JP5958182B2 - 液状ポリシロキサン組成物、ポリシロキサン硬化物製造用キット及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Description
(i)硬化触媒を含有しない液状ポリシロキサン組成物を準備するステップ。
(ii)ステップ(i)で準備される液状ポリシロキサン組成物の硬化に利用し得る硬化触媒を含有する液状組成物を準備するステップ。
(iii)ステップ(i)で準備した液状ポリシロキサン組成物と、ステップ(ii)で準備した液状組成物とを混合し、次いで加熱することにより、ポリシロキサン硬化物を得るステップ。
このような3つのステップを含むポリシロキサン硬化物の製造方法は極めて一般的なものであり、発光ダイオード(LED)のような光半導体素子の封止材にも、この方法で製造されるポリシロキサン硬化物が用いられている(特許文献1)。
[a1]水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を有する重縮合可能なシラン化合物および/またはシロキサン化合物と、縮合触媒として作用する有機−金属化合物と、を含有する混合物を準備する第1ステップと;該混合物を増粘する第2ステップと;該第2ステップで増粘した混合物を水と共に加熱して、上記有機−金属化合物の縮合触媒活性の少なくとも一部を失わせる第3ステップと;を含むことを特徴とする、液状ポリシロキサン組成物の製造方法。
[a2]上記第3ステップでは、上記第1〜第3ステップを実行して得たポリシロキサン混合物を150℃で3時間加熱したときの粘度上昇率が15%以下となるように上記有機−金属化合物の縮合触媒活性を失わせる、上記[a1]に記載の製造方法。
[a3]上記第3ステップでは上記第2ステップで増粘した混合物を、当該混合物に対する重量比10%以上の水とともに撹拌しながら、約100℃で加熱する、上記[a1]または[a2]に記載の製造方法。
[a4]上記第1ステップで準備する混合物が、上記有機−金属化合物としてガリウム化合物を含有する、上記[a1]〜[a3]のいずれかに記載の製造方法。
[a5]上記第1ステップで準備する混合物が、上記有機−金属化合物として、ガリウムアセチルアセトネートおよび酢酸ガリウムから選ばれる一種以上のガリウム化合物を含む、上記[a4]に記載の製造方法。
[a6]上記第1ステップで準備する混合物が、下記式(1)で表されるシラン化合物を含有する、上記[a1]〜[a5]のいずれかに記載の製造方法。
SiXnMe4−n・・・(1)
(上記式(1)中、Xは水酸基または加水分解性基を表し、nは2、3または4であり、Meはメチル基を表す。)
[a7]上記第1ステップで準備する混合物が、上記式(1)で表されるシラン化合物としてテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシランおよびジメチルジメトキシシランから選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を含有する、上記[a6]に記載の製造方法。
[a8]上記第1ステップで準備する混合物が、下記式(2)で表されるシロキサン化合物を含有する、上記[a1]〜[a7]のいずれかに記載の製造方法。
(上記式(2)中、Rのそれぞれは1価炭化水素基(互いに異なっていてもよい)、Uのそれぞれは酸素原子または炭素原子数1〜8の2価炭化水素基(互いに異なっていてもよい)、Yのそれぞれは水酸基または加水分解性基(互いに異なっていてもよい)であり、mは0〜2の整数、nは自然数である。)
[a9]上記第1ステップで準備する混合物が、上記式(2)で表されるシロキサン化合物として、Ph2SiO2/2ユニット(Phはフェニル基を表す)およびMePhSiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)から選ばれる少なくとも一種のDユニットを有するシロキサン化合物を含有する、上記[a8]に記載の製造方法。
[a10]上記第1ステップで準備する混合物が、上記式(2)で表されるシロキサン化合物として、Ph2SiO2/2ユニット(Phはフェニル基を表す)およびMePhSiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)から選ばれる少なくとも一種のDユニットと、Me2SiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)とを有するシロキサン化合物を含有する、上記[a9]に記載の製造方法。
[a11]上記第1ステップで準備する混合物が、Ph2SiO2/2ユニット(Phはフェニル基を表す)およびMePhSiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)から選ばれる少なくとも一種のDユニットを有するとともに、水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を有する重縮合可能なポリシロキサンを含有する、上記[a1]〜[a7]のいずれかに記載の製造方法。
[a12]上記第3ステップの後に、更に、上記第1〜第3ステップを実行して得たポリシロキサン混合物に活性炭処理を行うステップを有する、上記[a1]〜[a11]のいずれかに記載の製造方法。
[a13]上記第2ステップを省略し、上記第1ステップで準備した混合物を上記第3ステップの過程で増粘させる、上記[a1]に記載の製造方法。
[b1]ポリシロキサンを含有するA液と、硬化触媒を含有し硬化物製造時に該A液と混合されるB液と、を含むポリシロキサン硬化物製造用キットの、製造方法であって、
上記[a1]〜[a13]のいずれかに記載の液状ポリシロキサン組成物の製造方法を用いて該A液を製造することを特徴とする、ポリシロキサン硬化物製造用キットの製造方法。
