部の下方に押上げ装置27を設置し、押上げ装置27のロッド27aを上昇させて残存DP/SLCノズル10aを、貫通孔1aから抜き出して、原子炉圧力容器1の炉底部26内に移動させる。この状態では、移動した残存DP/SLCノズル10aは、図14に図示されているように、起立した状態である。チェーンケーブル20の端部に不図示の把持装置を固定し、この把持装置を、ガイドパイプ24a内を挿通させ、巻取装置19によりチェーンケーブル20を巻戻して原子炉圧力容器1の炉底部26内を下降させる。そして、把持装置により残存DP/SLCノズル10aを把持し、巻取装置19によりチェーンケーブル20を巻取って、ガイドパイプ24a内を上昇させ、操作架台22において、残存DP/SLCノズル10aを把持装置から取り外す。
押上げ装置27のロッド27aを下降させて、貫通孔1aから抜き出す。次に、押上げ装置27と同様に、原子炉圧力容器1の底部外部の下方に不図示の機械加工装置を配置し、機械加工装置に取り付けられた切削歯を、貫通孔1a内を挿通して、炉底部16内に移動する。そして、原子炉圧力容器1の貫通孔1a周囲の内面に残存している肉盛座17を、切削歯を回転して切除する。
肉盛座17の残存部の除去は、既設の肉盛座17がすべて完全に除去されるように、既設の肉盛座17よりも少し広い領域Rに亘って行う。また、原子炉圧力容器1の底部内面には、肉盛座17と同様に溶接により形成された薄い溶接層1bが形成されているが、肉盛座17の残存部の除去は、除去された領域Rの上面が、溶接層1bの上面から陥没するように行う。この状態を図15に図示する。
なお、肉盛座17の残存部の除去は、切削以外の方法としてもよい。
次に、新規DP/SLC装置32(図17参照)の取付け工程を行う。新規DP/SLC装置32の取付けは、以下に説明するように、既に原子炉圧力容器1に取り付けた、ガイドパイプ24a、24b、操作架台22、作業台車18等を用いて行うので、この時点で、新規DP/SLC装置の取付け準備も完了している。
以下、図7〜9および図16〜図28を参照して、既設炉心差圧・液体注入制御装置32の取付け工程を説明する。
図17に図示された新規DP/SLC装置32は、図16に図示された既設DP/SLC33とは、構造が一部異なっている。
既設DP/SLC装置33においては、DP/SLCノズル10とSLC用配管12との間にソケット11が介装されており、図16に示されるように多数の溶接部31を有している。このように溶接部31が多い構造では、遠隔操作による作業装置の取付けが困難であり、また、取付けの作業効率が悪い。
そこで、第1に、新規DP/SLC装置32は、構造を単純化して溶接箇所の低減が図られたものとなっている。図17に図示されるように、新規DP/SLC32では、新規SLC用配管12Aの下端部12Alにおいて、下部点線で示すソケット11が無くなっており、新規SLC用配管12Aが、DP/SLCノズル10(図16参照)の領域まで延出され、DP/SLCノズル10を含む単管とされている。また、SLC用配管12において多数存在した溶接部31は存在しない。
ステップS12では、新規肉盛座17Aを作製する。
図8は、新規肉盛座17Aの作製方法の詳細を示す処理フロー図である。また、図18は、図15に続く工程を説明するための図であり、図18(a)は側方からの図であり、図18(b)は、図18(a)の上方からの図であり、図19(a)および図19(b)は、図18(a)における領域IXXの拡大図である。
先ず、ステップS21で、プラグ36を原子炉圧力容器1の貫通孔1aの上部に配置する。図19(a)に図示されるように、プラグ36は、上面が原子炉圧力容器1の底部内面と同様な湾曲面とされている。湾曲面は、平坦な傾斜面であっても差し支えない。プラグ36は高ニッケル鋼により形成されており、遠隔操作により、貫通孔1a内の上部に取り付けられる。
肉盛座溶接装置38には不図示のカメラが搭載されており、遠隔操作により溶接ヘッドを移動して位置決めを行い、溶接により新規肉盛座17Aを形成する。溶接材料としては高ニッケル鋼等を用いる。
原子炉圧力容器1の貫通孔1a内には、プラグ36が取り付けられているため、新規肉盛座17Aは、貫通孔1a上も含めて、既設肉盛座17が形成された領域に、既設肉盛座17と同一かもしくは一回り大きい面積を有するように形成される。
既設の肉盛座17の残存部を除去する場合と同様に、原子炉圧力容器1の底部の下方に不図示の機械加工装置を配置し、貫通孔1a内に挿通してプラグ36を切削して除去する。また、引き続いて、新規肉盛座17Aに貫通孔1aとほぼ同じ直径の開口17aを形成する。この状態を、図19(b)に示す。
