JP5808120B2 - 交番燃焼装置及びその交番燃焼装置を用いた交番燃焼方法 - Google Patents
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Description
つまり、第1燃焼状態では、燃焼用酸素含有ガスが第1蓄熱部、第1給排気孔を順に通流して炉内に供給されると共に、炉内の高温の排ガスが第2給排気孔、第2蓄熱部を順に通流して炉外に排出され、第2燃焼状態では、燃焼用酸素含有ガスが第2蓄熱部、第2給排気孔を順に通流して炉内に供給されると共に、炉内の高温の排ガスが第1給排気孔、第1蓄熱部を順に通流して炉外に排出される。そして、燃料を燃焼させるための燃焼用酸素含有ガスが、炉内から排出される排ガスの保有熱が蓄熱された第1蓄熱部又は第2蓄熱部の蓄熱により予熱された後、炉内に供給されるので、炉内を高温に加熱することができるのである。
そして、第1燃焼状態では、燃料噴出孔5から噴出された燃料が、燃料噴出孔5の周りに並ぶ2個の第1給排気孔6aから噴出された燃焼用酸素含有ガスにより燃焼し、第2燃焼状態では、燃料噴出孔5から噴出された燃料が、燃料噴出孔5の周りに並ぶ2個の第2給排気孔6bから噴出された燃焼用酸素含有ガスにより燃焼するように構成されていた(例えば、特許文献1参照。)。
しかも、燃料噴出孔から噴出される燃料の量に応じた量の燃焼用酸素含有ガスが、2個の第1又は第2給排気孔から分けて噴出されることから、各第1又は第2給排気孔から噴出される燃焼用酸素含有ガスの流速が遅くなると共に、各第2又は第1給排気孔に吸い込まれる排ガスの流速が遅くなるので、燃焼用酸素含有ガス流に炉内の排ガスを巻き込んで燃焼用酸素含有ガスに炉内の排ガスを混合させる、所謂、自己排ガス再循環作用が弱くなり易く、このことによっても、燃料流に対する燃焼用酸素の供給が効率良く行われることになり、燃料噴出孔から噴出された燃料が速く燃焼し易い。ちなみに、自己排ガス再循環作用が促進されると、排ガスの混合量が多くなることにより燃焼用酸素含有ガス中の酸素濃度が低くなるので、燃料に対する燃焼用酸素の供給が緩やかに行われることになり、燃料の緩慢燃焼を促進させることができる。
そして、燃料噴出孔から噴出された燃料が速く燃焼すると、火炎中に局所的に高温域が発生し易くなってNOxが発生し易くなるので、低NOx化を図る上で改善の余地があった。
炉内に臨ませる前面に開口する状態で、前記炉内に燃料を噴出する燃料噴出孔、並びに、互いに同径の第1給排気孔及び第2給排気孔を備えたバーナタイルと、前記第1給排気孔における前記前面側とは反対側に連通して、通流する気体の熱の蓄熱及び通流する気体への放熱が可能な第1蓄熱部と、前記第2給排気孔における前記前面側とは反対側に連通して、通流する気体の熱の蓄熱及び通流する気体への放熱が可能な第2蓄熱部と、炉外より前記第1蓄熱部に燃焼用酸素含有ガスを供給し且つ前記第2蓄熱部を通して前記炉内に吸引作用する第1燃焼状態と、前記炉外より前記第2蓄熱部に燃焼用酸素含有ガスを供給し且つ前記第1蓄熱部を通して前記炉内に吸引作用する第2燃焼状態とに交互に切り換える交番燃焼手段とが設けられた交番燃焼装置であって、
その特徴構成は、前記バーナタイルの前面視で、二等辺三角形の3つの頂点のうちの頂角に対応する頂点に前記燃料噴出孔が位置し、他の2つの頂点に前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔が分かれて位置する形態で、前記燃料噴出孔、前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔が前記バーナタイルに備えられ、
前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔夫々から噴出される燃焼用酸素含有ガスの流速が20〜200m/secになるように定められ、
前記第1給排気孔と前記第2給排気孔との距離L 1 (mm)は、前記燃料噴出孔から噴出される燃料の燃焼量Q(kW)と、前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔夫々の直径D1(mm)とに基づいて、
100+D 1 <L 1 <(10×√Q+100)+D 1
の範囲に設定される点にある。
これにより、燃焼用酸素含有ガス流に炉内の排ガスが巻き込まれ易くなって、自己排ガス再循環作用が強くなるので、燃料噴出孔から噴出された燃料に対する燃焼用酸素の供給が更に緩慢化される。
