JP5814463B2 - ピロリン酸鉄組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、乳酸菌飲料等の発酵乳に好適に用いられる被覆ピロリン酸第二鉄組成物及び該組成物を含有した発酵乳に関する。
近年、発酵乳に鉄分を強化するため、鉄素材の配合が種々検討されている。
しかしながら、硫酸第一鉄、クエン酸鉄ナトリウム、乳酸鉄等の水溶性鉄素材の配合は、鉄味により発酵乳の風味が損なわれる。
一方、水不溶性の鉄素材は、そのままでは発酵乳に配合すると沈降するため飲料への添加は困難である。
そこで、乳酸発酵した酸乳中で安定に懸濁し、しかも、鉄分が有する特有の不快な風味が極めて発現しにくいピロリン酸第二鉄乳化剤被覆組成物を配合した発酵乳が報告されている(特許文献1参照)。
特開平10−225263号公報
しかしながら、特許文献1に記載のピロリン酸第二鉄乳化剤被覆組成物は、ゼータ電位の絶対値が10mV以下の発酵乳に加えた場合、発酵乳中のタンパク質と反応を起こすため、分散性に課題が生じることが明らかとなった。
また、従来のピロリン酸第二鉄乳化剤被覆組成物は、配合量を増やすと乳化剤由来の風味が出てしまうため無脂乳固形分(SNF)の低い発酵乳等の配合原材料由来の風味を感じやすい飲食品への配合量にも限界がある。
本発明の課題は、分散性に優れ、風味を損なうことなく発酵乳に配合することのできる被覆ピロリン酸第二鉄組成物、及び該被覆ピロリン酸第二鉄組成物を含有した発酵乳を提供することにある。
本発明は、
〔1〕 ピロリン酸第二鉄が、該ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、1〜10質量部のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又は1〜10質量部のグリセリン脂肪酸エステルと、0.05〜1質量部の酵素分解レシチンとにより被覆されてなり、ゼータ電位が-25〜-39mVであり、平均粒子径が1〜4μmである被覆ピロリン酸第二鉄組成物、並びに
〔2〕 前記〔1〕記載の被覆ピロリン酸第二鉄組成物を、ゼータ電位の絶対値が10mV以下の発酵乳100gあたりピロリン酸第二鉄由来の鉄換算で1.0〜10mg含有してなる、鉄分を強化した発酵乳
に関する。
本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、風味を損なうことなく、安定に発酵乳中に分散させることができるという効果を奏するものである。
本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、ピロリン酸第二鉄が、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステルと、酵素分解レシチンとにより被覆された構造を有する。本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、微細な粒子径まで粉砕された粒子を、適度の粒子径に凝集させることで発酵乳中に分散させることができる。これに対し、従来技術である特許文献1に記載のピロリン酸第二鉄乳化剤被覆組成物では、微細な粒子の状態で存在しており、このままでは凝集は起こらない。通常、粒子の凝集は分散性の悪化や沈殿を発生させることから望ましくない現象と考えられるが、本発明では、凝集をコントロールして適度な粒子径に調整することで、沈殿を生じず、かつ発酵乳中でのタンパク質との反応を抑制できる鉄組成物が得られるという、当業者の予測以上の効果が奏されることが確認された。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルは、風味と物性の観点から、脂肪酸の炭素数が12以上、好ましくは12〜18で、HLBが10以上、好ましくは14〜17のものを用いるのが望ましい。構成成分であるソルビタン脂肪酸エステルとは、ソルビタンと脂肪酸をエステル化したもので、ソルビットを脱水して得られるソルビタン又はソルビットそのものと脂肪酸とを縮合させて調製される。反応の状況によりソルビット、ソルビタン、ソルバイド及びこれらのエステルが混在する混合物となり、これらの存在割合は反応条件やメーカーにより異なる。本発明に使用するに当たっては特に組成を限定するものではなく、市販のもので好適に利用できる。
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの量は、粒子径コントロールの観点から、ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、1〜10質量部であり、風味の観点から1〜8質量部がより好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。
