JP5808008B2 - 吸引力発生装置および真空圧密地盤改良工法 - Google Patents

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Description

本発明は、サイフォン機能を用いた吸引力発生装置およびこの吸引力発生装置を用いた真空圧密地盤改良工法に関する。
吸引力を発生させて、水を吸引・排水する装置として、真空ポンプを用いた吸引装置が知られている。従来の技術では、例えば、軟弱地盤内に鉛直ドレーンを打設後、真空ポンプによる吸引装置を用いて、負圧を作用させて地盤内を減圧することによって、地盤の圧密を促進する方法が用いられている(例えば、特許文献1〜3)。また、減圧室に鉛直管を挿入し、鉛直管内で気液2相流を形成させてサイフォン機能を発揮させる吸引装置として特許文献4,5がある。
特開2000-328550号公報 特開2001-226951号公報 特開2002-138456号公報 特開2010-090696号公報 特開2011-127378号公報
サイフォンによる吸引力発生装置を用いた地盤改良工法において、ドレーン材が接続するヘッダーパイプや集水管からの気密漏れがある場合や改良対象地盤が不飽和地盤である場合は、水に空気が混入して、空気の混入量が多くなる。このような施工条件の下では、サイフォン機能が切れやすく不安定になる。このため、真空圧密地盤改良において所定の吸引力を得ることができないおそれが生じてしまう。
本発明は、上述のような従来技術の問題に鑑み、空気が大量に混入する水を排水する条件においても、サイフォン機能を維持し発揮させることができる吸引力発生装置および真空圧密地盤改良工法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本実施形態による吸引力発生装置は、上部から下部に向けて延びる第1の管と、前記第1の管と前記上部で接続する第2の管と、前記第2の管の上流側に位置する第3の管と、を有し、前記第1の管の下端側と、前記第の管との間の水位差により、前記第の管の先端から前記第1の管の下端に向けてサイフォン機能により吸引力が作用する吸引力発生装置であって、前記第2の管と前記第3の管との間に気密室を配置し、前記気密室は、前記第の管の前記先端から吸引される水の流入口と前記第2の管へと流出する水の流出口と、内部に収容された揚水ポンプと、を有し、前記流出口を前記流入口よりも鉛直方向の高い位置に設け、前記揚水ポンプの吸引口の鉛直方向における位置を前記流出口と前記流入口との間に定め、前記流入口から前記気密室内に流入した水と空気の一部を前記揚水ポンプにより外部へ排出することを特徴とする。
この吸引力発生装置によれば、第1の管の上流側に配置した気密室において第の管の先端側から流入する水に空気が含まれていても、流入口、揚水ポンプの吸引口、流出口の順で鉛直方向高さ位置が高いので、空気は流入口から気泡となって上昇し、気密室内の揚水ポンプが気泡混合水として空気を排出する結果、流出口から先の第1の管へは空気の混入量が少ない水が送られるので、サイフォンが安定的に機能することができる。
上記吸引力発生装置において前記気密室内における前記揚水ポンプの作動により前記第の管の先端から吸引する吸引圧力を高めることで、より大きな吸引力を発生させることができる。
前記揚水ポンプとしてサンドポンプを用いることが好ましい。気密室から空気を水と一緒に効率良く排出できる。
前記揚水ポンプの吸引口を前記流入口が設けられた前記気密室の側壁の近くに設置することが好ましい。これにより、流入した水に含まれている空気を流出口の方に向かわせないようにできる。
前記第1の管の少なくとも下端側を収容し内部が減圧可能な減圧室を備えることで、減圧室による吸引力にサイフォン機能による吸引力が加わるので、より大きな吸引力を得ることができる。
