JP2017185604A - 放電マルチブレードソー - Google Patents

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正毅 淵山
Masatake Fuchiyama
正毅 淵山
小林 真
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Abstract

【課題】カーフロスを抑制できる放電マルチブレードソーを提供する。
【解決手段】放電マルチブレードソーは、被加工物が固定される導電性を有する基台と、複数の導電性を有する細長い薄板が互いに平行に間隔を空けて櫛状に固定された加工部と、加工部と基台に高周波パルス電圧を印加する高周波パルス電源ユニットと、加工部と基台とを相対移動させ基台に固定された被加工物に薄板を厚さ側の面から切り込ませる加工送り手段と、加工部と基台に固定された被加工物が浸漬する加工液を貯留する貯留槽と、を備える。加工部は、薄板の幅側の面に絶縁材が被覆され、厚さ側の面で放電が発生し、切り代が伸展する。
【選択図】図4

Description

本発明は、放電マルチブレードソーに関する。
SiCや単結晶ダイヤモンドインゴットのような硬質材料をスライスする装置として、ワイヤ状の電極を用いる放電マルチワイヤーソーが知られている(特許文献1参照)。
放電マルチワイヤーソーに使用されるワイヤは、直径0.3[mm]程度と非常に細いため、高電圧が印加された場合又は短絡により発熱した場合には容易に破断してしまうという課題がある。また、放電マルチワイヤーソーにおいては、ワイヤの張力を監視及び調整する必要がある。また、放電マルチワイヤーソーは、ワイヤを複数のガイドローラで支持して移動させる構造であるため、機構が複雑化し、ワイヤをガイドローラにセットするときの工数が増大してしまうという課題もある。
特開2000−094221号公報
このような放電マルチワイヤーソーの課題に対処するため、薄板状の電極を用いる放電マルチブレードソーが案出されている。薄板はワイヤに比べて破断し難く、高電圧を印加することができる。
しかし、薄板の幅側の面で放電が発生すると、切断後において被加工物に生成されるカーフ溝の溝幅が大きくなり、被加工物のカーフロスが増大してしまう。なお、カーフロスとは、切断により被加工物から除去されてしまう領域であり加工屑のような被加工物の除去成分をいう。カーフロスが大きいと、インゴットから切り出せるウェーハの枚数が少なくなってしまう。
本発明は、カーフロスを抑制できる放電マルチブレードソーを提供することを目的とする。
本発明は、被加工物が固定される導電性を有する基台と、複数の導電性を有する細長い薄板が互いに平行に間隔を空けて櫛状に固定された加工部と、該加工部と該基台に高周波パルス電圧を印加する高周波パルス電源ユニットと、該加工部と該基台とを相対移動させ該基台に固定された被加工物に該薄板を厚さ側の面から切り込ませる加工送り手段と、該加工部と該基台に固定された該被加工物が浸漬する加工液を貯留する貯留槽と、を備える放電マルチブレードソーであって、該加工部は、該薄板の幅側の面に絶縁材が被覆され、該厚さ側の面で放電が発生し、切り代が伸展することを抑制する放電マルチブレードソーを提供する。
本発明に係る放電マルチブレードソーにおいて、該加工部を該薄板の長手方向に揺動する揺動手段を備えることが好ましい。
本発明に係る放電マルチブレードソーにおいて、該加工送り手段は、放電加工中に該加工部と該基台との距離を離し、放電で発生する加工屑の排出を促すことが好ましい。
本発明に係る放電マルチブレードソーによれば、カーフロスが抑制できる。
図1は、第1実施形態に係る放電マルチブレードソーの一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、第1実施形態に係る薄板の一部を模式的に示す斜視図である。 図3は、第1実施形態に係る加工部を模式的に示す断面図である。 図4は、図3のA部分を拡大した図である。 図5は、第1実施形態に係る加工部の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図6は、第1実施形態に係る加工部の製造方法の一例を示す模式図である。 図7は、第1実施形態に係る加工部の製造方法の一例を示す模式図である。 図8は、第1実施形態に係る加工部の製造方法の一例を示す模式図である。 