JP5798141B2 - 高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法 - Google Patents

高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、酒石酸と脂肪族アルコールを反応させて、高純度酒石酸ジアルキルエステルを製造する方法に関する。
光学活性酒石酸ジアルキルエステルは、多くの医薬品製造に使用される有用な化合物であることが知られている。例えば、不斉触媒としての使用例では、光学活性酒石酸ジエチルエステルあるいは光学活性酒石酸ジイソプロピルエステル触媒の存在下、非対称スルフィドの不斉酸化による光学活性スルホキシドの合成例(非特許文献1、非特許文献2)や光学活性酒石酸ジイソプロピルエステル触媒存在下、アリルアルコールの不斉エポキシ化反応例(非特許文献3)が報告されている。
酒石酸ジアルキルエステルの製造法は、種々の酸触媒共存下、酒石酸と脂肪族アルコールとのエステル反応が公知である。この反応は平衡反応であるため、副生する水を減圧下、濃縮留去する方法や、大量の原料アルコールを用いる方法により、平衡を生成物側に片寄らせる事で酒石酸ジアルキルの収率を高める事が出来る。例えば、副生する水をクロロホルムとの共沸脱水により除去する方法(非特許文献4)や酸触媒存在下、オルトギ酸エステルをエステル化剤として使用する方法(非特許文献5)が報告されている。さらに、工業的にも実用的な方法として、酒石酸と低級アルコールに塩化チオニルを添加することにより、アルコール使用量を最小限に抑えて高収率で酒石酸ジアルキルエステルを取得する方法が知られている(特許文献1)。
しかしながら、クロロホルムを使用することは環境への影響から工業的製造法として適さない。また、オルトギ酸エステルの様な高価な試薬を用いることも経済性プロセスとはなり得ない。さらに、最も工業的な特許文献1記載の塩化チオニルを添加する方法においても、収率が大きく向上する事が報告されているが、品質面では光学純度に関する記載があるのみで不純物などの化学純度に関する記載は一切見られない。また反応溶媒、共沸脱水溶媒、抽出溶媒としてトルエンを原料酒石酸の5重量倍使用しており、生産性の面において不利であるだけでなく、トルエン中に存在する不純物の品質面への影響を考慮するとまだまだ改善が必要であり、高純度酒石酸ジアルキルエステルを得る製法として改善の余地がある。
特許第4314600号公報
ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミストリー(106,8188,1984) オルガニック・プロセス・リサーチ・アンド・ディベロプメント(9,253,2005) ジャーナル・オブ・オルガニック・ケミストリー(51,3710,1986) ヘルベチカ・ケミカ・アクタ(62,1710,1979) シンセティック・コミュニケーションズ(14,1087,1984)
原薬の不純物に関しては、厚生労働省の定める「新有効成分含有医薬品のうち原薬不純物に関するガイドラインの改定」別紙1(閾値)において、構造決定の必要な閾値が0.03%、安全性確認の必要な閾値が0.05%(いずれも1日最大投与量>2g/日の場合)と記載されている。つまり、光学活性酒石酸ジアルキルエステルを医薬中間体に用いる場合、微量不純物の混入は大きな問題であり、不純物の副生を抑制した効率的な酒石酸ジアルキルエステルの製造方法の創出が強く求められている。しかしながら、従来技術では、無溶媒条件において、微量不純物の含有量を管理することは不可能であり、高い生産性で効率的な高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法の創出が期待されてきた。
本発明の目的は、酒石酸ジアルキルエステルの製造方法において、生産性が高く、且つその純度が高い高純度酒石酸ジアルキルを製造する方法を提供することにある。
