JP2009280692A - 金属表面用コート材および発光装置、並びに金属表面保護方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 金属表面用コート材は、式:R1 nSi(OR2 )4-n で表されるオルガノシラン、これの加水分解物およびこれの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物(a1)と、加水分解性基および/または水酸基が結合したケイ素原子を含有するシリル基を有し、メチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を50質量%以上含有する重合体(a2)とを加水分解・縮合反応させて得られる重合体(A)を含有することを特徴とする。〔ただし、式中、nは0〜2の整数、R1 は炭素数1〜8の1価の有機基を示し、n=2である場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。R2 はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示す。〕
【選択図】 図1
Description
本発明の別の目的は、高輝度化および長寿命化が図られた発光装置を提供することにある。
〔一般式(1)中、nは0〜2の整数であり、R1 は、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、n=2である場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。R2 は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示す。〕
で表されるオルガノシラン、当該オルガノシランの加水分解物および当該オルガノシランの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物(a1)と、加水分解性基および/または水酸基が結合したケイ素原子を含有するシリル基を有し、メチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を50質量%以上含有する重合体(a2)とを加水分解・縮合反応させて得られる重合体(A)を含有することを特徴とする。
本発明の金属表面用コート材を構成する有機無機ハイブリッドポリマー(A)は、具体的には、特定シラン化合物(a1)と特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)とを含有する混合物に、加水分解・縮合反応を促進する触媒と水とを添加して調製されることが好ましい。
本発明に用いられる特定シラン化合物(a1)は、下記一般式(1)で表されるオルガノシラン(以下、「オルガノシラン(1)」ともいう。)、オルガノシラン(1)の加水分解物およびオルガノシラン(1)の縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物であって、これら3種のシラン化合物のうち、1種のシラン化合物だけを用いてもよく、任意の2種のシラン化合物を混合して用いてもよく、または3種すべてのシラン化合物を混合して用いてもよい。また、特定シラン化合物(a1)としてオルガノシラン(1)を使用する場合、オルガノシラン(1)は1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。また、上記オルガノシラン(1)の加水分解物および縮合物は、1種のオルガノシラン(1)から形成されたものであってもよく、2種以上のオルガノシラン(1)から形成されたものであってもよい。
〔一般式(1)中、nは0〜2の整数であり、R1 は、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、n=2である場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。R2 は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示す。〕
アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、ベンゾイル基、トリオイル基、カプロイル基などのアシル基;
ビニル基、アリル基、シクロヘキシル基、フェニル基、エポキシ基、グリシジル基、(メタ)アクリルオキシ基、ウレイド基、アミド基、フルオロアセトアミド基、イソシアネート基などが挙げられる。
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、i−プロピルトリメトキシシラン、i−プロピルトリエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ブチルトリエトキシシラン、n−ペンチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−ヘプチルトリメトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシエチルトリエトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、2−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリメトキシシラン、3−ヒドロキシプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシランなどのトリアルコキシシラン類(一般式(1)においてn=1);
ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、ジ−n−プロピルジメトキシシラン、ジ−n−プロピルジエトキシシラン、ジ−i−プロピルジメトキシシラン、ジ−i−プロピルジエトキシシラン、ジ−n−ブチルジメトキシシラン、ジ−n−ブチルジエトキシシラン、ジ−n−ペンチルジメトキシシラン、ジ−n−ペンチルジエトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−ヘキシルジエトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジメトキシシラン、ジ−n−ヘプチルジエトキシシラン、ジ−n−オクチルジメトキシシラン、ジ−n−オクチルジエトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジメトキシシラン、ジ−n−シクロヘキシルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシランなどのジアルコキシシラン類(一般式(1)においてn=2);
メチルトリアセチルオキシシラン(一般式(1)においてn=1)、ジメチルジアセチルオキシシラン(一般式(1)においてn=2)などが挙げられる。
3官能性のシラン化合物の含有量が過多である場合は、得られる有機無機ハイブリッドポリマー(A)が貯蔵安定性に劣ったものとなるおそれがあり、一方、3官能性のシラン化合物の含有量が過少である場合は、得られる金属表面用コート材による保護膜が硬化性および硫黄バリア性に劣ったものとなるおそれがある。
なお、本明細書において、「完全加水分解縮合物」とは、オルガノシラン(1)のOR2 基が100%加水分解してSiOH基となり、さらに完全に縮合してシロキサン構造になったものをいう。
nの平均値が0.5未満である場合は、得られる有機無機ハイブリッドポリマー(A)が貯蔵安定性に劣ったものとなるおそれがあり、nの平均値が1.9を超える場合は、得られる金属表面用コート材による保護膜が硬化性および硫黄バリア性に劣ったものとなるおそれがある。
なお、これは、特定シラン化合物(a1)として加水分解物または縮合物を使用した場合も同様である。
本発明に係る有機無機ハイブリッドポリマー(A)を構成する特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)は、特定のシリル基を有し、メチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を50質量%以上含有するものである。特定のシリル基は分子鎖の末端および/または側鎖に存在することが好ましい。
特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)におけるメチル(メタ)アクリレート由来の構成単位が50質量%未満である場合は、得られる金属表面用コート材による保護膜が硫黄バリア性の低いものとなって変色・黒色化を抑制する能力が著しく低いものとなる。
特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)における特定のシリル基の含有量が0.1質量%未満である場合は、得られる有機無機ハイブリッドポリマー(A)が特定シラン化合物(a1)との共有結合部位の少ないものとなり、また、得られる金属表面用コート材が、残存する特定のシリル基が少ないものとなるため、これによる保護膜が金属表面の十分な保護効果を発揮することができないおそれがある。一方、特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)における特定のシリル基の含有量が5質量%を超える場合は、得られる金属表面用コート材が保管時にゲル化してしまうおそれがある。
〔一般式(2)中、Xはハロゲン原子、アルコキシル基、アセトキシ基、フェノキシ基、チオアルコキシル基、アミノ基などの加水分解性基または水酸基を示し、R3 は水素原子、炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアラルキル基を示し、iは1〜3の整数である。〕
〔一般式(3)中、X、R3 、iはそれぞれ上記一般式(2)におけるX,R3 ,iと同義であり、R4 は重合性二重結合を有する有機基を示す。〕
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、i−アミル(メタ)アクリレート、へキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルメタクリレートなどの(メタ)アクリレート化合物;
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどの多官能性単量体;
(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミドなどの酸アミド化合物;
塩化ビニル、塩化ビニリデン、脂肪酸ビニルエステルなどのビニル化合物;
1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−ネオペンチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、イソプレン、アルキル基、ハロゲン原子、シアノ基などの置換基で置換された置換直鎖共役ペンタジエン類、直鎖状および側鎖状の共役ヘキサジエンなどの脂肪族共役ジエン;
アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物;
トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオクチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有単量体;
4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジンなどのピペリジン系モノマー;
