JP5811210B2 - 磁気検出器 - Google Patents
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Description
このときパルスの立ち上がり時の減衰振動出力Vr−Vhと立ち下がり時の出力が−Vf−Vhとは、以下の数2のような関係である。
このときパルスの立ち上がり時の減衰振動出力Vr+Vhと立ち下がり時の出力が−Vf+Vhとは、以下の数3のような関係である。
すなわち磁気インピーダンス素子の出力の一部の情報を利用しているのみであり、わずかながら前記のごとく履歴成分の絶対値|Vh|に起因するオフセットとして誤差が混入するおそれがあり、その対策をする手がかりが無かった。
アモルファスワイヤにパルスが通電された場合に、該パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に前記アモルファスワイヤ周辺の外部磁界に対応する交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子と、
前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧を信号処理して出力信号を出力する信号処理装置から成り、
前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧に基づいて、前記アモルファスワイヤ周辺の外部磁界に対応する出力信号を出力するように構成され、
前記信号処理装置が、経過した磁場変化の履歴により、前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧に含まれる磁場が印加された場合に生ずる履歴成分を相殺する履歴成分相殺手段を備えているものである。
前記第1発明において、
前記磁気インピーダンス素子が、前記アモルファスワイヤの二つの電極間に前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時の交流減衰振動電圧が出力されるように構成されているものである。
前記第1発明において、
前記磁気インピーダンス素子が、前記アモルファスワイヤの周囲に巻回された検出コイルの二つの電極間に前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時の交流減衰振動電圧が出力されるように構成されていることを特徴とする磁気検出器。
前記第1発明ないし第3発明のいずれかにおいて、
前記履歴成分相殺手段が、前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される前記履歴成分が含まれる二つの交流減衰振動電圧の絶対値の和を求めることにより、前記アモルファスワイヤ周辺の外部磁界を演算する外部磁界演算手段によって構成されているものである。
前記第1発明ないし第3発明のいずれかにおいて、
前記信号処理装置として、前記交流減衰振動電圧をサンプルホールドするサンプルホールド手段を備えており、該サンプルホールド手段が、前記磁気インピーダンス素子に接続されたスイッチ手段に一端を接地したコンデンサのみを接続し、前記磁気インピーダンス素子が出力する前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時の前記履歴成分が含まれる交流減衰振動電圧をそれぞれサンプルホールドする2個のサンプルホールド回路より成るものである。
前記第5発明において、
前記履歴成分相殺手段が、前記2個のサンプルホールド回路より出力される前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時の前記履歴成分が含まれる交流減衰振動電圧の二つのサンプルホールドされた電圧の差を演算する手段より成るものである。
本発明(請求項7に記載の第7発明)の磁気インピーダンス素子による磁気測定の測定精度改善方法は、
アモルファスワイヤにパルスが通電された場合に、前記アモルファスワイヤ周辺の外部磁界に対応する交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子により測定される磁気測定の測定精度改善方法であって、
磁気インピーダンス素子のアモルファスワイヤに過度な磁場が印加された後において、
前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧を信号処理し、
前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧の絶対値の和または二つの交流減衰振動電圧を信号処理した電圧の差を求めることにより、
前記した過度な磁場が印加された場合に生ずる履歴成分を相殺するものである。
上記構成より成る第7発明の磁気インピーダンス素子による磁気測定の測定精度改善方法は、アモルファスワイヤにパルスが通電された場合に、前記アモルファスワイヤ周辺の外部磁界に対応する交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子により測定される磁気測定の測定精度改善方法であって、磁気インピーダンス素子のアモルファスワイヤに過度な磁場が印加された後において、前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧を信号処理し、前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧の絶対値の和または二つの交流減衰振動電圧を信号処理した電圧の差を求めることにより、前記した過度な磁場が印加された場合に生ずる履歴成分を相殺するので、磁気インピーダンス素子による磁気測定の測定精度を改善するという効果を奏する。
前記二つの交流減衰振動電圧の信号処理としては、AD変換する方法、サンプルホールドする方法、その他の方法がある。
なお前記の交流減衰振動電圧またはその波形にもとづいて前記アモルファスワイヤ周辺の外部磁界に対応する出力信号を出力するとは、たとえば前記パルス電流の立ち上がり時と立ち下がり時に前記磁気インピーダンス素子より出力される二つの交流減衰振動電圧それぞれのピーク値、瞬時値、平均値、実効値あるいはそれらの絶対値ならびに前記パルス電流の立ち上がり時の前記交流減衰振動電圧のピーク値と立ち下がり時の交流減衰振動電圧のピーク値とのピーク トゥ ピーク値などに由来して信号処理を行うことである。これにより、従来のように、立ち上がり時と立ち下がり時のいずれか一方の出力電圧を利用する場合に比べ、より高い出力を得ることができ、高感度な磁気検出器を構成できる。
スタートすると、まずステップ101において、印加された前記パルス電流の立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧が含まれている前記磁気インピーダンス素子1の出力信号がデータとして取り込まれる。
なお、以下の数5は前記パルスの立ち上がり時の交流減衰振動電圧と前記パルスの立ち下がり時の交流減衰振動電圧の絶対値の和を演算したことと等価である。
一方、±4μT以上の領域では前記アモルファスワイヤ10が磁気的に飽和するが、その飽和領域から戻っても履歴現象は抑圧されてオフセットは見られず、印加する磁場が零になれば出力もゼロVになりゼロ点が狂うことがない。