図9は、第1実施形態に係る加工部の製造方法の一例を示す模式図である。 図10は、第1実施形態に係る加工部の製造方法の一例を示す模式図である。 図11は、第1実施形態に係る放電加工方法により放電加工される被加工物の一例を示す模式図である。 図12は、第1実施形態に係る放電マルチブレードソーの動作の一例を示す模式図である。 図13は、第1実施形態に係る放電マルチブレードソーの動作の一例を示す模式図である。 図14は、第2実施形態に係る加工部の製造方法の一例を説明するための斜視図である。 図15は、第2実施形態に係る加工部の製造方法の一例を説明するための正面図である。 図16は、第3実施形態に係る加工部の製造方法の一例を説明するための正面図である。 図17は、第3実施形態に係る加工部の製造方法の一例を説明するための側面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照しながら説明するが本発明はこれに限定されない。以下で説明する実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定しこのXYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。水平面内の一方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向をZ軸方向とする。
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る放電マルチブレードソー1の一例を模式的に示す斜視図である。放電マルチブレードソー1は、並列する複数の薄板2で発生する放電により被加工物Wを薄く切断する。
図1に示すように、放電マルチブレードソー1は、被加工物Wが固定される導電性を有する基台3と、複数の導電性を有する細長い薄板2が互いに平行に間隔を空けて櫛状に固定された加工部4と、加工部4と基台3に高周波パルス電圧を印加する高周波パルス電源ユニット5と、加工部4と基台3とを相対移動させ基台3に固定された被加工物Wに薄板2を厚さ側の面から切り込ませる加工送り手段6と、加工部4と基台3に固定された被加工物Wが浸漬する加工液Fを貯留する貯留槽7と、放電マルチブレードソー1の各構成要素を制御する制御手段8と、を備える。
被加工物Wは、例えばSiCインゴットのような硬質材料である。本実施形態において、被加工物Wは、円柱状の部材である。
薄板2は、導電材で形成される。本実施形態において、薄板2は、銅、銅タングステン、カーボングラファイト、及びタングステンの少なくとも一つで形成される。薄板2は、Z軸方向に長い。薄板2は、Y軸方向に間隔を空けて複数配置される。複数の薄板2は、平行に配置される。
加工部4は、複数の薄板2を含む。加工部4は、基台3に固定された被加工物Wと対向する。加工部4と被加工物WとはX軸方向に並んで配置される。
放電マルチブレードソー1は、加工部4を支持する支持機構9を有する。支持機構9は、加工部4の上端部及び加工部4の下端部のそれぞれを支持する。加工部4は、支持機構9に固定される。支持機構9は、薄板2の張力を調整する張力調整機構を含む。支持機構9は、薄板2にZ軸方向の張力を付与する。
基台3は、被加工物Wを支持する。基台3は、金属やカーボンのような導電材で形成されている。
高周波パルス電源ユニット5は、加工部4の薄板2と、基台3に固定された被加工物Wとのそれぞれに高周波パルス電圧を印加する。高周波パルス電源ユニット5は、電源と、電圧調整手段と、パルス調整手段とを有する。電圧調整手段は、高周波パルス電圧の電圧値を調整する。パルス調整手段は、高周波パルス電圧の周波数及びパルス幅を調整する。
高周波パルス電源ユニット5は、基台3に給電する基台用給電部11と、加工部4に給電する加工部用給電部12とのそれぞれに接続される。基台用給電部11は、貯留槽7の外側において基台3に接続される。加工部用給電部12は、貯留槽7の外側において加工部4に接続される。高周波パルス電源ユニット5は、基台用給電部11及び基台3を介して、高周波パルス電圧を被加工物Wに印加する。高周波パルス電源ユニット5は、加工部用給電部12を介して、高周波パルス電圧を複数の薄板2に一括して印加する。
