JP5795892B2 - 帯鋸刃 - Google Patents

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本発明は、適数の直歯と適数の左アサリ歯及び右アサリ歯を適宜ピッチでもって1つの鋸歯グループとして備えた帯鋸刃に係り、さらに詳細には、帯鋸刃をエンドレス状に溶接したときのエンドレス溶接部の品質向上を図り、溶接部からの早期破断を抑制して長寿命化を図るために、溶接性の容易性を判別(評価)して製作された帯鋸刃に関する。
従来、金属製のワークを切断する切断機として帯鋸盤が使用されている。この帯鋸盤には、エンドレス状に溶接した帯鋸刃が使用されている。前記帯鋸刃は、材質的には、強靱性合金鋼の帯状の胴部の一側に高速度工具鋼や超硬合金を刃として溶接やろう付けした、いわゆるバイメタル帯鋸刃が多く使用されている。
エンドレス状に溶接され帯鋸刃は、帯鋸盤に備えた駆動ホイール及び従動ホイールに掛回して使用される。したがって、帯鋸盤に装着したエンドレス状の帯鋸刃は、駆動、従動の両ホイールによる引張り応力と、両ホイールによる曲げ応力及び帯鋸刃の歯先をワークに対する切込み方向に指向するように鋸刃ガイドによって捻られる捻り応力の3つの応力を受けると共に、帯鋸刃における各鋸歯がワークに食い込む毎の衝撃、振動を受けることになる。すなわち、帯鋸刃は過酷な条件の下において使用されるものである。したがって、帯鋸刃の胴部が疲労破壊して寿命に至ることがある。
ところで、帯鋸盤に使用するエンドレス状の帯鋸刃は、長い帯鋸刃を所望の長さに切断し、切断した両端部を溶接することによってエンドレス状に構成してある。したがって、エンドレス状の帯鋸刃の長寿命化を図るには、前記溶接部(エンドレス溶接部)の溶接品質は重要な要素である。例えば、エンドレス溶接部に段差が生じていると、帯鋸刃が一周する毎に切断部にキズが生じたり、あるいは溶接部前後で歯欠けを生じる原因となる。また、エンドレス溶接部に金属的な欠陥がある場合は早期に破断を生じる原因となる。なお、帯鋸刃の材質や歯形をどんなに改善しても、エンドレス溶接部に不良があると、改善効果が得られないことは言うまでも無い。
ところで、周知のように、帯鋸刃は、適数の直歯と適数の左アサリ歯及び右アサリ歯を備えており、各鋸歯の間には、ワークの切削によって生じた切り屑を一時的に蓄えるためのガレット(チップポケット)が形成されている。このガレットの最深部を歯底と称することがある。この歯底の部分は帯鋸刃における帯幅寸法が最も小さくなる部分であり、最も応力が集中する部分である。したがって、帯鋸刃における疲労破断は歯底の部分に生じることが多いものである。
したがって、帯鋸刃におけるガレットの歯底部分を回避して、鋸歯における逃げ面部分においてエンドレス溶接を行うことが提案されている(特許文献1参照)。なお、本発明に関係すると思われる先行技術文献としては、さらに特許文献2〜4がある。
EP0531879B1号公報 特開平6−718号公報 USP4292871号公報 特許第4464473号公報
前記特許文献1に記載の鋸歯の構成は、当該鋸歯の歯先から、当該鋸歯の後側の後続歯におけるガレットの歯底(底面)に接続した逃げ面を備えた構成である。換言すれば逃げ面の逃げ角度は一定である。したがって、長い帯鋸刃の一端側と他端側とを単に突き合せたときに、逃げ面が連続した態様となることがある。
しかし、帯鋸刃の切断した一端側と他端側とをエンドレス溶接する場合は、一般的にはフラッシュバット溶接が多く用いられている。したがって、フラッシュバット溶接時には、互いの端面を軽く接触させて通電すると、端面における微小突起部が接触して急激に加熱溶融し、火花となって溶接部の外周に飛散する。さらに、両端面を接近させると、他の微小突起部が次々と接触して溶融飛散される。そして、互いに突合せた溶接面の全面が溶融点に達したときに突き合せる方向に加圧することによって酸化物を押し出して溶接するものである。
