JP5802519B2 - 橋梁 - Google Patents
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Description
上記連続桁橋や連続ラーメン橋では、橋桁の橋脚上部分に大きな負の曲げモーメントが生じ、この曲げモーメントに抵抗するために橋桁の橋脚上部分に大きなプレストレスを導入する必要が生じる。例えば、このような橋梁を、径間毎にプレキャスト化された橋桁を用いて架設しようとすると、製作ヤード等において径間毎のプレキャスト桁を製作し、これらのプレキャスト桁を順次橋脚上に架設した後、二つのプレキャスト桁間にわたって多くの緊張材を配置しなければならない。そして、二つのプレキャスト桁が連続するように桁間にコンクリートを打設し、硬化後に緊張材を緊張する作業が必要となる。このような工程によって工期の短縮や費用の低減が難しくなることがある。
また、ラーメン構造体の桁部上に作用する荷重によってそれぞれのラーメン構造体に変形が生じても、連結床版は大きな曲げモーメントを生じることなく、ラーメン構造体の変形にともなって変形し、連結床版に過大な応力が生じるのが抑制される。
一方、上記ラーメン構造体は支承等を用いる必要がなく、迅速に形成することができる。
また、連結床版が長い範囲に架け渡されることによって連結床版の支間長が大きくなるが、連結床版は固定された両端部間で桁部との間に介挿された弾性支持部材によって弾性的に支持される。これにより連結床版に生じる曲げモーメントが小さく抑えられる。
前記連結床版を形成する、少なくともセメントと砂と水とを混練して硬化させたセメント系複合材料は、前記桁部を形成するコンクリートより弾性係数が小さいものとする。
図1は、本発明の一実施形態である橋梁の概略側面図及び一部拡大断面図である。また、図2はこの橋梁の横断面図である。
この橋梁は多径間のコンクリート橋であり、2つの橋脚1,2とこれらの橋脚上に支持されて橋桁として機能する桁部3とが一体に結合されて単径間のラーメン構造体10を形成しており、このラーメン構造体10が該橋梁の軸線方向に複数配列されている。そして、これらのラーメン構造体間が連結床版4で連結された構造となっている。
この桁部3の端部には、断面が箱形となった内側を埋めるとともに、箱形となった部分の外側へ張り出すように横桁14が設けられている。この横桁14は、該桁部3の端面3aから支間の中央側へ所定の厚さで設けられており、本実施形態では橋脚1,2の厚さより大きくなっている。
この連結床版4内には、図3に示すように、補強部材として鉄筋21,22,23,24が上面付近及び下面付近において桁部3の軸線方向および軸線と直角方向に配置されている。連結床版4は、これらの鉄筋で補強されて橋面上に作用する輪荷重等を支持することができる部材として機能するものである。
なお、上記切り欠き部3b内の鉛直面3dから突き出した鉄筋は、連結床版4のほとんどの領域に及ぶように連続して配置されるものであってもよいし、機械継ぎ手等を用いて連結床版に配置される鉄筋と連続するように接続されるものであってもよい。
連結床版4は、収縮にともなって発生する上記引張力、上記桁部3の回転変位にともなって生じる曲げモーメント、及び連結床版4上に作用する荷重等に対して、連結床版4に過大なひび割れが生じないように鉄筋21,22等によって補強されている。
支持地盤上に形成されたフーチング5の上に橋脚1,2を立ち上げる。フーチング5は基礎杭によって支持されるものであってもよい。また、フーチング基礎に代えてケーソン基礎等他の形式の基礎であってもよい。
橋脚1,2上に架け渡される桁部3は、地盤上から支保工を組み立て、この支保工上に型枠を形成して桁部3の架設位置でコンクリートを打設するものであってもよいが、別途に形成された製作ヤード等において予めコンクリートを打設し、形成されたプレキャスト桁を橋脚上に架設することができる。
