JP5806787B1 - ダミーライナ及びシリンダブロックの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法精度を緩和できるダミーライナを提供すること。【解決手段】シリンダブロック1を鋳造するに先立ち、金型10の温度が上昇するまでシリンダライナ2に代えて鋳込まれるダミーライナ20は、ボアピン14が挿入される円筒部21の内周面22から径方向内側へ向かって突出する凸起部23が、ボアピン14の外周面15に接する。円筒部21の内周面22とボアピン14の外周面15との間に凸起部23を除いて径方向隙間24が形成される。径方向隙間24に充填された溶湯はボアピン14に固着しないので、ボアピン14とダミーライナ20との隙間を生じないようにする高い寸法精度を不要にできる。よって、ダミーライナ20の寸法精度を緩和できる。【選択図】図4

Description

本発明はシリンダブロックを製造する金型の予熱のために使われるダミーライナ、及びそれを用いたシリンダブロックの製造方法に関するものである。
従来から、鉄系のシリンダライナを鋳包んだアルミニウム合金製のシリンダブロックが製造されている。シリンダブロックを鋳造するに先立ち、湯回りを良くするために金型が予熱される。金型を予熱する一手段として、シリンダライナが装着される金型側の円柱状の凸部であるボアピンに捨て打ち用のダミーライナを装着し、型締めして形成されたキャビティにアルミニウム合金製の溶湯を射出するものがある。ダミーライナと一体化した捨て打ち品を鋳造することで金型が予熱される。
射出された溶湯がボアピンとダミーライナとの隙間へ浸入すると、その溶湯が凝固して、捨て打ち品を金型から取り出すときに、溶湯の凝固物が崩れて(ちぎれて)ボアピンの表面に残り、捨て打ち品とボアピンとに挟まれた凝固物が、ボアピンに擦り付けられてボアピンにこびり付く(固着する)ことがある。ボアピンに凝固物が固着すると、金型の予熱後に鋳造した製品(シリンダブロック)の取り出し時に、ボアピンに固着した凝固物に製品が引っ掛かって抵抗となったり、金型(ボアピン)が損傷したりする不具合が生じる。
この不具合が生じないようにするため、特許文献1には、ダミーライナをボアピンに装着して溶湯を射出する予熱工程において、鋳造圧力を小さく且つ射出速度を遅くして、ダミーライナとボアピンとの隙間に溶湯が浸入することを防ぐ技術が開示されている。特許文献2には、シリンダライナよりも軸方向長さが長いダミーライナを用い、ダミーライナの軸方向の両端面を第1型と第2型とで挟み込んだ状態で型締めして、ボアピンとダミーライナとの隙間への溶湯の浸入を防ぐ技術が開示されている。
特公平6−47160号公報 特許第4446015号公報
しかしながら上記従来の技術では、ボアピンとダミーライナとの隙間へ溶湯を浸入させないようにするため、ボアピンとダミーライナとの隙間が生じないようにする必要がある。ダミーライナに高い寸法精度が要求されるので、ダミーライナが高コスト化するという問題点がある。
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、寸法精度を緩和できるダミーライナ及びシリンダブロックの製造方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段および発明の効果
この目的を達成するために請求項1記載のダミーライナは、デッキ面側成形用キャビティの一部を形成する第1型と、クランク室成形用キャビティの一部を形成する第2型と、その第2型と第1型との間に配置されると共にシリンダライナの内周面に接する軸状のボアピンと、を備える金型によりシリンダライナが鋳込まれたアルミニウム合金製のシリンダブロックを鋳造するに先立ち、金型の温度が所定の温度に上昇するまでシリンダライナに代えて鋳込まれる。本発明者らは、金属製のダミーライナの内周面とボアピンの外周面との間に隙間(径方向隙間)を意図的に設けた場合、径方向隙間に浸入した溶湯がボアピンに固着しないことを見出した。
このダミーライナによれば、ボアピンが挿入される円筒部の内周面から径方向内側へ向かって突出する凸起部が、ボアピンの外周面に接する。円筒部の内周面とボアピンの外周面との間に凸起部を除いて径方向隙間が形成される。溶湯は径方向隙間から充填され、ボアピンに接触して急冷凝固することで結晶粒が微細化するので、凝固した溶湯がボアピンに固着しないようにできる。
また、径方向隙間に溶湯が浸入して凝固した凝固物は、径方向隙間分の厚さがあるので、ある程度の強度を確保することができ、捨て打ち品を金型から取り出すときに凝固物を崩れ難くすることができる。その結果、崩れた凝固物が捨て打ち品とボアピンとに挟まれてボアピンに擦り付けられることを抑制できるので、凝固物がボアピンに固着することを抑制できる。
以上のようにダミーライナは、積極的に溶湯が充填される径方向隙間をボアピンとの間に設けることによりボアピンへの凝固物の固着を防ぐので、ボアピンとの隙間が生じないようにダミーライナの寸法精度を上げなくて済む。ダミーライナの寸法精度を緩和できるので、ダミーライナを低コスト化できる効果がある。
また、凸起部は、円筒部の軸方向に亘って連続する突条状に形成される。軸方向と直交する断面形状を軸方向に亘って同じにできるので、押出成形や引抜成形によって形成した長尺物を切断してダミーライナを作ることができる。よって、ダミーライナの生産性を確保できる効果がある。
