JP5811036B2 - 縮合硬化性ポリシロキサン組成物 - Google Patents
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Description
本発明の主たる目的は、貯蔵安定性の良好な縮合硬化性ポリシロキサン組成物を提供することにある。
(1)下記(i)のオルガノポリシロキサンと、下記(ii)の有機ケイ素化合物と、下記
(iii)の化合物と、を混合して得られる縮合硬化性ポリシロキサン組成物:
(i)モノマーユニットとしてジアリールシロキサンユニットおよびアルキルアリールシ
ロキサンユニットから選ばれる少なくとも一種を含むポリシロキサン主鎖を有するとともに、該主鎖の両末端のケイ素原子にそれぞれ結合した縮合性官能基を有するオルガノポリシロキサン;
(ii)ケイ素原子に結合したアリール基を1分子中に少なくとも1個有するとともに、ケイ素原子に結合した縮合性官能基を1分子中に少なくとも3個有し、該縮合性官能基のうちアリール基が結合したケイ素原子に結合していないものの個数が2個以下である有機ケイ素化合物;
(iii)ガリウム化合物。
(2)前記(i)のオルガノポリシロキサンが、前記ポリシロキサン主鎖にモノマーユニ
ットとしてジフェニルシロキサンユニットを含む、前記(1)に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(3)前記(i)のオルガノポリシロキサンが、前記ポリシロキサン主鎖にモノマーユニ
ットとしてメチルフェニルシロキサンユニットを含む、前記(1)に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(4)前記(i)のオルガノポリシロキサンが、前記ポリシロキサン主鎖にポリ(メチル
フェニルシロキサン)ユニットを含む、前記(3)に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(5)前記(i)のオルガノポリシロキサンが、前記ポリシロキサン主鎖にモノマーユニ
ットとしてジアルキルシロキサンユニットを含む、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(6)前記ジアルキルシロキサンユニットがジメチルシロキサンユニットを含む、前記(5)に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(7)前記(i)のオルガノポリシロキサンが、前記ポリシロキサン主鎖にポリ(ジメチ
ルシロキサン)ユニットを含む、前記(6)に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。(8)前記(ii)の有機ケイ素化合物がオルガノポリシロキサンまたはオルガノシランである、前記(1)〜(7)のいずれかに記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(9)前記(ii)の有機ケイ素化合物が有する前記縮合性官能基は全て、アリール基が結合したケイ素原子に結合したものである、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(10)前記(ii)の有機ケイ素化合物の前記アリール基がフェニル基を含む、前記(1)〜(9)のいずれかに記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(11)前記(ii)の有機ケイ素化合物がフェニルトリメトキシシランを含む、前記(10)に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(12)前記(ii)の有機ケイ素化合物がフェニルメトキシシロキサンユニットを含むポリシロキサン化合物を含む、前記(10)に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(13)ケイ素原子に結合した炭化水素基としてフェニル基またはメチル基以外の炭化水素基を含んでおらず、モル比で表した(ケイ素原子に結合したメチル基の含有量)/(ケイ素原子に結合したフェニル基の含有量)が1.0〜10である、前記(1)〜(12)のいずれかに記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(14)ナトリウムD線を用いて測定した20℃における屈折率が1.48以上である、前記(1)〜(13)のいずれかに記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(15)前記(iii)のガリウム化合物が、ガリウムアセチルアセトナートおよび酢酸ガ
