JP5805943B2 - 百日咳菌のFim3の製造方法、及び、百日咳の検出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、特定の菌体成分の抽出を伴う製造方法、及び、疾病の検出方法に関する発明である。
百日咳は、百日咳菌(Bordetella pertussis)によって引き起こされる急性の気道感染症で、長時間持続する咳嗽発作を特徴とする疾患である。予防接種が広く施行されて以来発生数は激減し、1974年には最低となったが、ワクチン接種後の事故で1975年に集団接種が中断して以来患者数が一時増加し、死亡例も報告されるようになった。その後、改良されたワクチンが開発され、一旦発病者は1970年代前半のレベルに戻ったといわれているが、近年には再び患者数の増加の傾向が認められる。百日咳の潜伏期は6〜20日で、経過は鼻汁・咳嗽のカタル期(1〜2週)、激しい痙攣性のせきが連続して起こる痰咳期(2〜4週)、回復期(1〜2週)を経て軽快する。せきは夜間に多く、胸部理学的知見は乏しい。合併症としては、無気肺、肺炎、中耳炎、脳出血、意識障害、痙攣が挙げられる。診断は、菌の分離、抗体価の上昇で行う。検査所見としては、末梢リンパ球の増加が認められる。CRPは、陰性のことが多い。治療は、鎮咳剤に加え、水分の補給を行う。抗生物質はエリスロマイシンが有効である。
特許第320675号公報 特許第3789135号公報 特許第3977420号公報
百日咳も、他の疾病と同様に早期の発見と治療が大切であるが、上述のように、罹患初期は通常の風邪と症状が似ており、これを早々に検出することは困難である。さらに、過去の百日咳ワクチン由来の抗体が残っている場合もあり、これが罹患した百日咳の検出をますます困難にしている。すなわち、現在国内で多用されている百日咳菌東浜株及び山口株の全菌体を使用した菌体凝集試験は、主に東浜株が血清型2抗原(Fim2に起因する)、山口株が血清型3抗原(Fim3に起因する)を有すること、及び、国内のワクチン株が血清型2であることを利用し、東浜株の凝集価が高い場合はワクチン接種による抗体価上昇であり、山口株の凝集価が高い場合には流行株の感染の指標とされている。しかしながら、両菌株は、Fim2とFim3以外に無数の共通抗原を産生することから、交差反応が顕著に認められ、事実上はワクチン接種者と百日咳の患者を鑑別することは大変に困難である。また、同様に百日咳の診断指標として用いられる百日咳毒素及び繊維状赤血球凝集素に対する血液抗体応答は、これらの蛋白質は全ての百日咳ワクチンに含まれることから、これらを指標にしてワクチン接種者と百日咳感染者を判別することも困難である。
本発明は、このような状況を解決することを目的としており、ワクチン接種者と百日咳感染者を判別することが可能な、検出精度に優れる百日咳の検出方法を提供することにある。
一方、このような百日咳の検出方法について検討を行うと、これを百日咳菌の線毛成分を抗原として用いることが適切ではないかと考えられた。上述した線毛成分のうち、Fim2については、Zhangらの方法(Dev Biol Stand 61:173-185,1984)に基づいて精製することが可能である。しかしながら、本発明者は、既存の報告(Ironら(Dev Biol Stand 61:153-163,1985)やFredriksenら(Dev Biol Stand 64:187-196,1985)) に基づいて、Fim3の精製を試みたが、百日咳菌のFim3は溶解度が低く容易に不溶化する性質があり、検出目的に用いる程度に精製することは困難であった。
よって、本発明のもう一つの目的は、高精製のFim3の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題の解決のために、まず、百日咳菌のFim3の製造方法についての検討を行った。その結果、全工程においてプロテアーゼの非存在という前提の元、百日咳菌、又は、百日咳菌の線毛を発現している組換え菌体を、水性溶媒にて溶解操作を行った後、当該菌体の不溶性画分を分取し、次いで当該不溶性画分の可溶化操作を行い、これにより得られる可溶化済み画分を尿素と接触させつつ精製操作を行うことにより、Fim3を製造することが可能であることを見出した。以下、当該製造方法を、本発明の製造方法ともいう。
さらに、本発明者は、検体における、抗Fim2抗体及び抗Fim3抗体の双方の検出、あるいは、抗Fim3抗体の検出を、それぞれの抗線毛抗体について行い、これにより検体における百日咳を検出する、非常に優れる百日咳の検出方法を見出した。以下、当該検出方法を、本発明の検出方法ともいう。
本発明により、精製された形での製造が困難であったFim3の優れた製造方法が提供される。
また、本発明の検出方法は、検体中の抗Fim2抗体と抗Fim3抗体の双方、あるいは、抗Fim3抗体の検出を行うものであり、例えば、下記の特徴を有している。
(1)百日咳菌の殆どの流行株は血清型3であるから、検体中の抗Fim3抗体を検出することにより、百日咳感染の明確な指標とすることができる。
(2)抗Fim2抗体と抗Fim3抗体の双方を検出することによって、世界レベルで有用な検出情報を得ることが可能である。すなわち、我が国では、百日咳の殆どの流行株は血清型3であるが、世界では、血清型2、又は、血清型2と3の双方を有する株も散見される。よって、本発明の検出方法において、検体中の抗Fim2抗体と抗Fim3抗体の双方を検出することにより、抗Fim3抗体のみの陽性に基づく血清型3の百日咳菌感染以外に、抗Fim2抗体のみの陽性に基づく血清型2の百日咳菌感染、さらには、抗Fim2抗体と抗Fim3抗体の双方の陽性に基づく血清型2・3の百日咳菌感染を検出することが可能である。このような検出は、交差反応が顕著な菌体凝集反応では困難である。
さらに、患者からの百日咳菌の分離は、罹患1週間程度のごく早期患者以外は一般に困難であり、感染した菌体そのものの解析は現実には困難である。これに対して、本発明の検出方法では、感染した株の血清型別の検出を簡易的に行うことが出来る方法として有用である。疫学調査においては、流行地において、本発明の検出方法を行うことで、当該地の流行型の間接的型判別が可能であり、疫学的にも有用な方法である。