そして、本発明では、第1給排気孔から噴出された燃焼用酸素含有ガス流と第2給排気孔に吸い込まれる排ガス流との間隔や、第2給排気孔から噴出された燃焼用酸素含有ガス流と第1給排気孔に吸い込まれる排ガス流との間隔が狭くなることから、燃焼用酸素含有ガスに排ガスが混合され易くなって、自己排ガス再循環作用が一層促進されると共に、燃焼用酸素含有ガス流と排ガス流との間の雰囲気が乱れるので、燃料噴出孔から噴出された燃料に対する燃焼用酸素の供給が更に緩慢化されることになる。
このように、燃料噴出孔から噴出された燃料に対する燃焼用酸素の供給を効果的に緩慢化することができるので、燃料噴出孔から噴出された燃料の燃焼が緩慢化されることになって、火炎中における局所的な高温域の発生を抑制することができるようになり、NOxの発生を抑制することができる。
従って、低NOx化を図り得る交番燃焼装置を提供することができるようになった。
ちなみに、第1給排気孔と第2給排気孔との距離は、第1給排気孔の中心と第2給排気孔の中心との間の距離である。
距離L 1 を(10×√Q+100)+D 1 よりも小さくすることにより、噴出された燃焼用酸素含有ガス流と吸い込まれる排ガス流との間隔が広くなり過ぎないようにする。尚、「√Q」は、燃焼量Qの平方根を示す。
これにより、吸い込まれる排ガスが噴出された燃焼用酸素含有ガスに混合され易いようにして、自己排ガス再循環作用を十分に促進させると共に、燃焼用酸素含有ガス流と排ガス流との間の雰囲気を乱すことができるので、燃料噴出孔から噴出された燃料に対する燃焼用酸素の供給を十分に緩やかに行わせることができる。
ところで、第1給排気孔と第2給排気孔との距離L 1 が短くなって、第1給排気孔と第
2給排気孔との間のタイル材の幅が短くなるほど、バーナタイルの強度が低下する。そこで、第1給排気孔と第2給排気孔との距離L 1 を100+D 1 よりも大きくすることにより、バーナタイルの強度が低下するのを回避することができる。
従って、バーナタイルの強度が低下するのを回避しながら、低NOx化を十分に図ることができる。
前記燃料噴出孔からの燃料の噴出方向が、前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔が存在する側に傾斜している点にある。
従って、燃焼が不安定になるのを回避しながら、低NOx化を図ることができる。
前記燃料噴出孔の下方に前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔が位置する形態で、前記燃料噴出孔、前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔が前記バーナタイルに備えられている点にある。
従って、燃焼が不安定になるのを回避しながら、低NOx化を図ることができる。
図1に示すように、交番燃焼装置は、加熱炉Fの炉体31に設けられたバーナ取付け口32に前面(後述するバーナタイル4の前面4f)を炉内33に臨ませた姿勢で取り付けられるバーナB、そのバーナBを交番燃焼させる交番燃焼手段としての交番燃焼部V、炉内33に燃焼用空気(燃焼用酸素含有ガスに相当する)を供給する給気用送風機1、炉内33の排ガスを炉外に排出する排気用送風機2、及び、この交番燃焼装置の運転を制御する制御部3等を備えて構成されている。
例えば、火炎を炉内33で横向きに形成する場合は、バーナBは、上下方向に沿う炉壁31(炉体に相当する)に設けられたバーナ取付け口32に取り付けられる。この場合、対向する炉壁31夫々に、バーナBが取り付けられる場合があり、又、各炉壁31に、複数のバーナBが横方向に間隔を開けて取り付けられる場合もある。
そのバーナ本体8には、第1給排気孔6aにおける前面4f側とは反対側に連通して、通流する気体の熱の蓄熱及び通流する気体への放熱が可能な第1蓄熱部Saと、第2給排気孔6bにおける前面4f側とは反対側に連通して、通流する気体の熱の蓄熱及び通流する気体への放熱が可能な第2蓄熱部Sbとが備えられている。
図3に示すように、本発明では、バーナタイル4の前面視で、二等辺三角形Tの3つの頂点のうちの頂角に対応する頂点に燃料噴出孔5が位置し、他の2つの頂点に第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bが分かれて位置する形態で、燃料噴出孔5、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bがバーナタイル4に備えられている。
第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bは、夫々の軸心6pがバーナタイル4の前面4fに直交する状態で、バーナタイル4の前面4fの矩形状の周縁のうちでバーナタイル4が炉体31に取り付けられたときに水平方向に沿う縁に平行に並ぶ形態で設けられている。
