JP5808173B2 - 蒸気タービン - Google Patents

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Description

本発明の実施形態は、蒸気タービンに関する。
蒸気タービンの効率向上の観点から、現在、温度が600℃程度の主流蒸気を用いた蒸気タービンが実用化されている。蒸気タービンの効率をさらに向上させるため、主流蒸気の温度を700〜750℃程度にすることが検討され、開発が進められている。
このような蒸気タービンにおいては、主流蒸気が高温であるため、構成部品によっては耐熱合金で構成することが必要となる。例えば、翼植込部などの大きな応力が発生する部位では、耐久性の向上のため、耐熱合金で構成されること以外に、効率よく冷却することができる冷却構造を備えることが必要になる。そのため、高温となる構成部品を効率よく冷却するための技術が検討されている。
特開平11−200801号公報
軸方向挿入翼根部形式の動翼を備える、従来の蒸気タービンの冷却構造においては、冷却蒸気は、ダイアフラム内輪とタービンロータとの間、および動翼のシャンク部とこの動翼が植設されたロータディスクの先端との間に形成される溝である冷却蒸気通路を通過して、下流段のタービン段落へ流入する。この際、冷却蒸気の一部は、冷却蒸気通路を通過せずに、主蒸気が流れる蒸気流路に流入する。
例えば、冷却蒸気が流れる流れ場の圧力バランスが変化すると、冷却蒸気通路に流入する冷却蒸気の流量が設定された流量よりも低下し、蒸気流路に流入する冷却蒸気の流量が増加することがある。そのため、動翼やタービンロータを十分に冷却できないとともに、蒸気流路への冷却蒸気の流入量が増加して、タービン効率が低下する。
本発明が解決しようとする課題は、冷却する構成部品に確実に冷却蒸気を導入し、構成部品を十分に冷却することができる蒸気タービンを提供するものである。
実施形態の蒸気タービンは、ケーシングと、前記ケーシングの内周側に、周方向に沿って設けられたダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間に支持された複数の静翼と、タービンロータ軸方向に沿う複数の翼溝を周方向に亘って形成してなる翼車を備えるタービンロータと、翼高さ方向に沿って順に翼根部および翼有効部を備え、各前記翼溝に前記翼根部の一部が植設され、前記タービンロータの軸方向に前記静翼と交互に配設された複数の動翼とを備える。前記動翼は、前記翼根部の上流側の端面の少なくとも一部に形成され、前記翼車の上流側の端面よりも上流側に突出する突出端部を備える。
そして、周方向に隣接する前記動翼のそれぞれの前記突出端部によって、上流側と下流側の両端および下方が開口し、両側部および上方が前記突出端部で囲まれたタービンロータ軸方向に延びる樋状の冷却蒸気誘導部を形成する。この冷却蒸気誘導部に流入した冷却蒸気は、前記翼車の外周端面と、周方向に隣接する前記動翼のそれぞれの前記翼根部とによって形成される空隙部からなる冷却蒸気流路に誘導される。
第1の実施の形態の蒸気タービンの、タービンロータの中心軸を含む断面(子午断面)を示す図である。 第1の実施の形態の蒸気タービンの動翼の斜視図である。 第1の実施の形態の蒸気タービンの動翼の側面図である。 第1の実施の形態の蒸気タービンの動翼が翼溝に植設された状態を示す斜視図である。 第1の実施の形態の蒸気タービンの動翼が翼溝に植設された状態をタービンロータ軸方向の上流側から見たときの平面図である。 第1の実施の形態の蒸気タービンの、タービンロータの中心軸を含む断面(子午断面)の一部を拡大した図であり、図5のA−A断面に相当する断面を示している。 第1の実施の形態の蒸気タービンにおいて、隣接する動翼における突出端部の内周端面の位置がそれぞれ異なる動翼が翼溝に植設された状態をタービンロータ軸方向の上流側から見たときの平面図である。 第2の実施の形態の蒸気タービンの、タービンロータの中心軸を含む断面(子午断面)を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の、タービンロータ30の中心軸を含む断面(子午断面)を示す図である。図2は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の動翼40の斜視図である。図3は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の動翼40の側面図である。図4は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の動翼40が翼溝に植設された状態を示す斜視図である。
