JP5571011B2 - タービン静翼の流体供給構造 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明に係るタービン静翼の流体供給構造は、ロータの周囲を囲うケーシングと前記ケーシングに支持されたタービン静翼の基端部との間にキャビティが形成され、前記タービン静翼の基端部から前記ロータ側に向けて延びる静翼本体の内部に、前記キャビティを介して外部から流体が供給されるタービン静翼の流体供給構造であって、前記静翼本体は、前記キャビティに開口する冷却流路入口から前記静翼本体の表面に開口する冷却流路排出口まで連通する冷却流路と、前記キャビティに開口するシール流路入口から前記ロータの外周に区画されたシール空間まで連通するシール流路とを有し、前記キャビティには、外部から前記キャビティに供給された前記流体を前記シール流路のシール流路入口に案内する案内筒が設けられ、前記キャビティに供給された前記流体の前記冷却流路入口までの流入経路が折り曲げられて形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、キャビティに案内筒が設けられ、冷却流路入口までの流入経路が折り曲げられて形成されているので、流体にダストが含まれていた場合に、ダストが流体に随伴してシール流路入口に案内される。そして、流体に対して相対的に質量が大きくなるダストは、流体と比較して大きい慣性力が作用するので、流れ方向を殆ど変化させずにシール流路入口に流入する。換言すれば、流入経路の折曲部において、ダストが流入経路外に流れていくので、冷却流路入口にダストが到達し難くなる。これにより、冷却流路がダストで閉塞され難くなるので、タービン静翼を長期間安定して継続的に冷却することができる。よって、タービン静翼の焼損を抑制することができる。
この構成によれば、流入経路が複数回折り曲げられているので、ダストが更に冷却流路入口に到達し難くなる、
この構成によれば、流体供給口から供給される流体に混入するダストを、シール流路入口に案内することができる。
この構成によれば、冷却流路入口が案内筒の先端開口に比べてケーシング側に開口しているので、冷却流路入口までの流入経路を簡素な構成で複数回折り曲げることができる。
この構成によれば、主半径方向に重ねて見た場合に、延在方向の先端開口が案内筒の先端開口を囲うサポート筒を備えるので、案内筒の先端開口から流出したダストがシール流路入口に直接流入しなかったとしても、ダストが拡散することを邪魔して、再度ダストをシール流路入口に案内することができる。
この構成によれば、スリットが形成されているので、案内筒を流れる流体が案内筒の内部において開口するスリットの開口部で折れ曲がった後にスリットを通過してキャビティ内に流出することができるのに対して、流体に含まれるダストがスリットの流入部で折れ曲がれずにシール流路入口まで案内される。これにより、シール流路入口にダストを案内しつつ、案内筒の流体流出部を大きく確保することができる。
この構成によれば、案内筒の先端開口が、シール流路入口に対向しているので、流体に含まれるダストをシール流路入口まで、より確実に導くことができる。
この構成によれば、案内筒の先端開口が、その開口面積がシール流路入口の開口面積の大きさ以下に形成されているので、案内筒の先端開口まで導いたダストをシール流路入口から外さずに容易に流入させることができる。
<第一実施形態>
図1は本発明の第一実施形態に係るガスタービンGTの全体構成を示す概略構成断面図である。
図1に示すように、このガスタービンGTは、圧縮機Cと複数の燃焼器BとタービンT1とで概略構成されている。
複数の燃焼器Bは、圧縮機Cの出口に連通しており、圧縮機Cから供給された高圧空気Aに燃料を混合すると共に燃焼させて高温・高圧の燃焼ガスGを発生させる。
タービンT1は、燃焼器Bから送り出された燃焼ガスGの熱エネルギ・圧力エネルギをロータ1の回転エネルギに変換する。そして、この回転エネルギをロータ1に連結された発電機(不図示)に伝達する。なお、以下の説明においては、ロータ1の主軸Pの延在方向を「主軸方向」、ロータ1の半径方向を「主半径方向」、ロータ1の円周方向を単に「円周方向」と称する。
