JP2006348284A - シロキサン系縮合物およびその製造方法 - Google Patents

シロキサン系縮合物およびその製造方法 Download PDF

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太郎 金森
Keisuke Yashima
啓介 八島
Akira Nishikawa
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Abstract

【課題】耐熱性、耐紫外線性、光透過性に優れ、厚膜形成可能なシロキサン系縮合物およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係るシロキサン系縮合物は、特定の重量平均分子量を有する2官能のポリシロキサンと、特定の重量平均分子量を有する多官能のシロキサンポリマーとを有機溶媒中で脱アルコール反応させた後、さらに加水分解・縮合させることにより製造することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、発光ダイオード素子の封止材に用いられるシロキサン系縮合物およびその製造方法に関する。
発光ダイオード(LED)素子は、通常、LED素子の保護や発色変更のために、封止材で覆われている。特に、白色LED素子は、青色LED素子と、これを覆うように形成された、黄色蛍光体を含有する封止材とから構成されている。そして、このLED素子の封止材としては、従来、エポキシ樹脂が一般であった(たとえば、特許文献1および2参照)。
ところが、白色LED素子に用いられる青色LED素子は、青色光とともに近紫外線も発光されるため、青色LED素子近傍で、エポキシ樹脂封止材が黄変したり、青色LED素子の発熱により熱劣化したりするという問題があった。特に、電灯などの高輝度が要求される用途では、青色LED素子からの発光量も多く、黄変や熱劣化が起こり易かった。
このため、高輝度環境下においても、近紫外線による黄変が発生せず、耐熱性を有する封止材としてシリコーン樹脂封止材が検討されてきた。しかしながら、ジメチルシロキサンからなるシリコーン樹脂は、LED素子や基板との密着性が悪く、またタック性を有するためゴミなどが付着しやすく、さらに、架橋時に形成される炭素−炭素結合が近紫外線により分解して封止材としての性能が損なわれることがあった。
また、特許文献3および4には、ケイ素原子に結合したアルケニル基を有するシリコーンレジンとSi−H結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを含有するシリコーン樹脂組成物が開示されている。特許文献3および4では、このシリコーン樹脂組成物をヒドロシリル化反応により架橋させて硬化物を形成している。しかしながら、この硬化物の架橋構造には炭素−炭素結合が存在するため、近紫外線により分解して封止材としての性能が損なわれることがあった。
一方、アルコキシシランモノマーを加水分解・縮合して形成したポリシロキサン膜は、厚膜を形成すると割れが発生しやすく、LED用封止材には不適であった。
特開2000−281868号公報 特開2004−339319号公報 特開2004−186168号公報 特開2004−221308号公報
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、耐熱性、耐紫外線性、光透過性に優れ、厚膜形成可能なシロキサン系縮合物およびその製造方法を提供することを目的としている。
本発明者は、上記問題点を解決すべく鋭意研究した結果、2官能のポリシロキサンと多官能のシロキサンポリマーまたはオリゴマーとを脱アルコール反応により部分縮合させた後、さらに加水分解・縮合させることにより、耐熱性、耐紫外線性、光透過性に優れ、厚膜形成可能なシロキサン系縮合物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明に係るシロキサン系縮合物は、(A1)1分子中に2つの水酸基を有し、かつ下記式(1)
Figure 2006348284
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にある水酸基含有ポリシロキサンと、
(B1)下記平均組成式(2)
3 a4 bSiOc(OR5d (2)
(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R5はアルキル基であり、R3、R4およびR5がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜70,000の範囲にあるアルコキシ基含有シロキサンポリマーとを、
脱アルコール反応させて部分縮合物を形成し、
次いで、該部分縮合物をさらに加水分解・縮合させることにより製造することができる。
このとき、水酸基含有ポリシロキサン(A1)とアルコキシ基含有シロキサンポリマー(B1)とを、完全加水分解縮合物換算の重量比(A1/B1)が1/50〜50/1の範囲で混合して脱アルコール反応させることが好ましい。また、水酸基含有ポリシロキサン(A1)とアルコキシ基含有シロキサンポリマー(B1)とを、モル比(A1/B1)が1/10〜10/1の範囲で混合して脱アルコール反応させることも好ましい。
また、本発明に係るシロキサン系縮合物は、(A2)1分子中に2つのアルコキシ基を有し、かつ下記式(3)
Figure 2006348284
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであって
も異なっていてもよい。)
で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にあるアルコキシ基含有ポリシロキサンと、
(B2)下記平均組成式(4)
3 a4 bSiOc(OH)d (4)
(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R3およびR4がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜70,000の範囲にある水酸基含有シロキサンポリマーとを、
脱アルコール反応させて部分縮合物を形成し、
次いで、該部分縮合物をさらに加水分解・縮合させることによっても製造することができる。
このとき、アルコキシ基含有ポリシロキサン(A2)と水酸基含有シロキサンポリマー(B2)とを、完全加水分解縮合物換算の重量比(A2/B2)が1/50〜50/の範囲で混合して脱アルコール反応させることが好ましい。また、アルコキシ基含有ポリシロキサン(A2)と水酸基含有シロキサンポリマー(B2)とを、モル比(A2/B2)が1/10〜10/1の範囲で混合して脱アルコール反応させることも好ましい。
また、本発明に係るシロキサン系縮合物は、(A1)1分子中に2つの水酸基を有し、かつ下記式(1)
Figure 2006348284
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にある水酸基含有ポリシロキサンと、
(B1’)下記平均組成式(2)
3 a4 bSiOc(OR5d (2)
(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R5はアルキル基であり、R3、R4およびR5がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上1,000未満の範囲にあるアルコキシ基含有シロキサンオ
リゴマーとを、
完全加水分解縮合物換算の重量比(A1/B1’)が80/20〜99/1の範囲で混合して脱アルコール反応させて部分縮合物を形成し、
次いで、該部分縮合物をさらに加水分解・縮合させることによっても製造することもできる。
さらに、本発明に係るシロキサン系縮合物は、(A2)1分子中に2つのアルコキシ基を有し、かつ下記式(3)
Figure 2006348284
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にあるアルコキシ基含有ポリシロキサンと、
(B2’)下記平均組成式(4)
3 a4 bSiOc(OH)d (4)
(式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R3およびR4がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上1,000未満の範囲にある水酸基含有シロキサンオリゴマーとを、
完全加水分解縮合物換算の重量比(A2/B2’)が80/20〜99/1の範囲で混合して脱アルコール反応させて部分縮合物を形成し、
次いで、該部分縮合物をさらに加水分解・縮合させることによっても製造することもできる。
前記部分縮合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は2,000〜100,000の範囲にあることが好ましい。
上記シロキサン系縮合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、前記部分縮合物のGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量の1.1〜100倍の範囲にあることが好ましい。
本発明によると、耐熱性、耐紫外線性、光透過性に優れた硬化体、特にポリシロキサン厚膜を得ることができる。具体的には、発光素子として青色LED素子や紫外線LED素子を用いた白色LED素子の封止材に用いることができ、特に高輝度の白色LED素子の封止材に好適に使用できるポリシロキサン厚膜を得ることができる。
まず、本発明に用いられる各成分について詳細に説明する。
〔水酸基含有ポリシロキサン(A1)〕