2−(2’−ヒドロキシ−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メタクリロキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、2−ヒドロキシ−4−(メタクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(アクリロイルオキシエトキシ)ベンゾフェノンなどの紫外線吸収モノマー;
ジカプロラクトンなどが挙げられる。これらは、1種単独あるいは2種以上を併用して用いることができる。
CH2 =CHSi(CH3 )(OCH3 )2 、CH2 =CHSi(OCH3 )3 、
CH2 =CHSi(CH3 )Cl2 、CH2 =CHSiCl3 、
CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2 、
CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(OCH3 )3 、
CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2 、
CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(OCH3 )3 、
CH2 =CHCOO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2 、
CH2 =CHCOO(CH2 )2 SiCl3 、
CH2 =CHCOO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2 、
CH2 =CHCOO(CH2 )3 SiCl3 、
CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )(OCH3 )2 、
CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(OCH3 )3 、
CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )(OCH3 )2 、
CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(OCH3 )3 、
CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2 、
CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )2 SiCl3 、
CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 Si(CH3 )Cl2 、
CH2 =C(CH3 )COO(CH2 )3 SiCl3 、
CH2 =CHCH2 −O−CO−C6 H6 −CO−O−(CH2 )3 Si(OCH3 )3 、
CH2 =CHCH2 −O−CO−C6 H6 −CO−O−(CH2 )2 Si(CH3 )Cl2 、
CH2 =CHCH2 −O−CO−C6 H6 −CO−O−(CH2 )3 SiCl3 を挙げることができる。これらは、1種単独であるいは2種以上を併用して用いることができる。
本発明においては、特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)として、上記のようにして重合されたものに加えて、特定のシリル基を含有するエポキシ樹脂、特定のシリル基を含有するポリエステル樹脂などの他の特定のシリル基を含有する重合体を使用することもできる。特定のシリル基を含有するエポキシ樹脂は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂肪族ポリグリシジルエーテル、脂肪族ポリグリシジルエステルなどのエポキシ樹脂中のエポキシ基に、特定のシリル基を有するアミノシラン類、ビニルシラン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類などを反応させることにより製造することができる。また、特定のシリル基を含有するポリエステル樹脂は、例えば、ポリエステル樹脂中に含有されるカルボキシル基や水酸基に、特定のシリル基を有するアミノシラン類、カルボキシシラン類、グリシジルシラン類などを反応させることにより製造することができる。
本発明の金属表面用コート材を構成する有機無機ハイブリッドポリマー(A)は、特定シラン化合物(a1)と特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)とを加水分解・縮合反応させることにより調製される。特に、特定シラン化合物(a1)と特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)との混合物に、加水分解・縮合反応を促進する触媒(以下、「加水分解・縮合反応用触媒」という。)と水とを添加して共縮合させることにより、調製することが好ましい。
原料比が上記の範囲内にあることにより、透明性や耐候性に優れた保護膜を形成できる金属表面用コート材が得られる。一方、特定シラン化合物(a1)の含有量が過少である場合は、得られる金属表面用コート材による保護膜が金属表面の十分な保護効果を発揮できずに金属表面が変色・黒色化し、LEDがその使用条件下における十分な耐久性が得られないものとなるおそれがある。特定シラン化合物(a1)の含有量が過多である場合は、得られる金属表面用コート材による保護膜がガス透過性の高いものとなるおそれやクラックが発生するおそれがある。
(1)特定シラン化合物(a1)と特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)と加水分解・縮合反応用触媒との混合液に下記に詳述する範囲の量の水を加え、温度40〜80℃、反応時間0.5〜12時間で特定シラン化合物(a1)と特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)とを共縮合させ、有機無機ハイブリッドポリマー(A)を調製する。その後、必要に応じて、安定性向上剤などの他の添加剤を加えてもよい。
