JP5478544B2 - ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、薄板製造方法および半導体ウエハ製造方法 - Google Patents

ワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、薄板製造方法および半導体ウエハ製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ワイヤ電極を複数のガイドローラ間で巻回させることによりワイヤ電極を並列させて、並列するワイヤ電極と被加工物との間で放電を発生させることにより、被加工物から一度に複数枚の板状部材を切り出すワイヤ放電加工装置に関する。
ワイヤ放電加工により、柱状の被加工物から薄板をスライス加工する場合、1本のワイヤ電極を複数のガイドローラ間に巻回させて並列させることで多数の切断ワイヤ部を形成し、それぞれの切断ワイヤ部に個別に給電し、各切断ワイヤ部と被加工物との間で同時に放電を生ぜしめて、被加工物に対する上記スライス加工の生産性を向上させる方式が例えば特許文献1に提案されている。
上述のような構成の放電式ワイヤソーでは、放電加工が進行して被加工物を同時切断するための複数本の切断溝が被加工物に深く形成されるようになると、放電加工によって発生した加工屑が切断溝の外へ次第に排出されにくくなり、切断溝内に滞在するようになる。切断溝に滞在する加工屑に対しても放電が発生するため、加工屑が切断溝の内部、特に、切断ワイヤ部と被加工物における加工面との間の極間に多く存在すると、加工方向へ発生する放電頻度が減少して加工速度が低下する。
また、加工液が切断ワイヤ部まで次第に到達しにくくなることから切断ワイヤ部の冷却不良によってワイヤ断線が起こりやすくなるという問題が生じる。そこで、ノズルを使用して加工部分に加工液を供給することにより、放電加工によって発生する加工屑を切断溝の外へ排出して加工屑が極間に滞在しないようにし、切断ワイヤ部を冷却する技術が、例えば特許文献2に開示されている。
特許文献2に開示の技術によれば、複数本の切断ワイヤ部による放電加工が進行して複数本の切断溝が深く形成されても、前記複数本の切断溝の各先端、すなわち、それぞれの極間へ加工液を確実に供給できるようにするために極間から加工屑が排出され、切断ワイヤ部による安定した放電加工を継続できるようになる。ただし、被加工物を前記被加工物の端面から切り始める場合においては、ノズルの噴出口全体が被加工物によって完全に覆われていないために、被加工物に覆われていない噴出口からの方が抵抗が少ないために、加工液は被加工物に覆われていない噴出口から噴出されやすい状況となっている。
このため、加工液の流れは被加工面の端面付近で乱れ、そうした加工液によって切断ワイヤ部が振動して短絡しやすくなる。したがって、放電加工が不安定なために、被加工物の端面から加工を開始する場合には加工速度を遅くして加工する必要があった。たとえば、加工開始前に切断ワイヤ部は、被加工物の加工される側の端面から数百μm〜数mm程度隔てた位置で被加工物に対向させられる。したがって、切断ワイヤ部がその中心付近を通過するノズルは、前記ノズルの噴出口の約半分が被加工物の加工される側の端面からはみ出た状態となっている。
被加工物は、前記噴出口に対して数十μm〜数百μmの間隙をもって被加工物の側面に対向するように設置されるために、さらには、被加工物には放電加工による溝がまだ形成されていないために、この時点では前記ノズルの噴出口から被加工物に向けて噴出される加工液の大部分が、前記噴出口の被加工物で覆われていない部分から噴出する。そのため、本来、切断ワイヤ部に沿って加工液を噴出させたいが、加工液の流れ方向は乱れてしまう。
また、切断溝はまだ十分な長さに加工されていないために加工液が切断溝を通過することによる整流効果は小さく、流れ方向の乱れた加工液によって切断ワイヤ部が振動させられる。その結果、被加工物の加工面と切断ワイヤ部との極間距離が変動し、切断ワイヤ部が被加工物の加工面に接近する状態と切断ワイヤ部が加工面から離れすぎる状態が繰り返される。
したがって、放電の発生が間欠的となり、有効放電が減少して加工効率が低下する。このように切断ワイヤ部が振動的となる加工状況では、印加電圧や加工電流、放電周波数などの放電加工エネルギに関係する値が大きいと、切断ワイヤ部は加工面で短絡したときに流れる短絡電流によって断線しやすくなる。そこで、ワイヤ電極ガイドを使用することにより、被加工物の加工側の端面付近での加工液流によるワイヤ振動を抑制し、放電加工を安定化させる技術が、例えば特許文献3に開示されている。
特開2000−94221号公報 PCT/JP2010/060686 実開昭61−20227号公報
しかしながら、上記従来の技術、例えば特許文献3に開示の技術によれば、1本のワイヤ電極で1本の切断溝を形成しながら加工する通常のワイヤ放電加工において、被加工物の加工側の側面に装着されたワイヤ電極ガイドにより、加工液によるワイヤ振動が抑制され放電加工が安定化するとしている。しかし、開示のワイヤ電極ガイドは、加工液の流路がワイヤ走行方向にのみ形成されているために、被加工物に対して、通常、上下方向に密着配置されるノズルが、ワイヤ電極ガイドからワイヤ電極ガイドへ供給された加工液の排出口を塞いでしまうために、ワイヤ電極ガイド内で加工液が入れ替わりにくくなる。