本発明に用いられる水酸基含有ポリシロキサン(A1)は、1分子中に2つの水酸基を有するポリシロキサン(以下、「ポリシロキサン(A1)」ともいう)であって、下記式(1)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 2006348284
式(1)中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基である。R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。
上記ポリシロキサン(A1)は、好ましくは、下記式(1a)で表される鎖状のポリシロキサンである。
Figure 2006348284
式(1a)中、R1およびR2は、上記式(1)のR1およびR2と同義であり、R1およ
びR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、nは
5〜2000の整数である。なお、nは、ポリシロキサンの分子量からH2Oの分子量を
引いた値を、上記繰り返し単位の分子量で割ることにより求められる。
上記ポリシロキサン(A1)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000、好ましくは1,000〜65,000、より好ましくは1,500〜60,000の範囲にある。上記範囲の重量平均分子量を有する2官能のポリシロキサン(A1)を使用すると、硬化体形成時におけるクラック発生の抑制と良好な硬化性を両立できる。
上記1価の無置換炭化水素基としては、炭素数1〜8のアルキル基、フェニル基、ベンジル基、トリル基が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。上記1価の置換炭化水素基としては、炭素数1〜8の置換アルキル基が挙げられる。上記置換アルキル基の置換基としては、ハロゲン、アミノ基、メルカプト基、イソシアネート基、グリシジル基、グリシドキシ基、ウレイド基などが挙げられる。また、上記1価の置換炭化水素基としては、下記式(5)
−(R7O)p−(R8O)q−R9 (5)
(式(5)中、R7およびR8は、それぞれ独立に炭素数1〜5個のアルキレン基を表し、R9は炭素数1〜5個のアルキル基を表し、R7、R8およびR9がそれぞれ複数存在する場
合には互いに同じであっても異なっていてもよく、pおよびqは、p+qの値が2〜50となる整数である)
で表されるオキシアルキレン基が挙げられる。このようなオキシアルキレン基としては、ポリオキシエチレン基、ポリオキシプロピレン基、ポリ(オキシエチレン/オキシプロピレン)基などのポリオキシアルキレン基も挙げられる。
このポリシロキサン(A1)は、たとえば、ジアルコキシシランまたはジクロロシランを加水分解・縮合させることによって製造できる。
上記ジアルコキシシランとしては、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシランなどが挙げられる。これらのジアルコキシシランは1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、上記水酸基含有シロキサンオリゴマーは、環状オルガノシロキサンを開環縮合させることによっても製造できる。環状オルガノシロキサンとしては、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、テチラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ペンタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロテトラシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等が挙げられる。
また、ポリシロキサン(A1)として、GE東芝シリコーン社製のXC96−723、YF−3800、YF−3905、YF−3804(以上、商品名)など、市販の2官能のオルガノポリシロキサンを用いることもできる。
〔アルコキシ基含有ポリシロキサン(A2)〕
本発明に用いられるアルコキシ基含有ポリシロキサン(A2)は、1分子中に2つのアルコキシ基を有するポリシロキサン(以下、「ポリシロキサン(A2)」ともいう)であって、下記式(3)で表される繰り返し単位を有する。
Figure 2006348284
式(3)中、R1およびR2は、上記式(1)におけるR1およびR2と同様に定義される。R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。
上記ポリシロキサン(A2)は、好ましくは、下記式(3a)で表される鎖状のポリシロキサンである。
Figure 2006348284
式(3a)中、R1およびR2は、上記式(3)のR1およびR2と同義である。R6はア
ルキル基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、2つのR6は同じであっても異なっていてもよい。nは5〜2000
の整数である。なお、nは、ポリシロキサンの分子量からR6 2Oの分子量を引いた値を、上記繰り返し単位の分子量で割ることにより求められる。また、このポリシロキサン(A2)は、本発明の目的を損なわない範囲、具体的には脱アルコール反応を阻害しない範囲で水酸基を含有していてもよい。
このポリシロキサン(A2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000、好ましくは1,000〜65,000、より好ましくは1,500〜60,000の範囲にある。上記範囲の重量平均分子量を有する2官能のポリシロキサン(A2)を使用すると、硬化体形成時におけるクラック発生の抑制と良好な硬化性を両立できる。
上記R6で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロ
ピル基、ブチル基などが挙げられる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基が好ましい。
このポリシロキサン(A2)は、たとえば、ジアルコキシシランまたはジクロロシランを加水分解・縮合させるとによって製造できる。
上記ジアルコキシシランとしては、上記ポリシロキサン(A1)で例示したジアルコキシシランと同様のものを挙げることができ、これらは1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
〔アルコキシ基含有シロキサンポリマー(B1)およびオリゴマー(B1’)〕
本発明に用いられるアルコキシ基含有シロキサンポリマー(B1)は、2官能以上、好ましくは3官能以上の多官能のシロキサンポリマー(以下、「シロキサンポリマー(B1)」ともいう)であって、下記平均組成式(2)
3 a4 bSiOc(OR5d (2)
で表される。このシロキサンポリマー(B1)は、1分子中に2個以上、好ましくは3個以上のアルコキシ基を有することが望ましい。
式(2)中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R5はアルキル基であり、R3、R4およびR5がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である。
このようなシロキサンポリマー(B1)のうち、分岐状または3次架橋されたシロキサンポリマーが好ましい。また、このシロキサンポリマー(B1)は、本発明の目的を損なわない範囲、具体的には脱アルコール反応を阻害しない範囲で水酸基を含有していてもよい。
このシロキサンポリマー(B1)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜70,000、好ましくは1,000〜65,000、より好ましくは1,500〜60,000の範囲にある。上記範囲の重量平均分子量を有するシロキサンポリマー(B1)を使用すると、硬化体形成時におけるクラック発生の抑制と良好な硬化性を両立できる。
また、ポリシロキサン(A1)との混合比が後述する範囲であれば、上記平均組成式(2)で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上1,000未満、好ましくは600以上900以下の低分子量のアルコキシ基含有シロキサンオリゴマー(B1’)を使用することができ、硬化体形成時におけるクラック発生の抑制と良好な硬化性を両立できる。
このシロキサンオリゴマー(B1’)も、分岐状または3次架橋されたシロキサンオリゴマーが好ましく、本発明の目的を損なわない範囲、具体的には脱アルコール反応を阻害しない範囲で水酸基を含有していてもよい。
上記置換もしくは無置換の1価の炭化水素基としては、上記ポリシロキサン(A1)で例示した置換または無置換の1価の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
また、上記R5で表されるアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イ
ソプロピル基、ブチル基などが挙げられる。これらのアルキル基のうち、メチル基、エチル基が好ましい。
このシロキサンポリマー(B1)およびシロキサンオリゴマー(B1’)は、たとえば、多官能のアルコキシシランまたは多官能のクロロシランを加水分解・縮合させることによって製造できる。
上記多官能のアルコキシシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシランなどのテトラアルコキシシラン類;
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン
