以下、実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、一実施形態における半導体装置SYSの例を示している。図1の矢印は、クロックの伝送の一例を示している。なお、破線の矢印は、ポートPT1、PT2間のクロックの伝送を示している。また、図1では、図を見やすくするために、ポートPT1、PT2以外の外部端子(チップ上のパッド等)や配線の記載を省略している。半導体装置SYSは、例えば、チップ10(以下、第1チップとも称する)と、チップ10上に配置されるチップ20(以下、第2チップとも称する)とを有している。
例えば、チップ10には、PLL(Phase Locked Loop)、論理回路LGおよびポートPT1が形成される。PLLは、例えば、外部クロックを受け、論理回路LGの動作クロックの元となる第1クロックを外部クロックに基づいて生成する。例えば、PLLで生成された第1クロックは、ポートPT1、PT2を介して、遅延回路DLの1つに伝送される。なお、PLLは、チップ20に形成されてもよい。論理回路LGは、ポートPT1に伝送された動作クロックに同期して動作する。ポートPT1は、例えば、論理回路LGの動作クロックをチップ20の遅延回路DLからポートPT2を介して受ける。すなわち、チップ10は、動作クロックを受けるポートPT1と、ポートPT1に伝送された動作クロックに同期して動作する回路LGとを有している。
また、チップ20には、例えば、遅延制御回路DLC、遅延回路DLおよびポートPT2が形成される。すなわち、チップ20は、遅延制御回路DLC、遅延回路DLおよびポートPT2を有している。遅延制御回路DLCは、遅延回路DLの遅延量を制御するための遅延制御信号を生成する。遅延回路DLは、遅延制御回路DLCから受ける遅延制御信号に基づいて、入力クロックを遅延させる。そして、遅延回路DLは、遅延させたクロックを、ポートPT2等に出力する。
ポートPT2は、例えば、チップ20を貫通する貫通電極で形成され、ポートPT1に接続されている。ポートPT2を貫通電極で形成することにより、ポートPT1、PT2の組を多数設けることができる。また、ポートPT2を貫通電極で形成することにより、ポートPT2に接続されるポートPT1を論理回路LGの近くに配置できる。
なお、ポートPT2は、例えば、バンプにより、ポートPT1に接続されてもよい。このときには、例えば、チップ20は、図1のチップ20を上下反転して配置される。すなわち、ポートPT1とポートPT2とがバンプで接続されるときには、ポートPT1等は、チップ10のチップ20に対向する面上に形成され、ポートPT2等は、チップ20のチップ10に対向する面上に形成される。ポートPT1、PT2間をバンプで接続することにより、製造コストを低減できる。
ここで、チップ20は、例えば、チップ10を製造する際のプロセスに比べて、素子間の製造ばらつきの小さいプロセスで製造される。以下、素子間の製造ばらつきの小さいプロセスをロープロセスとも称する。一般的に、先端プロセス(例えば、微細化されたプロセス)より前の世代のプロセスの方が、素子間の製造ばらつきを小さくできる。例えば、チップ10は、先端プロセスで製造され、チップ20は、先端プロセスより前の世代のプロセスで製造される。
ロープロセスで製造されたチップ20では、チップ20内の製造ばらつきが小さいため、温度変動や電源変動に対する素子間の特性変動の差を小さくできる。この結果、チップ20では、クロックをチップ20全体に伝送するときに、クロックの相対的なタイミングのずれを小さくできる。また、一般的に、ロープロセスの製造コストは、先端プロセスの製造コストより低い。このため、この実施形態では、チップ20をロープロセスで製造することにより、製造コストを低減できる。
また、チップ10では、微細化されたプロセスを使用できるため、集積度を向上できる。なお、微細化されたプロセスでチップ10を製造したときにも、ポートPT1からの近距離配線で伝送される動作クロックを論理回路LGが使用できるため、各論理回路LGの動作クロックの相対的なタイミングのずれは、抑制される。したがって、半導体装置SYSでは、クロックの相対的なタイミングのずれを低減できる。
このように、この実施形態では、TSV(Through Silicon Via)等の3次元実装技術により、異なるプロセスで製造したチップ10、20を接続している。これにより、この実施形態では、各チップ10、20を各用途に応じた最適なプロセスで製造でき、トータルとして最適化されたチップを実現できる。図1の例では、第1チップ10には、半導体装置SYSの機能を実現するための論理回路LG等が形成され、第2チップ20には、論理回路LG等を動作させるための遅延制御回路DLCおよび遅延回路DL等が形成されている。
なお、半導体装置SYSの構成は、この例に限定されない。例えば、半導体装置SYSでは、3つ以上のチップが3次元実装されてもよい。
図2は、図1に示した第2チップ20の一例を示している。なお、図2では、図を見やすくするために、クロックが伝送される配線を示し、それ以外の配線の記載を省略している。さらに、図2では、ポートPT2以外の外部端子(チップ上のパッド等)の記載も省略している。また、図の太線で示したポートPT2x、PT2x’は、チップ20内で伝送されるクロックの起点および終点に対応している。
ポートPT2は、例えば、チップ20を貫通する貫通電極で形成され、メッシュ状に配置されている。そして、ポートPT2間に、遅延回路DLが配置されている。例えば、複数の遅延回路DLのうちの一部は、図の縦方向に多段接続可能に配置され、残りの遅延回路DLは、図の横方向に多段接続可能に配置される。このように、遅延回路DLは、ポートPT2の配置に応じて、メッシュ状に配置されている。
図2の例では、第1クロック(図1に示したPLLの出力クロック)は、ポートPT2xからポートPT2x’まで、一筆書き可能な経路(クロック経路)で各ポートPT2に伝送される。すなわち、遅延回路DLは、ポートPT2xからポートPT2x’まで、多段接続されている。換言すれば、クロック経路は、例えば、ポートPT2x、PT2x’間に多段接続された遅延回路DLにより形成される。
なお、多段接続された遅延回路DL間には、ポートPT2が配置されている。例えば、ポートPT2aは、遅延回路DLa、DLb間に配置され、遅延回路DLaの出力および遅延回路DLbの入力に接続されている。また、ポートPT2bは、遅延回路DLb、DLc間に配置され、遅延回路DLbの出力および遅延回路DLcの入力に接続されている。
遅延回路DLは、遅延制御回路DLCから受ける遅延制御信号に基づいて、入力クロックを遅延させる。例えば、遅延制御回路DLCは、遅延回路DLの入力クロックを1周期分遅延させる設定を示す遅延制御信号を生成し、クロック経路上の全ての遅延回路DLに遅延制御信号を出力する。なお、遅延制御回路DLCは、チップ20内の全ての遅延回路DLに、遅延制御信号を出力してもよい。
遅延制御信号が入力クロックを1周期分遅延させる設定のとき、遅延回路DLは、入力クロックに対して、1周期分の遅延を付加する。例えば、遅延回路DLaは、ポートPT2xに伝送された第1クロックを入力クロックとして受け、入力クロックを1周期分遅延させてポートPT2aに出力する。そして、遅延回路DLbは、ポートPT2aに伝送されたクロック(第1クロックを1周期分遅延させたクロック)を入力クロックとして受け、入力クロックを1周期分遅延させてポートPT2bに出力する。