(3)本発明の検出方法において、血清型3陰性の血清型2を検出することにより、これに相当する検体提供者の百日咳菌に対する体液抗体は、過去の百日咳に対する予防接種によるものである可能性を判別可能である。それに加えて、感染未経験者のワクチン接種経験者において、過去いずれのタイプのワクチンが接種されたかの判定が可能である。現在、世界では大別して2成分タイプと5成分タイプの2種類のワクチンが用いられている。個人の接種記録が無い場合や失われた場合には、過去に接種したワクチンが分からず、追加接種に際してのワクチン選択を行う前提となる情報が不足することになる。本発明の検出方法では、線毛成分を含有しない2成分型ワクチンでは抗体価の上昇は認められず、対して、線毛成分を含有する5成分型ワクチンでは抗体価は上昇することになる。従来の血清抗体反応試験(凝集法、抗PT、FHA抗体の検出法) では、抗原に百日咳毒素と繊維状赤血球凝集素が含まれるため、どちらのタイプのワクチンでも抗体価が上昇し、このような判定をすることはできない。
(4)近年報告されている百日咳毒素非産生株の感染による、百日咳の特異的検出が可能である。当該株の感染では、抗百日咳毒素抗体値は上昇しないため、それを利用した診断法は使用することができず、菌体凝集反応及び抗繊維状赤血球凝集素抗体は、前述の通りに特異性に欠ける。すなわち、百日咳毒素非産生株感染を、百日咳として特異的に検出できる方法は、抗Fim3抗体を検出する本発明の検出方法のみである。
精製GST−Fim3のSDS-PAGEデータを示した図面である。 精製Fim3のSDS-PAGEデータを示した図面である。 精製Fim2のSDS-PAGEデータを示した図面である。 実施例において一連の反応を行う平底96穴プレートのレイアウトを示した図面である。 実施例においてサンプリング操作を行うプレートの割り当てを示した図面である。
[本発明の製造方法]
(1)菌体の調製
百日咳菌のFim3(以下、Fim3と記載した場合には、特に断らない限りは「百日咳菌のFim3」を意味するものとする)を製造するための原料となる菌体は、百日咳菌、又は、百日咳菌の線毛を発現している組換え菌体(以下、組換え菌体と記載した場合には、特に断らない限りは「百日咳菌の線毛を発現している組換え菌体」を意味するものとする)である。
百日咳菌(Bordetella pertussis)は、グラム陰性好気性桿菌であって、その分離と培養は、既に確立した方法によって行うことができる。すなわち、菌分離には、Border-Gengou培地(グリセリン・バレイショ血液寒天培地)を用い、好気培養を37℃程度において3〜4日間行うことにより形成されるコロニー、又は、当該コロニーの継代培養物を、本発明の製造方法における出発原料とすることができる。
一方、組換え菌体は、Fim3蛋白質又はFim3と他の蛋白質との融合蛋白質(以下、Fim3蛋白質と当該融合蛋白質を併せて「Fim3蛋白質等」とも記載する)をコードする塩基配列を含む遺伝子で形質転換を行った細菌類、具体的には、大腸菌、枯草菌等を意味するものである。Fim3蛋白質のアミノ酸配列と、これをコードする塩基配列は、百日咳菌ゲノムデータ(genebank BX470248)にコードBP1568で示されている。本願では、当該アミノ酸配列を配列番号2として、及び、当該塩基配列を配列番号1として示している。また、Fim3蛋白質と融合させるべき「他の蛋白質」は、遺伝子工学的分野において、組換え蛋白質の本体蛋白質(本発明においてはFim3蛋白質が相当する)に対して融合が行われている蛋白質全般を用いることが可能であり、例えば、β−ガラクトシダーゼ遺伝子,グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子、チオレドキシン遺伝子を利用した融合タンパク質等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
なお、融合蛋白質を用いると、融合させる蛋白質(上記の他の蛋白質に相当)の生物活性や特性によってFim3蛋白質の管理が容易になる利点がある。すなわち、Fim3自体にはマーカーとなり得る生物活性は認められないが、例えば、β−ガラクトシダーゼと融合させることにより、当該β−ガラクトシダーゼ活性をマーカーとしてFim3抗原の所在や量を確認することができる。また、可溶性の蛋白質を融合させることにより、本来的に溶解性の低いFim3の溶解度を向上させることも可能である。
Fim3遺伝子の、クローニング及び組み換えは当業界周知の標準的技術を用いてなされうる。ここでいう標準的技術は、例えば、Maniatis, T.ら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual ( Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, New York, 1989) に詳細に記載されている。また、公知の方法、例えば、いわゆるサイトスペシフィックミュータジェネシス(Site-Specific Mutagenesis)(Mark,D.F.,ら,Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 81, 5662 (1984) )等の方法を用いて、遺伝子改変を行うことができる。
組み換えFim3蛋白質を、適切な宿主細胞に発現させるには、通常は、まず、上記のFim3遺伝子の塩基配列情報を基に、発現ベクターにFim3遺伝子のクローニングを行う。例えば、上記のFim3遺伝子の5’末端側と3’末端側の塩基配列に相補的な塩基配列を含むヌクレオチド鎖をそれぞれ設計して、当該ヌクレオチド鎖を増幅用プライマーとして、百日咳菌のDNAを鋳型として行う、PCR法等の遺伝子増幅法を行うことにより得られる遺伝子増幅産物として、Fim3遺伝子を得ることができる(“PCR Protocols, A Guide to Methods and Applications” Innis, M.A.,ら編, Academic Press, San Diego,1990 )。また、所望する塩基配列を化学合成して得ることも可能である。
Fim3遺伝子を組み込む発現用ベクターは、通常発現しようとする遺伝子の上流域にプロモーター,エンハンサー,及び下流域に転写終了配列等を保有するものを用いるのが好適である。上述のように、Fim3遺伝子の発現は、直接発現系に限らず、例えばβ−ガラクトシダーゼ遺伝子,グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)遺伝子、チオレドキシン遺伝子等を利用した融合タンパク質発現系として、当該融合蛋白質を、そのまま検体中の抗Fim3抗体に対する免疫原として用いることも可能である。
遺伝子発現用ベクターとしては、例えば、宿主を大腸菌とするものとしては、pQE,pGEX,PT7−7,pMAL,PTrxFus,pET,pNT26CII等を例示することができる。また、宿主を枯草菌とするものとしては、pPL608,pNC3,pSM23,pKH80等を例示することができる。