上記課題を解決する本発明の高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法は、下記の(第一工程)〜(第三工程)を含む酒石酸ジアルキルエステルの製造方法であって、下記一般式(2)で表される亜硫酸ジアルキルエステルの含有量が0.1%以下、且つ下記一般式(3)で表される酒石酸モノアルキルエステルの含有量が0.1%以下である高純度酒石酸ジアルキルエステルを製造することを特徴とする。
(第一工程):無溶媒条件において、酸触媒存在下、酒石酸に、下記一般式(1)で表される脂肪族アルコールを反応させた後、水分率が1.0重量%以下になるまで濃縮を行い、第一エステル化反応液を得る工程
(第二工程):前記第一エステル化反応液に、第一工程と同じ種類の脂肪族アルコールを添加して均一溶液としてから、第一工程における酒石酸使用量の0.2〜0.4モル倍の塩化チオニルを添加して反応させた後、濃縮を行い、第二エステル化反応液を得る工程
(第三工程):前記第二エステル化反応液に、固体状のアルカリ金属の重炭酸塩を添加して中和してから固液分離、濃縮、及び薄膜蒸留を行う製品化工程
Figure 0005798141
(式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0005798141
(式(2)中、Rは前記式(1)と同一の炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0005798141
(式(3)中、Rは前記式(1)と同一の炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
本発明の高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法によれば、無溶媒条件において、酸触媒存在下、酒石酸に脂肪族アルコールを反応させ、水分率が1.0重量%以下になるまで濃縮した後、酒石酸量の0.2〜0.4モル倍の塩化チオニルを添加してエステル化を完結させ、さらに、固体状のアルカリ金属の重炭酸塩による中和、固液分離、濃縮、薄膜蒸留を経ることにより、効率的に高純度酒石酸ジアルキルエステルを製造することが出来る。
前記第一工程及び第二工程で用いる脂肪族アルコールとしてエタノールを使用し、且つ第三工程で得られる高純度酒石酸ジアルキルエステルを高純度酒石酸ジエチルエステルにすることが好ましい。
前記第一工程において、得られた反応液に対し、酒石酸と脂肪族アルコールを、酸触媒存在下で反応させた後、濃縮する操作を、繰り返し実施することが好ましい。
また前記高純度酒石酸ジアルキルエステルとしては、光学活性体であることが好ましい。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法は、次の3工程、(第一工程)〜(第三工程)を含む。
(第一工程):無溶媒条件において、酸触媒存在下、酒石酸に、下記一般式(1)で表される脂肪族アルコールを反応させた後、水分率が1.0重量%以下になるまで濃縮を行い、第一エステル化反応液を得る工程、
Figure 0005798141
(式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
(第二工程):得られた第一エステル化反応液に、第一工程と同じ種類の脂肪族アルコールを添加して均一溶液としてから、第一工程における酒石酸使用量の0.2〜0.4モル倍の塩化チオニルを添加して反応させた後、濃縮を行い、第二エステル化反応液を得る工程、
(第三工程):得られた第二エステル化反応液に、固体状のアルカリ金属の重炭酸塩を添加して中和してから固液分離、濃縮、及び薄膜蒸留を行う製品化工程。
本発明の高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法は、下記一般式(2)で表される亜硫酸ジアルキルエステルの含有量が0.1%以下、且つ下記一般式(3)で表される酒石酸モノアルキルエステルの含有量が0.1%以下である高純度の酒石酸ジアルキルエステルを製造することができる。
Figure 0005798141