[b2]上記B液が主たる溶媒成分としてHO−(MePhSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、nは5以上の整数を表す)を含有する上記[b1]に記載の製造方法。
[b3]ナトリウムD線を用いて測定した20℃における上記A液の屈折率が1.50以上であり、上記B液の25℃における粘度が6000mPa・s未満である、上記[b2]に記載の製造方法。
[b4]ナトリウムD線を用いて測定した20℃における上記A液の屈折率が1.50以上であり、上記HO−(MePhSi−O)n−Hはポリスチレン換算の重量平均分子量が2500以下である、上記[b2]に記載の製造方法。
[b5]上記B液が上記硬化触媒としてガリウム化合物を含有する上記[b1]〜[b4]のいずれかに記載の製造方法。
[c1]縮合触媒としてガリウム化合物を含有するとともに、主たる溶媒成分としてHO−(MePhSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、nは5以上の整数を表す)を含有する、液状ポリシロキサン組成物。
[c2]縮合触媒として、ガリウムアセチルアセトネートおよび酢酸ガリウムから選ばれる一種以上のガリウム化合物を含む、上記[c1]に記載の液状ポリシロキサン組成物。[c3]縮合触媒としてガリウム化合物を含有するとともに、主たる溶媒成分として水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を有する重縮合可能なシロキサン化合物を含有し、室温で30日保存したときの粘度上昇率が10%以下である、液状ポリシロキサン組成物。
[c4]上記主たる溶媒成分がHO−(MePhSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、nは5以上の整数を表す)である、上記[c3]に記載の液状ポリシロキサン組成物。
[c5]上記縮合触媒としてガリウムアセチルアセトネートを含有する、上記[c3]または[c4]に記載の液状ポリシロキサン組成物。
[d1]縮合触媒およびHO−(MePhSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、nは5〜7の整数を表す)を含有する混合物を増粘するステップを有する、液状ポリシロキサン組成物の製造方法。
[d2]縮合触媒およびポリスチレン換算の重量平均分子量が約900のHO−(MeP
hSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、nは5以上の整数を表す)を含有する混合物を増粘するステップを有する、液状ポリシロキサン組成物の製造方法。
[d3]縮合触媒およびHO−(MePhSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、nは5以上の整数を表す)を含有する混合物を、25℃における粘度が6000mPa・s以上とならない範囲で増粘するステップを有する、液状ポリシロキサン組成物の製造方法。
[d4]上記縮合触媒がガリウム化合物を含む、上記[d1]〜[d3]のいずれかに記載の製造方法。
[d5]上記縮合触媒が、ガリウムアセチルアセトネートおよび酢酸ガリウムから選ばれる一種以上のガリウム化合物を含む、上記[d4]に記載の製造方法。
[e1]水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも2個有するポリシロキサンを含有するA液と、硬化触媒を含有し硬化物製造時に該A液と混合されるB液と、を含むポリシロキサン硬化物製造用キットであって、
該ポリシロキサンが炭化水素基としてフェニル基およびメチル基を有しており、
ナトリウムD線を用いて測定した20℃における該A液の屈折率が1.50以上であり、かつ、
該B液が、縮合触媒を含有するとともに、主たる溶媒成分としてHO−(MePhSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、nは5以上の整数を表す)を含有することを特徴とする、ポリシロキサン硬化物製造用キット。
[e2]上記B液が上記縮合触媒としてガリウム化合物を含有する、上記[e1]に記載のポリシロキサン硬化物製造用キット。
[e3]上記B液が上記縮合触媒として、ガリウムアセチルアセトネートおよび酢酸ガリウムから選ばれる一種以上のガリウム化合物を含む、上記[e1]または[e2]に記載のポリシロキサン硬化物製造用キット。
[e4]上記B液の25℃における粘度が6000mPa・s未満である、上記[e1]〜[e3]のいずれかに記載のポリシロキサン硬化物製造用キット。
[e5]上記HO−(MePhSi−O)n−Hはポリスチレン換算の重量平均分子量が2500以下である、上記[e1]〜[e3]のいずれかに記載のポリシロキサン硬化物製造用キット。
[e6]上記A液が上記ポリシロキサンとして、Ph2SiO2/2ユニット(Phはフェニル基を表す)およびMePhSiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)から選ばれる少なくとも一種のDユニットを有するポリシロキサンを含有する、上記[e1]〜[e5]のいずれかに記載のポリシロキサン硬化物製造用キット。
[e7]上記A液が上記ポリシロキサンとして、Ph2SiO2/2ユニット(Phはフェニル基を表す)およびMePhSiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)から選ばれる少なくとも一種のDユニットおよびMe2SiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)を有するポリシロキサンを含有する、上記[e6]に記載のポリシロキサン硬化物製造用キット。