また、図5は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の動翼40が翼溝に植設された状態をタービンロータ軸方向の上流側から見たときの平面図である。図6は、第1の実施の形態の蒸気タービン10の、タービンロータ30の中心軸を含む断面(子午断面)の一部を拡大した図であり、図5のA−A断面に相当する断面を示している。
なお、以下において、同一の構成部分には同一の符号を付して、重複する説明を省略または簡略する。また、以下において、蒸気タービン10として、中圧タービンを例示して説明するが、高温高圧の蒸気が供給される、高圧タービン、さらには超高圧タービンにも本実施の形態の構成を適用することができる。
図1に示すように、蒸気タービン10は、ケーシング20を備え、このケーシング20内に、タービンロータ30が貫設されている。なお、ケーシング20は、一重構造のケーシングであっても、内部ケーシングとその外側に設けられた外部ケーシングとから構成される二重構造のケーシングであってもよい。
タービンロータ30のロータディスク31には、タービンロータ軸方向に沿う複数の翼溝32を周方向に亘って形成することで構成される翼車33を備えている(図4および図5参照)。
翼車33間の翼溝32には、動翼40の翼根部41が植設される。動翼40は、例えば、図2〜図5に示すように、翼高さ方向に沿って順に翼根部41、翼有効部42およびシュラウド43を備えている。なお、この動翼40は、翼車33の凹状の翼溝32に、タービンロータ30の軸方向に挿入される、いわゆる軸方向挿入翼根部形式の動翼である。
翼根部41は、タービンロータ30の翼溝32に挿入される植込部44と、この植込部44と翼有効部42との間に形成されるシャンク部45とを備えている。
植込部44は、軸方向挿入翼根部形式の嵌め合い凹凸形状を有し、その凹凸形状は、タービンロータ30の翼溝32の形状に対応している。この嵌め合い凹凸形状によって、動翼40が、タービンロータ30の半径方向へ抜けることを防止している。
また、翼車33の下流端には、翼溝32側に突出して、動翼40の植込部44が下流側へ抜けることを防止する突起部(図示しない)が設けられている。そのため、動翼40に下流側への負荷がかかった場合においても、動翼40は、翼溝32から抜けることはない。
図2〜図5に示すように、動翼40は、翼根部41の上流側の端面の一部に、動翼40を植設した際に、翼車33の上流側の端面33aよりも上流側に突出する突出端部46を備えている。この突出端部46は、シャンク部45側の植込部44の少なくとも一部およびシャンク部45の少なくとも一部に形成されている。なお、図2〜図5では、シャンク部45側の植込部44の一部およびシャンク部45全体に突出端部46を備えた一例を示している。
ここで、図5に示すように、動翼40が翼溝32に植設された状態では、翼車33の外周端面33bと、周方向に隣接する動翼40のそれぞれの翼根部41とにより、タービンロータ軸方向に貫通する空隙部が形成される。この空隙部は、いわゆるバランス溝であり、冷却蒸気の冷却蒸気流路50として機能する。
また、周方向に隣接する動翼40のそれぞれの突出端部46が接触することにより、タービンロータ軸方向の両端、および下方が開口した樋状の冷却蒸気誘導部60を構成している。この冷却蒸気誘導部60は、冷却蒸気流路50に連通している。
冷却蒸気誘導部60は、翼車33の上流側の端面33aよりも上流側に突出して構成されるため、例えば、前方からまたは下方から流れてきた冷却蒸気を冷却蒸気流路50に誘導するための流路を構成する。これにより、冷却蒸気流路50に、適量の冷却蒸気を流すことができ、動翼40や翼車33を的確に冷却することができる。
ここで、図5に示すように、突出端部46の内周端面46aにおける周方向幅の中心における半径方向位置R1は、翼車33の外周端面33bにおける周方向幅の中心における半径方向位置R2と同じか、または翼車33の外周端面33bにおける周方向幅の中心における半径方向位置R2よりも半径方向内側となるように構成されることが好ましい。