さらには、上下に配置された前記ノズルからワイヤ電極ガイド内に向けて加工液が噴出され続け、加工液がワイヤ電極ガイド内に満たされると、ワイヤ電極ガイドには加工液の排出口が他に無いため、やはり、ワイヤ電極ガイド内で加工液が入れ替わりにくくなる。このような状態では、放電加工中のワイヤ電極の冷却が不十分となり、ワイヤ電極は断線しやすくなる。また、加工液が入れ替わりにくいために、放電加工によって極間に発生した加工屑は外部へ排出されにくく、短絡しやすく放電加工は不安定となる。したがって、本発明が対象としている複数本の切断ワイヤ部による放電加工においても、特許文献2に開示のワイヤ電極ガイドでは、被加工物の端面加工時において同様の加工状態となり、ワイヤは断線しやすく、放電加工は不安定となるために、加工速度を速くできないという問題を解決するものではなかった。
また、ワイヤ電極ガイドの穴と使用するノズルの加工液噴出口との大小関係、および、ワイヤ電極ガイド本体の使用するノズルの加工液噴出口との大小関係が加工液の供給状態に関する。すなわち、前述の大小関係によって、加工液がワイヤ電極ガイド外部に流出してワイヤ電極ガイド内には十分供給されない、もしくは、ワイヤ電極ガイド内に供給されてもワイヤを振動させる状態となるが、特許文献3に開示の技術ではそのような関係には言及していない。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、短絡や放電頻度の減少などによる加工精度や加工速度の低下を改善することのできるワイヤ放電加工装置、ワイヤ放電加工方法、薄板製造方法および半導体ウエハ製造方法を得ることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、互いに並列に離間しつつ被加工物にそれぞれ対向する複数の切断ワイヤ部を有するワイヤ電極と、パルス状の加工用電圧を発生させる加工用電源と、複数の前記切断ワイヤ部に電気的に接続され、複数の前記切断ワイヤ部と前記被加工物との間に前記加工用電圧を印加して放電を生じさせる複数の給電子と、前記放電により前記被加工物に形成される複数の切断溝に向けて複数の前記切断ワイヤ部に沿って加工液を噴出すると共に複数の前記切断ワイヤ部が通過可能な噴出口が当該被加工物に対向するよう形成されたノズルと、前記被加工物の上に接触して設けられ、前記被加工物に向けてそれぞれ開口し複数の前記切断ワイヤ部をそれぞれ1本ずつ収納可能な複数のスリットを有する加工液案内部とを備えることを特徴とする。
本発明によれば、並列する複数の切断ワイヤ部によって被加工物をその端面から加工する場合でも、加工液の流れを安定化させることが容易になり、切断ワイヤ部の振動を抑えることができ、安定した放電加工を行うことができる。また、被加工物の端面から加工を開始する場合でも、加工液の流量や液圧を増大でき、また、放電加工エネルギを大きくできるため、端面付近の加工と被加工物の内部での加工条件の違いを少なくできるために、加工精度や加工速度が低下することを抑制することができる。
図1は、実施の形態1に係るワイヤ放電加工装置の全体斜視図である。 図2は、実施の形態1に係るノズルを噴出口側から見た正面図である。 図3は、実施の形態1に係る切断ワイヤ部が形成する平面の垂直方向からみたノズルの平面断面図である。 図4は、実施の形態1に係る被加工物の切断過程における切断面と平行な断面を示すノズル部分の正面断面図である。 図5は、実施の形態1に係る被加工物の切断過程における加工液案内部の斜視図である。 図6は、実施の形態1に係る加工液案内部の上面図、ワイヤ走行方向側面図、およびもう一方からの側面図からなる三面図である。 図7は、実施の形態2に係るワイヤ放電加工装置が備える加工液案内部の組図の上面図、ワイヤ走行方向側面図、およびもう一方からの側面図からなる三面図である。 図8は、実施の形態2に係るワイヤ放電加工装置が備える加工液案内部の変形例の組図の上面図、ワイヤ走行方向側面図、およびもう一方からの側面図からなる三面図である。 図9は、実施の形態3に係るワイヤ放電加工装置が備える加工液案内部の部分拡大斜視図である。 図10は、実施の形態3に係るワイヤ放電加工装置が備える加工液案内部の変形例の部分拡大斜視図である。
以下に、本発明にかかるワイヤ放電加工装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
以下に、本発明の実施の形態1の構成および動作について説明する。図1は、実施の形態1に係るワイヤ放電加工装置を示した斜視図である。
実施の形態1に係るワイヤ放電加工装置においては、ワイヤボビン1から繰り出された一本のワイヤ電極2が、順次、複数のガイドローラ3a〜3d間を、複数回、互いに微小な間隔を隔てて巻回されて、複数の切断ワイヤ部2aが形成されている。すなわち、ワイヤ電極2は、複数の切断ワイヤ部2aを有する。このワイヤ電極2が巻回されて形成された切断ワイヤ部2aの間隔が被加工物8の加工幅(厚さ)となる。すなわち、各切断ワイヤ部2aに対して所定間隔だけ離間させて被加工物8を対向させて配置した状態で、各切断ワイヤ部2aと被加工物8との間に電圧を印加しながら、被加工物8を各切断ワイヤ部2aに対して切断送りすることにより、被加工物8を各切断ワイヤ部2aで放電切断する。