凸起部は、円筒部の軸方向に亘って連続する突条状に形成されるので、凸起部と凸起部との間にできる周方向の隙間を、円筒部の軸方向に亘って設けることができる。その隙間に浸入した溶湯の凝固物を、円筒部の軸方向に亘って連続させることができるので、捨て打ち品を金型から取り出すときに凝固物をさらに崩れ難くすることができる。よって、凝固した溶湯をボアピンに固着させない効果をさらに高めることができる。
請求項記載のダミーライナによれば、円筒部は、軸方向の長さが、型締めされた第1型および第2型の少なくとも一方と軸方向の端面との間に軸方向隙間が形成される長さに設定されている。よって、請求項1の効果に加え、ダミーライナの軸方向の端面と第1型または第2型との軸方向隙間から径方向隙間へ溶湯を流し込み易くできる効果がある。
請求項記載のシリンダブロックの製造方法によれば、デッキ面側成形用キャビティの一部を形成する第1型と、クランク室成形用キャビティの一部を形成する第2型と、その第2型と第1型との間に配置されると共にシリンダライナの内周面に接するボアピンと、を備える金型によりシリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックが製造される。シリンダライナをボアピンに装着し第1型と第2型との間にシリンダライナを配置した状態で型締めして、デッキ面側成形用キャビティ及びクランク室成形用キャビティを含むキャビティにアルミニウム合金の溶湯を射出するに先立ち、予熱工程により、金型の温度が所定の温度に上昇するまで金型が昇温される。型締め工程により、請求項1又は2に記載のダミーライナがボアピンに装着され、第1型と第2型との間にダミーライナが配置された状態で型締めされる。鋳造工程により、型締め工程により形成されるキャビティに溶湯が射出されることによりボアピンの外周面とダミーライナの円筒部の内周面との間に溶湯を浸入させてダミーライナが鋳込まれた捨て打ち品が鋳造される。これにより、請求項1と同様の効果がある。
なお、特許文献1及び特許文献2には、本願発明と技術分野が同じダミーライナやシリンダブロックの製造方法が開示されているが、いずれもダミーライナとボアピンとの隙間に溶湯が浸入することを防いでボアピンへの溶湯の固着を防ぐ技術である。これに対し本願発明は、ダミーライナの円筒部の内周面に設けた凸起部をボアピンの外周面に接触させ、円筒部の内周面とボアピンの外周面との間に凸起部を除いて隙間(径方向隙間)を形成して積極的に溶湯を充填する点で特許文献1及び2と異なる。ダミーライナとボアピンとの間に設けた径方向隙間に充填した溶湯の凝固物はボアピンに固着しないので、ボアピンへの凝固物の固着を防止できる。ダミーライナとボアピンとの間に径方向隙間を設けるので、ダミーライナの寸法精度を緩和できる効果がある。
シリンダブロックの一部の底面図である。 図1のII−II線におけるシリンダブロックの断面図である。 (a)は金型の軸方向断面図であり、(b)は図3(a)のIIIbで示す部分を拡大して示した金型の断面図である。 (a)は図3のIVa−IVa線における金型の断面図であり、(b)は図4(a)のIVb−IVb線における金型の断面図である。 (a)は第1実施の形態におけるダミーライナの正面図であり、(b)は第2実施の形態におけるダミーライナの正面図である。
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態におけるシリンダブロック1の一部の底面図(クランク軸線方向と直交する方向においてクランク室側からデッキ面側を見た図)であり、図2は図1のII−II線におけるシリンダブロック1の断面図である。シリンダブロック1は、耐磨耗性に優れる鋳鉄製のシリンダライナ2が鋳包まれたアルミニウム合金製のダイカストであり、クランク室側の底面にクランク室側の中央が半円状に窪んだ軸受壁3が設けられている。軸受壁3は、クランク軸(図示せず)のジャーナル部を回転自在に支持する部位である。軸受壁3は、クランク軸の軸線方向(図1左右方向)を厚さ方向とする板状に形成されており、クランク軸の軸線方向に沿って間隔をあけて複数配置されている。軸受壁3は、シリンダブロック1をクランクケース(図示せず)に結合するためのねじ穴4が両側に形成されている。
図3を参照して予熱のための捨て打ち品及びシリンダブロック1を鋳造する金型10について説明する。なお、捨て打ち品は、シリンダブロック1と同一形状であって、シリンダライナ2に代えてダミーライナ20,30(後述する)が鋳込まれたアルミニウム合金製のダイカストなので、図示を省略する。図3(a)は金型10の軸方向断面図であり、図3(b)は図3(a)のIIIbで示す部分を拡大して示した金型10の断面図である。
金型10は、可動型11と、固定型12と、可動中子13と、可動型11に固定されたボアピン14とを備えている。図3(a)及び図3(b)はシリンダブロック1を鋳造するに先立ち、ボアピン14にダミーライナ20を装着して、ダミーライナ20が鋳包まれた捨て打ち品を鋳造しようとする状態が図示されている。
可動型11は、シリンダブロック1のデッキ面側を形成するためのデッキ面側成形用キャビティ16aの一部を構成しており、ウォータジャケットをシリンダブロック1に成形するためのジャケット用壁部17が円筒状に形成されている。固定型12は、シリンダブロック1のクランク室を形成するためのクランク室成形用キャビティ16bの一部を構成しており、クランク室を成形するための膨出部18が形成されている。ボアピン14は円柱状に形成されており、可動型11から固定型12へ向けて突出している。