リウムから選ばれる少なくとも一種を含む、前記(1)〜(14)のいずれかに記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(16)前記(i)のオルガノポリシロキサンの前記縮合性官能基および前記(ii)の有
機ケイ素化合物の前記縮合性官能基が、それぞれ、ヒドロキシ基およびアルコキシ基から選ばれる一種である、前記(1)〜(15)のいずれかに記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(17)液温25℃における粘度が500mPa・s以上である、前記(1)〜(16)のいずれかに記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
(18)室温で6か月放置した後の粘度が初期粘度の110%以内である、前記(1)〜(17)のいずれかに記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
または全部を縮合反応物の形態で含有するものであり得る。
また、前記(1)〜(18)にそれぞれ記載された縮合硬化性ポリシロキサン組成物は、そのまま使用することもできるし、物性制御、各種の機能付与、改質などの目的で任意
の添加物を混ぜ合わせたうえで使用することもできる。かかる添加物の形態は粒子状、分子状などであり得る。ごく一例を挙げれば、前記(1)〜(18)にそれぞれ記載された縮合硬化性ポリシロキサン組成物にヒュームドシリカを添加することで粘度を高めたりチクソ性を付与したりすることができるし、また、ナノサイズの酸化チタン粒子を添加することで実効屈折率を高めることができる。
(原料A)モノマーユニットとしてジアリールシロキサンユニットおよびアルキルアリールシロキサンユニットから選ばれる少なくとも一種を含むポリシロキサン主鎖を有するとともに、該主鎖の両末端のケイ素原子にそれぞれ結合した縮合性官能基を有するオルガノポリシロキサン。
(原料B)ケイ素原子に結合したアリール基を1分子中に少なくとも1個有するとともに、ケイ素原子に結合した縮合性官能基を1分子中に少なくとも3個有し、該縮合性官能基のうちアリール基が結合したケイ素原子に結合していないものの個数が2個以下である有機ケイ素化合物。
(原料C)ガリウム化合物。
e2OH)であり、もうひとつはジフェニルシラノール基(−SiPh2OH)である。OPS−1は、両末端にジメチルシラノール基を有する種と、両末端にジフェニルシラノール基を有する種と、一方端にジメチルシラノール基を有し他方端にジフェニルシラノール基を有する種とを含んでいる。
増粘後の混合物は、未反応のままで存在するOPS−1やOSC−1を実質的に含まないものであり得る。
加熱処理により増粘させた混合物を再び常温に戻したものは、流動性を保った状態のまま長期間貯蔵することが可能である。この組成物は、再び加熱することによって硬化させることが可能である。
すなわち、OPS−1とOSC−1とGa(acac)3を混合すると、混合直後から、徐々にではあるが、Ga(acac)3の触媒作用によってOPS−1に含まれるジメチルシラノール基間の縮合反応が進行する。やがて、OPS−1に含まれるジメチルシラノール基が消費され尽くし、混合物中に含まれるOPS−1とその縮合物は、殆どが両末端にジフェニルシラノール基を有するものとなる。縮合反応はこの時点で停止する。
縮合反応が停止する理由は、嵩高いフェニル基による立体障害のせいで、ジフェニルシラノール基が関与する縮合反応はガリウム化合物の存在下であっても、常温では進行しないからである。同様の理由で、OSC−1に含まれるメトキシ基が関与する縮合反応も常温では進行しない。縮合反応が停止すれば、混合物の増粘は進まなくなる。