一方のラーメン構造体10aが有する桁部3の端縁付近に設けられた切り欠き部3bから他方のラーメン構造体10bに設けられた切り欠き部3bに至る範囲に型枠を設け、この型枠内にセメント系複合材料を混練したものを流し込む。このとき連結床版の増厚部4aとなる領域では、混連した材料が切り欠き部3b内の鉛直面3d及び底面3cに直接に密着するように流し込み、桁部3から突き出している鉄筋3e、アンカー24及び型枠内に配置された鉄筋21,22,23,24を埋め込む。そして、養生後に脱型することによって連結床版4を形成することができる。
この方法では、桁部3の軸線方向における両端部に増厚部31aを有するプレキャスト板31をコンクリート又はセメント系複合材料によって形成しておく。このプレキャスト板31の、桁部3の軸線方向における両端面31bからは、図6に示すように、該プレキャスト板31の上面付近及び下面付近に埋め込まれた鉄筋32,33(補強部材)が突き出し、突き出した部分39がUの字状に連続している。また、増厚部31aには、上下方向に貫通してアンカー34を挿入することができる孔31cが設けられている。
また、桁部3に設けられた切り欠き部3bは、該切り欠き部内の鉛直面3dが架け渡されたプレキャスト板の端面31bと所定の間隔を開けて対向するように設けられている。そして、プレキャスト板31の端面31bと切り欠き部内の鉛直面3dとが対向する空間で、プレキャスト板31の端面31bから突き出してUの字状となった鉄筋39と、切り欠き部内の鉛直面3dから同様に突き出してUの字状となった鉄筋3eとを重ね合わせ、双方のUの字状となった内側に桁部3の軸線と直角方向の鉄筋35を挿通する。これらの鉄筋3e,35,39と、この空間内に切り欠き部内の底面3cから上方に向かって突き出したアンカー36の上部とを埋め込むようにコンクリート37を打設する。これにより、桁部3内に配置された軸線方向の鉄筋3eとプレキャスト板31に配置された鉄筋32,33との間で引張力が伝達されるものとなり、ラーメン構造体10の変位によって連結床版30に引張力が作用したときにも、連結床版30は隣り合うラーメン構造体10a,10bの双方に強固に固着された状態が維持される。
この実施形態の橋梁では、ラーメン構造体10及び連結床版4は図1から図3までに示す実施の形態と同じ形状及び構造を有するものであるが、図8に示されるように、連結床版4の一方の増厚部4aと他方の増厚部4aとの間において連結床版4の下面と桁部3に設けられた切り欠き部3bの底面との間に弾性支持部材38が介挿されている。弾性支持部材38は、連結床版4の上に荷重が載荷されて下方への変位が生じたときに変形するとともに弾性反発力よって連結床版4を桁部3上で支持することができるものである。したがって、連結床版4の両端部における増厚部4a間では、桁部3に対して水平方向には相対的な変位が許容されるとともに、鉛直方向には連結床版4が弾性的に支持され、連結床版4上の載荷重によって生じる曲げモーメントを低減することが可能となっている。
この実施形態の橋梁では、橋脚51,52に支持された桁部53の端面53aから桁部53の軸線方向に張り出した張り出し部55が設けられており、隣り合うラーメン構造体60a,60bの双方が有する張り出し部55a,55bの先端面が所定の間隔をおいて対向するものとなっている。そして、両端部54aが桁部53に固着された連結床版54は、桁部53に設けられた切り欠き部53b内の底面で弾性的に支持されるとともに、上記張り出し部55a,55a上でも弾性支持部材56を介して弾性的に支持されるものとなっている。
また、上記張り出し部55が設けられることによって隣り合うラーメン構造体60a,60bの互いに対向する橋脚51,52の間隔は、張り出し部を有していない場合より大きく設定することができる。
例えば、桁部は、断面の形状が箱形となった部分を有するものに限定されることはなく、ほぼI形又はT形となった複数の桁を並列したもの、埋め込まれる型枠で複数の空洞が設けられた版状の桁(いわゆるホロースラブ)等であってもよい。
また、上記実施形態において連結床版は、セメント系の複合材料で弾性係数が通常のコンクリートより小さいものとしているが、通常のコンクリートを用いるものであってもよいし、この他の材料であって、弾性係数が小さくて高いじん性を備え、充分な強度を有する材料を使用することもできる。