図4(a)、図4(b)及び図5(a)を参照して、ボアピン14に装着されるダミーライナ20について説明する。図4(a)は図3のIVa−IVa線における金型10の断面図であり、図4(b)は図4(a)のIVb−IVb線における金型10の断面図であり、図5(a)は第1実施の形態におけるダミーライナ20の正面図(軸線O方向から見た図)である。なお、図5(a)ではボアピン14が想像線(二点鎖線)で図示されている。
図4(a)に示すようにダミーライナ20は、シリンダブロック1を鋳造するに先立ちボアピン14に装着して、ダミーライナ20が鋳包まれたアルミニウム合金製の捨て打ち品(図示せず)を鋳造することによって金型10を予熱するための金属製の部材である。本実施の形態では、ダミーライナ20はアルミニウム合金により一体に成形されている。
図5(a)に示すようにダミーライナ20は、円筒状に形成される円筒部21と、円筒部21の内周面22から径方向内側へ向かって突出する凸起部23とを備えている。円筒部21は、ボアピン14が挿入される部位であり、軸線Oと直交する断面が円環状に設定されている。図4(a)及び図4(b)に示すように円筒部21は、ボアピン14の外周面15と円筒部21の内周面22との間に隙間(径方向隙間24)を設けるため、内径が、ボアピン14の外径より2〜6mm大きく設定されている。円筒部21は、機械的強度を確保しつつ金型10(図3(a)参照)との干渉を避けるため、径方向の厚さが1〜5mmに設定されている。
図3(a)及び図3(b)戻って説明する。円筒部21は、ボアピン14にダミーライナ20を装着して可動型11と固定型12とを型締めしたときに、可動型11に円筒部21の軸方向の端面25が当接した状態で、軸方向の端面26と膨出部18との間に0〜20mmの隙間(軸方向隙間27)が形成されるように軸方向の長さが設定されている(隙間0mmは軸方向隙間27が無いことを意味する)。
図4(a)及び図4(b)に示すように凸起部23は、ボアピン14に対して径方向における円筒部21の位置決めを行うための部位である。凸起部23が設けられていないと、射出された溶湯によってダミーライナ20が移動して、円筒部21の内周面22がボアピン14の外周面15に接触し、接触した部分で径方向隙間24を確保できなくなる。円筒部21に凸起部23が設けられるので、円筒部21の内周面22とボアピン14の外周面15との間に凸起部23を除いて径方向隙間24を確保できる。
凸起部23は、ボアピン14の外周面15に径方向の先端が接することで、円筒部21の内周面22とボアピン14の外周面15との間に必要な径方向隙間24が形成される大きさに、周方向に均等に割付けた円筒部21の複数箇所(少なくとも3箇所、本実施の形態では8箇所)から径方向内側へ向かって突出する。凸起部23は、軸線Oと直交する断面形状において、凸起部23の径方向内側の先端に接する内接円の直径が、ボアピン14の外径よりわずかに(本実施の形態では1〜2mm)大きく設定されている。ボアピン14に装着されたダミーライナ20が鋳造圧力や溶湯の凝固によって径方向へ収縮して脱型できなくなったり、溶湯の凝固によって径方向へ収縮したダミーライナ20の凸起部23がボアピン14に強く擦られたりすることを防ぐためである。凸起部23は、軸線Oと平行に円筒部21の軸方向に亘って連続する突条状に形成されている。
ダミーライナ20は、円筒部21及び凸起部23が軸方向へ連続して形成された長尺の管状体(図示せず)を押出成形や引抜成形により作成した後、軸方向と直交する方向へ所定長さ毎に切断して製造される。長尺の管状体を複数箇所で切断してダミーライナ20を複数製造できるので、ダミーライナ20を一つずつ鋳造によって作成するものと比較してダミーライナ20の生産性に優れる。円筒部21は径方向の厚さが1〜5mmなので、切断作業を容易に行うことができる。また、ダミーライナ20は軸方向の両側の軸線Oと直交する断面形状が同一なので、ボアピン14への装着方向(軸方向の端面25,26のいずれを可動型11側へ向けるか)に指定がない。よって、ダミーライナ20をボアピン14へ装着するときの方向間違いを防止できる。
図3(a)に戻って金型10を予熱するための捨て打ち品の製造方法について説明する。ダミーライナ20をボアピン14に装着した後、ダミーライナ20をボアピン14に装着した状態で可動型11、固定型12及び可動中子13の型締めを行う(型締め工程)。ボアピン14の外周面15に凸起部23が接することにより、ボアピン14の外周面15と円筒部21の内周面22との間に片側1〜3mmの径方向隙間24が形成される(図4(a)参照)。また、円筒部21は可動型11に円筒部21の軸方向の端面25が当接した状態で、軸方向の端面26と膨出部18との間に0〜20mmの軸方向隙間27が形成される(軸方向隙間0mmの場合は隙間なし)。可動型11、固定型12及び可動中子13が型締めされることにより、デッキ面側成形用キャビティ16a及びクランク室成形用キャビティ16bからなるキャビティ16が形成される。
次に、キャビティ16にアルミニウム合金製の溶湯を射出する(鋳造工程)。キャビティ16に射出された溶湯は、軸受壁3(図1及び図2参照)を成形しながら、ダミーライナ20の端面26側からボアピン14とダミーライナ20との径方向隙間24に流れ込み、ダミーライナ20の端面25に到達する。溶湯が冷却して凝固した後、可動型11、固定型12及び可動中子13の型開きを行って、ダミーライナ20が鋳包まれた捨て打ち品を金型10から取り出す。