遅延回路DLcは、ポートPT2bに伝送されたクロック(第1クロックを2周期分遅延させたクロック)を入力クロックとして受け、入力クロックを1周期分遅延させてポートPT2cに出力する。以降、第1クロックは、ポートPT2x’まで、遅延回路DLを通過する度に1周期分遅延して、伝送される。このように、多段接続された遅延回路DLは、入力クロックを遅延制御信号に基づいて遅延させて順次後段に伝送する。これにより、各ポートPT2に伝送されるクロックの位相は、ほぼ同一になる。
ここで、遅延回路DL間の配線は、クロック経路に対応する箇所のみに形成されてもよいし、クロック経路に拘わらず遅延回路DL間に形成されてもよい。また、クロック経路に拘わらず遅延回路DL間に配線が形成されるときには、クロック経路以外の遅延回路DLの出力は、例えば、ハイインピーダンス状態に設定される。すなわち、遅延回路DL間は、出力が衝突しないように電気的に接続される。換言すれば、複数の遅延回路DLの出力クロックが1つのポートPT2に伝送されないように、遅延回路DL間は電気的に接続される。
この実施形態では、遅延回路DLがメッシュ状に配置されているため、クロック経路の変更を容易にできる。これにより、チップ20は、機能の異なる複数のチップ10に対応できる。すなわち、この実施形態では、チップ20を汎用的に使用できる。例えば、この実施形態では、チップ20の配線層を変更することにより、クロック経路を変更できる。これにより、この実施形態では、例えば、クロック経路の異なる複数のチップ20を製造する際、配線層より前の製造工程を共通にできる。この結果、この実施形態では、チップ20の製造コストを低減できる。
なお、チップ20の構成は、この例に限定されない。例えば、クロック経路以外の遅延回路DLは、省かれてもよい。また、例えば、チップ20は、クロック経路以外の遅延回路DLの出力をハイインピーダンス状態に設定するデコーダを有してもよい。このときには、デコーダでクロック経路を設定できるため、チップ20の汎用性を向上できる。例えば、チップ20は、クロック経路の設定をデコーダで変更することにより、機能の異なる複数のチップ10に容易に対応できる。
また、例えば、クロック経路は、一筆書き可能な経路でなくてもよい。例えば、遅延回路DLの出力が他の遅延回路DLの出力と衝突しなければ、複数の遅延回路DLの入力が1つの遅延回路DLの出力に電気的に接続されてもよい。このときには、クロック経路を設定する際の経路の選択肢が増加するため、クロック経路の設計を容易にできる。
なお、一筆書き可能なクロック経路では、例えば、遅延回路DL間の配線がクロック経路に対応する箇所のみに形成されているときにも、クロック経路上の各遅延回路DLの負荷をほぼ同一にできる。すなわち、入力インピーダンスや出力インピーダンスの遅延回路DL間の差を小さくできる。この結果、クロックをチップ20全体に伝送するときに、クロックの相対的なタイミングのずれを小さくできる。
図3は、図2に示した第2チップ20のポートPT2a、PT2b、PT2cに伝送されるクロックの一例を示している。すなわち、図3は、図2に示した遅延回路DLa、DLb、DLcの出力クロックの一例を示している。なお、図3では、各遅延回路DLは、入力クロックを1周期分遅延させる。
例えば、遅延回路DLaは、図2に示したポートPT2xに伝送された第1クロックを入力クロックとして受け、入力クロックを1周期分遅延させてポートPT2aに出力する。そして、遅延回路DLbは、ポートPT2aに伝送されたクロック(遅延回路DLaの出力クロック)を入力クロックとして受け、入力クロックを1周期分遅延させてポートPT2bに出力する。
例えば、時刻t12のポートPT2aのクロックの立ち上がりエッジ(図のポートPT2aの丸印)は、時刻t12から1周期後の時刻t14に、ポートPT2bに到達する。したがって、時刻t14のポートPT2bのクロックの立ち上がりエッジ(図のポートPT2bの丸印)は、時刻t12のポートPT2aのクロックの立ち上がりエッジ(図のポートPT2aの丸印)が1周期分遅延したものである。
遅延回路DLcは、ポートPT2bに伝送されたクロック(遅延回路DLbの出力クロック)を入力クロックとして受け、入力クロックを1周期分遅延させてポートPT2cに出力する。例えば、時刻t14のポートPT2bのクロックの立ち上がりエッジ(図のポートPT2bの丸印)は、時刻t14から1周期後の時刻t16に、ポートPT2cに到達する。
したがって、時刻t16のポートPT2cのクロックの立ち上がりエッジ(図のポートPT2cの丸印)は、時刻t14のポートPT2bのクロックの立ち上がりエッジ(図のポートPT2bの丸印)が1周期分遅延したものである。すなわち、時刻t16のポートPT2cのクロックの立ち上がりエッジ(図のポートPT2cの丸印)は、時刻t12のポートPT2aのクロックの立ち上がりエッジ(図のポートPT2aの丸印)が2周期分遅延したものである。
このように、各ポートPT2に伝送されるクロックの遅延量は、1周期単位で付加されている。したがって、各ポートPT2に伝送されるクロックの位相は、ほぼ同一になる。すなわち、この実施形態では、クロックの相対的な位相のずれを低減できる。換言すれば、この実施形態では、クロックの相対的なタイミングのずれを低減できる。
図4は、図2に示した遅延制御回路DLCおよび遅延回路DLの概要を示している。なお、図4では、遅延回路DLa、DLb、DLi以外の遅延回路DLの記載を省略している。遅延制御回路DLCおよび遅延回路DLを含む回路群は、基準クロックCKRFの周期を基準とした遅延量を、遅延回路DLの入力クロックに付加するDLL(Delay Locked Loop)として機能する。
例えば、遅延制御回路DLCは、基準クロックCKRFを受け、遅延制御信号DCNT1、DCNT2を生成する。基準クロックCKRFは、図1に示したPLLで生成された第1クロック(図2に示したポートPT2xに伝送される第1クロック)でもよいし、図1に示したPLLとは別のクロック源で生成されたクロックでもよい。すなわち、遅延制御回路DLCは、多段接続された遅延回路DLの先頭の遅延回路DLaの入力クロックCK10(第1クロック)と同じクロックを基準クロックCKRFとして受けてもよいし、第1クロックCK10と異なるクロックを基準クロックCKRFとして受けてもよい。
また、遅延制御回路DLCは、クロック経路上の全ての遅延回路DL(DLa、DLb、・・・、DLi)に遅延制御信号DCNT1、DCNT2を出力する。なお、遅延制御回路DLCは、チップ20内の全ての遅延回路DLに、遅延制御信号DCNT1、DCNT2を出力してもよい。遅延制御信号DCNT1は、例えば、基準クロックCKRFの1周期分の遅延量を示す信号である。また、遅延制御信号DCNT2は、遅延制御信号DCNT1が有効であるか否かを示す信号である。例えば、遅延制御信号DCNT2がアサートされているとき、遅延回路DLは、遅延制御信号DCNT1を有効な信号として処理する。
遅延回路DLa、DLb、DLiは、遅延制御回路DLCからの遅延制御信号DCNT1、DCNT2を受け、入力クロックを遅延制御信号DCNT1、DCNT2に基づいて遅延させる。例えば、遅延制御信号DCNT2がアサートされている期間では、遅延回路DLa、DLb、DLiは、遅延制御信号DCNT1に基づく遅延量を、入力クロックに付加する。また、遅延制御信号DCNT2がネゲートされている期間では、遅延回路DLa、DLb、DLiは、例えば、遅延量の設定を変更しない。