ット及びこれらの製造方法が提供される。
また、以下の説明において、ポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)に言及する場合、特に断らない限り、その重量平均分子量はポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する。
また、以下の説明において、ポリシロキサン組成物等の粘度に言及する場合、特に断らない限り、25℃における粘度を意味する。
本発明の第1実施形態は、液状ポリシロキサン組成物の製造方法であって:
水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を有する重縮合可能なシラン化合物および/またはシロキサン化合物と、縮合触媒として作用する有機−金属化合物と、を含有する混合物を準備する第1ステップと;
該混合物を増粘する第2ステップと;
該第2ステップで増粘した該混合物を水と共に加熱して、上記有機−金属化合物の縮合触媒活性の少なくとも一部、好ましくは実質的に全てを失わせる第3ステップと;
を含むことを特徴とするものである。
該第1実施形態に係る液状ポリシロキサン組成物の製造方法は、上記ステップ(i)〜(iii)からなるポリシロキサン硬化物の製造方法におけるステップ(i)で準備すべき、硬化触媒を含有しない液状ポリシロキサン組成物を製造する目的のために好ましく使用することができる。
従来の、活性炭のような粉体状の吸着物質を用いて有機−金属化合物を除去する方法では、吸着物質の添加によりポリシロキサン組成物の粘度が上昇するために、吸着物質を濾過して取り除くステップに長時間を要するという問題がある。また、ポリシロキサンも吸着物質に吸着するために収率が著しく低くなるという問題、具体的には、回収し得るポリシロキサン組成物の重量が濾過前の50〜75%になるという問題がある。
更に、吸着物質を用いた方法では、小スケール実験で良好な結果が得られた条件を適用しても、スケールアップしたときには必ずしも良好な結果が再現されないことを本発明者等は確認している。その理由は、処理すべきポリシロキサン組成物の量が多くなる程、その中に吸着物質を均一に分散させることが困難になるからであると推定される。
また、上記エマルジョン様となった混合物は粘度が低いので、処理すべきポリシロキサ
ン組成物の量が多くなっても十分な撹拌が可能である。そのため、ポリシロキサン組成物の量の多少によらず、該混合物中における有機−金属化合物と水との反応を一様に発生させることができるものと考えられる。
1.1 第1ステップ
第1ステップでは、水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を有する重縮合可能なシラン化合物および/またはシロキサン化合物と、縮合触媒として作用する有機−金属化合物と、を含有する混合物を準備する。
以下の説明では、便宜のために、この混合物を「混合物(A)」と呼ぶことにする。
水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を有する重縮合可能なシラン化合物とは、例えば、下記式(3)で表されるシラン化合物である。
SiXnR4−n・・・(3)
上記式(3)において、Xは水酸基または加水分解性基を表わし、Rは1価炭化水素基を表す。nは2、3または4である。Xは互いに異なっていてもよい。nが2のときには、2つのRは互いに異なっていてもよい。
シ基等のアミノキシ基;N−メチルアセトアミド基、N−エチルアセトアミド基、N−メチルベンズアミド基等のアミド基;等が挙げられる。これらの中でも、アルコキシ基が好ましい。
もよい。
第1実施形態に係る発明の効果が最も顕著に得られるのは、上記式(3)で表されるシラン化合物の中でも、特に下記式(1)で表されるものを用いた場合である。
SiXnMe4−n・・・(1)
上記式(1)において、Xは水酸基または加水分解性基を表し、nは2、3または4であり、Meはメチル基を表している。この式で表されるシラン化合物の典型例は、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランである。
上記式(1)で表されるシラン化合物と縮合触媒を含む混合物(A)を増粘して得られる液状組成物は、該シラン化合物に由来する反応性の高いシラノール基を有するポリシロキサンを含むものとなるので、保存安定性が低くなりがちである。しかし、この第1実施形態では、第3ステップで行う処理によって縮合触媒を確実に失活させることができるので、保存安定性の低下を防ぐことができる。
水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を有する重縮合可能なシロキサン化合物とは、例えば、かかるケイ素原子を1分子中に少なくとも2個有するシロキサン化合物である。その一例として、下記式(2)で表されるポリシロキサンが挙げられる。
一例では、第1ステップを、複数のサブステップから構成することもできる。例えば、上記式(4)で表されるシロキサン化合物と、上記式(5)で表されるシロキサン化合物と、縮合触媒とを含む混合物を準備するサブステップ−1、該混合物を加熱して増粘するサブステップ−2と、該サブステップ−2で増粘させた混合物に上記式(3)で表されるシラン化合物を混合するサブステップ−3という、3つのサブステップで第1ステップを構成することができる。この場合、第1ステップ全体では、上記式(4)で表されるシロキサン化合物と上記式(5)で表されるシロキサン化合物とが重縮合して生じるシロキサン化合物(上記式(8)で表されるシロキサン化合物を含む)と、縮合触媒(サブステップ−2で失活せず生き残ったもの)と、上記式(3)で表されるシラン化合物とを含む、混合物(A)が準備されることになる。
