JP5797118B2 - マルチワイヤ放電加工装置およびマルチワイヤ放電加工方法 - Google Patents

マルチワイヤ放電加工装置およびマルチワイヤ放電加工方法 Download PDF

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Description

本発明は、マルチワイヤ放電加工装置およびマルチワイヤ放電加工方法に関するものである。
マルチワイヤ放電加工装置は、ワイヤ放電加工により柱状の被加工物から一度に複数枚の板状部材を切り出すスライス加工を行うことができるワイヤ放電加工装置であり、例えば半導体製造装置において、柱状の被加工物であるインゴットから複数枚の板状部材であるウェーハを同時にスライス加工するのに用いられている。
このマルチワイヤ放電加工装置でのスライス加工の原理構成を簡単に説明すると、例えば断面4角形状に配置される複数のガイドローラを用いて一方の電極となる1本のワイヤ電極を他方の電極となる柱状の被加工物の長手方向所定範囲内において短手方向に複数回互いに離隔して折り返すことにより、被加工物に近接した位置の長手方向に複数の切断ワイヤ部を並列配置し、その複数の切断ワイヤ部それぞれと柱状の被加工物との間の複数の極間それぞれに加工パルスを印加して同時に放電を起こさせる。すると、被加工物に、複数の切断ワイヤ部の相対的な移動経路に応じた複数の加工溝が形成される。放電の継続により、被加工物がその加工溝に沿って切断される。したがって、各切断ワイヤ部の並列間隔を狭くすることで、被加工物から複数枚の薄板が同時にスライス加工される。
このように、マルチワイヤ放電加工装置では、複数の切断ワイヤ部を被加工物の長手方向に等間隔に並列させて、柱状の被加工物に短手方向に横断する複数本の加工溝が被加工物の長手方向に平行して形成されるようにし、被加工物を各加工溝に沿って切断加工することにより、柱状の被加工物(インゴット)から厚さの揃った薄板(ウェーハ)を一度に複数枚スライス加工することができる。
ところで、このようなマルチワイヤ放電加工装置では、上記原理説明からも理解できるように、全ての切断ワイヤ部のそれぞれと被加工物との間でそれぞれの放電が同時に発生することが望ましい。
しかし、各切断ワイヤ部は、共通する一本のワイヤ電極であるから、隣接する切断ワイヤ部の間はワイヤ電極のインピーダンスを介して互いに導通している。そのため、或る一つの切断ワイヤ部で放電が発生すると、隣接する他の非放電の切断ワイヤ部では極間電圧が低下し、放電が発生しないという問題が生じる。
この問題に対する改善策として、例えば特許文献1では、各切断ワイヤ部をコイル状に巻きつけることで、各切断ワイヤ部のインピーダンスを高める方法や、給電点を切断ワイヤ部から遠ざけることで、給電点から各切断ワイヤ部までのワイヤインピーダンスを高くする方法が提案されている。また、例えば特許文献2では、フェライトコアに切断ワイヤ部を巻きつけることで、特許文献1と同様に隣接する切断ワイヤ部との間のインピーダンスを高くする方法が提案されている。さらに、例えば特許文献3では、給電点を分離するとともに、それぞれの給電点間を接続するスイッチング素子を独立に設け、印加タイミングをずらすことで、複数の切断ワイヤ部それぞれで生じる放電現象を分離する方法が提案されている。
特開2000−094221号公報 特開2006−075952号公報 特開2011−062764号公報
ここで、ワイヤ放電加工装置での放電は、極間の浮遊容量を用いたコンデンサ放電であるから、極間電圧が放電開始(絶縁破壊)電圧を超えると極間に放電が発生し、絶縁破壊により浮遊容量に蓄えられた電荷を放出し、同時に、極間電圧が低下する。その後、極間電圧が放電を維持できる電圧(放電維持電圧もしくはアーク電圧)を下回ると放電停止に至る。放電を持続し、放電電力(加工エネルギー)を注入し続けるためには、放電の発生と同時に電源側から充分な加工電流を供給する必要がある。
しかし、特許文献1や特許文献2に開示された技術では、切断ワイヤ部の給電点から極間の放電箇所までは高インピーダンスであるから、大きなインダクタンス成分により電源電流が阻まれ、瞬時に電流を供給できない。そのため、放電電力を投入し難くなり、放電一回当たりの放電電力を充分に注入できず、放電停止を招来し易くなる。したがって、安定した加工が困難となり、加工速度の向上が図れないという問題がある。
まず、印加電圧を高くすると、極間距離が離れても放電するため、放電ギャップが広がり、加工溝幅が広がってしまう。また、印加周波数を高めるために、パルス幅を狭めると、放電確率を低下させるため放電の不安定性を引き起こす。一方、印加周波数を高めるために、パルスとパルスの間隔(休止期間)を狭めると、ワイヤのごく一部に集中的に放電が発生する「集中放電」を起こし易く、アーク放電が連続して過大電流が流れて断線に至り易い。
また、特許文献3に開示された技術によれば、給電点を分離するとともに、印加タイミングをそれぞれ異ならせて、給電点毎に順次パルスを供給するため、特許文献1や特許文献2と比べて放電周波数が低下しやすくなるので、同様に、加工速度の向上を図ることができなくなり、また、安定した加工が得られなくなるという問題がある。