なお、遅延回路DLaの入力クロックCK10は、例えば、図2に示したポートPT2xに伝送される第1クロックである。また、遅延回路DLb、DLi等の入力クロックは、前段の遅延回路DLの出力クロックである。例えば、遅延回路DLbの入力クロックCK10aは、遅延回路DLbの前段の遅延回路DLaの出力クロックCK10aである。
図5は、図4に示した遅延制御回路DLCの一例を示している。遅延制御回路DLCは、例えば、基準クロックCKRFを1周期分遅延させる遅延量を検出するDLLとして機能する。例えば、遅延制御回路DLCは、遅延部DLP、位相比較器PCおよびロックシーケンサLSを有している。
遅延部DLPは、基準クロックCKRFおよび遅延制御信号DCNT1を受け、基準クロックCKRFを遅延制御信号DCNT1に基づいて遅延させる。そして、遅延部DLPは、基準クロックCKRFを遅延させたクロックDCK(以下、遅延クロックとも称する)を位相比較器PCに出力する。位相比較器PCは、基準クロックCKRFおよび遅延クロックDCKを受け、基準クロックCKRFの位相と遅延クロックDCKの位相とを比較する。そして、位相比較器PCは、基準クロックCKRFの位相と遅延クロックDCKの位相との比較結果を、ロックシーケンサLSに出力する。
ロックシーケンサLSは、基準クロックCKRFの位相と遅延クロックDCKの位相との比較結果に基づいて、遅延制御信号DCNT1、DCNT2を生成する。例えば、ロックシーケンサLSは、位相比較の結果に応じて次のステップの遅延量を設定し、設定した遅延量を示す遅延制御信号DCNT1を遅延部DLPおよび遅延回路DLに出力する。
また、ロックシーケンサLSは、遅延制御回路DLCのシーケンスの状態を識別するための遅延制御信号DCNT2を遅延回路DLに出力する。例えば、遅延制御信号DCNT2は、遅延制御回路DLCのシーケンスがロック状態のとき、アサートされる。すなわち、遅延回路DLは、遅延制御回路DLCのシーケンスがロック状態のとき、遅延制御信号DCNT1を有効な信号として処理する。
ここで、遅延制御回路DLCのシーケンスは、基準クロックCKRFの位相と遅延クロックDCKの位相との差が予め定められた許容範囲内のとき、ロック状態になる。したがって、位相比較の結果(位相差)が許容範囲内のとき、ロックシーケンサLSは、遅延制御信号DCNT2をアサートする。また、位相比較の結果(位相差)が許容範囲外のときには、遅延制御回路DLCのシーケンスがロック状態でないため、ロックシーケンサLSは、遅延制御信号DCNT2をネゲートする。
このように、遅延制御回路DLCは、基準クロックCKRFを所定量(例えば、1周期分)遅延させた遅延クロックDCKを生成し、遅延クロックDCKの遅延量を所定量にするための遅延制御信号DCNT1を生成する。
図6は、図5に示した遅延部DLPの一例を示している。図の破線の矢印は、遅延経路の一例を示している。また、図のインバータINV(INV1、INV2、INV3、INV4、INVA、INVB)は、入力信号を反転して出力する反転回路を示している。図の制御信号SIG(SIG0−SIG63)は、遅延制御信号DCNT1に対応している。
遅延部DLPは、インバータINV1、INV2、INV3、INV4と、64個の遅延単位回路DLU(DLU0−DLU63)と、遅延単位回路DUM1、DUM2とを有している。なお、遅延単位回路DLUの数は、64個に限定されない。また、遅延単位回路DUM1、DUM2の構成は、遅延単位回路DLUと同じである。
インバータINV1、INV2は、端子CPN1と遅延単位回路DLU0のインバータINVAの入力との間に直列に接続され、遅延単位回路DLU0に伝送するクロックの特性を改善する。例えば、図5に示した基準クロックCKRFが端子CPN1に入力される。
遅延単位回路DLU(DLU0−DLU63)は、多段接続されている。以下、着目する遅延単位回路DLUに対して、符号DLUの末尾の数字が1つ小さい遅延単位回路DLUを前段の遅延単位回路DLUとも称する。また、着目する遅延単位回路DLUに対して、符号DLUの末尾の数字が1つ大きい遅延単位回路DLUを後段の遅延単位回路DLUとも称する。
各遅延単位回路DLUは、インバータINVA、INVBおよびセレクタSELAを有している。遅延単位回路DLU0−DLU63のインバータINVAは、直列に接続されている。例えば、遅延単位回路DLU0のインバータINVAの出力は、遅延単位回路DLU1のインバータINVAの入力に接続されている。なお、遅延単位回路DLU0のインバータINVAの入力は、インバータINV2の出力に接続されている。また、遅延単位回路DLU63のインバータINVAの出力は、遅延単位回路DUM1のインバータINVAの入力に接続されている。
セレクタSELAは、制御信号SIGに応じて、2つの入力のいずれかをインバータINVBに出力する。セレクタSELAの2つの入力の一方は、インバータINVAの出力に接続され、2つの入力の他方は、後段の遅延単位回路DLUのインバータINVBの出力に接続されている。なお、遅延単位回路DLU63では、セレクタSELAの2つの入力の他方は、遅延単位回路DUM1のインバータINVBの出力に接続されている。
例えば、遅延単位回路DLU63では、セレクタSELAは、制御信号SIG63が高レベルのとき、インバータINVAの出力をインバータINVBに出力し、制御信号SIG63が低レベルのとき、遅延単位回路DUM1のインバータINVBの出力をインバータINVBに出力する。また、例えば、遅延単位回路DLU0では、セレクタSELAは、制御信号SIG0が高レベルのとき、インバータINVAの出力をインバータINVBに出力し、制御信号SIG0が低レベルのとき、遅延単位回路DLU1のインバータINVBの出力をインバータINVBに出力する。
インバータINVBは、セレクタSELAから受けた信号を反転して、前段の遅延単位回路DLUのセレクタSELAに出力する。例えば、遅延単位回路DLU63のインバータINVBは、遅延単位回路DLU63のセレクタSELAから受けた信号の反転信号を、遅延単位回路DLU62のセレクタSELAに出力する。なお、遅延単位回路DLU0のインバータINVBは、遅延単位回路DLU0のセレクタSELAから受けた信号の反転信号を、遅延単位回路DUM2のインバータINVBに出力する。
遅延単位回路DUM1は、遅延単位回路DLU63の負荷として機能する。例えば、遅延単位回路DUM1のインバータINVAは、遅延単位回路DUM63のインバータINVAから受けた信号を反転して、遅延単位回路DUM1のセレクタSELAの2つの入力の一方に出力する。遅延単位回路DUM1のセレクタSELAの2つの入力の他方は、例えば、接地電圧に固定されている。
また、遅延単位回路DUM1のセレクタSELAは、2つの入力の他方(接地電圧)をインバータINVBに出力するように、制御されている。例えば、遅延単位回路DUM1のセレクタSELAの制御信号は、接地電圧に固定されている。遅延単位回路DUM1のインバータINVBは、遅延単位回路DUM1のセレクタSELAから受けた信号の反転信号を、遅延単位回路DLU63のセレクタSELAに出力する。
遅延単位回路DUM2は、遅延単位回路DLU0の負荷として機能する。例えば、遅延単位回路DUM2のインバータINVAは、遅延単位回路DLU0のインバータINVBから受けた信号を反転して、遅延単位回路DUM2のセレクタSELAの2つの入力の一方に出力する。遅延単位回路DUM2のセレクタSELAの2つの入力の他方は、例えば、接地電圧に固定されている。