例えば、図5に示すように、植込部44の係合段部47a、47b、47cを3段備える場合、突出端部46を、係合段部47aまで、係合段部47bまで、または係合段部47cまで(すなわち植込部44の内周端まで)構成してもよい。
一方、突出端部46の外周端面46bにおける周方向幅の中心における半径方向位置R3は、冷却蒸気流路50の外周端面50aにおける周方向幅の中心における半径方向位置R4よりも半径方向外側となるように構成される。なお、図2〜図6では、突出端部46の外周端面46bをシャンク部45の外周端面とした一例が示されている。
上記した動翼40の植込部44は、図4および図5に示すように、各翼溝32に上流側からタービンロータ軸方向に挿入され、動翼翼列を構成する。この動翼翼列は、タービンロータ30の軸方向に複数段形成されている。
上記したような、突出端部46を備える動翼40は、タービン段落の中でも高温の蒸気に曝される、例えば、上流から第3段までのタービン段落に備えられることが好ましい。突出端部46を備える動翼40は、例えば、タービン段落の入口蒸気温度、すなわち静翼23における入口蒸気温度が、例えば600〜750℃となるタービン段落に形成されることが好ましい。
また、ケーシング20の内側には、図1および図6に示すように、ダイアフラム外輪21およびダイアフラム内輪22が周方向に沿って設けられている。ダイアフラム外輪21とダイアフラム内輪22との間には、周方向に複数の静翼23が支持され、静翼翼列を構成している。この静翼翼列は、タービンロータ30の軸方向に動翼翼列と交互に複数段配設され、静翼翼列と動翼翼列とからなる複数のタービン段落を形成している。
ダイアフラム内輪22の内周には、ラビリンスシール24が設けられ、ダイアフラム内輪22と、タービンロータ30との間からの蒸気の漏洩を抑制している。
また、ダイアフラム内輪22には、図1および図6に示すように、冷却蒸気流路50に対向する開口を有する、冷却蒸気を噴出する冷却蒸気噴出孔70が形成されている。冷却蒸気噴出孔70は、冷却蒸気流路50に対向する位置に、ダイアフラム内輪22の周方向に複数形成されている。
この冷却蒸気噴出孔70に冷却蒸気を導く冷却蒸気導入流路71は、ダイアフラム内輪22に支持された静翼23、この静翼23を支持するダイアフラム外輪21、およびケーシング20を介して形成されている。冷却蒸気導入流路71は、例えば、配管や貫通孔を組み合わせることなどによって構成される。そして、冷却蒸気導入流路71には、冷却蒸気を供給する冷却蒸気供給管(図示しない)が接続されている。
冷却蒸気としては、他の蒸気タービンから抽気された蒸気、他の蒸気タービンから排気された蒸気、ボイラから抽気された蒸気などを使用することができる。蒸気タービン10が、中圧タービンである場合は、冷却蒸気として、例えば高圧タービンから抽気された蒸気を使用することができる。また、蒸気タービン10が、高圧タービンである場合は、冷却蒸気として、例えばボイラから抽気された蒸気を使用することができる。
なお、冷却蒸気の温度は、冷却する動翼40やタービンロータ30などの構成部品に大きな熱応力が発生しない程度の温度に設定されることが好ましい。冷却蒸気の温度としては、冷却蒸気を供給する蒸気タービンの仕様によって変更可能であり、例えば、400℃程度に設定することができる。
また、冷却蒸気の供給圧力は、冷却蒸気噴出孔70から噴出される冷却蒸気の圧力が、蒸気流路25における圧力よりも高くなるように設定される。すなわち、冷却蒸気の供給圧力は、冷却蒸気噴出孔70から蒸気流路25に、確実に冷却蒸気を噴出することができる程度に設定される。なお、このような冷却蒸気を導入する冷却蒸気導入機構は、突出端部46を備える動翼40が配設されたタービン段落に設けられる。
また、図1に示すように、第1段の動翼40が備えられる位置よりも外部側(図1では左側)のケーシング20の内周には、周方向に沿って複数のグランドラビリンスシール26が設けられている。さらに、この周方向に設けられたグランドラビリンスシール26の列は、タービンロータ軸方向に沿って複数段設けられ、ケーシング20とタービンロータ30との間における、蒸気の外部への漏洩を防止している。