加工送り手段6は、駆動装置を含み、支持機構9を介して加工部4をX軸方向に移動可能である。加工送り手段6は、加工部4をX軸方向に移動させて基台3に固定された被加工物Wに薄板2を切り込ませる。加工送り手段6は、例えばX軸方向に延在するボールねじと、パルスモータのような駆動装置とを有する。加工送り手段6は、駆動装置を駆動して、薄板2が被加工物Wに接近する方向(+X方向)及び被加工物Wから離れる方向(−X方向)のそれぞれに加工部4を移動可能である。薄板2が加工送り方向である+X方向に移動すると、被加工物Wは薄板2に切り込まれる。被加工物Wは、複数の薄板2によってスライスされる。
なお、本実施形態においては、加工部4を用いる被加工物Wの加工において、加工送り手段6は、加工部4をX軸方向に移動することとする。加工送り手段6は、被加工物Wを支持した基台3をX軸方向に移動してもよいし、加工部4及び基台3の両方をX軸方向に移動してもよい。
また、放電マルチブレードソー1は、加工部4を薄板2の長手方向であるZ軸方向に揺動する揺動手段10を備える。揺動手段10は、支持機構9を介して加工部4をZ軸方向に移動可能である。揺動手段10は、駆動装置を駆動して、上方向(+Z方向)及び下方向(−Z方向)のそれぞれに加工部4を移動可能である。揺動手段10は、加工部4を上下方向に往復移動させる。
なお、本実施形態においては、加工部4を用いる被加工物Wの加工において、揺動手段10は、加工部4をZ軸方向に移動することとする。揺動手段10は、被加工物Wを支持した基台3をZ軸方向に移動してもよいし、加工部4及び基台3の両方をZ軸方向に移動してもよい。
貯留槽7は、誘電体である水又は油のような加工液Fを保持する。加工部4及び基台3に固定された被加工物Wは、貯留槽7に満たされた加工液Fに浸漬される。貯留槽7の内側で、加工液Fに浸漬された加工部4の薄板2が被加工物Wを加工する。
また、放電マルチブレードソー1は、加工液Fを噴射するノズル13を備える。ノズル13は、貯留槽7の内側に配置される。ノズル13は、支持機構9に固定され、加工部4と一緒に移動可能である。ノズル13は、加工部4よりも下方に配置され、放電加工で発生する泡の上昇を阻害しない位置に設定される。ノズル13は、加工液Fを噴射する噴射口を有する。ノズル13の噴射口は、上方向(+Z方向)を向く。ノズル13は、加工部4よりも下方から、加工部4と被加工物Wとの間に加工液Fを噴射する。
制御手段8は、コンピュータシステムを含み、高周波パルス電源ユニット5、加工送り手段6、及び揺動手段10を制御する。制御手段8は、高周波パルス電源ユニット5に制御信号を出力して、高周波パルス電圧の出力条件を制御する。制御手段8は、加工送り手段6の駆動装置に制御信号を出力して、X軸方向における被加工物Wと加工部4との相対位置又は相対速度を制御する。制御手段8は、揺動手段10の駆動装置に制御信号を出力して、Z軸方向における被加工物Wと加工部4との相対位置又は相対速度を制御する。
図2は、本実施形態に係る薄板2の一部を模式的に示す斜視図である。図3は、本実施形態に係る加工部4を模式的に示す断面図である。図4は、図3のA部分を拡大した図である。
薄板2は、Z軸方向に長い。薄板2は、加工送り方向である+X方向を向く前面2Aと、−X方向を含む後面2Bと、+Y方向を向く第1側面2Cと、−Y方向を向く第2側面2Dとを有する。加工部4と被加工物Wとが離れた状態で、前面2Aと被加工物Wの表面とが対向する。
第1側面2C及び第2側面2Dのそれぞれは、実質的に平面である。第1側面2Cは、XZ平面と実質的に平行である。第2側面2Dは、XZ平面と実質的に平行である。すなわち、第1側面2Cと第2側面2Dとは実質的に平行である。
Y軸方向における薄板2の寸法Hは、X軸方向における薄板2の寸法Lよりも小さい。Z軸方向における薄板2の寸法Tは、Y軸方向における薄板2の寸法H及びX軸方向における薄板2の寸法Lよりも十分に大きい。寸法Lは、前面2Aと後面2Bとの距離を含む。寸法Hは、第1側面2Cと第2側面2Dとの距離を含む。
薄板2のY軸方向の寸法Hは、例えば10[μm]以上100[μm]以下である。薄板2のX軸方向の寸法Lは、例えば1[mm]以上3[mm]以下である。薄板2のZ軸方向の寸法Tは、例えば180[mm]以上400[mm]以下である。
Y軸方向において隣り合う薄板2の間隙の寸法Gは、寸法Hよりも大きい。寸法Gは、例えば100[μm]以上800[μm]以下である。