本発明においては、特定シラン化合物(a1)および特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)の加水分解・縮合反応の促進のために、当該特定シラン化合物(a1)および特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)の混合物に加水分解・縮合反応用触媒を添加することが好ましい。加水分解・縮合反応用触媒を使用することにより、架橋度の高い有機無機ハイブリッドポリマー(A)が得られると共に、オルガノシラン(1)の重縮合反応により生成するポリシロキサンが分子量の大きなものとなり、結果として、強度、長期耐久性などに優れた保護膜を形成することができ、かつ金属表面にコーティングした際の硫黄バリア性も高くなる。さらに、加水分解・縮合反応用触媒を使用することにより、特定シラン化合物(a1)と特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)との反応が促進されて有機無機ハイブリッドポリマー(A)に十分な反応サイト(アルコキシ基)が形成され、この有機無機ハイブリッドポリマー(A)を例えば銀メッキ部の表面にコーティングし硬化させて保護膜を形成すると、シロキサン結合が形成されて架橋度が高い保護膜が形成されて優れた硫黄バリア性が発現されると共に、銀メッキ部の表面に吸着することによって当該銀メッキ部の表面の変色を抑制できると推定される。
塩基性化合物としては、アンモニア(アンモニア水溶液を含む。)、有機アミン化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属やアルカリ土類金属の水酸化物、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどのアルカリ金属のアルコキシドが挙げられる。これらのうち、アンモニアおよび有機アミン化合物が好ましい。
アルキルアミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、N,N−ジメチルアミン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジプロピルアミン、N,N−ジブチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミンなどの炭素数1〜4のアルキル基を有するアルキルアミンなどが挙げられる。
酸性化合物としては、有機酸および無機酸が挙げられる。
有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、無水マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、メタンスルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸などが挙げられる。
無機酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸などが挙げられる。
塩化合物としては、ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン酸、炭酸などのアルカリ金属塩などが挙げられる。
金属キレート化合物としては、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物(以下、有機金属化合物および/またはその部分加水分解物をまとめて、「有機金属化合物類」という。)が挙げられる。
〔一般式(4)中、Mは、ジルコニウム、チタンおよびアルミニウムからなる群からを選択される少なくとも1種の金属原子を表し、R5 およびR6 は、それぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6個の1価の炭化水素基を表し、R7 は、前記炭素数1〜6個の1価の炭化水素基、または、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16個のアルコキシル基を表し、rおよびsは、それぞれ独立に、(r+s)=(Mの原子価)の関係を満たす0〜4の整数である。〕
テトラ−i−プロポキシチタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどの有機チタン化合物;
トリ−i−プロポキシアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウム、ジ−i−プロポキシ・アセチルアセトナートアルミニウム、i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどの有機アルミニウム化合物が挙げられる。
などのカルボン酸型有機スズ化合物;
などのメルカプチド型有機スズ化合物;
などのスルフィド型有機スズ化合物;
などのクロライド型有機スズ化合物;
などが挙げられる。
加水分解・縮合反応用触媒が有機金属化合物類である場合は、特定シラン化合物(a1)100質量部(オルガノシラン(1)の完全加水分解縮合物換算)に対して、通常100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは0.1〜80質量部、さらに好ましくは0.5〜50質量部である。
加水分解・縮合反応用触媒の使用量が過多である場合は、得られる有機無機ハイブリッドポリマー(A)が保管時にゲル化が発生するなど保存安定性の低いものとなるおそれがあり、得られる保護膜の架橋度が過度に高くなってクラックが発生することがある。
