JP5802184B2 - 慣性センサ用のノイズ除去装置及びそのノイズ除去方法 - Google Patents
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図1(a)に示すフィルタ装置4は、アナログ回路3と、抵抗R(以下、単にRという)と、キャパシタC(以下、単にCという)とにより構成されている。アナログ回路3は、不図示の慣性センサ及び増幅器等の出力A_OUTを、RCにより構成された第1LPF1により、高域周波数成分が除去された低域周波数成分のみをLPF1_OUTとして出力する。第1LPF1の入出力波形は、図2(i),(j)にそれぞれ示すとおりである。図2(i)に示す矩形波の出力A_OUTから、それに含まれる高調波成分が除去されると、図2(j)に示すように、基本波である正弦波に近い波形になる。
図2(a)は、不図示の制御部により生成されるクロック制御信号CLKの波形図である。このクロック制御信号CLKに基づいて、アナログ回路6に電力を供給又は停止の制御するスイッチングパルス1/8と、第2LPF2を1/16間欠動作させるスイッチングパルス1/16ONも生成する。図2(b)は、アナログ回路6を、1/8間欠動作させるためのスイッチングパルス1/8ONの波形図である。図2(c)は、スイッチ5を1/16間欠動作させるためのオンするタイミングを示すスイッチングパルス1/16ONの波形図である。図2(d)は、アナログ回路6を1/8の時間だけ断続的に稼動しての出力1/8A_OUTの波形図である。図2(e)は、図2(d)に示す出力1/8A_OUTを第2LPF2によりノイズ成分を除去した低域周波数成分の出力LPF2_OUTである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記デジタルフィルタ(34)には、前記AD変換後のデータをデシメートによりデータ間引きする積分器(70)を備えたことを特徴とする。(図7)
また、請求項5に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発明において、前記慣性センサ(40)は、10Hz以下の動作を検出対象とし、共振周波数(Fx)が1kHz≦Fx≦2kHzである場合に、サンプリング周波数Fs1がデータレートと同じ周波数の処理系統(DET1)と、サンプリング周波数Fs2がサンプリング周波数Fs1の8倍の処理系統(DET2)と、サンプリング周波数Fs3がサンプリング周波数Fs2の8倍の処理系統(DET3)とを備えたことを特徴とする。(図5)
また、請求項7に記載の発明は、慣性センサ(40)の出力に含まれるノイズをデジタルフィルタ(34)により除去する慣性センサ用のノイズ除去方法であって、前記慣性センサの出力を積分器(32)により積分し(ステップS1)、前記積分器(32)で積分した信号をAD変換器(33)でAD変換し(ステップS2)、前記AD変換器によるAD変換後のデータに含まれる前記慣性センサ(40)が検出対象とする信号の周波数成分と、前記AD変換器(33)によるAD変換後のデータに含まれるノイズの周波数成分とに基づいて、駆動電力が少なくなるようなサンプリング周波数を制御条件として決定し(ステップS3)、決定された前記サンプリング周波数で、前記AD変換器(33)の出力に含まれる前記ノイズを前記デジタルフィルタ(34)で除去する(ステップS4)ことを特徴とする。(図8)
図3は、本発明に係る慣性センサ用のノイズ除去装置の基本構成を説明するためのブロック図である。図3に示す慣性センサ用のノイズ除去装置30は、アナログ部(以下、アナログ回路ともいう)31と、積分器32と、AD変換器33と、デジタルフィルタ34と、測定制御部35とにより構成されている。アナログ部31は、図4に沿って後述する慣性センサ(加速度センサ)40と差動増幅器(以下、増幅器という)44などで構成されている。
図5は、図3に示したデジタルフィルタの内部構成を説明するためのブロック図である。
図5に示すように、デジタルフィルタ34には櫛形フィルタ(Comb Filter)36と、第1デシメーション(Decimation)部21と、インターポレーション(Interpolation)部37と、選択器SEL(以下、単にSELという)38と、4次IIR型LPF(4th IIR LPF;以下、単にIIRという)39と、第2デシメーション部22と、インターフェース(I/F)部23と、を備えて構成されている。
(1)歩数計等で検出する人間の動作 ±2G 10Hz
(2)携帯電話の着信バイブレータの振動 ±2G 100Hz
(3)慣性センサの共振発振 ±6G 1.5kHz