これにより、被加工物8が複数枚の薄板に加工される。なお、被加工物8は、素材を複数の薄板にスライスするものであって、例えば、スパッタリングターゲットとなるタングステンやモリブデンなどの金属、各種構造部材として使われる多結晶シリコンカーバイトなどのセラミックス、半導体デバイスウエハとなる単結晶シリコン及び/又は単結晶シリコンカーバイトなどの半導体素材、太陽電池ウエハとなる単結晶および多結晶シリコンなどの太陽電池素材などがある。半導体素材は、シリコン及びシリコンカーバイトの少なくとも一方を主成分とする材料で形成されていても良い。また、図1に示した例では、1本のワイヤ電極2を複数のガイドローラ3a〜3dに巻回した例について示しているが、この場合に限らず、1本のワイヤ電極2を折り返すことにより複数の切断ワイヤ部2aが形成されるのであれば、その具体的な構成については特に限定しないものとする。
本実施の形態においては、複数のガイドローラ3a〜3dは、互いに軸線方向に平行に離間して配置されている。高い方の位置にガイドローラ3aと3bとが設けられ、ガイドローラ3bの下方の低い方の位置にガイドローラ3cが設けられ、ガイドローラ3aの下方の低い方の位置には、ガイドローラ3cと並ぶようにガイドローラ3dが設けられている。
ワイヤ電極2はガイドローラ3a〜3dの周りを所定回数だけ巻回した後に、ワイヤ排出ローラ(図示せず)より排出され、ワイヤ巻き取りボビン5に回収される。ワイヤ電極2のガイドローラ3cとガイドローラ3dとの間に張られた部分が、被加工物8と対向可能であり、その一部が被加工物8を加工する切断ワイヤ部2aとなっている。図1に示すように、当該切断ワイヤ部2aに対して微小間隔を隔てて対向させるように被加工物8を配置して、放電加工処理を行う。
ワイヤ電極2には、加工用電源6から給電子7A、7Bを介して、放電加工を行うための電圧(加工用電圧)が給電され、被加工物8との間に電圧が印加される。加工用電源6は互いに独立して電圧を印加できる複数の加工電源ユニット61からなる。給電子7A、7Bもそれぞれが互いに絶縁された複数の給電子ユニットから構成されていて、各切断ワイヤ部2aに独立して電圧を印加できる構成となっている。このように、並列ワイヤ電極に対して独立に電圧を印加できる複数の加工電源ユニット61は、ワイヤ放電加工装置の制御装置(図示せず)に接続される。
なお、当然ながら、電圧印加極性は一般的なワイヤ放電加工と同様に、必要に応じて適宜反転可能となっている。被加工物8は、図示しない位置制御装置により、ガイドローラ3cおよび3dの間に巻回されたワイヤ電極2と微小間隙を隔てるように位置が制御されているので、適正な放電ギャップ長が維持されている。なお、加工液は図示しないが、通常のワイヤ放電加工と同様に、吹きかけもしくは浸漬により被加工物8とワイヤ電極2との間に供給されている。
図2は、ノズル80を噴出口82側から見た正面図である。ノズル80は、加工液を噴出口82から噴出して、被加工物8とワイヤ電極2との間に加工液を供給する。ノズル80には、切断ワイヤ部2aを貫通させる貫通孔96が形成される。ノズル80は、貫通孔96に切断ワイヤ部2aを貫通させた状態で、被加工物8の両側にそれぞれ噴出口82を被加工物8に対向させて配置される。
図3は、ノズル80を切断ワイヤ部2aが形成する平面の垂直方向からみた平面断面図である。さらに、図4は、被加工物の切断過程における切断面と平行な断面を示すノズル部分の正面断面図である。
図3および図4が示すように、ノズル80は、本体84、噴出口構成板91、逃げ口構成板92を備える。本体84には、加工液を供給するための配管接続用孔81が形成されている。配管接続用孔81は、本体84を貫通して形成されており、その一方側が図2に示した栓85で塞がれている。本体84を貫通して形成された配管接続用孔81の他方側には、加工液を供給する図2に示した供給配管93が接続される。なお、栓85で塞ぐ側と供給配管93を接続する側を逆に構成してもよい。
本体84には、加工液を噴出する方向側とその反対方向側に噴出口構成板91と逃げ口構成板92がそれぞれ取り付けられる。本体84には、噴出口構成板91と逃げ口構成板92で形成された孔によって、切断ワイヤ部2aを通過させるワイヤ通過孔94が形成される。ワイヤ通過孔94と配管接続用孔81とは、本体84の内部で交差する。したがって、供給配管93から配管接続用孔81に供給された加工液は、ワイヤ通過孔94の両端へと向かう。
このように、本体84に噴出口構成板91と逃げ口構成板92とが取り付けられることで、噴出口82を一端側の開口とする貫通孔96が、噴出口82、ワイヤ通過孔94および逃げ口83により構成される。なお、図4に示すようにワイヤ通過孔94の端部の開口面積よりも、噴出口82および逃げ口83の開口面積のほうが小さくなっている。また、噴出口82の開口面積よりも逃げ口83の開口面積のほうが小さくなっている。
