JP3562900B2 - 炉心シュラウドの据付方法および原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造 - Google Patents

炉心シュラウドの据付方法および原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は沸騰水型原子炉の炉内構造物である炉心シュラウドの取替作業に係り、特に原子炉圧力容器内への炉心シュラウドの据付方法およびこの据付方法の実施に直接使用される原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
軽水炉としての沸騰水型原子炉は、図9に示すように原子炉圧力容器1内に炉心シュラウド2がシュラウドサポート3に支持されて収容されている。炉心シュラウド2は下部に炉心支持板4が上部に上部格子板5が保持され、これらの炉心支持板4と上部格子板5とにより多数の燃料集合体(図示せず)が装荷された炉心6を囲繞している。炉心6に案内された水は炉心6で加熱作用を受けて温度上昇し、気液二相流となる。この気液二相流は炉心6の上方に設置した気水分離器7で気液分離され、分離された蒸気は続いて蒸気乾燥器8で乾燥されて乾き蒸気となって主蒸気ノズル9から主蒸気系へ放出されるようになっている。
【0003】
一方、気水分離器7で分離された水は原子炉圧力容器1と炉心シュラウド2の間に形成されるアニュラス状のダウンカマ部10に案内され、ダウンカマ部10の下部から原子炉再循環系に導かれる。
【0004】
また、原子炉再循環系を通って送られる再循環水はジェットポンプ11により周囲の炉水を巻き込んで原子炉圧力容器1下部の炉心下部プレナム12に送られ、この炉心下部プレナム12で反転して炉心6に案内される。
【0005】
ジェットポンプ11は原子炉圧力容器1と炉心シュラウド2のアニュラス状ダウンカマ部10の下部に設けられたバッフルプレート(シュラウドサポート)13上に複数台間隔をおいて設置される。
【0006】
ところで、炉心6を囲繞する炉心シュラウド2はステンレス鋼製のプレート部材を溶接して筒状構造物に構成され、シュラウドサポート3上に溶接にて据え付けられている。炉心シュラウド2は炉心6周辺の高放射線下で、しかも熱的に厳しい箇所に設置される。
【0007】
原子炉は一般に数十年間の寿命を有し、長期間に亘ってフルパワーで連続運転される。長期間の運転の間に、炉心シュラウド2は溶接部やその周辺に応力腐蝕割れ等により損傷やクラックが生じる可能性がある。炉心シュラウド2に損傷が生じた場合、溶接による補修や補強部材の追設等の種々の損傷対策が考えられるが、高地震地帯に設置される原子炉では、これらの損傷対策の採用は自ずと制限される。
【0008】
原子炉の安全性確保に最大限の注意を払うと、最も望ましい損傷対策として既設の炉心シュラウドを新しい炉心シュラウドと交換する方法が考えられる。しかし、原子炉圧力容器1内に設置されている炉心シュラウド2は、下端がシュラウドサポート3のリングに溶接にて固着されているため、炉心シュラウドの交換作業に困難性を伴う。
【0009】
また、炉心シュラウドの交換作業には、原子炉圧力容器1内の高放射線量下の作業による放射線被曝の問題や炉心シュラウド2に保持される炉心支持板4と上部格子板5の位置調整の困難さの問題等があり、炉心シュラウド2の交換作業は極めて困難であると予測されていた。
【0010】
一方、原子炉の長期間運転後に、放射化された古い炉心シュラウドを新しい炉心シュラウドと交換する技術として、特公平7−58343号公報や特開平5−80187号公報に開示されたような種々の技術がある。
【0011】
しかしながら、従来の炉心シュラウドの交換技術は、原子炉圧力容器内の高放射化を考慮し、シュラウドサポートへの新しい炉心シュラウドの溶接は、全て遠隔操作による自動溶接であるため、機械的なトラブルが多く、新しい炉心シュラウドの据付作業に膨大な手間隙と作業時間を必要とし、現実離れした内容となっていた。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
従来の炉心シュラウドの交換技術では、新しい炉心シュラウドを原子炉圧力容器1内に搬入し、芯出し位置決めしてシュラウドサポート3上に溶接にて据え付ける作業を全て自動化し、遠隔操作にて行なっているため、機械的なトラブルが多く、また新しい炉心シュラウドをシュラウドサポート3上に正確に位置決めし、据え付けるのに膨大な手間隙と作業時間を要し、非現実的なものであったり、また、新しい炉心シュラウドをシュラウドサポート3上に精度よく正確に据え付けるのに困難性を伴う問題があった。
【0013】
一方、新しい炉心シュラウドをシュラウドサポート3に据え付ける作業の作業性を改善し、良好なものにするためには、原子炉圧力容器1内に搬入された新しい炉心シュラウド内に作業者が入り、溶接作業状態を視認できれば、遠隔作業のみによる自動操作と異なり、機械的なトラブルの発生も少なく、作業性も良好となる。万一、溶接欠陥が生じた場合にも、溶接欠陥の補修を容易に実施でき、作業性の向上とともに、新しい炉心シュラウドの据付作業を精度よく短時間に正確に行なうことができる。
【0014】
しかし、新しい炉心シュラウドの溶接作業を作業員が確認しながら据付作業を進める場合には、作業員が原子炉圧力容器1内に入るのであるから、作業員の被曝防止対策が重要となり、原子炉圧力容器1内に入る可能性のある作業区域(作業空間)の放射線レベルを人員作業可能な基準値(1mSu/h)以下まで低減させなければならない。