、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類が挙げられる。これらのアルコキシシラン類は1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、多官能のアルコキシシランに加えて、1官能のアルコキシシランを併用することもできる。1官能のアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリエチルメトキシシラン、トリエチルエトキシシランなどが挙げられる。これらの1官能のアルコキシシランは、使用するアルコキシシラン全量に対して、10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下で使用することが望ましい。
また、シロキサンポリマー(B1)およびシロキサンオリゴマー(B1’)として、信越化学工業社製のX40−9220、X40−9225(以上、商品名)、GE東芝シリコーン社製のXR31−B1410、XR31−B0270、XR31−B2733、XC96−B0446(以上、商品名)など、市販のオルガノシロキサンポリマーおよびシロキサンオリゴマーを用いることもできる。
〔水酸基含有シロキサンポリマー(B2)およびオリゴマー(B2’)〕
本発明に用いられる水酸基含有シロキサンポリマー(B2)は、2官能以上、好ましくは3官能以上の多官能のシロキサンポリマー(以下、「シロキサンポリマー(B2)」ともいう)であって、下記平均組成式(4)
3 a4 bSiOc(OH)d (4)
で表される。このシロキサンポリマー(B2)は、1分子中に2個以上、好ましくは3個以上の水酸基を有することが望ましい。
式(4)中、R3およびR4は、上記式(2)におけるR3およびR4と同様に定義される。R3およびR4がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である。
このようなシロキサンポリマー(B2)のうち、分岐状または3次架橋されたシロキサンポリマーが好ましい。
このシロキサンポリマー(B2)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜70,000、好ましくは1,000〜65,000、より好ましくは1,500〜60,000の範囲にある。上記範囲の重量平均分子量を有するシロキサンポリマー(B2)を使用すると、硬化体形成時におけるクラック発生の抑制と良好な硬化性を両立できる。
また、ポリシロキサン(A2)との混合比が後述する範囲であれば、上記平均組成式(4)で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換
算の重量平均分子量が500以上1,000未満、好ましくは600以上900以下の低分子量のアルコキシ基含有シロキサンオリゴマー(B2’)を使用することができ、硬化体形成時におけるクラック発生の抑制と良好な硬化性を両立できる。
このシロキサンオリゴマー(B2’)も、分岐状または3次架橋されたシロキサンオリゴマーが好ましく、本発明の目的を損なわない範囲、具体的には脱アルコール反応を阻害しない範囲で水酸基を含有していてもよい。
上記置換もしくは無置換の1価の炭化水素基としては、上記ポリシロキサン(A1)で例示した置換または無置換の1価の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
このシロキサンポリマー(B2)およびシロキサンオリゴマー(B2’)は、たとえば、多官能のアルコキシシランまたは多官能のクロロシランを加水分解・縮合させることによって製造できる。
上記多官能のアルコキシシランとしては、上記シロキサンポリマー(B1)およびシロキサンオリゴマー(B1’)で例示した多官能アルコキシシランと同様のものを挙げることができ、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
また、シロキサンポリマー(B2)およびシロキサンオリゴマー(B2’)においても、多官能のアルコキシシランに加えて、上記シロキサンポリマー(B1)およびシロキサンオリゴマー(B1’)で例示した1官能のアルコキシシランを併用してもよい。このとき、1官能のアルコキシシランは、使用するアルコキシシラン全量に対して、10重量%以下、好ましくは7重量%以下、より好ましくは5重量%以下で使用することが望ましい。
また、シロキサンポリマー(B2)およびシロキサンオリゴマー(B1’)として、GE東芝シリコーン社製のYR3370(商品名)などの市販のオルガノシロキサンポリマーおよびシロキサンオリゴマーを用いることもできる。
<シロキサン系縮合物の製造方法>
本発明に係るシロキサン系縮合物は、上記水酸基含有ポリシロキサン(A1)とアルコキシ基含有シロキサンポリマー(B1)、または上記アルコキシ基含有ポリシロキサン(A2)と水酸基含有シロキサンポリマー(B2)とを、必要に応じて有機溶媒中で脱アルコール反応させて部分的に縮合させて縮合物(以下、「部分縮合物」という)を形成し、さらに、この部分縮合物を加水分解・縮合させることによって製造することができる。また、上記水酸基含有ポリシロキサン(A1)とアルコキシ基含有シロキサンオリゴマー(B1’)、または上記アルコキシ基含有ポリシロキサン(A2)と水酸基含有シロキサンオリゴマー(B2’)とを、後述する混合比で混合し、必要に応じて有機溶媒中で、脱アルコール反応させて部分的に縮合させて縮合物(以下、「部分縮合物」という)を形成し、さらに、この部分縮合物を加水分解・縮合させることによって製造することもできる。このようにして製造したシロキサン系縮合物を用いると、均一な硬化体(膜)を形成することができる。2官能のポリシロキサン(ポリシロキサン(A1)および(A2))に比べて1分子当たりの官能基数が多い多官能のシロキサンポリマー(B1)、多官能シロキサンオリゴマー(B1’)、多官能シロキサンポリマー(B2)または多官能シロキサンオリゴマー(B2’)は反応性が高く、これらの混合物を加水分解・縮合させると多官能のシロキサンポリマーまたはシロキサンオリゴマーの加水分解・縮合が先行するため、不均一になりやすい。したがって、均一に縮合物を形成するためには、上記のように、予め脱アルコール反応により部分縮合させ、次いで部分縮合物を加水分解・縮合することが好ましい。
上記脱アルコール反応において、ポリシロキサン(A1)とシロキサンポリマー(B1)とを、完全加水分解縮合物換算の重量比(A1/B1)が、好ましくは1/50〜50/1、より好ましくは1/40〜40/1、特に好ましくは1/25〜25/1で、あるいは、モル比(A1/B1)が、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは1/7〜7/1、特に好ましくは1/5〜5/1で混合して脱アルコール反応させることが望ましい。また、ポリシロキサン(A2)とシロキサンポリマー(B2)とを、完全加水分解縮合物換算の重量比(A2/B2)が、好ましくは1/50〜50/1、より好ましくは1/40〜40/1、特に好ましくは1/25〜25/1で、あるいは、モル比(A2/B2)が、好ましくは1/10〜10/1、より好ましくは1/7〜7/1、特に好ましくは1/5〜5/1で混合して反応させることが望ましい。なお、上記モル比は、各成分の仕込み重量を重量平均分子量で除算した値(モル数)の比とする。
一方、ポリシロキサン(A1)とシロキサンオリゴマー(B1’)とを脱アルコール反応させる場合には、完全加水分解縮合物換算の重量比(A1/B1’)が、これらの合計を100として、80/20〜99/1であり、80/20〜98/2が好ましく、82/8〜96/4がより好ましい。また、ポリシロキサン(A2)とシロキサンオリゴマー(B2’)とを反応させる場合には、完全加水分解縮合物換算の重量比(A2/B2’)が、これらの合計を100として、80/20〜99/1であり、80/20〜98/2が好ましく、82/8〜96/4がより好ましい。
ポリシロキサン(A1)または(A2)とシロキサンポリマー(B1)もしくはシロキサンオリゴマー(B1’)またはシロキサンポリマー(B2)もしくはシロキサンオリゴマー(B2’)とを上記割合で脱アルコール反応させると、ポリシロキサン(A1)または(A2)から誘導されたブロック(A)の両末端に、シロキサンポリマー(B1)もしくはシロキサンオリゴマー(B1’)またはシロキサンポリマー(B2)もしくはシロキサンオリゴマー(B2’)から誘導されたブロック(B)が結合した構造を有する、比較的低分子量の部分縮合物が生成しやすい。
本発明に係るシロキサン系縮合物の製造方法では、比較的高分子量の部分縮合物を調製し、これをさらに加水分解・縮合してより高分子量のシロキサン系縮合物を製造することもできるが、生産効率の観点から、上記のような比較的低分子量の部分縮合物を調製し、これをさらに加水分解・縮合して高分子量のシロキサン系縮合物を製造することが好ましい。
比較的低分子量の上記部分縮合物の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値で、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜90,000、特に好ましくは4,000〜80,000である。
上記脱アルコール反応の温度は、好ましくは30〜150℃、より好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜100℃である。また、部分縮合物を調製する際、各成分を反応容器に一括で仕込んで脱アルコール反応させてもよいし、一方の成分に他方の成分を間欠的にもしくは連続的に添加しながら脱アルコール反応させてもよい。
このようにして調製された部分縮合物を、さらに加水分解・縮合させて、本発明に係るシロキサン系縮合物を得ることができる。このとき、部分縮合物は有機溶媒中で加水分解・縮合させることが好ましい。