また、蒸気タービン10には、ケーシング20を連通するように、蒸気入口管27が備えられている。外部からの蒸気が、この蒸気入口管27によって蒸気タービン10内に導入され、主蒸気として蒸気流路25に導入される。
次に、上記したような冷却構造を備える蒸気タービン10の作用について説明する。
図1に示すように、蒸気入口管27から蒸気タービン10内に導入された蒸気は、第1段の静翼23に導かれ、第1段の動翼40に向けて噴出される。そして、蒸気は、静翼23と動翼40を備える蒸気流路25を流動し、膨張仕事をしながらタービンロータ30を回転させる。最終段の動翼40を通過した蒸気は、排気流路(図示しない)を通り蒸気タービン10の外部へ排気される。
冷却蒸気供給管(図示しない)から冷却蒸気導入流路71を介して冷却蒸気噴出孔70に導入された冷却蒸気は、対向する冷却蒸気流路50に向けて噴出される。噴出された冷却蒸気は、冷却蒸気誘導部60によって周囲への拡散が抑制され、冷却蒸気流路50に誘導される。
冷却蒸気流路50に誘導された冷却蒸気は、動翼40や翼車33などを冷却しながら、下流のタービン段落に流入する。下流のタービン段落に流入した冷却蒸気の一部は、ラビリンスシール24とタービンロータ30との間を下流側へ流れ、ロータディスク31の表面に沿って流れる。そして、冷却蒸気誘導部60によって誘導され、冷却蒸気流路50に流れ込む。
この際、冷却蒸気誘導部60が、翼車33の上流側の端面33aよりも上流側に突出、すなわち、ロータディスク31の上流側の端面よりも上流側に突出しているため、ロータディスク31の表面に沿って流れる冷却蒸気を冷却蒸気誘導部60内に導き易い構成となっている。
なお、この下流のタービン段落においても、突出端部46を備える動翼40が配置されている場合には、上流のタービン段落から流れ込んだ冷却蒸気以外にも、上記したように、冷却蒸気噴出孔70から噴出された冷却蒸気が冷却蒸気誘導部60を介して冷却蒸気流路50に誘導される。
そして、突出端部46を備える動翼40が配置された最下流のタービン段落を通過した後、冷却蒸気は、蒸気流路25に流れ込む。
このように、タービンロータ30および動翼40を冷却蒸気によって冷却することができる。
上記したように、第1の実施の形態の蒸気タービン10によれば、供給された冷却蒸気の蒸気流路25への流入を抑制して、冷却する構成部品に確実に冷却蒸気を導入することができる。そのため、冷却する構成部品を的確に効率よく冷却することができる。
なお、第1の実施の形態の蒸気タービン10における動翼40の突出端部46の構成は、上記した構成に限られるものではない。図7は、第1の実施の形態の蒸気タービン10において、隣接する動翼40における突出端部46の内周端面46aの位置がそれぞれ異なる動翼40が翼溝に植設された状態をタービンロータ軸方向の上流側から見たときの平面図である。
周方向に隣接する動翼40において、一方の動翼40と、それに隣接する他方の動翼40とにおける、突出端部46の内周端面46aにおける周方向幅の中心における半径方向位置を異なるように構成してもよい。
具体的には、図7に示すように、隣接する一方の動翼40の突出端部46の内周端面46aにおける周方向幅の中心における半径方向位置R1は、図5を参照して説明した場合と同様に構成される。すなわち、半径方向位置R1は、翼車33の外周端面33bにおける周方向幅の中心における半径方向位置R2と同じか、または翼車33の外周端面33bにおける周方向幅の中心における半径方向位置R2よりも半径方向内側となるように構成される。
一方、他方の動翼40の突出端部46の内周端面46aにおける周方向幅の中心における半径方向位置R5は、翼車33の外周端面33bにおける周方向幅の中心における半径方向位置R2と同じか、またはその位置よりも半径方向外側で、かつ冷却蒸気流路50の外周端面50aにおける周方向幅の中心における半径方向位置R4と同じか、あるいはその位置よりも半径方向内側となるように構成される。図7では、半径方向位置R5が、半径方向位置R2と半径方向位置R4との間に位置する一例を示している。
このように、動翼40の突出端部46の内周端面46aにおける周方向幅の中心における半径方向位置が、周方向に交互に異なるように構成することで、周方向の速度成分を有する冷却蒸気をより確実に冷却蒸気誘導部60に導入して、冷却蒸気流路50に誘導することができる。これにより、冷却蒸気流路50に、適量の冷却蒸気を流すことができ、動翼40や翼車33を的確に冷却することができる。