燃料噴出孔5は、バーナタイル4が炉体31に取り付けられたときに第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bの上方となる箇所に、側面視で、軸心5pが先端側ほど第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の軸心6pに近づく形態で第1給排気孔及び第2給排気孔夫々の軸心6pに対して傾斜するように設けられている。ちなみに、図2に示すように、この実施形態では、側面視において、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の軸心6pに対する燃料噴出孔5の軸心5pの傾斜角度αは、10°程度である。
バーナ本体8には、第1蓄熱材充填部9a及び第2蓄熱材充填部9bが、夫々、バーナ本体8の突出部分8Tの前面8fと本体部分8Mの底面8sとに各別に開口する状態で、バーナ本体8の横幅方向(第1給排気孔6aと第2給排気孔6bとが並ぶ方向に沿う方向)に並べて仕切り形成されている。
図5に示すように、バーナ本体8の突出部分8Tの前面8fには、ノズル挿通孔10、第1蓄熱材充填部9a及び第2蓄熱材充填部9b夫々の開口が、バーナタイル4の後面4rにおいて燃料噴出孔5、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の開口が夫々頂点に配置される二等辺三角形と同形の二等辺三角形の頂点に配置されている。
つまり、第1蓄熱材充填部9a及びそれに充填されている多数のセラミックボール12により、第1蓄熱部Saが構成され、第2蓄熱材充填部9b及びそれに充填されている多数のセラミックボール12により、第2蓄熱部Sbが構成されている。
そして、図2及び図4に示すように、バーナタイル4は、その後面4rをバーナ本体8の突出部分8Tの前面8fに当て付けて、燃料噴出孔5の開口、第1給排気孔6aの開口、第2給排気孔6bの開口を、夫々、ノズル挿通孔10の開口、第1蓄熱材充填部9aの開口、第2蓄熱材充填部9bの開口と連通させた状態で、ボルト7によりバーナ本体8に保持されている。
円筒状部15の後端は閉塞され、ガスノズル部16の後端部にガス燃料を供給する燃料供給口17が、円筒状部15の周壁の後端部から突出する状態で設けられている。又、予混合空気ノズル部25は、その後端部が円筒状部15の後端から突出する状態で設けれ、その予混合空気ノズル部25の後端部に、予混合空気供給口26が設けられている。更に、円筒状部15の後端側の部分には、補助空気を供給する補助空気供給口29が設けられている。
燃料噴出ノズルNが、ノズル挿通孔10の後端側からそのノズル挿通孔10及び燃料噴出孔5に挿入された状態で設けられている。
そして、上述のように構成されたバーナBが、燃料噴出孔5の下方に第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bが位置する状態で、バーナタイル4の前面4fが垂直になる姿勢で、炉体31の取り付け口32に取り付けられる。
又、バーナタイル4がその前面4fが垂直になるように配置される場合に、燃料噴出孔5の下方に第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bが位置する形態で、燃料噴出孔5、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bがバーナタイル4に備えられていることになる。
又、予混合空気用送風機27と燃料噴出ノズルNの予混合空気供給口26とが、予混合空気供給路28にて接続され、更に、予混合空気用送風機27と燃料噴出ノズルNの補助空気供給口29とが、補助空気供給路30にて接続されている。
又、燃料噴出ノズルNの燃料供給口17には、ガス燃料Gがガス燃料供給源(都市ガス管等)から供給される燃料供給路22が接続され、その燃料供給路22にはガス燃料Gの供給を断続する燃料供給断続弁23、及び、ガス燃料Gの供給量を調整する燃料供給量調整弁24が設けられている。
又、四方弁18が第2接続状態に切り換えられると、給気用送風機1から送出される燃焼用空気Aが、第2蓄熱部Sb、第2給排気孔6bを順に通流して炉内33に供給され、排気用送風機2により、炉内33の排ガスEが、第1給排気孔6a、第1蓄熱部Saを順に通流して炉外に排出されることになり、第2燃焼状態に切り換えられる。
燃料噴出ノズルNのガスノズル部16からガス燃料Gが噴出され、燃料噴出ノズルNの予混合空気ノズル部25から少量の予混合空気Aが噴出され、並びに、ガスノズル部16の外周部から少量の補助空気Aが噴出されるので、第1及び第2の各燃焼状態では、燃料噴出孔5から、少量の予混合空気Aが混合されたガス燃料Gが噴出されると共に、その噴出ガス燃料Gの外周を覆う状態で少量の補助空気Aが噴出される。