噴出口82は、極間へ加工液を供給するためのもので、逃げ口83は切断ワイヤ部2aをノズル80内に通過させるためのものである。ワイヤ通過孔94と配管接続用孔81とが交差する部分では、本体84内において若干の空間ができる。配管接続用孔81から本体84に流れ込んだ加工液は、この空間で貯められ、流れ方向を90度変換されて噴出口82から噴出される。
ノズル80は、噴出口82が被加工物8の両側に近接するように配置される。被加工物8の両側に設置されたノズル80の噴出口82と被加工物8の端面との間隙は、密着加工できる場合には、0.1mm〜0.3mmに設定される。また、被加工物8の部材種類や求められるスライス厚さによっては、加工液の噴出圧によるダメージを軽減するために、噴出口82が被加工物8から50mm程度離れるようにノズル80を配置する場合もある。なお、加工屑の効率的な排出のためには、噴出口82と被加工物8との距離は50mm以下であることが望ましい。
また、複数の切断ワイヤ部2aを有するワイヤ電極2は、二つのうちの一方のノズル80の逃げ口83から当該ノズル80内に挿入され、噴出口82から当該ノズル80の外部へ出て行く。そして、その先に対向するもう一方のノズル80の噴出口82からノズル80内に挿入され、ノズル80の内部を通って逃げ口83から出て行く。その後、給電子7Aあるいは7Bと接触して、ガイドローラ3a〜3dに巻回される。これを繰り返すことにより、ワイヤ電極2が、ノズル80間に並列させた複数の切断ワイヤ部2aを有するものとすることができる。
図3および図4にて断面図で示した加工液案内部100について詳細に説明する。図5は、加工液案内部100の概略形状を示す拡大図である。加工液案内部100は被加工物8上に設置されており、図5は、切断ワイヤ部2aによる放電加工を開始前の状態を示ししている。なお、加工液案内部100を見やすくするために、図5ではノズル80は図示していない。
図6は加工液案内部100の、上面図、ワイヤ走行方向に見た側面図、およびもう一方からみた側面図からなる三面図である。加工液案内部100には、切断ワイヤ部2aを構成する並列ワイヤと同数以上の直線状のスリット101が形成されている。
図6のワイヤ走行方向に見た側面図に示したこのスリット101の加工方向(深さ方向)の長さxは、ノズル80の噴出口82の加工方向(深さ方向)の長さ(図4のy)の1/2以上である。また、スリット101のピッチは切断ワイヤ部2aを構成する並列ワイヤのピッチと同等であり、スリット101の溝幅は切断ワイヤ部2aを構成する各ワイヤの直径以上である。また、スリット101の奥行き方向の長さは被加工物8のワイヤ走行方向の厚さと同等であり、スリット101の本数は切断ワイヤ部2aのワイヤ本数以上である。
ここで、被加工物8に対するノズル80の位置は、放電加工の進行とともにステージ97が動くことにより相対的に移動し、被加工物8に形成された切断溝の長さがノズル80の噴出口82の高さ方向寸法の1/2になると、ノズル80の噴出口82が被加工物8に完全に覆われることから、スリット101の深さ方向長さを噴出口82の長さの1/2以上としている。
また図6に示すように、加工液案内部100の上面側の中央部、すなわち、切断ワイヤ部2aを収納できるようにスリット101が加工された面に対して反対側の面の中央部がスリット101へ向けてくり抜かれた貫通穴である加工液排出路102が形成されている。加工液排出路102はスリット101それぞれのすべての先端に到達している。すなわち、すべてのスリット101と加工液排出路102はつながっている。加工液排出路102のワイヤ走行方向の開口幅、すなわち、奥行き方向の長さは加工液案内部100のワイヤ走行方向の幅より短く、加工液案内部100のスリット101が加工された面に対して反対側の面に数mmから十数mmの厚さの枠が残る程度に形成される。
加工液案内部100は、複数枚の薄板に切り出される部分を切断ワイヤ部2aに対向するように設置された被加工物8において、薄板が切り出される部分に配置される。加工液案内部100は、その奥行き方向にスリット101が加工された面を被加工物8の加工開始面に対向するように被加工物8の上面に設置・固定される。このとき、加工液案内部100の各スリット101内に切断ワイヤ部2aを構成する各並列ワイヤを1本ずつはめ込んだ状態で設置する。
被加工物8のワイヤ走行方向の厚さと加工液案内部100のスリット101のワイヤ走行方向の長さ、すなわち、加工液案内部100のワイヤ走行方向の長さは等しくなっており、被加工物8においてノズル80が対向する側の面と、加工液案内部100においてノズル80が対向する側の面とが同一面内にあるように加工液案内部100を配置する。さらに、加工液案内部100のスリット101にはめ込まれた各並列ワイヤが、スリット101の内面に接触しないように微調整して加工液案内部100を配置する。加工液案内部100は、たとえば、接着剤や接着シート、被加工物8へのねじ締結、あるいは、バイスなどを用いて被加工物8と加工液案内部100とを挟み込むなどして被加工物8に固定される。