(1)制御条件STATE1では、処理系統DET1のサンプリング周波数Fs1は、例えば100Hz≦Fs1≦200Hzとする。
(2)制御条件STATE2では、処理系統DET2のサンプリング周波数Fs2は、サンプリング周波数Fs1の8倍であり、例えば、800Hz≦Fs2≦1.6kHzとする。
(3)制御条件STATE3では、処理系統DET3のサンプリング周波数Fs3は、サンプリング周波数Fs2の8倍であり、例えば、6.4kHz≦Fs3≦12.8kHzとする。
(3)制御条件STATE3では、処理系統DET3のサンプリング周波数Fs3は、サンプリング周波数Fs2の16倍であり、例えば、12.8kHz≦Fs3≦25.6kHzとする。このとき、デジタルフィルタ34に含まれるFIR36を16Tapに変更して対応する。
(1)制御条件STATE1では、処理系統DET1のサンプリング周波数Fs1は、データレートの周波数とする。
(2)制御条件STATE2では、処理系統DET2のサンプリング周波数Fs2は、サンプリング周波数Fs1の8倍の周波数とする。
(3)制御条件STATE3では、処理系統DET3のサンプリング周波数Fs3は、サンプリング周波数Fs2の8倍の周波数とする。
(3)制御条件STATE3では、処理系統DET3のサンプリング周波数Fs3は、サンプリング周波数Fs2の16倍の周波数とする。このとき、デジタルフィルタ34に含まれるFIR36を16Tapに変更して対応する。
(3)制御条件STATE3では、処理系統DET3のサンプリング周波数Fs3は、サンプリング周波数Fs2の32倍の周波数とする。このとき、デジタルフィルタ34に含まれるFIR36を32Tapに変更して対応する。
ここで、サンプリング周波数Fs1、Fs2、Fs3は2の倍数であることが好ましい。これにより、フィルタのデシメーション、インターポレーション、AD変換のGain配分などがbitシフト処理のみで行うことができ、掛け算器、割り算器がいらないという利点がある。
(1)DET1では、検出値をインターポレーション部37により、125Hz→1kHzにインターポレーションしてIIR39で帯域制限する。
(2)DET2では、検出値を直接IIR39に入力して帯域制限する。
(3)DET3では、検出値を櫛形フィルタ36で高域の折り返し領域を帯域制限した後、8kHz→1kHzにデシメートしたデータをIIR39に入力して帯域制限する。
DET1の動作は、S/N比と応用分野によって決まるが、本実施例では下記のように設定する。サンプリングレートFs1=125kHz、積分器32の積分回数Nint1=256回、フルスケールは±8GでADの解像度AD_bit1=12bit、3.9mG/LSB、AD変換器33の判定回数Nad1=12回とする。積分器32とAD変換器33の動作CLK=1.25MHzとする。よって、検出してAD変換するのに要する回数は、N1=256+12=268回である。一方、125Hz動作のCLK回数は10000回である。したがって、AD変換した場合の動作効率は、しない場合に比べ、268/10000=2.68%である。つまり、低消費電力動作が可能である。
図9のステップS100に示すように、制御条件(STATE)は、STATE=1に初期設定されている。そこで、ステップS110において、STATE=1,2,3のいずれかに三者択一する。その三者択一の結果、デジタルフィルタ34を、必要最小限のサンプリング周波数Fsで動作させる。すなわち、以下のFsで動作させる。ステップS111に示すSTATE=1であれば、Fs=125Hz。また、ステップS112に示すSTATE=2であれば、Fs=1kHz。あるいは、ステップS113に示すSTATE=3であれば、Fs=8kHz。ステップS121〜S123に示すように三者択一されたSTATEにより、それぞれAD変換される。
STATE=2であれば、Fs2=1kHzにより(ステップS112)、アナログ回路31の出力をAD変換する(ステップS122)。このステップS122を経た信号は、ステップS135に示すIIR39により高域周波数のノイズ成分を除去される。
本発明では前記DET1,DET2,DET3の検出系統を配置し、サンプリングレートを8倍毎の3段階に可変とする。
Fs1=125Hz,Fs2=1kHz,Fs3=8kHz
S/N比を維持するには125Hzでの積分回数Nint1〜3は同等とする。
AD変換器33の解像度AD_bit1〜3も同様に
AD_bit1=12bit 3.9mG/LSB
AD_bit2=9bit 31.25mG/LSB
AD_bit3=6bit 250mG/LSB
後述するように、測定制御部35における制御条件の遷移で、ある程度の解像度が必要となるので、ここでAD_bit3は変更する。