次いで、金型10の温度が、シリンダブロック1の鋳造に適した所定の温度より高いか否かを判定し、金型10の温度が所定の温度以上の場合に捨て打ち品の鋳造(予熱工程)を終了する。金型10の温度が所定の温度未満の場合は、金型10の温度が所定の温度以上になるまで捨て打ち品の鋳造を繰り返す。シリンダブロック1を鋳造する前に金型10を予熱するので湯回りを良くすることができ、金型10の予熱の後に鋳造されたシリンダブロック1に欠陥が生じることを抑制できる。また、シリンダブロック1の材質と同種のアルミニウム合金製のダミーライナ20を用いて捨て打ち品を鋳造するので、リターン材として捨て打ち品を用いる場合に、ダミーライナ20を分別する作業を省略できる。よって、リターン材としての捨て打ち品の再処理を容易にできる。
このダミーライナ20によれば、凸起部23がボアピン14の外周面15に接することで、円筒部21の内周面22とボアピン14の外周面15との間に凸起部23を除いて径方向隙間24が形成される。径方向隙間24に充填された溶湯は、ダミーライナ20の軸方向に亘ってボアピン14の周り(凸起部23を除く)に存在する。可動型13やボアピン14に接触した溶湯は急冷凝固することで結晶粒が微細化するので、径方向隙間24で凝固した溶湯をボアピン14に固着しないようにできる。
また、径方向隙間24に溶湯が充填されて凝固した凝固物(図示せず)は、径方向隙間24分の厚さがあるので、ある程度の強度を確保することができ、捨て打ち品を金型10から取り出すときに凝固物を崩れ難く(ちぎれ難く)することができる。その結果、崩れた凝固物が捨て打ち品とボアピン14とに挟まれてボアピン14に擦り付けられることを抑制できるので、凝固物がボアピン14に固着することを抑制できる。その結果、金型10の予熱後に鋳造した製品(シリンダブロック1)の取り出し時に、ボアピン14に固着した溶湯(凝固物)にシリンダブロック1が引っ掛かって抵抗となったり、金型10(ボアピン14)が損傷したりする不具合を防止できる。
ここで、ダミーライナ20とボアピン14との隙間に溶湯が浸入しないように捨て打ち品を鋳造する場合には(特許文献1及び2)、ボアピン14とダミーライナ20との隙間をできる限り小さくするため、ダミーライナ20に高い寸法精度が要求される。しかし、本実施の形態では、ダミーライナ20とボアピン14との間に意図的に径方向隙間24を設けることができるので、ダミーライナ20の寸法精度を緩和できる。その結果、ダミーライナ20の製造コストを低減できる。
また、ダミーライナ20とボアピン14との隙間に溶湯が浸入しないように捨て打ち品を鋳造する場合には(特許文献1)、隙間に溶湯が浸入しないように鋳造するための鋳造圧力や射出速度等の条件出しが必要である。しかし、本実施の形態では、意図的に設けた径方向隙間24に溶湯を充填させることができる鋳造条件で良いので、シリンダブロック1を鋳造する条件でも捨て打ち品を鋳造することができる。よって、捨て打ち品を鋳造するための条件出しを不要にできる。また、シリンダブロック1を鋳造する条件(量産の条件)で捨て打ち品を鋳造できるので、シリンダブロック1を鋳造する条件出し(量産の条件出し)にダミーライナ20を使うことができる。
ダミーライナの両端を周方向に連続してボアピンに密着させてダミーライナとボアピンとの間に溶湯が浸入しないようにする場合には(特許文献2)、キャビティに射出された溶湯の凝固収縮に伴いダミーライナが収縮すると、ダミーライナの両端が周方向に連続して(リング状に)ボアピンに接触して擦り付けられるので、ダミーライナのアルミニウム材料がボアピンにこびり付き易い(固着し易い)。これに対し本実施の形態によれば、ダミーライナ20は、凸起部23が周方向に断続して設けられているので、キャビティ16に射出された溶湯の凝固収縮に伴いダミーライナ20が収縮しても、凸起部23とボアピン14との接触面積を小さくできる。よって、ダミーライナ20のアルミニウム材料をボアピン14に固着し難くできる。
特に、ダミーライナ20は、軸線Oと直交する断面形状において、凸起部23の径方向内側の先端に接する内接円の直径が、ボアピン14の外径より大きく設定されているので、ダミーライナ20が収縮したときの凸起部23とボアピン14との接触面積をゼロ又は微小にできる。よって、溶湯の凝固収縮に伴うダミーライナ20の収縮により、凸起部23がボアピン14に擦り付けられてダミーライナ20のアルミニウム材料がボアピン14に固着することを防止できる。
凸起部23は、軸線Oと平行に円筒部21の軸方向に亘って連続する突条状に形成されているので、凸起部23と凸起部23との間にできる周方向の隙間を、円筒部21の軸方向に亘って設けることができる。その隙間に浸入した溶湯の凝固物を、円筒部21の軸方向に亘って連続させることができるので、凝固物の強度を確保して、捨て打ち品を金型10から取り出すときに凝固物を崩れ難くすることができる。崩れた凝固物が捨て打ち品とボアピン14とに挟まれてボアピン14に擦り付けられることを抑制できるので、凝固物がボアピン14に固着することを抑制できる。
ボアピン14に凸起部23を接触させてボアピン14の外周面15と円筒部21の内周面22との間に形成される径方向隙間24は、片側1〜3mmである。径方向隙間24が片側1mm以上であると、凝固により径方向隙間24が詰まってしまうことがないので、端面26側から端面25側へ軸方向に向かう溶湯の流れが径方向隙間24の途中で止まってしまうことを防止できる。径方向隙間24に溶湯が充満した後、溶湯が急冷凝固するとボアピン14に接した面の組織を緻密にできるので、溶湯がボアピン14に固着することを防止できる。径方向隙間24が3mm以下であると、ダミーライナ20の外径にもよるが、ダミーライナ20と金型10(可動中子13)との干渉を避けつつ円筒部21の径方向の厚さを確保できるので、ダミーライナ20の機械的強度の低下を防止できる。