薄板2の幅側の面である第1側面2C及び第2側面2Dのそれぞれに絶縁材が被覆され、絶縁膜15が設けられている。絶縁膜15は、第1側面2Cの全域に被覆される。また、絶縁膜15は、第2側面2Dの全域に被覆される。
また、本実施形態においては、後面2Bにも絶縁膜15が被覆されている。
薄板2の厚さ側の面である前面2Aには絶縁膜15が被覆されていない。導電材の表面である前面2Aは露出している。前面2Aで放電が発生する。後面2B、第1側面2C、及び第2側面2Dにおける放電の発生は抑制される。
絶縁膜15は、例えば、薄板2を三価クロメート処理することによって生成される三価クロムのクロム酸皮膜を含む。なお、絶縁膜15は、薄板2をパーカー処理することによって生成されるリン酸塩皮膜でもよい。なお、絶縁膜15は、薄板2をスパッタ処理することによって生成される二酸化ケイ素膜でもよい。
次に、本実施形態に係る加工部4の製造方法の一例について説明する。図5は、本実施形態に係る加工部4の製造方法の一例を示すフローチャートである。図6から図10は、本実施形態に係る加工部4の製造方法の一例を示す模式図である。
本実施形態において、加工部4の製造方法は、加工部4の素材となるプレートを準備する素材準備ステップ(SP1)と、プレートにスリットを形成するスリット形成ステップ(SP2)と、スリットが形成されたプレートに絶縁材を被覆して絶縁膜15を生成する絶縁材被覆ステップ(SP3)と、前面2Aに被覆されている絶縁膜15を除去する絶縁材除去ステップ(SP4)と、前面2Aの絶縁膜15が除去されたプレートを支持機構9に固定する固定ステップ(SP5)とを含む。
図6に示すように、加工部4の素材となるプレート40が準備される(ステップSP1)。プレート40は、寸法Lの厚さを有する。プレート40は、導電材で形成される。本実施形態において、プレート40は、銅、銅タングステン、カーボングラファイト、及びタングステンの少なくとも一つで形成される。
次に、図7に示すように、プレート40にスリット41が形成される(ステップSP2)。例えば、プレート40が切削装置で切削加工されることにより、プレート40にスリット41が形成される。スリット41が形成されることにより、Y軸方向に間隔を空けて配置される複数の薄板2が形成される。本実施形態において、プレート40の上部及び下部のそれぞれにはスリット41が形成されない。プレート40の上部及び下部のそれぞれは、複数の薄板2を連結する連結部として機能する。
次に、図8に示すように、スリット41が形成されたプレート40に絶縁膜15が形成される(ステップSP3)。プレート40が三価クロメート処理されることによって、プレート40の表面に絶縁膜15が形成される。なお、プレート40がパーカー処理されることによって、プレート40の表面に絶縁膜15が形成されてもよいし、プレート40がスパッタ処理されることによって、プレート40の表面に絶縁膜15が形成されてもよい。
次に、図9に示すように、薄板2の前面2Aに被覆されている絶縁膜15が除去される(ステップSP4)。例えば、前面2Aが研磨装置によって研磨されることにより、前面2Aから絶縁膜15が除去される。薄板2の後面2B、第1側面2C、及び第2側面2Dに被覆されている絶縁膜15は除去されない。
次に、プレート40が支持機構9に固定される(ステップSP5)。支持機構9は、薄板2(スリット41)が設けられていないプレート40の上部及び下部を支持する。図10に示す例では、支持機構9は、プレート40の上部を支持する第1支持部9Aと、プレート40の下部を支持する第2支持部9Bとを有する。第1支持部9Aは、第1部材91と第2部材92とを有する。プレート40の上部は、第1部材91と第2部材92との間に配置される。第1部材91及び第2部材92はそれぞれ、ボルトのような固定部材が配置される開口93を有する。第1部材91と第2部材92との間にプレート40の上部が配置された状態で、開口93に固定部材が配置されることにより、第1部材91と第2部材92とプレート40の上部とが固定される。第2支持部9Bの構造は、第1支持部9Aの構造と同等である。
支持機構9は、薄板2に付与する張力を調整する張力調整機構を含む。薄板2にZ軸方向の張力が付与されることにより、放電加工において薄板2が振動することが抑制される。
次に、本実施形態に係る放電マルチブレードソー1を用いる放電加工方法について説明する。支持機構9によって薄板2に張力が付与された状態で、制御手段8は、加工送り手段6を制御して、加工部4と基台3に固定されている被加工物Wとを接近させる。また、制御手段8は、高周波パルス電源ユニット5を作動して、加工部4と被加工物Wとの間に高周波パルス電圧を印加する。