プレキャスト板を用いて連結床版を形成するときには、プレキャスト板に予めプレストレスを導入しておくこともできる。
さらに、図9に示す張り出し部55を設けるのに代えて、桁部の端縁を2つの橋脚によって支持される位置から両側に張り出して設け、これらの桁部の端面を所定の間隔で対向させるものであってもよい。
10:ラーメン構造体,
11:上床版, 12:下床版, 13:ウェブ, 14:横桁,
21,22,23,24:連結床版に配置された鉄筋(補強部材), 25:アンカー,
30:連結床版, 31:プレキャスト板, 31a:プレキャスト板の増厚部、 31b:プレキャスト板の端面、 31c:プレキャスト板に設けられた孔、 32,33:プレキャスト板に配置された鉄筋(補強部材), 34:アンカー, 35:桁部の軸線と直角方向に配置された鉄筋, 36:アンカー, 37:コンクリート, 38:弾性支持部材, 39:プレキャスト板から突き出してU字状となった鉄筋、
40:ラーメン構造体、
41:橋脚, 42:桁部, 43:断面縮小部, 44:柔軟に変形する部材, 45:鉄筋, 46:連結床版,
51,52:橋脚, 53:桁部, 53a:桁部の端面, 53b:切り欠き部, 54:連結床版, 55:張り出し部, 56:弾性支持部材, 60:ラーメン構造体
Claims (5)
- コンクリートからなる2つの橋脚と、これらの橋脚上に架け渡されるコンクリートの桁部とが一体に連続している単径間のラーメン構造体が、前記桁部の軸線方向に複数並設され、
隣り合う2つのラーメン構造体が有する前記桁部の端面間には所定の間隔が設けられ、これらの桁部の間に、両端部が該桁部に連続し、一体となるように固着された連結床版が架け渡されており、
該連結床版は、
少なくともセメントと砂と水とを混練した材料を硬化させて形成され、
上面が前記桁部の上面とほぼ同じ高さとなっており、
前記桁部に埋め込まれた鉄筋と連続する鉄筋又は前記桁部に埋め込まれた鉄筋との間で引張力の伝達が可能となるように配置された棒状の補強部材によって補強され、
前記ラーメン構造体及び前記連結床版に収縮が生じたときに、収縮によって発生する引張力を隣り合う前記ラーメン構造体間で伝達するものであることを特徴とする橋梁。 - 前記桁部の上部には、該桁部の端面から支間中央側へ所定の長さの範囲に切り欠き部が設けられ、
前記連結床版の両端部は、前記切り欠き部内における該桁部の支間中央側で、それぞれ隣り合うラーメン構造体の桁部に固着されており、
前記連結床版の両端部が該桁部に固着された範囲より該桁部の端面側では、前記切り欠き部の底面と前記連結床版の下面との間に、該連結床版のたわみによって弾性的に変形する弾性支持部材が介挿され、
前記連結床版と前記桁部との間の水平方向の相対的変位を許容するとともに、前記連結床版が前記桁部上で弾性的に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の橋梁。 - 前記桁部の端面からは、該桁部よりも断面が縮小された張り出し部が、該桁部の軸線方向に張り出すように設けられており、
該張り出し部の上面と前記連結床版の下面との間には弾性支持部材が介挿され、前記張り出し部上で前記連結床版が弾性的に支持されていることを特徴とする請求項2に記載の橋梁。 - 前記橋脚は、前記桁部との接合部付近に断面縮小部を有し、該断面縮小部の上下で該ラーメン構造体の軸線の相対的な角度変化が生じるのを許容するものであることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の橋梁。
- 前記連結床版を形成する、少なくともセメントと砂と水とを混練して硬化させたセメント系複合材料は、前記桁部を形成するコンクリートより弾性係数が小さいものであることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の橋梁。
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