本発明において、有機無機ハイブリッドポリマー(A)を調製する際に特定シラン化合物(a1)と特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)との混合物に水を添加する場合は、添加される水の量は、特定シラン化合物(a1)中の全てのOR2 基1モルに対して、通常0.1〜1.0モルであることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.8モル、さらに好ましくは0.25〜0.6モルである。
水の添加量が上記の範囲内にある場合は、得られる金属表面用コート材がゲル化の発生しにくい良好な貯蔵安定性を示す。また、水の添加量が上記の範囲内にある場合は、得られる有機無機ハイブリッドポリマー(A)が十分に架橋されたものとなり、このような有機無機ハイブリッドポリマー(A)を含む金属表面用コート材を用いることによって、硫黄バリア性などの金属表面保護性に優れた保護膜を形成することができる。
本発明においては、特定シラン化合物(a1)と特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)とを有機溶媒中で加水分解・縮合反応させてもよい。このとき、特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)の調製時に使用した有機溶媒をそのまま使用することもでき、特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)の調製時に使用した有機溶媒を除去し、新たに有機溶媒を添加してもよい。また、有機無機ハイブリッドポリマー(A)調製時の固形分濃度を調整するために、必要に応じて有機溶媒を添加することもできる。
有機無機ハイブリッドポリマー(A)調製時の固形分濃度が10質量%未満になる場合は、特定シラン化合物(a1)と特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)との反応性が低下することがある。一方、有機無機ハイブリッドポリマー(A)調製時の固形分濃度が60質量%を超える場合は、得られる金属表面用コート材が保管時にゲル化してしまうおそれがある。なお、ここで言う固形分濃度における固形分量は、特定シラン化合物(a1)の完全加水分解縮合物換算の使用量(Wa1)と特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)の固形分換算の使用量(Wa2)の総量である。
本発明の金属表面用コート材は、有機無機ハイブリッドポリマー(A)の保存安定性などを向上させるために、有機無機ハイブリッドポリマー(A)に、必要に応じて下記一般式(6)で表されるβ−ジケトン類、β−ケトエステル類、カルボン酸化合物、ジヒドロキシ化合物、アミン化合物およびオキシアルデヒド化合物からなる群から選択される少なくとも1種の化合物よりなる安定性向上剤を添加することが好ましい。
一般式(6):R10COCH2 COR11
〔一般式(6)中、R10は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基などの炭素数1〜6個の1価の炭化水素基を表し、R11は、前記炭素数1〜6個の1価の炭化水素基、または、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ラウリルオキシ基、ステアリルオキシ基などの炭素数1〜16個のアルコキシル基を表す。〕
これらの安定性向上剤は、1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の金属表面用コート材は、シリカなどの金属酸化物よりなる粒子(以下、「金属酸化物粒子(B)」という。)を、有機無機ハイブリッドポリマー(A)に分散させた状態に配合させた構成を有していてもよい。
金属酸化物粒子(B)を配合することにより、得られる金属表面コート材による保護膜が、十分な耐熱性などの耐久性が得られると共にガス拡散効果によりガス透過性の極めて低いものとなる。
これらの金属酸化物粒子(B)の1次粒子径は、通常0.0001〜1μmであることが好ましく、より好ましくは0.001〜0.5μm、特に好ましくは0.002〜0.2μmである。
金属酸化物粒子(B)がゾル状またはコロイド状の形態で添加される場合は、その固形分濃度は通常50量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.01〜40質量%である。
また、溶剤に分散されたコロイダルシリカとしては、日産化学工業社製のイソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤分散コロイダルシリカ、メチルイソブチルなどのケトン系溶剤分散コロイダルシリカ、トルエンなどの非極性溶剤分散コロイダルシリカなどが挙げられる。
金属酸化物粒子(B)の使用量は、有機無機ハイブリッドポリマー(A)の固形分に対して、固形分換算で通常80質量%以下であることが好ましく、好ましくは5〜50質量%である。
本発明においては、以上のように得られた有機無機ハイブリッドポリマー(A)または有機無機ハイブリッドポリマー(A)および金属酸化物粒子(B)との混合物そのものを金属表面用コート材として金属表面に適用してもよいが、有機溶媒で希釈して固形分の含有量を調整したものを金属表面用コート材として用いてもよい。
使用できる有機溶媒としては、アルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などを挙げることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレンモノメチルエーテルアセテート、ジアセトンアルコールなどを挙げることができる。また、芳香族炭化水素類としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられ、エーテル類としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられ、ケトン類としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどが挙げられ、エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレン、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ノルマルプロピル、乳酸イソプロピル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチルなどが挙げられる。これらの有機溶剤は、1種単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
