JP5803747B2 - 車両用制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両用制御装置に関し、特に、振動抑制用のダンパを有するロックアップクラッチを搭載した車両に用いられる車両用制御装置に関する。
従来より、駆動源としてのエンジンと自動変速機との間にトルクコンバータを設けた車両が広く知られている。この種の車両では、エンジンと自動変速機とを一体的に連結、すなわち直結することができるロックアップクラッチをトルクコンバータに組み込むことが一般的に行われている。
ところで、ロックアップクラッチによってエンジンと自動変速機とを直結状態にした場合には、エンジンのトルク変動に伴う捩り振動が自動変速機に伝わり、NV(ノイズ・アンド・バイブレーション)が大きくなる懸念がある。このため、ロックアップクラッチによってエンジンと自動変速機とを直結したときに、エンジンのトルク変動に伴う捩り振動が自動変速機に伝達するのを抑制するために、通常、エンジンのトルク変動を吸収・減衰するダンパをロックアップクラッチに組み込んでいる。
近年、この種のダンパの中には、ばね定数の異なる複数のばねを組み合わせてダンパの捩り特性を複数の段階とするものもある。このようなダンパでは、例えば、エンジントルクが小さい場合には、ダンパの捩り角も小さく、ダンパにおけるばね定数は小さくなる。一方で、エンジントルクが大きい場合には、ダンパの捩り角が大きく、ダンパにおけるばね定数は大きくなる。これにより、エンジントルクの大きさに応じて効率よく振動を吸収・減衰させることができるという利点がある。
ところが、複数の段階の捩り特性を有するダンパを用いた車両においては、エンジントルクがダンパの捩れ角に応じてばね定数が切り替わる領域付近で増減すると、これに併せてダンパのばね定数が段階的に増減し得る。このため、ダンパを介して最終的に駆動輪に伝達されるトルクが急激に増減し、これが原因で車両の振動が発生する。また、このような振動は、特定のエンジン回転数範囲で現れることが知られている。これは、ばね定数が切り替わる領域付近のエンジントルクを出力し得るエンジン回転数が限られているからである。具体的には、このような振動が発生し得るエンジン回転数範囲は、低回転領域に限られる。また、ばね定数の切り替わりを生じさせるエンジントルクは、比較的高いトルク領域である。したがって、上記のような振動は、低回転・高負荷領域で発生するものである。以下、このような振動が発生する領域を振動発生領域という。
さらに、このような振動は、特にダンパのばね定数が切り替わる領域においてエンジンのトルク変動の周波数とダンパの共振周波数とが一致することより大きくなる場合がある。
従来、このような車両の振動を抑制するために、ロックアップクラッチの係合状態においてエンジン回転数が上述した特定のエンジン回転数範囲内にあるときには、ロックアップクラッチが解放状態である場合に比べてエンジントルクを低減するようエンジンを制御する車両用制御装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この特許文献1に記載の車両用制御装置によれば、エンジントルクが上記振動発生領域に入らないようにすることができ、車両の振動を抑制することができる。
特開2008−223533号公報
しかしながら、上述した従来の車両用制御装置にあっては、エンジントルクが振動発生領域外となるようエンジントルクの上昇を制限するので、運転者のアクセル踏み込み量に応じた要求出力に見合うエンジントルクを発揮させることができない。このため、運転者の所望する加速感が得られず、運転者の要求に応じた車両の動力性能を発揮させることができないという問題があった。特に、近年では、自動変速機を搭載しつつも運転者が任意に変速段を変更可能な、いわゆるマニュアルモードを備えた車両も広く普及している。このような車両では、振動発生領域を含む低回転・高負荷領域でエンジンを運転させる機会が増加することから、上述のような問題が特に顕著となる。
また、車両の加速時に限らず、減速時においてもエンジントルクが振動発生領域に入ることがある。上述の従来の車両用制御装置では、減速時における振動抑制については何ら考慮されていない。
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたもので、特定の振動発生領域における車両の振動を抑制しつつ、運転者が要求する車両の動力性能を確保することができる車両用制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る車両用制御装置は、上記目的達成のため、(1)出力軸を有する内燃機関と、入力軸を有する変速機と、前記内燃機関と前記変速機との間に設けられ、流体を介して前記出力軸と前記入力軸との間で動力の伝達を行うトルクコンバータと、前記トルクコンバータに設けられ、前記出力軸と前記入力軸とを直結する係合状態および前記係合状態を解除する解放状態を切り替え可能なロックアップクラッチと、前記ロックアップクラッチと前記入力軸との間に設けられ、前記ロックアップクラッチと前記入力軸との間の捩れの角度に応じてばね定数の切り替りが生ずるよう複数の弾性部材からなるダンパとを備え、前記ロックアップクラッチが係合状態で前記内燃機関の機関トルクの変化に応じて前記捩れの角度が変化する車両に搭載される車両用制御装置であって、前記ロックアップクラッチが係合状態とされ、かつ前記機関トルクが前記ダンパの前記ばね定数の切り替わりが生ずる前記機関トルクを含む予め定められた所定のトルク領域に含まれることとなったとき、前記機関トルクの単位時間当たりの変化量の絶対値を示すトルク勾配が予め定められた基準トルク勾配以上である場合には、前記車両が加速状態であるときに前記内燃機関の要求トルクが前記所定のトルク領域に含まれるときには、前記要求トルクを前記所定のトルク領域を上回る値に変更し、前記車両が減速状態であるときに前記内燃機関の要求トルクが前記所定のトルク領域に含まれる場合には、前記要求トルクを前記所定のトルク領域を下回る値に変更し、前記ロックアップクラッチが係合状態とされ、かつ前記機関トルクが前記所定のトルク領域に含まれることとなったとき、前記トルク勾配が前記基準トルク勾配未満である場合には、前記ロックアップクラッチを前記解放状態にするとともに、前記車両が加速状態であるときには、前記要求トルクを前記所定のトルク領域を上回る値に変更し、前記車両が減速状態であるときには、前記要求トルクを前記所定のトルク領域を下回る値に変更するよう前記内燃機関を制御するよう構成する。