ADは逐次比較を使用した場合、判定回数Nad1〜3は
Nad1=12回、Nad2=9回、Nad3=8回
よって、検出してAD変換するのに要する回数N1〜N3はそれぞれ125Hzあたり
N1=256+12=268回
N2=(32+9)×8=328回
N3=(4+8)×64=738回
よって、パワーシーケンスを的確に行えば、消費電力は1kHで1.3倍、8kHzで2.9倍程度の増加に抑えることができる。
(1)DET1ではインターポレーションを行なってサンプリング周波数を上げてからIIR39で帯域制限する。
(2)DET2では検出値を直接IIR39に入力して帯域制限する。
(3)DET3では櫛形フィルタ36で高域の折り返し領域を帯域制限した後、デシメートしたデータをIIR39に入力して帯域制限する。
まず、ノイズ除去の目的にかなうように、検出速度を上げる制御方向には迅速に制御する必要がある。したがって、本実施例では、閾値を超える加速度変化が1回検出されたならば遷移する。このことは、図10に沿って後述するように、慣性センサ用のノイズ除去装置30において、±6Gで1.5kHz前後の共振発振や、±2Gで100Hz前後のバイブレータの振動があれば、すぐに検出速度の速いSTATE3やSTATE2により、ノイズ除去するように制御しているとおりである。
・DET1,Fs1=125Hzで0.5Gの変化は、人間ではなくバイブレータによるものだと判断する。よってDET2に遷移して、Fs=1kHzでサンプリングし、IIR39でバイブレータによるノイズを除去する。
・DET2,Fs2=1kHzで0.5Gの変化は共振によるものだと判断する。よってDET3に遷移して、Fs=8kHzでサンプリングし、Com Filter36とIIR39で共振によるノイズを除去する。なお、この発振の原因がバイブレータであり、バイブレータが動いていても、そのノイズも含めて除去される。
速度を下げる制御方向には、上げる場合よりも慎重に制御する必要がある。このことは、図10に沿って後述するように、慣性センサ用のノイズ除去装置30において、共振発振や、バイブレータの振動がなくなってから、相当の判定回数を経てから速度を下げるように制御を遷移している。すなわち、検出速度を、高速のSTATE3から、それよりも低速のSTATE2やSTATE1へと、ノイズ除去機能を弱める方向へと制御を遷移しているとおりである。例えば、着信メロディーが、鳴動を停止したとしても、メロディーの内容によっては、少し間をおいた後に鳴動を再開するような場合の誤検出を避けたいからである。したがって、消費電流に多少の無駄が生じても、ノイズ除去の目的に沿って、速度を下げる制御方向には、上げる場合よりも慎重に制御し、相当の判定回数を経てから遷移する。図10に沿って後述するとおりである。
・DET3において、例えば、閾値は0.125Gとし、連続判定64回以上に設定する。
発振がほぼ停止して8mS後にDET2に遷移する。
・DET2において、例えば、閾値は0.125Gとし、連続判定8回以上に設定する。
発振がほぼ停止して8mS後にDET1に遷移する。
図10(a)乃至(c)は、本発明に係る慣性センサ用のノイズ除去装置における、制御条件別のノイズ除去効果をシミュレーションした結果を示す波形図である。なお、各図ともに横軸に時間Time(S)を示している。図10(a)は、制御条件STATE1〜STATE3の遷移を縦軸に示す図である。図10(b)は、AD変換器33への入力波形Input(G)であり、ノイズ除去前のG値を縦軸に示す波形図である。図10(c)は、IIR39の出力波形OutPut(G)であり、ノイズ除去後の加速度G値を縦軸に示す波形図である。
(1)歩数計で検出する歩数は毎秒0〜数歩、すなわち10Hz以下である。
(2)携帯電話で周知の着信バイブレータの振動として約100Hz前後のノイズがある。
(3)同様に携帯電話で周知の着信メロディー等がきっかけとなって、慣性センサ40に固有の共振周波数で共振発振する1.5kHz前後のノイズもある。
(1)DET1:Fs1=125Hz :人間の動作検出
(2)DET2:Fs2=1kHz :人間の動作検出とバイブレータの振動の削除
(3)DET3:Fs3=8kHz :人間の動作検出とバイブレータの振動と共振発振の削除
なお、本実施例において、慣性センサ40の共振周波数は、1k〜10kHz程度に設定されていることが前提条件であり、一例として1.5kHzが好ましい。その理由は、加速度検出により人間の動作判定を行う場合、人間が動作する速度は最速で10Hz程度であり、正確な測定をするには、その数倍のサンプリングレートFs1=125Hzが必要である。その人間の動作検出に加えて、バイブレータの振動と共振発振の削除を行うため、Fs3=8kHzの設定と、その数分の1である1.5kHzに慣性センサ40の共振周波数を設定することが好ましい。