これらの遺伝子発現ベクターは、Fim3蛋白質等を発現させる目的に応じて選択することができる。なお、上記のように既存の遺伝子発現ベクターを選択することも可能であるが、目的に応じて適宜遺伝子発現ベクターを作出して、これを用いることも可能である。
Fim3蛋白質等の遺伝子を組み込んだ発現用ベクターの宿主細胞への導入及びこれによる形質転換法は、一般的な方法、例えば、塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法等を行うことができる。
このようにして得られる形質転換体を常法に従い培養することにより、所望するFim3蛋白質、又は、その融合蛋白質が蓄積される。かかる培養に用いられる培地は、宿主細胞の性質に応じて適宜選択することができるが、例えば宿主が大腸菌である場合には、LB培地やTB培地等を適宜用いることができる。
(2)溶解操作
次に、上記(1)により得られた菌体の溶解操作を行う。溶解操作は、菌体を溶解可能な水性溶媒中に菌体を懸濁させて行われ、当該水性溶媒は、水に加えて、変性剤(塩酸グアニジン、尿素等)、キレート剤(エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、エチレングリコールビス2アミノエチルエーテル四酢酸ナトリウム等)、界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム、胆汁酸類、ポリオキシエチレンパライソオクチルフェノール、オクチルグルコシド等)、還元剤(2メルカプトエタノール、ヂチオトレイトール等)、タンパク質分解酵素阻害剤(フェニルメチルスルフォニルフルオリド等)を配合することができる。また、これらを混合した市販の菌体溶解試薬を使用することも可能である。ただし、細胞壁分解酵素であるリゾチーム等のプロテアーゼは、Fim3を分解してしまうので、これは当該水性溶媒の含有成分からは除外されるのは勿論のこと、本発明の製造方法全体においても「プロテアーゼフリー」の状態を保って操作を行うことが必要である。
この溶解操作により菌体の溶解を行い、その時点で存在する不溶性画分を、遠心分離等の方法により分取し、これの可溶化処理を行う。当該可溶化処理は、尿素(6〜8Mが望ましい)、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等を含有する水性溶媒(可溶化能を高めるためにアルカリ性とするのが望ましい)に、当該不溶性画分を接触させることにより行われる。また、必要成分が混合された市販の可溶化試薬を使用することも可能である。なお、上記の特許文献1〜3にも、この段階で尿素を用いることが開示されている。この可溶化段階における尿素添加は、「生化学実験講座1 タンパク質の化学1 分離精製 第1版第1刷」(株式会社東京化学同人、1976年3月22日発行)の第24頁下から第5行目に開示されている基礎技術でもある。このように、ここに記載した可溶化段階における尿素添加は、通常行われる可溶化処理の中から選択されるものである。
後述するように、本発明の製造方法においては、本段階を経ることにより得られる可溶化画分の精製段階で尿素との接触を行い、Fim3蛋白質等のリフォールディング(再構成)を行うことを特徴の一つとするものである(後述する)。このリフォールディングに伴う尿素添加は、この可溶化に伴う尿素添加とは異なるものである。
(3)精製操作
次に、上記(2)より得られた可溶化画分の精製操作を行う。上述したように、尿素との接触を伴ったFim3蛋白質等のリフォールディング(再構成)を行うことが、本発明の製造方法における特徴の一つである。このようなリフォールディングを行うことにより、本来溶解度の低いFim3蛋白質等を可溶化状態で安定化することができる。この尿素接触を伴うリフォールディングは、典型的には透析時に行われる。すなわち、透析膜内に上記(2)により得られた可溶化画分、又は、それに引き続く精製工程を施した可溶化画分を封入して、これを、尿素を含有する透析液に浸漬することにより、所望の尿素接触を伴うリフォールディングを行うことができる。この場合、透析液の尿素濃度は、透析操作工程で用いる透析液の平均として2〜8Mが好適であり、同2〜6Mが特に好適である。このような可溶化済み画分と尿素との接触を行った後、段階的に尿素の除去操作を行うことが好適である。特に好適な操作態様として、段階的に透析液の尿素濃度を低減していくことが挙げられる。例えば、2,3,4,5および6Mの濃度の尿素を含有する透析液を、第 1番目に最も尿素濃度が高い透析液を用いて透析を行い、順次、尿素濃度が低くなるように透析液を選択して用いて透析を行うことにより、Fim3蛋白質等のリフォールディングを好適に行うことができる。透析は、通常行われる透析条件に従って行われる。すなわち、透析液は、トリス緩衝生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水等の緩衝液を基礎としたものとすることが可能であり、上記の尿素の他、必要に応じてプロテアーゼ阻害剤等を添加して用いることも可能である。全体の透析時間は、特に限定されるものではないが、通常尿素濃度の異なる緩衝液あたり3時間程度であり、概ね3〜16時間が好適である。また、透析温度範囲は、常法と同様に2〜6℃程度が好適である。
このようにしてFim3蛋白質等のリフォールディングを含む精製工程を行うことにより、本発明の製造方法の目的産物である、精製されたFim3蛋白質等を得ることができる。この精製されたFim3蛋白質等は、−20℃以下で凍結保存することが可能である。
[本発明の検出方法]
本発明の検出方法は、検体において存在する抗Fim2抗体及び抗Fim3抗体の双方の検出、あるいは、抗Fim3抗体の検出を、それぞれの抗線毛抗体について行う方法である。検体は、百日咳ワクチンの投与を含め、百日咳に関連する抗体が存在し得るものであれば、特に限定されず、例えば、血清、血漿等の血液検体;肺洗浄液、唾液、乳汁、涙液等が例示されるが、血液検体を用いることが好適である。
検体中に存在する、抗Fim2抗体及び抗Fim3抗体の双方、あるいは、抗Fim3抗体(以下、これらの抗体を総括して抗線毛抗体とも記載する)の検出は、公知の血中抗体の検出方法により行うことが可能である。典型的には、検体中の抗線毛抗体が特異的に結合し得る対象と検体とを接触させて、当該特異的結合対象と検体中の抗線毛抗体との結合をシグナルとして検出することにより、所望の検出を行うことができる。
ここにいう特異的結合対象とは、(1)Fim3蛋白質若しくはその融合蛋白質、又は、(2)Fim2蛋白質及びFim3蛋白質若しくはその融合蛋白質であり、これらの線毛蛋白質は精製された状態であることが、鋭敏な検出を行うためには必要である。