所定のトルク領域とは、ダンパのばね定数の切り替りに起因した振動が発生するとされる特定の振動発生領域である。また、ロックアップクラッチの解放状態には、ロックアップクラッチが完全に非係合とされる完全解放状態に加えて、ロックアップクラッチが滑りを伴って半係合される、いわゆるスリップ状態が含まれる。
この構成により、本発明に係る車両用制御装置は、ロックアップクラッチの係合状態で機関トルクが所定のトルク領域に含まれることとなったとき、機関トルクのトルク勾配が基準トルク勾配以上である場合には、機関トルクが所定のトルク領域を速やかに跨いで所定のトルク領域外となるよう内燃機関を制御する。例えば、車両加速時であれば、所定のトルク領域を上回る機関トルクとなるよう内燃機関が制御される。一方、車両減速時であれば、所定のトルク領域を下回る機関トルクとなるよう内燃機関が制御される。
このため、ダンパのばね定数の切り替りに起因した振動が発生するとされる所定のトルク領域を比較的大きいトルク勾配で機関トルクが通過し、機関トルクが所定のトルク領域に留まることがない。したがって、所定のトルク領域すなわち特定の振動発生領域に留まることによる車両の振動を抑制することができる。
また、トルク勾配が大きい場合は、運転者によりアクセルペダルが素早く操作されたと判断でき、運転者の求める車両の加速状態、あるいは減速状態を発揮することが望まれる。この点、本発明に係る車両用制御装置は、従来のように所定のトルク領域に入らないよう機関トルクを制限することがないので、運転者が要求する車両の動力性能を確保することができる。
一方、ロックアップクラッチの係合状態で機関トルクが所定のトルク領域に含まれることとなったとき、トルク勾配が基準トルク勾配未満である場合には、ロックアップクラッチを解放状態にする。また、このとき、機関トルクが所定のトルク領域を跨いで所定のトルク領域外となるよう内燃機関を制御する。ロックアップクラッチを解放状態にすることにより、ダンパに入力される内燃機関のトルク変動を抑えることができる。これにより、トルク変動の周波数がダンパの共振周波数と一致することを抑制できる。したがって、機関トルクが比較的小さいトルク勾配で所定のトルク領域すなわち特定の振動発生領域を通過する際の車両の振動を抑制することができる。
また、トルク勾配が基準トルク勾配未満である場合は、例えば運転者によりアクセルペダルが微小操作されたり、あるいはゆっくりと大きく操作されたと判断でき、運転者の求める車両の加減速状態も緩慢であることが望まれる。この点、本発明に係る車両用制御装置では、ロックアップクラッチを解放状態にすることで車両の振動を抑制しているので、従来のように所定のトルク領域に入らないよう機関トルクを制限しなくとも運転者の求める緩慢な車両の加減速状態を確保することができる。
この構成により、本発明に係る車両用制御装置は、ダンパのばね定数の切り替りに起因した振動が発生するとされる所定のトルク領域を回避した機関トルクの制御を行うことができる。
この構成により、本発明に係る車両用制御装置は、車両の加速時に、機関トルクが所定のトルク領域を跨いで所定のトルク領域外となるよう内燃機関を制御することができる。
この構成により、本発明に係る車両用制御装置は、車両の減速時に、機関トルクが所定のトルク領域を跨いで所定のトルク領域外となるよう内燃機関を制御することができる。
上記(1)に記載の車両用制御装置においては、()前記ロックアップクラッチが係合状態とされ、かつ前記機関トルクが前記所定のトルク領域にあるときに前記トルク勾配の反転が生じた場合には、前記トルク勾配の反転中は前記ロックアップクラッチを解放状態とするよう構成する。
この構成により、本発明に係る車両用制御装置は、ロックアップクラッチの係合状態で機関トルクが所定のトルク領域にあるときにトルク勾配の反転が生じた場合には、トルク勾配の反転中はロックアップクラッチを解放状態とする。トルク勾配の反転時は、一時的にトルク勾配が平坦になり振動が増大するおそれがある。このため、トルク勾配の反転時は、ロックアップクラッチを解放状態にすることで振動を抑制することができる。
本発明によれば、特定の振動発生領域における車両の振動を抑制しつつ、運転者が要求する車両の動力性能を確保することができる車両用制御装置を提供することができる。
本発明の実施の形態に係る車両用制御装置を搭載した車両を示す概略図である。 本発明の実施の形態に係るダンパの捩り特性を示す図である。 本発明の実施の形態に係るECUの概略構成図である。 本発明の実施の形態に係る油圧制御装置の概略構成を示す回路図である。 本発明の実施の形態に係るECUの機能ブロック図である。 本発明の実施の形態に係るエンジン回転数およびエンジントルクの関係における振動発生領域を示す図である。 本発明の実施の形態に係るECUで実行される振動抑制ルーチンを示すフローチャートである。 エンジントルクと振動発生領域との関係を示すタイムチャートであって、(a)は、アクセル開度、(b)は、従来のエンジントルク、(c)は、本実施の形態のエンジントルク、(d)は、スリップ量のタイムチャートである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
まず、構成について説明する。