本発明の発光装置は、以上の金属表面用コート材により表面をコートされた銀メッキ部材などの金属メッキ部材および/または銀電極などの金属電極を有するものであり、具体的には、例えば図1に示されるように、銀電極55およびLED素子よりなる発光素子50の表面が金属表面コート材によりコートされて保護膜53が形成された発光ダイオード(LED)が挙げられる。なお、図において、51は封止材、52は蛍光体、56は発光素子50を収納するハウジングである。
このLEDは、図2に示されるように、ハウジング56に対して金属表面用コート材による保護膜53を形成させてこれを硫黄などから保護する構成とすることもできる。
また、図3に示されるように、保護膜53中に蛍光体52を含有させ、発光素子50から発せられた光を変換させる構成とすることもできる。
LED素子としては、青色LED素子、白色LED素子、紫外LED素子などを用いることができる。
本発明の金属表面用コート材を金属部材の表面に塗布して保護膜を形成することにより、変色や黒色化などから当該金属部材を保護することができる。
金属表面用コート材は、例えば、LEDパッケージ中に直接キャスト(ポッティング)し、例えば120℃で1時間乾燥させることにより保護膜を製膜することができる。また、スプレー塗装、ディップ塗装、スピンコートなどのコーティング方法によって保護膜を製膜することもできる。塗布膜厚は、乾燥膜厚で1〜200μm、好ましくは10〜100μmとなる厚みとすることが好ましい。
装置:HLC−8120C(東ソー社製)
カラム:TSK−gel MultiporeHXL−M(東ソー社製)
溶離液:THF
流量:0.5mL/min
負荷量:5.0%、100μL
還流冷却器および撹拌機を備えた反応器に、メチルメタクリレート92部、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5部、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン3部、i−ブチルアルコール26部、酢酸ブチル109部よりなる組成物〔X〕を加えて混合した後、撹拌しながら80℃に加温した。この混合物にアゾビスイソバレロニトリル2部をキシレン8部に溶解した溶液を30分間かけて滴下した後、80℃で5時間反応させた。冷却後、固形分濃度が40%、GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が8,000である、特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体〔1〕を含有する溶液〔1〕を得た。
特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体(a2)の調製例1において、組成物〔X〕としてメチルメタクリレート92部、ブチルアクリレート130部、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5部、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6、6−テトラメチルピペリジン3部、γ―メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン5部、i-ブチルアルコール26部、酢酸ブチル109部よりなるものを用いたことの他は同様の操作を行なうことにより、固形分濃度が40%、GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が8,000である、特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体〔2〕を含有する溶液〔2〕を得た。
撹拌機および還流冷却器を備えた反応器に、特定シラン化合物としてメチルトリメトキシシラン61部およびジメチルジメトキシシラン32部、特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体として上記の溶液〔1〕160部、有機溶媒としてi−プロピルアルコール53部、酢酸ブチル3部、並びに加水分解・縮合反応用触媒としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのi−プロピルアルコール50%希釈液3部を加えて混合し、撹拌しながら50℃に昇温した。これに水を8部(特定シラン化合物中の全てのOR2 基1モルに対して0.40モルに相当)を30分間かけて滴下した後、60℃で4時間反応させ、GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が13,000である、無機含有量が50質量%の有機無機ハイブリッドポリマーを含有する本発明に係る組成物〔1〕を得、この組成物〔1〕に、安定性向上剤としてアセチルアセトン2部を加えて1時間撹拌した後、室温まで冷却し、希釈溶媒としてメチルイソブチルケトンを固形分濃度が20質量%になるまで添加して、金属表面用コート材〔1〕を得た。
この金属表面用コート材〔1〕100部に対し、固形分濃度15質量%のジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウムのイソプロピルアルコール溶液5部を加えてよく撹拌した後に、乾燥膜厚が100μmとなるように市販の表面実装型のLEDパッケージ(銀メッキ付)に仕込み、100℃で1時間乾燥させることにより、銀黒色化抑制能評価用サンプル〔1〕を作製した。