まず、精製されたFim2蛋白質の調製は、従来の方法に従って行うことができる。すなわち、Zhangらの方法(Dev Biol Stand 61:173-185,1984)に基づいて、Fim2蛋白質を精製して得ることが可能である。一方、精製されたFim3蛋白質等は、従来の方法では調製が困難であり、上述した本発明の製造方法を行うことにより得たものを用いることが好適である。しかしながら、本発明の検出方法においては、Fim3蛋白質等の調製方法は、本発明の製造方法にのみ限定されるものではない。
このようにして得られた、精製された状態の線毛蛋白質は、検体において存在する抗線毛抗体と特異的に結合する、この抗原・抗体反応に基づく結合をシグナルとして、検体中の抗線毛抗体をそれぞれ検出することができる。
上記の線毛蛋白質は固相に固定化された状態で、検体との接触を好適に行うことができる。この場合用いる固相の形態と素材は、この分野において用いられる固相の全てを用いることが可能である。すなわち、形態としては、粒子状、ビーズ状、プレート状、凹部付きプレート状(マイクロプレート)、カラム状、チューブ状、シート状等が例示できる。素材としては、ガラス、ラテックス、金属、プラスチック、濾紙、セラミックス等を挙げることができる。
固相に上記の線毛蛋白質を固定化する際には、当該固相表面に線毛蛋白質を捕捉可能な手段が設けられていることが必要である。具体的には、固相上に線毛蛋白質と結合可能な機構、具体的には、カルボキシル基やアミノ基が露出する線状又は枝状の分子が固相上に設けられていることや、静電的あるいは疎水的に蛋白質を結合可能な素材を使用することが例示できる。当該官能基は、上記の線毛蛋白質を電気的に捕捉することにより、所望の精製された状態の線毛蛋白質が固定化された固相を製造することができる。当該官能基の固相表面への導入方法は、官能基を保有する分子を公知の方法を用いて行うことが可能である。また、予め、表面に官能基が導入された固相の市販品を用いることができる。
なお、上記の線毛蛋白質を捕捉するための機構として、当該線毛蛋白質に対する抗体(ポリクローナル抗体又はモノクローナル抗体)を用いることができる。すなわち、固相表面に当該抗体を結合させて、当該抗体と上記の線毛蛋白質との間の結合力により、固相表面に線毛蛋白質を固定化することが可能である。
線毛蛋白質に対する抗体は、準備された精製された状態の線毛蛋白質(Fim2蛋白質、又は、Fim3蛋白質)を免疫抗原として、常法に従って製造することができる。
抗体を得るための前提条件として、適切な免疫抗原を選択して用いることが必要であるが、上述したように本発明においては、免疫抗原として、精製された状態の線毛蛋白質(Fim2蛋白質又はFim3蛋白質)の全部又は一部を用いることが好ましい。また、必要に応じてハプテンを線毛蛋白質の全部又は一部に結合させて、免疫抗原として用いることも可能である。抗線毛蛋白質抗体を製造するために、免疫抗原で免疫される動物も、特に限定されるものではなく、マウス、ラット等を広く用いることが可能である。
免疫は一般的方法により、例えば上記免疫抗原を免疫の対象とする動物に静脈内、皮内、皮下、腹腔内等で投与することにより行うことができる。
より具体的には、上記免疫抗原を所望により通常のアジュバントと併用して、免疫の対象とする動物に、2週間程度毎に、上記手法により数回投与して、免疫動物から抗血清を回収することにより、線毛蛋白質に対するポリクローナル抗体を得ることができる。このポリクローナル抗体のさらに具体的な製造方法として、例えば、線毛蛋白質、好適には精製した染毛蛋白質(融合蛋白質を含む)に水酸化アルミニウムゲルを加え、リン酸緩衝生理食塩液(pH5.5程度)にて希釈することにより免疫用抗原を調製する。マウスやラット等に3回程度当該免疫抗原を接種し、ブースター接種は初回2週間後と3週間後程度で行うのが好適である。最終免疫後に採血を行うことで、線毛蛋白質に対するポリクローナル抗体(抗血清)を得ることができる。
モノクローナル抗体を製造する場合には、上記の免疫動物から脾臓細胞を得て、免疫細胞として用いることができる。
モノクローナル抗体を製造する場合、この免疫細胞と細胞融合する他方の親細胞としての骨髄腫細胞としては、既に公知のもの、例えばSP2/0−Ag14,P3−NS1−1−Ag4−1,MPC11−45,6.TG1.7(以上、マウス由来);210.RCY.Ag1.2.3(ラット由来);SKO−007,GM15006TG−A12(以上、ヒト由来)等を用いることができる。
上記免疫細胞とこの骨髄腫細胞との細胞融合は、通常公知の方法、例えばケーラーとミルシュタインの方法(Kohler,G. and Milstein,C.,Nature,256,495(1975))等に準じて行うことができる。
より具体的には、この細胞融合は、通常公知の融合促進剤、例えばポリエチレングリコール(PEG)又はセンダイウイルス(HVJ)等の存在下において、融合効率を向上させるためにジメチルスルホキシド等の補助剤を必要に応じて添加した通常の培養培地中で行い、ハイブリドーマを調製する。
所望のハイブリドーマの分離は、通常の選別用培地、例えばHAT(ヒポキサンチン,アミノプテリン及びチミジン)培地で培養することにより行うことができる。すなわち、この選別用培地において目的とするハイブリドーマ以外の細胞が死滅するのに十分な時間をかけて培養することによりハイブリドーマの分離を行うことができる。このようにして得られるハイブリドーマは、通常の限界希釈法により目的とするモノクローナル抗体の検索及び単一クローン化に供することができる。
目的とするモノクローナル抗体産生株の検索は、例えばELISA法,プラーク法,スポット法,凝集反応法,オクタロニー法,RIA法等の一般的な検索法に従い行うことができる。
このようにして得られる線毛蛋白質を認識するモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマは、通常の培地で継代培養することが可能であり、さらに液体窒素中で長時間保存することもできる。
ハイブリドーマからのモノクローナル抗体の採取は、ハイブリドーマを常法に従って培養して、その培養上清として得る方法や、ハイブリドーマをこのハイブリドーマに適合性が認められる動物に投与して増殖させ、その腹水として得る方法等を用いることができる。
得られたモノクローナル抗体又はポリクローナル抗体は、更に塩析,ゲル濾過法,アフィニティクロマトグラフィー等の通常の手段により精製することができる。 このようにして得られた線毛蛋白質に対する抗体は、ウエスタンブロッティング法、免疫組織染色法等を使用した検体中の百日咳菌の検出に使用することができる。また、この抗体を用いることにより、例えば、イムノクロマト法、エンザイムイムノアッセイ法、ラジオイムノアッセイ法、フルオロメトリーによる解析等により特異的抗原検出法を構築できる。