上記目的達成のための本実施形態による真空圧密地盤改良工法は、上述の吸引力発生装置を用いて地盤改良対象である軟弱地盤において真空圧密による地盤改良工法を行うことを特徴とする。
この真空圧密地盤改良工法によれば、上述の吸引力発生装置によるサイフォン機能の吸引力を利用することで地盤改良における真空圧密を促進させることができ、盛土による載荷の縮小や省略を図ることができるため、使用資材・機材の節減や作業工期の短縮を実現できる。
また、本実施形態によるもう1つの真空圧密地盤改良工法は、上記減圧室を設けた吸引力発生装置を用いて地盤改良対象である軟弱地盤において真空圧密による地盤改良工法を行う真空圧密地盤改良工法であって、前記第2の管が鉛直方向の高い位置にあり、前記軟弱地盤の地下水位面と前記第2の管との間に高低差がある場合、前記地盤改良対象である軟弱地盤に打設されたドレーン材と前記減圧室との間に位置する前記気密室を前記軟弱地盤側に配置することを特徴とする。
この真空圧密地盤改良工法によれば、軟弱地盤の地下水位面と第2の管との間に高低差があるため圧力損失(ヘッドロス)が生じる場合でも、気密室を軟弱地盤側に配置し、気密室による作用負圧を利用することにより吸引エネルギーの損失を抑制することができる。また、減圧室による吸引力とサイフォン機能の吸引力との併用によって従来の真空圧密工法に比べて吸引力が増加し、かつ、吸引力を効率よく加えることができるため、軟弱地盤が所定の強度に達するまでに要する地盤改良期間を短縮することができる。
本発明の吸引力発生装置によれば、空気が大量に混入する水を排水する条件においても、サイフォン機能を維持し発揮させることができる。
本発明の真空圧密地盤改良工法によれば、地盤改良における真空圧密を促進させ盛土による載荷の縮小や省略及び地盤改良期間の短縮を実現することができる。
本実施形態による吸引力発生装置を概略的に示す図である。 図1の吸引力発生装置の気密室の機能を説明するための概念図である。 本実施形態における真空圧密による地盤改良工法を説明するための概略図である。 本実施形態における真空圧密による地盤改良工法の陸上施工時等において高低差による圧力損失がある場合の対策を説明するための概略図である。 図4において排水経路の各位置における作用負圧を示すグラフである。 図5との比較のために気密室を減圧室側に配置した場合の排水経路の各位置における作用負圧を示すグラフである。 本実施形態における真空圧密による地盤改良工法の海上施工時等において高低差による圧力損失がある場合の対策を説明するための概略図である。 本実験例の実験1で用いた実験装置の概要図である。 実験1(空気混入量:0L/分)の実験結果を示す図で、時間経過による各作用負圧の変化を示すグラフである。 実験1(空気混入量:5L/分)の実験結果を示す図で、時間経過による各作用負圧の変化を示すグラフである。 実験1(空気混入量:15L/分)の実験結果を示す図で、時間経過による各作用負圧の変化を示すグラフである。 比較例1(空気混入量:0L/分)の実験結果を示す図で、時間経過による各作用負圧の変化を示すグラフである。 比較例1(空気混入量:5L/分)の実験結果を示す図で、時間経過による各作用負圧の変化を示すグラフである。 本実験例の実験2で用いた実験装置の概要図である。 実験2の実験結果を示す図で、時間経過による各作用負圧の変化を示すグラフである。 比較例2の実験結果を示す図で、時間経過による各作用負圧の変化を示すグラフである。 実験3(空気混入量:0L/分)の実験結果を示す図で、時間経過による各作用負圧の変化を示すグラフである。 実験3(空気混入量:5L/分)の実験結果を示す図で、時間経過による各作用負圧の変化を示すグラフである。 実験3(空気混入量:15L/分)の実験結果を示す図で、時間経過による各作用負圧の変化を示すグラフである。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。図1は本実施形態による吸引力発生装置を概略的に示す図である。図2は図1の吸引力発生装置の気密室の機能を説明するための概念図である。