なお、放電一回当たりの放電電力を十分に注入できない場合に、加工速度を向上するためには、印加電圧を高くするか、印加周波数を高くするか、のいずれかが必要となるが、次のような問題がある。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、1本のワイヤ電極を用いたマルチワイヤ放電加工により柱状の被加工物から複数の板状部材を一度に切り出すスライス加工を、安定的に実施でき、かつ加工速度の向上が図れるマルチワイヤ放電加工装置およびマルチワイヤ放電加工方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかるマルチワイヤ放電加工装置は、一方の電極となる1本のワイヤ電極を他方の電極となる柱状の被加工物の長手方向所定範囲内において短手方向に複数回互いに離隔して折り返すことにより、前記被加工物に近接した位置の長手方向に並列配置される所定長ワイヤ電極で構成される複数の切断ワイヤ部と、前記複数の切断ワイヤ部それぞれの片端側における各ワイヤ電極に電気的に接続される態様で摺接配置される複数の給電子と、前記複数の給電子それぞれと前記被加工物との間に高電圧短パルス幅の第1の加工パルスを出力し、前記第1の加工パルスの印加後に、前記複数の給電子それぞれと前記被加工物との間に、前記第1の加工パルスよりも電圧が低くパルス幅が大きい第2の加工パルスを印加することで、前記第1の加工パルスと前記第2の加工パルスとからなる合成パルスを出力する加工電源とを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、極間には、高電圧短パルス幅の第1の加工パルスと低電圧長パルス幅の第2の加工パルスとがこの順序で隙間無く印加される。第1の加工パルスの電圧値は、極間に放電を誘発するのに充分な高電圧であるから、第1の加工パルスの印加中に全ての切断ワイヤ部を放電状態にすることができるので、加工速度を向上させることができる。そして、放電が途切れる前に第2の加工パルスが印加され、極間に規定した加工エネルギーが供給されるので、安定した加工が得られる。したがって、1本のワイヤ電極を用いたマルチワイヤ放電加工により柱状の被加工物から複数の板状部材を一度に切り出すスライス加工を、安定的に実施でき、かつ加工速度の向上が図れるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態1によるマルチワイヤ放電加工装置の要部構成を示す斜視図である。 図2は、図1に示す加工電源から出力される加工パルス(第1の加工パルス(放電形成パルス)および第2の加工パルス(加工援用パルス))の波形を説明する概念図である。 図3は、図1に示す加工電源の構成例を示す回路図である。 図4は、図3に示す構成により図2に示す放電形成パルスおよび加工援用パルスを生成出力する動作例を説明するタイミングチャートである。 図5は、本発明の実施の形態2によるマルチワイヤ放電加工装置の要部構成を示す斜視図である。 図6は、図5に示す加工電源の構成例を示す回路図である。 図7は、本発明の実施の形態3によるマルチワイヤ放電加工装置の要部構成を示す斜視図である。
以下に、本発明にかかるマルチワイヤ放電加工装置およびマルチワイヤ放電加工方法の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1によるマルチワイヤ放電加工装置の要部構成を示す斜視図である。図1において、本実施の形態1によるワイヤ放電加工装置1aは、柱状の被加工物2から一度に複数の板状部材を切り出す切断ワイヤ部3を形成する構成として、被加工物2の配置面の下方に、例えば、4つのガイドローラ4a,4b,4c,4dが配置されている。なお、被加工物2とガイドローラ4a〜4dの全体は、図示しない加工槽内に配置されている。
ガイドローラ4a〜4dは、それぞれ軸線方向の外周囲に多数のガイド溝を有し、互いの軸線方向を平行に、所定の間隔を有する断面4角形状に配置されている。被加工物2との関係では、ガイドローラ4a,4bが被加工物2の配置面に近い方に配置されている。ガイドローラ4aの垂直下方にガイドローラ4dが配置され、ガイドローラ4bの垂直下方にガイドローラ4cが配置されている。ガイドローラ4a側にはワイヤボビン5が配置され、また、ガイドローラ4c側にはワイヤ排出ローラ6が設けられている。
すなわち、ワイヤボビン5から繰り出されるワイヤ電極7は、図示例では右回り回転するガイドローラ4a,4b,4c,4dのそれぞれが有するガイド溝に案内されてガイドローラ4a〜4dの外周に巻き取られる。これを複数回繰り返すことで、ガイドローラ4a〜4dの外周に、ワイヤ電極7は、ガイド溝間の間隔で決まる微小な間隔を置いて巻回される。ワイヤ電極7は、ガイドローラ4a〜4dの外周の軸線方向に所定回数巻回された後に、ワイヤ排出ローラ6により排出される。