加工部4と被加工物Wとが離れている状態において、加工液Fに浸漬されている加工部4の薄板2と被加工物Wとは絶縁状態である。
図11は、本実施形態に係る放電加工方法により放電加工される被加工物Wの一例を示す模式図である。加工送り手段6により加工部4と被加工物Wとが接近し、絶縁状態である加工部4の薄板2と被加工物Wとが第1距離Eaまで接近すると、加工部4と被加工物Wとの絶縁状態が破壊され、放電が発生する。この放電によって被加工物Wが加熱及び溶融される。また、加工液Fの温度が急激に上昇して加工液Fが気化し、その加工液Fの体積膨張によって被加工物Wの溶融部分が飛散する。このように、高周波パルス電圧が加工部4の薄板2に印加されることによって、被加工物Wが溶融及び飛散する現象が断続的に発生する。これにより、被加工物Wが放電加工される。図11に示すように、加工部4による放電加工により被加工物Wにカーフ溝Cが形成され、被加工物Wが薄く切断され、ウェーハのような薄片が形成される。
なお、第1距離Eaは、加工送り方向を向く前面2Aと、その前面2Aと対向するカーフ溝Cの内面との距離である。
本実施形態においては、被加工物Wと対向する薄板2の前面2Aには絶縁膜15が形成されず、前面2Aにおいて放電が発生する。一方、薄板2の幅側の第1側面2C及び第2側面2Dに絶縁膜15が形成され、第1側面2C及び第2側面2Dにおける放電の発生が抑制される。また、本実施形態においては、薄板2の後面2Bにも絶縁膜15が形成され、後面2Bにおける放電の発生も抑制される。薄板2の厚さ側の前面2Aで放電が発生することにより、被加工物Wにおいて切り代が伸展し、カーフ溝Cが形成される。
第1側面2C及び第2側面2Dにおいては、絶縁膜15により、放電の発生が抑制される。第1側面2C及び第2側面2Dにおける放電の発生が抑制されることにより、第1側面2Cと対向するカーフ溝Cの内面、及び第2側面2Dと対向するカーフ溝Cの内面の放電加工は抑制される。したがって、カーフ溝Cの溝幅が過度に拡がることが抑制される。
図12は、本実施形態に係る放電マルチブレードソー1の動作の一例を示す模式図である。本実施形態においては、図12に示すように、制御手段8は、揺動手段10を制御して加工部4をZ軸方向に揺動(往復移動)させながら、加工送り手段6を制御して加工部4を加工送り方向である+X方向に移動させる。放電加工により、薄板2は消耗する。加工部4がZ軸方向に往復移動しながら放電加工が実施されることにより、薄板2のX軸方向の消耗(減少)がZ軸方向に拡散しつつ平均化される。
本実施形態において、Z軸方向に往復移動する加工部4のZ軸方向の移動幅Kは、被加工物WのZ軸方向の寸法J以上であることが望ましい。これにより、薄板2の一部だけが過度に消耗することが抑制される。
図13は、本実施形態に係る放電マルチブレードソー1の動作の一例を示す模式図である。図13に示すように、加工送り手段6は、放電加工中に加工部4と被加工物Wを支持する基台3との距離を離し、放電で発生する加工屑の排出を促す。すなわち、制御手段8は、前面2Aとカーフ溝Cの内面とが第1距離Eaよりも大きい第2距離Ebだけ離れるように、加工送り手段6を制御して加工部4を−X方向に移動する。加工部4の−X方向の移動は、放電加工中に定期的に実施される。本実施形態においては、加工部4の−X方向の移動は、放電加工中に10[秒]以上1[分]以下の時間間隔で定期的に実施される。
なお、第2距離Ebは、加工送り方向を向く前面2Aと、その前面2Aと対向するカーフ溝Cの内面との距離である。
制御手段8は、加工部4と被加工物Wとが絶縁状態になるように、薄板2の前面2Aとカーフ溝Cの内面とを第2距離Ebだけ離す。−X方向における加工部4の移動に伴って、ノズル13も加工部4と一緒に−X方向に移動する。ノズル13は、加工部4よりも下方から、前面2Aとカーフ溝Cの内面との間に加工液Fを噴射する。これにより、放電で発生する加工屑は、ノズル13から噴射された加工液Fの力によって、カーフ溝Cから排出される。
第1側面2C及び第2側面2Dにおける放電は、絶縁膜15によって抑制されている。したがって、第1側面2Cと対向するカーフ溝Cの内面が放電加工されることが抑制される。同様に、第2側面2Dと対向するカーフ溝Cの内面が放電加工されることが抑制される。そのため、第1側面2Cとカーフ溝Cの内面との間における加工屑の発生、及び第2側面2Dとカーフ溝Cの内面との間における加工屑の発生は抑制される。