図1に示すように、本実施形態の吸引力発生装置10は、上部から下部に向けて鉛直方向に延びる第1の管である鉛直管11と、鉛直管11の上部で水平方向に延びる第2の管である水平管12と、鉛直管11が収容され内部が減圧される減圧室21と、鉛直管11の上流側で水平管12と水平管13との間に配置される気密室31と、を備える。水平管13,12を通して鉛直管11の下端11a側に向けて排水経路が形成される。鉛直管11及び水平管12は金属製またはプラスチック製の円筒管からなる。
気密室31は、内部が密閉された気密構造とされ、水平管13から水が流入する流入口32と、水平管12へと水が流出する流出口33と、を備え、内部に揚水ポンプ34を収容している。揚水ポンプ34は排水管36を通して気密室31内の水、空気を外部に排出する。
図1,図2のように、気密室31において流出口33は流入口32よりも鉛直方向の高い位置に設けるとともに、揚水ポンプ34の設置高さとして、揚水ポンプ34の吸引口35を流入口32と流出口33との間に定める。
すなわち、図1,図2のように、水平管13の先端13aの水位面H2を基準に、流出口33の高さをh1,流入口32の高さをh2,揚水ポンプ34の吸引口35の高さをh3とすると、次の関係を満足させるようにする。
h1>h3>h2
また、揚水ポンプ34は、流入口32を設けた気密室31の側壁31aの近くに設置することが望ましい。これにより、流入した水に含まれる空気が流出口33側に直接に向かわずに、気泡として気密室31の上部へと逃げ、揚水ポンプ34の吸引口35へ空気を効率よく導くことができる。
また、減圧室21は、内部が密閉され、排水ポンプ22が内部の水を、排水管23を通して外部に排出し、真空ポンプ24が内部の空気を、排気管25を通して排出し減圧する。減圧室21は、その排水面の水位H1が水平管13の先端13aの水位面H2よりも低くなるように設置される。
図1において、水平管13の先端13aから水が気密室31,水平管12,鉛直管11を通して鉛直管11の下端11aから流れ出すとき、水位差ΔH(H2−H1)に起因にするサイフォン機能により吸引力が水平管13の先端13aから鉛直管11の下端11aに向けて発生する。なお、水位面H1が下端11aよりも低いときは、ΔH=H2−H1’、となる。ただし、H1’は鉛直管11の下端11aの高さである。
このとき、図1,図2の矢印方向aのように水平管13の先端13aから吸引されて流入口32から気密室31へ流入する水には、水平管13に至るまでの途中の継ぎ目などでの気密漏れや不飽和地盤などのために空気が混入し、空気の混入量が多くなり、矢印方向bのように空気も気密室31へ流入する。これらの水と空気は、気密室31内の揚水ポンプ34によって矢印方向c(水)、矢印方向d(空気)のように気液混合状態で外部へと排出される。その結果、空気の混入量が少ない水が流出口33から水平管12へと排出される。水平管12を通って矢印方向e(水)、矢印方向f(空気)のように水と空気が連続的に排出されている平衡状態においては、図2のように、水位H3は水平管12内に存在する。すなわち、平衡状態における気密室31内の水位H3は、流出口33の下端から上端の間に位置すると考えられる。
上述のように、気密室31内において、鉛直方向高さ位置が流入口32,揚水ポンプ34の吸引口35,流出口33の順で高くなるように設定することで、空気の混入した水が流入口32から気密室31内に流入してきたとき、空気は流入口32から気泡となって上昇し、気密室31内の揚水ポンプ34が気泡混合水として空気を排出する。その結果、水平管12,鉛直管11へは空気の混入量が少ない水が送られるので、サイフォンが安定的に機能する。