(式(2)中、Rは前記式(1)と同一の炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
Figure 0005798141
(式(3)中、Rは前記式(1)と同一の炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
本発明の製造方法では、第一および第二エステル化反応工程において、溶媒を使用しないで酒石酸を脂肪族アルコールでエステル化することを特徴とする。これにより溶媒を使用する製法において、同じ大きさの反応容器を用いたときよりも酒石酸の仕込み量を大きくできるため、生産性を大きく向上させることが可能である。さらに、溶媒中の不純物の混入を防止し、酒石酸ジアルキルエステルの純度をより高くすることが出来る。例えば、トルエン中には微量のトルイル酸等の不純物が存在し、トルエンを溶媒に使用する従来の方法では酒石酸ジアルキルエステルに混入する。
本発明で使用する酸触媒は、例えば濃塩酸、塩化水素、硫酸等のブレンステッド酸や、塩化鉄、塩化アルミニウム、ホウ酸等のルイス酸を挙げることができる。好ましくは濃塩酸、塩化水素、硫酸である。
酒石酸の種類は、特に制限させるものではない。例えばL−酒石酸、D−酒石酸、メソ酒石酸のいずれを用いても良い。
また、下記一般式(1)で表される脂肪族アルコールとして、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノールが挙げられる。好ましくは、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールがよい。これらの脂肪族アルコールを使用することにより、酒石酸ジメチルエステル、酒石酸ジエチルエステル、酒石酸ジプロピルエステル、酒石酸ジイソプロピルエステル、酒石酸ジn−ブチルエステル、酒石酸ジsec−ブチルエステル、酒石酸ジイソブチルエステル、酒石酸ジtert−ブチルエステルが得られる。
Figure 0005798141
(式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
第一工程では、上述した脂肪族アルコールと酒石酸を仕込み、酸触媒を添加してエステル化反応を行う。脂肪族アルコールの使用量に特に制限はなく、多いほど反応が進み易くて良いが、多過ぎると原料費が高くなり経済性の面では好ましくない。脂肪族アルコールの使用量は、具体的には、酒石酸に対して1〜5モル倍が良く、好ましくは1〜4モル倍であり、さらに好ましくは1〜2モル倍である。酒石酸の溶解度を考慮して、脂肪族アルコールを化学両論量である2モル倍より多く使用するのが好ましいが、安価な工業的製造法としては、化学両論量である2モル倍で反応させることが良い。この場合、反応液の粘性を考慮して、酒石酸は一度に添加するよりも、2回以上に分割して添加するのがよい。また系内のスラリー濃度を20〜30重量%とするのが撹拌の安定性や設備の負荷を考慮すると好ましい。
酸触媒の使用量に特に制限はないが、酒石酸仕込み量に対して0.01〜0.2モル倍が好ましく、より好ましくは0.02〜0.1モル倍である。
第一工程の反応温度は、室温から脂肪族アルコールの沸点以下であることが好ましい。また、減圧下でエステル化反応を行うこともできる。この場合、熱による不純化、例えば、酒石酸ジアルキルエステルの二量体を抑制するのに有効である。
反応後、濃縮することで副生する水を除去すれば、平衡反応が酒石酸ジアルキルエステル側にずれて反応収率が向上する。水の除去は、具体的には、第一エステル化反応液の水分率が1.0重量%以下まで濃縮する必要があり、好ましくは0.7重量%以下であり、より好ましくは0.5重量%以下である。濃縮して水分を除去することにより、次の第二工程でのエステル化反応において、安定した生産が可能である。濃縮の際、水分率を低下させるために、脂肪族アルコールを追加しても良い。水分率は、カールフィッシャー法などの通常の方法で測定することができる。