また、上記加水分解・縮合の際、必要に応じて上記シロキサンポリマー(B1)または(B2)あるいはシロキサンオリゴマー(B1’)または(B2’)を添加してもよい。
シロキサンポリマー(B1)または(B2)あるいはシロキサンオリゴマー(B1’)または(B2’)の添加量は、部分縮合物100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜30重量部、特に好ましくは5〜15重量部である。シロキサンポリマー(B1)または(B2)あるいはシロキサンオリゴマー(B1’)または(B2’)を上記割合で添加すると、形成される硬化体(膜)の強度が向上する。
上記加水分解・縮合反応の温度は、好ましくは20〜150℃、より好ましくは30〜100℃、特に好ましくは40〜80℃である。
上記脱アルコール反応および加水分解・縮合反応において用いられる有機溶媒としては、たとえば、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。上記アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、i−ブチルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。また、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどが挙げられ、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ノルマルプロピル、乳酸イソプロピル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらの有機溶媒のうち、脱アルコール反応を促進する観点から、アルコール以外の有機溶媒、たとえば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレンなどが好ましい。また、これらの有機溶媒は、予め脱水処理を施して、水分を除去した状態で使用することが好ましい。
上記有機溶媒は、脱アルコール反応のコントロール、得られるシロキサン系縮合物を含む溶液の濃度もしくは粘度の調整、または硬化体製造時の厚み調整などを目的として適宜使用することができる。有機溶媒を使用する場合、その使用量は所望の条件に応じて適宜設定することができるが、たとえば、得られるシロキサン系縮合物の濃度が、完全加水分解縮合物換算で、好ましくは5〜99重量%、より好ましくは7〜95重量%、特に好ましくは10〜90重量%となる量である。
また、本発明では、上記脱アルコール反応および加水分解・縮合反応を行う際、これらの反応を促進する触媒を使用することが好ましい。脱アルコール反応または加水分解・縮合反応に用いられる触媒としては、酸性化合物、アルカリ性化合物、塩化合物、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて、「有機金属化合物類」という)が挙げられる。
上記酸性化合物としては、有機酸および無機酸が挙げられる。有機酸としては、たとえば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。上記無機酸として
は、たとえば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸などが挙げられる。
このような酸性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、マレイン酸、無水マレイン酸、メタンスルホン酸、酢酸が特に好ましい。
上記アルカリ性化合物として、アンモニア(アンモニア水溶液を含む)、有機アミン化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等のアルカリ金属のアルコキシドが挙げられる。これらのうち、アンモニアおよび有機アミン化合物が好ましい。
有機アミンとしては、アルキルアミン、アルコキシアミン、アルカノールアミン、アリールアミンなどが挙げられる。
アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアミンなどが挙げられる。
アルコキシアミンとしては、メトキシメチルアミン、メトキシエチルアミン、メトキシプロピルアミン、メトキシブチルアミン、エトキシメチルアミン、エトキシエチルアミン、エトキシプロピルアミン、エトキシブチルアミン、プロポキシメチルアミン、プロポキシエチルアミン、プロポキシプロピルアミン、プロポキシブチルアミン、ブトキシメチルアミン、ブトキシエチルアミン、ブトキシプロピルアミン、ブトキシブチルアミンなどの炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシアミンなどが挙げられる。
アルカノールアミンとしては、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、ブタノールアミン、N−メチルメタノールアミン、N−エチルメタノールアミン、N−プロピルメタノールアミン、N−ブチルメタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−プロピルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−メチルプロパノールアミン、N−エチルプロパノールアミン、N−プロピルプロパノールアミン、N−ブチルプロパノールアミン、N−メチルブタノールアミン、N−エチルブタノールアミン、N−プロピルブタノールアミン、N−ブチルブタノールアミン、N,N−ジメチルメタノールアミン、N,N−ジエチルメタノールアミン、N,N−ジプロピルメタノールアミン、N,N−ジブチルメタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジプロピルエタノールアミン、N,N−ジブチルエタノールアミン、N,N−ジメチルプロパノールアミン、N,N−ジエチルプロパノールアミン、N,N−ジプロピルプロパノールアミン、N,N−ジブチルプロパノールアミン、N,N−ジメチルブタノールアミン、N,N−ジエチルブタノールアミン、N,N−ジプロピルブタノールアミン、N,N−ジブチルブタノールアミン、N−メチルジメタノールアミン、N−エチルジメタノールアミン、N−プロピルジメタノールアミン、N−ブチルジメタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−プロピルジエタノールアミン、N−ブチルジエタノールアミン、N−メチルジプロパノールアミン、N−エチルジプロパノールアミン、N−プロピルジプロパノールアミン、N−ブチルジプロパノールアミン、N−メチルジブタノールアミン、N−エチルジブタノールアミン、N−プロピルジブタノールアミン、N−ブチルジブタノールアミン、N−(アミノメチル)メタノールアミン、N−(アミノメチル)エタノールアミン、N−(アミノメチル)プロパノールアミン、N−(アミノメチル)ブタノールアミン、N−(アミノエチル)メタノールアミン、N−(アミノエチル)エタノールアミン、N−(アミノエチル)プロパノールアミン、N−(アミノエチル)ブタノールアミン、N−(アミノプロピル)メタノールアミン、N−(アミノプロピル)エタノールアミン、N−(アミノプロピル)プロパノールアミン、N−(アミノプロピル)ブタ
ノールアミン、N−(アミノブチル)メタノールアミン、N−(アミノブチル)エタノールアミン、N−(アミノブチル)プロパノールアミン、N−(アミノブチル)ブタノールアミンなどの炭素数1〜4のアルキル基を有するアルカノールアミンが挙げられる。
アリールアミンとしてはアニリン、N−メチルアニリンなどが挙げられる。
さらに、上記以外の有機アミンとして、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラエチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラプロピルアンモニウムハイドロキサイド、テトラブチルアンモニウムハイドロキサイドなどのテトラアルキルアンモニウムハイドロキサイド;テトラメチルエチレンジアミン、テトラエチルエチレンジアミン、テトラプロピルエチレンジアミン、テトラブチルエチレンジアミンなどのテトラアルキルエチレンジアミン;メチルアミノメチルアミン、メチルアミノエチルアミン、メチルアミノプロピルアミン、メチルアミノブチルアミン、エチルアミノメチルアミン、エチルアミノエチルアミン、エチルアミノプロピルアミン、エチルアミノブチルアミン、プロピルアミノメチルアミン、プロピルアミノエチルアミン、プロピルアミノプロピルアミン、プロピルアミノブチルアミン、ブチルアミノメチルアミン、ブチルアミノエチルアミン、ブチルアミノプロピルアミン、ブチルアミノブチルアミンなどのアルキルアミノアルキルアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミンなどのポリアミン;ピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、モルホリン、メチルモルホリン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセンなども挙げられる。
このようなアルカリ性化合物は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。これらのうち、トリエチルアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、ピリジンが特に好ましい。
上記塩化合物として、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩などが挙げられる。
上記有機金属化合物類としては、たとえば、下記式(a)