抗原抗体反応に伴うシグナルを検出する態様の本発明の検出方法では、例えば、エンザイムイムノアッセイ法、ラジオイムノアッセイ法、フルオロメトリーによる解析、ウエスタンブロット法等を挙げることができるが、一般的には、エンザイムイムノアッセイ法を選択することが好ましい。
エンザイムイムノアッセイ法は、酵素免疫定量法ともいい、標識イムノアッセイ法のうち、酵素を標識物質として用いる検出方法である。エンザイムイムノアッセイ法には、いわゆるB/F分離を必要とする“heterogeneous enzyme immunoassay”と、このB/F分離を必要としない“homogeneous enzyme immunoassay”とに大別される。本発明の検出方法においては、これらのうち、一般的に測定感度が高いといわれる、前者の“heterogeneous enzyme immunoassay”を選択することが好ましく、イムノソルベントを用いる、“enzyme-linked immunosorbent assay(ELISA)”を選択することがさらに好ましい。
ELISAを行うに際しては、上述したように、線毛蛋白質が固定化された固相、好適には、96穴マイクロプレートに代表されるような、多数のウエルを有するマイクロプレートに固定化された「固定化線毛蛋白質」と、当該線毛蛋白質に結合した検体中の抗線毛蛋白質抗体に対して結合する二次抗体を用いることが好ましい。当該二次抗体は、西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酵素、ビオチン、FITC、4-methylumbelliferyl-β-D-galactoside(4MUG)等の蛍光色素等により標識された、二次抗体を用いることが好ましい。
本発明の検出方法をELISAにより行う場合は、少なくとも、下記(a) 及び(b) の工程を含む、エンザイムイムノアッセイ法である。
(a) 不溶性担体に、精製された状態の線毛蛋白質(Fim2又はFim3等)を固定化した、固定化線毛蛋白質に、血液検体等の検体を反応させる工程。
この工程(a)においては、通常は、反応後、用いたマイクロプレート等の固相を洗浄し、未反応の検体は、反応系から除去される。
(b) 固定化線毛蛋白質と、検体中の抗線毛蛋白質抗体との結合により形成される、抗原抗体複合体に、上記の標識が施された二次抗体を反応させる工程。
この工程(b)においては、通常は、反応後、用いたマイクロプレートを洗浄し、未反応の二次抗体は、反応系から除去される。
また、この工程(b)においては、反応させた第2抗体における標識物質の種類に応じた標識シグナルの発現手段を用いて、標識シグナルを顕在化させることができる。例えば、標識物質としてビオチンを選択した場合には、アビジンやストレプトアビジンを用いて、標識シグナルを顕在化させることができる。また、例えば、標識物質として、西洋ワサビペルオキシダーゼを選択した場合には、その基質を必要に応じて発色物質と共に添加して、標識シグナルを顕在化することができる。さらに、標識物質として蛍光色素を選択した場合には、当該蛍光色素を励起させる励起光を照射して、標識シグナルを顕在化させることができる。
このようにして、顕在化した発色シグナルを、その発色シグナルの種類に応じた、シグナルの特定手段を用いて検出することで、所望する検体中の抗線毛蛋白質抗体の検出を行うことができる。
このような本発明の検出方法を行うことにより、「発明の効果」の欄に記載した(1)〜(4)の効果が認められる。
本発明においては、固定化線毛蛋白質(固定化Fim2及び固定化Fim3、あるいは、固定化Fim3)を含む、本発明の検出方法において用いるための百日咳の検出を行うためのキットも提供される(以下、本発明のキットともいう)。本発明のキットは、上述した本発明の検出方法を容易に行い得る構成のキットであることが好ましい。
本発明のキットにおいては、上記の固定化線毛蛋白質の他に、検体中の抗線毛蛋白質抗体を検出するための要素、例えば、洗浄液、二次抗体、標識を反応させるための薬剤等が含まれ得る。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
[実施例1−1] 精製Fim3蛋白質等の製造(1)
(1)Fim3発現菌株の作成
百日咳菌東浜株から常法によりDNAを抽出し、このFim3をコードする遺伝子(配列番号1)を含むDNAを、
プライマー(配列番号3: AGGATCCATGTCCAAGTTTTCATACCCT、及び、
配列番号4: AGCGGCCGCTCTGAGACCCTTCGTCTGA)を、
遺伝子増幅用プライマーとして使用して、PCR法により増幅して得た遺伝子増幅産物に対して、Topo cloning kit(Invitrogen社)を使用してクローニング後、シークエンス解析を行って確かに当該クローニング配列がFim3遺伝子に相当する配列であることを確認した。その後、得られたFim3遺伝子を、制限酵素(BamHI及びNotI)を使用して、pGEX-6P-2(GEヘルスケア社)に組み込み、グルタチオン-S-トランスフェラーゼ融合蛋白質としてFim3蛋白質を発現させるプラスミドを構築した。一方、グルタチオン-S-トランスフェラーゼを含有しないFim3を発現させるため、
プライマー(配列番号5:GGGCATATGTCCAAGTTTTCATACCCT、及び、
配列番号6:GGAAGCTTCTGAGACCCTTCGTCTGA)を、
遺伝子増幅用プライマーとして使用し、上記と同様にPCR法とクローニングを行った。その後、得られたFim3遺伝子を、制限酵素(NdeI及びHindIII)を使用して、pET22bベクター(Novagen社:Merck社に合併された。以下同様である。)に組み込み、Fim3蛋白質を発現させるプラスミドを構築した。これらプラスミドを使用してRossetta2 (DE3)(菌株名:Novagen社)を形質転換し、Fim3等の発現大腸菌を得た。
(2)Fim3等の発現大腸菌の培養
上記により得られたFim3等の発現大腸菌を、Overnight Expression Autoinduction System(Novagen社)及びアンピシリン(100 μg/mL)含有LB培地10 mLに植菌し、往復振とう(200回/分)下で培養を行うことで、当該大腸菌にFim3等を発現(1日間、37℃)させた。この培養工程により得られた菌体は、遠心(10000 rpm, 20分間, 4℃)し、上清を除いて菌体を得た。菌体は−20℃で凍結保存した。