この場合、被加工物2は、その配置面に近い位置に配置されているガイドローラ4a,4b間において、その長手方向をガイドローラ4a〜4dの軸線方向と並行させて位置決め配置させられるので、ガイドローラ4a,4b間には、被加工物2を短手方向に横断する所定長ワイヤ電極部が、被加工物2の長手方向の所定範囲内に並列して複数個形成される。このガイドローラ4a,4b間に軸線方向に並列する複数の所定長ワイヤ電極部は、被加工物2と対向し加工放電を行う複数の電極間隙を構成し、各所定長ワイヤ電極部の間隔が被加工物2の加工幅(切り出される板状部材(ウェーハ)の厚さ)となるので、この明細書では、その複数の所定長ワイヤ電極部それぞれを、被加工物2を切断加工するための「切断ワイヤ部3」と称する。
この複数の切断ワイヤ部3の片端側に、図示例では、ガイドローラ4b、4cの間におけるガイドローラ4bに近い位置に、給電子ユニット8が配置されている。給電子ユニット8は、ワイヤ電極7に電気的に接続される態様で摺接配置される複数の給電子を収納している。そして、加工電源9の一方の出力端は被加工物2に接続され、他方の出力端は給電子ユニット8内の複数の給電子に接続されている。
加工電源9は、本実施の形態に関わる部分である、柱状の被加工物2から一度に複数の板状部材を切り出す放電加工を、安定的に実施でき、かつ加工速度の向上が図れるようする動作として、第1の加工パルスおよび第2の加工パルスをこの順にかつ隙間を設けずに生成し、給電子ユニット8内の複数の給電子を介して複数の切断ワイヤ部3のそれぞれと被加工物2との間の複数の極間それぞれに印加する。
なお、加工電源9が先に出力する第1の加工パルスは、放電を誘発する作用を営むから、以降、「放電形成パルス」と称し、その後に、隙間無く出力する第2の加工パルスは、発生した放電を維持し規定した加工エネルギーを極間に供給するという加工援用作用を営むから、以降、「加工援用パルス」と称する。
以上の構成において、加工電源9の構成と動作についての詳細説明の前に、柱状の被加工物2から一度に複数の板状部材を切り出す動作を簡単に説明する。
被加工物2を複数の切断ワイヤ部3に対して所定間隔だけ離隔させて対向配置した状態で、複数の切断ワイヤ部3のそれぞれと被加工物2との間の複数の極間それぞれに、加工電源9から加工パルスを印加しながら、被加工物2を複数の切断ワイヤ部3に対して切断送りを行う。そうすると、被加工物2に複数の切断ワイヤ部3の配列間隔に応じた複数の加工溝が形成される。被加工物2は、その複数の加工溝のそれぞれに沿って放電切断されるので、被加工物2から一度に複数枚の薄板が切り出される。
なお、被加工物2は、素材を複数の薄板にスライスするものであって、例えば、スパッタリングターゲットとなるタングステンやモリブデンなどの金属や、各種構造部材として使われる多結晶シリコンカーバイトなどのセラミックス、半導体デバイスウェーハとなる単結晶シリコンや単結晶シリコンカーバイトなどの半導体素材、さらに太陽電池ウェーハとなる単結晶および多結晶シリコンなどの太陽電池素材などである。
さて、図1〜図4を参照して、加工電源9により、柱状の被加工物2から一度に複数の板状部材を切り出す放電加工を、安定的に実施でき、かつ加工速度の向上が図れる構成と動作について説明する。
図2は、図1に示す加工電源から出力される加工パルス(第1の加工パルス(放電形成パルス)および第2の加工パルス(加工援用パルス))の波形を説明する概念図である。図2では、(A)放電前と(B)放電後とにおける、加工電源9の出力(第1の加工パルス(放電形成パルス)および第2の加工パルス(加工援用パルス))の電圧および電流の波形が示されている。なお、図2で示す波形は、被加工物2を接地した場合に各切断ワイヤ部3に印加される極性を示す。本実施の形態では各切断ワイヤ部3の電位が高くなるような単極性を印加するものとしているが、この限りではない。逆の極性としてもよいし、交互にパルスの極性が入れ替わる両極性としてもよい。
図2(A)において、加工電源9が先に出力する放電形成パルス11は、パルス幅t1の期間内一定の電圧V1で推移する矩形状のパルス電圧であり、その後、放電形成パルス11の消滅タイミングで出力する加工援用パルス12は、パルス幅t2(t2>t1)の期間内一定の電圧V2(V2<V1)で推移する矩形状のパルス電圧である。加工電源9は、「放電形成パルス11」+「加工援用パルス12」からなる合成パルスを周期Tの間隔で繰り返し出力する。被加工物2と各ワイヤ切断部3との間の各極間には、「放電形成パルス11」+「加工援用パルス12」からなる合成パルスが印加される。なお、例えば、周期Tは4us(周波数250kHz)、パルス幅t1は200ns、パルス幅t2は2us、電圧V1は200V、電圧V2は100Vである。
極間に印加される「放電形成パルス11」+「加工援用パルス12」からなる合成パルスにより極間に放電が発生すると、極間に放電電流が流れるので、電圧波形と電流波形は図2(B)に示すようになる。
図2(B)において、放電形成パルス11の極間への印加開始からおよそ時間s経過したときに放電が発生し、それと同時に極間電圧がアーク電圧まで低下する。放電は、放電形成パルス11の高電圧に依存したコンデンサ放電となるから、放電電流は、ピーク値が高く、パルス幅の狭い大電流が印加開始から時間sを経過して流れ始める。極間が非放電状態から放電状態へと確実に移行し、その放電が途切れる前に加工援用パルス12が供給されるため、長パルスで低ピークな電流が極間を流れる。すなわち、極間に流れる電流の波形は、非放電時の電圧波形(図2(A))と同様に、短パルス高ピークな波形と長パルス低ピークな波形とが合成された波形となる。