M(OR10r(R11COCHCOR12s (a)
(式中、Mは、ジルコニウム、チタン、アルミニウムおよびナトリウムからなる群から選択される少なくとも1種の金属原子を表し、R10およびR11は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6個の1価の炭化水素基を表し、R12は、前記炭素数1〜6個の1価の炭化水素基、または、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16個のアルコキシル基を表し、rおよびsは、それぞれ独立に0〜4の整数であって、(r+s)=(Mの原子価)の関係を満たす)
で表される化合物(以下、「有機金属化合物(a)」という)、
1つのスズ原子に炭素数1〜10個のアルキル基が1〜2個結合した4価のスズの有機金属化合物(以下、「有機スズ化合物」という)、あるいは、
これらの部分加水分解物などが挙げられる。
また、有機金属化合物類として、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどのテトラアルコキシチタン類;メチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシ
シラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシランなどのトリアルコキシシラン類;ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどのジアルコキシシラン類などのチタンアルコレートおよびその縮合物を用いることができる。
有機金属化合物(a)として、たとえば、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどの有機ジルコニウム化合物;
テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物;
ナトリウムメトキシドなどのナトリウムアルコキシドが挙げられる。
有機スズ化合物として、たとえば、
Figure 2006348284
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
Figure 2006348284
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
Figure 2006348284
などのスルフィド型有機スズ化合物;
Figure 2006348284
などのクロライド型有機スズ化合物;
(C492SnO、(C8172SnOなどの有機スズオキサイドや、これらの有機ス
ズオキサイドとシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオク
チルなどのエステル化合物との反応生成物;
などが挙げられる。
これらの有機金属化合物のうち、アルコキシチタニウム、アルコキシジルコニウム、アルコキシアルミニウム、これらのキレート化物、およびこれらの部分加水分解物、ならびにナトリウムアルコキシドが好ましく、より好ましくは、トリ−n−ブトキシ・エチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、これらの部分加水分解物、およびナトリムムメトキシドが用いられる。
これらの触媒のうち、脱アルコール反応では有機金属化合物が好ましく、加水分解・縮合ではアルカリ性化合物が好ましい。有機金属化合物は他の化合物に比べて脱アルコール反応性に優れ、また、水分存在下でアルカリ性化合物を触媒として使用すると縮合反応速度に比較し加水分解反応速度が早いため、得られるシロキサン系縮合物の残存アルコキシ基を低減することができ、結果として得られるシロキサン系縮合物の体積収縮を低減できるため、硬化体形成時におけるクラックの発生を抑制できる。
上記脱アルコール反応において、上記触媒は、ポリシロキサン(A1)または(A2)とシロキサンポリマー(B1)もしくはシロキサンオリゴマー(B1’)またはシロキサンポリマー(B2)もしくはシロキサンオリゴマー(B2’)との合計100重量部に対して、通常0.001〜20重量部、好ましくは0.005〜10重量部、より好ましくは0.01〜5重量部添加される。
上記加水分解・縮合反応において、上記触媒は、ポリシロキサン(A1)または(A2)とシロキサンポリマー(B1)もしくはシロキサンオリゴマー(B1’)またはシロキサンポリマー(B2)もしくはシロキサンオリゴマー(B2’)との合計100重量部に対して、通常1〜50重量部、好ましくは2〜40重量部、より好ましくは3〜30重量部添加される。
上記で得られたシロキサン系縮合物の貯蔵安定性の点から、加水分解縮合後に脱触媒工程として水洗を行うことが好ましい。特に加水分解縮合触媒としてアルカリ性化合物を使用した場合、反応後に酸性化合物による中和を行った上で、水洗を行うことがより好ましい。
中和に使用する酸性化合物は上記例示した酸性化合物を使用することができる。酸性化合物の使用量は加水分解縮合に使用したアルカリ性化合物1モルに対し、通常0.5〜2.0モル、好ましくは0.8〜1.5モル、さらに好ましくは0.9〜1.3モルである。酸性化合物を水に溶解して使用する場合は、ポリシロキサン(A1)または(A2)とシロキサンポリマー(B1)もしくはシロキサンオリゴマー(B1’)またはシロキサンポリマー(B2)もしくはシロキサンオリゴマー(B2’)との合計100重量部に対して、通常10〜500重量部、好ましくは20〜300部、より好ましくは30〜200部の水に溶解する。中和後、十分に攪拌混合して静置し、水相と有機溶媒相との相分離を確認後、下層の水分を除去する。
中和後の水洗に使用する水は、ポリシロキサン(A1)または(A2)とシロキサンポリマー(B1)もしくはシロキサンオリゴマー(B1’)またはシロキサンポリマー(B2)もしくはシロキサンオリゴマー(B2’)との合計100重量部に対して、通常10〜500重量部、好ましくは20〜300部、より好ましくは30〜200部である。
水洗は、水を添加して十分に攪拌した後、静置し、水相と有機溶媒相との相分離を確認後、下層の水分を除去することにより行う。水洗回数は好ましくは1回以上、さらに好ましくは2回以上である。
上記方法により製造されたシロキサン系縮合物は、上記ブロック(B)と上記ブロック(A)を含有し、上記ブロック(B)を上記ブロック(A)で架橋した構造を有することが好ましい。このようなブロック構造のシロキサン系縮合物は、基板等との密着性や柔軟性に優れ、膜厚が好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、特に好ましくは100μm以上の厚膜を容易に形成することができる。また、乾燥硬化時(たとえば、150℃、1時間)にクラックが発生せず、光線透過率に優れた膜を形成することができる。
上記シロキサン系縮合物は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、上記部分縮合物のGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量の1.1〜100倍、好ましくは1.2〜50倍、より好ましくは1.3〜30倍の範囲にあることが望ましい。特に、部分縮合物の重量平均分子量が2,000以上10,000以下の場合には上記範囲にあることが好ましい。また、部分縮合物の重量平均分子量が10,000を超えて40,000以下の場合には、上記シロキサン系縮合物の重量平均分子量は、部分縮合物の重量平均分子量の1.1〜20倍、好ましくは1.2〜12.5倍、より好ましくは1.3〜10倍の範囲にあることがより望ましく、部分縮合物の重量平均分子量が40,000を超えて70,000以下の場合には、上記シロキサン系縮合物の重量平均分子量は、部分縮合物の重量平均分子量の1.1〜5倍、好ましくは1.2〜4倍、より好ましくは1.3〜3倍の範囲にあることがより望ましく、部分縮合物の重量平均分子量が70,000を超えて100,000以下の場合には、上記シロキサン系縮合物の重量平均分子量は、部分縮合物の重量平均分子量の1.1〜4倍、好ましくは1.2〜3倍、より好ましくは1.3〜2倍の範囲にあることがより望ましい。重量平均分子量が上記範囲にあると、上記厚膜を容易に形成することができる。
本発明に係るシロキサン系縮合物は、架橋構造に炭素−炭素結合が存在せず、耐紫外線性、耐熱性に優れている。たとえば、上記シロキサン系縮合物の硬化体は、5000mW/m2、200時間の紫外線照射によっても黄変(黄色化)せず、また、150℃、10
00時間の加熱によっても熱劣化しない。
また、この硬化体は、厚さ10μmにおいて波長350〜700nmの光透過率が90%以上、好ましくは93%以上、より好ましくは95%以上である。この特性により、青色LEDまたは紫外線LED素子から発せられる光を減衰させることなく取り出すことができる。
<用途>
上記シロキサン系縮合物は、充填材や蛍光体などの添加剤と混合してポリシロキサン組成物として使用することが好ましい。たとえば、充填材を添加することによって、形成される硬化体(膜)の強度を向上させることができる。また、蛍光体を添加することによって、LED素子の封止材料に用いることができる。
上記充填材としては、上記シロキサン系縮合物の特性、具体的には、耐紫外線性、耐熱性、透明性などを損なわない限り、特に限定されないが、たとえば、ガラス繊維、無機化合物の粉体、ゾル、コロイドが挙げられ、塗膜の所望の特性に応じて配合される。
シロキサン系縮合物とガラス繊維とを含むポリシロキサン組成物において、透明性を確
保する場合、シロキサン系縮合物とガラス繊維との屈折率差は0.01以下であることが好ましい。
上記無機化合物としては、SiO2、Al23、AlGaAs、Al(OH)3、Sb2