また、遅延単位回路DUM2のセレクタSELAは、2つの入力の一方(インバータINVAの出力)をインバータINVBに出力するように、制御されている。例えば、遅延単位回路DUM2のセレクタSELAの制御信号は、電源電圧VDDに固定されている。遅延単位回路DUM2のインバータINVBは、遅延単位回路DUM2のセレクタSELAから受けた信号(インバータINVAの出力)の反転信号を、インバータINV3に出力する。インバータINV3、INV4は、遅延単位回路DUM2のインバータINVBの出力と端子CPN2との間に直列に接続され、遅延部DLPの出力クロックの特性を改善する。例えば、図5に示した遅延クロックDCKは、端子CPN2から出力される。
遅延部DLPの遅延量は、遅延制御信号DCNT1(制御信号SIG0−SIG63)で遅延経路を選択することにより、制御される。例えば、遅延単位回路DLU62で折り返す遅延経路(図の破線の矢印で示した遅延経路)を選択するときには、制御信号SIG62が高レベルに設定され、制御信号SIG0−SIG61、SIG63が低レベルに設定される。なお、制御信号SIG63は、高レベルに設定されてもよい。
遅延経路が遅延単位回路DLU62で折り返す経路のときには、遅延部DLPの遅延量は、固定遅延量に、63個の遅延単位回路DLU(インバータINVA、INVB、セレクタSELA)の遅延量が加算された遅延量に設定される。ここで、固定遅延量は、インバータINV1−INV4の遅延量と遅延単位回路DUM2(インバータINVA、INVB、セレクタSELA)の遅延量との和である。
なお、遅延部DLPの構成は、この例に限定されない。例えば、インバータINV1−INV4や遅延単位回路DUM1、DUM2は、省かれてもよい。インバータINV1−INV4および遅延単位回路DUM1、DUM2が省かれたときには、上述の固定遅延量が“0”であるため、遅延部DLPの遅延量は、遅延制御信号DCNT1により選択された個数の遅延単位回路DLUの遅延量に設定される。また、例えば、遅延部DLPは、複数の遅延素子が直列に接続されたディレイラインと、ディレイラインの各遅延素子の出力を受けるセレクタを有してもよい。セレクタは、ディレイラインの各遅延素子の出力から遅延部DLPの出力を選択する。
図7は、図5に示した遅延制御回路DLCの動作の一例を示している。図の状態1は、遅延クロックDCKの遅延量が不足しているときを示し、状態2は、遅延クロックDCKの遅延量が付き過ぎているときを示している。状態3は、遅延制御回路DLCのシーケンスがロック状態であるときを示している。
状態1では、遅延クロックDCKは、基準クロックCKRFより先に立ち上がる。したがって、位相比較器PCは、遅延クロックDCKの位相が基準クロックCKRFより進んでいることを示す比較結果を、ロックシーケンサLSに出力する。遅延クロックDCKの位相が基準クロックCKRFより進んでいることは、遅延クロックDCKの遅延量が不足していることに対応している。
このため、ロックシーケンサLSは、次のステップの遅延量を増加させる遅延制御信号DCNT1を遅延部DLPに出力する。これにより、次のステップでは、遅延部DLPで付加される遅延量が増加する。この結果、次のステップでは、遅延クロックDCKと基準クロックCKRFとの位相差が小さくなる。例えば、遅延クロックDCKと基準クロックCKRFとの位相差が許容範囲内になり、遅延制御回路DLCのシーケンスがロック状態になる(図の状態3)。
状態2では、遅延クロックDCKは、基準クロックCKRFより後に立ち上がる。したがって、位相比較器PCは、遅延クロックDCKの位相が基準クロックCKRFより遅れていることを示す比較結果を、ロックシーケンサLSに出力する。遅延クロックDCKの位相が基準クロックCKRFより遅れていることは、遅延クロックDCKの遅延量が付き過ぎていることに対応している。
このため、ロックシーケンサLSは、次のステップの遅延量を減少させる遅延制御信号DCNT1を遅延部DLPに出力する。これにより、次のステップでは、遅延部DLPで付加される遅延量が減少する。この結果、次のステップでは、遅延クロックDCKと基準クロックCKRFとの位相差が小さくなる。例えば、遅延クロックDCKと基準クロックCKRFとの位相差が許容範囲内になり、遅延制御回路DLCのシーケンスがロック状態になる(図の状態3)。
状態3では、遅延クロックDCKと基準クロックCKRFとの位相差は、許容範囲内である。したがって、位相比較器PCは、遅延クロックDCKと基準クロックCKRFとの位相差が許容範囲内であることを示す比較結果を、ロックシーケンサLSに出力する。なお、位相比較器PCから出力される比較結果は、位相差が許容範囲内であることを直接示す情報でなくてもよい。位相差が許容範囲内であるか否かを、ロックシーケンサLSが位相比較器PCの比較結果を用いて判定できればよい。
遅延クロックDCKと基準クロックCKRFとの位相差が許容範囲内であるため、遅延制御回路DLCのシーケンスは、ロック状態になる。したがって、ロックシーケンサLSは、遅延制御信号DCNT2をアサートする。なお、温度変動や電源変動等により、遅延クロックDCKと基準クロックCKRFとの位相差が許容範囲外に変動したときには、ロック状態になるまで、遅延部DLPで付加される遅延量が再度調整される。
すなわち、ロックシーケンサLSは、温度変動や電源変動等に連動した遅延制御信号DCNT1を生成する。したがって、遅延制御信号DCNT1は、温度変動や電源変動等によりインバータINV等の素子の特性が変動したときにも、基準クロックCKRFを1周期分遅延させる情報(遅延量)に維持される。
図8は、図4に示した遅延回路DLの一例を示している。図の破線の矢印は、遅延経路の一例を示している。遅延回路DLは、図6に示した遅延部DLPに、制御部CLTが追加されている。遅延回路DLのその他の構成は、遅延部DLPと同じである。すなわち、遅延回路DLの遅延特性は、遅延部DLPと同じである。遅延部DLPで説明した要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。
制御部CLTは、遅延制御信号DCNT1を有効にするか否かを遅延制御信号DCNT2に基づいて設定する。制御部CLTは、例えば、遅延制御信号DCNT1、DCNT2を受け、制御信号SIG(SIG0−SIG63)を出力する。例えば、制御部CLTは、遅延制御信号DCNT2がネゲートされているとき、遅延制御信号DCNT1の値を制御信号SIG(SIG0−SIG63)に反映しない。
また、例えば、制御部CLTは、遅延制御信号DCNT2がアサートされているとき、遅延制御信号DCNT1の値を制御信号SIG(SIG0−SIG63)に反映する。したがって、遅延制御回路DLCのシーケンスがロック状態のとき(例えば、遅延制御信号DCNT2がアサートされているとき)、制御信号SIG0−SIG63の値は、図6に示した遅延部DLPの制御信号SIG0−SIG63の値と同じである。
このように、端子CPN1から端子CPN2までのクロック経路(遅延経路)の構成は、遅延部DLPと遅延回路DLとで同じである。したがって、遅延回路DLで付加される遅延量は、温度変動や電源変動等によりインバータINV等の素子の特性が変動したときにも、基準クロックCKRFを1周期分遅延させる遅延量に維持される。