加工液案内部100には、スリット101の内面に対して放電加工されないように、あるいは、切断ワイヤ部2aが接触し合った場合にそのワイヤ間で短絡しないように、非導電性物質が使用される。切断ワイヤ部2aは走行しているので接触すると摩擦により前述の非導電性物質が磨耗するので、スリット101の内面を、たとえば、硬質アルマイトやダイヤモンドライクカーボン(DLC)のような非導電性物質で被覆してもよい。あるいは、加工液案内部100自体が、樹脂や非導電性セラミックなどの非導電性材料で製作されたものでもよい。
以上説明したような装置構成および配置状態において、加工液をノズル80に供給すると、供給配管93を通って加工液がノズル80内部に流入する。ノズル80内部に流入した加工液は、噴出口82から噴出され、逃げ口83から排出される。ここで、ノズル80内部に流入した加工液は、噴出口82からのみ噴出して被加工物8の極間へ供給されることが望ましいが、ワイヤ電極2を通すために形成された逃げ口83からも排出される。しかしながら、上述したように噴出口82の開口面積よりも逃げ口83の開口面積のほうが小さくなっているので、ほとんどの加工液が流れの抵抗がより小さい噴出口82から噴出される仕組みになっている。噴出口82および逃げ口83の幅寸法は並列された複数の切断ワイヤ部2a全体が収まる幅で形成される。
被加工物8の両側に配置された2つのノズル80に供給された加工液は、噴出口82から各切断ワイヤ部2aに沿って切断ワイヤ部2aとほぼ同軸線上に噴出され、被加工物8へ吹き付けられる。このとき、加工液案内部100が被加工物8の加工開始面の上部に設置されており、ノズル80の噴出口82は加工液案内部100で塞がれている。したがって、被加工物8の端面を加工する状態であっても、噴出口82と被加工物8の端面位置との相対位置に影響されることなく、加工液は加工液案内部100の各スリット101で整流され、スリット101を通過し、加工液排出路102を通過して外部へ流れ出す流路が確保される。これにより加工液流の乱れは抑制され、切断ワイヤ部2aを構成する並列ワイヤの振動が抑制される。
加工初期の段階では、被加工物8に形成される切断溝の深さが短いにもかかわらず、加工液案内部100のスリット101によって既にある程度のスリットが形成されている状態に相当するため、加工液案内部100の各スリット101に供給された加工液によって、放電加工で発生する加工屑が極間に滞在することなく加工液排出路102から排出されるようになる。
この状態でワイヤ電極2を走行させつつ、ワイヤ電極2と被加工物8との間に電圧を印加し、ステージ97を上昇させると、ステージ97に固定されている被加工物8が上昇する。ワイヤ電極2と被加工物8が徐々に接近し、数十〜数百ミクロン程度の間隙になると、ワイヤ電極2との間に発生する放電によって被加工物8が溶融し、除去加工される。このような放電状態が継続するように前記間隙、すなわち、極間の距離を保つように加工送り速度、放電周波数、加工電流、印加電圧、加工液流量、加工液圧力、ワイヤ走行速度などの加工条件を変更しながら制御することにより、被加工物8には各並列ワイヤに対応する切断溝、すなわち、被加工物8を複数枚の薄板に切断する溝が次第に深く加工されていく。
このような構成によれば、被加工物8の端面の加工であっても、加工液流の乱れが抑制され、それに伴う切断ワイヤ部2aの振動も抑制されるので、端面での短絡による断線が起こりにくくなり、大きな加工エネルギを設定できるために加工速度を高速化することができる。また、ワイヤ振動による放電頻度の低下が改善され、加工速度が向上する。さらに、被加工物8における切断溝深さが不十分なために加工液流量や液圧を上げられなかった状態でも十分に深く切断溝が形成されている状態と等価となり、液圧や流量を高くすることで加工液をスリット101へ圧入でき、加工屑を極間から排出できるようになるので加工速度を向上させることができる。
前述した加工液案内部100は、加工開始時、すなわち、被加工物8の端面付近でのワイヤ放電加工の高速化と安定化に効果を奏する。加工が進行して切断溝が深くなっても、ノズル80の噴出口82と切断溝との相対位置関係は変化せず、また、加工液案内部100による加工液供給状態が変化しないために、被加工物8の切り始めから切り終わりまでの極間への加工液供給状態が安定する。従って、加工条件変更の必要がなくなり、加工開始から加工終了まで一定の加工条件で加工できることから、加工時間の短縮化が図れ、また、切り出された薄板の厚さのばらつきに影響する切断溝の幅を細く、かつ、均一に加工できるようになり加工精度が向上する。
また、上記説明したワイヤ放電加工装置を用いたワイヤ放電加工方法によって、結晶シリコン及び/又は単結晶シリコンカーバイトなどの半導体素材、単結晶または多結晶シリコンなどの太陽電池素材、多結晶シリコンカーバイトなどのセラミックス、タングステンやモリブデンなどのスパッタリングターゲット素材を加工することが可能である。このような素材を被加工物8として加工すると、放電加工中にワイヤ間に作用する電磁力が相殺、あるいは、軽減され、ワイヤ電極2のたわみが防止されるので、一度に複数枚の薄板を高い寸法精度で切り出すことができる。
実施の形態2.