実施例1において、特定シラン化合物としてメチルトリメトキシシラン3部およびジメチルジメトキシシラン3部、特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体として上記の溶液〔1〕217部、有機溶媒としてi−プロピルアルコール50部、並びに加水分解・縮合反応用触媒としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのi−プロピルアルコール50%希釈液3部を用いたことの他は同様の操作を行なうことにより、GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が13,000である、無機含有量が5質量%の有機無機ハイブリッドポリマーを含有する本発明に係る組成物〔2〕を得、この組成物〔2〕に、安定性向上剤としてアセチルアセトン2部を加えて1時間撹拌した後、室温まで冷却し、希釈溶媒としてメチルイソブチルケトンを固形分濃度が20質量%になるまで添加して、金属表面用コート材〔2〕を得た。
この金属表面用コート材〔2〕100部に対し、固形分濃度15質量%のジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウムのイソプロピルアルコール溶液5部を加えてよく撹拌した後に、乾燥膜厚が100μmとなるように市販の表面実装型のLEDパッケージ(銀メッキ付)に仕込み、100℃で1時間乾燥させることにより、銀黒色化抑制能評価用サンプル〔2〕を作製した。
実施例1において、特定シラン化合物としてメチルトリメトキシシラン58部およびジメチルジメトキシシラン55部、特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体として上記の溶液〔1〕23部、有機溶媒としてi−プロピルアルコール8部、酢酸ブチル51部、並びに加水分解・縮合反応用触媒としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのi−プロピルアルコール50%希釈液10部を用いたことの他は同様の操作を行なうことにより、GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が13,000である、無機含有量が90質量%の有機無機ハイブリッドポリマーを含有する本発明に係る組成物〔3〕を得、この組成物〔3〕に、安定性向上剤としてアセチルアセトン2部を加えて1時間撹拌した後、室温まで冷却し、希釈溶媒としてメチルイソブチルケトンを固形分濃度が20質量%になるまで添加して、金属表面用コート材〔3〕を得た。
この金属表面用コート材〔3〕100部に対し、固形分濃度15質量%のジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウムのイソプロピルアルコール溶液5部を加えてよく撹拌した後に、乾燥膜厚が100μmとなるように市販の表面実装型のLEDパッケージ(銀メッキ付)に仕込み、100℃で1時間乾燥させることにより、銀黒色化抑制能評価用サンプル〔3〕を作製した。
撹拌機および冷却管を備えた反応器に、特定シラン化合物としてメチルトリメトキシシラン61部およびジメチルジメトキシシラン32部、特定シリル基含有メチル(メタ)アクリレート由来重合体として上記の溶液〔2〕160部、有機溶媒としてi−プロピルアルコール53部、酢酸ブチル3部、並びに加水分解・縮合反応用触媒としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのi−プロピルアルコール50%希釈液3部を加えて混合し、撹拌しながら50℃に昇温した。これに水を8部(特定シラン化合物中の全てのOR2 基1モルに対して0.40モルに相当)を30分間かけて滴下した後、60℃で4時間反応させ、GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が13,000である、無機含有量が50質量%の有機無機ハイブリッドポリマーを含有する組成物〔4〕を得、この組成物〔4〕に、安定性向上剤としてアセチルアセトン2部を加えて1時間撹拌した後、室温まで冷却し、希釈溶媒としてメチルイソブチルケトンを固形分濃度が20質量%になるまで添加して、金属表面用コート材〔4〕を得た。
この金属表面用コート材〔4〕100部に対し、固形分濃度15質量%のジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウムのイソプロピルアルコール溶液5部を加えてよく撹拌した後に、乾燥膜厚が100μmとなるように市販の表面実装型のLEDパッケージ(銀メッキ付)に仕込み、100℃で1時間乾燥させることにより、銀黒色化抑制能評価用サンプル〔4〕を作製した。
撹拌機および冷却管を備えた反応器に、特定シラン化合物としてメチルトリメトキシシラン63部およびジメチルジメトキシシラン30部、有機溶媒としてi−プロピルアルコール55部、並びに加水分解・縮合反応触媒としてジ−i−プロポキシ・エチルアセトアセテートアルミニウムのi−プロピルアルコール50%希釈液6部を加えて混合し、撹拌しながら50℃に昇温した。これに水を14部(特定シラン化合物中の全てのOR2 基1モルに対して0.40モルに相当)を30分間かけて滴下した後、60℃で4時間反応させ、GPC法により測定した重量平均分子量(Mw)が30,000である、無機含有量が100質量%の有機無機ハイブリッドポリマーを含有する組成物〔5〕を得、この組成物〔5〕に、安定性向上剤としてアセチルアセトン7部を加えて1時間撹拌した後、室温まで冷却し、希釈溶媒としてメチルイソブチルケトンを固形分濃度が20質量%になるまで添加して、金属表面用コート材〔5〕を得た。