すなわち、帯鋸刃における鋸歯の逃げ面の部分においてエンドレス溶接を行うと、フラッシュバット溶接によって溶接部から金属の除去が行われることとなり、鋸歯の逃げ面に段差部を生じることとなる。
上記段差部の発生を考慮して鋸歯の逃げ面部の切断を行うことも可能である。しかし、この場合、エンドレス溶接を行うべく切断した帯鋸刃の突き合せる一端側(鋸歯の歯先側)よりも他端側(ガレットの歯底側)が高い段差となるように切断する必要があり、帯鋸刃の両端側の切断位置の設定が難しいという問題がある。
ところで、帯鋸刃のエンドレス溶接を行ったときの前記段差部を小さくするには、鋸歯における逃げ面の逃げ角を小さくすればよいことになる。しかし、鋸歯における逃げ角を小さくすると、後続歯のガレット深さが小さくなる、という新たな問題を生じることになる。そこで、ガレット深さが小さくならないように、鋸歯の逃げ面の逃げ角を大きくすると、逃げ面部分においてのエンドレス溶接時に生じる前記段差部の段差が大きくなると共に、鋸歯における歯先の歯角が小さくなって、歯先の強度が低下するという問題がある。
そこで、前記特許文献3に記載の鋸歯の構成のごとく、鋸歯における歯先からの第1の逃げ面の後側に、第1の逃げ面の逃げ角よりも逃げ角が大きく、かつ後側の後続歯におけるガレットの底面に接続した第2の逃げ面を備えた構成とすると、鋸歯における歯先の歯角を大きくすることができると共に、前記ガレットの面積を大きくすることができる。すなわち、鋸歯における歯先の強度向上を図り、かつガレット面積の増大化を図ることができ望ましいものである。
しかし、前記構成においては、帯鋸刃のエンドレス溶接を行うときに、ガレットの歯底(底面)部を回避するとなると、鋸歯における前記第1の逃げ面の部分又は第2の逃げ面の部分においてエンドレス溶接を行うことになる。ところが、前記第1の逃げ面は鋸歯における歯先に近接した位置であり、エンドレス溶接を行うには好ましい位置ではない。前記第2の逃げ面は、逃げ角が大きいので、エンドレス溶接を行ったときに生じる段差部の段差が大きくなり望ましいものではない。
ところで、帯鋸刃のエンドレス溶接を行うには、鋸歯の歯先に近い第1の逃げ面及びガレットの歯底部を回避するとなると、第2の逃げ面の位置で行うことになる。この第2の逃げ面の位置でエンドレス溶接を行うに当り、長い帯鋸刃を切断するとき、前記第2の逃げ面の中央部で正確に切断されるとは限らないものである。したがって、切断した帯鋸刃の一端側と他端側の切断面を突き合せたとき、切断面が適切に整合する場合や、一端側の切断面が他端側の切断面より大きくなることや、逆に小さくなることがある。
そして、帯鋸刃の両端側を突き合せてフラッシュバット溶接によってエンドレス溶接を行うとき、例えば一端側の断面積に対して他端側の断面積が大きく、予め段差を生じた状態にあると、他端側の温度上昇が少なく、溶け込み不足を生じて金属組織的な不良を発生することがある。フラッシュバット溶接によって帯鋸刃のエンドレス溶接を行うと、両端側の溶融金属が押し出されるので、溶接後における逃げ面の段差部が大きくなることや、押し出された金属を研摩砥石による研摩作業によって除去する必要がある。この際、逃げ面の逃げ角が大きいと、前記研摩砥石をガレットの底部側へより近接する必要があり、研摩作業がやり難いと共に、場合によっては隣接した後続歯の歯先に研摩砥石が接触して歯先を損傷することがある。
そこで、本発明は、鋸歯における歯先からの第1の逃げ面の後側に、後続歯におけるガレットの底面に接続した第2の逃げ面を形成した鋸歯の前記第2の逃げ面の部分において帯鋸刃のエンドレス溶接を行ったとき、前記第2の逃げ面の条件がある条件を満たすことによって、エンドレス溶接の容易性の判別を行うことができ、この判別方法によれば前述したごとき従来の問題を解消することができる知見に基づいてなされたものである。