(3)溶菌
室温で融解した、上記(2)の凍結菌体に、B-PER II bacterial protein extraction reagent(Thermo社)を1 mL加え、菌体を均一になるように懸濁した。その後、遠心(13000 rpm、30分間、4℃)し、Fim3蛋白質等を含む沈殿を得た。当該沈殿を5% B-PER II 5 mLに懸濁し、均一に分散後、遠心(13000 rpm、10分間、4℃)して、可溶性物質を洗浄する過程を3回以上繰り返した。最後の遠心で上清を除き、Fim3蛋白質等を含む沈殿を得た。
(4)可溶化
得られた沈殿に、Inclusion body solubilization reagent(Thermo社)5 mLを加えた。その後、室温で30分間転倒混和し、沈殿を溶解した後、遠心(13000 rpm、10分間、4℃)して、Fim3蛋白質等を含む上清(可溶化画分)を回収した。
(5)リフォールディング
可溶化されたFim3蛋白質等に、最終濃度 5 mMとなるようにジチオトレイトールを添加し、室温で5分間放置した。放置後、6 M尿素含有トリス緩衝生理食塩水(pH 7.2)2 Lに対し、4℃で3時間透析を行った。その後尿素を、5, 4, 3, 2 M含有したトリス緩衝生理食塩水(pH 7.3)それぞれに対し、尿素濃度の高い方から順番に3時間以上透析 を行った。2 M尿素含有トリス緩衝生理食塩水(pH 7.2)に対する透析が終了した後遠心(13000 rpm, 30分間, 4℃)し、上清を精製Fim3等として使用した。得られた精製GST−Fim3及び精製Fim3のSDS-PAGEデータを、それぞれ図1と図2に示す。
なお、このリフォールディング工程を、尿素を用いずに行うと、蛋白質はほとんどが不溶化(インクルージョンボディ)の状態に戻ってしまう。
[実施例1−2] 精製Fim3蛋白質等の製造(2)
上記の実施例1−1は代表的な具体例であって、本発明の製造方法に則った精製Fim3蛋白質等の製造に際し、適宜適切な手段を選択することができる。例えば、上記の実施例1−1の(3)の「溶菌」と(4)の「可溶化」の工程を下記の要領で行うことができる。
凍結融解した大腸菌湿重量1 gあたり3 mL の1 mM EDTA、0.1 M NaCl加50 mMトリス緩衝液pH 8.0に懸濁する。懸濁後、4μLのプロテアーゼ阻害剤(100 mM PMSF)を添加し、4℃で20分間攪拌する。その後4 mgのデオキシコール酸ナトリウムを加え、室温で転倒30分間混和する。その後1 mg/mL DNase Iを20μL加え、室温で30分間転倒混和する。遠心(13000 rpm, 20分間, 4℃)し、上清を除き、得られた沈殿を9倍用量の10 mM EDTA, 0.1 M NaCl, 0.5%(v/v) Triton X-100に懸濁する。この懸濁液を遠心(13000 rpm, 30 min, 4℃)し、上清を除く。この操作を3回繰り返し、沈殿を洗浄する。得られた沈殿を1 mM EDTA, 0.1 M NaCl, 8 M 尿素及び0.1 mM PMSF加50 mM Tris-HCl, pH 8.0に懸濁する。その後、9倍量の1 mM EDTA, 50 mM NaCl加50 mMリン酸カリウムpH10.7を加え、室温で30分間転倒混和する。その後塩酸でpHを8まで低下させ、遠心(13000 rpm, 30 min, 4℃)し、上清を得る。
[実施例2] 精製Fim2蛋白質の製造
Stainer-Sholte液体培地を使用して静置培養した百日咳菌東浜株を出発材料とし、Zhangらの方法(Dev Biol Stand 61:173-185,1984)に基づいて精製した。すなわち、百日咳菌菌体10 gを、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(カルシウムマグネシウム不含、以下DPBS(-))に懸濁し、遠心(10000 rpm, 20分, 4℃)して上清を除くことで洗浄した。この操作を3回繰り返し、洗浄菌体を得た。洗浄菌体を50 mLのDPBS(-)に懸濁し、超音波処理(20 kHz, 10分間, 0℃)を行ってFim2を遊離させた。その後遠心(15000 rpm, 30分間, 4℃)し、上清を得た。この上清にDPBS(-)を適宜加え、容量を50 mLとし、硫酸アンモニウムを12 g加えて溶解後、30分間4℃で放置した。放置後遠心(15000 rpm, 30分間, 4℃)し、Fim2を含有する沈殿を回収した。この沈殿を、50 mM トリス緩衝液(pH 9.5)5 mLを加えて溶解し、硫酸アンモニウムを除去するためにさらに同緩衝液に対して4℃、一晩透析した。この際、透析膜は排除限界分子量10kDaのものを使用した。透析後、遠心(15000 rpm, 30分間, 4℃)し、Fim2を含有する上清を回収した。得られた上清を酸性緩衝液(50 mM リン酸ナトリウム緩衝液, pH 6.0)に対して4℃にて一晩透析し、Fim2を含む蛋白質を沈殿させた後、遠心(15000 rpm, 30分間, 4℃)し、Fim2蛋白質を含有する沈殿を回収した。沈殿を5 mLの50 mMトリス緩衝液pH 9.5に溶解後、希塩酸を加えてpH 7.6とし、塩酸マグネシウムを最終濃度0.1 Mになるよう添加し、4℃で一晩放置した。放置後遠心(15000 rpm, 30分間, 4℃)し、Fim2蛋白質を含有する沈殿を回収して50 mMトリス緩衝液pH 9.5に溶解、同様に遠心して上清を回収した。得られた上清をDPBS(-)に対し4℃一晩透析後遠心(15000 rpm, 30分間, 4℃)し、得られた上清を精製Fim2蛋白質として使用した。得られたFim2蛋白質のSDS-PAGEデータを図3に示す。
[実施例3] 本発明の検出方法
本実施例は、本発明の検出方法の操作手順を示し、かつ、その効果を示すことを目的とする。
(1)抗原、試薬等
本実施例において用いた試薬等は、下記の通りである。
(i)百日咳毒素(Pertussis Toxin(PT))抗原(PT):ALEXIS社から購入し、Carbonate-bicarbonate Bufferで1,000倍に希釈し使用した。
(ii)繊維状赤血球凝集素(Filamentous Hemagglutinin)抗原(FHA):List Biological Laboratories,INC.社から購入し、Carbonate-bicarbonate Bufferで2,000倍に希釈し使用した。
(iii)Fim2抗原:実施例2にて製造したものを、Carbonate-bicarbonate Bufferで1,000倍に希釈し使用した。
