JP5806572B2 - 地下構造物用の排気防臭装置 - Google Patents

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本発明は、地下構造物の開口内に設置され、地下構造物の内部で発生した圧力を外部に排出するとともに、地下構造物内の臭気が外に漏出することを防止する地下構造物用の排気防臭装置に関する。
地下構造物としての下水道管路施設は、下水の排除方式によって、汚水と雨水とを同一の管路で排除する合流式下水道と、汚水と雨水とを別々の管路で排除する分流式下水道とに分類される。特に、前者の合流式下水道においては、集中豪雨に見舞われた場合、大量の雨水が下水道管路に一気に流入する。このため、管路内の空気圧力が局所的に急激に上昇したり、あるいは雨水そのものが急激に上昇し、それに伴う空気圧力の上昇によってマンホール等の地下構造物の上端部に設置されている蓋本体が外れて飛散するおそれがある。
このような蓋本体の飛散を防止するために、下水道管路内で発生した圧力を外部に逃がすことができるようにしたものとして、例えば特許文献1が開示されている。特許文献1に開示されているマンホール蓋飛散防止装置は、マンホールの上端部の受枠に設置される蓋本体をグレーチング構造とするとともに、前記受枠に取付ける有底円筒形状の中蓋の底板に排圧孔を設けている。この排圧孔から下水道管路内で発生した圧力を外部に逃がすことができるとともに、前記排圧孔を閉塞する閉塞板を取付けることによって、下水道管路内の臭気が外に漏出することを防止するようにしたものである。
しかしながら、特許文献1に開示されているマンホール蓋飛散防止装置における中蓋は有底円筒形状をなし、底板が平板形状であるため、排圧孔の開口面積を十分に大きく取ることができないという問題があった。すなわち、排圧孔の開口面積は、底板の面積以上に大きくすることができないことはもちろんのこと、底板の強度確保や付属部品の設置スペースの確保などを考慮すると、排圧孔の開口面積を大きくするには制限があり、下水道管路内部で発生した圧力を十分に逃がすことができないという問題がある。
また、排圧孔を閉塞するための閉塞板が底板に当接して水平状態に取付けられている構造であるために、グレーチング構造の蓋本体から土砂が流れ込んで閉塞板上に堆積したりすると、閉塞板の開閉動作が不良となるという問題もある。
さらに、排圧孔を閉塞するための構成部品の数が多く、構造が複雑であり製造に多大な手間を要するとともに製造コストが高くなるという問題もある。
実公昭62−5102号公報
本発明は、上述の点に鑑みてなされたもので、簡単な構成により、下水道管路等の地下構造物の内部で発生した圧力を確実に外部に逃がすことができるとともに、地下構造物内の臭気が外に漏出することを防止するようにした地下構造物用の排気防臭装置を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明では、地下構造物の開口内に設置され、前記開口を塞ぐ排気防臭装置であって、上方から下方に向けて縮径する略円錐形状の胴部と、前記胴部を貫通する複数の排圧孔と、前記胴部の内側から前記排圧孔を覆い、前記胴部に対して一部が固定された弁体と、前記胴部の下端に形成された排水口と、前記排水口を覆うように取り付けられた弁ユニットと、前記胴部に設けられ、前記地下構造物の開口内に前記胴部を取付ける部位となる取付部とを備えた地下構造物用の排気防臭装置を前提とする。
上述した前提の排気防臭装置において、前記排圧孔は前記胴部の周方向に沿って間隔を存して配されることにより排圧孔列を単列又は複数列に形成され、前記弁体は前記排圧孔列ごとに対応して前記胴部の周方向に沿って連続して形成され、前記排圧孔列の上部にて前記胴部に固定されている(請求項1)
好ましくは、前記排圧孔列が複数列に形成されている場合、前記排圧孔列を覆う前記弁体は、前記胴部に対して上側に位置する弁体にその上端部が覆われている(請求項2)