この金属表面用コート材〔5〕100部に対し、固形分濃度15質量%のジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウムのイソプロピルアルコール溶液5部を加えてよく撹拌した後に、乾燥膜厚が100μmとなるように市販の表面実装型のLEDパッケージ(銀メッキ付)に仕込み、100℃で1時間乾燥させることにより、銀黒色化抑制能評価用サンプル〔5〕を作製した。
組成物〔1〕〜〔5〕について、それぞれ、ポリエチレン製の容器内で常温で1ヶ月間密栓保存した後、ゲル化の有無を目視により判定し、さらにゲル化していないものについては東京計器社製のBM型粘度計により25℃で粘度測定を行い、下記の評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A:保存前後の粘度変化率が20%以下。
B:保存前後の粘度変化率が20%より大きい。
組成物〔1〕〜〔5〕を用いて、それぞれ、乾燥膜厚が100μmになるよう石英ガラス板上に塗布した後、100℃で1時間乾燥し、次いで120℃で1時間乾燥することにより、硬化膜を作成し、これらの硬化膜を120℃で500時間保管した後、硬化膜の外観を目視で観察し、色の変化およびクラックの各項目について、下記の評価基準に従って評価した。
−評価基準−
(色の変化)
A:変化なし。
B:わずかに変色。
C:黄変した。
(クラック)
A:変化なし。
B:少量発生。
C:全面に発生。
組成物〔1〕〜〔5〕を用いて、それぞれ、乾燥膜厚が100μmになるよう石英ガラス板上に塗布した後、100℃で1時間乾燥し、次いで120℃で1時間乾燥することにより、硬化膜を作成し、これらの硬化膜に波長350nm以下の光をカットしたスポットUV照射装置「SP−VII 」(ウシオ電機社製)を使用して照度5000mW/cm2 の紫外線を500時間照射した後、硬化膜の外観を目視で観察し、下記の評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A:変化なし。
B:黄変色した。
C:黒く焼け焦げた。
銀黒色化抑制能評価用サンプル〔1〕〜〔5〕について、それぞれ、容積150cm3 の耐圧容器内において硫化鉄0.06gおよび硫酸0.20gを混合後、直ちにサンプルを仕込み密閉し(硫化水素の理論濃度10vol%)、この耐圧容器を120℃で5時間加熱した後、冷却し、サンプルを取出し、当該サンプルの銀メッキの外観を観察し、下記の評価基準に従って評価した。
−評価基準−
A:変化なし。
B:僅かに変色した。
C:黒く変色した。
51 封止材
52 蛍光体
53 保護膜
55 銀電極
56 ハウジング
Claims (7)
- 一般式(1):R1 nSi(OR2 )4-n
〔一般式(1)中、nは0〜2の整数であり、R1 は、炭素数1〜8の1価の有機基を示し、n=2である場合には互いに同じであっても異なっていてもよい。R2 は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜6のアシル基を示す。〕
で表されるオルガノシラン、当該オルガノシランの加水分解物および当該オルガノシランの縮合物からなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物(a1)と、加水分解性基および/または水酸基が結合したケイ素原子を含有し、シリル基を有するメチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を50質量%以上含有する重合体(a2)とを加水分解・縮合反応させて得られる重合体(A)を含有することを特徴とする金属表面用コート材。 - 重合体(A)が、前記シラン化合物(a1)と前記シリル基を有し、メチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を50質量%以上含有する重合体(a2)とを、シラン化合物(a1)の完全加水分解縮合物換算の含有量(Wa1)とシリル基を有し、メチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を50質量%以上含有する重合体(a2)の固形分換算の含有量(Wa2)との質量比(Wa1/Wa2)が90/10〜15/85の範囲において加水分解・縮合反応させて得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の金属表面用コート材。
- 前記シリル基を有し、メチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を50質量%以上含有する重合体(a2)における加水分解性基および/または水酸基が結合したケイ素原子を含有するシリル基の含有量が、当該シリル基を有し、メチル(メタ)アクリレート由来の構成単位を50質量%以上含有する重合体(a2)におけるケイ素原子の含有量が0.1〜5質量%となる量であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の金属表面用コート材。
- 銀メッキ部材の表面に適用されることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の金属表面用コート材。
- 銀電極の表面に適用されることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の金属表面用コート材。
- 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の金属表面用コート材により表面をコートされた銀メッキ部材および/または銀電極を有することを特徴とする発光装置。
- 金属表面に請求項1〜請求項3のいずれかに記載の金属表面用コート材を塗布して保護膜を形成することにより、前記金属表面を保護することを特徴とする金属表面保護方法。
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