(iv)GST−Fim3抗原:実施例1−1にて製造したものを、Carbonate-bicarbonate Bufferで3,000倍に希釈し使用した。
(v)anti-human IgG β-galactosidase :American Qualex Antibodies社から購入し、1%BSA PBSTで4,000倍に希釈し使用した。
(2)百日咳の抗体価の測定
(2)−1:コーティング操作
一連の滴下操作は、マイクロピペット及びマイクロピペット12チャンネルを用いて行った。また、一連の反応を行う平底96穴プレート(以下「プレート」という)のレイアウトを、図4に示す。
図4に示したプレートの各ウエルA1〜H12に、下記の滴下操作を行った。
(i)A2〜H2、A7〜H7にPT抗原を100μl各wellに滴下。
(ii)A3〜H3、A8〜H8にFHA抗原を100μl各wellに滴下。
(iii)A4〜H4、A9〜H9にFim2抗原を100μl各wellに滴下。
(iv)A5〜H5、A10〜H10にGST-Fim3抗原を100μl各wellに滴下。
次いで、A1〜H1、A6〜H6、A11〜H11、A12〜H12にAntigen coating buffer(Sodium Bicarbonate-Sodium Carbonate buffer 1M,pH9.6±0.2(Polysciences社))100μl各wellに滴下し、プレ−ト全面にシ−ルをして、4℃20時間以上静置してコーティング反応を行った。
(2)−2:ブロッキング操作
ブロッキングバッファー(3%BSA-PBS)を室温に調整して、プレートのシールを剥がし、マイクロピペット12チャンネルにて、全ウエルにブロッキングバッファーを100μl添加し、プレートをプレ−ト シェ−カ−にセットして、室温75分間ブロッキング反応を行った。
(2)−3:被検血清のサンプリング
シングルマイクロピペットでDilution buffer(1%BSA-PBST)990μl、第1〜第15の被検血清をそれぞれ10μlと、コントロール(管理試料:ヒト既知コントロール血清)10μlを、ディスポ試験管にサンプリングを行い、100倍希釈とした。自動洗浄器を用い、プレ−トをWash buffer(PBST)で6回洗浄を行った。次いで、シングルマイクロピペットでA2〜A6に第1の検体を、B2〜B6に第2の検体を100μlサンプリングし、残りの検体(〜 G7〜G11に第15の検体)も、順次サンプリングを行った。また、H7〜H11にコントロールを100μlサンプリングした。さらに、A1〜H1、A12〜H12にDilution buffer(1%BSA−PBST)を100μl滴下した。次いで、プレートをプレ−ト シェ−カ−にセットし、室温で1時間反応を行った。図5に、当該サンプリング操作を行うプレートの割り当てを示した。図中ウエル内に示した番号は、検体の第1〜第15の番号と、コントロールを滴下した「H7〜H11」を「16」として構成されている。
(2)−4:2次抗体(anti-human IgG β-galactosidase)の滴下
シングルマイクロピペットを用い、Dilution buffer(1%BSA-PBST)で上記の濃度に希釈した2次抗体を、自動洗浄器により洗浄用バッファー(PBST)で6回洗浄を行ったプレートに、100μlずつ滴下した。次いで、プレートをプレ−ト シェ−カ−にセットし、室温で1時間反応を行った。
(2)−5:基質(0.2mM 4MUG)
4MUG(4-Methylumbelliferyl-b-D-glucuronide.trihydrate)を37℃の恒温槽で加温し、自動洗浄器により洗浄用バッファー(PBST)で6回洗浄を行った上記プレートの全ウエルに、マイクロピペット12チャンネルにて4MUGを100μlずつ滴下した。次いで、プレートシェーカーで、室温で5分間反応を行った。
(2)−6:反応の停止
マイクロピペット12チャンネルで、プレートの全ウエルに、反応停止液(0.1M Glycine-NaOH)を100μlずつ添加し、プレートシェーカーで、室温で5分間反応を行った。
(2)−7:判定基準の設定
百日咳患者384症例の検体血清を用いて、EIA法と蛍光ELISA法による血中の抗PT抗体と抗FHA抗体の定量検出を行った。EIA法は市販のキットを用いて行った。EIAキットとしては、百日咳菌抗体キット「百日咳菌抗体価測定試薬ワコー」(和光純薬工業(株)製)を用い、具体的作業は添付マニュアルに従って行った。なお、標準血清は、マニュアル通りに国立予防研究所(現 国立感染症研究所)から入手した基準血清JNIH−1を用いて検量線を作成した。
蛍光ELISA法は、上記(1)〜(2)−6に示した方法でEIA法と同様に反応プレートを用いて定量検出を行った。検出は、波長460nmにセットしたFluoroscan IIによる測定を行い、この蛍光ELISA検出の検量線作成のために用いた標準血清は、上記の基準血清JNIH−1を用いた。このように同一の対象に対して、EIA法と蛍光ELISA法による血中抗PT抗体と抗FHA抗体の抗体価を求めた。
その結果、PT抗原による抗IgG抗体相関(蛍光ELISA/EIA)は、
y=0.963x+4.1318 R=0.8109、であり、
FHA抗原では、
y=0.9976x+2.3279 R=0.8225、であり、
EIAと蛍光ELISAの測定値は、ほぼ等価であることが確認されている。
この抗IgG抗体相関(蛍光ELISA/EIA)の確認を行い、抗体値のカットオフ値として下記表1の数値を設定し(日本薬剤師会雑誌、岡田ら、61,1;59-62,2009)、当該数値以上を「抗体保持」(陽性)とした。PTとFHAについての各カットオフ値は、上記と同様に波長460nmにセットしたFluoroscan IIによる測定による、蛍光ELISAによる検出値に対する上記のEIA換算式処理によるカットオフ値である。
表1中、「百日咳抗体価」は、
「検体血清測定蛍光単位÷検体血清対照蛍光単位=検体血清蛍光単位率(%)」として算出した。また、「卑近の感染」の陽性基準は、いわば直前の感染の意味であり、過去に百日咳に罹患して治癒した者や、百日咳の予防接種者等の、直接的な百日咳の発症に至らないと考えられる者を対象から排除する基準として設けられたものである。
Figure 0005805943
(2)−8:本測定
臨床的に百日咳の罹患が疑われた患者に対して、常法による菌分離を行い、LAMP法又はPCR法により百日咳菌の存在の確認を行い、これにより確定診断がなされた百日咳患者79症例に対して、(a)凝集法と、(b)上記した測定方法(蛍光ELISA法)で、PT、FHA、Fim2、又は、Fim3の血中抗体の検出を行った。
(a)凝集法