本発明によれば、排圧孔を有する胴部が略円錐形状であるため、大きな排圧面積を確保することができる。弁体は胴部の内側から排圧孔を覆ってその一部が固定されているため、内圧(排気防臭装置よりも下側の地下構造物内の圧力)の上昇により弁体がめくれて排圧孔が開放される。これにより、内圧を効率よく逃がすことができ、急激な内圧の上昇によるマンホール等の地下構造物の蓋本体の飛散を防止することができる。一方、内圧が下がると、めくれていた弁体が再び排圧孔を塞ぐため、簡単な構造で確実に排気するとともに防臭することができる。このような弁体の開閉構造は簡単であるため、安価に製造可能であり、またごみ等による目詰まりを起こしにくい。内圧が発生していない場合は、弁体は排圧孔を覆っているため、地下構造物内の空気が漏れにくく、防臭性に優れる。また、胴部の下端には排水口が形成され、この排水口を覆うように弁ユニットが取り付けられるため、雨水を地下構造物内に導くことができるとともに、気体の逆流も防止できるため、排水口から臭気が外部に漏出することも防止でき、防臭性を損なうことはない。
また、排圧孔は胴部の周方向に沿って間隔を存して配されて排圧孔列を単列又は複数列に形成し、この排圧孔列ごとに対応して弁体は形成される。すなわち、弁体も胴部の一部に沿った略円錐形状となるので、胴部への取付けが容易となる。そして、排圧孔列の上部にて弁体は胴部に固定されるため、弁体が開いたときに、その自重で容易に元の形状に戻ることができ、排圧孔の閉塞を確実なものとすることができる。
また、前記排圧孔列が複数列に形成されている場合、胴部に対して上側に位置する弁体は下側に位置する弁体の上端部を覆うため、雨水と一緒に流入する土砂や落葉等が弁体の上縁に引っ掛かって堆積することを防止できる。
本発明に係る排気防臭装置を地下構造物に取付けた一例を示す概略図である。 台座の一例を示す概略図である。 本発明に係る地下構造物用の排気防臭装置を斜め上方から見たときの概略図である。 本発明に係る地下構造物用の排気防臭装置を斜め下方から見たときの概略図である。 弁体の別の例を示す断面図である。 本発明に係る排気防臭装置の別の例を示し、弁体が取付けられていない状態の概略図である。 図6に示す排気防臭装置の例を示し、弁体が取付けられた状態の概略図である。 本発明に係る排気防臭装置を地下構造物に取付けた別の例を示す概略図である。
まず、本発明に係る排気防臭装置1が適用された地下構造物14について図1を用いて説明する。
図1に示すように、例えば下水管(不図示)に対して地表から通じさせるためのマンホール等の地下構造物14には、円筒形状の直壁12の上部に上方に向けて縮径する斜壁13が設けられている。斜壁13の上方には、蓋本体(不図示)を設置するための受枠15が配設される。この受枠15は、下端に形成されたフランジ16が斜壁13の上面に立設されたボルト等の嵩調整部材(不図示)によって斜壁13に固定され、開口は蓋本体(不図示)で閉塞される。
斜壁13の上部内側には、排気防臭装置1を取付けるための台座18が固定されている(図2参照)。台座18の側面には貫通孔19が形成されている。台座18は、この貫通孔19にアンカーボルト(不図示)等を通して斜壁13の上部内側に固定されるが、この台座18の斜壁13に対する固定は、シャックル等を用いて台座18を突っ張って固定してもよいし、受枠15に棚を設けてここに載置して固定してもよい。
この台座18に、本発明に係る排気防臭装置1が固定される。具体的には、図2に示すように、台座18の上端には、排気防臭装置1を固定するための固定ユニット20が設けられ、この固定ユニット20により排気防臭装置1は台座18に固定される。固定ユニット20は、台座18の上面から鉛直方向に立設する壁体21と、この壁体21の上端に備わる回転軸22と、この回転軸22を支軸として壁体21に対して回動する押さえ部23とで形成される。押さえ部23は断面略V字形状の折り返し部を有し、その先端には例えばゴム製の皮膜を施している。胴部2の上端には周方向に亘って外側にフランジ状の取付部24が設けられている。この取付部24を上方から押さえ部23の折り返し部で押さえることにより、排気防臭装置1が台座18に固定される。回転軸22としてばね蝶番を用いれば、そのばね力にて取付部24を押さえることができる。その他、取付部24の固定としては、台座18に対して直接蝶ボルト等で固定してもよい。このように排気防臭装置1を台座18に固定することで、地下構造物14の開口となっている部分は排気防臭装置1によりその全域が塞がれることになる。
上記のように地下構造物14に固定された本発明に係る排気防臭装置1について、以下に詳述する。