は常温では進行しないので、混合物を常温に戻すと増粘も停止する。そのため、増粘後の混合物を常温で長期間貯蔵することが可能となる。
例えば、OPS−1およびOSC−1と混合する触媒をGa(acac)3からZr(acac)3に置き換えた組成物は、加熱処理を施しても増粘せず、また、十分な熱硬化性を示さない。恐らく、ジルコニウム化合物の触媒活性がガリウム化合物に比べて低いために、OPS−1に含まれるジフェニルシラノール基やOSC−1に含まれるメトキシ基が関与する縮合反応が、加熱下であっても十分に生じないためであると考えられる。
[1−1]原料
本発明実施形態に係る縮合硬化性ポリシロキサン組成物は、前述の通り、原料A、原料Bおよび原料Cを混合することにより得られるものである。
[1−1−1]原料A
原料Aは、前述の通り、モノマーユニットとしてジアリールシロキサンユニットおよびアルキルアリールシロキサンユニットから選ばれる少なくとも一種を含むポリシロキサン主鎖を有するとともに、該主鎖の両末端のケイ素原子にそれぞれ結合した縮合性官能基を有するオルガノポリシロキサンである。ここで、縮合性官能基とは、他の縮合性官能基との間の縮合反応によりシロキサン結合を生じる官能基である。
原料Aとしては、前述のOPS−1に限定されず、様々なものを用いることができる。
アルキルアリールシロキサンユニットにおけるアルキル基としてはメチル基が好ましく例示されるが、限定されるものではない。
ウム化合物を好ましく用いることができる。
原料Aとして2種以上のオルガノポリシロキサンを組み合わせて使用することも可能である。その場合の組合せや混合比は目的に応じて適宜設定することができる。
原料Bは、前述の通り、ケイ素原子に結合したアリール基を1分子中に少なくとも1個有するとともに、ケイ素原子に結合した縮合性官能基を1分子中に少なくとも3個有し、該縮合性官能基のうちアリール基が結合したケイ素原子に結合していないものの個数が2個以下である有機ケイ素化合物である。
原料Bとしては、前述のOSC−1に限定されず、様々なものを用いることができる。
SiX3Y・・・(6)
上記式(6)において、Xは縮合性官能基を表わし、Yはアリール基を表す。
原料Bの原料Aに対する混合比は、好ましくは原料A100重量部に対して1重量部〜10重量部である。
原料Cは、前述の通り、ガリウム化合物である。このガリウム化合物は、原料Aおよび原料Bを重縮合させるための触媒である。
実施形態に係る縮合硬化性ポリシロキサン組成物は、原料Aおよび原料Bを必須の原料とするものであるが、更に下記原料Dを混合することによって、柔軟性に優れた硬化物を与えるものとすることができる。
(原料D)ケイ素原子に結合した縮合性官能基を1分子中に2個有する、原料Aおよび原料B以外のオルガノポリシロキサン化合物。
原料Dの例としては、ポリシロキサン鎖の末端のケイ素原子にそれぞれ縮合性官能基が結合したポリ(ジメチルシロキサン)が挙げられる。
本発明の実施形態に係る縮合硬化性ポリシロキサン組成物は、アリール基の含有量に対するアルキル基の含有量を小さくすることにより、屈折率を高くしたり、ガスバリア性を改善することができる。原料混合物中に含まれるケイ素原子に結合した炭化水素基が、フェニル基およびメチル基のみである場合には、モル比で表した(ケイ素原子に結合したメチル基の含有量)/(ケイ素原子に結合したフェニル基の含有量)を10以下とすることによって、これらの効果を得ることができる。
本発明実施形態に係る縮合硬化性ポリシロキサン組成物は、原料A、原料Bおよび原料Cを単に混合したものであってもよいが、通常は重縮合反応による増粘を経たうえで完成品とされる。
重縮合反応時間は、好ましくは1時間以上、5時間以下の範囲である。反応時間の調整は分子量管理に基づいて行うことが好ましい。
長すぎる反応時間、高過ぎる反応温度は、製造コストの観点から好ましくないことは勿論である。低温で長時間反応させようとすると、増粘が始まる前に触媒が加水分解により失活する場合もある。
重縮合反応の条件は、上記事項を踏まえて設定する必要がある。
増粘後の原料混合物から異物を取り除くため、また僅かな着色成分を取り除くため、さらには微量金属不純物や塩素化合物等のハロゲン化物を取り除くために、精製を行うことが特に好ましい。精製方法としては、蒸留(多段蒸留を含む)、薄膜蒸留、水洗/分液、