凝集法は、百日咳菌の東浜株と山口株の凝集反応用抗原をそれぞれ含む市販のキット(百日せき凝集反応用抗原「生研」N、デンカ生研株式会社製)を用い、その添付マニュアルに従って、東浜株と山口株における凝集素価(凝集値)を求め、双方の菌株共、当該値が1280以上の場合を、凝集法による陽性の診断基準値として判定した(日本薬剤師会雑誌、岡田ら、61,1;59-62,2009より)。また、上記百日咳患者における、この凝集法による陽性率(%:陽性検体数/全検体数 ×100)を、(i)東浜株、(ii)山口株、及び、(iii)東浜株若しくは山口株、について求めた。その結果を、後述する表2に示す。
(b)蛍光ELISA法(本発明の検出方法を含む)
上記と同様に、波長460nmにセットしたFluoroscan IIでプレートの蛍光単位の測定を行い、判定は、百日咳抗体価を算出することにより行った。
(2)−9:結果
下記表2に、上記試験の結果、すなわち、上記79症例の百日咳患者の蛍光ELISA系における陽性率を示した。上記と同様に、PTとFHAについては、蛍光ELISAによる検出値に対する上記のEIA換算式処理による値である。
Figure 0005805943
(a)表2に示すように、従来法である百日咳凝集法の同患者群に対する陽性率(正診率)は、凝集法では、東浜株或いは山口株のどちらか一方が陽性の場合でも28.0%、PTとFHAを抗原として用いた検出系(EIA法)では17.4%であった。これに対して、Fim3はそれ単独でも74.2%の正診率であり、Fim2との組み合わせでは81.4%であったことから、検体中の抗Fim3抗体の検出は、百日咳感染の極めて明確な指標となることが明らかになった。このように、抗Fim2抗体と抗Fim3抗体を組み合わせて検出することにより、「抗Fim2抗体のみ陽性」、「抗Fim3抗体のみ陽性」、「抗Fim2抗体及び抗Fim3抗体の両者がともに陽性」の検体を明確に区別することが可能である。
前述したように、我が国では、百日咳の殆どの流行株は血清型3であるが、世界では、血清型2、又は、血清型2と3の双方を有する株も散見される。よって、本発明の検出方法において、検体中の抗Fim2抗体と抗Fim3抗体の双方を検出することにより、抗Fim3抗体のみの陽性に基づく血清型3の百日咳菌感染以外に、抗Fim2抗体のみの陽性に基づく血清型2の百日咳菌感染、さらには、抗Fim2抗体と抗Fim3抗体の双方の陽性に基づく血清型2・3の百日咳菌感染を検出することが可能である。このような検出は、交差反応が顕著な菌体凝集反応では困難である。
(b)前述したように、現在、大別して2成分タイプと5成分タイプの2種類のワクチンが用いられている。過去の百日咳ワクチン接種の事実のみが判明しているのみで、個人の接種記録が無い場合や失われた場合には、過去に接種したワクチンが分からず、追加接種に際してのワクチン選択を行う前提となる情報が不足することになる。本発明の検出方法では、線毛成分を含有しない2成分型ワクチンでは抗体価の上昇は認められず、対して、線毛成分を含有する5成分型ワクチンでは抗体価は上昇することになる。すなわち、抗Fim2抗体が低値の陽性(400〜500U)で抗Fim3抗体が陰性の場合は、過去の菌体型ワクチン或いは一部菌体成分の含まれる5成分型ワクチンである(これらの菌体成分には線毛成分が含まれる)。また、抗Fim2抗体及び抗Fim3抗体のいずれも陰性の場合はPT,FHA成分のみの2成分型ワクチンとなる。
従来の血清抗体反応試験(凝集法、抗PT・FHA抗体の検出法)では、抗原に百日咳毒素と繊維状赤血球凝集素が含まれるため、どちらのタイプのワクチンでも抗体価が上昇し、このような判定をすることはできない。
(c)また、線毛は百日咳の病原性には直接関係しない部位であり、本発明の検出方法によれば、抗Fim抗体陽性の抗PT・FHA抗体陰性の菌株を検出することにより、百日咳毒素非生産株の検出も可能となる。このような毒素非生産百日咳菌の存在又は非存在についての現実の感染調査を行うことは、百日咳菌の病原要素の獲得過程や起源を明らかにすることに資するものであり、大いなる疫学的な意義が認められる。

Claims (8)

  1. 全工程においてプロテアーゼの非存在下で行う製造方法であって、百日咳菌、又は、百日咳菌の線毛を発現している組換え菌体を、当該菌体を溶解可能な水性溶媒中に懸濁させることにより溶解操作を行った後、当該菌体の不溶性画分を分取し、次いで当該不溶性画分の可溶化操作を行い、これにより得られる可溶化済み画分を6M以上8M以下の尿素と接触させ、次いで、高濃度(直前の尿素濃度以下)から低濃度への、段階的な尿素濃度の透析液を用いた透析操作を、各々の透析液の尿素濃度の平均が4M以上6M以下の範囲で行って、Fim3又はFim3と他の蛋白質との融合蛋白質を得る、百日咳菌のFim3の製造方法。
  2. 高濃度から低濃度への段階的な尿素濃度の透析操作は、最高濃度と最低濃度を含んで5段階の尿素濃度の透析液を用いた透析操作であることを特徴とする、請求項1に記載のFim3の製造方法。
  3. 可溶化済み画分の尿素との接触前に、ジチオトレイトールと接触させることを特徴とする、請求項1又は2に記載のFim3の製造方法。
  4. 百日咳菌、又は、百日咳菌の線毛を発現している組換え菌体は、百日咳菌の線毛を発現している大腸菌であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のFim3の製造方法。
  5. 血液検体における、抗Fim2抗体及び抗Fim3抗体の双方の検出、あるいは、抗Fim3抗体の検出を、それぞれの抗線毛抗体に対応する線毛成分と検体を接触させることによる抗原抗体反応をシグナルとして行われる、百日咳の検出方法であって、当該繊毛成分はFim2、又は、Fim3若しくはFim3と他の蛋白質との融合蛋白質であり、かつ、当該Fim3若しくはFim3と他の蛋白質との融合タンパク質は、請求項1〜4のいずれかに記載のFim3の製造方法により製造されたものであることを特徴とする、百日咳の検出方法。
  6. Fim2、又は、Fim3若しくはFim3と他の蛋白質との融合蛋白質は、固相に固定化されている、請求項に記載の百日咳の検出方法。
  7. 少なくとも請求項1〜4のいずれかに記載のFim3の製造方法により製造されたFim3若しくはFim3と他の蛋白質との融合蛋白質が固定化された固相。
  8. 少なくとも請求項1〜4のいずれかに記載のFim3の製造方法により製造されたFim3若しくはFim3と他の蛋白質との融合蛋白質が固定化された固相を含む、請求項5又は6に記載の百日咳の検出方法を行うための、検出用キット。
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