本実施の形態においては、本発明に係る車両用制御装置を、例えばエンジンなどの内燃機関と変速機との間にロックアップクラッチ付きのトルクコンバータが搭載された車両に適用した場合について説明する。なお、本実施の形態では、変速機としてベルト式無段変速機(Continuously Variable Transmission:以下、単にCVTという)を採用した例について説明するが、変速機はベルト式無段変速機に限らず、多段の自動変速機であってもよい。
図1に示すように、本実施の形態に係る車両1は、内燃機関としてのエンジン2と、トルクコンバータ3と、前後進切替装置4と、変速機としてのCVT5と、減速ギヤ6と、ディファレンシャルギヤ7と、左右の駆動輪8L、8Rと、ECU100(図3参照)とを含んで構成されている。エンジン2から出力された動力は、トルクコンバータ3および前後進切替装置4を介してCVT5に入力される。CVT5に入力された動力は、減速ギヤ6およびディファレンシャルギヤ7を介して左右の駆動輪8L、8Rに伝達されるようになっている。
エンジン2は、ガソリンあるいは軽油等の炭化水素系の燃料と空気との混合気を、図示しないシリンダの燃焼室内で燃焼させることによって動力を出力する公知の内燃機関である。エンジン2は、出力軸として、図示しないピストンに連結されたクランクシャフト21を有する。
エンジン2は、燃焼室内で混合気の吸気、燃焼および排気を断続的に繰り返すことによりシリンダ内のピストンを往復移動させ、クランクシャフト21を回転させるようになっている。エンジン2に用いられる燃料は、ガソリンや軽油等に限られず、エタノール等のアルコールを含むアルコール燃料であってもよい。クランクシャフト21は、トルクコンバータ3に連結されるとともに、エンジン2で発生された動力をトルクコンバータ3に伝達するようになっている。
トルクコンバータ3は、エンジン2とCVT5との間に設けられており、ポンプインペラ31と、タービンランナ32と、タービンシャフト33とを備えている。
ポンプインペラ31は、クランクシャフト21に連結されている。タービンランナ32は、タービンシャフト33を介して前後進切替装置4に連結されている。ここで、タービンシャフト33は、前後進切替装置4を介してCVT5のプライマリシャフト51に連結されている。
ポンプインペラ31とタービンランナ32とは、対向して設けられている。ポンプインペラ31とタービンランナ32との対向部には、それぞれ多数のブレードが備えられるとともに、流体であるオイルが充填されている。これにより、ポンプインペラ31とタービンランナ32との間では、オイルを介して動力伝達が行われるようになっている。すなわち、トルクコンバータ3は、オイルを介してクランクシャフト21とタービンシャフト33およびこれに連結されたプライマリシャフト51との間で動力の伝達を行うようになっている。
ポンプインペラ31には、機械式のオイルポンプ34が連結されている。オイルポンプ34は、CVT5を変速制御したり、ベルト挟圧を発生させたり、各部に潤滑油を供給するための油圧を発生するものである。
また、トルクコンバータ3には、ロックアップクラッチ35が設けられている。具体的には、ロックアップクラッチ35は、ポンプインペラ31とタービンランナ32との間に設けられている。
ロックアップクラッチ35は、クランクシャフト21とタービンシャフト33とを直結する係合状態と、同係合状態を解除する解放状態とを切り替え可能に構成されている。ロックアップクラッチ35は、係合側油室および解放側油室に対する油圧供給が切り替えられることにより、係合状態または解放状態に切り替えられる。
ロックアップクラッチ35が係合状態とされることにより、ポンプインペラ31およびタービンランナ32が一体的に回転させられる。これによりクランクシャフト21とタービンシャフト33とが直結する。
また、ロックアップクラッチ35の解放状態には、ロックアップクラッチ35が完全に非係合とされる完全解放状態に加えて、ロックアップクラッチ35が滑りを伴って半係合される、いわゆるスリップ状態が含まれる。
さらに、ロックアップクラッチ35とプライマリシャフト51との間、詳細にはロックアップクラッチ35とタービンシャフト33との間には、ロックアップクラッチ35とタービンシャフト33およびプライマリシャフト51との相対的な回転、すなわち捩れを許容するダンパ36が設けられている。
ダンパ36は、ロックアップクラッチ35とタービンシャフト33およびプライマリシャフト51との間の捩れの角度、すなわちダンパ36の捩れの角度(以下、単に捩れ角という)に応じて、ばね定数の切り替りが生ずるよう、例えば複数種類のコイルスプリング等の弾性部材を含む。ここで、本実施の形態に係る車両1では、ロックアップクラッチ35が係合状態にあるとき、エンジン2の機関トルク、すなわちエンジントルクの変化に応じてロックアップクラッチ35とタービンシャフト33およびプライマリシャフト51との間の捩れの角度が変化するようになっている。
したがって、ダンパ36は、ロックアップクラッチ35が係合状態である場合のエンジントルクに対応するダンパ36の捩れ角に応じて、ばね定数が変化するよう構成されている。
具体的には、図2に示すように、ダンパ36の捩れ角が「0」から「A(Aは正数)」までの範囲におけるばね定数は、「A」以上の範囲におけるばね定数よりも小さくなるようにダンパ36が構成される。すなわち、トルクコンバータ3に入力されるエンジントルクがTsより大きくなると、ダンパ36の特性が変化するようになっている。
図1に示すように、前後進切替装置4は、ダブルピニオン型の遊星歯車装置によって構成されている。前後進切替装置4は、サンギヤ41と、キャリヤ42と、リングギヤ43と、前進クラッチ44と、後進ブレーキ45とを備えている。
サンギヤ41は、タービンシャフト33に連結されている。キャリヤ42は、CVT5の入力軸であるプライマリシャフト51に連結されている。キャリヤ42とサンギヤ41とは前進クラッチ44を介して連結されている。リングギヤ43は、後進ブレーキ45を介してハウジングに固定されている。前進クラッチ44および後進ブレーキ45は、図示しない油圧シリンダにより摩擦係合させられるようになっている。前進クラッチ44の入力回転数は、タービンシャフト33の回転数すなわちタービン回転数NTと同じである。