図7は、実施の形態2に係るワイヤ放電加工装置が備える加工液案内部130の上面図、ワイヤ走行方向に見た側面図、およびもう一方からみた側面図からなる三面図である。実施の形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施の形態2では、加工開始前にワイヤ電極2(複数の切断ワイヤ部2a)を個別に分離して通線しておくスリット部分の製作を簡易化するために加工液案内部130の構造を変更している。
実施の形態1にて説明した加工液案内部100を作製しようとする場合は、たとえば、バルク状の部材からスリット101の輪郭をワイヤ放電加工により切り出し、さらに、エンドミルなどを使用した切削加工により加工液排出路102を形成する。この方式によって加工液案内部100を製作することができるが、一体成型品であるため、スリット101に仕様変更が生じた場合の寸法調整が利かず、加工液案内部100全体を新たに作り直す必要がある。
そこで、本実施の形態2では、スリット101と加工液排出路102を上述のようなバルク状の部材からの削り出しによって形成するのではなく、図7に示すように厚さと長さの異なる2種類の薄板を交互に積層することによって構成された構造とする。
加工液案内部130のスリット101の構造について詳細に説明する。スリット101は、各スリット101を隔てるための仕切り板103とスリット側面を形成する側板104が交互に隙間がないように重ねられることで形成される。さらに、切断ワイヤ部2aを構成する並列ワイヤの本数と同数以上に重ねられた仕切り板103の側板104が接していない両側には固定用ブロック105があてがわれる。なお、各仕切り板103、各側板104および2個の固定用ブロック105には、締結用のボルト106を通すための貫通穴が加工されており、一方の固定用ブロック105の貫通穴から挿入されたボルト106が、反対側に位置する固定用ブロック105の貫通穴を通り抜けてナット107で締結される。このように、積層状態の各板をねじ締結することによってスリット101が構成される。なお、締結用のボルト106は、その側面が締結時に各側板104および固定用ブロック105に接触して電気的絶縁状態にある各側板104間が導通しないように、硬質アルマイト処理などの絶縁被覆処理がなされるか、あるいは、樹脂や絶縁性セラミックスなどの絶縁材によって形成されている。
スリット101の形状は、仕切り板103と側板104の形状で調整する。すなわち、仕切り板103と側板104の上側と正面側は、加工液案内部130の上面とノズル80に対向する面を構成するため、仕切り板103と側板104のそれぞれの上側と正面側を揃えるように整列させた後、締結する。したがって、仕切り板103と側板104のスリット101の加工方向(ステージ97の移動方向)の長さの寸法を調整することによって加工液案内部130のスリット101の長さを設定することができる。このとき、仕切り板103は、その加工方向の長さが側板104より短く、さらには、非導電性材質で製作されている。側板104および固定用ブロック105も非導電性材質で製作されているとさらによい。また、スリット101の幅(図7のボルト106の延伸方向の幅)は仕切り板103の厚さで設定でき、各スリット101の間隔は、仕切り板103と側板104との厚さ、すなわち、仕切り板103と側板104を1枚ずつ積層した厚さにより設定できる。
加工液排出路102の構成について説明する。仕切り板103と側板104のワイヤ走行方向の寸法を、固定用ブロック105のワイヤ走行方向の寸法の1/2より短くしておく。これらの仕切り板103と側板104とを重ね合わせてスリット101を構成したものを2個準備し、それらを固定用ブロック105のノズル対向面側を基準に各スリット101を揃えて締結固定すると、固定用ブロック105に比較して前記積層されたスリット101のワイヤ走行方向の寸法が短いために、2個の積層されたスリット101は接触せず、固定用ブロック105の中央部分で間隙ができ、これが加工液排出路102となる。加工液排出路102は前述のように2個の積層されたスリット101間の間隙によって形成されるため、加工液排出路102の寸法は、スリット101を構成する仕切り板103と側板104のワイヤ走行方向の寸法により設定できる。
加工液案内部130を前述の方式によって構成することにより、加工液案内部130の製作時間を大幅に短縮することができる。特に、加工時間を要するスリット101の形状加工を単純形状の薄板加工と穴加工としたので、スリット101や加工液排出路102の仕様変更にも容易に対応できる。また、ワイヤ放電加工では加工できない樹脂材も加工できるので、電気的絶縁が必要な部分を非導電性部品に置き換えることが容易になる。さらに、板部品の積層組み立て式のために、スリット本数の変化や特定スリットの損傷に対しても、仕切り板103と側板104の追加・取り外し、あるいは、交換により柔軟に対応できる。