【0015】
また、原子炉圧力容器1内に入る作業員は、高放射化されたジェットポンプ11の近傍で作業をすることとなるため、放射線に常時晒される。このため、原子炉圧力容器1内において、ジェットポンプ11と作業員との間に放射線遮蔽体を設置する必要がある。
【0016】
しかし、炉内放射線レベルを人員作業可能な基準値まで低減させるに必要な放射線遮蔽体の厚さは、炉心シュラウド2の厚さより例えば約10倍相当の大幅な肉厚構造としなければならず、放射線遮蔽体の重量が増大し、その取付,取外しが煩雑で困難となる等別の課題が生じる。
【0017】
本発明は上述した事情を考慮してなされたもので、放射線遮蔽レベルと水の放射線遮蔽効果を利用したシールタンクにより放射線遮蔽を多重化し、放射線量を確実にかつ効率よく遮蔽し、作業員の放射線被曝量を著しく少なくした炉心シュラウドの据付方法および原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造を提供するにある。
【0018】
本発明の他の目的は、炉心シュラウド内に人員作業可能な作業区域を形成し、炉心シュラウドの据付作業の作業性を向上させ、据付作業を精度よく効率的にかつ短時間で行なうことができる炉心シュラウドの据付方法および原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造を提供するにある。
【0019】
本発明のさらに他の目的は、炉心シュラウドに設置される放射線遮蔽体の重量軽減を図り、取付や取外し作業の簡単化や作業性の改善が図れ、炉心シュラウドの据付後に放射線遮蔽体を短時間で効率よく撤去できる炉心シュラウドの据付方法および原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造を提供するにある。
【0020】
本発明の別の目的は、炉心シュラウドの交換の際、原子炉圧力容器内に人員作業可能な作業区域を形成し、この作業区域に作業員が入って炉心シュラウドの据付作業を実施し、炉心シュラウドを精度よく正確に据え付けることができ、その据付を短時間で能率よく行なうことができる炉心シュラウドの据付方法および原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造を提供するにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る炉心シュラウドの据付方法は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、原子炉圧力容器から放射化された炉心シュラウドを取り外して新しい炉心シュラウドを据え付ける炉心シュラウドの据付方法において、原子炉圧力容器内に水を張った状態で新しい炉心シュラウド,放射線遮蔽シールドおよびシールタンクを吊り込んでシュラウドサポート上にセットし、その後、原子炉圧力容器内の水を抜いて新しい炉心シュラウドをシュラウドサポート上に溶接機により外周側からシール溶接し、続いて、原子炉圧力容器と新しい炉心シュラウドとの間およびシールタンク内に水を注入し、新しい炉心シュラウド内に作業区域を形成し、新しい炉心シュラウドをシュラウドサポート上に溶接機により内周側からシール溶接し、この溶接終了後に、原子炉圧力容器全体に水を張った状態で放射線遮蔽シールドやシールタンクを撤去することを特徴とする方法である。
【0022】
また、上述した課題を解決するために、本発明に係る炉心シュラウドの据付方法は、請求項2に記載したように、原子炉圧力容器内に新しい炉心シュラウド,放射線遮蔽シールドおよびシールタンクを吊り込む際、新しい炉心シュラウド,放射線遮蔽シールドおよびシールタンクを予め組み付けた一体化物を構成し、この一体化物を原子炉圧力容器内に水を張った状態で吊り込む方法である。
【0023】
さらに、上述した課題を解決するために、本発明に係る炉心シュラウドの据付方法は、請求項3に記載したように、放射線遮蔽シールドは内外周側で分割可能な多重筒構造に構成し、軽量化された外周側円筒シールドを新しい炉心シュラウドに組み付けて一体化物を予め構成する一方、重量のある内周側円筒シールドは一体化物を原子炉圧力容器内に吊り込んだ後、後から吊り込んで外周側円筒シールドに嵌合させて組み付ける方法である。
【0024】
さらにまた、上述した課題を解決するために、本発明に係る炉心シュラウドの据付方法は、請求項4に記載したように、シールタンクは、新しい炉心シュラウド据付時に吊り荷重を軽減させるために、タンク内部を空にした気中状態で原子炉圧力容器内に吊り込む一方、新しいシュラウドの溶接後、シールタンクを取り外す時、タンク内部の水を抜出する方法である。
【0025】
さらに、上述した課題を解決するために、本発明に係る炉心シュラウドの据付方法は、請求項5に記載したように、新しい炉心シュラウドをシュラウドサポートにセットする際、シールタンクのパイプ貫通孔に取り付けられた芯計測用シールパイプを操作し、このシールパイプにより新しい炉心シュラウドの芯出しを行って位置決めセットする方法である。
【0026】