縮合触媒として作用する有機−金属化合物とは、シラノール基(Si−OH)間の脱水縮合反応およびシラノール基と加水分解性基の間の縮合反応を触媒する金属化合物であって、有機成分を含有するものである。加水分解性基がアルコキシ基(Si−OR)の場合には、シラノール基との間の縮合反応はR−OHの発生を伴う脱アルコール反応となる。
かかる作用を有する有機−金属化合物はよく知られており、例えば、Sn(スズ)、Zn(亜鉛)、Fe(鉄)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)、Bi(ビスマス)、Hf(ハフニウム)、Y(イットリウム)、Al(アルミニウム)、B(ホウ素)、Ga(ガリウム)などの金属を含む、キレート錯体、有機酸塩、有機金属が挙げられる。
ジルコニウムを含有する有機−金属化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシジアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラノルマルプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラノルマルブトキシド、ジルコニウムアシレート、ジルコニウムトリブトキシステアレート、ジルコニウムオクトエート、ジルコニル(2−エチルヘキサノエート)、ジルコニウム(2−エチルヘキソエート)などが挙げられる。
チタンを含有する有機−金属化合物としては、チタニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトラノルマルブトキシド、ブチルチタネートダイマー、テトラオクチルチタネート、チタンアセチルアセトネート、チタンオクチレングリコレート、チタンエチルアセトアセテートなどが挙げられる。
亜鉛を含有する有機−金属化合物としては、亜鉛トリアセチルアセトネート、ステアリン酸亜鉛、オクチル酸亜鉛、ビス(アセチルアセトナト)亜鉛(II)(一水和物)、などが挙げられる。
アルミニウムを含有する有機−金属化合物としては、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウムなどが挙げられる。
また、本発明者等が見出しているところによれば、トリス(アセチルアセトナート)インジウム(III)のような、インジウムを含有する有機−金属化合物も、縮合触媒として使用することが可能である。
混合物(A)に含有させる有機−金属化合物の種類は1種類であってもよく、また、2種以上であってもよい。
第2ステップでは、第1ステップで準備した混合物(A)を増粘する。特に、混合物(A)が低分子量のシラン化合物またはシロキサン化合物を含有する場合には、該第2ステップを実行してかかる低分子量成分を重縮合させることで、硬化反応時の重量減と収縮の少ない液状ポリシロキサン組成物を得ることができる。
するがシラノール基を有さない場合には、加水分解性基を加水分解させるための水を添加する必要がある。この場合、添加した水とシラン化合物またはシロキサン化合物とを相溶化させるための溶媒を添加することは、加水分解反応の速度を高めるうえで有用である。
第3ステップでは、第2ステップで増粘した混合物(A)を水とともに加熱して、該混合物(A)中の有機−金属化合物の縮合触媒活性の少なくとも一部を、好ましくは実質的に全部を、失わせる。この処理を行うことにより、混合物(A)は常温でも流動性を保った状態のまま長期間保存することが可能となる。
具体的には、撹拌機および還流装置を備えた容器を使用して、混合物(A)と水とがエマルジョン様を呈するように撹拌を行いながら、加熱を行う。加熱温度は、有機−金属化合物の縮合触媒活性の少なくとも一部を失わせることができる温度であればよく、好ましくは80℃以上、より好ましくは約100℃である。約100℃という温度は、常圧における水の沸点である。 水の量は、混合物(A)の重量の10%以上とすることが好ましく、100%以上としてもよい。150%を超える量の水を添加してもよいが、通常、その必要はない。
処理時間は、例えば、5〜10時間である。処理時間は、処理後の混合物(A)の保存安定性の評価結果に基づいて調整することができる。一例では、処理後の混合物(A)を1gサンプリングして容量10mlのスクリュー管に入れ、150℃で3時間加熱したときの粘度上昇率を指標として、保存安定性を評価することができる。この粘度上昇率は15%以下となるようにすることが好ましい。
水を分別した後の混合物(A)から、着色成分や微量の金属不純物等を、吸着剤を用いて取り除く処理を行ってもよい。触媒活性を失うことなく残留した有機−金属化合物を、吸着剤を用いて取り除くこともできる。
吸着剤としては、カチオン交換樹脂、アニオン交換樹脂、合成吸着剤、シリカゲル、アルミナ、活性炭、活性白土、各種粘土等が適している。微量の不純物を取り除く目的で必要となる吸着剤の量は、縮合触媒として加えた有機−金属化合物の全量を吸着剤で除去しようとした場合に必要となる吸着剤量に比べて、ずっと少ない。
ポリシロキサン硬化物製造用キットとして、ポリシロキサンを含有するA液と、硬化触媒を含有し硬化物製造時に該A液と混合されるB液と、を含むものが知られている(例えば、2液硬化型シリコーン樹脂)。この第1実施形態に係る液状ポリシロキサン組成物の製造方法は、かかるポリシロキサン硬化物製造用キットのA液の製造方法として好適に用いることができる。
すなわち、第1〜第3ステップを経て得られるポリシロキサン組成物は、シラノール基を有するポリシロキサンを含むものとなるので、これをA液とし、縮合硬化触媒を含有するB液と組み合わせたキットは、縮合型の2液硬化型ポリシロキサン樹脂となる。