本発明は、前述したごとき従来の問題に鑑みてなされたもので、適数の直歯と適数の左アサリ歯及び右アサリ歯を適宜のピッチで1つの鋸歯グループとして備えた帯鋸刃であって、当該鋸歯グループにおける少なくとも1つの直歯に、当該直歯の歯先からの第1の逃げ面を備え、この第1の逃げ面の後側に、当該直歯の後側の後続歯におけるガレットの底面に接続した第2の逃げ面を備え、この第2の逃げ面においてエンドレス溶接を行うために、第2の逃げ面の逃げ角を44°未満に設定してあることを特徴とするものである。
また、適数の直歯と適数の左アサリ歯及び右アサリ歯を適宜のピッチで1つの鋸歯グループとして備えた帯鋸刃であって、当該鋸歯グループにおける少なくとも1つの直歯に、当該直歯の歯先からの第1の逃げ面を備え、この第1の逃げ面の後側に、当該直歯の後側の後続歯におけるガレットの底面に接続した凹曲面からなる第2の逃げ面を備え、この第2の逃げ面においてエンドレス溶接を行うために、第2の逃げ面とガレットの底面は円弧でもって接続してあり、前記円弧の中心位置を前記ガレットの外側に設定してあることを特徴とするものである。
また、適数の直歯と適数の左アサリ歯及び右アサリ歯を適宜のピッチで1つの鋸歯グループとして備えた帯鋸刃であって、当該鋸歯グループにおける少なくとも1つの直歯に、当該直歯の歯先からの第1の逃げ面を備え、この第1の逃げ面の後側に、当該直歯の後側の後続歯におけるガレットの底面に接続した第2の逃げ面を備え、前記第1の逃げ面と第2の逃げ面との間に第3の逃げ面を備え、この第3の逃げ面においてエンドレス溶接を行うために、この第3の逃げ面の逃げ角を0°以上で44°未満に設定してあることを特徴とするものである。
また、前記帯鋸刃において、前記第2の逃げ面においてエンドレス状に溶接してあることを特徴とするものである。
また、前記帯鋸刃において、当該直歯と前記後続歯との間のピッチが最大ピッチであることを特徴とするものである。
また、前記帯鋸刃において、当該直歯と前記後続歯との間のガレット面積は、当該鋸歯グループにおける最小ピッチのガレット面積よりも大きいことを特徴とするものである。
また、前記帯鋸刃において、当該直歯と当該直歯との間の鋸歯の数は3歯以下であることを特徴とするものである。
本発明によれば、帯鋸刃においてエンドレス溶接を行う直歯は、当該直歯の歯先からの第1の逃げ面を備えると共に、この第1の逃げ面の後側に後側の後続歯におけるガレットの底面と接続した第2の逃げ面を備え、この第2の逃げ面においてエンドレス溶接を行うために、第2の逃げ面の逃げ角が44°未満に設定してある。したがって、前記歯先の強度の向上を図ることができると共に前記ガレットの面積の拡大化を図ることができる。そしてエンドレス溶接部分に発生する傾向にある段差部を小さくすることができると共に、溶接後における研摩作業による研摩量を小さく抑制でき、前述したごとき従来の問題を解消し得るものである。
本発明の第1の実施形態に係る帯鋸刃の構成を示す説明図である。 帯鋸刃をエンドレス溶接するときの鋸歯の溶接性の良否を判定(評価)する方法の説明図である。 上記判定方法に具体的数値を適用した説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る帯鋸刃の構成を示す説明図である。 本発明の第3の実施形態に係る帯鋸刃の構成を示す説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 鋸歯に具体的数値を示した説明図である。 図6に示した鋸歯形状において平行線の高さ位置を種々変更したときのオフセット距離の変化を示す説明図である。 図6〜24に示した各鋸歯形状においての平行線の高さ位置とオフセット距離を変化したときにおける溶接性の評価値(判定値)の変化を示す説明図である。 図26に示した表をグラフ化した説明図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態について説明するに、図1に示すように、本発明の実施形態に係る帯鋸刃1Aは、一般的な帯鋸刃と同様に直歯T1と左側へ振り出し(あさり出し)を行った複数の左アサリ歯T2,T4,T6及び複数の右アサリ歯T3,T5,T7の7歯を1つの鋸歯グループとして備えている。