結晶化、吸着剤による不要成分吸着などの操作が用いられる。中でも特に吸着剤による吸着除去が好適に用いられる。吸着剤としては、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂、合成吸着剤、シリカゲル、アルミナ、活性炭、活性白土、各種粘土等が適している。中でも活性炭が最適である。
本発明実施形態に係る縮合硬化性ポリシロキサン組成物を硬化させてポリシロキサン硬化物を得るには、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上の温度で保持すればよい。
硬化温度までの昇温を段階的に行うことにより、組成物中の残留溶媒や溶存水蒸気による発泡を防ぐことができる他、深部と表面の硬化速度差を小さくすることができる。つまり、表面が平滑でシワが無く、深部まで均一に硬化した、外観の良好な硬化物を得ることが出来る。また、低温で硬化させた後、高温で追硬化する方法を用いると、得られるポリシロキサン硬化物中に内部応力が発生し難くなり、クラックや剥離を防止することができる。
本発明実施形態に係る縮合硬化性ポリシロキサン組成物は、様々な無機半導体デバイスおよび有機半導体デバイスのための封止材料として用いることができる。具体的なデバイスとして、発光ダイオード(LED)や半導体レーザー等の半導体発光デバイス、光検出器、電気光学的ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)、電子発光ディスプレイ、有機太陽電池(OPV)装置、照明装置などが挙げられる。更には、レンズ、導光板、光拡散板のような光学素子の材料や、光学素子用の接着剤に用いることもできる。
リードフレーム5は導電性の金属からなり、半導体発光素子1に電流を供給する役割を果たす。
封止材4には、本発明実施形態に係る縮合硬化性ポリシロキサン組成物が用いられている。すなわち、封止材4は、この縮合硬化性ポリシロキサン組成物の硬化物である。
のような青色蛍光体、Y3(Al,Ga)5O12:Ce、(Sr,Ba)2SiO4:Eu、β型サイアロン:Euのような緑色蛍光体、Y3Al5O12:Ce、(Y,Gd)3Al5O12:Ce、(Sr,Ca,Ba,Mg)2SiO4:Euのような黄色蛍光体、(Ca,Sr,Ba)2Si5(N,O)8:Eu、(Ca,Sr,Ba)AlSi(N,O)3:Eu、(La,Y)2O2S:Eu、K2SiF6:Mnのような赤色蛍光体である。
この理由から、ナトリウムD線(波長589nm)を用いて測定される20℃における封止材4の屈折率は、好ましくは1.48以上、更に好ましくは1.50以上である。
が好ましい。より好ましくは20以上、80以下であり、さらに好ましくは30以上、70以下である。硬度がこの範囲を下回ると半導体発光素子1を保護する目的が達成できない。反対に、硬度がこの範囲を上回ると、熱応力を緩和する機能が低下するために、ボンディングワイヤ3の切断、樹脂成形体2と封止材4の間の剥離などが発生しやすくなる。
以下には、本発明者等が行った縮合硬化性ポリシロキサン組成物の試作および評価の結果を記す。
1.原材料
以下に記す実験例および比較実験例で使用した縮合硬化性ポリシロキサン組成物の原料を表1に示す。以下の説明において各原料に言及する場合には、表1に示す略称を用いる。
XC96−723は前記式(5)で表わされる構造(nは平均的に6〜7)を有するオルガノポリシロキサンを主要成分として含有している。
FLD516は前記式(3)で表される構造(m、nは平均的に6〜7)を有するオルガノポリシロキサンを主要成分として含有している。
DC3037は前記式(2)で表される構造(mは4)を有するオルガノポリシロキサンを主要成分として含有している。
KR213は下記式(7)で表されるシロキシユニット、下記式(8)で表わされるシロキシユニット、下記式(9)で表わされるシロキシユニットを、6/13/13のモル比で含有するオルガノポリシロキサン組成物(オルガノポリシロキサンオリゴマーの混合物)である。
2.1 メチル/フェニルモル比