ここで、極間に印加する加工パルスに「放電形成パルス11」+「加工援用パルス12」からなる合成パルスを用いる意義について説明する。すなわち、加工援用パルス12を用いずに放電形成パルス11だけを用いて加工した場合の弊害について述べる。
図2(B)に示す放電遅れ時間sは、ばらつきを伴う。放電制御の観点からは、放電遅れ時間のばらつきは少ないほどよい。放電遅れ時間のばらつきは、印加電圧に依存し、高ければ高いほどばらつきは小さくなり、また放電発生の確率も向上する。そのため、本実施の形態でも先に極間に印加する加工パルスは、高電圧な放電形成パルス11を用いている。
ただし、高電圧を出力するための電源回路は、耐圧が高く、高額になりやすいという問題が生ずる。また、放電形成パルス11だけを用いて加工した場合、放電ギャップが広がりやすくなるため、加工溝幅が広く、結果的に被加工物8の収量が低下するという問題も生ずる。低ピーク長パルスな加工援用パルス12は、これらの問題を解決する。
さらに、放電形成パルス11だけを用いて加工した場合、エネルギーの調整はパルス幅のみで行うことになる。印加電圧V1が高ければ高いほどエネルギー調整のためのパルス幅は微徴が困難になるため、投入エネルギーにばらつきが大きくなり、加工の不安定性を生むという問題が生ずる。この点、低ピーク長パルスな加工援用パルス12を用いれば、印加電圧V2およびパルス幅t2にて加工エネルギーを調整することが可能となるため、調整範囲が広がり加工が安定しやすい。
加えて、放電形成パルス11の高電圧V1だけで加工し続けると、電流のピーク値が必要以上に大きくなり、放電衝撃力(放電反力)も大きくなる。これは被加工物2から切り出す板状部材(ウェーハ)の収量を高めるべく、切断ワイヤ部3のピッチを狭め、薄肉化した場合に、割れやすいという問題を生む。ウェーハを破損させずに、加工エネルギーを増加させるためには、長パルスで低ピークな電流波形が望ましい。加工援用パルス12によりそれを実現している。
なお、先行技術では、そもそも複数の切断ワイヤ部3に同時に放電を誘起させることが困難であることから、給電子から極間までのインピーダンスを増加させ、相互の影響を無くそうとするものであった。この点、本実施の形態では、高電圧短パルス幅の放電形成パルス11を各々の切断ワイヤ部3と被加工物2との間に極間に印加するので、各極間では同時に放電が発生する。したがって、故意にインピーダンスを増加させる必要もなく、加工電源9の制御を速やかに極間に伝達することができる。
次に、図3と図4を参照して、加工電源9の構成と動作について具体的に説明する。なお、図3は、図1に示す加工電源の構成例を示す回路図である。図4は、図3に示す構成により図2に示す放電形成パルス11および加工援用パルス12を生成出力する動作例を説明するタイミングチャートである。
図3において、加工電源9は、放電形成パルス11を、直流電源15、リアクトル16A、スイッチング素子S1、ダイオードD1、コンデンサ17およびスイッチング素子S2とで構成される回路で生成し、ダイオードD3を介して給電子ユニット8の各給電子へ出力される。また、加工電源9は、加工援用パルス12を、直流電源18、リアクトル19A、スイッチング素子S3、ダイオードD2、コンデンサ20およびスイッチング素子S4とで構成される回路で生成し、ダイオードD4を介して給電子ユニット8の各給電子へ出力される。被加工物2は、直流電源15,16の各負極端に接続されている。
なお、直流電源15の電源電圧はV1に設定し、直流電源18の電源電圧はV2に設定する。放電形成パルス11および加工援用パルス12の波高値およびパルス幅はコンデンサ17およびコンデンサ20の容量値と電圧値とで決まる。したがって、パルス幅の広い放電形成パルス11のためのコンデンサ17の容量値は、コンデンサ20の容量値よりも大きく設定する。
また、コンデンサ17,20に電荷が蓄えられればよいから、リアクトル16A,19Aは、抵抗素子16B,19Bに置き換えてもよい。抵抗素子を用いた場合は、充電時定数がパルス印加周期よりも十分に速ければ、スイッチング素子S1やスイッチング素子S3は不要である。しかし、抵抗素子を用いる場合は抵抗素子による発熱分だけ電力消費は多くなる。また、コンデンサ17,20に代えて、特許文献1と同様に、電流制限抵抗とスイッチング素子とを組み合わせたものを使用してもよい。
図4において、タイミング(a)では、スイッチング素子S1とスイッチング素子S3とがONになる。そうすると、直流電源15からリアクトル16Aを介してコンデンサ17に共振電流が流れ、コンデンサ17が充電される。同様に、直流電源18からリアクトル19Aを介してコンデンサ20に共振電流が流れ、コンデンサ20が充電される。