前記鋸歯グループとは、所望の歯先ピッチパターンのグループ(歯先ピッチグループ)と、所望のアサリパターンのグループ(アサリパターングループ)とを合せたグループのことで、長い帯鋸刃1本中で繰り返し配置される最長のパターンである。なお、アサリパターングループ内に歯先ピッチパターングループが含まれる場合には、アサリパターングループの長さと鋸歯グループの長さは同じになるものである。
因みに、図1に示した帯鋸刃1Aにおいてのアサリパターンは、直歯T1、左アサリ歯T2、右アサリ歯T3、左アサリ歯T4、右アサリ歯T5、左アサリ歯T6及び右アサリ歯T7の7歯からなるアサリパターンであり、このアサリパターンが繰り返されるものである。そして、歯先ピッチパターンは、各鋸歯T1〜T7間の各ピッチ8.15mm、7.45mm、6.5mm、6.4mm、6.8mm、8mm及び8.5mmのピッチパターンであり、このピッチパターンが繰り返されるものである。上記アサリパターンとピッチパターンは共に等長であって51.8mmである。
前記鋸歯T1〜T7の掬い角は7°に設定してある。そして、各鋸歯T1〜T7における歯先TEからの第1の逃げ面RF1は25°に設定してあり、鋸歯T1の第1の逃げ面RF1には、後側の後続歯T2におけるガレットGA2の歯底(底面)TBに接続した第2の逃げ面RF2を備えている。前記直歯T1における第2の逃げ面RF2の逃げ角は40°に設定してあり、各鋸歯T2〜T7における第2の逃げ面RF2の逃げ角は55°に設定してある。
前記各鋸歯T1〜T7の第2の逃げ面RF2と各ガレットGA1〜GA7の歯底TBは円弧でもって接続してある。すなわち、鋸歯T1〜T7は、図1に示すように、それぞれ半径が1.63mm、1.49mm、1.3mm、1.28mm、1.36mm、1.6mm及び1.7mmの円弧でもって後続歯T2〜T7及びT1の各ガレットGA2〜GA7及びGA1の歯底TBとそれぞれ接続してある。そして、鋸歯(直歯)T1のガレットGA1の歯底TBには鋸刃1Aの走行方向の長さが0.85mmの平面部が備えられているが、直歯T1の後続歯である鋸歯(左アサリ歯)T2のガレットGA2の歯底TBは前記半径R=1.63mmの円弧に形成してある。他の鋸歯T3〜T7のガレットGA3〜GA7の歯底TBには、図1に示すように、0.745mm、0.65mm、0.64mm、0.68mm及び0.8mmの長さの平面部が備えられている。
さらに、前記各鋸歯T1〜T7の各ガレットGA1〜GA7の深さは、4.25mm、4.075mm、3.725mm、3.25mm、3.2mm、3.4mm及び4mmにそれぞれ形成してある。そして、前記各数値を基にして各ガレットGA1〜GA7の面積を計算すると、21.79mm2 、18.98mm2 、16.74mm2 、12.74mm2 、12.36mm2 、13.95mm2 及び19.31mm2 である。