グリセリン脂肪酸エステルとしては、グリセリンと脂肪酸とのエステルまたはグリセリンと油脂とのエステル交換によって得られたモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドの混合物等が挙げられる。脂肪酸の炭素数は、8〜18が好ましく、12〜14がさらに好ましい。モノグリセリド、ジグリセリド及びトリグリセリドの混合物は、用途に応じて、分子蒸留法やカラム法による分離精製処理を施すことにより、モノグリセリドの含量を高められていてもよい。
グリセリン脂肪酸エステルの量は、粒子径コントロールの観点から、ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、1〜10質量部であり、風味の観点から1〜8質量部が好ましく、1〜5質量部がさらに好ましい。
酵素分解レシチンは、植物レシチン又は卵黄レシチンをホスホリパーゼAによって脂肪酸エステル部分を限定的に加水分解することで得られるリゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルイノシートル及びリゾホスファチジルセリンを主成分とするモノアシルグリセロリン脂質、並びにホスホリパーゼDを用いて生成されるホスファチジン酸、リゾホスファチジン酸、ホスファチジルグリセロール及びリゾホスファチジルグリセロールからなる群より選ばれた少なくとも1種を好適に使用しうる。それらの中では、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジルエタノールアミン及びリゾホスファチジルセリンが好ましく、リゾホスファチジルコリンがより好ましい。酵素分解に用いるホスホリパーゼは、豚膵臓等の動物起源、キャベツ等の植物起源、カビ類等の微生物起源等の由来を問わず、ホスホリパーゼA及び/又はD活性を有するものであればよい。
酵素分解レシチンは、いずれも界面活性を有し、その親水基部分に等しくリン酸基を有しており、ショ糖脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤と比較して、ピロリン酸第二鉄表面の吸着被覆力が著しく強い性質を有している。そのため、水不溶性ミネラルの微粒子表面に熱的に安定な酵素分解レシチンの吸着界面層が形成され、加熱処理を施した際にも剥離することがなく、効果的に凝集がコントロールされ、その結果、良好なピロリン酸第二鉄の分散性が得られる。
酵素分解レシチンの量は、粒子径コントロールの観点から、ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、0.05〜1質量部であり、風味の観点から0.05〜0.5質量部がより好ましく、0.05〜0.2質量部がさらに好ましい。
被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、ピロリン酸第二鉄の粉砕物を、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステルと酵素分解レシチンと均一に混合して得られる。
また、本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物の調製にあたっては、本発明の効果を損なわない範囲で、ソルビタン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステル等の他の乳化剤を併用することができる。
ピロリン酸第二鉄の粉砕方法としては、ダイノミル、サンドミル、コボールミル等の湿式粉砕機、ナノマイザー、マイクロフルイタイザー、ホモゲナイザー等の乳化・分散装置、超音波分散機等を用いた物理的破砕法が好ましく、粒度調整の観点から、湿式粉砕法がより好ましい。
従って、被覆ピロリン酸第二鉄組成物の好ましい製造方法としては、湿式粉砕により粉砕したピロリン酸第二鉄の粉砕物を含む10〜30質量%程度の溶液を、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステルと酵素分解レシチンとの混合物と混合する方法、ピロリン酸第二鉄とポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又はグリセリン脂肪酸エステルとを混合し、湿式粉砕して得られた混合物を、酵素分解レシチンと混合する方法等が挙げられる。グリセリンを湿式粉砕の工程で添加することにより、湿式粉砕後、生成した凝集粒子の分離を防止することができる。グリセリンの配合量は特に制限されないが、被覆ピロリン酸第二鉄組成物中、60質量%以下とすることが好ましい。
本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物のゼータ電位は、発酵乳に含まれるタンパク質との間に発生する引力が適度に制御され、被覆ピロリン酸第二鉄組成物が発酵乳中に安定に分散する観点から、-25〜-39mVが好ましい。ゼータ電位は、各種乳化剤の組み合わせとその使用量の調整により、調整することができる。