このように構成された前後進切替装置4は、前進クラッチ44が係合させられ、かつ後進ブレーキ45が解放されることにより、前進用係合状態となる。前進用係合状態では、前進方向の駆動力がCVT5に伝達される。
一方、前後進切替装置4は、後進ブレーキ45が係合され、かつ前進クラッチ44が解放されることにより、後進用係合状態となる。後進用係合状態では、タービンシャフト33に対してプライマリシャフト51が逆方向に回転させられる。これにより、後進方向の駆動力がCVT5に伝達される。
また、前後進切替装置4は、前進クラッチ44および後進ブレーキ45がともに解放されると、動力伝達を遮断するニュートラル状態となる。
CVT5は、プライマリプーリ52と、セカンダリプーリ53と、伝動ベルト54とを有している。プライマリプーリ52は、プライマリシャフト51に連結されている。セカンダリプーリ53は、CVT5の出力軸であるセカンダリシャフト55に連結されている。伝動ベルト54は、プライマリプーリ52およびセカンダリプーリ53に巻き掛けられている。CVT5では、各プーリ52、53と伝動ベルト54との間に生ずる摩擦力を利用して動力伝達が行われる。
プライマリプーリ52およびセカンダリプーリ53は、ともに油圧シリンダを備え、その溝幅が可変とされる。本実施の形態では、プライマリプーリ52の油圧シリンダの油圧が制御されることで、各プーリ52、53の溝幅が変化するようになっている。これにより、伝動ベルト54の巻き掛かり径が変更され、変速比GR(=プライマリシャフト51の回転数NIN/セカンダリシャフト55の回転数NOUT)を連続的に変化させることができる。つまり、CVT5は、変速比を無段階に変化させることができる。
減速ギヤ6は、複数のギヤから構成され、CVT5から出力された回転を減速してディファレンシャルギヤ7に伝達するようになっている。ディファレンシャルギヤ7は、減速ギヤ6から伝達された回転を左右の駆動輪8L、8Rに分配して出力するようになっている。
図3に示すように、ECU100は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えるマイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUは、RAMの一時記憶機能を利用するとともにROMに予め記憶されたプログラムに従って信号処理を行うようになっている。ROMには、各種制御定数や各種マップ等が予め記憶されている。本実施の形態におけるECU100は、本発明に係る車両用制御装置を構成する。ECU100の詳細な構成については後述する。
ECU100には、エンジン回転数センサ101、タービン回転数センサ102、車速センサ103、スロットル開度センサ104、冷却水温センサ105、CVT油温センサ106、アクセル開度センサ107、フットブレーキスイッチ108、ポジションセンサ109、プライマリ回転数センサ111およびセカンダリ回転数センサ112が接続されている。
エンジン回転数センサ101は、エンジン2の回転数(エンジン回転数)NEを検出する。タービン回転数センサ102は、タービンシャフト33の回転数(タービン回転数)NTを検出する。車速センサ103は、車両1の車速Vを検出する。車速Vは、後述するセカンダリシャフト55の回転数NOUTと対応した値となる。
スロットル開度センサ104は、後述する電子スロットルバルブ201の開度θ(TH)を検出する。冷却水温センサ105は、エンジン2の冷却水温T(W)を検出する。CVT油温センサ106は、CVT5等の油温T(C)を検出する。
アクセル開度センサ107は、アクセルペダル120の開度ACCを検出する。フットブレーキスイッチ108は、フットブレーキ操作の有無を検出する。ポジションセンサ109は、シフトレバー121のポジションP(SH)を検出する。
プライマリ回転数センサ111は、プライマリシャフト51の回転数NINを検出する。セカンダリ回転数センサ112は、セカンダリシャフト55の回転数NOUTを検出する。これら各センサ類は、検出結果に応じた信号をECU100に送信するようになっている。
ここで、タービン回転数NTは、前進クラッチ44が係合された前進走行時にはプライマリプーリ回転数NINと一致する。したがって、タービンシャフト33は、プライマリシャフト51と同様に取り扱うことができる。本実施の形態におけるタービンシャフト33およびプライマリシャフト51は、本発明に係る入力軸を構成する。
また、ECU100には、電子スロットルバルブ201、燃料噴射装置202、点火装置203および油圧制御回路300が接続されている。ECU100は、電子スロットルバルブ201、燃料噴射装置202および点火装置203を制御することにより、エンジン2の出力制御を行うようになっている。また、ECU100は、油圧制御回路300を介してCVT5の変速制御、ベルト挟圧制御、前進クラッチ44および後進クラッチ45の係合・解放制御、ロックアップクラッチ35の係合・解放制御を行うようになっている。
次に、図4を参照して、ロックアップクラッチ35の制御に関わる油圧制御回路300の構成について説明する。
図4に示すように、油圧制御回路300は、プライマリレギュレータバルブ301と、セカンダリレギュレータバルブ302と、ソレノイドモジュレータバルブ303と、ロックアップコントロールバルブ304とを含んで構成されている。
プライマリレギュレータバルブ301は、オイルポンプ34で発生した油圧を調整してライン圧を生成する。セカンダリレギュレータバルブ302には、プライマリレギュレータバルブ301から流出(排出)した余分な作動油が流入する。セカンダリレギュレータバルブ302は、セカンダリ圧を生成する。
ソレノイドモジュレータバルブ303は、ライン圧を元圧としてソレノイドモジュレータ圧を生成する。ソレノイドモジュレータ圧は、デューティソレノイド310に供給される。