本発明の第2実施形態は、水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を1分子中に少なくとも2個有するポリシロキサンを含有するA液と、硬化触媒を含有し硬化物製造時に該A液と混合されるB液と、を含むポリシロキサン硬化物製造用キットに関し:
該ポリシロキサンが炭化水素基としてフェニル基およびメチル基を有しており、ナトリウムD線を用いて測定した20℃における該A液の屈折率が1.50以上であり、かつ;
該B液が、縮合触媒を含有するとともに、主たる溶媒成分としてHO−(MePhSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、nは5以上の整数を表す)を含有する;
ことを特徴とするものである。
第2実施形態に係るポリシロキサン硬化物製造用キットを用いることにより、光半導体
の封止材に要求される特性である光取出し性とガスバリア性の両方に優れたポリシロキサン硬化物が得られる。この効果は、A液およびB液のそれぞれがフェニル基を十分に高い濃度で有するポリシロキサンを含有しており、硬化物の骨格がこれらのポリシロキサンの架橋により形成されることになるからである。
A液は、例えば、上記式(5)〜(10)で表されるポリシロキサンから選ばれる少なくとも1種を含む組成物である。
式(5)で表されるポリシロキサンは炭化水素基としてフェニル基とメチル基を1:1の比で含んでおり、その屈折率は1.55である。
式(6)で表されるポリシロキサンは炭化水素基としてフェニル基のみを有しており、より高い屈折率を有している。
式(7)で表されるポリシロキサンは、DユニットとしてMePhSiO2/2ユニット(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す。)およびMe2SiO2/2ユニットを有しており、前者のユニットの含有量が多くなる程、屈折率が高くなる。
式(9)で表されるポリシロキサンは、DユニットとしてPh2SiO2/2ユニットおよびMe2SiO2/2ユニットを有しており、前者のユニットの含有量が多くなる程、屈折率が高くなる。
式(10)で表されるポリシロキサンは、式(9)で表されるポリシロキサンと式(4)で表されるポリシロキサンとを重縮合させて得られるものであり、前者の含有量が多くなる程、屈折率が高くなる。
式(10)で表されるポリシロキサンを、式(9)で表されるポリシロキサンと式(4)で表されるポリシロキサンとを重縮合させて得ようとする場合も同様で、各ポリシロキサンの分子量が大き過ぎると相互の混和性が低下する。
式(5)あるいは式(9)で表されるポリシロキサンと、式(4)で表されるポリシロキサンとを混和させるには、それぞれのポリシロキサンの重量平均分子量が1000以下であることが好ましい。
この第2実施形態では、B液が主たる溶媒成分としてHO−(MePhSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す)で表されるポリシロキサンを含有するものであるところから、A液の主成分であるポリシロキサンが炭化水素基としてメチル基およびフェニル基を有し、ナトリウムD線を用いて測定した20℃における該A液の屈折率が1.50以上であることが望ましい。この屈折率の限定は、間接的に、A液が含有するポリシロキサンが有するメチル基とフェニル基のモル比を規定しているといえる。
B液は、縮合触媒を含有するとともに、主たる溶媒成分としてHO−(MePhSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表す)、すなわち、上記式(5)で表されるポリシロキサンを含有する。nは5以上であることが望ましい。主たる溶媒成分とは、重量比で最も多く含有される溶媒成分をいう。
硬化触媒は、上述のA液とB液との混合物を硬化させ得る化合物であり、強い触媒活性が必要であることから、好ましくはガリウム化合物またはインジウム化合物である。
B液中における硬化触媒の含有量は、A液およびB液に含まれるポリシロキサン成分100重量部に対して0.03重量部〜0.3重量部となるように調製することが好ましい。
A液との相溶性の観点からは、B液に含まれるHO−(MePhSi−O)n−Hの重量平均分子量は2500以下であることが好ましく、また、B液の粘度は6000mPa・s未満とすべきであり、好ましくは5000mPa・s以下、特に好ましくは2500mPa・s以下である。
B液の粘度が低いことは、B液自体およびA液とB液を混合した混合物のハンドリングを容易にするうえでも好ましい。また、B液の粘度が低い方が、A液とB液の混合物の粘度も低くなるため、硬化前に行う該混合物の脱泡も容易となる。
第2実施形態に係るポリシロキサン硬化物製造用キットを用いてポリシロキサン硬化物を形成するには、A液とB液を混合して混合液を作製し、次いでこの混合液を硬化温度に保持することにより硬化させればよい。硬化温度は、通常100℃以上、好ましくは120℃以上、更に好ましくは150℃以上である。
硬化温度を、最初は100℃付近とし、次いで150℃付近に上げることにより、組成物中の残留溶媒や溶存水蒸気による発泡を防ぐことができる。また、深部と表面の硬化速度差を小さくできるので、表面が平滑でシワの無い、外観の良好な硬化物を得ることが出来る。深部と表面の硬化速度差が小さいと、硬化状態が均一となるので硬化物中における内部応力の発生が抑制され、ひいてはクラックの発生が防止できる。
第2実施形態に係るポリシロキサン硬化物製造用キットを用いて、様々な無機または有機半導体素子の封止を行うことができる。具体的な素子として、発光ダイオード(LED)や半導体レーザー等の半導体発光素子、半導体受光素子、有機発光ダイオード(OLED)などが挙げられる。また、該キットを用いて、電気光学的ディスプレイ、電子発光ディスプレイ、有機太陽電池(OPV)装置、照明装置などの表面保護コーティングを行うことができる。更に、該キットで、レンズ、導光板、光拡散板のような光学デバイスを作製し得る。該キットを光学デバイス用の接着剤に用いることもできる。