縮合硬化性ポリシロキサン組成物における、モル比で表した(ケイ素原子に結合したメチル基の含有量)/(ケイ素原子に結合したフェニル基の含有量)は、日本電子株式会社製NMR AL−400を用いて室温における各材料の重クロロホルム中での1H−NM
Rを測定し、その積分比から算出した。
厚さ1mmの円板状に形成した縮合硬化性ポリシロキサン組成物の硬化物を8枚重ねた8mm厚の測定サンプルを作成し、株式会社古里精機製作所製ゴム硬度計KR−24Aを
用いて1kgf荷重にて測定した。
2.3 屈折率
縮合硬化性ポリシロキサン組成物およびその硬化物について、株式会社アタゴ製Refractometer RX−7000αを用いて20℃にてナトリウムD線の波長での屈折率を測定した。
2.4 粘度
縮合硬化性ポリシロキサン組成物の粘度は、ブルックフィールド社製RV型粘度計RVDV−2 +Proを用いて測定した。
3.1 実験例1
原料AとしてYF3804を300g、原料BとしてDC3037を16.5g、原料CとしてGa(acac)3を0.3g、それぞれ秤取し、これらを攪拌翼とコンデンサとを取り付けた三つ口コルベン中で室温にて15分間、触媒が充分に溶解するまで攪拌することにより混合した。この後、混合物を100℃まで昇温し、1.3kPaの減圧下にて1時間、続いてさらに130℃まで昇温して1.3kPaの減圧下にて3時間45分間、生成メタノール及び水分と副生物の低沸ケイ素成分とを留去しつつ加熱攪拌して重縮合反応を進め、無溶剤の縮合硬化性ポリシロキサン組成物を得た。この組成物の屈折率は1.48、メチル/フェニルモル比は4.68、粘度は502mPa・sであった。
下記の点を除いて実験例1と同様にして縮合硬化性ポリシロキサン組成物を得た。
・YF3804の代わりにFLD516を用いた。
・DC3037の代わりにKR213を用いた。
・100℃、1時間の重縮合反応の条件を、1.3kPa減圧下から窒素ガス雰囲気中常圧下に変更した。
・130℃、1.3KPa減圧下での重縮合反応時間を3時間45分間から40分間に短縮した。
得られた縮合硬化性ポリシロキサン組成物の屈折率は1.55、メチル/フェニルモル比は0.97、粘度は930mPa・sであった。
下記の点を除いて実験例2と同様にして縮合硬化性ポリシロキサン組成物を得た。
・KR213の代わりにPTMSを用いた。
・130℃、1.3KPaの減圧下での重縮合反応時間を50分間に伸長した。
得られた縮合硬化性ポリシロキサン組成物の屈折率は1.55、メチル/フェニルモル比は0.97、粘度は1043mPa・sであった。
本実験例3で得た縮合硬化性ポリシロキサン組成物を常温で保存したときの粘度の変化
を調べた結果を表2に示す。なお、初期値を100%としたときの相対値で表している。
下記の点を除いて実験例3と同様にして縮合硬化性ポリシロキサン組成物を得た。
・1.3KPa減圧下での重縮合反応の条件を、130℃、50分間から120℃、65分間に変更した。
得られた縮合硬化性ポリシロキサン組成物の屈折率は1.55、メチル/フェニルモル比は0.97、粘度は1050mPa・sであった。
下記の点を除いて実験例4と同様にして縮合硬化性ポリシロキサン組成物を得た。
・FLD516の代わりにYF3804を用いた。
・Ga(acac)3の代わりにSn(C8H15O2)2を用いた。
・窒素ガス雰囲気中常圧下での重縮合反応の条件を100℃、1時間から25℃、30分間に変更した。
・130℃、1.3KPa減圧下、50分間という重縮合反応条件を、25℃、1.0KPa減圧下、30分間に変更した。
得られた縮合硬化性ポリシロキサン組成物の屈折率は1.48、メチル/フェニルモル比は4.38であった。
この縮合硬化性ポリシロキサン組成物の硬化物の作製および硬度測定を実験例1と同様の方法で行った。その結果、Shore A硬度は25であった。
下記の点を除いて比較実験例1と同様にして縮合硬化性ポリシロキサン組成物を得た。・PTMSの代わりにDC3037を用いた。
・重縮合反応の条件を条圧下15分間とした。
・25℃での重縮合反応の条件を、1.0KPa減圧下、30分間から常圧下15分間に変更した。
得られた縮合硬化性ポリシロキサン組成物の屈折率は1.48、メチル/フェニルモル比は5.08であった。