制御部3は、炉内33の温度を検出する温度センサ(図示省略)の検出情報と炉内33を加熱するための目標加熱温度とに基づいて燃焼負荷を求め、その求めた燃焼負荷に応じたガス燃料の供給量になるように燃料供給量調整弁24を制御し、燃焼用空気の供給量がガス燃料の供給量に応じた量になるように給気用送風機1を制御すると共に、ガス燃料の供給量に応じて予混合空気及び補助空気夫々の供給量を調整すべく予混合空気用送風機27を制御し、並びに、炉内33の圧力を所定の設定圧力に維持するように排気用送風機2を制御する。
ちなみに、予混合空気は、燃料噴出孔5から噴出されるガス燃料の流速を高めて燃焼を安定化させるためのものであり、又、補助空気は、燃料噴出孔5に補助火炎を形成して、燃料噴出孔5から噴出されるガス燃料の燃焼を安定化させるためのものであり、それら予混合空気及び補助空気夫々の供給量は、給気用送風機1により供給される燃焼用空気の供給量に比べて少量である。
又、制御部3は、予め設定されたサイクル(例えば、60秒)で、四方弁18を第1接続状態と第2接続状態とに切り換えることにより、第1燃焼状態と第2燃焼状態とに交互に切り換えて交番燃焼を実行する。
図6の(a)は、燃料噴出孔5、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bが本発明に係る配置形態、即ち、二等辺三角形Tの3つの頂点のうちの頂角に対応する頂点に燃料噴出孔5が位置し、他の2つの頂点に第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bが分かれて位置する配置形態で設けられた場合を示し、この場合の第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の直径をD1とし、第1給排気孔6aと第2給排気孔6bとの距離をL1とする。
又、図6の(b)は、本発明の配置形態による第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bに加えて、バーナタイル4の前面視で、燃料噴出孔5の軸心5pを通り且つ本発明の配置形態による第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の軸心6pを通る直線と平行な直線を対称軸として、本発明の配置形態による第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bと対称となる状態で、追加の第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bが備えられた場合の配置形態を示し、この場合の第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の直径をD2とし、第1給排気孔6aと第2給排気孔6bとの距離をL2とする。
D1<L1<L2……………(式2)
つまり、本発明の配置形態では、1個の第1給排気孔6a又は1個の第2給排気孔6bにより、燃焼用空気を噴出し、従来の配置形態では、2個の第1給排気孔6a又は2個の第2給排気孔6bにより、燃焼用空気を噴出する。
そこで、2個の第1給排気孔6a又は2個の第2給排気孔6bにより噴出する燃焼用空気の流量に相当する分を、1個の第1給排気孔6a又は1個の第2給排気孔6bにより噴出するに当たって、その噴出流速を2個の第1給排気孔6a又は2個の第2給排気孔6bにより噴出する場合よりも速くするには、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bを夫々1個ずつ設ける場合の第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の断面積(D1/2×D1/2×π)を、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bを夫々2個ずつ設ける場合の第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の断面積の2個分(2×D2/2×D2/2×π)よりも小さくする必要がある。
又、1個の第1給排気孔6a又は1個の第2給排気孔6bにより噴出する燃焼用空気の流速は、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bが燃料噴出孔5の両側に2個ずつ備えられた場合の8倍程度まで速くすることができる。
従って、上記の式1の如き条件が定められる。