ステップS24では、開口17aが形成された新規肉盛座17Aの表面を仕上げ加工する。これにより、新規肉盛座17Aの作製工程が完了する。
以上がステップS12の詳細である。
ステップS13では、新規DP/SLC装置準備体32Aの設置を行う。
図8は、新規DP/SLC装置準備体の設置工程の詳細を示す処理フロー図である。また、図20は、図18に続く工程を説明するための図であり、図20(a)は側方からの図であり、図20(b)は、図20(a)における上方からの図であり、図21は、図20(a)における領域XXIの拡大図である。
ステップS31では、DP/SLC準備体32Aの位置合せ装置39を原子炉圧力容器1の炉底部26内に導入する。
位置合せ装置39を炉底部26内に導入するには、位置合せ装置39をチェーンケーブル20にて保持し、巻取装置19でチェーンケーブル20を巻き戻して、ガイドパイプ24a内を下降させて行う。
位置合せ装置39の各把持部40は、不図示の駆動機構部により軸方向と垂直な面で回転可能に駆動することができる。位置合せ装置39の把持部40を回転させ、クランプ部41bを、炉心支持板3に形成された開口部3a2の中心の下側に位置させる。
上述した如く、新規DP/SLC装置準備体32AはDP短管13aを備えていない。
この新規DP/SLC装置準備体32Aを、炉心支持板3の開口部3a1内に設置したガイドパイプ24b内を挿通して、炉底部26内に導入する。新規DP/SLC装置準備体32Aを炉底部26内に導入するには、新規DP/SLC装置準備体32Aをチェーンケーブル20にて保持し、巻取装置19でチェーンケーブル20を巻き戻して、ガイドパイプ24b内を下降させて行う(図20(b)参照)。
導入された新規DP/SLC装置準備体32Aを把持部40のクランプ部41bを閉じて把持する。そして、把持部40のアーム41aの高さを調整して、原子炉圧力容器1の貫通孔1aとの位置合せを行う。
なお、図20(b)には、新規DP用配管13Aおよび新規SLC用配管12Aが、貫通孔1aに位置合せされた位置にも図示されている。
保持部47aにより新規SLC用配管12Aの下端部12Alを保持する構造の一例として、保持部47aを、傘状に開閉する複数の爪で構成し、この保持部47aを新規SLC用配管12Aの下端部12Alの内側に嵌入し、爪を開いて新規SLC用配管12Aの下端部12Alの内壁に圧接する構造を用いることができる。このようにする場合には、位置合せ装置39にカメラ61(図20参照)を搭載しておくことが望ましい。この状態を図21に図示する。
この工程は、遠隔操作により、位置合せ装置39の把持部40を回転、起伏させ、かつ、上下方向に回転させ、また、ガイド装置47の保持部47aを降下させて行う。
新規SLC用配管12Aの下端部12Alを、貫通孔1a内における所定の深さに差し込んだ状態に維持する。
以上がステップS13の詳細説明である。
図22は、図20に続く工程を説明するための図であり、図22(a)は側方からの図であり、図22(b)は、図22(a)の上方からの図である。また、図23は、図20(a)における領域XXIIIの拡大図である。
DP/SLC装置準備体32Aは、位置合せ装置39により所定の高さに保持されている。DP短管13aを短管保持装置50の保持部50aで保持し、ガイドパイプ24b内を挿通する。炉心支持板3には、DP短管13aの直上に開口部51(図22(a)参照)が形成されており、DP短管13aをこの開口部51に挿通する。
図23は、このようにして、接合が完了した状態におけるDP短管13aとDP用配管13の上端部13dの接合部近傍の側面図を示す。
変形例では、DP/SLC装置準備体32AのDP用配管13の上端部13dとDP短管13aとの結合を機械的な方法で行うものである。
DP短管13aの下端部の外面に雄ねじ13eを設け、DP用配管13の上端部に雌ねじ13fを設けておく。ガイドパイプ24bから不図示のねじ込み装置を導入し、このねじ込み装置によりDP短管13aを回転させて、DP用配管13の上端部に螺合させる。この後、回り止めのための溶接を行う。
ここで、DP/SLC装置準備体32Aのみを原子炉圧力容器1内に導入し、この後、DP短管13aをDP/SLC装置準備体32Aに溶接して新規DP/SLC装置32を形成する理由について説明する。