原料AとしてYF3804とXC96−723の1:1(重量比)混合物を300g、原料BとしてPTMSを30g、原料CとしてZr(acac)4を0.64g、それぞれ秤取して混合し、常圧下窒素ガス雰囲気中にて120℃、2時間反応させ、続いて窒素ガスをSV20で吹き込み生成メタノール及び水分と副生物の低沸ケイ素成分を留去しつつ120℃でさらに6時間攪拌し、重縮合反応を進めた。ここで、「SV」とは「Space Velocity」の略称であり、単位時間当たりの吹き込み体積量を意味する。SV20とは、1時間に反応液の20倍の体積の窒素ガスを吹き込むことをいう。
a.原料Aの合成
FLD516を210g、XC96−723を90g、Ga(OAc)3を0.10g、それぞれ秤取し、これらを攪拌翼とコンデンサとを取り付けた三つ口コルベン中で120℃にて5分間攪拌して混合した。その後、1.3kPaの減圧下にて、生成した水分と副生物の低沸ケイ素成分を留去しつつ、混合物を120℃で1時間加熱攪拌して重縮合反応を進め、無溶剤のポリシロキサン組成物を得た。得られた組成物中には触媒に用いたGa(OAc)3が残存している。
このポリシロキサン組成物は、前記式(4)で表される構造を有するオルガノポリシロキサンを含んでいる。
原料Aとして上記a.で得たポリシロキサン組成物、原料BとしてMTMS、原料Cとして原料A中に残存するGa(OAc)3を用いて、縮合硬化性ポリシロキサン組成物を合成した。
続いて、この縮合硬化性ポリシロキサン組成物の硬化物の作製および評価を実験例1と同様の方法で行った。その結果、Shore A硬度は50、屈折率は1.50であった。
下記の点を除いて比較実験例4と同様にして縮合硬化性ポリシロキサン組成物を得た。・Ga(OAc)3の代わりにGa(acac)3を用いたこと。
続いて、この縮合硬化性ポリシロキサン組成物の硬化物の作製および評価を実験例1と同様の方法で行った。その結果、Shore A硬度は37、屈折率は1.50であった。
a.原料Aの合成
下記の点を除いて比較実験例4と同様にして原料A用のポリシロキサン組成物を得た。・原料Aの合成において、XC96−723の代わりにYF3804を用いた(240gのFLD516と60gのYF3804を混合)。
・原料Aの合成において、120℃、1.3KPa減圧下での重縮合反応の時間を1時間から30分間に短縮した。
原料Aを変更したことと、原料Aと原料Bの混合比を変更したことを除いて比較実験例5と同様にして縮合硬化性ポリシロキサン組成物を得ることを試みた。
このように、比較実験例6では常温貯蔵可能な硬化性ポリシロキサン組成物を得ることができなかった。比較実験例4および5の縮合硬化性ポリシロキサン組成物も、貯蔵中の粘度増加が速く、貯蔵安定性が良好ではなかった。
日本カーバイド工業株式会社製のセラミックス製反射材を有するLEDパッケージ(NCI7070(銀電極))に、発光波長450nmの青色LEDチップを実装し、実験例4で得られた縮合硬化性ポリシロキサン組成物を用いて封止した。該ポリシロキサン組成物の硬化は、微風下、110℃にて3時間、続いて150℃にて3時間保持することによって行った。こうして得たLEDサンプルに対して、下記の耐久性試験を行った。
上述の実験例1〜4および比較実験例1〜6におけるサンプル作製条件および評価結果をまとめたものを表3〜表5に示す。
2 樹脂成形体
3 ボンディングワイヤ
4 封止材
5 リードフレーム
Claims (18)
- 下記(i)のオルガノポリシロキサンと、下記(ii)の有機ケイ素化合物と、下記(iii)の化合物と、を混合して得られる縮合硬化性ポリシロキサン組成物:
(i)モノマーユニットとしてジアリールシロキサンユニットおよびアルキルアリールシ
ロキサンユニットから選ばれる少なくとも一種を含むポリシロキサン主鎖を有するとともに、該主鎖の両末端のケイ素原子にそれぞれ結合した縮合性官能基を有するオルガノポリシロキサン;
(ii)ケイ素原子に結合したアリール基を1分子中に少なくとも1個有するとともに、ケイ素原子に結合した縮合性官能基を1分子中に少なくとも3個有し、該縮合性官能基のうちアリール基が結合したケイ素原子に結合していないものの個数が2個以下である有機ケイ素化合物;
(iii)ガリウム化合物。 - 前記(i)のオルガノポリシロキサンが、前記ポリシロキサン主鎖にモノマーユニット