円筒部21は、可動型11に円筒部21の軸方向の端面25が当接した状態で、軸方向の端面26と膨出部18との間に、0〜20mm好ましくは1〜5mmの軸方向隙間27が形成される。可動型11と膨出部18との間にダミーライナ20を挟み込む場合と比べて、可動型11や膨出部18にダミーライナ20の端面25,26が押し付けられることを防ぎ、可動型11や膨出部18が傷付くことを防止できる。なお、軸方向隙間27が1mm以上であると、キャビティ16に射出された溶湯を、軸受壁3の部分からだけでなく、軸方向隙間27からも径方向隙間24へ流し込むことができ、径方向隙間24に浸入する溶湯の量を確保できる。軸方向隙間が5mm以下であると、可動型11と固定型12との間に配置されたダミーライナ20の軸方向の移動を抑制できる。
次に図5(b)を参照して第2実施の形態について説明する。第1実施の形態では、ダミーライナ20の軸線Oに直交する断面において、円筒部21の外周面が円形状に形成される場合について説明した。これに対し第2実施の形態では、ダミーライナ30の円筒部31の外周面34に凹部35が形成される場合について説明する。なお、第1実施の形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して以下の説明を省略する。図5(b)は第2実施の形態におけるダミーライナ30の正面図(軸線O方向から見た図)である。
図5(b)に示すようにダミーライナ30は、円筒状に形成される円筒部31と、円筒部31の内周面32から径方向内側へ向かって突出する凸起部33とを備え、それらが一体に成形されるアルミニウム合金製の部材である。円筒部31は、ボアピン14が挿入される部位であり、軸線Oと直交する断面が円環状に設定されている。凸起部33は、ボアピン14の外周面15に径方向の先端が接することで、円筒部31の内周面32とボアピン14の外周面15との間に必要な径方向隙間24が形成される大きさに、周方向に均等に割付けた円筒部31の複数箇所(本実施の形態では6箇所)から径方向内側へ向かって突出する。凸起部33は、軸線Oと平行に円筒部31の軸方向に亘って連続する突条状に形成されている。
円筒部31は、凸起部33が設けられた周方向の位置(6箇所の内の3箇所)に対応する外周面34に、径方向内側(円筒部31の厚さ方向)へ向かって凹む凹部35が形成されている。凹部35は、軸線Oと平行に円筒部31の軸方向に亘って連続する溝状に形成されている。凹部35は、軸線Oと直交する断面曲線が、円筒部31から凹部35に亘って、円筒部31の外周面34に連続して滑らかに形成されているので、ダミーライナ30の周りに流れ込んだ溶湯の凝固による凹部35近傍の局所的な変形を抑制できる。
凹部35は、内周面32に形成された凸起部33に対応する外周面34に形成されている。凸起部33及び凹部35は、軸線Oと直交する断面曲線の曲率半径が略同一に設定されているので、凹部35が形成されることで円筒部31の径方向厚さが著しく薄くなることを防止できる。よって、凹部35が形成されることによるダミーライナ30の機械的強度の低下を防止できる。
このダミーライナ30によれば、円筒部31の外周面34に凹部35が形成されているので、凹部35が形成されていないダミーライナと比べて、凹部35の分だけダミーライナ30を構成する材料を減らすことができる。また、ロボットハンド等の搬入装置(図示せず)を使ってダミーライナ30を金型10のボアピン14に装着する場合に、搬入装置の爪を凹部35に入れてダミーライナ30を掴むことができるので、搬入装置のハンドリングに係る不具合を抑制できる。また、凹部35が形成されていないダミーライナに比べ、凹部35によって円筒部31を周方向へ伸縮させ易くできる。ダミーライナ30の周りに流れ込んだ溶湯の凝固による外力がダミーライナ30に作用したときに円筒部31を凹部35で周方向に伸縮させることができるので、ダミーライナ30の周りの溶湯が凝固した捨て打ち品がボアピン14に噛み込んで脱型し難くなることを抑制できる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。以下の実施例では、凸起部23の高さを変えることで円筒部21とボアピン14との径方向隙間24、円筒部21の径方向の厚さの異なる種々のダミーライナ20を用い、捨て打ち品及びシリンダブロック1の鋳造を試みた。なお、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
円筒部21の軸方向の長さが126mm、凸起部23に接する内接円の直径が91mmのアルミニウム合金(A6063S)製のダミーライナ20(管状体を押出成形後、軸線と直交する平面で切断して製造した)を外径90mmのボアピン14に装着し、金型10を型締めした後、アルミニウム合金製の溶湯を射出して捨て打ち品を鋳造した。これを3回繰り返した後、鋳鉄製のシリンダライナをボアピン14に装着してアルミニウム合金製のシリンダブロック1を鋳造した。
ダミーライナ20は、軸方向の長さ(126mm)を、キャビティ16の軸方向寸法に対して同一ないしは1.5mm短く設定した。ダミーライナ20の円筒部21の厚さは3mmであり、円筒部21の内周面22とボアピン14の外周面15との径方向隙間24(片側)は3mmであった。この場合、ボアピン14に溶湯が固着しなかったので、捨て打ち品の3回の鋳造およびシリンダブロック1の鋳造を問題なく行うことができた。
なお、ダミーライナ20の凸起部23は、軸線Oと直交する断面曲線が、円筒部21から凸起部23に亘って、円筒部21の内周面22に連続して滑らかに形成されていた。これにより、ダミーライナ20の周りに流れ込んだ溶湯の凝固による凸起部23近傍の局所的な変形を抑制し、ダミーライナ20が変形して脱型し難くなることを抑制できた。
