JP5808224B2 - 非浸透性印刷媒体への印刷方法及びインクセット - Google Patents

非浸透性印刷媒体への印刷方法及びインクセット Download PDF

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Description

本発明は、水性インクを用いて非浸透性印刷媒体へ印刷するための方法及び該方法に用いられるインクセットに関する。
インクジェットプリンタは手軽にフルカラー印刷を行うことができ、紙以外の非浸透性印刷媒体へのプリントも可能となっている。かかる非浸透性印刷媒体を用いた印刷物としては、シール、ラベル、ポスター、掲示板、屋外用のサインディスプレイ、バスラッピングなどが挙げられ、かかる印刷物では、耐候性、耐水性の他、強固なインク定着性が要求される。現在、耐候性、耐水性及びインク定着性を満たすために、印刷物表面に透明シートをラミネートすることが行われているが、コストアップにつながる点で問題がある。
これらの用途に従来使用されている非浸透性印刷媒体としては、軟質塩化ビニルシートが一般的であるが、更なる耐候性、耐熱性、環境適性等を満たすためにポリエチレンテレフタレート(PET)シートの使用が要望される場合も多い。しかし、PETシートは塩化ビニルシートより耐熱性及び環境適性は優れているとしても、インクの定着性に劣る。
かかる非浸透性印刷媒体への印刷に従来使用されているインクとしては、色材として顔料を含有するUVインク(特許文献1)や低沸点溶剤系インク(特許文献2)などの油性インクが代表的であるが、これらはUV照射装置や排気設備等の追加設備を必要とし、また、溶剤やモノマーの安全性や臭気等の環境適性の問題を抱えている。
これに対し、水性インクは、環境適性の問題は少なく、上記のような追加設備も必要としない点で有利である。色材として顔料を含有する水性インクには、顔料を分散剤で分散したもの、顔料自体に親水性基を付けた自己分散型顔料を使用したもの、水不溶性ポリマーの微粒子中に顔料を含有させて水に分散させたカプセル化顔料を使用したものがある。分散剤で分散した顔料は、長期の分散安定性に劣るという欠点がある。また、自己分散型顔料は、分散安定性に問題はないが、耐水性に劣るという欠点がある。これに対し、カプセル化顔料は、保存安定性と耐水性に優れている点で有利である。
また、水性インクの顔料定着性を向上させる方法として、従来、水溶性樹脂や、非水溶性樹脂の水性エマルションをインク中に添加することが提案されている(特許文献3及び4)。しかし、水溶性樹脂は、耐水性に劣り、インクジェットインクの場合は吐出安定性を損なうおそれがある。また、非水溶性樹脂の水性エマルションは、耐水性はあるが、保存安定性に劣り、インクジェットインクの場合はヘッド内に放置した際のノズルの目詰まりを生じさせるおそれがあり、吐出性回復等の問題がある。これに対し、カプセル化顔料は、カプセル樹脂に定着性能を付与させることができ、追加の樹脂成分をインク中に含ませる必要がなく、インクジェットインクの場合も保存安定性に優れ、吐出性も良い点で有利である。
しかし、上記の方法で顔料定着性を向上させた水性インクでPETシートに印刷した場合でも、シールやラベル用途で要求されるインク定着性、すなわち、爪で擦っても画像が剥がれない程十分に強固な定着性を確保することは難しかった。
特開2002−241654号公報 特開2005−330460号公報 特開平10−245513号公報 特開平4−18462号公報
本発明の目的は、顔料としてカプセル化顔料を含有する水性インクを用いてPETシート等の非浸透性印刷媒体に印刷した場合に、爪で擦っても画像が剥離しない程十分に強固なインク定着性を達成することにある。
本発明者等は、上記目的の下に鋭意研究した結果、PETシート等の非浸透性印刷媒体をアミン系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤又はポリエチレンイミンを含有する前処理剤で表面処理した後、エポキシ基を含有する樹脂でカプセル化された顔料を色材として備える水性インクで前記処理表面に印刷を行うことにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一局面によれば、アミン系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤又はポリエチレンイミンを含有する前処理剤で表面処理した非浸透性印刷媒体の処理表面上に、エポキシ基を含有する樹脂でカプセル化された顔料を色材として備える水性インクで画像を形成することを特徴とする非浸透性印刷媒体への印刷方法が提供される。なお、インクの定着性を高めるために、水性インクで前記処理表面上に画像を形成した後、更に該画像を加熱してもよい。