5、Si34、Sn−In23、Sb−In23、MgF、CeF3、CeO2、3Al23・2SiO2、BeO、SiC、AlN、Fe、Co、Co−FeOx、CrO2、Fe4N、BaTiO3、BaO−Al23−SiO2、Baフェライト、SmCO5、YCO5
、CeCO5、PrCO5、Sm2CO17、Nd2Fe14B、Al43、α−Si、SiN4
、CoO、Sb−SnO2、Sb25、MnO2、MnB、Co34、Co3B、LiTa
3、MgO、MgAl24、BeAl24、ZrSiO4、ZnSb、PbTe、GeSi、FeSi2、CrSi2、CoSi2、MnSi1.73、Mg2Si、β−B、BaC、BP、TiB2、ZrB2、HfB2、Ru2Si3、TiO3、PbTiO3、Al2TiO5
Zn2SiO4、Zr2SiO4、2MgO2−Al23−5SiO2、Nb25、Li2O−
Al23−4SiO2、Mgフェライト、Niフェライト、Ni−Znフェライト、Li
フェライト、Srフェライトなどを挙げることができる。これらの無機化合物は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
上述したように、充填材は、粉体、水に分散した水系のゾルもしくはコロイド、またはイソプロピルアルコールなどの極性溶媒やトルエンなどの非極性溶媒に分散した溶媒系のゾルもしくはコロイドなどの形態で使用することができる。溶媒系のゾルもしくはコロイドの場合、無機化合物の分散性によってはさらに水や溶媒にて希釈して用いてもよく、また分散性を向上させるために表面処理して用いてもよい。
これらの充填材の平均粒子径は、通常0.005〜1μm、さらに好ましくは0.01〜0.5μm、特に好ましくは0.01〜0.2μmである。
充填材が水系のゾルもしくはコロイド、または溶媒系のゾルもしくはコロイドである場合、その固形分濃度は通常0重量%を超えて50量%以下、好ましくは0.01重量%以上40重量%以下である。
本発明では、充填材として、特にコロイド状シリカや酸化アルミニウムが好適に用いられる。コロイド状シリカとしては、メタノール分散コロイダルシリカやイソプロパノール分散コロイダルシリカ、メチルイソブチルケトン分散コロイダルシリカ、トルエン分散コロイダルシリカなどの有機溶剤系コロイダルシリカが挙げられる。コロイド状酸化アルミニウムとしては、水分散酸化アルミニウムが挙げられる。
充填材の使用量は、ポリシロキサン組成物の全固形分に対して、固形分換算で通常0重量%を超えて90重量%以下、好ましくは5重量%以上80重量%以下である。充填材の使用量が上記上限を超えると、貯蔵安定性や製膜性が劣ることがある。
また、上記蛍光体としては、たとえば、赤色蛍光体、緑色蛍光体、青色蛍光体、黄色蛍光体などの従来公知の蛍光体を使用することができる。特に、蛍光体として黄色蛍光体を添加すると、発光素子として青色LED素子を用いた白色LED素子の封止材料に適用することができ、蛍光体として紫外線吸収型白色蛍光体を添加すると、発光素子として紫外線LED素子を用いた白色LED素子の封止材料に適用することができる。このとき、上記ポリシロキサン組成物のみを用いて封止材を形成してもよいが、発光素子の近傍の封止材を上記ポリシロキサン組成物から形成し、残りの部分を従来公知のエポキシ樹脂封止材料から形成してもよい。このように、少なくとも発光素子の近傍の封止材を上記ポリシロキサン組成物から形成すると、封止材は、青色LED素子から発せられる近紫外線(波長400〜550nm)や紫外線LED素子から発せられる紫外線(波長350〜400nm)、および熱により劣化することがなく、高輝度環境下においても優れた耐久性を示す
上記シロキサン系縮合物は、通常、有機溶媒と混合し、溶液の状態で使用される。このとき、硬化反応を促進するために触媒を添加してもよい。この触媒としては、脱アルコール反応や加水分解・縮合反応において使用される触媒として例示した化合物が挙げられる。これらのうち、アルコキシアルミニウム、このキレート化物、およびこれらの部分加水分解物、ならびに有機スズ化合物が好ましい。
具体的には、液状の上記ポリシロキサン組成物を基板上などに塗工し、乾燥により溶媒を除去することによりシロキサン系縮合物を硬化させて、硬化体(膜)、好ましくは上記膜厚を有する硬化体(厚膜)を形成することができる。乾燥条件は、使用する乾燥機の性能等により適宜設定されるが、たとえば、乾燥温度は好ましくは70〜250℃、より好ましくは100〜230℃、乾燥時間は好ましくは0.1〜24時間、より好ましくは0.2〜3時間である。また、乾燥温度を多段で変更する多段階乾燥を実施してもよい。
[実施例]
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、この実施例により何ら限定されるものではない。なお、実施例および比較例中の「部」および「%」は、特記しない限り、「重量部」および「重量%」を示す。また、実施例および比較例における各種測定は、下記の方法により行なった。
(1)GPC測定
シロキサンの重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより下記条件で測定したポリスチレン換算値として示した。
装置:HLC−8120C(東ソー社製)
カラム:TSK−gel MultiporeHXL−M(東ソー社製)
溶離液:THF、流量0.5mL/min、負荷量5.0%、100μL
(2)保存安定性
得られたシロキサン系縮合物を含む溶液をポリエチレン製容器内で常温で1ヶ月間密栓保存して、ゲル化の有無を目視により判定した。ゲル化していないものについては東京計器社製のBM型粘度計により粘度測定を行い、下記基準で評価した。
A:保存前後の粘度変化率が20%以下
B:保存前後の粘度変化率が20%超
(3)光透過性
得られたシロキサン系縮合物を含む溶液100重量部に、ジオクチルスズジマレエートエステルのi−ブチルアルコール溶液(固形分濃度約10%)を15部加えて十分に攪拌した後、乾燥膜厚が10μmになるように石英ガラス上に塗布した後、80℃で10分間乾燥硬化させ、次いで150℃で1時間乾燥硬化させて硬化体を作製した。この硬化体について、波長350〜700nmの分光透過率を紫外可視分光光度計により測定し、下記基準で評価した。
A:光透過率が90%超
B:光透過率が70〜90%
C:光透過率が70%未満
(4)耐紫外線性
得られたシロキサン系縮合物を含む溶液100重量部に、ジオクチルスズジマレエートエステルのi−ブチルアルコール溶液(固形分濃度約10%)を15部加えて十分に攪拌した後、乾燥膜厚が10μmになるように石英ガラス上に塗布した。次いで80℃で10分間乾燥硬化させ、さらに150℃で1時間乾燥硬化させて硬化体を作製した。この硬化体に、紫外線LED素子の発光波長に近似させるために波長350nm以下の光をカットしたスポットUV照射装置(ウシオ電機社製:SP−V)を使用して照度5000mW/
cm2の紫外線を200時間照射した。紫外線照射後の硬化体の外観を目視で観察し、下
記基準で評価した。
A:変化なし
B:わずかに変色
C:黄色化した
(5)耐熱性
得られたシロキサン系縮合物を含む溶液100重量部に、ジオクチルスズジマレエートエステルのi−ブチルアルコール溶液(固形分濃度約10%)を15部加えて十分に攪拌した後、乾燥膜厚が10μmになるように石英ガラス上に塗布した。次いで80℃で10分間乾燥硬化させ、さらに150℃で1時間乾燥硬化させて硬化体を作製した。この硬化体を150℃で1000時間保管後の硬化体の外観を目視で観察し、下記基準で評価した。
(色変化)A:変化なし
B:わずかに変色
C:黄色化した
(クラック)A:変化無し
B:少量発生
C:全面に発生
水酸基含有ポリシロキサン(A1)としてMw=3,500のシラノール末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン社製、商品名:YF−3800)50部、アルコキシ基含有シロキサンポリマー(B1)としてMw=2,000のアルコキシ末端シリコーンポリマー(信越化学工業社製、商品名:X40−9225)50部、縮合触媒としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのi−プロピルアルコール溶液(濃度75重量%)0.5部、および溶媒としてメチルイソブチルケトン42部を加えて、70℃で3時間脱アルコール反応させ、部分縮合物を含む溶液を得た。この部分縮合物の重量平均分子量は7,000であった。
次いで、この溶液に、溶媒としてメチルイソブチルケトン55部を加えた後、水2.0部を30分かけて連続的に添加し、さらに70℃で4時間加水分解・縮合反応させた。次いで、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン6部を添加し、70℃で1時間シラノール基のキャッピング反応を行い、固形分濃度約45重量%のシロキサン系縮合物を含む溶液を得た。得られたシロキサン系縮合物の重量平均分子量は11,000(部分縮合物の1.57倍)であった。
得られた溶液を上記方法に従って評価したところ、保存安定性はAであった。また、乾燥膜厚が10μmの厚膜が形成でき、その光透過性はA、耐紫外線性はA、耐熱性−色変化はA、耐熱性−クラックはAであった。
水酸基含有ポリシロキサン(A1)としてMw=23,000のシラノール末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン社製、商品名:YF−3905)61部、アルコキシ基含有シロキサンポリマー(B1)としてMw=2,000のアルコキシ末端シリコーンポリマー(信越化学工業社製、商品名:X40−9225)39部、縮合触媒としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのi−プロピルアルコール溶液(濃度75重量%)0.5部、および溶媒としてメチルイソブチルケトン66部を加えて、70℃で4時間脱アルコール反応させ、部分縮合物を含む溶液を得た。この部分縮合物の重量平均分子量は26,000であった。