本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物の平均粒子径は、発酵乳中で被覆ピロリン酸第二鉄組成物が分散し、かつ発酵乳に含まれるタンパク質と被覆ピロリン酸第二鉄組成物が反応し、沈殿することを防止する観点から、1〜4μmであり、1〜3μmが好ましい。ここで、本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は製造工程において被覆ピロリン酸第二鉄の粒子が凝集した凝集粒子の形態をなしており、上記平均粒子径とはこの凝集粒子の平均粒子径を指す。平均粒子径は、各種乳化剤の組み合わせとその使用量の調整により、調整することができる。
本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、いかなる飲食品にも配合することが可能であるが、発酵乳、特にゼータ電位の絶対値が10mV以下の発酵乳に好適に配合することができる。
本発明において、発酵乳とは、乳もしくは乳製品又はそれらの類似製品を乳酸発酵させて得られる発酵乳製品もしくはその類似製品全般を指称する。具体的には、ヨーグルト等の乳等省令により定められている発酵乳だけでなく、乳酸菌飲料やケフィア等が含まれる。その形態としては、プレーンタイプ、フレーバードタイプ、フルーツタイプ、甘味タイプ、ソフトタイプ、ドリンクタイプ、固形(ハード)タイプ、フローズンタイプ等が挙げられるが、特にドリンクタイプに使用することが好ましい。
また、上記乳又は乳製品としては、牛乳等の生乳、脱脂粉乳、全粉乳、生クリーム等の乳製品等からなる獣乳培地や豆乳等を使用することができる。
発酵乳の製造に用いられる微生物としては、通常、食品に用いられるものであれば、特に制限されず、例えば、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・マリ、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・デルブルッキィ サブスピーシーズ ブルガリカス、ラクトバチルス・ヘルベティカス等のラクトバチルス属細菌、ストレプトコッカス・サーモフィルス等のストレプトコッカス属細菌、ラクトコッカス・ラクチス等のラクトコッカス属細菌、エンテロコッカス・フェカーリス等のエンテロコッカス属細菌等の乳酸菌、ビフィドバクテリウム・ブレーベ、ビフィドバクテリウム・ビフィダム、ビフィドバクテリウム・ロンガム等のビフィドバクテリウム属細菌等のビフィズス菌等を挙げることができる。
また、上記微生物を乳又は乳製品に接種し、発酵する条件及び方法としては、通常の発酵乳の製造に使用される条件及び方法を適用すればよく、特に限定されない。例えば、30〜40℃の温度で、pHが3.0〜5.0になるまで発酵させればよく、その方法も、静置発酵、攪拌発酵、振とう発酵、通気発酵等から適宜選択して発酵に用いる微生物に適した方法を用いればよい。
このように、発酵乳は、菌、タンパク質等が含まれるため沈殿を起こしやすい。特にゼータ電位の絶対値が10mV以下の場合、沈殿が生じやすく、鉄等の機能性素材を添加することは困難である。しかしながら、本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、タンパク質との反応が抑制されるため、発酵乳中に安定に分散させることができる。従って、本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、ゼータ電位の絶対値が10mV以下の発酵乳に好適に配合することができる。
また、本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は乳化剤の風味が少ないことから、味が薄く、配合原材料由来の風味を感じやすいSNFの少ない発酵乳にも好適に配合することができる。SNFの値としては、0.1〜7質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
被覆ピロリン酸第二鉄組成物の配合量は、風味の観点から、ゼータ電位の絶対値が10mV以下の発酵乳100gあたりピロリン酸第二鉄に由来する鉄換算で1.0〜10mgであり、より好ましくは1.0〜5mgである。