本発明の他の局面によれば、非浸透性印刷媒体へ印刷するためのインクセットであって、アミン系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤又はポリエチレンイミンを含有する前処理剤と、エポキシ基を含有する樹脂でカプセル化された顔料を色材として備える水性インクとを少なくとも含むことを特徴とするインクセットが提供される。
本発明の好ましい実施形態によれば、前記前処理剤、特に、アミン系シランカップリング剤又はビニル系シランカップリング剤を含有する前処理剤で表面処理する前に非浸透性印刷媒体の表面はコロナ処理又はエキシマUV処理される。
本発明の他の好ましい実施形態によれば、前記前処理剤はポリエチレンイミンとカチオン性又はノニオン性水性樹脂エマルションとの混合物からなる。
本発明によれば、非浸透性印刷媒体をアミン系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤又はポリエチレンイミンを含有する前処理剤で表面処理した後、エポキシ基を含有する樹脂でカプセル化された顔料を色材として備える水性インクで前記処理表面に印刷を行うこととしたので、印刷媒体表面の前処理剤とカプセル化樹脂のエポキシ基とが反応して強固に結合して、インク定着性が顕著に改善されるとともに、耐水性、耐候性及び耐擦過性に優れた印刷物が得られる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」及び「(メタ)アクリレート」はそれぞれ「アクリル及び/又はメタアクリル」及び「アクリレート及び/又はメタアクリレート」を意味する。
(1)水性インク
本発明で使用する水性インクは、エポキシ基を含有する樹脂でカプセル化された顔料を色材として備える。
エポキシ基を含有する樹脂でカプセル化された顔料は、顔料を被覆する樹脂がエポキシ基を含有している限り、特に限定されない。かかるカプセル化顔料は、酸析再溶解法、転相法、ミニエマルション重合法などにより製造することができる。このうち、エポキシ基の導入の容易さの観点から、ミニエマルション重合法が好ましい。
酸析再溶解法は、アニオン性基含有樹脂を中和した水性媒体中に顔料を分散し、該水性媒体のpHを酸性にすることで樹脂と顔料を析出させるとともに顔料に樹脂を固着させた後、塩基性化合物を用いてアニオン性基を中和させてカプセル化顔料を水性媒体中に再溶解させる方法であり、例えば、特開平9−151342号公報に記載されている。
転相法は、アニオン性基含有樹脂の有機溶媒溶液中に顔料を分散し、塩基性化合物を添加した後、超音波を照射しながら水を加えて転相乳化を行い、その後溶剤を留去させる方法であり、例えば、特開平9−151342号公報に記載されている。
ミニエマルション重合法は、油溶性ラジカル重合性モノマー中に顔料と、水に対する溶解度がモノマーより低いハイドロホーブとを加えた顔料分散体を作製した後、この顔料分散体を水中に乳化し、そのままラジカル重合することにより顔料を樹脂で被覆したカプセル化顔料を作る方法であり、例えば、特開2001−131213号公報、特開2008−163059号公報などに記載されている。この方法では、上記油溶性ラジカル重合性モノマー中にエポキシ基を含むビニル系モノマーを含有させることにより、本発明で使用するカプセル化顔料が得られる。
ミニエマルション重合法で使用されるエポキシ基を含むビニル系モノマーとしては、グリシジルメタクリレート、3,4エポキシシクロヘキシルメチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、アクリルグリシジルエーテル、ビニルグリシジルエーテル等が挙げられる。エポキシ基を含むビニル系モノマー以外のラジカル重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸(n−、i−、t−)ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル又はシクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシブチル等の(メタ)アクリル酸のアルコキシアルキルエステル;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素アルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル、スチレン、α−クロロスチレン、アクリロニトリル等を挙げることができる。さらに、ラジカル重合性モノマーに、1分子中にアクリロイル基又はメタクリロイル基を2つ以上有するラジカル重合性オリゴマーを含有させてもよい。かかるラジカル重合性オリゴマーとしては、例えば、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート及びポリエステルアクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。顔料分散体の乳化を容易にするために、さらに、公知の乳化剤を添加してもよい。