また、減圧室21の内部が真空ポンプ24の作動により減圧され負圧となることで、吸引力が発生し、水平管12の先端12aから鉛直管11の下端11aに向けて発生する吸引力は、上述のサイフォン機能による吸引力に減圧室21による吸引力が加えられたものになる。
また、気密室31内の揚水ポンプ34として、次の理由からサンドポンプを使用することが望ましい。
(1)揚水ポンプには水と一緒に空気を排出する効果を期待しているため、通常の水中ポンプよりも攪拌羽根が大きく枚数が少ない構造を有するサンドポンプは、空気による閉塞を起こさないため、空気を水と一緒に効率良く排出できる。
(2)排水経路内は、減圧室21の減圧(負圧)作用が加わると、-80kPa以下の高負圧になるため、揚程10m以上のサンドポンプの使用が適している。
以上のように、本実施形態の吸引力発生装置10によれば、気密室31は、その内部に揚水ポンプ34を設置し、気水分離機能を発揮し、不要な空気を水と一緒に排出させるため、流出口33から鉛直管11への空気流出が少なくなり、安定してサイフォンが機能することができる。
また、気密室31における揚水ポンプ34の作動により、さらなる負圧が水平管13に付加され、排水経路の途中に高低差(ヘッドロス)がある条件でも、吸引エネルギー(たとえば、地盤中の間隙水を吸引する力)の損失を抑制することができる。
次に、図1の吸引力発生装置10を軟弱地盤における真空圧密による地盤改良工法に適用した例について図3を参照して説明する。図3は、本実施形態における真空圧密による地盤改良工法を説明するための概略図である。
図3のように、地盤改良対象の軟弱地盤Gに対し複数のドレーン材41を地盤面Sから打設する。各ドレーン材41は、不透気部42を介して集水管43に接続されている。不透気部42は軟弱地盤Gの地下水位面H2に対応した位置に配置される。集水管43の先端43aは、図1の吸引力発生装置10の水平管13に接続部44で接続される。次の手順で地盤改良工法を実行する。
(1)図1のように、真空ポンプ24が接続され、排水設備(排水ポンプ22、排水管23、サイフォンを機能させる鉛直管11)を収納しユニット化した鋼管を減圧室21とし地盤中に貫入し、その際、減圧室21の内部を密閉する。
(2)図3のように改良対象の軟弱地盤Gに打設されたドレーン材41につないだ集水管43を、接続部44で水平管13と接続し、図1の揚水ポンプ34を収容し密閉した気密室31の流入口32に接続する。気密室31の流出口33を、水平管12を介してユニット化した減圧室21の鉛直管11の上部流入口に接続する。減圧室21の排水ポンプ22は、排水管23に接続する。
(3)真空ポンプ24の作動により減圧室21内の圧力を減じ、軟弱地盤Gからの水が気密室31内に流入し、その水位H3が揚水ポンプ34の吸引口35の高さを満たした後に、揚水ポンプ34を起動する。気密室31内からの排水は、排水管を用いて改良対象の軟弱地盤の地表面Sや別途設けた排水タンクに戻す。
以上のような本実施形態における真空圧密による地盤改良工法によれば、減圧室21の真空ポンプの吸引力とサイフォン機能による吸引力とを併用し、改良対象の軟弱地盤中の間隙水を吸引・排水し、地盤改良を行うことができ、空気が大量に混入する水を排水する条件においても、サイフォン機能を安定して発揮させることができる。
すなわち、地盤改良対象の軟弱地盤Gに打設されたドレーン材41には、減圧室21による吸引力と鉛直管11におけるサイフォン機能による吸引力とを加えた吸引エネルギーが作用することで、図3の矢印のように軟弱地盤G中の間隙水がドレーン材41へと吸引され、集水管42,水平管13,気密室31,水平管12,鉛直管11などを通して外部へ排出される。これにより、軟弱地盤Gの真空圧密による地盤改良を行うことができるが、この場合、接続部44などにおける気密漏れや不飽和地盤などのため水に空気が混入しても、水平管13と水平管12との間に配置された気密室31において揚水ポンプ34により空気を外部へ排出することができるので、鉛直管11には空気の少ない水が流れ、このため、安定してサイフォン機能を発揮させることができ、安定したサイフォンによる吸引力を得ることができる。