本発明に係る原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造は、上述した課題を解決するために、請求項6に記載したように、新しい炉心シュラウドを原子炉圧力容器内に据え付ける際、原子炉圧力容器内で放射線を遮蔽する原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造において、新しい炉心シュラウドの内周側に原子炉圧力容器側からくる放射線を遮蔽する放射線遮蔽シールドを間隔をおいて液密に組み付け、この放射線遮蔽シールドと新しい炉心シュラウドのアニュラス状空間に密閉構造のシールタンクを収容させて放射線遮蔽体を構成し、上記シールタンクは薄肉構造の内筒と外筒とから筒状に構成され、タンク内部が補強メンバーで周方向および放射線方向の少なくとも一方が補強される一方、前記シールタンクに新しいシュラウドの芯計測用シールパイプを挿通させるパイプ貫通孔が形成され、前記シールタンク内に水を出入れ可能に充填させたものである。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る一実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0031】
図1は本発明の実施に使用される軽水炉としての沸騰水型原子炉の下半部を示す縦断面図である。この沸騰水型原子炉を説明するに当り、図9に示す従来の原子炉と同一部材には同一符号を付して説明する。
【0032】
沸騰水型原子炉では、原子炉圧力容器1内に収容される炉心シュラウド2はシュラウドサポート3上に溶接にて一体に設置される。炉心シュラウド2は下部に炉心支持板4が上部に上部格子板5が保持され、内部に多数の燃料集合体(図示せず)が装荷された炉心6が形成される。多数の燃料集合体は炉心支持板4上に支持され、上部格子板5により保持される。
【0033】
炉心6を構成する上部格子板5の上方に気水分離器(図示せず)が設置され、この気水分離器で炉心6を通って加熱された気液二相流が蒸気と水に分離され、分離された蒸気は続いて蒸気乾燥器にて乾燥され、図示しない主蒸気ノズルから乾いた主蒸気となって主蒸気系に放出される。
【0034】
一方、気水分離器で分離された水は、原子炉圧力容器1と炉心シュラウド2との間に形成されるアニュラス状のダウンカマ部10に案内され、このダウンカマ部10の下部から原子炉再循環系へ放出される。
【0035】
原子炉再循環系を通って再循環された水は再循環ノズル15から流入し、ジェットポンプ7により原子炉圧力容器1内下部の炉心下部プレナム12に送られる。ジェットポンプ7はダウンカマ部10下部に設けられたジェットポンプサポートとしてのバッフルプレート13上に設置される。ジェットポンプ7はアニュラス状のダウンカマ部10を周方向に沿って複数台設置される。
【0036】
また、原子炉圧力容器1の下鏡部には制御棒駆動機構16が多数設けられ、各制御棒駆動機構16の駆動により図示しない制御棒を炉心6の燃料集合体間に出し入れ操作させて、炉出力を調整できるようになっている。符号18はインコアモニタ案内管(ICM案内管)である。
【0037】
次に、放射化された既設の炉心シュラウド2を新しい炉心シュラウド20と交換する際の、原子炉圧力容器1内の放射線遮蔽構造を説明する。
【0038】
炉心シュラウド2を交換する場合には、原子炉圧力容器1の図示しない上蓋を取り外した後、蒸気乾燥器およびシュラウドヘッドと一体の気水分離器を順次取り外す。その後、炉心6に装荷された燃料集合体,炉内核計装検出器,制御棒,燃料支持金具,制御棒案内管,制御棒駆動機構16,その他のシュラウド内構造物の取外しを行なう一方、炉心シュラウド2上方に設置された給水スパージャや炉心スプレイ系配管,低圧注水配管,その他のシュラウド上方設置機器の取外しを行なう。
【0039】
続いて、上部格子板5と炉心支持板4の取外しを行ない、その後、炉心下部のインコア案内管,スタビライザその他の炉心下部構造物を切断撤去して炉心シュラウド2の内外を開放状態とする。この開放状態で炉内除染を行なって炉内放射線レベルを人員作業可能な基準値以下まで下げる。
【0040】
その後、既設の炉心シュラウド2をシュラウドサポート3との溶接部近傍で図示しない切断機により水中切断し、炉心シュラウド2をシュラウドサポート3から取り外し、撤去する。炉心シュラウド2を原子炉圧力容器1から撤去する際、撤去を容易にするため炉心シュラウド2をさらに複数の分割体に細断してもよい。
【0041】
放射化された既設の炉心シュラウド2をシュラウドサポート3から切断し、撤去した後、炉内除染を行なって放射線レベルを低減さる一方、シュラウドサポート3の上面の整形加工を行なう。
【0042】
次に、原子炉圧力容器1内に水を張った状態で新しい炉心シュラウド20を吊り込み、図2に示すようにシュラウドサポート3上に芯計測用シールパイプ21で芯出しを行ないつつ位置決めセットする。シュラウドサポート3上にセットされる新しい炉心シュラウド20の内周側に放射線遮蔽体22が一体的に組み付けられている。
【0043】
放射線遮蔽体22は炉心シュラウド20に間隔をおいて一体的にかつ液密に取り付けられるスリーブ状の放射線遮蔽シールド23とこの遮蔽シールド23の外周側アニュラス空間に設置されるシールタンク24とを有する。
【0044】
放射線遮蔽シールド23は、スリーブ状あるいは円筒状のステアリング鋼製の筒状構造物で、その下端が同じステアリング鋼製のシールタンクサポート25の内周立上り部にOリング等のシールリング26により液密に嵌合支持される。シールタンクサポート25は全体として円環リング状あるいはワッシャ状に形成され、外周側は炉心シュラウド20の中間リング20a部に固定ボルトあるいは固定ピンで着脱可能に装着され、図3に示すように中間リング20a上にオーリングやパッキングリング等のシールリング29により液密に据え付けられる。炉心シュラウド20の中間リング20a部のリング面上には炉心支持板4の取付面を兼ねている。