上記油溶性ラジカル重合性モノマーは、顔料分散体の粘度調整するために、さらに、ラジカル重合性を有しない有機溶剤を含有してもよい。かかる有機溶剤は、水に溶解せず、上記モノマー及びオリゴマーと混和性のものであれば特に限定されないが、重合後の除去を容易にするために、低沸点非水溶性有機溶剤であることが好ましい。低沸点非水溶性有機溶剤としては、沸点が100℃以下のものが好ましい。具体例としては、ケトン系溶剤、エステル系溶剤(例えば酢酸エチル)が挙げられる。かかる有機溶剤は、上記オリゴマー、モノマー及び顔料からなる顔料分散体が低粘度であれば入れる必要はない。しかし、溶液の粘度が低いほど顔料の分散性が向上し、O/W型エマルションの油相粒子の粒径を小さくできるので、かかる有機溶剤の添加は有用である。かかる有機溶剤の配合量は、上記顔料分散体全体100質量%として、0〜80質量%であることが好ましい。
本発明において、顔料としては、無機顔料及び有機顔料の何れも使用できる。具体的には、カーボンブラック、カドミウムレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などが好適に使用できる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用してもよい。
上記のようにして得られたカプセル化顔料の水分散体は、そのまま水性インクとして使用することもできるが、インクジェットインクとして使用する場合は、該水分散体に含まれる粗粒や重合中に生成したエマルション粒子の凝集物を除く必要がある。したがって、上記のようにして得られたカプセル化顔料の水分散体を、遠心分離機やフィルター等にかけることによって、インクジェットインクを調製することができる。
また、インクジェットインクの表面張力をインクの吐出に適した40mN/m以下に調整するために、上記のようにして得られたカプセル化顔料の水分散体に、界面活性剤や追加の溶剤を添加することもできる。また、インクジェットインクの保存安定性や機上安定性を向上させるため、または、インク粘度を調整するために、高沸点水溶性有機溶剤(グリセリン、グリコール系溶剤、グリコールエーテル系溶剤)を加えてもよい。
(2)前処理剤
本発明では、上記水性インクで印刷を行う前に、非浸透性印刷媒体の表面を予めアミン系シランカップリング剤を含有する前処理剤、ビニル系シランカップリング剤を含有する前処理剤又はポリエチレンイミンを含有する前処理剤で表面処理する必要がある。この表面処理のために、アミン系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤又はポリエチレンイミンを適当な溶媒に溶解した前処理液を使用することができる。溶媒としては、水、酢酸水溶液等が挙げられる。前処理液中のシランカップリング剤又はポリエチレンイミンの濃度は、1〜30質量%が好ましい。
アミン系シランカップリング剤としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンとその部分加水分解物、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩等が挙げられる。
ビニル系シランカップリング剤としては、例えばビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルエトキシシラン等が挙げられる。
ポリエチレンイミンとしては、分子量300〜70000のポリエチレンイミンが好ましく用いられる。前処理剤がポリエチレンイミンを含有する場合、その定着性を高めるために、前処理剤にカチオン性又はノニオン性水性樹脂エマルションを混合することが好ましい。カチオン性水性樹脂エマルションの例としては、ハイドランCP7050、ハイドランCP7610(DIC製)、スーパーフレックス620、スーパーフレックス650(第一工業製薬製)アローベースCB1200(ユニチカ製)、ビニブラン2651(日信化学製)等が挙げられる。ノニオン性水性樹脂エマルションの例としては、スーパーフレックス、スーパーフレックス500M、スーパーフレックスE2000、スーパーフレックスE4000(第一工業製薬製)、ボンディック2210、ボンディック2220(DIC製)、ビニブラン2685(日信化学製)等が挙げられる。