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態の蒸気タービン11においては、冷却蒸気を供給するための冷却蒸気供給構造以外は第1の実施の形態の蒸気タービン10の構成と同じである。すなわち、第2の実施の形態の蒸気タービン11においては、第1の実施の形態の蒸気タービン10が備える、ダイアフラム内輪22に形成された冷却蒸気噴出孔70や、静翼23、ダイアフラム外輪21およびケーシング20を介して形成される冷却蒸気導入流路71は構成されない。ここでは、主に冷却蒸気供給構造の構成について説明する。
図8は、第2の実施の形態の蒸気タービン11の、タービンロータ30の中心軸を含む断面(子午断面)を示す図である。
図8に示すように、第1段の動翼40が備えられる位置よりも外部側(図8では左側)のケーシング20の内周に備えるグランドラビリンスシール26間のケーシング20の内周面に、周方向に亘って凹状の溝部80が形成されている。この溝部80よりも外部側(図8では左側)および内部側(図8では右側)には、グランドラビリンスシール26が備えられ、溝部80に導入された冷却蒸気が周囲へ漏洩するのを抑制している。
ケーシング20には、冷却蒸気を供給する冷却蒸気供給管81と連通し、溝部80に冷却蒸気を導く連通孔82が形成されている。この連通孔82は、冷却蒸気導入流路として機能する。なお、連通孔82は、周方向に亘って溝部80に冷却蒸気を均等に供給するために、周方向に複数箇所形成されることが好ましい。
ここで、供給される冷却蒸気は、第1の実施の形態で説明した冷却蒸気と同じである。なお、冷却蒸気の供給圧力は、連通孔82から溝部80に噴出された冷却蒸気が、グランドラビリンスシール26とタービンロータ30との間を通過して第1段の動翼40側に流出することができる程度に設定される。
次に、冷却蒸気の流れについて、図8を参照して説明する。
連通孔82から溝部80に噴出された冷却蒸気は、タービンロータ30の表面を冷却しながら、グランドラビリンスシール26とタービンロータ30との間を通過して第1段の動翼40側に流出する。第1段の動翼40側に流出した冷却蒸気は、タービンロータ30の表面を下流側へのロータディスク31側へ流れる。
ロータディスク31に達した冷却蒸気は、ロータディスク31の表面に沿って流れ、冷却蒸気誘導部60によって誘導され、冷却蒸気流路50に流れ込む。
冷却蒸気流路50に誘導された冷却蒸気は、動翼40や翼車33などを冷却しながら、下流のタービン段落に流入する。下流のタービン段落に流入した冷却蒸気の一部は、ラビリンスシール24とタービンロータ30との間を下流側へ流れ、ロータディスク31の表面に沿って流れる。そして、前述したように、冷却蒸気誘導部60によって誘導され、冷却蒸気流路50に流れ込む。
冷却蒸気誘導部60が、翼車33の上流側の端面33aよりも上流側に突出、すなわち、ロータディスク31の上流側の端面よりも上流側に突出しているため、ロータディスク31の表面に沿って流れる冷却蒸気を冷却蒸気誘導部60内に導き易い構成となっている。
そして、突出端部46を備える動翼40が配置された最下流のタービン段落を通過した後、冷却蒸気は、蒸気流路25に流れ込む。
このように、タービンロータ30および動翼40を冷却蒸気によって冷却することができる。
上記したように、第2の実施の形態の蒸気タービン11によれば、供給された冷却蒸気の蒸気流路25への流入を抑制して、冷却する構成部品に確実に冷却蒸気を導入することができる。そのため、冷却する構成部品を的確に効率よく冷却することができる。
以上説明した実施形態によれば、冷却する構成部品に確実に冷却蒸気を導入し、構成部品を十分に冷却することが可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10,11…蒸気タービン、20…ケーシング、21…ダイアフラム外輪、22…ダイアフラム内輪、23…静翼、24…ラビリンスシール、25…蒸気流路、26…グランドラビリンスシール、27…蒸気入口管、30…タービンロータ、31…ロータディスク、32…翼溝、33…翼車、33a…端面、33b,50a…外周端面、40…動翼、41…翼根部、42…翼有効部、43…シュラウド、44…植込部、45…シャンク部、46…突出端部、46a…内周端面、46b…外周端面、47a,47b,47c…係合段部、50…冷却蒸気流路、60…冷却蒸気誘導部、70…冷却蒸気噴出孔、71…冷却蒸気導入流路、80…溝部、81…冷却蒸気供給管、82…連通孔。