エステル化反応をより完結させるためには、この第一エステル化工程の操作を2回実施することが好ましい。すなわち、第一工程において、酸触媒存在下、酒石酸と脂肪族アルコールを反応させ、濃縮により水分を除去した後、得られた反応液に対し、酸触媒存在下、脂肪族アルコールを反応させ、濃縮により水分を除去する操作を繰り返し実施することが好ましい。この場合、2回目のエステル化に使用する脂肪族アルコールの使用量、酸触媒の使用量、及び反応温度はすべて1回目のエステル化と同一にすればよい。反応後、濃縮することで副生する水を除去すれば、平衡反応がより酒石酸ジアルキルエステル側にずれて反応収率が向上する。
続く第二工程では、第一工程で得られた第一エステル化反応液に、第一工程と同じ種類の脂肪族アルコールを添加して均一溶液とする。第二工程で用いる脂肪族アルコールとして、第一工程で用いたものと異なる脂肪族アルコールを用いると、得られる生成物が、対称酒石酸ジアルキルと非対称酒石酸ジアルキルの混合物となるため好ましくない。第二工程で用いる脂肪族アルコールの使用量に特に制限はないが、一般には、第一工程における脂肪族アルコールの使用量と同一である。
第二工程では、第一工程で得た濃縮液(第一エステル化反応液)に脂肪族アルコールを添加して均一溶液にした後、エステル化反応をより進行させるために塩化チオニルを加える。塩化チオニルを添加する量は、第一工程における酒石酸使用量に対し、0.2〜0.4モル倍、好ましくは0.25〜0.35モル倍にする。塩化チオニルの添加量が酒石酸使用量の0.2モル倍未満であると、エステル化が不十分で酒石酸モノアルキルエステルが多く副生する。一方、塩化チオニルの添加量が酒石酸使用量の0.4モル倍を超えると、塩化チオニルが脂肪族アルコールと反応して亜硫酸ジアルキルエステルが多く副生する。
第一エステル化反応液に脂肪族アルコールを添加し均一溶液にする必要がある。脂肪族アルコールを添加した後、上層と下層で濃度差が生じた状態で塩化チオニルを添加すると、上層に存在する脂肪族アルコールと塩化チオニルが反応して亜硫酸ジアルキルエステルが大量に生じて製品中に不純物として混入するため好ましくない。塩化チオニルは、第一工程のエステル化反応液中の水分により加水分解を受けるため、第一エステル化反応液中の水分率は1.0重量%以下にする必要がある。
第二工程で塩化チオニルを加えて得られたエステル化反応液には副生した塩化水素や亜硫酸ガスが溶存している。このため第三工程では、第二工程で得られた第二エステル化反応液を、中和後、固液分離し、濃縮する。一般に、中和は、得られた酒石酸ジアルキルエステルの加水分解が起こらない様にアルカリ金属の重炭酸塩を用いるが、好ましくは、炭酸水素ナトリウムや炭酸水素カリウムがよい。さらにアルカリ金属の重炭酸塩の水溶液ではなく固体状、好ましくは粉末状のものを用いるのが好ましい。アルカリ金属の重炭酸塩の水溶液を用いると、トルエン等の有機溶媒を用いた抽出により酒石酸ジアルキルエステルを回収する必要が生じるため、有機溶媒由来の不純物が製品に混入するリスクがある。
アルカリ金属の重炭酸塩の使用量は、第一工程で仕込んだ酒石酸使用量に対して0.05〜0.3モル倍が好ましく、より好ましくは0.05〜0.2モル倍である。中和に要する時間は5〜72時間が好ましく、より好ましくは10〜50時間であり、さらに好ましくは20〜40時間である。中和は、副生した塩化水素や亜硫酸ガスの中和に加え、酒石酸モノアルキルエステルを中和して酒石酸モノアルキルエステルのナトリウム塩に変換し、結晶にするために重要な工程である。中和後、濾過や遠心分離などの方法により、中和で生じた食塩や過剰なアルカリ金属の重炭酸塩、及び酒石酸モノアルキルエステルのアルカリ金属塩を除くことが出来る。得られた濾液を濃縮して脂肪族アルコールを除き、さらに薄膜蒸留により、高純度酒石酸ジアルキルエステルを得ることが出来る。蒸留の方法は、単蒸留でも薄膜蒸留でも構わないが、熱による不純化を抑制するためには、薄膜蒸留や分子蒸留が好ましく用いられる。本発明の製造方法では、生産量の増加を考慮し、薄膜蒸留を行う。蒸留温度は、品質への影響を考慮すると、低温の方が好ましく、通常、減圧下で実施される。