タイミング(b)では、スイッチング素子S1,S3をOFFにするのと同時に、スイッチング素子S2をONにする。スイッチング素子S2はタイミング(c)でOFFする。スイッチング素子S2のON期間内放電形成パルス11が極間に出力される。コンデンサ17に蓄えられた電荷は、浮遊インダクタンスを介して極間容量に移行する。タイミング(b)とタイミング(c)との時間間隔は、およそコンデンサ17の容量移行が完結する間隔(放電形成パルス11のパルス幅)とし、例えば200nsである。
タイミング(c)では、スイッチング素子S2をOFFするのと同時に、スイッチング素子S4をONにする。スイッチング素子S4はタイミングS4でOFFする。スイッチング素子S4のON期間内加工援用パルス12が極間に出力される。タイミング(c)からタイミング(d)の時間間隔もコンデンサ20の容量移行が完結する間隔(加工援用パルス12のパルス幅)とし、例えば2μsである。
休止時間を経た次のサイクルでも同様であって、タイミング(a’)の期間に再度、コンデンサ17,20を充電し、タイミング(b’)にてスイッチング素子S2をONにして放電形成パルス11を出力する。
なお、図4にて説明した動作は一例である。例えば、放電形成パルス11の出力中に、加工援用パルス12のためのコンデンサ20を充電してもよいし、逆に、加工援用パルス12の出力中に、放電形成パルス11のためのコンデンサ17を充電してもよい。
本実施の形態1によれば、複数の切断ワイヤ部3のそれぞれに高電圧の放電形成パルス11を瞬時に印加するため、それぞれの切断ワイヤ部3は、ほぼ同時に放電を開始する。したがって、給電子ユニット8内の複数の給電子を複数の切断ワイヤ部3のそれぞれに独立に設ける必要もなく、また、隣接する切断ワイヤ部3同士のインピーダンスを高めるためにコアを設けたり、コイル状に巻きつけたりする必要もなくなる。
また、給電子ユニット8内の複数の給電子から複数の切断ワイヤ部3における対応する極間までが低インピーダンスに設計できるので、加工電源9の電源電流を放電と同時に供給することができ、投入電力の増加すなわち加工速度の向上を図ることができる。
加えて、投入電力量を加工援用パルス11によって調整することが容易であるので、安定した加工を得ることができる。なお、投入電力量(投入エネルギー)の調整方法は、実施の形態3にて説明する。
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2によるマルチワイヤ放電加工装置の要部構成を示す斜視図である。なお、図5では、図1(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないし同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態2に関わる部分を中心に説明する。
図5において、本実施の形態2によるマルチワイヤ放電加工装置1bでは、図1(実施の形態1)に示した構成において、給電子ユニット25およびフェライト材26が追加され、加工電源9に代えて加工電源27が設けられている。その他の構成は、図1と同様である。
給電子ユニット25は、ワイヤガイド4a,4d間のワイヤ電極上、給電子ユニット8に対向する位置に配置されている。給電子ユニット25の構成は、給電子ユニット8と同様である。すなわち、給電子ユニット25は、ワイヤガイド4a,4d間の各ワイヤ電極に電気的に接続される態様で配置される複数の給電子を収納している。
フェライト材26は、ワイヤガイド4b,4c間の各ワイヤ電極が貫通している状態で
給電子ユニット8の配置位置近傍に設けられている。これによって、複数の切断ワイヤ部3それぞれと被加工物2との間の各極間から給電子ユニット8内の複数の給電子(第1の複数の給電子)までのワイヤインピーダンスが各極間から給電子ユニット25内の複数の給電子(第2の複数の給電子)までのワイヤインピーダンスよりも高くなっている。
加工電源27の一方の出力端は被加工物2に接続され、他方の第1の出力端は給電ユニット8内の複数の給電子に接続され、他方の第2の出力端は給電ユニット25内の複数の給電子に接続されている。
加工電源27は、図6に示すように、図3において出力ポートを2つに分離し、一方の出力ポートを給電子ユニット8内の複数の給電子に接続し、他方の出力ポートを給電子ユニット25内の複数の給電子に接続した構成であり、図4にて説明した手順で動作し、第1の加工パルスおよび第2の加工パルスを分離して生成出力する。第1の加工パルスは、実施の形態1にて説明した放電形成パルスと同じく高電圧短パルスの波形をしている。また、第2の加工パルスは、実施の形態1にて説明した加工援用パルスと同じく低電圧長パルス幅の波形をしている。
加工電源27は、第1の加工パルス(放電形成パルス)を被加工物2と給電子ユニット25内の複数の給電子それぞれとの間に出力し、第1の加工パルスが消滅するタイミングにおいて、被加工物2と給電子ユニット8内の複数の給電子それぞれとの間に第2の加工パルス(加工援用パルス)を出力する。
ここで、実施の形態1では、第1の加工パルス(放電形成パルス)と第2の加工パルス(加工援用パルス)とを同一の給電子から極間へ供給するようにしたが、両パルスは、目的や機能が異なるので、印加方法を図5に示すように、異ならせてもよい。