【0045】
また、放射線遮蔽シールド23は内外周側で2分割可能な2重筒構造に形成され、軽量化された薄肉の外周側円筒シールド31とから着脱自在な嵌合構造とされる。両円筒シールド30,31は下部に形成されて段部32により嵌合状態に保持され、外周側円筒シールド30が内周側円筒シールド31を嵌合保持する構造となっている。
【0046】
放射線遮蔽シールド23の内周側円筒シールド31は、図2に示すように、上端部に複数の吊設部32が設けられ、この吊設部33により内周側円筒シールド31は単独で吊設され、外周側円筒シールド30から吊り上げて引き離したり、またこの円筒シールド30に吊り込んで嵌合保持させることができる。図2および図3には、放射線遮蔽シールド23を内外周側で2分割可能な2重筒構造とした例を示したが、放射線遮蔽シールド23は内外周側を3分割以上とすることもできる。
【0047】
また、新しい炉心シュラウド20と放射線遮蔽シールド23との間にアニュラス状(スリーブ状)の収納空間が形成され、この収納空間にシールタンク24が着脱可能に収納される。
【0048】
シールタンク24は炉心シュラウド20や放射線遮蔽シールド23と同じ材質のステンレス鋼で形成され、図4に示すように、薄肉化されたスリーブ状の外筒35と内筒36が底蓋37と上蓋38で溶接シールされた液密の密閉タンク構造に構成される。内筒36と外筒35との間隔幅は例えば90cm〜100cm程度である。シールタンク24はタンク壁を薄肉化することで軽量化と製造コストの軽減を図るとともに、軽量化してもタンク壁の変形を防止するために、シールタンク24の外筒35には内周側に補強メンバとしての補強リング39が軸方向に間隔をおき周方向に沿って設けられる。補強リング39はT字形断面を有して脚部が外筒35内周壁に固着される。補強リング39は内筒36の外周壁に同様にして固着してもよい。
【0049】
また、シールタンク24の頂部および底部には複数のパイプ貫通孔40が対向して穿設されており、上下に対向するパイプ貫通孔40に芯計測用シールパイプ21をガイドするガイドパイプ41が液密に貫通して装着される。
【0050】
さらに、シールタンク24の頂部には空気抜き孔が形成されてエア抜きホース(パイプ)43が取り付けられる一方、ホースキャップ44が着脱自在に取り付けられる。ホースキャップ44には給排水ホース45が支持される。この給排水ホース45はホースキャップ44を貫通してシールタンク24内に入り、タンク底部に設置された給排水ポンプ46に接続される。給排水ポンプ46はホースキャップ44を取り外すことによりシールタンク24外部に取り出せるようになっている。
【0051】
しかして、シールタンク24は炉心シュラウド20と放射線遮蔽シールド22とにより形成されるアニュラス状空間に設置されて一体化され、放射線遮蔽体22を構成しており、この放射線遮蔽体22が新しい炉心シュラウド20に、原子炉圧力容器1外で予め組み付けられて一体化される。シールタンク24の上方はリング状の模擬上部格子板48で覆われる。
【0052】
放射線遮蔽体22の上方には、図3に示すように新しい炉心シュラウド20と取外し可能に一体化されたプラットホーム49が、作業員の作業床として設けられ、吊り具を兼ねている。このプラットホーム49から作業員が昇降するはしご50が降される。このはしご50により作業員が炉心シュラウド20に形成される作業環境としての作業区域51に降りることができるようになっている。
【0053】
次に、新しい炉心シュラウド20を原子炉圧力容器1内に据え付ける据付作業を図5を参照して説明する。
【0054】
原子炉圧力容器1内に図示しない天井クレーン等の吊設クレーンを用いて新しい炉心シュラウド20を吊り込む前に、原子炉圧力容器1内を必要に応じて炉内除染し、図5(A)に示すように水を張る。新しい炉心シュラウド20には原子炉圧力容器1の外方で放射線遮蔽体22を予め組み付けて一体化する。放射線遮蔽体22は放射線遮蔽シールド23を新しい炉心シュラウド20に組み付け、この遮蔽シールド23と炉心シュラウド20との間にシールタンク24を収容して一体化する。シールタンク24の上方を模擬上部格子板48で覆って蓋をし、新しい炉心シュラウド20と一体化物の放射線遮蔽体22を予め組み立て用意する。このとき、炉心シュラウド20に組み付けられる放射線遮蔽シールド23から重量のある内周側円筒シールド31を取り外しておき、放射線遮蔽体22の軽量化を図っている。また、シールタンク24内に水を注入することをせず、タンク内部を空にした気中状態にセットする。
【0055】
続いて、図5(B)に示すように、新しい炉心シュラウド20と一体化された放射線遮蔽体22を吊り具を兼ねるプラットホーム(足場)49とともに吊設クレーンで吊設し、水を張った状態の原子炉圧力容器1内に吊り込む。このとき、放射線遮蔽体22から重量物の内周側円筒シールド31が取り外されており、しかもシールタンク24はタンク内部が空にされた気中(大気)状態に保たれて軽量化されている。したがって、吊設クレーンの定格重量以下となり、安定的にスムーズに吊り下げることができる。
【0056】