次に、図1の吸引力発生装置10を軟弱地盤における真空圧密による地盤改良工法に適用した別の二例について図4〜図7を参照して説明する。
図4は本実施形態における真空圧密による地盤改良工法の陸上施工時等において高低差による圧力損失(ヘッドロス)がある場合の対策を説明するための概略図である。図5は図4において排水経路の各位置における作用負圧を示すグラフである。図6は図5との比較のために気密室を減圧室側に配置した場合の排水経路の各位置における作用負圧を示すグラフである。
図4の例は、排水経路の途中に高低差によるヘッドロスがある場合、気密室の位置により圧力損失抑制効果を得るようにしたものである。ここで、ヘッドロスとは、改良対象地盤からの間隙水が、真空ポンプに流下する際に、排水経路の途中で低い位置から高い位置に移動するときに生じる圧力損失のことである。なお、高い位置から低い位置に移動するときには、圧力損失は生じない。
図4のように、陸上施工時においてドレーン材41が打設された改良対象地盤Gと減圧室21との間に築堤Dが存在し、管12内部の水位と地盤Gの地下水位面H2との間に高低差ΔHTがあるため、図4の箇所Eでヘッドロスが生じる。この場合、気密室31を、図4のように、ヘッドロス発生箇所Eよりも改良対象地盤G側に設置する。このように気密室31を設置すると、ヘッドロス発生箇所Eよりも減圧室21側に設置する場合と比べると、改良対象地盤Gに作用する負圧が大きくなる。
すなわち、図5において、減圧室21における作用負圧を-95kN/m2、気密室31による作用負圧の付加を-15kN/m2、排水経路途中の高低差ΔHTによるヘッドロスを-25kN/m2とすると、減圧室21から排水経路の管13の最上部(築堤Dの天端)まで作用負圧が-95kN/m2である。ヘッドロス発生箇所Eの最低部(改良対象地盤Gの築堤法面部)で、-70kN/m2まで減少するが、気密室31による作用負圧の付加により、-85kN/m2にまでもどり、この負圧が最終的に改良対象地盤Gにドレーン材41を介して作用する。
一方、気密室31をヘッドロス発生箇所Eよりも減圧室21側に設置すると、図6のように、気密室31により作用負圧が付加されるが、-100kN/m2の絶対負圧までしか作用負圧が付加されない。そして、ヘッドロス発生箇所Eの最低部(改良対象地盤Gの築堤法面部)で、-75kN/m2まで減少し、この負圧が最終的に改良地盤Gに作用する。
以上のように、改良対象地盤Gに対し絶対負圧(-100kN/m2)近くの-80kN/m2以下のような高負圧を作用させる場合、気密室31をヘッドロス発生箇所Eよりも改良対象地盤G側に設置することで、改良対象地盤Gに作用する負圧(絶対値)を大きくすることができ、排水経路にヘッドロスが生じる場合でも、吸引エネルギーを、気密室31による作用負圧を利用してできるだけ損失しないようにできる。
図7は本実施形態における真空圧密による地盤改良工法の海上施工時等において高低差による圧力損失(ヘッドロス)がある場合の対策を説明するための概略図である。
図7の例は、図4と同じく、排水経路の途中に高低差によるヘッドロスがある場合、気密室の位置により圧力損失抑制効果を得るようにしたものである。図7のように、海上施工時においてドレーン材41が打設された改良対象地盤Gの近くに護岸Hが存在し、減圧室21が護岸Hの上部から地中に設置され、管12内部の水位と地盤Gの地下水位面H2との間に高低差ΔHTがあるため、図7の箇所Fでヘッドロスが生じる。この場合、気密室31を、図7のように、ヘッドロス発生箇所Fよりも改良対象地盤G側に設置する。このように気密室31を設置すると、図4の場合と同様に、ヘッドロス発生箇所Fよりも減圧室21側に設置する場合と比べると、改良対象地盤Gに作用する負圧が大きくなる。