そして、第1給排気孔6aと第2給排気孔6bとの距離L1(mm)は、燃料噴出孔5から噴出されるガス燃料の燃焼量Q(kW)と、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の直径D1(mm)とに基づいて、下記の式3で定められる条件で設定される。
この場合、燃料噴出孔5、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々が3つの頂点に位置する二等辺三角形Tの高さH1は、例えば190mmに設定され、燃料噴出孔5の直径は、例えば106mmに設定される。
この検証試験では、炉内33の加熱目標温度を1250〜1280℃に設定し、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々から噴出する燃焼用空気の予熱温度を1100℃に設定した。
そして、バーナタイル4における燃料噴出孔5、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bの配置形態として、本発明の配置形態(図6の(a))にした場合と従来の配置形態(図6の(b))にした場合とで、NOxの値(O2=0%換算)を測定して比較した。
つまり、本発明の配置形態では、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の直径D1を、従来の配置形態における第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の直径D2の1/2よりも大きく、且つ、その直径D2の√2倍よりも小さくし、並びに、第1給排気孔6aと第2給排気孔6bとの距離L1を、従来の配置形態における第1給排気孔6aと第2給排気孔6bとの距離L2よりも短くしている。
更に、第1給排気孔6aと第2給排気孔6bとの距離L1を、上記の式3で定められる条件で設定している。
又、本発明の配置形態では、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々から噴出される燃焼用空気の流速Vを、従来の配置形態におけるよりも速くして交番燃焼を行っている。
燃焼量Qの違いにかかわらず、バーナタイル4における燃料噴出孔5、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bの配置形態として、本発明の配置形態にすることにより、低NOx化を図れることが分かる。
例えば、燃焼量Qが400kwのときは、NOxの値は、本発明の配置形態では130ppmであり、従来の配置形態では180ppmであり、本発明の配置形態とすることにより、低NOx化を図ることができる。
但し、燃焼量Qが600kwで、燃焼用空気の流速が47m/secのときは、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々の直径D1が160mmであり、上記の式1で定められる条件(D2が110mmのときは最大が155mmとなる)から少し外れる。しかしながら、燃焼用空気の流速が低い領域では、この程度の直径D1の増大は許容され、NOxの低減効果が得られた。
又、本発明の配置形態において、燃焼量Qを600kwで一定にした状態で、第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々から噴出される燃焼用空気の流速Vを変化させると、流速Vを速くするほど、NOxの値が低くなって低NOx化を図れることが分かる。
ちなみに、図8及び図9では、第1給排気孔6aから燃焼用空気Aが噴出され、第2給排気孔6bに炉内33の排ガスEが吸い込まれている状態を示し、又、ガス燃料G、燃焼用空気A及び排ガスE夫々の流れを示す矢印の長さが長いほど、及び、太さが太いほど、流速が速い状態を示す。
一方、図9に示すように、従来の配置形態では、燃料噴出孔5の周りに並ぶ2個の第1給排気孔6a又は2個の第2給排気孔6bから燃焼用空気Aが噴出されるので、燃料噴出孔5から噴出されたガス燃料流Gの周囲のより広い範囲が燃焼用空気流Aにより覆われることになって、ガス燃料流Gに対する燃焼用酸素の供給が効率良く行われるので、燃料噴出孔5から噴出されたガス燃料Gが速く燃焼し易い。
従って、本発明の配置形態では、第1給排気孔6a又は第2給排気孔6b夫々から噴出される燃焼用空気Aの流速、及び、第2給排気孔6b又は第1給排気孔6a夫々に吸い込まれる排ガスEの流速を、従来の配置形態におけるよりも速くすることができる。
このことにより、本発明の配置形態では、燃焼用空気流Aに炉内33の排ガスEが巻き込まれ易くなって、自己排ガス再循環作用が強くなるので、ガス燃料流Gに対する燃焼用酸素の供給がより一層緩慢化されることになる。