半導体発光素子1は、近紫外LED、紫色LEDまたは青色LEDのいずれかである。
樹脂成形体2は、リードフレーム5と共に成形されている。リードフレーム5は導電性の金属からなり、半導体発光素子1に電流を供給する役割を果たす。
ボンディングワイヤ3は、半導体発光素子1とリードフレーム5を電気的に接続する役割を有する。
うな赤色蛍光体である。
これらの無機微粒子は、光散乱材、骨材、増粘剤(チキソ剤)、屈折率調整剤などの目的で封止材4に添加される。
以下には、本発明者等が行った実験の結果を記す。
3.1 原材料
以下に記す実験で使用した主な材料を表1にまとめて表1に示す。以下の説明において各材料に言及する場合には、表1に示す略称を用いる場合がある。
で表されるポリシロキサン(pは平均的に6〜7)である。
FLD516は、使用前に薄膜蒸留にかけて、低沸点成分をGPC分析で6%以下になるように除去したうえで用いた。該操作により生じた黄色着色は、活性炭Bで処理することにより除いた。
XC96−723(両末端シラノールジメチルシリコーンオイル)は、上記式(4)で表されるポリシロキサン(pは平均的に6〜7)である。
活性炭Aは活性炭Bよりも粒が粗く、当該活性炭が分散された粘性の高い被処理液から濾過によって当該活性炭を取り除くのに要する時間が、活性炭Bに比べて短い。
3.2.1 実験1(参考例)
70gのFLD516と、30gのXC96−723と、100mgのGa(acac)3との混合物を、1.3kPaの減圧下、撹拌しながら120℃に加熱し、粘度が500mPa・sとなるまで増粘した。続いて、温度を100℃に下げたうえで、1.6gのメチルトリメトキシシランを該ポリシロキサン混合物に添加し、常圧下、攪拌を行うことによって粘度が900mPa・sとなるまで増粘した。その後、縮合反応に伴い発生したメタノールその他の低沸点物質を除去するため、該ポリシロキサン混合物の温度を80℃に下げ、1.3kPaの減圧下で粘度が1500mPa・sとなるまで撹拌を続けた。
上記手順により増粘したポリシロキサン混合物に10gの活性炭Aを添加し、温度80℃で5時間攪拌した。その後、加圧濾過器を用いて活性炭Aの除去を行った。この濾過による活性炭の除去に要した時間は約6時間であった。活性炭除去後のポリシロキサン混合物1gをサンプリングして容量10mlのスクリュー管に入れ、150℃に設定した乾燥機中で3時間保持した後、その粘度を測定したところ、乾燥機に入れる前の粘度の1.10倍であった。換言すれば、乾燥機に入れる前の粘度を基準とした粘度上昇率は10%であった。
活性炭Aの添加量を10gから7gに減らしたこと以外は上記実験1と同様にして、ポリシロキサン混合物の調製、増粘および活性炭処理を行った。濾過による活性炭の除去に要した時間は実験1よりも短かったが、活性炭処理後のポリシロキサン混合物1gをサンプリングし、実験1と同様にして150℃に設定した乾燥機中で3時間保持した後の粘度を測定したところ、乾燥機に入れる前の粘度を基準とした粘度上昇率は25%であった。
活性炭Aの添加量を10gから3gに減らしたこと以外は上記実験1と同様にして、ポリシロキサン混合物の調製、増粘および活性炭処理を行った。濾過による活性炭の除去に要した時間は実験2よりも短かったが、活性炭処理後のポリシロキサン混合物1gをサンプリングし、実験1と同様にして150℃に設定した乾燥機中で3時間保持した後の粘度を測定したところ、乾燥機に入れる前の粘度を基準とした粘度上昇率は88%であった。
活性炭Aの添加量を10gから1gに減らしたこと以外は上記実験1と同様にして、ポリシロキサン混合物の調製、増粘および活性炭処理を行った。濾過による活性炭の除去に要した時間は実験3よりも短かったが、活性炭処理後のポリシロキサン混合物1gをサンプリングし、実験1と同様にして150℃に設定した乾燥機中で3時間保持したところ、混合物はゲル化した。具体的にいうと、スクリュー管中のポリシロキサン混合物は、乾燥機中で保持した後では、スクリュー管を90度傾けて真横にしても流動しなかった。
70gのFLD516と、30gのXC96−723と、100mgのGa(acac
)3と、1.6gのメチルトリメトキシシランとを用いて、実験1と同様の手順で粘度1500mPa・sのポリシロキサン混合物を得た。
実験5では、実験1の活性炭処理に代えて、このポリシロキサン混合物に100gの超純水を添加して、撹拌しながら100℃で8時間の加熱還流を行った。該還流処理後のポリシロキサン混合物1gをサンプリングし、実験1と同様にして150℃に設定した乾燥中で3時間保持した後の粘度を測定したところ、乾燥機に入れる前の粘度を基準とした粘度上昇率は13%であった。
超純水の添加量を10gとしたこと以外は上記実験5と同様にして、ポリシロキサン混合物の調製、増粘および還流処理を行った。還流処理後のポリシロキサン混合物1gをサンプリングし、実験1と同様にして150℃に設定した乾燥中で3時間保持した後の粘度を測定したところ、乾燥機に入れる前の粘度を基準とした粘度上昇率は113%であった。
実験7では、ガリウム化合物の各種溶媒に対する溶解性を調べた。具体的には、溶媒3gに対して6mgのGa(acac)3またはGa(OAc)3を添加し、撹拌したときの状態を目視で観察した。結果を表2に示す
実験8では、FLD516とXC96−723を重縮合させて得たA液と、B液用の溶媒であるFLD516との混和性が、A液の組成により変化する様子を調べた。
結果を表3に示す。
実験9では、FLD516とXC96−723を重量比70:30で含有する混合物を増粘させて得たA液と、FLD516とガリウムアセチルアセトネートの混合物を増粘させて得たB液との混和性が、B液の粘度により変化する様子を調べた。