以上説明したように、本実施形態によれば、薄板2の幅側の面である第1側面2C及び第2側面2Dのそれぞれに絶縁膜15が形成されるので、薄板2の厚さ側の面である前面2Aにおいて放電が発生し、第1側面2C及び第2側面2Dにおける放電の発生が抑制される。したがって、カーフ幅Cの溝幅が大きくなることが抑制され、カーフロスが抑制される。
また、本実施形態によれば、放電加工中において、薄板2が長手方向に揺動される。例えば被加工物Wが円柱状のインゴットである場合、インゴットを放電加工すると、インゴットの中心付近では放電量が多くなり、インゴットの中心付近の薄板2の消耗量は大きくなる。本実施形態によれば、薄板2がZ軸方向に往復移動するため、薄板2の消耗量が平均化される。
また、本実施形態によれば、放電加工中において、加工部4と被加工物Wとが、放電状態から絶縁状態に変化するように、加工部4と被加工物WとがX軸方向に相対移動して、加工部4と被加工物Wとが離れる。これにより、ノズル13から噴射された加工液Fは、加工部4と被加工物Wとの間に十分に行き渡るため、発生した加工屑が排出されやすくなり、加工屑が薄板と被加工物との間に挟まって短絡状態になり、局所的に発熱して薄板を溶かすなどのトラブルの発生を抑制する。
なお、加工屑の排出を促すために加工部4と被加工物WとがX軸方向に相対移動する場合、加工部4がカーフ溝Cの外側に出るまで、加工部4と被加工物Wとが十分に離れてもよいし、放電加工している第1距離Eaよりも短い距離まで加工部4と被加工物Wとが接近してもよい。
<第2実施形態>
第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、加工部4の製造方法の変形例について説明する。図14は、本実施形態に係る加工部4の製造方法の一例を説明するための斜視図である。図15は、本実施形態に係る加工部4の製造方法の一例を説明するための正面図である。
上述の第1実施形態においては、1枚のプレート40に複数のスリット41が設けられることによって複数の薄板2が形成されることとした。本実施形態においては、複数の薄板2が準備され、それら複数の薄板2の組み合わせにより加工部4が製造される例について説明する。
図14及び図15に示すように、寸法L、寸法H、及び寸法Tをそれぞれ有する複数の薄板2が準備される。それら複数の薄板2がスペーサ50を介して連結される。薄板2の上部及び下部のそれぞれが、スペーサ50を介して連結される。複数の薄板2と複数のスペーサ50とが、ボルトのような固定部材51により固定される。
スペーサ50は、隣り合う薄板2の間隙の寸法Gを調整する。スペーサ50により、隣り合う薄板2の間隙の寸法Gが規定値に調整される。
図1を参照して説明したような加工部用給電部12が薄板2に接続される。加工部用給電部12は、複数の薄板2のそれぞれに接続される。なお、スペーサ50が導電材である場合、加工部用給電部12は、複数の薄板2のうち少なくとも一つの薄板2に接続されてもよいし、複数のスペーサ50のうち少なくとも一つのスペーサ50に接続されてもよい。
以上説明したように、本実施形態によれば、予め複数の薄板2が準備され、それらの複数の薄板2がスペーサ50を介して接続される。本実施形態によれば、第1実施形態で説明した、スリット41を形成するための切削加工を実施しなくても、複数の薄板2を含む加工部4を形成することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成要素については同一の符号を付し、その説明を簡略又は省略する。
本実施形態においては、加工部4の製造方法の変形例について説明する。図16は、本実施形態に係る加工部4の製造方法の一例を説明するための正面図である。図17は、本実施形態に係る加工部4の製造方法の一例を説明するための側面図である。
図16及び図17に示すように、複数の薄板2の上端部は、第1連結部45によって連結される。複数の薄板2の下端部は、第2連結部46によって連結される。第1連結部45は、Y軸方向に長い開口43を有する。第2連結部46は、Y軸方向に長い開口44を有する。