その場合、高電圧短パルス幅を必要とする放電形成パルスは、可能な限り低インピーダンスの経路から供給する必要がある。加工電源27が出力した放電形成パルスが高電圧短パルス幅であったとしても、給電経路のインピーダンスによっては極間に到達した波形が低電圧でパルス幅も長くなるなど波形形状が乱れる可能性がある。加工電源27の出力端の波形を極間に正しく伝達するためには、例えば同軸ケーブルを用いて、加工電源27と給電子ユニット25内の複数の給電子それぞれとを接続することが望ましく、給電子ユニット25内の複数の給電子それぞれと極間とは近いことが望ましい。
一方、低電圧長パルス幅を必要とする加工援用パルスは、それほど低インピーダンスである必要はなく、逆に電流ピーク値が一定である(定電流源である)方が設計として有利である。
そこで、本実施の形態2では、放電形成パルスの出力先を低インピーダンスである給電子ユニット25内の複数の給電子とし、加工援用パルスの出力先を高インピーダンスである給電子ユニット8内の複数の給電子としている。これによって、これら2つの加工パルスを極間上で合成パルスとすることができる。これら2つの加工パルスを生成する回路を動作させるための駆動シーケンスは実施の形態1にて説明したものと同じでよい。
放電が開始すれば、複数の切断ワイヤ部3と被加工物2との間の各電極間は、いずれもアーク電圧になるが、このアーク電圧が変動する場合も想定される。高い電圧で絶縁破壊した直後は、安定したアーク放電を得やすいが、時間経過とともに放電が不安定になり、最悪、加工援用パルス印加中に放電が持続できなくなる可能性がある。これらの電流の変動を抑えるために加工援用パルスを印加する給電子ユニット8の近傍にフェライト材26を挿入する。極間状態が不安定になり、放電電流が縮小しようとするのをフェライト材26に存在するインダクタンス成分が阻止するように働く。逆に、放電電流が大きくなるように極間状態が変動しようとしてもフェライト材26に存在するインダクタンス成分がこれを妨げるように働く。したがって、極間の変動が押さえられ放電電流が一定になりやすく、加工が安定する。
実施の形態3.
図7は、本発明の実施の形態3によるマルチワイヤ放電加工装置の要部構成を示す斜視図である。なお、図7では、図1(実施の形態1)に示した構成要素と同一ないし同等である構成要素には同一の符号が付されている。ここでは、本実施の形態3に関わる部分を中心に説明する。
本実施の形態3では、図1(実施の形態1)に示した構成において、極間状態に応じて加工電源9が出力する加工パルスの波形を調整する構成例について説明する。図7では、その一例が示されている。すなわち、図7において、本実施の形態3によるマルチワイヤ放電加工装置1cでは、図1(実施の形態1)に示した構成において、給電検出子ユニット30と極間状態検出回路31と図示しない制御回路とが追加されている。これらは、加工エネルギー調整手段に対応している。図示しない制御回路は、本実施の形態3によるマルチワイヤ放電加工装置1cを統括制御する制御装置内に設けられている。
給電検出子ユニット30は、ガイドローラ4a,4d間に配置されている。給電検出子ユニット30は、給電子ユニット8と同様の構成であって、ガイドローラ4a,4d間のワイヤ電極7に電気的に接続される態様で摺接配置される複数の給電検出子を収納している。各給電検出子は、複数の切断ワイヤ部3それぞれに供給されるパルス電圧を検出し、極間状態検出回路31に出力する。
複数の切断ワイヤ部3のそれぞれと被加工物2との間の各極間はそれぞれ状態が若干異なる。そして、放電する位置によって給電点から極間までの距離が異なり、その線長の差分だけワイヤインピーダンスが異なる。そのため、給電検出子ユニット30内の各給電検出子に表れる電圧波形は、切断ワイヤ部3毎に形状が異なるものとなる。しかし、給電検出子ユニット30内の各給電検出子は、全ての切断ワイヤ部3に対して電気的に共通であるため、給電検出子ユニット30から極間状態検出回路31への出力信号には、複数の切断ワイヤ部3の全てと被加工物2との間の全体的な極間状態が現れていることになる。
極間状態検出回路31は、極間平均電圧をモニタリングするもので、積分回路を用いて構成されている。極間状態検出回路31の出力は、図示しない制御回路に入力される。
図示しない制御回路は、極間状態検出回路31の出力信号を基に、加工電源9に出力させる加工パルスのパルス波形を調整する。具体的には、図2に示した放電形成パルス11の電圧V1,パルス幅t1あるいは加工援用パルス12の電圧V2,パルス幅t2および周期Tを調整する。すなわち、放電が起こりにくい状態と判断すれば、放電形成パルス11の電圧V1を高く、パルス幅t1を長めに設定する。放電頻度が多く、各切断ワイヤ部3と被加工物2との極間距離が狭いと判断すると、加工援用パルス12の電圧V2を低くし、パルス幅t2を狭くする。また、断線する可能性が高いと考えられると、周期Tを長くする。
図7では、給電検出子ユニット30および極間状態検出回路31を用いて極間状態を判断する場合を示したが、極間状態の判断は、給電検出子ユニット30および極間状態検出回路31を用いずに、加工電源9の出力電力から見積もってもよい。例えば、図3における直流電源15の出力電流から放電形成パルス11の消費電力を算出することも可能である。