としてジフェニルシロキサンユニットを含む、請求項1に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。 - 前記(i)のオルガノポリシロキサンが、前記ポリシロキサン主鎖にモノマーユニット
としてメチルフェニルシロキサンユニットを含む、請求項1に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。 - 前記(i)のオルガノポリシロキサンが、前記ポリシロキサン主鎖にポリ(メチルフェ
ニルシロキサン)ユニットを含む、請求項3に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。 - 前記(i)のオルガノポリシロキサンが、前記ポリシロキサン主鎖にモノマーユニット
としてジアルキルシロキサンユニットを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。 - 前記ジアルキルシロキサンユニットがジメチルシロキサンユニットを含む、請求項5に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
- 前記(i)のオルガノポリシロキサンが、前記ポリシロキサン主鎖にポリ(ジメチルシ
ロキサン)ユニットを含む、請求項6に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。 - 前記(ii)の有機ケイ素化合物がオルガノポリシロキサンまたはオルガノシランである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
- 前記(ii)の有機ケイ素化合物が有する前記縮合性官能基は全て、アリール基が結合したケイ素原子に結合したものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
- 前記(ii)の有機ケイ素化合物の前記アリール基がフェニル基を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
- 前記(ii)の有機ケイ素化合物がフェニルトリメトキシシランを含む、請求項10に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
- 前記(ii)の有機ケイ素化合物がフェニルメトキシシロキサンユニットを含むポリシロキサン化合物を含む、請求項10に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
- ケイ素原子に結合した炭化水素基としてフェニル基またはメチル基以外の炭化水素基を含んでおらず、モル比で表した(ケイ素原子に結合したメチル基の含有量)/(ケイ素原子に結合したフェニル基の含有量)が1.0〜10である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
- ナトリウムD線を用いて測定した20℃における屈折率が1.48以上である、請求項1〜13のいずれか1項に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
- 前記(iii)のガリウム化合物が、ガリウムアセチルアセトナートおよび酢酸ガリウム
から選ばれる少なくとも一種を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。 - 前記(i)のオルガノポリシロキサンの前記縮合性官能基および前記(ii)の有機ケイ
素化合物の前記縮合性官能基が、それぞれ、ヒドロキシ基およびアルコキシ基から選ばれる一種である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。 - 液温25℃における粘度が500mPa・s以上である、請求項1〜16のいずれか1項に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
- 室温で6か月放置した後の粘度が初期粘度の110%以内である、請求項1〜17のいずれか1項に記載の縮合硬化性ポリシロキサン組成物。
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