3,6 アナログ回路
4,7 フィルタ装置
5 スイッチ
21 第1デシメーション部
22 第2デシメーション部
30 慣性センサ用のノイズ除去装置
31 アナログ回路(部)
32,70 積分器
33 AD変換器
34 デジタルフィルタ
35 測定制御部
36 櫛形フィルタ
37 インターポレーション部
38,71 選択器SEL
39 4次IIR型LPF
40 慣性センサ(加速度センサ)
41,42 セレクタ
43 ドライブ回路
44 作動増幅器(増幅器、検出回路)
72 レジスタ
R,R/4 抵抗
C,C/4 キャパシタ
DET1〜DET3 処理系統
Fs サンプリング周波数
Fx 共振周波数
PIN,NIN センサ出力
STATE1〜STATE3 制御条件
Claims (8)
- 慣性センサの出力に含まれるノイズを除去する慣性センサ用のノイズ除去装置において、
前記慣性センサと増幅器を含んで構成されるアナログ部と、
前記アナログ部の出力を積分する積分器と、
前記積分器で積分した信号をAD変換するAD変換器と、
前記ノイズを除去する制御の制御条件に基づいて機能構成を可変するとともに前記AD変換器の出力に含まれるノイズを除去するデジタルフィルタと、
前記デジタルフィルタを、前記AD変換器によるAD変換後のデータに含まれる前記慣性センサが検出対象とする信号の周波数成分と、前記AD変換器によるAD変換後のデータに含まれるノイズの周波数成分とに基づいて、駆動電力が少なくなるようなサンプリング周波数で動作させる測定制御部と
を備えたことを特徴とする慣性センサ用のノイズ除去装置。 - 前記デジタルフィルタには、櫛形フィルタを備えたことを特徴とする請求項1に記載の慣性センサ用のノイズ除去装置。
- 前記デジタルフィルタには、前記AD変換後のデータをデシメートによりデータ間引きする積分器を備えたことを特徴とする請求項1に記載の慣性センサ用のノイズ除去装置。
- 前記慣性センサは、10Hz以下の動作を検出対象とし、データレートの2のべき乗の倍数のサンプリング周波数で動作する処理系統を2個以上備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の慣性センサ用のノイズ除去装置。
- 前記慣性センサは、10Hz以下の動作を検出対象とし、共振周波数が1kHz≦Fx≦2kHzである場合に、
サンプリング周波数Fs1がデータレートと同じ周波数の処理系統と、
サンプリング周波数Fs2がサンプリング周波数Fs1の8倍の処理系統と、
サンプリング周波数Fs3がサンプリング周波数Fs2の8倍の処理系統と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の慣性センサ用のノイズ除去装置。 - 前記慣性センサは、10Hz以下の動作を検出対象とし、共振周波数が2kHz≦Fx≦4kHzである場合に、
サンプリング周波数Fs1がデータレートと同じ周波数の処理系統と、
サンプリング周波数Fs2がサンプリング周波数Fs1の8倍の処理系統と、
サンプリング周波数Fs3がサンプリング周波数Fs2の16倍の処理系統と
を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の慣性センサ用のノイズ除去装置。 - 慣性センサの出力に含まれるノイズをデジタルフィルタにより除去する慣性センサ用のノイズ除去方法であって、
前記慣性センサの出力を積分器により積分し、
前記積分器で積分した信号をAD変換器でAD変換し、
前記AD変換器によるAD変換後のデータに含まれる前記慣性センサが検出対象とする信号の周波数成分と、
前記AD変換器によるAD変換後のデータに含まれるノイズの周波数成分とに基づいて、駆動電力が少なくなるようなサンプリング周波数を制御条件として決定し、
決定された前記サンプリング周波数で、前記AD変換器の出力に含まれる前記ノイズを前記デジタルフィルタで除去することを特徴とする慣性センサ用のノイズ除去方法。 - 前記慣性センサは、10Hz以下の動作を検出対象とし、共振周波数が1kHz≦Fx≦2kHzである場合に、
サンプリング周波数Fs1が100Hz≦Fs1≦200Hzの制御条件と、
サンプリング周波数Fs2が800Hz≦Fs2≦1.6kHzの制御条件と、
サンプリング周波数Fs3を6.4kHz≦Fs3≦12.8kHzの制御条件とを含むことを特徴とする請求項7に記載の慣性センサ用のノイズ除去方法。
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