なお、遅延回路DLの構成は、この例に限定されない。例えば、遅延回路DLは、遅延制御信号DCNT2を受けなくてよい。このときには、遅延回路DLの構成は、制御部CLTが省かれるため、遅延部DLPと同じである。また、クロック経路以外の遅延回路DLの出力をハイインピーダンス状態に設定するデコーダをチップ20が有するときには、インバータINV4は、オン/オフ制御可能な反転回路でもよい。例えば、インバータINV4は、オフのとき、出力をハイインピーダンス状態にする。このときには、例えば、図6に示したインバータINV4にも、遅延回路DLのインバータINV4と同じ反転回路が使用される。
また、遅延部DLPの端子CPN1から端子CPN2までのクロック経路の構成が図6に示した例と異なるときには、遅延回路DLの端子CPN1から端子CPN2までのクロック経路の構成は、遅延部DLPと同じように形成される。あるいは、遅延回路DLのインターフェース(端子CPN1、CPN2)は、図9に示すように、入力と出力とを切り替え可能に形成されてもよい。このときには、遅延部DLPも遅延回路DLと同様に形成される。
図9は、図4に示した遅延回路DLの別の例を示している。図のインバータINV41、INV42は、オン/オフ制御可能な反転回路を示している。図9に示した遅延回路DLは、図8に示した遅延回路DLにセレクタSEL1が追加され、インバータINV4の代わりにインバータINV41、INV42が形成されている。遅延回路DLのその他の構成は、図8に示した遅延回路DLと同じである。
セレクタSEL1は、制御信号INCNTに応じて、2つの入力のいずれかをインバータINV1に出力する。セレクタSEL1の2つの入力の一方は、端子CPN1に接続され、2つの入力の他方は、端子CPN2に接続されている。また、インバータINV41は、入力がインバータINV3の出力に接続され、出力が端子CPN1に接続されている。また、インバータINV41は、制御信号OCNT1に応じて、オン/オフが制御される。例えば、インバータINV41は、オフのとき、出力をハイインピーダンス状態にする。
インバータINV42は、入力がインバータINV3の出力に接続され、出力が端子CPN2に接続されている。また、インバータINV42は、制御信号OCNT2に応じて、オン/オフが制御される。例えば、インバータINV42は、オフのとき、出力をハイインピーダンス状態にする。
例えば、端子CPN1の信号がセレクタSEL1の出力として選択されるとき、インバータINV41はオフ状態に設定され、インバータINV42はオン状態に設定される。また、例えば、端子CPN2の信号がセレクタSEL1の出力として選択されるとき、インバータINV41はオン状態に設定され、インバータINV42はオフ状態に設定される。
すなわち、遅延回路DLは、端子CPN1、CPN2の一方で受けたクロックを遅延制御信号DCNT1、DCNT2に基づいて遅延させ、遅延させたクロックを端子CPN1、CPN2の他方から出力する。図9に示した遅延回路DLでは、端子CPN1、CPN2は、入力と出力とを切り替え可能に形成されている。したがって、図9に示した遅延回路DLが形成されたチップ20では、クロック経路を設定する際の経路の選択肢が増加するため、クロック経路の設計を容易にできる。制御信号INCNT、OCNT1、OCNT2のレベルは、デコーダ等により設定されてもよいし、設計時のレイアウトで電源電圧や接地電圧に固定されてもよい。
図10は、図1に示した半導体装置SYSのクロックスキューの一例を示している。なお、図10は、1nsの周期のクロックを分配するときの各ポイントP1、P2、P3の遅延量を示している。各ポイントP1、P2、P3の遅延量は、図の備考欄のポイントP0を基準としたときの遅延量を示している。
PTV条件は、製造プロセス、温度および電源電圧に関する条件である。例えば、PTV条件1は、各ポイントP1、P2、P3の遅延量を1nsに合わせたときの製造プロセス、温度および電源電圧である。PTV条件2は、PTV条件1と異なる条件である。例えば、PTV条件2では、素子の特性は、製造ばらつきにより、PTV条件1の素子の特性と異なる。あるいは、PTV条件2では、温度や電源電圧がPTV条件1と異なる。以下、製造ばらつき、温度変動および電源変動をまとめてPTV変動とも称する。
遅延回路DLを介してクロックを分配する半導体装置SYSでは、例えば、遅延回路DLが受ける遅延制御信号DCNT1は、PTV条件に拘わらず、基準クロックCKRFを1周期分遅延させる情報(遅延量)に維持される。このため、半導体装置SYSでは、PTV条件2においても、遅延量は、基準クロックCKRFの1周期分(1ns)近辺に維持される。なお、ポイントP1、P2、P3の遅延量のばらつきは、例えば、遅延回路DL間の特性のばらつきにより発生する。
ここで、ロープロセス(素子間の製造ばらつきの小さいプロセス)で製造されたチップ20では、先端プロセスで製造されたチップ20に比べて、遅延回路DL間の特性のばらつきを低減できる。したがって、チップ20(遅延制御回路DLC、遅延回路DL等)をロープロセスで製造することにより、ポイントP1、P2、P3の遅延量のばらつきを低減できる。
例えば、遅延回路DLをロープロセスで製造したときには、PTV条件2での各ポイントP1、P2、P3の遅延量は、それぞれ0.9ns、1.0nsおよび1.1nsである。すなわち、各ポイントP1、P2、P3間の最大スキューは、200psである。これに対し、遅延回路DLを先端プロセスで製造したときには、例えば、PTV条件2での各ポイントP1、P2、P3の遅延量は、それぞれ0.8ns、1.0nsおよび1.1nsである。したがって、各ポイントP1、P2、P3間の最大スキューは、600psであり、遅延回路DLをロープロセスで製造したときに比べて増加する。
なお、遅延回路DLを先端プロセスで製造したときにも、各ポイントP1、P2、P3間の最大スキューは、遅延回路DLを介さずにクロックを分配する比較例2に比べて低減する。
比較例では、クロックは、遅延回路DLを介さずに分配される。例えば、クロックネットワークは、バッファBUFやインバータのチェーンにより形成される。比較例1は、クロックネットワークの各素子(バッファBUF等)をロープロセスで製造したときの各ポイントP1、P2、P3のクロックスキューの一例を示している。また、比較例2は、クロックネットワークの各素子(バッファBUF等)を先端プロセスで製造したときの各ポイントP1、P2、P3のクロックスキューの一例を示している。
比較例では、バッファBUF等の数がPTV条件に応じて調整されないため、PTV条件2において、遅延量は、遅延回路DLを介してクロックを分配する半導体装置SYSに比べて、1nsから大きくずれる。なお、比較例1では、クロックネットワークの各素子(バッファBUF等)をロープロセスで製造しているため、比較例2に比べて、最大スキューを低減できる。しかしながら、比較例1では、各ポイントP1、P2、P3までの構成要素の変動の仕方が異なるため、遅延量のばらつきは、ロープロセスで製造した遅延回路DLを使用する半導体装置SYSに比べて、大きい。
例えば、比較例1では、PTV条件2での各ポイントP1、P2、P3の遅延量は、それぞれ1.3ns、1.5nsおよび1.6nsである。すなわち、各ポイントP1、P2、P3間の最大スキューは、300psであり、ロープロセスで製造した遅延回路DLを使用する半導体装置SYSに比べて増加する。また、比較例2では、PTV条件2での各ポイントP1、P2、P3の遅延量は、それぞれ1.8ns、2.0nsおよび2.5nsである。すなわち、各ポイントP1、P2、P3間の最大スキューは、700psであり、先端プロセスで製造した遅延回路DLを使用する半導体装置SYSに比べて増加する。