以上の方法により得られる酒石酸ジアルキルエステルは、下記一般式(2)で表される亜硫酸ジアルキルエステルの含有量が0.1%以下である。
Figure 0005798141
(式(2)中、Rは前記式(1)と同一の炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
亜硫酸ジアルキルエステルの含有量は、一般に、分析法はガスクロマトグラフィー(GC)により行うことができる。具体的な亜硫酸ジアルキルエステルの例として、亜硫酸ジメチルエステル、亜硫酸ジエチルエステル、亜硫酸ジn−プロピルエステル、亜硫酸ジイソプロピルエステル、亜硫酸ジn−ブチルエステル、亜硫酸ジ2−ブチルエステル亜硫酸ジイソブチルエステル、亜硫酸ジtert−ブチルエステルを挙げることができる。
また、本発明によって得られる酒石酸ジアルキルエステルは、下記一般式(3)で表される酒石酸モノアルキルエステルの含有量が0.1%以下である。
Figure 0005798141
(式(3)中、Rは前記式(1)と同一の炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
酒石酸モノアルキルエステルの含有量は、一般に、分析法は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、HPLCにおける面積%として求めることができる。具体的な酒石酸モノアルキルエステルの例として、酒石酸モノメチルエステル、酒石酸モノエチルエステル、酒石酸モノn−プロピルエステル、酒石酸モノイソプロピルエステル、酒石酸モノn−ブチルエステル、酒石酸モノ2−ブチルエステル、酒石酸モノイソブチルエステル、酒石酸モノtert−ブチルエステルを挙げることができる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。ここでは、酒石酸ジエチルエステルの合成に関する結果を挙げて記載する。分析法は以下の通りである。
(酒石酸ジエチルエステル及び酒石酸モノエチルエステルの分析法)
分析装置 HPLC
カラム Zorbax C8、4.6mmφ×150mm
恒温槽 40℃
検出器 UV(212nm)
流量 1.5ml/分
移動相 A/B=100/0(0〜4分)→0/100(25〜35分)
A:アセトニトリル/水/1%トリフルオロ酢酸水=5/94/1
B:アセトニトリル/水/1%トリフルオロ酢酸水=90/9/1
(亜硫酸ジエチルエステルの分析法)
分析装置 GC
カラム Inert Cap1、0.25mmφ×60m、膜厚0.40μm
キャリアガス He(60kPa)
分析温度 100℃(2分)→5℃/分昇温→250℃(8分)
注入口温度 250℃
検出器 FID(250℃)
(酒石酸ジエチルエステルの光学純度分析法)
分析装置 GC
カラム Chrompack CP−Chiralsil−DEX CB
0.32mmφ×25m、膜厚0.25μm
キャリアガス He(60kPa)
分析温度 150℃
注入口温度 200℃
検出器 FID(300℃)
実施例1
[第一工程−1]温度計、攪拌機を装着したフラスコに、D−酒石酸150.4gとエタノール92.3g(2.0モル倍/D−酒石酸)を仕込み、撹拌しながら35%塩酸6.3g(0.06モル倍/D−酒石酸)を加え、80℃で反応させる。次に、70℃以下で濃縮し、[第一工程−2]得られた濃縮液に先と同量のエタノールと35%塩酸を加えて反応後、同様に濃縮する。水分率が0.1重量%であることを確認し第一エステル化反応液を得た。[第二工程]得られた第一エステル化反応液に、先と同量のエタノールを添加し、撹拌により均一溶液にしてから、塩化チオニル32.2g(0.27モル倍/D−酒石酸)を加えて30〜40℃で反応させた。濃縮を行い、第二エステル化反応液を得た。[第三工程]得られた第二エステル化反応液に、炭酸水素ナトリウム粉末8.4g(0.1モル倍/D−酒石酸)を加え、30℃で27時間撹拌後、濾過して得られた濾液を濃縮した(D−酒石酸ジエチルエステル反応収率95%)。最後に、減圧下、薄膜蒸留(熱媒温度145℃)によりD−酒石酸ジエチルエステルを得た。得られたD−酒石酸ジエチルエステルの光学純度は99.8%ee、亜硫酸ジエチル、及び酒石酸モノエチルエステルの含有量は、それぞれ0.01%未満、及び0.02%であった。