ロックアップコントロールバルブ304は、セカンダリ圧の供給先を、トルクコンバータ3の係合側油室と解放側油室との間で選択的に切り替える。係合側油室は、ロックアップクラッチ35に対してポンプインペラ31側に画成されている。解放側油室は、ロックアップクラッチ35とコンバータカバー37とにより画成されている。
ロックアップコントロールバルブ304は、デューティソレノイド310から供給される油圧をパイロット圧として作動する。デューティソレノイド310からロックアップコントロールバルブ304に対して油圧が供給されていない場合、ロックアップコントロールバルブ304のスプールは、図中、(1)に示す状態(左側の状態)となる。
この場合、セカンダリ圧がトルクコンバータ3の解放側油室に供給され、トルクコンバータ3の係合側油室の油圧が図示しないオイルクーラに供給される。このため、ロックアップクラッチ35がコンバータカバー37から引き離され、ロックアップクラッチ35が解放状態となる。
一方、デューティソレノイド310からロックアップコントロールバルブ304に対して油圧が供給されている場合、ロックアップコントロールバルブ304のスプールは、図中、(2)に示す状態(右側の状態)となる。
この場合、セカンダリ圧が、トルクコンバータ3の係合側油室に供給され、トルクコンバータ3の解放側油室から油圧がドレンされる。このため、ロックアップクラッチ35がコンバータカバー37側に押し付けられ、ロックアップクラッチ35が係合状態となる。
ロックアップクラッチ35の係合力は、デューティソレノイド310からロックアップコントロールバルブ304に供給される油圧に応じた値になる。デューティソレノイド310は、ECU100から送信される指示デューティ値に応じた圧力を出力する。このため、デューティソレノイド310に対する指示デューティ値により、ロックアップクラッチ35の係合力が制御される。したがって、例えばロックアップクラッチ35の係合力が最大となるときを係合状態とすると、このときのロックアップクラッチ35の係合力に対して、同係合力を低下させることによりロックアップクラッチ35のスリップ状態に制御することができる。なお、ロックアップクラッチ35の係合力を制御する方法はこれに限らない。
次に、図5を参照して、本実施の形態に係るECU100の機能について説明する。
図5に示すように、ECU100は、ロックアップクラッチ制御部100aと、エンジン制御部100bとを含んで構成されている。
ロックアップクラッチ制御部100aは、係合状態、スリップ状態および完全解放状態を切り替えるようロックアップクラッチ35を制御する。特に、ロックアップクラッチ制御部100aは、ロックアップクラッチ35の係合力を制御することによりスリップ状態におけるロックアップクラッチ35のスリップ量を調節することができる。
エンジン制御部100bは、車速Vおよびアクセル開度ACCに基づいて運転者が必要とする目標エンジン出力を求める。次いで、エンジン制御部100bは、目標エンジン出力を最適燃費で達成することのできる要求トルクおよび要求エンジン回転数を算出する。ECU100には、この目標エンジン出力を最適燃費で達成することのできる要求トルクおよび要求エンジン回転数を求めるために、最適燃費線を表すマップ(図示せず)が記憶されている。
エンジン制御部100bは、実際のエンジントルクおよびエンジン回転数が算出した要求トルクおよび要求エンジン回転数となるように、電子スロットルバルブ201、燃料噴射装置202および点火装置203(図3参照)を制御する。
ところで、ロックアップクラッチ35を係合状態にして車両1が走行しているときにエンジントルクが予め定められた所定のトルク領域に含まれることとなった場合には、振動が発生することがある。以下、このような振動が生ずる所定のトルク領域を振動発生領域ということとする。
図6に示すように、振動発生領域Bは、特定のエンジン回転数および特定のエンジントルクの範囲である。具体的には、振動発生領域Bは、ダンパ36のばね定数が切り替わる領域付近のエンジントルクの範囲に限定されており、比較的高負荷なエンジントルクの範囲とされる。つまり、振動発生領域Bは、ダンパ36のばね定数が切り替わるエンジントルクTsを含む比較的高負荷なトルク領域である。この振動発生領域Bは、ダンパ36に用いられる弾性部材のバラつき等を考慮して振動が発生し得る領域として、予め実験的に求めてECU100に記憶されている。
また、この比較的高負荷なトルク領域内のエンジントルクを出力し得るエンジン回転数は限られており、比較的低回転なエンジン回転数の範囲とされる。このように、振動発生領域Bは、特に低回転・高負荷領域に存在することとなる。
振動の要因としては、例えば実際のエンジントルクが振動発生領域Bに停滞することで頻繁にダンパ36のばね定数が切り替わることによって駆動輪8L、8Rに伝達されるトルクが増減することや、エンジン2のトルク変動の周波数がダンパ36の共振周波数と一致すること等が挙げられる。
また、図6において、実線で示すエンジントルクは、エンジン2が発生可能な最大のエンジントルクである。
本実施の形態では、上記のような振動発生領域Bにおける振動を抑制する目的で、ECU100によって以下の制御を行うようにした。
すなわち、ECU100は、ロックアップクラッチ35が係合状態とされ、かつエンジントルクが振動発生領域Bに含まれることとなったとき、トルク勾配が予め定められた基準トルク勾配以上である場合には、エンジントルクが振動発生領域Bを速やかに跨いで振動発生領域外となるようエンジン2を制御するようになっている。
また、ECU100は、ロックアップクラッチ35が係合状態とされ、かつエンジントルクが振動発生領域Bに含まれることとなったとき、トルク勾配が基準トルク勾配未満である場合には、ロックアップクラッチ35をスリップ状態にするとともに、トルク勾配を基準トルク勾配未満に維持しつつエンジントルクが振動発生領域Bを跨いで振動発生領域外となるようエンジン2を制御するようになっている。