このように、この実施形態では、チップ20(遅延制御回路DLC、遅延回路DL等)をロープロセスで製造することにより、各ポイントP1、P2、P3でのクロックの相対的なタイミングのずれを低減できる。また、この実施形態では、チップ20の動的な回路をクロック分配に必要な回路(遅延制御回路DLC、遅延回路DLクロック等)のみにすることにより、チップ20の消費電力を低減できる。さらに、この実施形態では、チップ20をロープロセスで製造することにより、チップ20のリーク電流を低減できる。
なお、チップ10では、微細化されたプロセスを使用できるため、集積度を向上できる。さらに、この実施形態では、クロックネットワークを形成するための基幹クロック配線がチップ20に形成されるため、チップ10に基幹クロック配線を形成する必要がない。これにより、この実施形態では、チップ10の配線リソースを潤沢に確保でき、チップ10の機能を向上できる。例えば、チップ10では、基幹クロック配線に使用されていた質のよい配線層(寄生抵抗や寄生容量の小さい配線層)を、データ系の配線に使用できる。これにより、データ系の周波数を向上できる。
以上、この実施形態では、半導体装置SYSは、TSV等の3次元実装技術により接続されたチップ10、20を有している。各チップ10、20は、各用途に応じた最適なプロセスで製造される。すなわち、この実施形態では、TSV等の3次元実装を利用することにより、2つの相反する要素を1つの半導体装置SYSに共存させることができる。例えば、半導体装置SYSの機能を実現するための論理回路LG等が形成されるチップ10は、先端プロセスで製造される。また、論理回路LGにクロックを分配するための遅延制御回路DLCおよび遅延回路DL等が形成されるチップ20は、ロープロセスで製造される。
例えば、遅延制御回路DLCおよび遅延回路DLを含む回路群は、基準クロックCKRFの周期を基準とした遅延量を、遅延回路DLの入力クロックに付加する。そして、クロックは、遅延回路DLを介して分配される。このため、クロックの遅延量は、PTV条件が変動したときにも、所定量(例えば、基準クロックCKRFの1周期分)近辺に維持される。また、この実施形態では、素子間の製造ばらつきの小さいプロセスでチップ20が製造されるため、遅延回路DL間(素子間)の特性のばらつきを低減できる。この結果、クロックの相対的なタイミングのずれを低減できる。すなわち、この実施形態では、各ポートPT1、PT2のクロックの位相を合わせることができる。これにより、この実施形態では、各ポートPT1、PT2でクロックの同期関係を維持できる。
図11は、別の実施形態における第2チップ20Aの一例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。チップ20Aは、図2に示したチップ20に複数の排他的論理和回路EXORが追加され、一部の遅延回路DLが遅延回路DL2に置き換えられている。そして、排他的論理和回路EXORの出力がポートPT2に接続されている。また、図11では、例えば、チップ20Aの隅(図の左下)に配置されたポートPT2xで第1クロックを受けている。チップ20Aのその他の構成は、上述した実施形態と同じである。
なお、図11では、図を見やすくするために、クロックが伝送される配線を示し、それ以外の配線の記載を省略している。さらに、図11では、ポートPT2以外の外部端子(チップ上のパッド等)の記載も省略している。
遅延回路DLは、例えば、基準クロックCKRFの1周期分(360°)の遅延を入力クロックに付加する。これに対し、遅延回路DL2は、例えば、基準クロックCKRFの約4分の1周期分(90°程度)の遅延を入力クロックに付加する。遅延回路DL2の構成は、例えば、図8に示した制御部CLTの論理を除いて、遅延回路DLと同じである。例えば、遅延回路DL2の制御部CLTは、遅延制御信号DCNT1が示す遅延量の4分の1の遅延量に近づくように、制御信号SIG(SIG0−SIG63)を生成する。
すなわち、遅延回路DL2の制御部CLTは、遅延制御信号DCNT2がアサートされているとき、遅延制御信号DCNT1が示す遅延量の4分の1の値を制御信号SIGに反映する。なお、遅延制御信号DCNT2がネゲートされているときの遅延回路DL2の制御部CLTの動作は、遅延回路DLの制御部CLTの動作と同じである。例えば、遅延制御信号DCNT2がネゲートされている期間では、遅延回路DL2の制御部CLTは、制御信号SIGの値を維持する。
例えば、遅延回路DL2の制御部CLTは、遅延回路DLの遅延経路が遅延単位回路DLU62で折り返す遅延経路(図8の破線の矢印で示した遅延経路)のとき、制御信号SIG15を高レベルに設定し、制御信号SIG0−SIG14を低レベルに設定する。なお、制御信号SIG16−SIG63は、低レベルに設定されてもよいし、高レベルに設定されてもよい。これにより、遅延回路DL2内の遅延経路は、遅延単位回路DLU15で折り返す遅延経路に設定される。この結果、遅延回路DL2内の遅延量は、遅延回路DL内の遅延量の約4分の1に設定される。なお、例えば、インバータINV1−INV4や遅延単位回路DUM2の固定遅延量を考慮して、遅延単位回路DLU15より手前の遅延単位回路DLUで折り返す遅延経路が選択されてもよい。
以下、第1クロックを1周期分遅延させたクロックが伝送されるクロック経路を360°遅延のクロック経路とも称する。また、第1クロックを約4分の1周期分遅延させたクロックが伝送されるクロック経路を90°遅延のクロック経路とも称する。360°遅延のクロック経路は、例えば、多段接続された遅延回路DLにより形成される。また、90°遅延のクロック経路は、例えば、多段接続された遅延回路DLの最初の遅延回路DLの入力を遅延回路DL2の出力に接続することにより形成される。図11の例では、360°遅延のクロック経路と90°遅延のクロック経路とが交互に形成されるように、遅延回路DL2が配置されている。
排他的論理和回路EXORは、遅延量の異なる2つのクロックを受け、2つのクロックの排他的論理和をポートPT2に出力する。例えば、排他的論理和回路EXORは、一方の入力が360°遅延のクロック経路に接続され、他方の入力が90°遅延のクロック経路に接続され、出力がポートPT2に接続されている。このときには、排他的論理和回路EXORは、図12に示すように、第1クロックの倍の周波数のクロックを出力する。これにより、ポートPT2には、第1クロックより高速なクロックが伝送される。
図12は、図11に示した排他的論理和回路EXORの入力クロックおよび出力クロックの一例を示している。図の入力クロックIN1は、360°遅延のクロック経路から排他的論理和回路EXORに入力されるクロックを示し、入力クロックIN2は、90°遅延のクロック経路から排他的論理和回路EXORに入力されるクロックを示している。出力クロックOUTは、排他的論理和回路EXORからポートPT2に出力されるクロックを示している。
排他的論理和回路EXORは、入力クロックIN1の論理(高レベル、低レベル)と入力クロックIN2の論理(高レベル、低レベル)とが異なるとき、高レベルを出力する。すなわち、出力クロックOUTは、入力クロックIN1、IN2のレベルが異なるとき、高レベルになり、入力クロックIN1、IN2のレベルが同じとき、低レベルになる。
例えば、時刻t20では、入力クロックIN1は低レベルから高レベルに変化する。そして、入力クロックIN1の約4分の1周期後の時刻t21に、入力クロックIN2が低レベルから高レベルに変化する。したがって、時刻t20から時刻t21までの期間では、入力クロックIN1、IN2のレベルが異なるため、出力クロックOUTは、高レベルに維持される。