図3及び図4に示すように、本発明に係る排気防臭装置1は、上方から下方に向けて縮径する略円錐形状の胴部2を備えている。この胴部2には、胴部2を貫通する複数の排圧孔3が形成される。この排圧孔3は、弁体4にて覆われる。具体的には、弁体4は、胴部2の内側から排圧孔3を覆っている。本実施例では、排圧孔3は胴部2の周方向に沿って間隔を存して配され、排圧孔列5を形成し、この排圧孔列5を、胴部2の上下方向に複数列形成している(本実施例では排圧孔列5を2列設けた例を示しているが、この排圧孔列5は1列であってもよい。)。また、胴部2の上端には台座18への取付部24が外方に張り出して形成されている。
弁体4は、排圧孔列5ごとに対応して胴部2の周方向に沿って連続して形成されている。すなわち、弁体4も胴部の内面に沿った略円錐形状となっている。図では、このような略円錐形状の弁体4を2列の排圧孔列5にそれぞれ設けた例を示している。この弁体4は、ゴム製である。その材質としては、天然ゴムの他、EPDM、クロロプレンゴム、シリコンゴム等の合成ゴムを使用環境により適宜選択できる。略円錐形状の弁体4を形成するには、ゴム板を裁断又は型抜きし、端部を融着や裁縫等により接合して形成することができる。あるいは、型を使用したゴム成形により略円錐形状の弁体4を得てもよい。なお、本実施例では弁体4は胴部2の周方向に連続して一体となっているものを示したが、一つの排圧孔列5を形成する排圧孔3の全てを覆っていれば、不連続な部分があってもよい。但し、一度開いた弁体4の戻り易さの点から言えば、全ての排圧孔列5を形成する排圧孔3を覆う1枚の弁体4を用いることがより望ましい。
また、本実施例における弁体4は、胴部2に対して一部が接着されている。具体的には、排圧孔列5の上部にて弁体4が胴部2に接着されている。したがって、排圧孔3は、弁体4の下側が胴部2に対して接離することにより開放又は閉塞される。なお、弁体4の胴部2に対する固定は、プレート等を介して固定してもよいし、胴部2に弁体4を差し込むための突起を形成し、この突起をかしめて固定してもよい。
一方、胴部2の下端には排水口6が形成されている。排水口6には弁ユニット7が例えばパイプバンド11によって取付けられ、この弁ユニット7にて排水口6は覆われる。本実施形態では、弁ユニット7は、互いに密着して張り合わされた板形状の自己閉鎖膜部9と、この自己閉鎖膜部9から上方に延び、端部が円筒形状に形成された本体部10とで形成されている。自己閉鎖膜部9と、本体部10とは連続して形成されている。雨水が排水口6に流入し、水圧がかかると、本体部10から自己閉鎖膜部9を押し開く力が働くため、自己閉鎖膜部9は開放し、雨水は下方に排水される。しかしながら、自己閉鎖膜部9の下方からは、自己閉鎖膜部9の張り合わせ部分に連通する本体部10のようなものがないため、圧力がかかっても自己閉鎖膜部9は開放されない。したがって、弁ユニット7は胴部2の下側に向けた一方向にのみ気体又は液体の流通を可能にできるものである。このような弁ユニット7を備えることで、雨水を地下構造物14内に導くことができるとともに、排水口6から臭気が外部に漏出することを防止でき、防臭性を損なうことはない。なお、本体部10は例えばポリプロピレン製であり、自己閉鎖膜部9は例えばシリコンゴム製である。弁ユニット7は、例えばいわゆる自封式のトラップ弁、ボール弁、フラップ弁等、種々の逆流防止弁を適用することもできる。
以上のような構成を採用したことによる効果としては、まず、略円錐形状の胴部2を採用したことで、排圧孔3を形成するための面積を広く確保できるので、多くの排圧孔3を形成することが可能となる。したがって、排圧面積を広くすることができる。また、地下構造物14内で圧力が上昇した場合は、弁体4が排圧孔3の外側から押圧されるので、弁体4の下側は胴部2から離間してめくれ上がる。これにより、排圧孔3は開放され、内圧を効率よく逃がすことができ、急激な内圧上昇によるマンホール等の地下構造物の蓋本体の飛散を防止することができる。一方、内圧が下がると、めくれていた弁体4は自重で容易に元の形状に戻るため、簡単な構造で確実に排圧するとともに防臭でき、排圧孔3の閉塞も確実なものとできる。すなわち、内圧が発生していない場合は、弁体4は排気孔3を覆っているため、地下構造物14内の空気が漏れにくく、防臭性に優れる。このように、弁体4の開閉構造は簡単であるため、安価に製造が可能である。特に、弁体4が略円錐形状を有していることが容易な開閉動作を実現できることに寄与している。また、弁体4で排圧孔3を覆うため、排圧孔3をある程度の大きさで形成でき、したがってごみ等による目詰まりを起こしにくい。