図8は、図7に示した加工液案内部130におけるスリット101部分の変形例である。図7では、仕切り板103と側板104を交互に重ね合わせたスリット101を2個使用して加工液排出路102を構成している。図8では、側板104のワイヤ走行方向の寸法を固定用ブロック105と同様とし、仕切り板103のみのワイヤ走行方向の寸法を短くして側板104と交互に積層することで加工液排出路102を構成するようにしている。図7の方式に比較して加工液排出路102の面積は減少するが、その分、仕切り板103のワイヤ走行方向の長さを短くすることで、加工液排出路102の面積を調整でき、放電加工によっては発生した加工屑を加工液案内部130に留まることなく外部へ排出される。なお、ここでは仕切り板103のワイヤ走行方向の長さを側板104より短くした構成について述べたが、側板104のワイヤ走行方向の長さを仕切り板103より短くして前後の両群に分かれた側板104間の切れ目で加工液排出路102を構成しても同様の効果を得ることができる。
また、上記説明したワイヤ放電加工装置を用いたワイヤ放電加工方法によって、結晶シリコン及び/又は単結晶シリコンカーバイトなどの半導体素材、単結晶または多結晶シリコンなどの太陽電池素材、多結晶シリコンカーバイトなどのセラミックス、タングステンやモリブデンなどのスパッタリングターゲット素材を加工することが可能である。このような素材を被加工物8として加工すると、加工速度が速くなり、切断溝幅を狭くすることができるので、1つのインゴットからより多くの部材を得ることができ、また、一度に複数枚の薄板を高い寸法精度で切り出すことができる。
実施の形態3.
図9は、実施の形態3に係るワイヤ放電加工装置が備える加工液案内部140の部分拡大斜視図である。実施の形態1と同様の構成については、同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。本実施の形態3では、ワイヤ電極2(複数の切断ワイヤ部2a)を加工液案内部140に通線する作業をより一層容易にするため、さらに、加工液案内部140自体の製作を簡略化する上で加工液案内部140の構成を変更している。
本実施の形態3では加工液案内部140に、切断ワイヤ部2aを構成する各ワイヤを一本ずつ個別に通過させるための複数本のスリット101を設けずに、一つの幅広スリット150に切断ワイヤ部をまとめて通過させる構造としている。図9に示すように、加工液案内部140を被加工物8の加工側上面に設置した場合、加工液案内部140のスリット150の形状は,幅が切断ワイヤ部2aを構成する並列ワイヤのすべてが並列した幅よりも1mm程度広く、高さが1mm〜数mm程度の長方形形状としており、また、スリット150は、加工液案内部140の奥行き方向(被加工物8の切断厚さ方向)に、スリット150の断面形状が上記長方形形状となるように加工されている。さらに、実施の形態1の加工液案内部100と同様に、加工液排出路102が加工液案内部140のスリット加工面に対して反対側の面からスリット150まで貫通加工されている。
以上のように、加工液案内部140は、切断ワイヤ部2aを構成する並列ワイヤを一本ずつはめ込むためのスリット101を備えない単純形状ため、加工液案内部140の製作が簡単になり、被加工物8の加工側上面への設置作業においても、加工液案内部140の内面が切断ワイヤ部2aに接触しないように微調整する手間を省くことができる。また、加工液案内部140のスリット150の内部へ流入する加工液の流量や圧力が不足する場合、加工液案内部140と被加工物8との設置部分にスリット調整板131を挟みこむことでスリット150の高さを調整することができる。
図10は、加工液案内部140の変形例である。被加工物8から切り出す薄板の枚数、すなわち、切断ワイヤ部2aを構成する並列ワイヤの本数に変更がない場合には、加工液案内部140は図9のように、スリット形状を大きく変更する必要はない。しかし、被加工物8から切り出す薄板の枚数が少ない場合、切断ワイヤ部2aを構成する並列ワイヤの本数を少なくして加工することになる。このとき、放電加工によって形成される切断溝に対して加工液案内部140のスリット150の面積が必要以上に大きいと、ノズル80から噴出された加工液はスリット150の方に流出し、すなわち、溝幅の狭い切断溝には圧入されにくくなるために極間からの加工屑の排出効果が低下する。
そこで、加工液案内部140を図10に示したように両側の足となるスリット調整板132の間が切断ワイヤ部2aを通過させるスリット150となるような構成にする。このような構成とすることにより、スリット調整板132の厚み、幅、枚数を調整することで、スリット150を高さだけでなく、ワイヤ本数に応じた幅にも容易に調整可能とすることができる。また、被加工物8の切断位置を変更するために切断ワイヤ部2aを相対的に平行移動させた場合、幅が異なるスリット調整板132を使用すれば、加工液案内部140のスリット150の位置を容易に変更でき、切断ワイヤ部2aを加工液案内部140のスリット150の中心部分を通過させることができる。なお、切断ワイヤ部2aの並列ワイヤ数を増大させる場合には、スリット調整板132の幅を短縮することで容易にスリット150の幅を広くすることができる。
また、上記説明したワイヤ放電加工装置を用いたワイヤ放電加工方法によって、結晶シリコン及び/又は単結晶シリコンカーバイトなどの半導体素材、単結晶または多結晶シリコンなどの太陽電池素材、多結晶シリコンカーバイトなどのセラミックス、タングステンやモリブデンなどのスパッタリングターゲット素材を加工することが可能である。このような素材を被加工物8として加工すると、加工速度が速くなり、切断溝幅を狭くすることができるので、1つのインゴットからより多くの部材を得ることができ、また、一度に複数枚の薄板を高い寸法精度で切り出すことができる。