実施例2
第一工程−2での濃縮時間を短くすることで得られた濃縮液の水分率を0.3重量%にした以外、実施例1と全く同様の方法によりD−酒石酸ジアルキルエステルを合成した。炭酸水素ナトリウムで中和した濃縮液のD−酒石酸ジエチルエステル反応収率は95%であった。薄膜蒸留により得られたD−酒石酸ジエチルエステルの光学純度は99.8%eeであり、亜硫酸ジエチル、及び酒石酸モノエチルエステルの含有量は、それぞれ0.01%未満、及び0.02%であった。
実施例3
塩化チオニルの使用量を35.8g(0.30モル倍/D−酒石酸)に変える以外、実施例1と全く同様の方法によりD−酒石酸ジアルキルエステルを合成した。炭酸水素ナトリウムで中和した濃縮液のD−酒石酸ジエチルエステル反応収率は96%であった。薄膜蒸留により得られたD−酒石酸ジエチルエステルの光学純度は99.8%eeであり、亜硫酸ジエチル、及び酒石酸モノエチルエステルの含有量は、それぞれ0.01%未満、及び0.02%であった。
実施例4
塩化チオニルの使用量を42.9g(0.36モル倍/D−酒石酸)に変える以外、実施例1と全く同様の方法によりD−酒石酸ジアルキルエステルを合成した。炭酸水素ナトリウムで中和した濃縮液のD−酒石酸ジエチルエステル反応収率は96%であった。薄膜蒸留により得られたD−酒石酸ジエチルエステルの光学純度は99.8%eeであり、亜硫酸ジエチル、及び酒石酸モノエチルエステルの含有量は、それぞれ0.03%、及び0.02%であった。
比較例1
第二工程でエタノールを加えた後、撹拌せずに塩化チオニルを添加した以外は実施例1と全く同様の方法によりD−酒石酸ジアルキルエステルを合成した。薄膜蒸留により得られたD−酒石酸ジエチルエステルの光学純度は99.8%eeであり、亜硫酸ジエチル、及び酒石酸モノエチルエステルの含有量は、それぞれ0.58%、及び0.01%未満であった。
比較例2
第一工程−2での濃縮時間を短くすることで得られた濃縮液の水分率を1.6重量%にし、第二工程で用いた塩化チオニルの使用量を35.8g(0.30モル倍/D−酒石酸)に変える以外は、実施例1と全く同様の方法により、D−酒石酸ジアルキルエステルを合成した。薄膜蒸留により得られたD−酒石酸ジエチルエステルの光学純度は99.8%eeであり、亜硫酸ジエチル、及び酒石酸モノエチルエステルの含有量は、それぞれ0.01%未満、及び1.5%であった。
比較例3
第一工程−2での濃縮時間を短くすることで得られた濃縮液の水分率を1.6重量%にし、第二工程で用いた塩化チオニルの使用量を47.7g(0.40モル倍/D−酒石酸)に変える以外は、実施例1と全く同様の方法により、D−酒石酸ジアルキルエステルを合成した。薄膜蒸留により得られたD−酒石酸ジエチルエステルの光学純度は99.8%eeであり、亜硫酸ジエチル、及び酒石酸モノエチルエステルの含有量は、それぞれ0.01%未満、及び0.8%であった。
比較例4
第一工程−2での濃縮時間を短くすることで得られた濃縮液の水分率を1.6重量%にし、第二工程で用いた塩化チオニルの使用量を71.5g(0.60モル倍/D−酒石酸)に変える以外は、実施例1と全く同様の方法により、D−酒石酸ジアルキルエステルを合成した。薄膜蒸留により得られたD−酒石酸ジエチルエステルの光学純度は99.8%eeであり、亜硫酸ジエチル、及び酒石酸モノエチルエステルの含有量は、それぞれ1.2%、及び0.01%未満であった。
参考例1