実施例1では、凸起部23は、軸線Oと直交する断面曲線の曲率半径が、円筒部21の内周面22から凸起部23(凸起部23の裾)にかけて1〜3mmに設定されていた。これにより、凸起部23の裾(凸起部23の根元)の局所的な変形を抑制できた。また、凸起部23は、軸線Oと直交する断面曲線の曲率半径が、頂において1〜5mmに設定されていた。これにより、凸起部23とボアピン14とが接触する面積を抑え、凸起部23とボアピン14との間で凝固した溶湯がボアピン14に固着することを防止し、尖った凸起部23によってボアピン14が傷付けられることを防止できた。
(実施例2)
ダミーライナ20の円筒部21の内周面22とボアピン14の外周面15との径方向隙間24(片側)を2mmにした以外は、実施例1と同様にして、捨て打ち品及びシリンダブロック1の鋳造を試みた。ボアピン14に溶湯が固着しなかったので、捨て打ち品の3回の鋳造およびシリンダブロック1の鋳造を問題なく行うことができた。
(実施例3)
ダミーライナ20の円筒部21の厚さを2mm、円筒部21の内周面22とボアピン14の外周面15との径方向隙間24(片側)を2mmにした以外は、実施例1と同様にして、捨て打ち品及びシリンダブロック1の鋳造を試みた。ボアピン14に溶湯が固着しなかったので、捨て打ち品の3回の鋳造およびシリンダブロック1の鋳造を問題なく行うことができた。
(実施例4)
ダミーライナ20の円筒部21の厚さを5mm、円筒部21の内周面22とボアピン14の外周面15との径方向隙間24(片側)を1mmにした以外は、実施例1と同様にして、捨て打ち品及びシリンダブロック1の鋳造を試みた。ボアピン14に溶湯が固着しなかったので、捨て打ち品の3回の鋳造およびシリンダブロック1の鋳造を問題なく行うことができた。
(比較例)
ダミーライナ20の円筒部21の厚さを5mm、円筒部21の内周面22とボアピン14の外周面15との径方向隙間24(片側)を0mmにした以外は、実施例1と同様にして、捨て打ち品及びシリンダブロック1の鋳造を試みた。捨て打ち品の1回目の鋳造後、溶湯がボアピン14に固着したことが確認されたので、実験を中止した。
実施例により、ボアピン14の外周面15にダミーライナ20の凸起部23を接触させ、円筒部21の内周面22とボアピン14の外周面15との間に凸起部23を除いて径方向隙間24を形成し、径方向隙間24に溶湯を充填させることで、凝固した溶湯がボアピン14に固着しないようにできることを確認できた。
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。例えば、凸起部23,33や凹部35の数や大きさ、形状は適宜設定できる。上記実施の形態では説明を省略したが、オープンデッキ型、クローズデッキ型のいずれのシリンダブロックも製造することが可能である。また、押出成形や引抜成形により得られた管状体を切断してダミーライナ20,30を製造する場合について説明したが、これに限られるものではなく、板材の曲げ加工によりダミーライナ(管状体)を製造することは当然可能である。
上記各実施の形態では、ダミーライナ20,30がアルミニウム合金製の場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、鋼製などの他の金属製とすることは当然可能である。アルミニウム合金製以外のダミーライナを用いる場合、捨て打ち品をリターン材として再処理するときにダミーライナを分離する作業を要するが、捨て打ち品の鋳造によって金型10を予熱することは可能である。
上記各実施の形態では、デッキ面側成形用キャビティ16aの一部を可動型11が形成し、クランク室成形用キャビティ16bの一部を固定型12が形成する金型10について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。固定型12によりデッキ面側成形用キャビティ16aの一部を形成し、可動型11によりクランク室成形用キャビティ16bの一部を形成する金型を用いてシリンダブロック1を製造することは当然可能である。
上記各実施の形態では、凸起部23,33が軸線Oと平行な突条状に形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、凸起部を軸方向に非連続な凸起にすることは当然可能である。例えば、円筒部の軸方向の一方の端縁の周方向の3箇所以上、及び、他方の端縁の周方向の3箇所以上を部分的に径方向の内側へ折り曲げ、両端縁の折り曲げた部分(計6箇所以上)を凸起部とすることは当然可能である。この場合、円筒状のパイプ材(押出材や引抜材)を所定の長さに切断し、その両端縁の複数箇所(少なくとも3箇所)を部分的に折り曲げて(凹ませて)凸起部を設け、ダミーライナを作成できる。
上記各実施の形態では、円筒部21,31の側面が連続する曲面であるダミーライナ20,30について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、厚さ方向に貫通する穴を円筒部21,31に設けることは当然可能である。キャビティ16に射出された溶湯を、穴を通過させてダミーライナ20,30とボアピン14との径方向隙間に充填させることができるからである。穴を円筒部21,31に設ける場合、切り起こし曲げ加工によって円筒部21,31に凸起部を形成することにより、穴の隣に凸起部を形成できるので好適である。