(3)印刷方法
本発明の印刷方法は、非浸透性印刷媒体を上記前処理剤で表面処理した後、上記水性インクを用いて上記処理表面に印刷等の方法で画像を形成することにより実施することができる。そして、形成された画像を加熱することにより、上記処理表面とインクとの間の反応を促進させ、強固なインク定着性を達成することができる。加熱方法としては、印刷媒体を高温に保持された室に放置する、印刷媒体に熱風を当てる、熱したロールの下に印刷媒体を搬送させるなど、既存の方法を用いることができる。
前処理剤を用いた非浸透性印刷媒体の表面処理は、刷毛、ローラー、バーコーター等を使用して印刷媒体の表面に前処理液を均一にコーティングすることによって行ってもよく、または、インクジェット印刷及びグラビア印刷などの印刷手段によって印刷媒体表面を全体的又は部分的に処理してもよい。前処理された非浸透性印刷媒体の表面は、印刷前に乾燥しておくことが好ましい。乾燥方法としては、印刷媒体を高温に保持された室に放置する、印刷媒体に熱風を当てる、熱したロールの下に印刷媒体を搬送させるなど、既存の方法を用いることができる。
水性インクを用いた画像形成方法は、特に限定されるものではないが、グラビア印刷、孔版印刷、インクジェット印刷等の各種印刷方法を使用することができる。
また、インクジェット印刷によって前処理液を印刷媒体へ印刷した後、インクジェット印刷によって水性インクを該印刷媒体上の前処理液に重ねて印刷することによっても、本発明の印刷方法を実施することができる。
本発明の印刷方法とりわけインクジェット印刷方法を容易に実施できるように、上記前処理液と油性インクを少なくとも含むインクセットを構成して販売すると好都合である。
本発明において、非浸透性印刷媒体は、特に限定されるものではなく、塩化ビニル、PET、ポリカーボネートなどのプラスチックからなる樹脂フィルム、OHPシート、ディスクなどの他、金属板などが使用できる。
なお、本発明においては、前処理剤、特にアミン系シランカップリング剤又はビニル系シランカップリング剤を含有する前処理剤で表面処理する前に、非浸透性印刷媒体の表面をコロナ放電処理又はエキシマUV照射処理しておくことが好ましい。かかる処理を行うことにより、前処理剤と印刷媒体との密着性を強固なものとし、インク定着性を一層強固にすることができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1
(1)カプセル化顔料分散体の作製
下記の成分を下記の配合量で混合し、ビーズミルで分散して、顔料分散体を得た。
カーボンブラック(MA11(商品名)三菱化学製) 7g
顔料分散剤(ソルスパース32000(商品名)ルーブリゾール社製) 2g
1,9−ノナンジオールジアクリレートモノマー(共栄社化学製) 2g
4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルモノマー
(日本化成製) 2g
ウレタンオリゴマー UV3200(商品名;日本合成製) 2g
酢酸エチル(和光純薬製) 30g
合計 45g
(2)O/W型エマルションの調製工程
下記の成分を下記の配合量で混合し、水相を得た。
水(蒸留水) 52g
反応性乳化剤(アクアロンKH-10(商品名)第一工業製薬製) 1g
ポリエチレングリコールモノメタクリレート(PE200(商品名)日本油脂製) 2g
合計 55g
上記(1)で得られた顔料分散体45g中に、開始剤(アゾビスイソブチロニトリル)0.1gを加えた後、上記水相中に加え、超音波分散機にて乳化して、O/W型ミニエマルションを得た。
(3)O/W型エマルションの重合工程
上記(2)で作製したO/W型エマルションを窒素雰囲気下70℃に加熱し攪拌を4時間行い、カプセル化顔料の微粒子の水分散体を作製した。
(4)溶媒の除去工程
上記(3)で作製したカプセル化顔料の微粒子の水分散体をエバボレーターで減圧加熱して酢酸エチルを除去した。
(5)インクの製造工程
上記(4)で得たカプセル化顔料の微粒子の水分散体を20000Gで6分間遠心分離し、凝集物・粗粒を除去し、下記の成分を下記の配合量で混合し、インクを作成した。
上記で得られたカプセル化顔料の微粒子の水分散体 80g
ジエチレングリコール 19g
サーフィノール465(商品名;エアープロダクツ製) 1g
合計 100g
(6)PETシートの前処理
2%酢酸水溶液にアミン系シランカップリング剤N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランKBM603(商品名;信越化学工業(株)製)を10%希釈したものを前処理剤として用意した。