時刻t22(時刻t21から入力クロックIN1の約4分の1周期後の時刻)では、入力クロックIN1は高レベルから低レベルに変化し、入力クロックIN2は高レベルに維持されている。したがって、時刻t21から時刻t22までの期間では、入力クロックIN1、IN2のレベルが同じため、出力クロックOUTは、低レベルに維持される。
時刻t23(時刻t22から入力クロックIN1の約4分の1周期後の時刻)では、入力クロックIN1は低レベルに維持され、入力クロックIN2は高レベルから低レベルに変化する。したがって、時刻t22から時刻t23までの期間では、入力クロックIN1、IN2のレベルが異なるため、出力クロックOUTは、高レベルに維持される。
このように、排他的論理和回路EXORは、入力クロックIN1、IN2の倍の周波数のクロックOUTを出力する。これにより、ポートPT2には、入力クロックIN1、IN2(第1クロック)の倍の周波数のクロックOUTが伝送される。すなわち、この実施形態では、遅延制御回路DLC、遅延回路DL、DL2で扱うクロックIN1、IN2等の周波数を、チップ10に伝送するクロックOUTの周波数より低減できる。すなわち、この実施形態では、チップ20をロープロセスで製造したときにも、高速なクロックをチップ10に分配できる。
なお、チップ20の構成は、この例に限定されない。例えば、遅延回路DL、DL2を通過するクロック経路は、一筆書き可能な経路でもよい。このときには、例えば、基準クロックCKRFの約4分の3周期分(270°)の遅延を入力クロックに付加する遅延回路DLを介して、90°遅延のクロック経路と360°遅延のクロック経路とを接続すればよい。
あるいは、図11において、例えば、90°遅延のクロック経路の両側に、排他的論理和回路EXORおよびポートPT2を配置してもよい。このときには、遅延回路DL、DL2の数を増加させることなく、高速なクロックが伝送されるポートPT2の数を増やすことができる。また、クロック経路は、デコーダ等により設定されてもよいし、設計時の配線(レイアウト)で固定されてもよい。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、遅延回路DLと異なる位相のクロックIN2を生成する遅延回路DL2と、高速なクロックを生成する排他的論理和回路EXORとを有している。例えば、排他的論理和回路EXORは、多相クロックIN1、IN2を受け、クロックIN1、IN2より高速なクロックOUT(例えば、クロックIN1、IN2の倍の周波数のクロック)を出力する。すなわち、この実施形態では、遅延制御回路DLC、遅延回路DL、DL2で扱うクロックIN1、IN2等の周波数を、チップ10に伝送するクロックOUTの周波数より低減できる。この結果、この実施形態では、チップ20をロープロセスで製造したときにも、高速なクロックをチップ10に分配できる。
図13は、別の実施形態における第2チップ20Bの一例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。チップ20Bは、図2に示したチップ20にデコーダDECが追加されている。また、チップ20Bは、複数の遅延制御回路DLC(DLC1、DLC2、DLC3)を有している。そして、チップ20Bでは、例えば、ポートPT2x、PT2y、PT2zで異なる系の第1クロックを受けている。チップ20Bのその他の構成は、上述した実施形態と同じである。
なお、図13では、図を見やすくするために、クロックが伝送される配線を示し、それ以外の配線の記載を省略している。さらに、図13では、ポートPT2以外の外部端子(チップ上のパッド等)の記載も省略している。また、図の太線で示したポートPT2x、PT2y、PT2zとポートPT2x’、PT2y’、PT2z’は、チップ20B内で伝送されるクロックの起点および終点に対応している。
ポートPT2x、PT2y、PT2zには、互いに異なる系の第1クロックが伝送される。例えば、この実施形態では、図1に示したPLLが3つ形成され、3つのPLLの出力(第1クロック)がポートPT2x、PT2y、PT2zにそれぞれ伝送される。
デコーダDECは、ポートPT2x、PT2y、PT2zに伝送されるクロックのそれぞれのクロック経路を設定する。図13の例では、ポートPT2xで受けた第1クロックは、ポートPT2xからポートPT2x’まで、一筆書き可能な経路(クロック経路)で各ポートPT2に伝送される。また、ポートPT2yで受けた第1クロックは、ポートPT2yからポートPT2y’まで、一筆書き可能な経路(クロック経路)で各ポートPT2に伝送される。そして、ポートPT2zで受けた第1クロックは、ポートPT2zからポートPT2z’まで、一筆書き可能な経路(クロック経路)で各ポートPT2に伝送される。
なお、デコーダDECは、クロック経路以外の遅延回路DLの出力をハイインピーダンス状態に設定する。すなわち、遅延回路DL間は、出力が衝突しないように電気的に接続される。換言すれば、複数の遅延回路DLの出力クロックが1つのポートPT2に伝送されないように、遅延回路DL間は電気的に接続される。そして、デコーダDECは、クロック経路に関する情報を遅延回路DLに出力する。クロック経路に関する情報は、例えば、入力元や出力先を示す情報(図8に示した制御信号ICNT、OCNT1、OCNT2に対応する情報)や各遅延回路DLのマスタとなる遅延制御回路DLCを示す情報である。
遅延制御回路DLC1、DLC2、DLC3は、ポートPT2x、PT2y、PT2zに伝送されるクロックの系に応じた基準クロックCKRFを受ける。例えば、遅延制御回路DLC1、DLC2、DLC3のそれぞれの基準クロックCKRFは、互いに異なる。また、遅延制御回路DLC1、DLC2、DLC3の構成は、図1−図10で説明した実施形態の遅延制御回路DLCと同じである。なお、図6に示した遅延部DLPの構成では、出力をハイインピーダンス状態に設定可能な反転回路(例えば、図9に示したインバータINV41)をインバータINV4に使用する。
遅延回路DLの構成は、制御部CLTの機能を除いて、図1−図10で説明した実施形態の遅延回路DLと同じである。そして、この実施形態においても、端子CPN1から端子CPN2までのクロック経路(遅延経路)の構成は、遅延部DLPと遅延回路DLとで同じである。なお、図8に示した遅延部DLの構成では、出力をハイインピーダンス状態に設定可能な反転回路(例えば、図9に示したインバータINV41)をインバータINV4に使用する。
遅延回路DLは、例えば、全ての遅延制御回路DLC1、DLC2、DLC3から遅延制御信号DCNT1、DCNT2を受ける。そして、遅延回路DLは、遅延量の設定に使用する遅延制御信号DCNT1、DCNT2を、デコーダDECで選択された経路に基づいて選択する。例えば、ポートPT2xで受けた第1クロックを伝送するクロック経路上の遅延回路DLでは、制御部CLTは、遅延制御回路DLC1から受ける遅延制御信号DCNT1、DCNT2を使用する。また、ポートPT2yで受けた第1クロックを伝送するクロック経路上の遅延回路DLでは、制御部CLTは、遅延制御回路DLC2から受ける遅延制御信号DCNT1、DCNT2を使用する。そして、ポートPT2zで受けた第1クロックを伝送するクロック経路上の遅延回路DLでは、制御部CLTは、遅延制御回路DLC3から受ける遅延制御信号DCNT1、DCNT2を使用する。