よって信号処理装置の電子回路のノイズに対する検出磁気信号の大きさ割合を大きくするという二つ目の課題を解決することが出来た。
以上により本第1実施例の磁気検出器の有効性を確認することが出来た。
なお、数6における(Vr+Vf)は前記パルスの立ち上がり時の交流減衰振動電圧と前記パルスの立ち下がり時の交流減衰振動電圧の絶対値の和を演算したことと等価である。
という演算結果になり磁気信号VrとVfは略等しいので加算となり、ほぼ2倍の入力信号になる。
たとえば図12に示した前記差動増幅器Aを用いないで図14に示すごとく演算増幅器OP1と抵抗器r11とr12および演算増幅器OP2と抵抗器r21、r22、r23からなる増幅回路を組み合わせることで履歴成分相殺手段の機能を実現し、本発明の効果を達成する第1変形例を採用することが出来る。
すなわち図14において、サンプルホールド回路31がホールドする前記磁気信号Vr−Vhは入力抵抗器である抵抗器r11を含んでr12および演算増幅器OP1とからなる増幅度−1倍の極性反転増幅器に接続される。これにより該極性反転増幅器の出力は(−1)×(Vr−Vh)となり、さらに該出力に接続される一方の加算入力抵抗器である抵抗器r22を含んでr21、r23および演算増幅器OP2とからなる増幅度−K倍の極性反転加算増幅器で増幅されるので、その出力端子には−K×(−1)×(Vr−Vh)すなわちK×(Vr−Vh)として出力される。
また、前記サンプルホールド回路32がホールドする前記磁気信号−Vf−Vhは、もう一方の加算入力抵抗器である前記抵抗器r21に接続され、前記増幅度−K倍の極性反転加算増幅器で増幅されてその出力端子に−K×(Vf−Vh)すなわちK×(Vf+Vh)として出力される。
したがって該極性反転加算増幅器の出力端子には前記K×(Vr−Vh)と前記K×(Vf+Vh)が加算による和が演算されたK×(Vr−Vh)+K×(Vf+Vh)=K×(Vr+Vf)が出力され、前記履歴成分であるVhが消去されるので前記差動増幅器と同様に履歴成分相殺手段の機能を実現し本発明の効果を得ることができる。
上記本第1変形例においては、演算増幅器であるICや抵抗器など必要なパーツの数は増加するものの、通常の演算増幅器は高精度でありながら安価であるため、精度および価格ともに高い差動増幅器(計装増幅器)に比べて低コストで実装することができるので、コスト低減にメリットがある。
また前記パルス電流の立ち上がり時および立ち下がり時における前記アモルファスワイヤの二つの電極間に出力される交流減衰振動電圧と前記アモルファスワイヤ周囲に巻回された前記検出コイルの二つの電極間に出力される交流減衰振動電圧の両方に基づいて高感度の磁気検出を行う第8変形例を採用することも出来る。
2 パルス発振回路
3 信号処理装置
10 アモルファスワイヤ
11 検出コイル
31、32 サンプルホールド回路
33 差動演算装置
34 タイミング回路
Claims (7)
- アモルファスワイヤにパルスが通電された場合に、該パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に前記アモルファスワイヤ周辺の外部磁界に対応する交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子と、
前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧を信号処理して出力信号を出力する信号処理装置から成り、
前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧に基づいて、前記アモルファスワイヤ周辺の外部磁界に対応する出力信号を出力するように構成され、
前記信号処理装置が、経過した磁場変化の履歴により、前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧に含まれる磁場が印加された場合に生ずる履歴成分を相殺する履歴成分相殺手段を備えていることを特徴とする磁気検出器。 - 前記請求項1において、
前記磁気インピーダンス素子が、前記アモルファスワイヤの二つの電極間に前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時の交流減衰振動電圧が出力されるように構成されていることを特徴とする磁気検出器。 - 前記請求項1において、
前記磁気インピーダンス素子が、前記アモルファスワイヤの周囲に巻回された検出コイルの二つの電極間に前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時の交流減衰振動電圧が出力されるように構成されていることを特徴とする磁気検出器。 - 前記請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、
前記履歴成分相殺手段が、前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される前記履歴成分が含まれる二つの交流減衰振動電圧の絶対値の和を求めることにより、前記アモルファスワイヤ周辺の外部磁界を演算する外部磁界演算手段によって構成されていることを特徴とする磁気検出器。 - 前記請求項1ないし請求項3のいずれかにおいて、
前記信号処理装置として、前記交流減衰振動電圧をサンプルホールドするサンプルホールド手段を備えており、該サンプルホールド手段が、前記磁気インピーダンス素子に接続されたスイッチ手段に一端を接地したコンデンサのみを接続し、前記磁気インピーダンス素子が出力する前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時の前記履歴成分が含まれる交流減衰振動電圧をそれぞれサンプルホールドする2個のサンプルホールド回路より成ることを特徴とする磁気検出器。 - 前記請求項5において、
前記履歴成分相殺手段が、前記2個のサンプルホールド回路より出力される前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時の前記履歴成分が含まれる交流減衰振動電圧の二つのサンプルホールドされた電圧の差を演算する手段より成ることを特徴とする磁気検出器。 - アモルファスワイヤにパルスが通電された場合に、前記アモルファスワイヤ周辺の外部磁界に対応する交流減衰振動電圧を出力する磁気インピーダンス素子により測定される磁気測定の測定精度改善方法であって、
磁気インピーダンス素子のアモルファスワイヤに過度な磁場が印加された後において、
前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧を信号処理し、
前記パルスの立ち上がり時と立ち下がり時に出力される二つの交流減衰振動電圧の絶対値の和または二つの交流減衰振動電圧を信号処理した電圧の差を求めることにより、
前記した過度な磁場が印加された場合に生ずる履歴成分を相殺することを特徴とする磁気インピーダンス素子による磁気測定の測定精度改善方法。
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