実際には、ECU100は、エンジン2の要求トルクを以下のように制御することでエンジントルクを上述のように制御することができる。
つまり、ECU100は、ロックアップクラッチ35が係合状態とされ、かつ車両1が加速状態であるときに振動発生領域内のエンジントルクが要求トルクとして要求された場合には、要求トルクを振動発生領域Bを上回る値(エンジントルク)に変更するようになっている。一方、ECU100は、ロックアップクラッチ35が係合状態とされ、かつ車両1が減速状態であるときに振動発生領域内のエンジントルクが要求トルクとして要求された場合には、要求トルクを振動発生領域Bを下回る値(エンジントルク)に変更するようになっている。これにより、実際のエンジントルクが振動発生領域Bを跨いで振動発生領域外となる。
また、ECU100は、上述のようにロックアップクラッチ35をスリップ状態にするか否かの判断を、要求トルク勾配が予め定められた基準要求トルク勾配以上であるか否かにより行うようになっている。
ここで、トルク勾配とは、エンジントルクの単位時間当たりの変化量を示すものである。例えば、運転者によりアクセルペダル120が素早く操作された場合には、このトルク勾配が大きくなる。一方で、アクセルペダル120が微小操作されたり、あるいはゆっくりと大きく操作された場合には、このトルク勾配は小さくなる。また、トルク勾配は、車両1が加速している場合には正の値となる一方で、車両1が減速している場合には負の値となる。したがって、本実施の形態では、トルク勾配は、減速時を考慮してその絶対値を用いることとした。要求トルク勾配についても同様である。
また、基準トルク勾配とは、エンジントルクが振動発生領域Bを通過する際の通過時間に応じて振動が運転者に顕著に体感されるか、それほど体感されないかの基準となる勾配である。例えば、トルク勾配が基準トルク勾配以上である場合は、エンジントルクが振動発生領域Bを速やかに通過するので振動が運転者にそれほど体感されない。対照的に、トルク勾配が基準トルク勾配未満である場合は、エンジントルクが振動発生領域Bに滞在する時間が、トルク勾配が大きい場合と比較して長くなるので振動が運転に体感され易い。基準要求トルク勾配についても同様である。
ロックアップクラッチ35が係合状態であるか否かは、例えばエンジン回転数NEとタービン回転数NTとの差が予め定められたしきい値以下であるかにより判断することができる。なお、ロックアップクラッチ35が係合状態であるか否かの判断方法は、これに限られない。
また、エンジントルクが振動発生領域Bに含まれるか否かは、振動発生領域内のエンジントルクが要求トルクとして要求されたか否かによって判断することができる。なお、エンジントルクが振動発生領域Bに含まれるか否かの判断方法は、これに限られない。
次に、図7を参照して、ECU100で実行される振動抑制ルーチンについて説明する。この振動抑制ルーチンは、所定の時間隔で繰り返し実行される。
まず、ECU100は、ロックアップクラッチ35が係合状態か否かを判定する(ステップS1)。ECU100は、ロックアップクラッチ35が係合状態でないと判定した場合(ステップS1;NO)には、本ルーチンを終了する。
一方、ECU100は、ロックアップクラッチ35が係合状態であると判定した場合(ステップS1;YES)には、エンジン2の要求トルク(以下、単に要求トルクTrという)が振動発生領域内となっているか否かを判定する(ステップS2)。具体的には、ECU100は、振動発生領域Bに含まれるエンジントルクが要求トルクTrとして、車速Vとアクセル開度ACCとに基づき要求されたか否かを判定する。ECU100は、要求トルクTrが振動発生領域内となっていない場合(ステップS2;NO)には、本ルーチンを終了する。
ECU100は、エンジン2の要求トルクが振動発生領域内となっていると判定した場合(ステップS2;YES)には、振動発生領域内での要求トルク勾配ΔTrが基準要求トルク勾配ΔTrb以上であるか否かを判定する(ステップS3)。ここで、車両1が減速している場合には、要求トルク勾配ΔTrは負の値となる。したがって、本実施の形態では、減速時を考慮して要求トルク勾配ΔTrの絶対値を基準に本ステップの判定を行うことが好ましい。
ECU100は、振動発生領域内での要求トルク勾配ΔTrが基準要求トルク勾配ΔTrb以上であると判定した場合(ステップS3;YES)には、車両1の走行状態が加速状態か否かを判定する(ステップS4)。車両1の走行状態が加速状態か否かは、例えば車速Vやアクセル開度ACCの変化に基づいて判断することができる。
ECU100は、車両1の走行状態が加速状態であると判定した場合(ステップS4;YES)には、要求トルクTrを振動発生領域Bを上回る値に変更して(ステップS5)、本ルーチンを終了する。これにより、実際のエンジントルクが振動発生領域Bを速やかに跨いで振動発生領域を上回ることとなる。
また、このとき、ECU100は、エンジントルクが基準トルク勾配以上で振動発生領域Bを通過するように、要求トルク勾配ΔTrを基準要求トルク勾配ΔTrb以上に維持する。これにより、エンジントルクが振動発生領域Bを通過する際の振動が抑制される。
一方、ECU100は、車両1の走行状態が加速状態でない、つまり減速状態であると判定した場合(ステップS4;NO)には、要求トルクTrを振動発生領域Bを下回る値に変更して(ステップS5)、本ルーチンを終了する。これにより、実際のエンジントルクが振動発生領域Bを速やかに跨いで振動発生領域を下回ることとなる。
また、このとき、ECU100は、エンジントルクが基準トルク勾配以上で振動発生領域Bを通過するように、要求トルク勾配ΔTrを基準要求トルク勾配ΔTrb以上に維持する。これにより、エンジントルクが振動発生領域Bを通過する際の振動が抑制される。
他方、ECU100は、ステップS3において振動発生領域内での要求トルク勾配ΔTrが基準要求トルク勾配ΔTrb以上でない、つまり同要求トルク勾配ΔTrが基準要求トルク勾配ΔTrb未満である場合(ステップS3;NO)には、車両1の走行状態が加速状態か否かを判定する(ステップS7)。