吊設クレーンにより吊り下げられる新しい炉心シュラウド20と一体の放射線遮蔽体22が原子炉圧力容器1に張られた水中に入ると、シールタンク24は浮力作用を受けるため軽くなる。吊設クレーンの荷重負荷がより小さくなり、新しい炉心シュラウド20や放射線遮蔽体22を一層安定的にスムーズに吊り下げることができる。新しい炉心シュラウド20はシールタンク24の浮力により軽量化されるのでシュラウド吊込みやシュラウドサポート3上への位置調整が簡単かつ容易となる。
【0057】
放射線遮蔽体22を組み付けた新しい炉心シュラウド20をシュラウドサポート3上の所定位置に設置した後、吊設クレーンを用いて放射線遮蔽シールド23の内周側円筒シールド31を吊り込む。重量のある内周側円筒シールド31が外周側円筒シールド30内に案内されて所定位置まで吊り下げられると、外周側円筒シールド30の段部に係合して嵌合保持される。なお、吊設クレーンの定格吊設重量が充分に大きな場合には、放射線遮蔽シールド23を内外周側で分割構造とせず、一体物として構成してもよい。新しい炉心シュラウド20をシュラウドサポート3上に設置するとき、芯計測用シールパイプ21で位置確認しながら新しい炉心シュラウド20の芯調整を行ないつつ吊り込み、位置決め設置するのが望ましい。このとき、シールタンク24内は大気状態で浮力が作用し、軽くなっているので、新しい炉心シュラウド20のシュラウドサポート3上へのセットや微調整が容易になる。
【0058】
次に、図5(C)に示すように芯調整用シールパイプ21を利用して新しい炉心シュラウド20の芯出し位置調整を行なってシュラウドサポート3上にセットした後に、原子炉圧力容器1に張られた水を全て排除し、水抜きを行なう一方、吊り具49を撤去する。
【0059】
原子炉圧力容器1内の水が全て排除されたら、ダウンカマ部10に溶接機53を吊り下げて搬入し、この溶接機53を周方向の溶接機ガイド54にセットし、この溶接機ガイトド54に沿って溶接機53を周方向に走査し、新しい炉心シュラウド20をシュラウドサポート3に溶接部に沿って外周側からシール溶接する。
【0060】
新しい炉心シュラウド20を外周側からシール溶接することにより、外周側にクレパス状の疑似欠陥が生じるのを有効的かつ確実に防止できる。また、このシール溶接により、炉心シュラウド20の内側を次にシール溶接するとき、ダウンカマ部10から内部に水が漏れるのを未然にかつ確実に防止できる。
【0061】
また、このとき、ジェットポンプ7を設置したバッフルプレート13の開口部にシールプラグ55を取り付け、このシールプラグ55によりダウンカマ部10に充填された水が炉心下部プレナム12に漏水するのを防止している。
【0062】
次に図5(D)に示すように、原子炉圧力容器1と新しい炉心シュラウド20で形成されるダウンカマ部10や放射線遮蔽シールド23の頂部に立設される筒状あるいは錐状ガード56の外周側に水を張るとともに、シールタンク24内に水を注入し、シールタンク24内を水で満たす。
【0063】
シールタンク24内に水を注入し、充填させる一方、炉心シュラウド20上に足場を構成するプラットホーム49を設置し、このプラットホーム49から下方にはしご50を設置する。
【0064】
このようにして、新しい炉心シュラウド20の内部に、一体化物である放射線遮蔽体22で囲まれた人員作業可能な作業区域51を形成することができる。この作業区域51は、放射線遮蔽シールド23やシールタンク24内に注入された水による放射線遮蔽効果を利用して放射線遮蔽を多重化することができ、人員作業可能な基準値以下の放射線レベルに低減させ、作業員の放射線被曝量の大幅な軽減を図ることができる。
【0065】
続いて、図5(E)に示すように、原子炉圧力容器1内に形成される作業区域51に溶接機53を搬入し、この溶接機53を新しい炉心シュラウド20の内周壁に設けられた溶接機ガイド60にセットする。溶接機53を溶接機ガイド60に沿って周方向に走査させて新しい炉心シュラウド20をシュラウドサポート3上に内周側からシール溶接する。
【0066】
このとき、はしご50を利用して新しい炉心シュラウド20内に作業員が降りて溶接機53による溶接状態を目視で確認しながら操作する。溶接機53によるシール溶接終了後、溶接状態を作業員が検査する。各種検査等終了後に、溶接機53を溶接機ガイド60から取り外して撤去するとともに、作業員もはしご50を昇ってプラットホーム49上に退避し、続いてはしご50を撤去する。
【0067】
その後、図5(F)に示すように、原子炉圧力容器1内に水を張って足場であるプラットホーム49を撤去し、一体化物である放射線遮蔽体22を撤去する。
【0068】
この放射線遮蔽体22を撤去する場合、初めに放射線遮蔽シールド23の重量物である内周側円筒シールド31を吊り上げて撤去した後、シールタンク24内の水を給排水ポンプ46の作動により抜いて、タンク内部を空にし、シールタンク24の浮力を利用して吊り上げ撤去する。最後に固定ボルト28を緩めて取り外し、放射線遮蔽シールド23の外周側円筒シールド30をシールタンクサポート25とともに引き抜いて撤去する。
【0069】
放射線遮蔽体22はこのような分割撤去の代りに、放射線遮蔽シールド23にシールタンク24を組み付けた一体化状態で引き抜き、撤去できるようにしてもよい。この場合にも、放射線遮蔽体22は軽量化のためにシールタンク24内から水を抜出するとともに、シールタンクサポート25は新しい炉心シュラウド20の中間リング20a部から上方に引き抜き得るように、ねじ結合ではなく、ピン結合させておけばよい。
【0070】