実験例
本発明の気密室の配置によりサイフォンを安定的に機能させる効果について実験を行い検証した。以下の効果について検証実験を行った。
実験1:空気混入時のサイフォンの安定化効果
実験2:ヘッドロス時の吸引エネルギーの損失抑制効果
実験3:気密室内の揚水ポンプの選定
〈実験1〉
図8に実験装置の概要図を示す。図8のような実験装置をサイフォン発生装置とし、減圧室、鉛直管、気密室、水平管を配置し、排水タンクから水を供給し、図の矢印方向に水を流し、水平管、鉛直管上端、減圧室(元圧)の圧力を測定した。水平管の一部から空気を混入させ、空気混入量を0,5,15L/分とかえた。また、比較例1として、図8から気密室を省略した従来型の実験装置により同様の実験を行った。なお、図8において排水タンクが減圧室の下方に便宜上描かれているが、実際は、排水タンクは減圧室よりも高い位置に配置した。なお、気密室内の揚水ポンプはサンドポンプとした。
図9〜図11に実験1の実験結果を示し、図12,図13に比較例1の実験結果を示す。図9〜図11の実験結果からわかるように、気密室を取り付けたサイフォン発生装置は、空気混入量が0,5,15L/分のいずれの場合でも元圧(減圧室)よりも鉛直管上端と水平管で圧力(絶対値)が高い値を示しており、空気が混入する条件においてもサイフォンが安定的に機能している。また、空気が混入しない条件(空気混入量:0L/分)においては、実験1の図9を従来型(比較例1)の図12と比べると、水平管において従来型よりも7〜8kPa程度の圧力(絶対値)の上昇が確認され、気密室により負圧が付加されていることがわかる。
一方、従来型のサイフォン発生装置は、図13のように、空気混入量が5L/分の条件で元圧に対して鉛直管上端と水平管での圧力が同じ値を示し、サイフォンが機能しなくなることがわかる。
〈実験2〉
図14に実験装置の概要図を示す。図14の実験装置は、図8と同様であるが、排水経路の途中に1.5mの高低差を設け、気密室を排水タンク側に配置した。また、比較例2として、図14から気密室を省略した従来型の実験装置により同様の実験を行った。空気混入量は0L/分とした。
図15に実験2の実験結果を示し、図16に比較例2の実験結果を示す。図15の実験結果を従来型(比較例2)の図16と比べると、排水経路の途中に1.5mの高低差がある条件では、水平管において従来型よりも5〜8kPa程度の圧力(絶対値)の上昇が確認された。これにより、気密室内の揚水ポンプによってさらなる負圧が付加され、排水経路の途中に高低差がある条件でも、吸引エネルギーの損失を抑制できることがわかった。
〈実験3〉
実験3は、図8と同様の実験装置を用いて行い、気密室内の揚水ポンプを通常の水中ポンプとし、空気混入量を0,5,15L/分とかえた。
図17〜図19に実験3の実験結果を示す。実験1では気密室内の揚水ポンプをサンドポンプとしたので、実験1の実験結果を示す図9〜図11と図17〜図19を比べると、気密室内に収容するポンプによって負圧向上の程度が異なることが判明した。すなわち、空気混入量が0,5,15L/分のいずれの場合も、サンドポンプの方が水平管における圧力(絶対値)向上の程度が高いことがわかる。
通常の水中ポンプでは、図19のように空気混入量が15L/分でサイフォン機能による負圧(絶対値)の向上が見られなくなるのに対し、サンドポンプを使用した場合は、図11のように空気混入量15L/分でも負圧(絶対値)の向上が確認できた。
気密室の揚水ポンプには水と一緒に空気を排出する効果を期待しているため、通常の水中ポンプよりも攪拌羽根が大きく枚数が少ない構造を有するサンドポンプの方が空気による閉塞を起こさないため、空気を水と一緒に効率良く排出できる。このため、気密室内の揚水ポンプはサンドポンプが適しており、排水経路内は-80kPa以下の高負圧になるため、揚程10m以上のサンドポンプの使用が望ましい。