ECU100は、車両1の走行状態が加速状態であると判定した場合(ステップS7;YES)には、ロックアップクラッチ35をスリップ状態にするとともに、要求トルクTrを振動発生領域Bを上回る値に変更して(ステップS8)、ステップS10に移行する。これにより、実際のエンジントルクが振動発生領域Bを跨いで振動発生領域を上回ることとなる。また、ロックアップクラッチ35をスリップ状態にすることにより、エンジン2からダンパ36に入力されるトルク変動が抑制される。これにより、エンジン2のトルク変動の周波数とダンパ36の共振周波数とが一致することが抑制され、振動発生領域Bにおける振動が抑制される。
また、このとき、ECU100は、エンジントルクが基準トルク勾配未満で振動発生領域Bを通過するように、要求トルク勾配ΔTrを基準要求トルク勾配ΔTrb未満に維持する。
一方、ECU100は、車両1の走行状態が加速状態でない、つまり減速状態であると判定した場合(ステップS7;NO)には、ロックアップクラッチ35をスリップ状態にするとともに、要求トルクTrを振動発生領域Bを下回る値に変更して(ステップS9)、ステップS10に移行する。これにより、実際のエンジントルクが振動発生領域Bを跨いで振動発生領域を下回ることとなる。
また、このとき、ECU100は、エンジントルクが基準トルク勾配未満で振動発生領域Bを通過するように、要求トルク勾配ΔTrを基準要求トルク勾配ΔTrb未満に維持する。
次いで、ECU100は、ステップS10において実際のエンジントルクが振動発生領域外となったか否かを判定する。ECU100は、実際のエンジントルクが振動発生領域外となっていない場合(ステップS10;NO)には、本ステップを繰り返し実行する。
一方、ECU100は、実際のエンジントルクが振動発生領域外となったと判定した場合(ステップS10;YES)には、ロックアップクラッチ35をスリップ状態から係合状態にして(ステップS11)、本ルーチンを終了する。
次に、図(a)〜図(d)を参照して、本実施の形態に係る振動発生領域Bとエンジントルクとの関係を従来と比較して説明する。図(a)〜図(d)に示す例では、車両1が走行中で、かつロックアップクラッチ35が係合状態であることを前提に説明する。図(b)および図(c)における破線は、エンジン2の要求トルクTrを示し、実線は、実際のエンジントルクを示す。
(a)に示すように、運転者によりアクセルペダル120が素早く踏み込まれると、エンジン2の要求トルクTrが図(b)および図(c)に示すように振動発生領域内となることがある(時刻t1〜t2区間)。
このとき、図(b)に示すように、従来は要求トルクTrを変更しないので、要求トルクTrは、以降、振動発生領域内を推移することなる。したがって、これに対応する実際のエンジントルクも、以降、振動発生領域内を推移することになる。これにより、振動が発生していた。
これに対して、本実施の形態では、図(c)に示すように、振動抑制ルーチンにより要求トルクTrが振動発生領域Bを上回る値に変更されているので、要求トルクTrは振動発生領域Bに留まることなく高トルク側に通過する(時刻t1〜t2区間)。これにより、要求トルクTrに応じた実際のエンジントルクも振動発生領域Bに留まることなく高トルク側に通過する。このとき、振動発生領域内における要求トルク勾配ΔTrが基準要求トルク勾配ΔTrb以上であるので、ロックアップクラッチ35は係合状態に維持される(図(d)参照)。
その後、運転者によりアクセルペダル120の踏み込みが素早く解除され、車両1が減速状態に移行する場合にも要求トルクTrが振動発生領域内となることがある。本実施の形態では、このような場合であっても振動抑制ルーチンにより要求トルクTrが振動発生領域Bを下回る値に変更されているので、要求トルクTrは振動発生領域Bに留まることなく低トルク側に通過する(時刻t3〜t4区間)。これにより、要求トルクTrに応じた実際のエンジントルクも振動発生領域Bに留まることなく低トルク側に通過する。このとき、振動発生領域内における要求トルク勾配ΔTrが基準要求トルク勾配ΔTrb以上であるので、加速時と同様、ロックアップクラッチ35は係合状態に維持される(図(d)参照)。
次いで、運転者によりアクセルペダル120が微小操作、例えば僅かにゆっくりと踏み込まれると、要求トルクTrが振動発生領域内となる(時刻t5〜t6区間)。このとき、振動発生領域内における要求トルク勾配ΔTrが基準要求トルク勾配ΔTrb未満であるので、ロックアップクラッチ35がスリップ状態とされる(図(d)参照)。
その後は、例えば運転者によりアクセルペダル120の踏み込みが解除され、実際のエンジントルクが振動発生領域外となると、ロックアップクラッチ35のスリップ状態が解除される(時刻t7)。すなわち、ロックアップクラッチ35が係合状態に戻される。
以上のように、本実施の形態に係る車両用制御装置によれば、ロックアップクラッチ35の係合状態でエンジントルクが振動発生領域Bに含まれることとなったとき、エンジントルクのトルク勾配が基準トルク勾配以上である場合には、エンジントルクが振動発生領域Bを速やかに跨いで振動発生領域外となるようエンジン2を制御する。例えば、加速時であれば、振動発生領域Bを上回るエンジントルクとなるようエンジン2が制御される。一方、減速時であれば、振動発生領域Bを下回るエンジントルクとなるようエンジン2が制御される。
このため、ダンパ36のばね定数の切り替りに起因した振動が発生するとされる振動発生領域Bを比較的大きいトルク勾配でエンジントルクが通過し、エンジントルクが振動発生領域Bに留まることがない。したがって、振動発生領域Bに留まることによる車両1の振動を抑制することができる。