図1ないし図5に示した原子炉圧力容器1内の放射線遮蔽構造においては、一体化物である放射線遮蔽体22を放射線遮蔽シールド23とシールタンク24とから構成し、放射線遮蔽を多重化したので放射線量の遮蔽効果を大幅に改善し、新しい炉心シュラウド20の内側に人員作業可能な広い作業区域51を有効的に形成することができる。
【0071】
また、放射線遮蔽を多重化しても、放射線遮蔽シールドを新しい炉心シュラウド20に液密に取り付けることができ、しかも、放射線遮蔽シールド23と新しい炉心シュラウド20との間のアニュラス状空間にシールタンク24を設置し、このシールタンク24は溶接シール構造の筒状をなす密閉タンク構造に形成されるので、液シールを多重化することができ、水漏れを有効的かつ確実に防止できる。シールタンク24からの水漏れが生じても、この漏洩した水が炉心シュラウド20内の作業区域(作業環境)51に入ることがないので、炉心シュラウド20内の作業環境で作業する作業員が溺れるのを未然に防止できる一方、液シールを多重化することにより、シールタンク24内の水が流出してしまうことがなく、水による放射線遮蔽効果を効果的に発揮することができる。したがって、作業員の放射線被曝を著しく軽減させ、放射線被曝量を基準値を大幅に下廻る値とすることができ、作業員の放射線遮蔽を考慮しながら作業性が良好となり、作業環境を広くすることができる。
【0072】
また、この原子炉圧力容器1内の放射線遮蔽構造によれば、新しい炉心シュラウド20のシュラウドサポート3上への設置と同時に、シールタンク24を備えた放射線遮蔽体22を作業環境が良い場所で据え付けることができ、据付時間が短縮して作業性が良好となる。
【0073】
さらに、放射線遮蔽体22の放射線遮蔽シールド23は、重量の大きな内周側円筒シールド31を外周側円筒シールド30から分割できる分割構造とし、重量を軽くした外周側円筒シールド31に薄肉構造のシールタンク24を組み込んで吊設クレーンでの吊り荷重を軽減させ、重量の大きな他方の分割円筒シールド31は後から吊り込めるようにしたので、吊設クレーンのクレーン容量を小さくできる。
【0074】
また、シールタンク24は内外筒を薄肉構造として板厚を薄くすることでタンク製造コストを軽減し、全体の重量を軽くすることができるとともに、シールタンク24のタンク壁を薄肉化しても、外筒35および内筒36の少なくとも一方に補強メンバである補強リング29を周方向または放射方向に1個以上設けたので、タンク壁が補強されて機械的・物理的強度が向上し、強度や剛性を増大させることができ、タンク壁の変形を効果的に防止できる。
【0075】
さらに、放射線遮蔽体22のシールタンク24の高さはほぼ数mの最小高さとし、ジェットポンプ7から強い放射線量を受けるおそれのある炉心シュラウド20の内周側をカバーするようにしたので、シールタンク24は最小高さのシールドで、プラットホーム49上での作業者と炉心シュラウド20内での作業者の放射線被曝量を効率よく減少させることができる。
【0076】
この原子炉圧力容器1内の放射線遮蔽構造においては、新しい炉心シュラウド20にシールタンク24を備えた放射線遮蔽体22を組み付けて一体化する例を説明したが、シールタンク24を用いないで、スリーブ状放射線遮蔽シールド23の外周側のアニュラス空間全体に水を入れ、この水の放射線遮蔽効果を利用して放射線遮蔽を効率よく行なうことができる。この場合にも、ジェットポンプ7からの放射線を遮蔽し、炉心シュラウド20内の作業者の被曝低減を有効的に図ることができる。
【0077】
但し、シールタンク24を設けない場合には、シールタンクサポート用のシールリング29や放射線遮蔽シールド23のシールリング26からの水漏れの可能性がある。しかし、この放射線遮蔽体22では放射線遮蔽シールド23外側のアニュラス空間に密閉構造のシールタンク24を設けることにより、万一シールリング26,29からの水漏れが生じてもシールタンク24からの水漏れは生じないので、シールタンク24より上方部分の水位分(約1m分)だけの僅かな水漏れとなり、溶接機53付近で作業する作業者の放射線被曝には殆ど影響がない。
【0078】
次に、放射線遮蔽体22を構成するシールタンクの変形例を図6に示す。
【0079】
この変形例に示されたスリーブ状密閉構造のシールタンク24Aは、タンク補強構造を変えたものである。他の部分は同一であるので同一符号を付して説明を省略する。
【0080】
シールタンク24Aの外筒35と内筒36との間に補強メンバとしてのリング状あるいはトーラス状の補強プレート61が介装される。補強プレート61は外筒35の内周壁と内筒36の外周壁に溶接にて固定され、タンク壁が補強される。補強プレート61は外筒35と内筒36で形成されるアニュラス空間を周方向に沿って設置される一方、軽量化のために多数の孔が穿設されている。
【0081】
図6では補強プレート61はシールタンク24の内部に一枚介装した例を示したが、シールタンク24Aの内部に軸方向に間隔をおいて複数枚の補強プレート61を介装してもよい。また、複数枚の補強プレートを矩形形状に形成してシールタンク24Aの内部に軸方向に挿入し、各補強プレートを平面視において放射状に配置したタンク補強構造としてもよい。
【0082】
図6に示されたシールタンク24Aはタンク底部に給排水ポンプ46を設置した例を示したが、この給排水ポンプ46に代えて、あるいは給排水ポンプ46とともに排水弁であるドレン弁62を設けてもよい。ドレン弁62はシールタンク24Aのタンク底部を切り欠いてこの切欠部に設置される。排水弁62はシールタンク24A内に満たされた水をシールタンク24A引上げ時に開放して排水するようになっている。