Claims (9)

  1. ケーシングと、
    前記ケーシングの内周側に、周方向に沿って設けられたダイアフラム外輪とダイアフラム内輪との間に支持された複数の静翼と、
    タービンロータ軸方向に沿う複数の翼溝を周方向に亘って形成してなる翼車を備えるタービンロータと、
    翼高さ方向に沿って順に翼根部および翼有効部を備え、各前記翼溝に前記翼根部の一部が植設され、前記タービンロータの軸方向に前記静翼と交互に配設された複数の動翼と
    を備える蒸気タービンであって、
    前記動翼が、
    前記翼根部の上流側の端面の少なくとも一部に形成され、前記翼車の上流側の端面よりも上流側に突出する突出端部を備え、
    周方向に隣接する前記動翼のそれぞれの前記突出端部によって、上流側と下流側の両端および下方が開口し、両側部および上方が前記突出端部で囲まれたタービンロータ軸方向に延びる樋状の冷却蒸気誘導部を形成し、当該冷却蒸気誘導部に流入した冷却蒸気を、前記翼車の外周端面と、周方向に隣接する前記動翼のそれぞれの前記翼根部とによって形成される空隙部からなる冷却蒸気流路に誘導することを特徴とする蒸気タービン。
  2. 前記突出端部の内周端面における周方向幅の中心における半径方向位置が、前記翼車の外周端面における周方向幅の中心における半径方向位置と同じか、またはその位置よりも半径方向内側にあることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン。
  3. 周方向に隣接する前記動翼のうち、一方の前記動翼の前記突出端部の内周端面における周方向幅の中心における半径方向位置が、
    前記翼車の外周端面における周方向幅の中心における半径方向位置と同じか、またはその位置よりも半径方向内側にあり、
    他方の前記動翼の前記突出端部の内周端面における周方向幅の中心における半径方向位置が、
    前記翼車の外周端面における周方向幅の中心における半径方向位置と同じか、
    またはその位置よりも半径方向外側で、かつ前記冷却蒸気流路の外周端面における周方向幅の中心における半径方向位置と同じか、あるいはその位置よりも半径方向内側にあることを特徴とする請求項1記載の蒸気タービン。
  4. 前記突出端部の外周端面における周方向幅の中心における半径方向位置が、前記冷却蒸気流路の外周端面における周方向幅の中心における半径方向位置よりも半径方向外側となることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の蒸気タービン。
  5. 前記冷却蒸気流路が、タービンロータ軸方向に貫通していることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載の蒸気タービン。
  6. 前記動翼の上流側に配置されている前記ダイアフラム内輪に、前記冷却蒸気流路に対向する開口を有し、冷却蒸気を噴出する冷却蒸気噴出孔が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸気タービン。
  7. 前記冷却蒸気噴出孔に冷却蒸気を導く冷却蒸気導入流路が、前記ダイアフラム内輪に支持された前記静翼、当該静翼を支持する前記ダイアフラム外輪、および前記ケーシングを介して形成されていることを特徴とする請求項6記載の蒸気タービン。
  8. 最も上流段の前記動翼よりも外部側の前記タービンロータの表面に冷却蒸気を導入する冷却蒸気導入流路を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の蒸気タービン。
  9. 最も上流段の前記動翼よりも外部側の前記タービンロータに面する、前記ケーシングの内壁に、周方向に沿ってかつタービンロータ軸方向に複数段、蒸気の漏洩を防止するシール部材を備え、
    タービンロータ軸方向における前記シール部材間の前記ケーシングの内壁に、前記冷却蒸気導入流路の出口開口を備えることを特徴とする請求項8記載の蒸気タービン。
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