図3に関して説明した通り、新規DP/SLC装置32は、SLC用配管12の上端部が炉心支持板3よりも下方に位置し、DP短管13aの上端が炉心支持板3の上方に位置することによりその機能が果たされる。つまり、新規DP/SLC装置32がDP短管13aを備えていると、DP短管13aの上部側は、炉心支持板3に形成された開口部3a2を挿通して炉心支持板3の上方に延出されることになる。しかし、このように新規DP/SLC装置32のDP用配管13が、ガイドパイプ24b内に挿通されて炉心支持板3に形成された開口部3a2の上方に延出されている状態では、新規DP/SLC装置32を移動させて貫通孔1a内に差込む作業は困難である。そこで、DP短管13aが備えられておらず、DP短管12Aが炉心支持板3に達しない状態のDP/SLC装置準備体32Aのみを原子炉圧力容器1内に導入するようにしたのである。
図25は、図22に続く工程を説明するための図であり、図25(a)は側方からの図であり、図25(b)は、図25(a)の上方からの図である。また、図26は、図25(a)における領域XXVIの拡大図であり、図27は、図25(a)における領域XXVIIの拡大図である。
ガイドパイプ24aから不図示のブラケット溶接装置を炉底部26内に導入する。このブラケット溶接装置を遠隔操作して、残存ブラケット14aに新規ブラケット14Aを溶接する。残存ブラケット14aは、シュラウド6、シュラウドサポートシリンダ8およびシュラウドサポートレグ7にそれぞれ固定されている。これらすべての残存ブラケット14aと新規ブラケット14Aとが、図26に図示されるように、溶接部52において接合される。
この後、同様の手順で、ガイドパイプ24aを介して作業装置を導入し、遠隔操作により、溶接部52の研磨および浸透探傷試験を行う。
図25に図示されるように、ガイドパイプ24aを介して配管溶接装置53を炉底部26内に導入する。配管溶接装置53は、アーム部53aおよび回転部53bを有し、遠隔操作により取付けヘッド55(図27参照)が三次元的に移動可能となっている。
遠隔操作で取付けヘッド55を新規SLC用配管12Aの外周に沿って移動させ、溶接部31で新規肉盛座17Aに溶接する。この後、同様の手順で、ガイドパイプ24aを介して作業装置を導入し、遠隔操作により、溶接部の研磨および浸透探傷試験を行う。
これにより、既設DP/SLC装置33と新規DP/SLC装置32との取替が完了する。
(1)既設DP/SLC装置33を撤去した後、DP/SLCノズル10と、SLC用配管12とDP用配管13Aとが一体化された新規DP/SLC装置準備体32Aを原子炉圧力容器1の外部で準備して原子炉圧力容器1内に導入するようにした。このため、新規DP/SLC装置準備体32Aが複雑な二重管構造を有しているものでありながら、取替えることが可能となる。
(2)DP短管13aを備えていない新規DP/SLC装置準備体32Aを、原子炉圧力容器1内に導入して、貫通孔1aに差し込んだ後、DP短管13aを新規DP/SLC装置準備体32Aに溶接するようにした。DP短管13aは、炉底部26から炉心支持板3の開口部3a内を挿通されて炉心支持板3の上方に延出されているため、DP短管13aを備えていると、炉底部26内における移動に支障が生じ、取付けけが困難となる。上記のようにすることにより、新規DP/SLC装置32の取付けけが可能かつ容易となった。
(4)新規DP/SLC装置32における新規DP用配管13Aの分岐部13cを、既設DP/SLC装置の分岐部13bよりも上方の位置に変更した。このため、原子炉圧力容器1の底部の急勾配な領域に取り付けられる新規DP用配管13Aと炉底部26の底部内面との間の空間を広くすることができ、新規DP/SLC装置32の取付け作業の効率化を図ることができる。
特に、新規SLC用配管12Aは、SLC用配管12がDP/SLCノズル10とは別体である構造を含むものであっても構わないことから、本発明では、新規SLC用配管12Aの下端部12AlをDP/SLCノズル部と称することとする。すなわち、DP/SLCノズル部は、新規SLC用配管12Aの下端部12Al(貫通孔1aに差し込まれる部分付近)および既設DP/SLC用装置33のDP/SLCノズル10を含む用語である。
あるいは、ガイドパイプ24bの内径を大きくし、ガイドパイプ24bに対する新規DP/SLC装置32の可動空間を大きくすることにより、DP短管13aが正常に溶接された新規DP/SLC装置32を炉底部26内に導入するようにしてもよい。
1a 貫通孔
2 上部格子板
3 炉心支持板
5 CRDハウジング
6 シュラウド
10 炉心差圧・注入ノズル(DP/SLCノズル)
11 ソケット
12、12A 注入制御用配管(SLC用配管)