本発明の鉄分を強化した発酵乳においては、通常のヨーグルトや、ヨーグルト飲料、乳酸菌飲料等の発酵乳を製造する場合と同様にシロップを添加することができる。ここでいうシロップとは、一般に用いられる甘味料、栄養成分、安定剤、粘度調整成分、酸味料、香料等であり、特に限定されるものではないが、より具体的には、ショ糖、グルコース、フルクトース、ガラクトオリゴ糖、パラチノース、キシロース、麦芽糖、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、パラチニット、還元水飴等の甘味料、スクラロース、アスパルテーム、ソーマチン、アセスルファムK、ステビア等の高甘味度甘味料、大豆多糖類、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グアーガム、キサンタンガム、ペクチン、ローカストビーンガム、ジェランガム等の増粘(安定)剤、クエン酸、乳酸、酢酸、リンゴ酸、酒石酸、グルコン酸等の酸味料、ビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE等のビタミン類、コラーゲンペプチド、果汁、ピーチ、メロン、バナナ、トロピカル、ヨーグルト系、ベリー系、オレンジ系、花梨系、シソ系、シトラス系、アップル系、ミント系、グレープ系、アプリコット系、ペア等のフレーバー類等を挙げることができる。
本発明の鉄分を強化したヨーグルト等の発酵乳の製造において、被覆ピロリン酸第二鉄組成物は通常の発酵乳の製造工程の任意の段階で添加すればよく、例えば、乳酸発酵した酸乳に、殺菌した被覆ピロリン酸第二鉄組成物を添加し、必要に応じ殺菌したシロップを添加したのちに均質化処理してもよいし、また、均質化処理した酸乳に、あらかじめ混合、殺菌した被覆ピロリン酸第二鉄組成物含有シロップを添加してもよい。
なお、製造されるヨーグルト等の発酵乳がビタミンCを含有するものである場合には、被覆ピロリン酸第二鉄組成物、及びビタミンCを含むシロップは各々殺菌し、乳酸発酵した酸乳に個別に添加することが望ましい。なお、ここで個別に添加するとは、予め混合したものを添加するのではなく、それぞれを同時又は別々に添加することを意味する。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によってなんら限定されるものではない。
実施例1〜12及び比較例1〜3
ピロリン酸第二鉄400gをイオン交換水1600gに混合、分散させ、本分散液を湿式摩砕機ダイノミルによって湿式粉砕を行い、ピロリン酸第二鉄の粉砕物を20質量%含む、ピロリン酸第二鉄組成物を得た。
得られた組成物を、表1に示す、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、酵素分解レシチン及び水と混合した後、ホモジナイザーを用いて分散均一化処理し、被覆ピロリン酸第二鉄の凝集粒子を10〜15質量%含む、被覆ピロリン酸第二鉄組成物分散液を得た。
比較例4、5
塩化第2鉄(6水和物)65.6gと表1に示す酵素分解レシチンをイオン交換水304.8gに溶解して鉄溶液を調製し、ピロリン酸四ナトリウム(10水和物)100gをイオン交換水2540gに溶解したピロリン酸溶液中に撹拌下徐々に添加して混合液のpHを3.0に調整した。中和反応によるピロリン酸第二鉄の造塩が終了した後、遠心分離によって固−液分離を行って固相部のピロリン酸第二鉄−酵素分解レシチン複合体を回収した。イオン交換水に再懸濁し、表1に示すグリセリン脂肪酸エステルを添加し、ピロリン酸第二鉄−酵素分解レシチン複合体を4質量%含む被覆ピロリン酸第二鉄組成物1000gを得た。
実施例及び比較例で得られた被覆ピロリン酸第二鉄組成物について、平均粒子径とゼータ電位を測定した。結果を表1に示す。
平均粒子径は、レーザー回折粒度分布測定装置(LS 13 320:Beckman Coulter社製)にて測定した体積平均粒子径である。試料の調製、測定条件及び測定方法は下記の通りである。
〔試料の調製〕
被覆ピロリン酸第二鉄組成物を純水で希釈する。
〔測定条件〕
偏光差動散乱(PIDS):アセンブリ不使用
屈折率の実部:1.6、虚数部:0
〔測定方法〕
レーザー回折粒度分布測定装置上の相対濃度が8-12%の範囲に入るように試料を添加後、測定を実施する。
ゼータ電位は、ゼータ電位測定装置(ゼータサイザー 3000:Malvern Instruments社製)を用いて測定した。試料の調製、測定条件及び測定方法は下記の通りである。
〔試料の調製〕
被覆ピロリン酸第二鉄組成物を純水で希釈する。
〔測定条件〕
繰り返し測定回数:5回に設定
データ採取時間:Rapidを選択
個別測定待ち時間:0
測定温度:25℃
〔測定方法〕
試料をゼータ電位測定装置上のCount rate(KCPs):測定中に計数した1秒間の1000フォトン単位の計数率が3000以下となるように加え、測定を開始する。
〔被覆ピロリン酸第二鉄組成物入りの発酵乳の調製〕
15質量%脱脂粉乳培地(3.5質量%のグルコースを含む)に、ラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを0.5質量%接種し、37℃でpHが3.6となるまで培養を行い、その後、培養物を15MPaで均質化処理した。その培養物を23重量部と被覆ピロリン酸第二鉄組成物を含有するシロップ(17質量%の砂糖を含む)77重量部を混合し発酵乳(乳酸菌飲料)を製造した。なお、被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、実施例1〜12及び比較例1〜5で得られた組成物について、それぞれ発酵乳100gあたりピロリン酸第二鉄由来の鉄量が4.7mgとなるように配合した。得られた発酵乳のpHは3.6、SNFは3.1質量%、ゼータ電位は4.2mVであった。