上記各実施の形態では、軸線Oと直交する断面形状が軸方向に亘って同一のダミーライナ20,30について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。円筒部21,31とボアピン14との間に径方向隙間24を形成できれば、軸線Oと直交する断面形状が軸方向の各所で異なるダミーライナを用いることは当然可能である。この場合、塑性加工や鋳造によってダミーライナを作成できる。
上記第1実施の形態では、ダミーライナ20の軸方向の端面26と固定型12(膨出部18)とが接触する(軸方向隙間27が0mm)か、端面26と固定型12(膨出部18)との間に軸方向隙間27が形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。ダミーライナ20が長い場合は、可動型11と固定型12との間に挟まれたダミーライナ20の端面を押し潰して型締めできるからである。なお、ダミーライナ20が押し潰された後、端面26と固定型12(膨出部18)との軸方向隙間27は0mmとなるが、軸方向隙間27が設けられていなくても、溶湯は軸受壁3を形成しながら径方向隙間24に流れ込むことができる。
上記第2実施の形態では、凸起部33の内の3箇所に凹部35が形成される場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではなく、凹部35の数は適宜設定できる。なお、凸起部33毎に凹部35が形成されるダミーライナは、金属製の板材の塑性加工(曲げ加工)によって凹部35、凸起部33及び円筒部31を同時に形成して作成できる。
<その他>
<手段>
技術的思想1のダミーライナは、デッキ面側成形用キャビティの一部を形成する第1型と、クランク室成形用キャビティの一部を形成する第2型と、その第2型と前記第1型との間に配置されると共にシリンダライナの内周面に接する軸状のボアピンと、を備える金型によりシリンダライナが鋳込まれたアルミニウム合金製のシリンダブロックを鋳造するに先立ち、前記金型の温度が所定の温度に上昇するまで前記シリンダライナに代えて鋳込まれる金属製のダミーライナであって、前記ボアピンが挿入される円筒部と、その円筒部の内周面から径方向内側へ向かって突出し前記ボアピンの外周面に接する凸起部とを備え、その凸起部を除いて前記円筒部の内周面と前記ボアピンの外周面との間に径方向隙間が形成される。
技術的思想2のダミーライナは、技術的思想1記載のダミーライナにおいて、前記凸起部は、前記円筒部の軸方向に亘って連続する突条状に形成される。
技術的思想3のダミーライナは、技術的思想1又は2に記載のダミーライナにおいて、前記円筒部は、軸方向の長さが、型締めされた前記第1型および前記第2型の少なくとも一方と軸方向の端面との間に軸方向隙間が形成される長さに設定されている。
技術的思想4のシリンダブロックの製造方法は、デッキ面側成形用キャビティの一部を形成する第1型と、クランク室成形用キャビティの一部を形成する第2型と、その第2型と前記第1型との間に配置されると共にシリンダライナの内周面に接するボアピンと、を備える金型によりシリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックを製造するシリンダブロックの製造方法であって、前記シリンダライナを前記ボアピンに装着し前記第1型と前記第2型との間に前記シリンダライナを配置した状態で型締めして、前記デッキ面側成形用キャビティ及び前記クランク室成形用キャビティを含むキャビティにアルミニウム合金の溶湯を射出するに先立ち、前記金型の温度が所定の温度に上昇するまで前記金型を昇温させる予熱工程を備え、その予熱工程は、技術的思想1から3のいずれかに記載のダミーライナを前記ボアピンに装着し前記第1型と前記第2型との間に前記ダミーライナを配置した状態で型締めする型締め工程と、その型締め工程により形成される前記キャビティに前記溶湯を射出することにより前記ボアピンの外周面と前記ダミーライナの円筒部の内周面との間に前記溶湯を浸入させて前記ダミーライナが鋳込まれた捨て打ち品を鋳造する鋳造工程とを備えている。
<効果>
技術的思想1記載のダミーライナは、デッキ面側成形用キャビティの一部を形成する第1型と、クランク室成形用キャビティの一部を形成する第2型と、その第2型と第1型との間に配置されると共にシリンダライナの内周面に接する軸状のボアピンと、を備える金型によりシリンダライナが鋳込まれたアルミニウム合金製のシリンダブロックを鋳造するに先立ち、金型の温度が所定の温度に上昇するまでシリンダライナに代えて鋳込まれる。本発明者らは、金属製のダミーライナの内周面とボアピンの外周面との間に隙間(径方向隙間)を意図的に設けた場合、径方向隙間に浸入した溶湯がボアピンに固着しないことを見出した。
このダミーライナによれば、ボアピンが挿入される円筒部の内周面から径方向内側へ向かって突出する凸起部が、ボアピンの外周面に接する。円筒部の内周面とボアピンの外周面との間に凸起部を除いて径方向隙間が形成される。溶湯は径方向隙間から充填され、ボアピンに接触して急冷凝固することで結晶粒が微細化するので、凝固した溶湯がボアピンに固着しないようにできる。
また、径方向隙間に溶湯が浸入して凝固した凝固物は、径方向隙間分の厚さがあるので、ある程度の強度を確保することができ、捨て打ち品を金型から取り出すときに凝固物を崩れ難くすることができる。その結果、崩れた凝固物が捨て打ち品とボアピンとに挟まれてボアピンに擦り付けられることを抑制できるので、凝固物がボアピンに固着することを抑制できる。