出力電流が高ければ、パルス印加後すぐに放電を開始しているとみなせるため、極間距離が狭まっていると判断することができるし、出力電流が低ければ、複数の切断ワイヤ部3では、部分的に放電していない切断ワイヤ部3が存在していることも危惧される。このように部分的に放電していないときに、加工援用パルス12をむやみに印加すると、その非放電状態に入るべきエネルギーも放電状態の切断ワイヤ部3に投入されてしまうため、断線しやすくなったり、加工が不安定になったりする。
したがって、複数の切断ワイヤ部3において部分的に放電していない切断ワイヤ部3が存在すると判断したときは、加工援用パルス12の電圧V2を下げ、あるいはパルス幅t2を狭めることになる。
同様に、図3における直流電源18の出力電流は、加工援用パルス12を印加したときに流れる電流である。定常的に放電加工している場合は、およそ一定値であるが、過度に大きくなった場合は、極間が短絡していると推測することができる。短絡状態が長く続くとワイヤ断線にいたったり、加工が不安定になったりする可能性があるため、一度、加工援用パルスの電圧V2を下げ、あるいはパルス幅t2を狭めることが望ましく、さらには周波数を下げるために周期Tを大きくすることが望ましいと言える。
なお、本実施の形態3では、実施の形態1への適用例を示したが、実施の形態2にも同様に適用できることは言うまでもない。
このように、本実施の形態3によれば、極間状態検出回路、あるいは直流電源の出力電流を用いて極間状態を判断し、放電形成パルスおよび加工援用パルスの形状を最適化することができるので、安定した加工を得ることができるとともに、加工速度の向上も期待することができる。
以上のように、本発明にかかるマルチワイヤ放電加工装置およびマルチワイヤ放電加工方法は、1本のワイヤ電極を用いたマルチワイヤ放電加工により柱状の被加工物から複数の板状部材を一度に切り出すスライス加工を、安定的に実施でき、かつ加工速度の向上が図れるマルチワイヤ放電加工装置およびマルチワイヤ放電加工方法として有用であり、特に、半導体素材や太陽電池素材を安定的にかつ高速に製造するのに適している。
1a,1b,1c マルチワイヤ放電加工装置
2 被加工物
3 切断ワイヤ部
4a〜4b ガイドローラ
5 ワイヤホビン
6 ワイヤ排出ローラ
7 ワイヤ電極
8,25 給電子ユニット
9,27 加工電源
11 放電形成パルス(第1の加工パルス)
12 加工援用パルス(第2の加工パルス)
26 フェライト材
30 給電検出子ユニット
31 極間状態検出回路

Claims (11)

  1. 一方の電極となる1本のワイヤ電極を他方の電極となる柱状の被加工物の長手方向所定範囲内において短手方向に複数回互いに離隔して折り返すことにより、前記被加工物に近接した位置の長手方向に並列配置される所定長ワイヤ電極で構成される複数の切断ワイヤ部と、
    前記複数の切断ワイヤ部それぞれの片端側における各ワイヤ電極に電気的に接続される態様で摺接配置される複数の給電子と、
    前記複数の給電子それぞれと前記被加工物との間に高電圧短パルス幅の第1の加工パルスを出力し、前記第1の加工パルスの印加後に、前記複数の給電子それぞれと前記被加工物との間に、前記第1の加工パルスよりも電圧が低くパルス幅が大きい第2の加工パルスを印加することで、前記第1の加工パルスと前記第2の加工パルスとからなる合成パルスを出力する加工電源と
    前記複数の切断ワイヤ部それぞれと前記被加工物との間の各極間の放電状態を基に、前記加工電源が出力する前記第1および第2の加工パルスの両方または一方の加工パルスの電圧値、パルス幅、周期の全部または一部を調整する加工エネルギー調整手段と、
    を備えたことを特徴とするマルチワイヤ放電加工装置。
  2. 一方の電極となる1本のワイヤ電極を他方の電極となる柱状の被加工物の長手方向所定範囲内において短手方向に複数回互いに離隔して折り返すことにより、前記被加工物に近接した位置の長手方向に並列配置される所定長ワイヤ電極で構成される複数の切断ワイヤ部と、
    前記複数の切断ワイヤ部それぞれの一端側および他端側における各ワイヤ電極に電気的に接続される態様で摺接配置される第1および第2の複数の給電子であって、前記複数の切断ワイヤ部それぞれと前記被加工物との間の複数の極間それぞれから前記第1の複数の給電子までのワイヤインピーダンスが前記複数の極間それぞれから前記第2の複数の給電子までのワイヤインピーダンスよりも高くなるように設定される第1および第2の複数の給電子と、
    前記複数の切断ワイヤ部それぞれの他端側に配置される前記第2の複数の給電子それぞれと前記被加工物との間に高電圧短パルス幅の第1の加工パルスを出力し、前記第1の加工パルス印加後に、前記複数の切断ワイヤ部それぞれの一端側に配置される前記第1の複数の給電子それぞれと前記被加工物との間に、前記第1の加工パルスよりも電圧が低くパルス幅が大きい第2の加工パルスを印加することで、前記複数の極間に、前記第1の加工パルスと前記第2の加工パルスとからなる合成パルスを出力する加工電源と