支持機構9は、第1連結部45の上部を支持する第1支持部9Aと、第2連結部46を支持する第2支持部9Bとを有する。第1支持部9Aは、第1部材91と第2部材92とを有する。第1部材91は、凸部95を有する。第2部材92は、凸部95が配置される凹部96を有する。
第1連結部45は、第1部材91と第2部材92との間に配置される。第1部材91及び第2部材92はそれぞれ、ボルトのような固定部材が配置される開口93を有する。凸部95は、第1連結部45の開口43及び第2部材92の凹部96に配置される。凸部95が開口43及び凹部96に配置されることにより、第1部材91と第2部材92と第1連結部45とが位置決めされる。第1部材91と第2部材92との間に第1連結部45が配置された状態で、開口93に固定部材が配置されることにより、第1部材91と第2部材92と第1連結部45とが固定される。
第2支持部9Bの構造は、第1支持部9Aの構造と同等である。第2支持部9Bにおいて、第1部材91の凸部95は、第2連結部46の開口44及び第2部材92の凹部96に配置される。凸部95が開口44及び凹部96に配置されることにより、第1部材91と第2部材92と第2連結部46とが位置決めされる。第1部材91と第2部材92との間に第2連結部46が配置された状態で、開口93に固定部材が配置されることにより、第1部材91と第2部材92と第2連結部46とが固定される。
以上説明したように、本実施形態によれば、第1支持部9Aにおいて、第1部材91が凸部95を有し、第2部材92が凹部96を有し、第1連結部45が開口43を有するので、第1部材91と第2部材92と第1連結部45とが位置決めされた状態で、第1部材91と第2部材92と第1連結部45とが固定される。同様に、第2支持部9Bにおいて、第1部材91が凸部95を有し、第2部材92が凹部96を有し、第2連結部46が開口44を有するので、第1部材91と第2部材92と第2連結部46とが位置決めされた状態で、第1部材91と第2部材92と第2連結部46とが固定される。
1 放電マルチブレードソー
2 薄板
2A 前面
2B 後面
2C 第1側面
2D 第2側面
3 基台
4 加工部
5 高周波パルス電源ユニット
6 加工送り手段
7 貯留槽
8 制御手段
9 支持機構
9A 第1支持部
9B 第2支持部
10 揺動手段
11 基台用給電部
12 加工部用給電部
13 ノズル
15 絶縁膜
40 プレート
41 スリット
43 開口
44 開口
45 第1連結部
46 第2連結部
50 スペーサ
51 固定部材
91 第1部材
92 第2部材
93 開口
95 凸部
96 凹部
C カーフ溝
Ea 第1距離
Eb 第2距離
F 加工液
G 寸法
H 寸法
J 寸法
K 移動幅
L 寸法
T 寸法
W 被加工物

Claims (3)

  1. 被加工物が固定される導電性を有する基台と、複数の導電性を有する細長い薄板が互いに平行に間隔を空けて櫛状に固定された加工部と、該加工部と該基台に高周波パルス電圧を印加する高周波パルス電源ユニットと、該加工部と該基台とを相対移動させ該基台に固定された被加工物に該薄板を厚さ側の面から切り込ませる加工送り手段と、該加工部と該基台に固定された該被加工物が浸漬する加工液を貯留する貯留槽と、を備える放電マルチブレードソーであって、
    該加工部は、該薄板の幅側の面に絶縁材が被覆され、該厚さ側の面で放電が発生し、切り代が伸展することを抑制する放電マルチブレードソー。
  2. 該加工部を該薄板の長手方向に揺動する揺動手段を備える請求項1に記載の放電マルチブレードソー。
  3. 該加工送り手段は、放電加工中に該加工部と該基台との距離を離し、放電で発生する加工屑の排出を促す請求項1又は請求項2に記載の放電マルチブレードソー。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2019137968A1 (de) * 2018-01-10 2019-07-18 Fraunhofer-Gesellschaft zur Förderung der angewandten Forschung e.V. Verfahren zur herstellung einer werkzeugelektrode sowie werkzeugelektrode und verfahren zu ihrer verwendung

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