以上のようにダミーライナは、積極的に溶湯が充填される径方向隙間をボアピンとの間に設けることによりボアピンへの凝固物の固着を防ぐので、ボアピンとの隙間が生じないようにダミーライナの寸法精度を上げなくて済む。ダミーライナの寸法精度を緩和できるので、ダミーライナを低コスト化できる効果がある。
技術的思想2記載のダミーライナによれば、凸起部は、円筒部の軸方向に亘って連続する突条状に形成される。軸方向と直交する断面形状を軸方向に亘って同じにできるので、押出成形や引抜成形によって形成した長尺物を切断してダミーライナを作ることができる。よって、技術的思想1の効果に加え、ダミーライナの生産性を確保できる効果がある。
凸起部は、円筒部の軸方向に亘って連続する突条状に形成されるので、凸起部と凸起部との間にできる周方向の隙間を、円筒部の軸方向に亘って設けることができる。その隙間に浸入した溶湯の凝固物を、円筒部の軸方向に亘って連続させることができるので、捨て打ち品を金型から取り出すときに凝固物をさらに崩れ難くすることができる。よって、技術的思想1の効果に加え、凝固した溶湯をボアピンに固着させない効果をさらに高めることができる。
技術的思想3記載のダミーライナによれば、円筒部は、軸方向の長さが、型締めされた第1型および第2型の少なくとも一方と軸方向の端面との間に軸方向隙間が形成される長さに設定されている。よって、技術的思想1又は2の効果に加え、ダミーライナの軸方向の端面と第1型または第2型との軸方向隙間から径方向隙間へ溶湯を流し込み易くできる効果がある。
技術的思想4記載のシリンダブロックの製造方法によれば、デッキ面側成形用キャビティの一部を形成する第1型と、クランク室成形用キャビティの一部を形成する第2型と、その第2型と第1型との間に配置されると共にシリンダライナの内周面に接するボアピンと、を備える金型によりシリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックが製造される。シリンダライナをボアピンに装着し第1型と第2型との間にシリンダライナを配置した状態で型締めして、デッキ面側成形用キャビティ及びクランク室成形用キャビティを含むキャビティにアルミニウム合金の溶湯を射出するに先立ち、予熱工程により、金型の温度が所定の温度に上昇するまで金型が昇温される。型締め工程により、技術的思想1から3のいずれかに記載のダミーライナがボアピンに装着され、第1型と第2型との間にダミーライナが配置された状態で型締めされる。鋳造工程により、型締め工程により形成されるキャビティに溶湯が射出されることによりボアピンの外周面とダミーライナの円筒部の内周面との間に溶湯を浸入させてダミーライナが鋳込まれた捨て打ち品が鋳造される。これにより、技術的思想1と同様の効果がある。
1 シリンダブロック
2 シリンダライナ
10 金型
11 可動型(第1型)
12 固定型(第2型)
14 ボアピン
15 外周面
16 キャビティ
16a デッキ面側成形用キャビティ
16b クランク室成形用キャビティ
20,30 ダミーライナ
21,31 円筒部
22,32 内周面
23,33 凸起部
24 径方向隙間
25,26 端面
27 軸方向隙間

Claims (3)

  1. デッキ面側成形用キャビティの一部を形成する第1型と、クランク室成形用キャビティの一部を形成する第2型と、その第2型と前記第1型との間に配置されると共にシリンダライナの内周面に接する軸状のボアピンと、を備える金型によりシリンダライナが鋳込まれたアルミニウム合金製のシリンダブロックを鋳造するに先立ち、前記金型の温度が所定の温度に上昇するまで前記シリンダライナに代えて鋳込まれる金属製のダミーライナであって、
    前記ボアピンが挿入される円筒部と、
    その円筒部の内周面から径方向内側へ向かって突出し前記ボアピンの外周面に接する凸起部とを備え、
    その凸起部を除いて前記円筒部の内周面と前記ボアピンの外周面との間に径方向隙間が形成され
    前記凸起部は、前記円筒部の軸方向に亘って連続する突条状に形成されることを特徴とするダミーライナ。
  2. 前記円筒部は、軸方向の長さが、型締めされた前記第1型および前記第2型の少なくとも一方と軸方向の端面との間に軸方向隙間が形成される長さに設定されていることを特徴とする請求項1記載のダミーライナ。
  3. デッキ面側成形用キャビティの一部を形成する第1型と、クランク室成形用キャビティの一部を形成する第2型と、その第2型と前記第1型との間に配置されると共にシリンダライナの内周面に接するボアピンと、を備える金型によりシリンダライナが鋳込まれたシリンダブロックを製造するシリンダブロックの製造方法であって、
    前記シリンダライナを前記ボアピンに装着し前記第1型と前記第2型との間に前記シリンダライナを配置した状態で型締めして、前記デッキ面側成形用キャビティ及び前記クランク室成形用キャビティを含むキャビティにアルミニウム合金の溶湯を射出するに先立ち、前記金型の温度が所定の温度に上昇するまで前記金型を昇温させる予熱工程を備え、
    その予熱工程は、請求項1又は2に記載のダミーライナを前記ボアピンに装着し前記第1型と前記第2型との間に前記ダミーライナを配置した状態で型締めする型締め工程と、
    その型締め工程により形成される前記キャビティに前記溶湯を射出することにより前記ボアピンの外周面と前記ダミーライナの円筒部の内周面との間に前記溶湯を浸入させて前記ダミーライナが鋳込まれた捨て打ち品を鋳造する鋳造工程とを備えていることを特徴とするシリンダブロックの製造方法。
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