〔反応性の評価〕
得られた発酵乳を70℃で30分間加熱した。加熱後、発酵乳成分との凝集の有無を目視により観察し、変化がなければ「○」、変化が認められた場合は「×」として、発酵乳との反応性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 0005814463
表1の結果より、実施例1〜12の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、ゼータ電位が制御されており、微小な粒子(1〜4μm)としてタンパク質との反応が抑制され、発酵乳に均一に分散させることができることが分かる。これに対し、ゼータ電位の絶対値が大きく、極めて微小な粒子からなる比較例1〜5の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、発酵乳中で反応物が形成され、分散性に欠けることが分かる。
〔ホエイオフ及び沈殿の測定〕
反応性の評価で使用した実施例1及び比較例4の被覆ピロリン酸第二鉄組成物を含む発酵乳と、被覆ピロリン酸第二鉄組成物を配合せずに得られた発酵乳(比較例6)を、それぞれ80ml(約86g)を容器に入れて密封し、10℃で7、14、21、28日間保存し、ホエイオフ(飲料上部に透明な層が生じる現象)と沈殿を測定した。
なお、ホエイオフは、容器に入った状態で直接測定した。また、沈殿は、容器内のサンプルを静かに捨て、1分間倒置後の容器の底に残った沈殿物の重量を測定し、下記式により算出した。
Figure 0005814463
Figure 0005814463
表2の結果より、比較例4の発酵乳と比べて、実施例1の発酵乳は、被覆ピロリン酸第二鉄組成物が無添加の比較例6の発酵乳とホエイオフも沈殿量も大差ないことが分かる。
〔風味の評価〕
実施例1及び比較例4の被覆ピロリン酸第二鉄組成物を用いて得られた発酵乳と、被覆ピロリン酸第二鉄組成物を配合せずに得られた発酵乳(比較例6)を、それぞれ10℃で28日間保存した。調製直後(0日)、14日間保存後、28日間保存後に、風味を評価した。
その結果、実施例1、比較例6の発酵乳は、28日保存後も、乳化剤の風味や鉄特有の風味がなく製品として許容可能な程度の風味が維持されていたが、比較例4の発酵乳は乳化剤の風味が強く、さらに、14日間保存した時点で、鉄特有の風味が認められ、製品として許容できない結果であった。
実施例13
15質量%脱脂粉乳培地(3.5質量%のグルコースを含む)に、ラクトバチルス・カゼイYIT9029のスターターを0.5質量%接種し、37℃でpHが3.6となるまで培養を行った培養物と3質量%大豆多糖類溶液を混合した混合物を15MPaで均質化処理した。
また、実施例1で得られた被覆ピロリン酸第二鉄組成物(ピロリン酸第二鉄由来の鉄を3.6質量%含む)を0.1質量%含有するシロップ(14質量%の砂糖、0.2質量%のコラーゲンペプチド及び0.06質量%のビタミンCを含む)を調製した。
上記混合物を32重量部とシロップ68重量部を混合し、発酵乳(乳酸菌飲料)を製造した。pHは3.6、SNFは3.1質量%、ゼータ電位-4.5mVであった。
得られた発酵乳は、10℃で14日目保存した場合でも分離を起こさず非常に物性安定性のよい風味良好な飲料であった。
本発明の被覆ピロリン酸第二鉄組成物は、ヨーグルト、ヨーグルト飲料、乳酸菌飲料等の発酵乳に用いられる。

Claims (3)

  1. ピロリン酸第二鉄が、該ピロリン酸第二鉄100質量部に対して、1〜10質量部のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル又は1〜10質量部のグリセリン脂肪酸エステルと、0.05〜1質量部の酵素分解レシチンとにより被覆されてなり、ゼータ電位が-25〜-39mVであり、平均粒子径が1〜4μmである被覆ピロリン酸第二鉄組成物。
  2. ゼータ電位の絶対値が10mV以下である発酵乳に配合するための、請求項1記載の被覆ピロリン酸第二鉄組成物。
  3. 請求項1記載の被覆ピロリン酸第二鉄組成物を、ゼータ電位の絶対値が10mV以下の発酵乳100gあたりピロリン酸第二鉄由来の鉄換算で1.0〜10mg含有してなる、鉄分を強化した発酵乳。
JP2014506181A 2012-03-21 2013-03-14 ピロリン酸鉄組成物 Active JP5814463B2 (ja)

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