以上のように本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で各種の変形が可能である。例えば、本発明による吸引力発生装置を真空圧密地盤改良工法に適用したが、これに限定されず、他の装置・システム・他の工法に適宜適用してよく、同様の効果を得ることができる。また、鉛直管、水平管は、円筒管以外であってもよく、例えば角筒管でもよい。
また、本実施形態では、第1の管を鉛直管として、第2管を水平管として配置したが、本発明はこれに限定されず、水位差により第2の管から第1の管の下端側に向けてサイフォン機能により吸引力が作用する構成であれば、それらの配置形態はいずれでもよく、例えば、第1の管、第2の管は傾斜等していてもよい。
また、図3では、改良対象地盤に垂直ドレーン材を打設したが、本発明はこれに限定されず、水平ドレーン材であってもよい。
10 吸引力発生装置 11 鉛直管 11a 鉛直管の下端 12,13 水平管 13a 水平管13の先端 21 減圧室 22 排水ポンプ 24 真空ポンプ 31 気密室 32 流入口 33 流出口 34 揚水ポンプ 35 揚水ポンプ34の吸引口 36 排水管 41 ドレーン材 43 集水管 44 接続部 E、F ヘッドロス発生箇所 G 軟弱地盤、改良対象地盤 H2 地下水位面 ΔH 水位差 ΔHT 高低差

Claims (7)

  1. 上部から下部に向けて延びる第1の管と、前記第1の管と前記上部で接続する第2の管と、前記第2の管の上流側に位置する第3の管と、を有し、前記第1の管の下端側と、前記第の管との間の水位差により、前記第の管の先端から前記第1の管の下端に向けてサイフォン機能により吸引力が作用する吸引力発生装置であって、
    前記第2の管と前記第3の管との間に気密室を配置し、前記気密室は、前記第の管の前記先端から吸引される水の流入口と前記第2の管へと流出する水の流出口と、内部に収容された揚水ポンプと、を有し、
    前記流出口を前記流入口よりも鉛直方向の高い位置に設け、
    前記揚水ポンプの吸引口の鉛直方向における位置を前記流出口と前記流入口との間に定め、
    前記流入口から前記気密室内に流入した水と空気の一部を前記揚水ポンプにより外部へ排出することを特徴とする吸引力発生装置。
  2. 前記気密室内における前記揚水ポンプの作動により前記第の管の先端から吸引する吸引圧力を高めることを特徴とする請求項1に記載の吸引力発生装置。
  3. 前記揚水ポンプとしてサンドポンプを用いることを特徴とする請求項1または2に記載の吸引力発生装置。
  4. 前記揚水ポンプの吸引口を前記流入口が設けられた前記気密室の側壁の近くに設置することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の吸引力発生装置。
  5. 前記第1の管の少なくとも下端側を収容し内部が減圧可能な減圧室を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の吸引力発生装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1項に記載の吸引力発生装置を用いて地盤改良対象である軟弱地盤において真空圧密による地盤改良工法を行うことを特徴とする真空圧密地盤改良工法。
  7. 請求項5に記載の吸引力発生装置を用いて地盤改良対象である軟弱地盤において真空圧密による地盤改良工法を行う真空圧密地盤改良工法であって、
    前記第2の管が鉛直方向の高い位置にあり、前記軟弱地盤の地下水位面と前記第2の管との間に高低差がある場合、前記地盤改良対象である軟弱地盤に打設されたドレーン材と前記減圧室との間に位置する前記気密室を前記軟弱地盤側に配置することを特徴とする真空圧密地盤改良工法。
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