なお、チップ20Bの構成は、この例に限定されない。例えば、遅延制御回路DLCの数は、2つでもよいし、4つ以上でもよい。また、例えば、各クロック経路は、一筆書き可能な経路でなくてもよい。例えば、遅延回路DLの出力が他の遅延回路DLの出力と衝突しなければ、複数の遅延回路DLの入力が1つの遅延回路DLの出力に電気的に接続されてもよい。このときには、クロック経路を設定する際の経路の選択肢が増加するため、クロック経路の設計を容易にできる。また、例えば、デコーダDECは、省かれてもよい。このときには、クロック経路や各遅延回路DLのマスタとなる遅延制御回路DLCは、例えば、設計時の配線(レイアウト)で固定される。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、互いに異なる系のクロックをチップ20B内に分配できる。すなわち、この実施形態では、複数のクロックネットワークをチップ20Bに形成できる。これにより、チップ20Bは、互いに異なる系のクロックで動作する複数の論理回路が形成されたチップ10に対応できる。したがって、この実施形態では、チップ20の汎用性を向上できる。
図14は、別の実施形態における半導体装置SYSの一例を示している。上述した実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。この実施形態の半導体装置SYSは、図1に示したチップ10、20の代わりにチップ10A、20Cを有している。チップ20Cの構成は、電源電圧を供給するための電源供給部PWSおよびポートVPT2が追加されている点を除いて、チップ20と同じである。また、チップ10Aの構成は、電源供給部PWSからポートVPT2に介して電源電圧が供給されるポートVPT1が追加されている点を除いて、チップ10と同じである。半導体装置SYSのその他の構成は、上述した実施形態と同じである。
なお、図14では、図を見やすくするために、チップ20Cの電源配線の一部を示し、それ以外の配線の記載を省略している。さらに、図14では、ポートPT1、PT2、VPT1、VPT2以外の外部端子(チップ上のパッド等)の記載も省略している。
例えば、チップ10Aには、PLL、論理回路LGおよびポートPT1、VPT1が形成される。そして、チップ20Cには、例えば、遅延制御回路DLC、遅延回路DL、電源供給部PWSおよびポートPT2、VPT2が形成される。
電源供給部PWSは、例えば、DC−DCコンバータであり、所望の電源電圧(電源ソース)を生成する。電源供給部PWSにより生成された電源電圧は、ポートVPT2を介して、チップ10AのポートVPT1に供給される。ポートVPT2は、例えば、チップ20Cを貫通する貫通電極で形成され、ポートVPT1に接続されている。なお、例えば、ポートPT1、PT2間がバンプにより接続されているときには、ポートVPT2は、バンプにより、ポートVPT1に接続されてもよい。
チップ10Aでは、論理回路LGは、ポートVPT1から電源電圧を受ける。すなわち、チップ10Aの論理回路LGの電源電圧は、チップ20Cの電源供給部PWSからポートVPT2、VPT1を介して供給される。したがって、この実施形態では、内部電源I/Oや電源リングをチップ10Aに形成しなくてもよい。これにより、この実施形態では、チップ10Aの論理領域を広くできる。この結果、この実施形態では、チップ10Aの集積度を向上できる。
なお、半導体装置SYSの構成は、この例に限定されない。例えば、電源供給部PWSおよびポートVPT2は、図11で説明したチップ20Aに形成されてもよいし、図13で説明したチップ20Bに形成されてもよい。このときには、チップ20A、20Bに対応するチップ10にポートVPT1が形成される。
以上、この実施形態においても、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、この実施形態では、チップ10Aの論理回路LGの電源電圧は、チップ20Cの電源供給部PWSからポートVPT2、VPT1を介して供給される。したがって、この実施形態では、内部電源I/Oや電源リングをチップ10Aに形成しなくてもよいため、チップ10Aの論理領域を広くできる。これにより、この実施形態では、チップ10Aの集積度を向上できる。
以上の実施形態において説明した発明を整理して、付記として開示する。
(付記1)
動作クロックを受ける第1ポートと前記動作クロックに同期して動作する第1回路とを含む第1チップと、
前記第1チップ上に配置される第2チップとを備え、
前記第2チップは、
基準クロックの周期を基準とした遅延量を示す遅延制御信号を生成する遅延制御部と、
多段接続され、入力クロックを前記遅延制御信号に基づいて遅延させて順次後段に伝送する複数の遅延回路と、
前記遅延回路から出力されるクロックに基づく前記動作クロックが伝送され、前記第1ポートに接続される第2ポートとを備えていること
を特徴とする半導体装置。
(付記2)
前記第2ポートは、前記第2チップを貫通する貫通電極により、前記第1ポートに接続されていること
を特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記3)
前記第1ポートは、前記第1チップの前記第2チップに対向する面上に形成され、
前記第2ポートは、前記第2チップの前記第1チップに対向する面上に形成され、バンプにより、前記第1ポートに接続されていること
を特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記4)
前記複数の遅延回路は、メッシュ状に配置され、
前記第2ポートは、多段接続された前記遅延回路の出力に接続されていること
を特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記5)
前記第2チップは、
遅延量の異なる2つのクロックを受け、前記2つのクロックの排他的論理和を前記第2ポートに出力する排他的論理和回路を有し、
前記複数の遅延回路の一部は、他の前記遅延回路と異なる遅延量を入力クロックに付加し、前記2つのクロックの一方を生成し、
前記排他的論理和回路の入力の一方は、前記2つのクロックの一方が伝送される前記遅延回路の出力に接続され、前記排他的論理和回路の入力の他方は、前記2つのクロックの他方が伝送される前記遅延回路の出力に接続されていること
を特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記6)
前記第2チップは、電源電圧が供給される第2電源ポートと、前記電源電圧を前記第2電源ポートに供給する電源供給部とを有し、
前記第1チップは、前記第2電源ポートに接続され、前記電源供給部から前記第2電源ポートを介して前記電源電圧が供給される第1電源ポートを有していること
を特徴とする付記1記載の半導体装置。
(付記7)
前記第2チップは、前記第1チップの製造プロセスに比べて素子間の製造ばらつきの小さいプロセスで製造されていること
を特徴とする付記1記載の半導体装置。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲がその精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図するものである。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物に拠ることも可能である。