また、トルク勾配が大きい場合は、運転者によりアクセルペダル120が素早く操作されたと判断でき、運転者の求める車両1の加速状態、あるいは減速状態を発揮することが望まれる。この点、本実施の形態に係る車両用制御装置は、従来のように振動発生領域Bに入らないようエンジントルクを制限することがないので、運転者が要求する車両1の動力性能を確保することができる。
一方、ロックアップクラッチ35の係合状態でエンジントルクが振動発生領域Bに含まれることとなったとき、トルク勾配が基準トルク勾配未満である場合には、ロックアップクラッチ35をスリップ状態にする。また、このとき、トルク勾配を基準トルク勾配未満に維持しつつ、エンジントルクが振動発生領域Bを跨いで振動発生領域外となるようエンジン2を制御する。ロックアップクラッチ35をスリップ状態にすることにより、ダンパ36に入力されるエンジン2のトルク変動を抑えることができる。これにより、トルク変動の周波数がダンパ36の共振周波数と一致することが抑制される。したがって、エンジントルクが比較的小さいトルク勾配で振動発生領域Bを通過する際の車両1の振動を抑制することができる。
また、トルク勾配が基準トルク勾配未満である場合は、例えば運転者によりアクセルペダル120が微小操作されたり、あるいはゆっくりと大きく操作されたと判断でき、運転者の求める車両1の加減速状態も緩慢であることが望まれる。この点、本実施の形態に係る車両用制御装置では、ロックアップクラッチ35をスリップ状態にすることで車両1の振動を抑制しているので、従来のように振動発生領域Bに入らないようエンジントルクを制限しなくとも運転者の求める緩慢な車両1の加減速状態を確保することができる。
また、本実施の形態に係る車両用制御装置において、振動発生領域Bはダンパ36のばね定数の切り替りが生ずるエンジントルクTsを含むトルク領域である。したがって、ダンパ36のばね定数の切り替りに起因した振動が発生するとされる振動発生領域Bを回避したエンジントルクの制御を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、トルク勾配が基準トルク勾配未満である場合にロックアップクラッチ35をスリップ状態にするようにしたが、これに加えて、以下の場合にもロックアップクラッチ35をスリップ状態にするのが好ましい。
すなわち、ロックアップクラッチ35が係合状態とされ、かつエンジントルクが振動発生領域Bにあるときにトルク勾配の反転が生じた場合には、トルク勾配の反転中はロックアップクラッチ35をスリップ状態とする。トルク勾配の反転時は、一時的にトルク勾配が平坦になり振動が増大するおそれがある。このため、トルク勾配の反転時は、ロックアップクラッチ35をスリップ状態にすることで振動を抑制することができる。
また、本実施の形態に係る振動抑制ルーチンでは、図7におけるステップS2において要求トルクTrが振動発生領域内か否かを判断するようにしたが、これに代えて要求エンジン回転数が振動発生領域Bのエンジントルクを出力し得るエンジン回転数の範囲内か否かを判断するようにしてもよい。
以上のように、本発明に係る車両用制御装置は、特定の振動発生領域における車両の振動を抑制しつつ、運転者が要求する車両の動力性能を確保することができるという効果を奏するものであり、振動抑制用のダンパを有するロックアップクラッチを搭載した車両に用いられる車両用制御装置に有用である。
1 車両
2 エンジン(内燃機関)
3 トルクコンバータ
5 CVT(変速機)
21 クランクシャフト(出力軸)
33 タービンシャフト(入力軸)
35 ロックアップクラッチ
36 ダンパ
51 プライマリシャフト(入力軸)
100 ECU(車両用制御装置)
100a ロックアップクラッチ制御部
100b エンジン制御部

Claims (2)

  1. 出力軸を有する内燃機関と、入力軸を有する変速機と、前記内燃機関と前記変速機との間に設けられ、流体を介して前記出力軸と前記入力軸との間で動力の伝達を行うトルクコンバータと、前記トルクコンバータに設けられ、前記出力軸と前記入力軸とを直結する係合状態および前記係合状態を解除する解放状態を切り替え可能なロックアップクラッチと、前記ロックアップクラッチと前記入力軸との間に設けられ、前記ロックアップクラッチと前記入力軸との間の捩れの角度に応じてばね定数の切り替りが生ずるよう複数の弾性部材からなるダンパとを備え、前記ロックアップクラッチが係合状態で前記内燃機関の機関トルクの変化に応じて前記捩れの角度が変化する車両に搭載される車両用制御装置であって、
    前記ロックアップクラッチが係合状態とされ、かつ前記機関トルクが前記ダンパの前記ばね定数の切り替わりが生ずる前記機関トルクを含む予め定められた所定のトルク領域に含まれることとなったとき、前記機関トルクの単位時間当たりの変化量の絶対値を示すトルク勾配が予め定められた基準トルク勾配以上である場合には、前記車両が加速状態であるときに前記内燃機関の要求トルクが前記所定のトルク領域に含まれるときには、前記要求トルクを前記所定のトルク領域を上回る値に変更し、前記車両が減速状態であるときに前記内燃機関の要求トルクが前記所定のトルク領域に含まれる場合には、前記要求トルクを前記所定のトルク領域を下回る値に変更し、
    前記ロックアップクラッチが係合状態とされ、かつ前記機関トルクが前記所定のトルク領域に含まれることとなったとき、前記トルク勾配が前記基準トルク勾配未満である場合には、前記ロックアップクラッチを前記解放状態にするとともに、前記車両が加速状態であるときには、前記要求トルクを前記所定のトルク領域を上回る値に変更し、前記車両が減速状態であるときには、前記要求トルクを前記所定のトルク領域を下回る値に変更することを特徴とする車両用制御装置。
  2. 前記ロックアップクラッチが係合状態とされ、かつ前記機関トルクが前記所定のトルク領域にあるときに前記トルク勾配の反転が生じた場合には、前記トルク勾配の反転中は前記ロックアップクラッチを解放状態とすることを特徴とする請求項1に記載の車両用制御装置。
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