13、13A 炉心差圧用配管(DP用配管)
13a 炉心差圧短管(DP短管)
14、14A ブラケット
14a 残存ブラケット
17、17A 肉盛座
23 RPV遮へい体
24a、24b ガイドパイプ
25 シュラウド遮へい体
26 炉底部
27 押上げ装置
31 溶接部
33 炉心差圧・液体注入制御装置(DP/SLC装置)
32 新規炉心差圧・液体注入制御装置(新規DP/SLC装置)
32A 新規炉心差圧・液体注入制御装置準備体(新規DP/SLC装置準備体)
38 肉盛座溶接装置
39 位置合せ装置
40 把持部
47 ガイド装置
50 短管保持装置
53 配管溶接装置
Claims (14)
- 原子炉圧力容器の炉底部に形成された貫通孔および前記原子炉圧力容器の前記炉底部の内面に形成された既設肉盛座に設けられた開口を貫通して設けられ、前記原子炉圧力容器に固定された既設炉心差圧・液体注入制御装置を切断して、前記原子炉圧力容器から取り出す注入制御装置取出し工程と、
前記既設肉盛座が形成された領域に、新規開口が設けられた新規肉盛座を形成し、前記貫通孔および前記新規開口を貫通する新規炉心差圧・液体注入制御装置を取り付ける新規注入制御装置取付け工程と、を備え、
前記新規注入制御装置取付け工程は、炉心差圧・注入ノズル部と、注入制御用配管と、炉心差圧用配管とが2本の平行な流路から同軸流路となるように接続された新規炉心差圧・液体注入制御装置を、前記原子炉圧力容器内に配置された炉心支持板に設けられた開口部を介して前記原子炉圧力容器の前記炉底部内に導入し、前記炉心差圧・注入ノズル部を前記新規肉盛座の新規開口および前記貫通孔に差込む炉心差圧・注入ノズル部差込み工程を含むことを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。 - 請求項1に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記炉心差圧・注入ノズル部差込み工程において前記炉心差圧・注入ノズル部を前記新規肉盛座の前記新規開口および前記貫通孔に差込む際、前記新規炉心差圧・液体注入制御装置は、前記炉心差圧用配管の最上部に設けられる炉心差圧短管を備えていない炉心差圧・液体注入制御装置準備体であることを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項2に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記新規注入制御装置取付け工程は、さらに、前記炉心差圧短管を備えていない前記炉心差圧用配管に前記炉心差圧短管を取り付ける炉心差圧短管取付け工程を含むことを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項1に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記原子炉圧力容器内には、さらに、前記炉心支持板の上側に配置された上部格子板を備え、前記差圧・注入ノズル部差込み工程は、前記原子炉圧力容器内の炉心支持板に設けられた第1の貫通孔と、前記上部格子板に設けられた第2の貫通孔とを介して前記新規炉心差圧・液体注入制御装置の位置合せ装置を前記原子炉圧力容器の前記炉底部内に導入し、前記炉心支持板の前記第1の貫通孔と前記上部格子板の前記第2の貫通孔とを介して前記新規炉心差圧・液体注入制御装置を前記原子炉圧力容器の前記炉底部内に導入し、前記位置合せ装置により前記新規炉心差圧・液体注入制御装置を把持して前記炉心差圧・注入ノズル部を変位する工程を含むことを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項4に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記位置合せ装置は、倒伏姿勢と起立姿勢に切り換えが可能であり、前記倒伏姿勢で前記炉心支持板の前記第1の貫通孔と前記上部格子板の前記第2の貫通孔とを挿通し、前記炉底部内において前記起立姿勢とされて前記新規炉心差圧・液体注入制御装置を把持することを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項4に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記位置合せ装置は、前記炉心差圧・注入ノズル部と前記新規肉盛座の前記新規開口との位置合せ用カメラを備えていることを