次いで、この溶液に、溶媒としてメチルイソブチルケトン52部を加えた後、水1.6部を30分かけて連続的に添加し、さらに70℃で4時間加水分解・縮合反応させた。次いで、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1.3部を添加し、70℃で1時間シラノール基のキャッピング反応を行い、固形分濃度約45重量%のシロキサン系縮合物を含む溶液を得た。得られたシロキサン系縮合物の重量平均分子量は37,000(部分縮合物の1.42倍)であった。
得られた溶液を上記方法に従って評価したところ、保存安定性はAであった。また、乾燥膜厚が10μmの厚膜が形成でき、その光透過性はA、耐紫外線性はA、耐熱性−色変化はA、耐熱性−クラックはAであった。
水酸基含有ポリシロキサン(A1)としてMw=3,500のシラノール末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン社製、商品名:YF−3800)50部、アルコキシ基含有シロキサンポリマー(B1)としてMw=2,000のアルコキシ末端シリコーンポリマー(信越化学工業社製、商品名:X40−9225)50部、縮合触媒としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのi−プロピルアルコール溶液(濃度75重量%)0.5部、および溶媒としてメチルイソブチルケトン42部を加えて、70℃で3時間脱アルコール反応させた。次いで、溶媒としてメチルイソブチルケトン55部、水酸基含有ポリシロキサン(A1)としてMw=2,000のシラノール末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン社製、商品名:XC96−723)14部を加えて、さらに70℃で3時間脱アルコール反応させ、部分縮合物を含む溶液を得た。この部分縮合物の重量平均分子量は14,000であった。
次いで、この溶液に、水2.0部を30分かけて連続的に添加し、さらに70℃で4時間加水分解・縮合反応させた。次いで、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン9.5部を添加し、70℃で1時間シラノール基のキャッピング反応を行い、固形分濃度約45重量%のシロキサン系縮合物を含む溶液を得た。得られたシロキサン系縮合物の重量平均分子量は23,000(部分縮合物の1.64倍)であった。
得られた溶液を上記方法に従って評価したところ、保存安定性はAであった。また、乾燥膜厚が10μmの厚膜が形成でき、その光透過性はA、耐紫外線性はA、耐熱性−色変化はA、耐熱性−クラックはAであった。
攪拌機および還流冷却器を備えた反応器に、水酸基含有ポリシロキサン(A1)としてMw=3500のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:YF−3800)40重量部と、アルコキシ基含有シロキサンオリゴマー(B1’)としてMw=20,000のアルコキシ末端ポリシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:XR31−B2733)60重量部と、トルエン42重量部と、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのイソプロピルアルコール75%希釈液0.2重量部とを入れて混合し、攪拌しながら80℃で3時間脱アルコール反応を行なった。得られた部分縮合物のMwは23,000であった。
次いで、得られた反応液に、メチルイソブチルケトン288重量部、メタノール70重量部、水80重量部およびトリエチルアミン12重量部を添加して、60℃で3時間加水分解・縮合反応を行なった。その後、得られた反応液をシュウ酸で中和し、水相(下層)を除去した後に、水洗と水相除去を3回実施後、溶媒を留去してMw=30,000(部分縮合物の1.30倍)のシロキサン系縮合物を得た。このシロキサン系縮合物にメチルイソブチルケトン100重量部を添加し、固形分濃度50重量%のシロキサン系縮合物を
含む溶液を得た。
得られた溶液を上記方法に従って評価したところ、保存安定性はA、透明性はA、耐候性はA、耐熱性−色変化はA、耐熱性−クラックはAであった。
攪拌機および還流冷却器を備えた反応器に、水酸基含有ポリシロキサン(A1)としてMw=23,000のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:XF−3905)93重量部と、アルコキシ基含有シロキサンオリゴマー(B1’)としてMw=800のアルコキシ末端ポリシロキサン(GE東芝シリコーン(株)製、商品名:XC96−B0446)7重量部と、トルエン42重量部と、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのイソプロピルアルコール75%希釈液0.2重量部とを入れて混合し、攪拌しながら80℃で3時間脱アルコール反応を行なった。得られた部分縮合物の重量平均分子量は24,000であった。
次いで、得られた反応液に、メチルイソブチルケトン288重量部、メタノール70重量部、水80重量部およびトリエチルアミン12重量部を添加して、60℃で3時間加水分解・縮合反応を行なった。その後、得られた反応液をシュウ酸で中和し、水相(下層)を除去した後に、水洗と水相除去を3回実施後、溶媒を留去してMw=30,000(部分縮合物の1.25倍)のシロキサン系縮合物を得た。このシロキサン系縮合物にメチルイソブチルケトン100重量部を添加し、固形分濃度50重量%のシロキサン系縮合物を含む溶液を得た。さらに、この溶液にトルエン53重量部を添加し、上記シロキサン系縮合物を含む、固形分濃度40重量%の上記シロキサン系縮合物を含む溶液を得た。
得られた溶液を上記方法に従って評価したところ、保存安定性はA、透明性はA、耐候性はA、耐熱性−色変化はA、耐熱性−クラックはAであった。
[比較例1]
アルコキシ基含有シロキサンポリマーとしてMw=2,000のアルコキシ末端シリコーンポリマー(信越化学工業社製、商品名:X40−9225)の代わりに、Mw=800のアルコキシ末端シリコーンオリゴマー50部を使用した以外は実施例1と同様にして部分縮合物を含む溶液を得た。この部分縮合物の重量平均分子量は6,500であった。
次いで、この溶液を用いた以外は実施例1と同様にして、シロキサン系縮合物を含む溶液を得た。得られたシロキサン系縮合物の重量平均分子量は13,000(部分縮合物の2.00倍)であった。
得られたシロキサン系縮合物を含む溶液を乾燥膜厚が10μmになるように石英ガラス上に塗布した後、80℃で1時間乾燥硬化させ、さらに150℃で1時間乾燥硬化させたところ、クラックが発生して厚膜を形成できなかった。
[比較例2]
水酸基含有ポリシロキサン(A1)としてMw=23,000のシラノール末端ポリジメチルシロキサン(GE東芝シリコーン社製、商品名:YF−3905)の代わりに、Mw=200,000のシラノール末端ポリジメチルシロキサン61部使用した以外は実施例2と同様にして部分縮合物を含む溶液を得た。この部分縮合物の重量平均分子量は221,000であった。
次いで、この溶液を用いた以外は実施例2と同様にして、シロキサン系縮合物を含む溶液を得た。得られたシロキサン系縮合物の重量平均分子量は297,000(部分縮合物の1.34倍)であった。
得られたシロキサン系縮合物を含む溶液は白濁していた。また、この溶液をポリエチレン製容器内で常温で保存したところ1日後に相分離が観察された。

Claims (15)

  1. (A1)1分子中に2つの水酸基を有し、かつ下記式(1)
    Figure 2006348284
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にある水酸基含有ポリシロキサンと、
    (B1)下記平均組成式(2)
    3 a4 bSiOc(OR5d (2)
    (式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R5はアルキル基であり、R3、R4およびR5がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
    で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜70,000の範囲にあるアルコキシ基含有シロキサンポリマーとを、
    脱アルコール反応させて部分縮合物を形成し、
    次いで、該部分縮合物をさらに加水分解・縮合させることを特徴とするシロキサン系縮合物の製造方法。
  2. 水酸基含有ポリシロキサン(A1)とアルコキシ基含有シロキサンポリマー(B1)とを、完全加水分解縮合物換算の重量比(A1/B1)が1/50〜50/1の範囲で混合して脱アルコール反応させることを特徴とする請求項1に記載のシロキサン系縮合物の製造方法。
  3. 水酸基含有ポリシロキサン(A1)とアルコキシ基含有シロキサンポリマー(B1)とを、モル比(A1/B1)が1/10〜10/1の範囲で混合して脱アルコール反応させることを特徴とする請求項1に記載のシロキサン系縮合物の製造方法。
  4. (A2)1分子中に2つのアルコキシ基を有し、かつ下記式(3)
    Figure 2006348284
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定し
    たポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にあるアルコキシ基含有ポリシロキサンと、