図2に示すように、タービンT1は、ロータ1とステータ2とで概略構成されている。
ロータ1は、それぞれの軸方向を主軸方向に向けた状態で重ねられて全体として軸状になった複数のロータディスク11と、各ロータディスク11の外周において放射状となるように複数個ずつ配設されたタービン動翼12とで概略構成されている。複数個のタービン動翼12は、ロータディスク11毎に、円周方向に配列されてなる環状動翼列を構成している。
なお、このロータ1は、主軸方向の一端側が圧縮機Cのロータと連続している(図1参照)。
ケーシング21は、タービンT1の内部を外部から区画するケーシング本体22と、ケーシング本体22の内周部22aに支持された翼環23とを有している。
この翼環フィードホール3には、圧縮機Cの中段とケーシング本体22とを接続する配管4と、この配管4の途中に配設されたクーラ5(図1参照)とを介して、圧縮機Cから抽気した高圧空気Aが供給されるようになっている。
図3に示すように、各タービン静翼24は、それぞれの静翼本体32の内部に、所謂サーペンタイン方式の冷却流路35と、シールチューブ(シール流路)36とを有している。
冷却流路35は、静翼本体32の内部に形成された内側空間Sが、外側シュラウド31から内側シュラウド33に向けて延びる前縁側リブ37と、内側シュラウド33から外側シュラウド31に向けて延びる後縁側リブ38とによって、三つに仕切られることで構成されている。具体的には、冷却流路35は、静翼本体32の内壁面と前縁側リブ37とによって画定された上流流路35Aと、静翼本体32の内壁面と前縁側リブ37と後縁側リブ38とによって画定された中流流路35Bと、静翼本体32の内壁面と後縁側リブ38とで形成された下流流路35Cとで構成されており、上流流路35Aの主半径方向の内周端と中流流路35Bの主半径方向の内周端とが断面視U字状に転回するようにして連通しており、中流流路35Bの主半径方向の外周端と下流流路35Cの主半径方向の外周端とが断面視U字状に転回するようにして連通している。
この冷却流路35は、図2に示すように、外側区画壁(区画壁)31aによって外側キャビティ(キャビティ)40と区画され、内側区画壁33dによって内側キャビティ45(後述する。)と区画されている。
シールチューブ36のシール流路入口36aは、外側キャビティ40において外側区画壁31aに開口し、シール流路出口36bが内側キャビティ45に開口しており、外側キャビティ40に流入した高圧空気Aが内側キャビティ45に供給されるようになっている。
まず、圧縮機Cの中段から抽気された高圧空気Aは、図1及び図2に示すように、配管4及びクーラ5を介して、翼環フィードホール3に流入する。この際、配管4及びクーラ5を介した高圧空気Aには、配管4表面の結露によって発生していた錆びや流路表面の塗装膜が脱落してダストDが混入する場合がある。
そして、シール流路入口36aの径方向外方側に拡径するようにして流出した高圧空気Aは、案内筒51の先端開口51bから折れ曲がって主半径方向を外方側に向かった後に、再度ガード筒52の冷却流路入口52aに対して折れ曲がってガード筒52の内部に流入し、冷却流路35を下流側に向けて流れていく。
また、図5に示すように、仮にガード筒52の冷却流路入口52aに向かう高圧空気AにダストDが混入していたとしても、冷却流路入口52aに向かう流れ方向が変わり難いことから、冷却流路入口52aの上流において冷却流路入口52aに対して折れ曲がらずに、冷却流路入口52aを通過する、そして、最終的に外側キャビティ40の内壁(例えば、外側シュラウド31の外側区画壁31a)に落下する。
このようにして、ダストDが高圧空気Aに混入していたとしても、冷却流路35に流入するダストDが殆どなくなる。そして、冷却流路35は、ダストDによってフィルム冷却孔25aが閉塞することなく、高圧空気Aを安定して流通させ、タービン静翼25を継続して冷却する。