結果を表4に示す。
70gのFLD516と、30gのXC96−723と、100mgのGa(acac)3との混合物を1.3kPaの減圧下、撹拌しながら120℃に加熱し、粘度が500mPa・sとなるまで増粘した。続いて、温度を100℃に下げたうえで、このポリシロキサン混合物に1.6gのメチルトリメトキシシランを添加し、撹拌を行うことによって
粘度が900mPa・sとなるまで増粘した。更に、該ポリシロキサン混合物の温度を80℃に下げ、1.3kPaの減圧下で粘度が2200mPa・sとなるまで撹拌を続けた。
上記手順により増粘したポリシロキサン混合物を50℃、室温および−18℃で保存したときの、10日後、30日後および60日後の粘度を測定し、保存前の粘度を基準とした粘度上昇率を調べた。結果を表5に示す。
50gのFLD516と50mgのGa(acac)3との混合物を、1.3kPaの減圧下、120℃に加熱して撹拌することで、粘度が2150mPa・sとなるまで増粘した。
かかる手順により増粘したポリシロキサン混合物を50℃、室温および−18℃で保存したときの、10日後、30日後および60日後の粘度を測定し、保存前の粘度を基準とした粘度上昇率を調べた。結果を表5に示す。
70gの上記式(9)で表される構造を有するポリジメチルジフェニルシロキサン(重量平均分子量7000;屈折率1.54)と、30gのXC96−723と、100mgのGa(acac)3との混合物を、1.3kPaの減圧下、120℃で攪拌しながら加熱した。しかし、混合物はエマルジョン様となって白濁し、ゲル化が生じるまで加熱を継続しても透明になることはなかった。
70gのFLD516と、30gのXC96−723と、100mgのGa(acac)3と、1.6gのメチルトリメトキシシランとを用いて、実験1と同様の手順で粘度1500mPa・sのポリシロキサン混合物を得た。
このポリシロキサン混合物に水101.7gを加え、100℃に加熱し、水を還流させながら8時間撹拌を行って触媒を失活させた。還流処理後、エマルジョン様となったポリシロキサンと水の混合物を静置し、水とポリシロキサンを分層させたうえ、水層を除去した。
この還流処理によりポリシロキサン混合物の粘度は2400mPa・sまで上昇した。このポリシロキサン混合物1gをサンプリングし、実験1と同様にして150℃に設定した乾燥機中で3時間保持した後の粘度を測定したところ、2700mPa・sであり、乾燥機に入れる前の粘度を基準とした粘度上昇率は13%であった。
こうして得たフュームドシリカ入りの液状ポリシロキサン組成物をA液とし、FLD516にガリウムアセチルアセトネートを溶解させて得た液状ポリシロキサン組成物(後述の実験14で調製したB液と同じ)をB液とした2液硬化型シリコーン樹脂は、LEDチップの封止に好ましく使用することができた。
<A液の調製>
2液硬化型シリコーン樹脂のA液とするポリシロキサン混合物を、次の手順により調製した。
70gのFLD516と、30gのXC96−723と、100mgのガリウムアセチルアセトネートとの混合物を、1.3kPaの減圧下、110℃に加熱して攪拌し、粘度が500mPa・sになるまで増粘した。次いで、100℃に降温したうえで、該混合物に更に1.6gのメチルトリメトキシシランを加え、常圧下で90分間撹拌した。次いで、該混合物を80℃に降温し、1.3kPaの減圧下で撹拌することでメタノールその他の低沸点物質を除去するとともに、粘度が1500mPa・sとなるまで増粘させた。
100gのFLD516と100mgのガリウムアセチルアセトネートの混合物を、1.3kPaの減圧下、110℃に過熱して攪拌し、粘度が1800mPa・sになるまで増粘させることにより、2液硬化型シリコーン樹脂のB液とするポリシロキサン混合物を得た。
このB液は、ナトリウムD線を用いて測定した20℃における屈折率が1.54、組成物中に含まれるメチル基のモル数とフェニル基のモル数との比([メチル基モル数]/[フェニル基モル数])が1、分子量は2,000、粘度は1800mPa・sであった。
、微風下、150℃で3時間保持したところ、厚さ約1mmでエラストマー状の自立した透明膜(硬化物)が得られた。この膜を8枚重ねたサンプルを用いて測定したShore
A硬度は40であった。また、この透明膜の屈折率は1.51であった。
本実験15では、ポリシロキサン原料(FLD516およびXC96−723)100重量部に対してフュームドシリカ6.1重量部という比率となるように、上記実験14のA液に対しフュームドシリカを混合して得たポリシロキサン組成物を、A液として用いた。A液をこのように変更したことを除き、実験14と同様にして2液硬化型シリコーン樹脂を作製するとともに、その硬化物を作製した。この2液硬化型シリコーン樹脂の硬化時重量維持率は97%であった。また、実験14と同様の方法で測定した硬化物のShore A硬度は37であった。硬化物の屈折率は1.51であった。
増粘処理時間を調節することによってB液に含まれるポリシロキサンの重量平均分子量を1200、B液の粘度を1500mPa・sとしたこと以外は実験14と同様にして、2液硬化型シリコーン樹脂を作製するとともに、その硬化物を作製した。実験14と同様の方法で測定した硬化物のShore A硬度は37であり、硬化物の屈折率は1.51であった。実験15では、A液とB液の混合液をPTFEシャーレに注ぐときに液中に入った気泡が硬化物中に残存したが、この実験16では硬化の際に気泡が抜け、硬化物中に残存する気泡は見られなかった。
増粘処理時間を調節することによってB液の粘度を6000mPa・sとしたこと以外は実験14と同様にして、2液硬化型シリコーン樹脂を作製を試みた。しかし、A液とB液との混合物は白濁し、該混合物を硬化させても濁りは消失しなかった。