更に、本願発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、上記実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。
例えば、上記実施の形態1乃至3それぞれに示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。更に、上記実施の形態1乃至3にわたる構成要件を適宜組み合わせてもよい。
以上のように、本発明にかかるワイヤ放電加工装置は、薄板の製造に有用であり、特に高い寸法精度を要求される半導体素材、太陽電池素材の製造に適している。
1 ワイヤボビン
2 ワイヤ電極
2a 切断ワイヤ部
3a、3b、3c、3d ガイドローラ
5 ワイヤ巻き取りボビン
6 加工用電源
7A、7B 給電子
8 被加工物
14a、14b ワイヤガイドローラ
15a、15b ワイヤ押さえ
61 加工電源ユニット
80 ノズル
81 配管接続用孔
82 噴出口
83 逃げ口
84 本体
91 噴出口構成板
92 逃げ口構成板
93 供給配管
94 ワイヤ通過孔
96 貫通孔
97 ステージ
100、130、140 加工液案内部
101、150 スリット
102 加工液排出路
103 仕切り板
104 側板
105 固定用ブロック
106 ボルト
107 ナット
131、132 スリット調整板

Claims (11)

  1. 互いに並列に離間しつつ被加工物にそれぞれ対向する複数の切断ワイヤ部を有するワイヤ電極と、
    パルス状の加工用電圧を発生させる加工用電源と、
    複数の前記切断ワイヤ部に電気的に接続され、複数の前記切断ワイヤ部と前記被加工物との間に前記加工用電圧を印加して放電を生じさせる複数の給電子と、
    前記放電により前記被加工物に形成される複数の切断溝に向けて複数の前記切断ワイヤ部に沿って加工液を噴出すると共に複数の前記切断ワイヤ部が通過可能な噴出口が当該被加工物に対向するよう形成され、前記切断ワイヤ部が通過可能な逃げ口が前記噴出口とは反対方向側に形成されたノズルと、
    前記被加工物の上に接触して設けられ、前記被加工物に向けてそれぞれ開口し複数の前記切断ワイヤ部をそれぞれ1本ずつ収納可能な複数のスリットを有する加工液案内部と、
    を備え
    前記スリットの加工方向の長さが、前記噴出口の加工方向の長さの1/2以上であり、
    前記スリットは、全て、前記加工液案内部の前記スリットが形成された面と反対側の面に設けられて前記加工液を排出する加工液排出路とつながっており、
    前記噴出口の開口面積よりも前記逃げ口の開口面積のほうが小さくなっている
    ことを特徴とするワイヤ放電加工装置。
  2. 前記スリットのピッチは並列する前記切断ワイヤ部のピッチと等しく、前記スリットの溝幅は前記ワイヤ電極の直径以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  3. 前記加工液案内部、あるいは、前記スリットの内面は非導電性材料である
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  4. 前記非導電性材料は、硬質アルマイトあるいはダイヤモンドライクカーボン(DLC)
    であることを特徴とする請求項に記載のワイヤ放電加工装置。
  5. 前記加工液案内部は、前記スリットを隔てる側板と前記スリットの溝幅を有し前記側板より加工方向の長さが前記スリットの加工方向の長さ分短い仕切り板とを交互に重ね合わせることで前記スリットを構成する
    ことを特徴とする請求項1に記載のワイヤ放電加工装置。
  6. 前記側板と前記仕切り板とを交互に重ね合わせた構成をワイヤ走行方向に離間して2つ設けることにより両者の間隙に前記加工液を排出する加工液排出路を有する
    ことを特徴とする請求項に記載のワイヤ放電加工装置。
  7. 前記側板および前記仕切り板は非導電性材料である
    ことを特徴とする請求項またはに記載のワイヤ放電加工装置。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置により、被加工物をスライス加工する
    ことを特徴とするワイヤ放電加工方法。
  9. 請求項1〜のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置を用いて、被加工物を複数枚の薄板へ加工する
    ことを特徴とする薄板製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれか1項に記載のワイヤ放電加工装置を用いて、半導体素材を複数枚の半導体ウエハへ加工する
    ことを特徴とする半導体ウエハ製造方法。
  11. 前記半導体素材は、シリコン及びシリコンカーバイドの少なくとも一方を主成分とする材料で形成されている
    ことを特徴とする請求項10に記載の半導体ウエハ製造方法。
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