50μmPETシートをコロナ放電処理した後、該前処理剤を4millバーコーターで塗布し、120℃10分加熱乾燥した。
(7)水性インクによる印刷
上記(6)で前処理したPETシートの表面に、上記(5)で作製した水性インクを用いて市販のインクジェットプリンター(エプソン社製)で印字後、120℃20分間加熱乾燥した。
(8)印刷画像の評価
上記(7)で得られた印刷物のインク定着性を下記の方法で評価した。結果を表1に示す。
(8−1)指擦り
指先にティッシュをつけ画像を強く擦り、下記基準に従い評価した。
評価基準:
○:ティッシュが汚れない。
×:ティッシュに薄く色が付く。
(8−2)湿摩擦
クロックメータに水で濡らした綿布を取り付け10往復させ、下記基準に従い評価した。
評価基準:
○:綿布は汚れない。
△:綿布に薄く色が付く。
×:綿布が色で汚れる。
(8−3)爪擦り
画像に爪を立て強く擦り、下記基準に従い評価した。
評価基準:
○:画像に変化無し。
△:画像が若干剥がれる。
×:画像が剥がれる。
実施例2
実施例1の(1)の顔料分散体作製時に、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルモノマーに代えてグリシジルメタクリレートモノマーを使用し、カプセル化顔料分散体を作製した以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例3
実施例1の(6)のPETシートの前処理の際に行ったコロナ処理を除いた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例4
実施例1の(6)のPETシートの前処理におけるアミン系シランカップリング剤KBM603の代わりにビニル系シランカップリング剤ビニルトリエトキシシランKBM1003(商品名;信越化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
実施例5
実施例1の(6)のPETシートの前処理の際に行ったコロナ処理の代わりエキシマUV処理を行った以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1の(1)の顔料分散体作製時に4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルモノマーを使用せずにカプセル化顔料分散体を作製し、また、PETシートを前処理を行わずそのまま使用した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例2
実施例1の(1)の顔料分散体作製時に4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルモノマーを使用せずにカプセル化顔料分散体を作製した以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例3
実施例1の(6)のPETシートの前処理において、コロナ処理だけ行い、前処理剤を使用しなかった以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例4
実施例1の(6)のPETシートの前処理において、アミン系シランカップリング剤KBM603の代わりにエポキシ系シランカップリング剤3−グリシドキシプロピルトリエトキシシランKBE403(商品名;信越化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例5
実施例1の(6)のPETシートの前処理において、アミン系シランカップリング剤KBM603の代わりにメタクリロキシ系シランカップリング剤3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランKBM503(商品名;信越化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
比較例6
実施例1の(6)のPETシートの前処理において、アミン系シランカップリング剤KBM603の代わりにメルカプト系シランカップリング剤3−メルカプトプロピルトリメトキシシランKBM803(商品名;信越化学工業(株)製)を用いた以外は、実施例1と同様に行った。結果を表1に示す。
Figure 0005808224