弁体4の配置についての別の実施例として、排圧孔列5が複数列に形成されている場合、図5に示すように、排圧孔列5を覆う弁体4は、胴部2に対して上側に位置する他の弁体(図5では4aとして示す)にその上端部が覆われていてもよい。すなわち、排圧孔列5を覆う弁体4と4aとの間に隙間を生じさせず、互いに重ねて配設される。このように弁体4の上端部を弁体4aの下端部で覆うことにより、雨水と一緒に流入する土砂や落葉等が弁体4の上縁に引っ掛かってこの部分に堆積することを防止できる。
弁体4を胴部2に固定する別の実施例として、図6及び図7に示すような構造で弁体4を胴部2に固定してもよい。具体的には、図6に示すように、隣り合う排圧孔3間の上部に断面略L字状で下方が開放されている爪部26を設ける。この爪部26は、適当な間隔を存して形成される(図6の例では上側の排圧孔列5では一つおきの排圧孔3間に、下側の排圧孔列5では全ての排圧孔3間に設けられている)。この爪部26に下側から略円錐形状の弁体4を差込み、弁体4の上部を略全周に亘って棒材27で押さえる。このとき、棒材27も爪部26内に嵌め込んで弁体4を押さえている。そして、爪部26を上側から押しつけることにより爪部26をかしめて棒材27を固定し、弁体4を胴部2に固定する。棒材27としては、例えばSUS製であり、略円柱形状のものを用いることができる。このような構造を採用して図7に示すような排気防臭装置1を得てもよい。
なお、地下構造物14の別の実施例として、斜壁13(受枠15)に対する台座18の固定方法を変更したものがある。すなわち、図1に示したアンカーボルトの代わりに、図8に示すように、フック25を用いて吊下げて台座18を斜壁13に固定してもよい。この場合は、フック25としてS字フックを用い、受枠15及び台座18の両方にフック25が係合可能な受け部(図8では受枠15に柱状体28、台座18にリング体29)を形成し、この受け部にフック25を係合して斜壁13(受枠15)及び台座18を連結して固定する。なお、排気防臭装置1の取付部24には、排気防臭装置1を持ちやすくするための把持部30を設けてもよい。また、図8では図7で示す排気防臭装置1を用いている。その他の構成、効果は図1で示した例と同様である。
1 排気防臭装置
2 胴部
3 排圧孔
4 弁体
4a 他の弁体
5 排圧孔列
6 排水口
7 弁ユニット
9 自己閉鎖膜部
10 本体部
11 パイプバンド
12 直壁
13 斜壁
14 地下構造物
15 受枠
16 フランジ
18 台座
19 貫通孔
20 固定ユニット
21 壁体
22 回転軸
23 押さえ部
24 取付部
25 フック
26 爪部
27 棒材
28 柱状体
29 リング体
30 把持部

Claims (2)

  1. 地下構造物の開口内に設置され、前記開口を塞ぐ排気防臭装置であって、
    上方から下方に向けて縮径する略円錐形状の胴部と、
    前記胴部を貫通する複数の排圧孔と、
    前記胴部の内側から前記排圧孔を覆い、前記胴部に対して一部が固定された弁体と、
    前記胴部の下端に形成された排水口と、
    前記排水口を覆うように取り付けられた弁ユニットと、
    前記胴部に設けられ、前記地下構造物の開口内に前記胴部を取付ける部位となる取付部と
    を備え
    前記排圧孔は前記胴部の周方向に沿って間隔を存して配されることにより排圧孔列を単列又は複数列に形成し、
    前記弁体は前記排圧孔列ごとに対応して前記胴部の周方向に沿って連続して形成され、前記排圧孔列の上部にて前記胴部に固定されていることを特徴とする地下構造物用の排気防臭装置。
  2. 前記排圧孔列が複数列に形成されている場合、前記排圧孔列を覆う前記弁体は、前記胴部に対して上側に位置する弁体にその上端部が覆われていることを特徴とする請求項に記載の地下構造物用の排気防臭装置。
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