しかも、本発明の配置形態では、第1給排気孔6aと第2給排気孔6bとの距離L1を、従来の配置形態における第1給排気孔6aと第2給排気孔6bとの距離L2よりも短くしているので、第1給排気孔6a又は第2給排気孔6bから噴出された燃焼用空気流Aと第2給排気孔6b又は第1給排気孔6aに吸い込まれる排ガス流Eの間隔が従来の配置形態におけるよりも狭くなる。
しかも、燃料噴出孔5から噴出されるガス燃料Gには予混合空気ノズル部25により少量の予混合空気Aが混合され、並びに、燃料噴出孔5から噴出されるガス燃料Gの外周は補助空気供給口29からの少量の補助空気Aによって覆われているので、これら予混合空気A及び補助火炎Aによりガス燃料Gの一部が燃焼して補助火炎が形成される。これにより、上述のように第1給排気孔6a又は第2給排気孔6bから噴出された燃焼用空気による燃焼用酸素の供給が緩慢化されても、補助火炎により、燃料噴出孔5から噴出されたガス燃料Gの燃焼を安定化させることができ、一酸化炭素ガスの発生を抑制することができる。
従って、これらの相乗効果により、燃料噴出孔5から噴出されたガス燃料Gの燃焼をより一層緩慢化することができる。
次に別実施形態を説明する。
(イ) 燃料噴出孔5からのガス燃料の噴出方向を第1給排気孔6a及び第2給排気孔6bが存在する側に傾斜させる角度αは、上記の実施形態において例示した10°に限定されるものではなく、適宜変更可能である。又、燃料噴出孔5からのガス燃料の噴出方向を第1給排気孔6a及び第2給排気孔6b夫々からの燃焼用空気の噴出方向と平行にしても良い。
例えば、バーナタイル4をその前面4fが垂直になるように配置する場合に、燃料噴出孔5の上方、あるいは、横側方に位置する配置位置でも良い。
4f 前面
5 燃料噴出孔
5p 軸心
6a 第1給排気孔
6b 第2給排気孔
6p 軸心
33 炉内
A 燃焼用空気(燃焼用酸素含有ガス)
G ガス燃料(燃料)
Sa 第1蓄熱部
Sb 第2蓄熱部
T 二等辺三角形
V 交番燃焼部(交番燃焼手段)
Claims (3)
- 炉内に臨ませる前面に開口する状態で、前記炉内に燃料を噴出する燃料噴出孔、並びに、互いに同径の第1給排気孔及び第2給排気孔を備えたバーナタイルと、
前記第1給排気孔における前記前面側とは反対側に連通して、通流する気体の熱の蓄熱及び通流する気体への放熱が可能な第1蓄熱部と、
前記第2給排気孔における前記前面側とは反対側に連通して、通流する気体の熱の蓄熱及び通流する気体への放熱が可能な第2蓄熱部と、
炉外より前記第1蓄熱部に燃焼用酸素含有ガスを供給し且つ前記第2蓄熱部を通して前記炉内に吸引作用する第1燃焼状態と、前記炉外より前記第2蓄熱部に燃焼用酸素含有ガスを供給し且つ前記第1蓄熱部を通して前記炉内に吸引作用する第2燃焼状態とに交互に切り換える交番燃焼手段とが設けられた交番燃焼装置であって、
前記バーナタイルの前面視で、二等辺三角形の3つの頂点のうちの頂角に対応する頂点に前記燃料噴出孔が位置し、他の2つの頂点に前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔が分かれて位置する形態で、前記燃料噴出孔、前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔が前記バーナタイルに備えられ、
前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔夫々から噴出される燃焼用酸素含有ガスの流速が20〜200m/secになるように定められ、
前記第1給排気孔と前記第2給排気孔との距離L 1 (mm)は、前記燃料噴出孔から噴出される燃料の燃焼量Q(kW)と、前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔夫々の直径D 1 (mm)とに基づいて、
100+D 1 <L 1 <(10×√Q+100)+D 1
の範囲に設定される交番燃焼装置。 - 前記燃料噴出孔からの燃料の噴出方向が、前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔が存在する側に傾斜している請求項1に記載の交番燃焼装置。
- 前記燃料噴出孔の下方に前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔が位置する形態で、前記燃料噴出孔、前記第1給排気孔及び前記第2給排気孔が前記バーナタイルに備えられている請求項1又は2に記載の交番燃焼装置。
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