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項4に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記炉心差圧・注入ノズル部差込み工程は、前記原子炉圧力容器の外部にガイド装置を配置し、前記ガイド装置のガイド部を前記新規肉盛座の前記新規開口および前記貫通孔から前記原子炉圧力容器の前記炉底部内に挿通し、前記ガイド部を前記炉心差圧・注入ノズル部に連結する工程を含むことを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項1に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記新規注入制御装置取付け工程は、さらに、前記貫通孔内にプラグを配置するプラグ配置工程と、前記プラグ上に前記新規肉盛座を形成する新規肉盛座形成工程と、前記新規肉盛座に前記貫通孔に連通する前記新規開口を設ける肉盛座開口形成工程とを含むことを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項8に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記新規注入制御装置取付け工程は、さらに、前記新規肉盛座の前記新規開口に差し込んだ前記炉心差圧・注入ノズル部を前記新規肉盛座に溶接する炉心差圧・注入ノズル部溶接工程を含むことを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項9に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記炉心差圧・注入ノズル部溶接工程は、前記炉心支持板の前記第1の貫通孔と、前記上部格子板の第2の貫通孔を介して溶接装置を前記原子炉圧力容器の前記炉底部内に導入する工程を含むことを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項4乃至10のいずれか1項に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、さらに、前記原子炉圧力容器の上部に複数の貫通孔が形成された放射線遮へい体を取り付ける工程と、少なくも2つのガイドパイプを前記放射線遮へい体に設けられた前記貫通孔に挿通する工程とを備え、前記新規注入制御装置取付け工程は、少なくとも、前記ガイドパイプの1つに挿通されて前記原子炉圧力容器の前記炉底部に配置される遠隔操作可能な装置を用いて行うことを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項1に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記注入制御装置取出し工程は、さらに、前記既設炉心差圧・液体注入制御装置を固定するブラケットを中間部で分断して、前記ブラケットの一部を前記原子炉圧力容器の前記炉底部に残存させるブラケット分断工程を含み、前記新規注入制御装置取付け工程は、さらに、前記新規炉心差圧・液体注入制御装置に設けられたブラケットを、前記ブラケット分断工程で残存された前記ブラケットの残存部に溶接するブラケット溶接工程を含むことを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項1に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記新規炉心差圧・液体注入制御装置は、前記差圧・注入ノズル部と前記注入制御用配管を連結するソケットを備えておらず、前記注入制御用配管の延出部が前記炉心差圧・注入ノズル部として形成されていることを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
- 請求項1に記載の炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法において、前記既設および新規炉心差圧・液体注入制御装置は、前記注入制御用配管と、前記炉心差圧用配管とが分岐する分岐部を有し、前記新規炉心差圧・液体注入制御装置の前記分岐部は、前記既設炉心差圧・液体注入制御装置の前記分岐部よりも上方に位置することを特徴とする炉心差圧及び液体注入制御装置の取替方法。
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