換言すれば、案内筒51の先端開口51bの下流(流入経路の折曲部)において、ダストDが流入経路外に流れていくので、冷却流路入口52aにダストDが到達し難くなる。これにより、冷却流路35がダストDで閉塞され難くなるので、タービン静翼24を長期間安定して継続的に冷却することができる。よって、タービン静翼24の焼損を抑制することができる。
また、冷却流路入口52aが案内筒51の先端開口51bに比べてケーシング21側に開口しているので、冷却流路入口52aまでの流入経路を簡素な構成で複数回折り曲げることができる。さらに、先端開口51bを通過して外側区画壁31aに落下したダストDから先端開口51bが離間するので、外側区画壁31aに落下したダストDが冷却流路入口52aに流入するのを十全に防止することができる。
なお、案内筒51の先端開口51bの開口面積を、シール流路入口36aの開口面積よりも小さく形成すれば、案内筒51の先端開口51bまで導いたダストDがシール流路入口36aから更に外れ難くなり、ダストDをシール流路入口36aにより確実に流入させることができる。
図6は、上述した第一実施形態の第一変形例であるタービンT1aの要部拡大断面図である。なお、以下の説明及びこの説明に用いる図面において、上述した構成と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
サポート筒53は、漏斗状に形成されており、先細りになった基端開口53aをシール流路入口36aに接続させている一方、拡径された先端開口53b側で案内筒51の周囲を覆っている。
図7は、上述した第一実施形態の第二変形例であるタービンT1bの要部拡大断面図である。なお、以下の説明及びこの説明に用いる図面において、上述した構成と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
この慣性フィルタ54は、その軸方向を主半径方向に向けた状態で、相対的に大径に形成されたフィルタ基端開口54aが流体供給口23cの周囲に固定されていると共に、相対的に小径に形成されたフィルタ先端開口(先端開口)54bがシール流路入口36aに対向配置されている。
なお、慣性フィルタ54は、主半径方向の内周端における傘部材54cの先端開口がフィルタ先端開口54bとなっており、主半径方向の外周端における傘部材54cの基端開口がフィルタ基端開口54aとなっている。
変形例においては、ガード筒52が省略されていることから、入口孔35aが冷却流路35の冷却流路入口として機能することとなる。
なお、本変形例においても、サポート筒53を用いてもよい。
図8は、本発明の第二実施形態に係るタービンT2の要部拡大断面図である。なお、以下の説明及びこの説明に用いる図面において、上述した構成と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
タービン静翼25は、図8に示すように、外側シュラウド31と静翼本体60と内側シュラウド33とを有している。
各タービン静翼25は、図9に示すように、翼表面にインピンジ孔(冷却流路排出口)25aが多数形成されている。各タービン静翼25は、内側空間Sがリブ61によって前縁側空間62と後縁側空間63とに区画されている。
これら前縁側空間62と後縁側空間63とには、それぞれ、インサート部材72,73が挿入されている。
すなわち、外側キャビティ40に開口する冷却流路入口55aから静翼本体60の表面に開口するフィルム冷却孔25aまで連通する冷却流路76が形成されている。具体的には、冷却流路76の高圧空気Aは、ガード筒55を介してインサート部材73に流入した後にインピンジメント孔73aから噴出し、後縁側空間63の内面に衝突して静翼本体60を冷却する。そして、フィルム冷却孔25aから静翼本体60の外部に流出した後に表面に沿って流れることにより、静翼本体60をフィルム冷却する。