【0083】
また、図2に示す原子炉圧力容器1内の放射線遮蔽構造においては、新しい炉心シュラウド20の芯出しのための芯計測用シールパイプ21は細長いパイプ形状をなし、放射線遮蔽体22のシールタンク24を貫通して下方に延び、作業員がプラットホーム49上から操作できる構造としたが、このシールパイプに代えて図7および図8に示すテレスコピックな芯計測用シールパイプ65を備えてもよい。
【0084】
このシールパイプ65は、パイプ基部66がシールタンク24のガイドパイプ41内を貫通する一方、疑似上部格子板48とシールタンクサポート25に液密に上方へ引き抜き可能に設置される。
【0085】
シールパイプ65はパイプ基部6の下端部にテレスコピック状の操作パイプ67が液密に固定されて構成され、操作パイプ67の下端は制御棒駆動機構(CRD)案内管68に係合可能なテーパ状係合部69に構成される。この係合部69がCRD案内管68に係合することでシールパイプ65は安定的に固定される。
【0086】
操作パイプ67のパイプ先端に形成された係合部69に対向して内部にターゲット70が設けられる。ターゲット70は例えば反射板や反射ミラー等で構成され、このターゲット70とレーザ装置71と図示しない反射光検出手段を組み合せて測定光学系72が形成される。この測定光学系72でシールタンク24や放射線遮蔽体22の設置位置を正確に知ることができ、ひいては測定光学系72を操作することにより新しい炉心シュラウド20の芯出し位置調整を行なうことができる。
【0087】
シールパイプ65で新しい炉心シュラウド20の芯出し位置調整が不要になったら、シールパイプ65は図8に示すように操作パイプ67が引き上げられ、収納状態にセットされる。このようにして、シールパイプ65は操作パイプ67が引き出された作動位置(図7)と引き上げられた収納位置(図8)との間をテレスコピックに伸縮自在に構成される。
【0088】
なお、符号72は溶接機によるシール溶接の溶接状態を遠隔地からも確認できるようにしたテレビカメラである。
【0089】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明においては、原子炉圧力容器内でシュラウドサポート上に据え付けられる新しい炉心シュラウドの内周側に放射線遮蔽シールドと水の放射線遮蔽効果を利用したシールタンクとにより放射線遮蔽を多重化し、シールタンク内に収容される水の放射線遮蔽効果を積極的に利用することにより、放射線量を確実に効率よく遮蔽し、新しい炉心シュラウド内に作業員による人員作業可能な作業区域を形成することができ、新しい炉心シュラウドの据付作業の作業性を向上させ、作業能率を高めるとともに作業員の放射線被曝量を大幅に軽減することができる。
【0090】
また、新しい炉心シュラウド内周側に据え付けられる放射線遮蔽体に水の放射線遮蔽効果を積極的に利用することにより、放射線遮蔽体全体の薄肉化や放射線遮蔽に必要な鉄板(ステアリング鋼板)の薄肉化による重量軽減を図ることができる一方、新しい炉心シュラウド内に人員作業可能な広い作業区域を形成でき、炉心シュラウドの据付作業の作業性を向上させ、据付作業を精度よく効率的に短時間で行なうことができる。
【0091】
炉心シュラウドに予め組み付けられる放射線遮蔽体は、シールタンク内の水が抜かれた気中状態で炉心シュラウドの吊り込みとともに一体化状態で吊り込まれ、また、炉心シュラウド据付作業完了後にもシールタンクから水を抜いた気中状態で吊り上げられるので、シールタンクに作用する浮力を利用して重量軽減を図ることができ、放射線遮蔽体の重量軽減,取付,取外し作業の簡単化や作業性の改善が図れ、新しい炉心シュラウドをシュラウドサポート上に短い時間で精度よくスムーズに設置することができる。
【0092】
さらに、放射線遮蔽体は、放射線遮蔽シールドを内外周側で分割構造とし、重量のある内周側円筒シールドを後吊り込み可能な構成としたので、放射線遮蔽体の吊込みや吊上げを分割可能とし、1回当りの放射線遮蔽体の吊込み重量の軽減をより一層図ることかてき、放射線遮蔽体を効率よくスムーズに吊り込んだり、また撤去することができる。
【0093】
また、本発明においては、新しい炉心シュラウドに放射線遮蔽シールドを液密に据え付ける一方、この遮蔽シールドと炉心シュラウドのアニュラス空間に収容されるシールタンクを密閉構造としたので、水シールの多重化が図れ、放射線遮蔽シールドから万一水漏れが生じても、シールタンク内の水漏れを安全かつ確実に防止できるので、放射線遮蔽効果を充分に維持でき、作業員の放射線被曝を確実に軽減させることができる。
【0094】
さらに、芯計測用シールパイプの貫通孔をシールタンクに形成することにより、新しい炉心シュラウドを取り付ける際、炉心シュラウドの芯計測を精度よく行なうことができ、取付精度の向上が図れる一方、新しい炉心シュラウドに据え付けられる放射線遮蔽体により内部に人員作業可能な作業区域を形成して作業性を向上させたので、新しい炉心シュラウドをシュラウドサポート上に精度よく、正確に据え付けることができ、取付精度の向上が図れる。
【0095】
また、放射線遮蔽体を構成するシールタンクは薄肉化により軽量化が図られる一方、軽量化してもタンク内部に周方向および放射方向の少なくとも一方に沿って設置されて補強メンバにより機械的・物理的強度が補強され、強度や剛性アップか図れるので、タンク壁の変形を有効的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用する沸騰水型原子炉の下半部を示す縦断面図。