表1の結果から、実施例1〜5では、PETシートをアミン系シランカップリング剤又はビニル系シランカップリング剤で表面処理し、水性インクの色材としてエポキシ基を含有する樹脂でカプセル化された顔料を用いたので、インク定着性、特に、爪擦りの耐性に優れていた。これに対し、比較例1〜6では、シランカップリング剤及び顔料の少なくとも一方が本発明の要件を充足しないので、インク定着性、特に、湿摩擦又は爪擦りの耐性に劣っていた。
実施例6
実施例1の(6)のPETシートの前処理において、アミン系シランカップリング剤KBM603の代わりに、エポミンP1000(日本触媒(株)製)1部とカチオン性水性樹脂エマルション(スーパーフレックス620(第一工業製薬(株)製))9部とを混合したポリエチレンイミン系前処理剤を用意し、該前処理剤を8millバーコーターで50μmPETシートに塗布した後、乾燥させた。これ以外は、実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
実施例7
実施例1の(1)の顔料分散体作製時に、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルモノマーに代えてグリシジルメタクリレートモノマーを使用し、カプセル化顔料分散体を作製した以外は実施例6と同様に行った。結果を表2に示す。
実施例8
カチオン性水性樹脂エマルションの代わりにノニオン性水性樹脂エマルション(ボンディック2220(DIC(株)製)を使用した以外は実施例6と同様に行った。結果を表2に示す。
比較例7
前処理剤としてエポミンP1000(日本触媒(株)製)を使用せずにカチオン性樹脂エマルション(スーパーフレックス620(第一工業製薬(株)製))10部のみを使用した以外は実施例6と同様に行った。結果を表2に示す。
比較例8
実施例1の(1)の顔料分散体作製時に、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルモノマーを使用せずに、カプセル化顔料分散体を作製した以外は実施例6と同様に行った。結果を表2に示す。
Figure 0005808224
表2の結果から、実施例6〜8では、PETシートをポリエチレンイミン系前処理剤で表面処理し、水性インクの色材としてエポキシ基を含有する樹脂でカプセル化された顔料を用いたので、インク定着性に優れていた。これに対し、比較例1及び2では、前処理剤及び顔料の少なくとも一方が本発明の要件を充足しないので、インク定着性、特に、湿摩擦の耐性に劣っていた。
本発明は、PETシート等の非浸透性印刷媒体に対するインク定着性に優れた水性インクによる印刷方法を提供するので、水性インクを用いた印刷の分野、特にインクジェット印刷の分野で利用できる。

Claims (9)

  1. アミン系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤又はポリエチレンイミンを含有する前処理剤で表面処理した非浸透性印刷媒体の処理表面上に、エポキシ基を含有する樹脂でカプセル化された顔料を色材として備える水性インクで画像を形成することを特徴とする非浸透性印刷媒体への印刷方法。
  2. 前記水性インクで前記処理表面上に画像を形成した後、更に該画像を加熱することを特徴とする請求項1に記載の非浸透性印刷媒体への印刷方法。
  3. 前記前処理剤で表面処理する前に非浸透性印刷媒体の表面をコロナ処理又はエキシマUV処理する請求項1または請求項2に記載の印刷方法。
  4. 前記前処理剤がポリエチレンイミンとカチオン性又はノニオン性水性樹脂エマルションとの混合物からなる請求項1又は請求項2に記載の印刷方法。
  5. 前記カプセル化顔料は、ミニエマルション重合法により作製されたものである請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の印刷方法。
  6. 非浸透性印刷媒体へ印刷するためのインクセットであって、アミン系シランカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤又はポリエチレンイミンを含有する前処理剤と、エポキシ基を含有する樹脂でカプセル化された顔料を色材として備える水性インクとを少なくとも含むことを特徴とするインクセット。
  7. 予めコロナ処理又はエキシマUV処理された非浸透性印刷媒体の表面に印刷するために用いられる請求項6に記載のインクセット。
  8. 前記前処理剤がポリエチレンイミンとカチオン性又はノニオン性水性樹脂エマルションとの混合物からなる請求項6に記載のインクセット。
  9. 前記カプセル化顔料は、ミニエマルション重合法により作製されたものである請求項6〜請求項8の何れか1項に記載のインクセット。
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