特に、インピンジメント孔72a,73aが閉塞すると、前縁側空間62と後縁側空間63との圧力が低下して、燃焼ガスGが前縁側空間62と後縁側空間63とに逆流する恐れがあるが、本実施形態によって有効に阻止することが可能である。
また、静翼本体60の内側空間Sは、三つ以上に仕切ってもよく、必ずしも仕切る必要はない。
例えば、外側キャビティ40を円周方向に連通させる構成としたが、必ずしも連通させる必要はなく仕切ってもよい。
また、上述した実施の形態では、案内筒51,慣性フィルタ54を翼環23から独立した部材として構成したが、翼環23と一体的に形成してもよい。同様に、シールチューブ36,サポート筒53をタービン静翼24,25と一体的に形成してもよい。
21…ケーシング
23c…流体供給口
24,25…タービン静翼
25a…フィルム冷却孔(冷却流路排出口)
31…外側シュラウド(基端部)
31a…外側区画壁(区画壁)
32…静翼本体
35…冷却流路
35a…入口孔(冷却流路入口)
36…シールチューブ(シール流路)
36a…シール流路入口
40…外側キャビティ(キャビティ)
51…案内筒
51b…先端開口
52a…冷却流路入口
53…サポート筒
54…慣性フィルタ(案内筒)
54b…フィルタ先端開口(先端開口)
54d…スリット
55a…冷却流路入口
60…静翼本体
75,76…冷却流路
GT…ガスタービン
T1,T1a,T1b,T2…タービン
A…圧縮空気(流体)
D…ダスト
M…シール空間
P…主軸
S…内側空間(内側)
Claims (8)
- ロータの周囲を囲うケーシングと前記ケーシングに支持されたタービン静翼の基端部との間にキャビティが形成され、前記タービン静翼の基端部から前記ロータ側に向けて延びる静翼本体の内部に、前記キャビティを介して外部から流体が供給されるタービン静翼の流体供給構造であって、
前記静翼本体は、前記キャビティに開口する冷却流路入口から前記静翼本体の表面に開口する冷却流路排出口まで連通する冷却流路と、
前記キャビティに開口するシール流路入口から前記ロータの外周に区画されたシール空間まで連通するシール流路とを有し、
前記キャビティには、外部から前記キャビティに供給された前記流体を前記シール流路のシール流路入口に案内する案内筒が設けられ、前記キャビティに供給された前記流体の前記冷却流路入口までの流入経路が折り曲げられて形成されていることを特徴とするタービン静翼の流体供給構造。 - 前記流入経路は、複数回折り曲げられていることを特徴とする請求項1に記載のタービン静翼の流体供給構造。
- 前記シール流路入口は、前記キャビティと前記静翼本体とを区画する区画壁に形成され、
前記案内筒は、前記ケーシングに形成されていると共に前記流体を前記キャビティに供給する流体供給口から前記シール流路入口に向けて延びていることを特徴とする請求項1又は2に記載のタービン静翼の流体供給構造。 - 前記冷却流路入口は、前記案内筒の先端開口に比べて前記ケーシング側に開口していることを特徴とする請求項3に記載のタービン静翼の流体供給構造。
- 前記シール流路入口の周囲から前記ケーシング側に向けて延び、延在方向の先端開口と前記案内筒の先端開口とを前記主半径方向に重ねて見た場合に、前記延在方向の先端開口が前記案内筒の先端開口を囲うサポート筒を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載のタービン静翼の流体供給構造。
- 前記案内筒は、前記ケーシング側から前記静翼本体側に向かうに従って、前記案内筒の外周側から内周側に向かうスリットが形成されていることを特徴とする請求項3から5のうちいずれか一項に記載のタービン静翼の流体供給構造。
- 前記案内筒の先端開口は、前記シール流路入口に対向していることを特徴とする請求項3から6のうちいずれか一項に記載のタービン静翼の流体供給構造。
- 前記案内筒の先端開口は、その開口面積が前記シール流路入口の開口面積の大きさ以下に形成されていることを特徴とする請求項7に記載のタービン静翼の流体供給構造。
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