【図2】本発明に係る原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造の一実施形態を示す断面図。
【図3】本発明に係る原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造の下部の組付状態を示す部分断面図。
【図4】放射線遮蔽体に備えられるシールタンクを一部破断して示す簡略斜視図。
【図5】(A)〜(F)は原子炉圧力容器内に据え付けられる新しい炉心シュラウドの据付手順を示す図。
【図6】本発明に係る原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造に備えられるシールタンクの変形例を示す簡略斜視図。
【図7】放射線遮蔽体に装着される芯計測用シールパイプの変形例を示す図。
【図8】図7に示された芯計測用シールパイプの収納状態を示す図。
【図9】従来の沸騰水型原子炉の断面構造を簡略的に示す縦断面図。
【符号の説明】
1 原子炉圧力容器
2,20 炉心シュラウド
3 シュラウドサポート
4 炉心支持板
5 上部格子板
6 炉心
7 ジェットポンプ
10 タウンカマ部
13 バッフルプレート(ジェットポンプサポート)
21,65 シールパイプ
22 放射線遮蔽体
23 放射線遮蔽シールド
24,24A シールタンク
25 シールタンクサポート
26,29 シールリング
30 外周側円筒シールド
31 内周側円筒シールド
35 外筒
36 内筒
37 底蓋
38 上蓋
39 補強リング(補強メンバ)
40 パイプ貫通孔
41 ガイドパイプ
43 空気抜きホース
44 ホースキャップ
45 給排水ホース
46 給排水モータ
49 プラットホーム(足場,吊り具)
50 はしご
51 作業区域(作業環境)
52 溶接機ガイド
53 溶接機
56 ガード
65 芯計測用シールパイプ
66 パイプ基部
67 操作パイプ
70 ターゲット(反射ミラー,反射板)
71 レーザ装置
72 測定光学系

Claims (6)

  1. 原子炉圧力容器から放射化された炉心シュラウドを取り外して新しい炉心シュラウドを据え付ける炉心シュラウドの据付方法において、原子炉圧力容器内に水を張った状態で新しい炉心シュラウド,放射線遮蔽シールドおよびシールタンクを吊り込んでシュラウドサポート上にセットし、その後、原子炉圧力容器内の水を抜いて新しい炉心シュラウドをシュラウドサポート上に溶接機により外周側からシール溶接し、続いて、原子炉圧力容器と新しい炉心シュラウドとの間およびシールタンク内に水を注入し、新しい炉心シュラウド内に作業区域を形成し、新しい炉心シュラウドをシュラウドサポート上に溶接機により内周側からシール溶接し、この溶接終了後に、原子炉圧力容器全体に水を張った状態で放射線遮蔽シールドやシールタンクを撤去することを特徴とする炉心シュラウドの据付方法。
  2. 原子炉圧力容器内に新しい炉心シュラウド,放射線遮蔽シールドおよびシールタンクを吊り込む際、新しい炉心シュラウド,放射線遮蔽シールドおよびシールタンクを予め組み付けた一体化物を構成し、この一体化物を原子炉圧力容器内に水を張った状態で吊り込むことを特徴とする請求項1に記載の炉心シュラウドの据付方法。
  3. 放射線遮蔽シールドは内外周側で分割可能な多重筒構造に構成し、軽量化された外周側円筒シールドを新しい炉心シュラウドに組み付けて一体化物を予め構成する一方、重量のある内周側円筒シールドは一体化物を原子炉圧力容器内に吊り込んだ後、後から吊り込んで外周側円筒シールドに嵌合させて組み付けることを特徴する請求項1に記載の炉心シュラウドの据付方法。
  4. シールタンクは、新しい炉心シュラウド据付時に吊り荷重を軽減させるために、タンク内部を空にした気中状態で原子炉圧力容器内に吊り込む一方、新しいシュラウドの溶接後、シールタンクを取り外す時、タンク内部の水を抜出することを特徴とする請求項1に記載の炉心シュラウドの据付方法。
  5. 新しい炉心シュラウドをシュラウドサポートにセットする際、シールタンクのパイプ貫通孔に取り付けられた芯計測用シールパイプを操作し、このシールパイプにより新しい炉心シュラウドの芯出しを行って位置決めセットすることを特徴とする請求項1に記載の炉心シュラウドの据付方法。
  6. 新しい炉心シュラウドを原子炉圧力容器内に据え付ける際、原子炉圧力容器内で放射線を遮蔽する原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造において、新しい炉心シュラウドの内周側に原子炉圧力容器側からくる放射線を遮蔽する放射線遮蔽シールドを間隔をおいて液密に組み付け、この放射線遮蔽シールドと新しい炉心シュラウドのアニュラス状空間に密閉構造のシールタンクを収容して放射線遮蔽体を構成し、上記シールタンクは薄肉構造の内筒と外筒とから筒状に構成され、タンク内部が補強メンバーで周方向および放射線方向の少なくとも一方が補強される一方、前記シールタンクに新しいシュラウドの芯計測用シールパイプを挿通させるパイプ貫通孔が形成され、前記シールタンク内に水を出入れ可能に充填させたことを特徴とする原子炉圧力容器内の放射線遮蔽構造。
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