    (B2)下記平均組成式(4)
    3 a4 bSiOc(OH)d (4)
    (式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R3およびR4がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
    で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜70,000の範囲にある水酸基含有シロキサンポリマーとを、
    脱アルコール反応させて部分縮合物を形成し、
    次いで、該部分縮合物をさらに加水分解・縮合させることを特徴とするシロキサン系縮合物の製造方法。
  5. アルコキシ基含有ポリシロキサン(A2)と水酸基含有シロキサンポリマー(B2)とを、完全加水分解縮合物換算の重量比(A2/B2)が1/50〜50/の範囲で混合して脱アルコール反応させることを特徴とする請求項4に記載のシロキサン系縮合物の製造方法。
  6. アルコキシ基含有ポリシロキサン(A2)と水酸基含有シロキサンポリマー(B2)とを、モル比(A2/B2)が1/10〜10/1の範囲で混合して脱アルコール反応させることを特徴とする請求項4に記載のシロキサン系縮合物の製造方法。
  7. (A1)1分子中に2つの水酸基を有し、かつ下記式(1)
    Figure 2006348284
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にある水酸基含有ポリシロキサンと、
    (B1’)下記平均組成式(2)
    3 a4 bSiOc(OR5d (2)
    (式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R5はアルキル基であり、R3、R4およびR5がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
    で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上1,000未満の範囲にあるアルコキシ基含有シロキサンオリゴマーとを、
    完全加水分解縮合物換算の重量比(A1/B1’)が80/20〜99/1の範囲で混合
    して脱アルコール反応させて部分縮合物を形成し、
    次いで、該部分縮合物をさらに加水分解・縮合させることを特徴とするシロキサン系縮合物の製造方法。
  8. (A2)1分子中に2つのアルコキシ基を有し、かつ下記式(3)
    Figure 2006348284
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にあるアルコキシ基含有ポリシロキサンと、
    (B2’)下記平均組成式(4)
    3 a4 bSiOc(OH)d (4)
    (式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R3およびR4がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
    で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上1,000未満の範囲にある水酸基含有シロキサンオリゴマーとを、
    完全加水分解縮合物換算の重量比(A2/B2’)が80/20〜99/1の範囲で混合して脱アルコール反応させて部分縮合物を形成し、
    次いで、該部分縮合物をさらに加水分解・縮合させることを特徴とするシロキサン系縮合物の製造方法。
  9. 前記部分縮合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000〜100,000の範囲にあることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のシロキサン系縮合物の製造方法。
  10. (A1)1分子中に2つの水酸基を有し、かつ下記式(1)
    Figure 2006348284
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にある水酸基含有ポ
    リシロキサンと、
    (B1)下記平均組成式(2)
    3 a4 bSiOc(OR5d (2)
    (式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R5はアルキル基であり、R3、R4およびR5がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
    で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜70,000の範囲にあるアルコキシ基含有シロキサンポリマーとを、
    脱アルコール反応させて形成した部分縮合物を、
    さらに加水分解・縮合させて得られるシロキサン系縮合物。
  11. (A2)1分子中に2つのアルコキシ基を有し、かつ下記式(3)
    Figure 2006348284
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にあるアルコキシ基含有ポリシロキサンと、
    (B2)下記平均組成式(4)
    3 a4 bSiOc(OH)d (4)
    (式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R3およびR4がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
    で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜70,000の範囲にある水酸基含有シロキサンポリマーとを、
    脱アルコール反応形成した部分縮合物を、
    さらに加水分解・縮合させて得られるシロキサン系縮合物。
  12. (A1)1分子中に2つの水酸基を有し、かつ下記式(1)
    Figure 2006348284
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価
    の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にある水酸基含有ポリシロキサンと、
    (B1’)下記平均組成式(2)
    3 a4 bSiOc(OR5d (2)
    (式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R5はアルキル基であり、R3、R4およびR5がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
    で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上1,000未満の範囲にあるアルコキシ基含有シロキサンオリゴマーとを、
    完全加水分解縮合物換算の重量比(A1/B1’)が80/20〜99/1の範囲で混合して脱アルコール反応させて形成した部分縮合物を、
    さらに加水分解・縮合させて得られるシロキサン系縮合物。
  13. (A2)1分子中に2つのアルコキシ基を有し、かつ下記式(3)
    Figure 2006348284
    (式中、R1およびR2は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R1およびR2がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。)
    で表される繰り返し単位を有し、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500〜70,000の範囲にあるアルコキシ基含有ポリシロキサンと、
    (B2’)下記平均組成式(4)
    3 a4 bSiOc(OH)d (4)
    (式中、R3およびR4は、それぞれ独立に、水素原子、または置換もしくは無置換の1価の炭化水素基であり、R3およびR4がそれぞれ複数存在する場合には互いに同じであっても異なっていてもよく、aおよびbはそれぞれ独立に0以上1未満かつa+bは0を超えて2未満、cは0を超えて2未満、dは0を超えて4未満、かつa+b+c×2+d=4である)
    で表され、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が500以上1,000未満の範囲にある水酸基含有シロキサンオリゴマーとを、
    完全加水分解縮合物換算の重量比(A2/B2’)が80/20〜99/1の範囲で混合して脱アルコール反応形成した部分縮合物を、
    さらに加水分解・縮合させて得られるシロキサン系縮合物。
  14. 前記部分縮合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000〜100,000の範囲にあることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載のシロキサン系縮合物。
  15. ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量が、前記部分縮合物のGPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量の1.1〜100倍の範囲にあることを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載のシロキサン系縮合物。

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