温度計、攪拌機を装着したフラスコに、D−酒石酸50.0g、エタノール30.7g(2.0モル倍/D−酒石酸)、トルエン185g、濃塩酸1.0g(0.03モル倍/D−酒石酸)を添加し、80℃まで昇温後、減圧下、60℃で濃縮した。濃縮液にエタノール27.6gとトルエン5gを滴下した後、40〜45℃で塩化チオニル12.8g(0.32モル倍/D−酒石酸)を滴下した。60℃で溶媒と共に塩化水素を減圧留去した後、粉末状の炭酸水素ナトリウム2.7g(0.1モル倍/D−酒石酸)を加え、実施例1と同様の処理でD−酒石酸ジエチルエステルを得た(濃縮液でのD−酒石酸ジエチルエステル反応収率95%)。光学純度は99.8%ee、亜硫酸ジエチル、及び酒石酸モノエチルエステルの含有量は、それぞれ0.01%未満、及び0.02%であったが、p−トルイル酸(トルエン由来)の含有量は0.04%であった。
参考例2
実施例1の[第一工程−1]、[第一工程−2]および[第二工程]と同様の方法で得た濃縮液に、炭酸水素ナトリウム8.4g、食塩25g、水100gの懸濁液とトルエン450gを加え、油層を単離する。水層にトルエン225gを加え、油層を抜き出し、先に得た油層と混合する。減圧下、濃縮した(D−酒石酸ジエチルエステル反応収率90%)。最後に、減圧下、薄膜蒸留(熱媒温度145℃)によりD−酒石酸ジエチルエステルを得た。光学純度は99.8%ee、亜硫酸ジエチル、及び酒石酸モノエチルエステルの含有量は、それぞれ0.01%未満、及び0.03%であった。さらに、p−トルイル酸(トルエン由来)の含有量は0.04%であった。

Claims (4)

  1. 下記の(第一工程)〜(第三工程)を含む酒石酸ジアルキルエステルの製造方法であって、下記一般式(2)で表される亜硫酸ジアルキルエステルの含有量が0.1%以下、且つ下記一般式(3)で表される酒石酸モノアルキルエステルの含有量が0.1%以下であることを特徴とする高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法。
    (第一工程):無溶媒条件において、酸触媒存在下、酒石酸に、下記一般式(1)で表される脂肪族アルコールを反応させた後、水分率が1.0重量%以下になるまで濃縮を行い、第一エステル化反応液を得る工程
    (第二工程):前記第一エステル化反応液に、第一工程と同じ種類の脂肪族アルコールを添加して均一溶液としてから、第一工程における酒石酸使用量の0.2〜0.4モル倍の塩化チオニルを添加して反応させた後、濃縮を行い、第二エステル化反応液を得る工程
    (第三工程):前記第二エステル化反応液に、固体状のアルカリ金属の重炭酸塩を添加して中和してから固液分離、濃縮、及び薄膜蒸留を行う製品化工程
    Figure 0005798141
    (式(1)中、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    Figure 0005798141
    (式(2)中、Rは前記式(1)と同一の炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
    Figure 0005798141
    (式(3)中、Rは前記式(1)と同一の炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
  2. 前記第一工程及び第二工程で用いる脂肪族アルコールが、エタノールであり、且つ前記第三工程で得られる高純度酒石酸ジアルキルエステルが高純度酒石酸ジエチルエステルであることを特徴とする請求項記載の高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法。
  3. 前記第一工程において、酸触媒存在下、酒石酸と脂肪族アルコールを反応させた後、濃縮する操作を、得られた反応液に対し繰り返し実施することを特徴とする請求項1または2記載の高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法。
  4. 前記高純度酒石酸ジアルキルエステルが光学活性体であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項記載の高純度酒石酸ジアルキルエステルの製造方法。
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