2 樹脂成形体
3 ボンディングワイヤ
4 封止材
5 リードフレーム
Claims (17)
- 水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を有する重縮合可能なシラン化合物および/またはシロキサン化合物と、縮合触媒として作用する有機−金属化合物と、を含有する混合物を準備する第1ステップと;該混合物を増粘する第2ステップと;該第2ステップで増粘した混合物を水と共に加熱して、上記有機−金属化合物の縮合触媒活性の少なくとも一部を失わせる第3ステップと;を含むことを特徴とする、液状ポリシロキサン組成物の製造方法であって、
上記第1ステップで準備する混合物が、上記有機−金属化合物としてガリウム化合物を含有する、製造方法。 - 水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を有する重縮合可能なシラン化合物および/またはシロキサン化合物と、縮合触媒として作用する有機−金属化合物と、を含有する混合物を準備する第1ステップと;該混合物を増粘する第2ステップと;該第2ステップで増粘した混合物を水と共に加熱して、上記有機−金属化合物の縮合触媒活性の少なくとも一部を失わせる第3ステップと;を含むことを特徴とする、液状ポリシロキサン組成物の製造方法であって、
上記第3ステップの後に、更に、上記第1〜第3ステップを実行して得たポリシロキサン混合物に活性炭処理を行うステップを有する、製造方法。 - 上記第3ステップでは、上記第1〜第3ステップを実行して得たポリシロキサン混合物を150℃で3時間加熱したときの粘度上昇率が15%以下となるように上記有機−金属化合物の縮合触媒活性を失わせる、請求項1または2に記載の製造方法。
- 上記第3ステップでは上記第2ステップで増粘した混合物を、当該混合物に対する重量比10%以上の水とともに撹拌しながら、約100℃で加熱する、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
- 上記第1ステップで準備する混合物が、上記有機−金属化合物として、ガリウムアセチルアセトネートおよび酢酸ガリウムから選ばれる一種以上のガリウム化合物を含む、請求項1に記載の製造方法。
- 上記第1ステップで準備する混合物が、下記式(1)で表されるシラン化合物を含有する、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
SiXnMe4-n・・・(1)
(上記式(1)中、Xは水酸基または加水分解性基を表し、nは2、3または4であり、Meはメチル基を表す。) - 上記第1ステップで準備する混合物が、上記式(1)で表されるシラン化合物としてテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシランおよびジメチルジメトキシシランから選ばれる少なくとも1種のシラン化合物を含有する、請求項6に記載の製造方法。
- 上記第1ステップで準備する混合物が、上記式(2)で表されるシロキサン化合物として、Ph2SiO2/2ユニット(Phはフェニル基を表す)およびMePhSiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)から選ばれる少なくとも一種のDユニットを有するシロキサン化合物を含有する、請求項8に記載の製造方法。
- 上記第1ステップで準備する混合物が、上記式(2)で表されるシロキサン化合物として、Ph2SiO2/2ユニット(Phはフェニル基を表す)およびMePhSiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)から選ばれる少なくとも一種のDユニットと、Me2SiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)とを有するシロキサン化合物を含有する、請求項9に記載の製造方法。
- 上記第1ステップで準備する混合物が、Ph2SiO2/2ユニット(Phはフェニル基を表す)およびMePhSiO2/2ユニット(Meはメチル基を表す)から選ばれる少なくとも一種のDユニットを有するとともに、水酸基または加水分解性基が結合したケイ素原子を有する重縮合可能なポリシロキサンを含有する、請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
- 上記第2ステップを省略し、上記第1ステップで準備した混合物を上記第3ステップの過程で増粘させる、請求項1に記載の製造方法。
- ポリシロキサンを含有するA液と、硬化触媒を含有し硬化物製造時に該A液と混合されるB液と、を含むポリシロキサン硬化物製造用キットの、製造方法であって、
請求項1〜12のいずれかに記載の液状ポリシロキサン組成物の製造方法を用いて該A液を製造することを特徴とする、ポリシロキサン硬化物製造用キットの製造方法。 - 上記B液が主たる溶媒成分としてHO−(MePhSi−O)n−H(Meはメチル基を表し、Phはフェニル基を表し、nは5以上の整数を表す)を含有する請求項13に記載の製造方法。
- ナトリウムD線を用いて測定した20℃における上記A液の屈折率が1.50以上であり、上記B液の25℃における粘度が6000mPa・s未満である、請求項14に記載の製造方法。
- ナトリウムD線を用いて測定した20℃における上記A液の屈折率が1.50以上であり、上記HO−(MePhSi−O)n−Hはポリスチレン換算の重量平均分子量が2500以下である、請求項14に記載の製造方法。
- 上記B液が上記硬化触媒としてガリウム化合物を含有する請求項13〜16のいずれかに記載の製造方法。
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