    を備えたことを特徴とするマルチワイヤ放電加工装置。
  3. 前記第1の複数の給電子の配置位置近傍に、フェライト材が前記複数の切断ワイヤ部それぞれの一端側から対応する前記第1の複数の給電子に至る各ワイヤ電極が貫通している状態で配置されていることを特徴とする請求項2に記載のマルチワイヤ放電加工装置。
  4. 前記複数の切断ワイヤ部それぞれと前記被加工物との間の各極間の放電状態を基に、前記加工電源が出力する前記第1および第2の加工パルスの両方または一方の加工パルスの電圧値、パルス幅、周期の全部または一部を調整する加工エネルギー調整手段
    を備えていることを特徴とする請求項1から請求項3の中のいずれか一つに記載のマルチワイヤ放電加工装置。
  5. 加工エネルギー調整手段は、
    前記各極間の放電状態を前記加工電源の出力電流を基に判断する
    ことを特徴とする請求項4に記載のマルチワイヤ放電加工装置。
  6. 加工エネルギー調整手段は、
    前記各極間の放電状態を該各極間の電圧を基に判断する
    ことを特徴とする請求項4に記載のマルチワイヤ放電加工装置。
  7. 一方の電極となる1本のワイヤ電極を他方の電極となる柱状の被加工物の長手方向所定範囲内において短手方向に複数回互いに離隔して折り返すことにより、前記被加工物に近接した位置の長手方向に所定長ワイヤ電極で構成される複数の切断ワイヤ部を並列配置し、該複数の切断ワイヤ部それぞれの片端側における各ワイヤ電極に電気的に接続される態様で摺接配置される複数の給電子と前記柱状の被加工物との間に加工パルスを印加して複数の極間において同時に放電を発生させ、前記柱状の被加工物から複数の板状部材を一度に切り出すマルチワイヤ放電加工装置において、
    前記加工パルスとして、前記複数の給電子それぞれと前記被加工物との間に高電圧短パルス幅の第1の加工パルスを出力し、前記第1の加工パルス印加後に、前記複数の給電子それぞれと前記被加工物との間に、前記第1の加工パルスよりも電圧が低くパルス幅が大きい第2の加工パルスを印加することで、前記第1の加工パルスと前記第2の加工パルスとからなる合成パルスを出力する工程と、
    前記複数の切断ワイヤ部それぞれと前記被加工物との間の複数の極間それぞれの放電状態に基づき、前記第1および第2の加工パルスの両方または一方の加工パルスの電圧値、パルス幅、周期の全部または一部を調整する工程と、
    を含むことを特徴とするマルチワイヤ放電加工方法。
  8. 一方の電極となる1本のワイヤ電極を他方の電極となる柱状の被加工物の長手方向所定範囲内において短手方向に複数回互いに離隔して折り返すことにより、前記被加工物に近接した位置の長手方向に所定長ワイヤ電極で構成される複数の切断ワイヤ部を並列配置し、該複数の切断ワイヤ部それぞれと前記柱状の被加工物との間の複数の極間それぞれに加工パルスを印加して同時に放電を発生させ、前記柱状の被加工物から複数の板状部材を一度に切り出すマルチワイヤ放電加工装置において、
    前記複数の切断ワイヤ部それぞれの一端側および他端側における各ワイヤ電極に電気的に接続される態様で摺接配置される第1および第2の複数の給電子のうち、前記複数の切断ワイヤ部それぞれの一端側に配置される前記第1の複数の給電子の配置位置近傍に、前記複数の切断ワイヤ部それぞれの一端側から対応する前記第1の複数の給電子に至る各ワイヤ電極が貫通しているフェライト材を設ける工程と、
    前記加工パルスとして、前記複数の切断ワイヤ部それぞれの他端側に配置される前記第2の複数の給電子それぞれと前記被加工物との間に高電圧短パルス幅の第1の加工パルスを出力し、前記第1の加工パルス印加後に、前記複数の切断ワイヤ部それぞれの一端側に配置される前記第1の複数の給電子それぞれと前記被加工物との間に、前記第1の加工パルスよりも電圧が低くパルス幅が大きい第2の加工パルスを印加することで、前記複数の極間に、前記第1の加工パルスと前記第2の加工パルスとからなる合成パルスを出力する工程と
    を含むことを特徴とするマルチワイヤ放電加工方法。
  9. 前記複数の切断ワイヤ部それぞれと前記被加工物との間の複数の極間それぞれの放電状態に基づき、前記第1および第2の加工パルスの両方または一方の加工パルスの電圧値、パルス幅、周期の全部または一部を調整する工程が含まれている
    ことを特徴とする請求項7または請求項8に記載のマルチワイヤ放電加工方法。
  10. 前記調整する工程では、
    前記複数の極間それぞれの放電状態を前記第1および第2の加工パルスを出力する加工電源の出力電流を基に判断する工程が含まれている
    ことを特徴とする請求項9に記載のマルチワイヤ放電加工方法。
  11. 前記調整する工程では、
    前記複数の極間それぞれの放電状態を該複数の極間それぞれの電圧を基に判断する工程が含まれている
    ことを特徴とする請求項9に記載のマルチワイヤ放電加工方法。
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