前記構成のごとき帯鋸刃1Aを、フラッシュバット溶接によってエンドレス状に溶接するに際しては、各鋸歯T1〜T7のガレットGA1〜GA7の歯底(底面)TBを回避して、各鋸歯T1〜T7の逃げ面においてエンドレス溶接を行うものとして、溶接の容易性を判別する方法として、次の判別方法を採用することにした。なお、各鋸歯T1〜T7の逃げ面の部分においてエンドレス溶接を行うにしても、第1の逃げ面RF1は歯先TEに近いので、フラッシュバット溶接によるエンドレス溶接時の熱影響を考慮すると、第1の逃げ面を回避することが望ましいものである。したがって、エンドレス溶接の容易性の判別は第2の逃げ面RF2に対応した部分において行うことになる。換言すれば、鋸歯の逃げ面として複数の逃げ面がある場合には、第1の逃げ面RF1を除いた他の逃げ面に対応した部分においてエンドレス溶接の容易性を判別することになるものである。
図2は、前記鋸歯T2と鋸歯T3との関係を模式的に示したもので、鋸歯T2の第1逃げ角をβ°、第2逃げ角をα°とし、前記鋸歯T2、T3の歯先ピッチをP、鋸歯T2の後続歯としての鋸歯T3のガレットGA3の深さをHとしている。さらに、第2の逃げ面RF2とガレットGA3の歯底TBとを接続した円弧の半径をRとし、このガレットGA3の歯底(底面)TBを通って帯鋸刃の走行方向(図2において左右方向)に平行な直線を描いたときの直線をGとしている。そして、この直線Gから所望の高さ位置、例えばH/2.6〜H/4.2の範囲の高さ位置(図2においてはH/4で例示してある)において、前記直線Gに平行な平行線(クロスライン)Kを描いたときに、前記第2の逃げ面RF2との交差位置をMとし、この交差位置Mから前記直線G、平行線Kに対して直交する垂直な垂直線をCとしている。
なお、交差位置Mを求める平行線Kの高さ位置が小さいと、交差位置MがガレットGAの歯底TBに近接するので望ましいものではなく、また高さ位置が大きいと、第1の逃げ面RF1に近接するので望ましいものではない。したがって、H/2.6〜H/4.2とすることが望ましいものである。
さらに、上記垂直線Cから帯鋸刃の走行方向に等しい距離(オフセット量)Lであって前記第2の逃げ面の前記走行方向の範囲内において前記垂直線Cに平行な第1、第2の垂直線D、Eを描くことが望ましい。しかし、前記垂直線D、Eの位置は、必ずしも第2の逃げ面の走行方向の範囲内になくともよいものである。そして、前記垂直線C、第2の逃げ面RF2、第1の垂直線D及び直線Gによって囲繞された範囲の面積(垂直線CとDとの間の面積)をAmm2 とする。また、前記垂直線C、第2の逃げ面RF2、第2の垂直線E及び直線Gによって囲繞された面積(垂直線CとEとの間の面積)をBmm2 とする。この面積Bと面積Aとの比、すなわち面積B/面積Aの値B/A(判定値、評価値)が実験や経験的に予め求められた(設定された)所定値以下の場合に、溶接性が良好と判定されるものである。
因みに、前記帯鋸刃1Aにおける各鋸歯T1〜T7に前記条件を適用し、かつ前記オフセット量(距離)LをL=1mmとした場合について、前記面積A、B及びB/Aを具体的に演算すると、図1(c)に示すとおりである。
そして、直歯T1及び左右のアサリ歯T2〜T7のアサリ振り分け(アサリ出し)を行う前の状態において、それぞれの第2の逃げ面RF2の部分において切断し、その切断面を突き合せて同一の溶接条件でもってエンドレス溶接(フラッシュバット溶接)を行って試験を行ったところ、第2の逃げ面RF2における段差部の大小や溶接部における肉の盛り上がり量及びその部分の除去を行う研摩作業の容易性等を考慮して総合的に評価(判別、判断)すると、鋸歯T1における第2の逃げ面RF2の部分でのエンドレス溶接が最良であった。このときの鋸歯T1における面積B/面積Aの値B/A(評価値)は240%であり、他の鋸歯T2〜T7の面積B/面積Aの値B/A(評価値)は、それぞれ432%、503%、517%、484%、389%及び363%であって、240%に比較して大きな値であった。
すなわち、前記面積B/面積Aの値B/A(判定値)が363%以上ではエンドレス溶接の溶接性の総合的な評価は良くなく、値B/Aが240%の場合は溶接性は良であることがわかった。ここで、直歯(鋸歯)T1における第2の逃げ面RF2の逃げ角は40°であり、他の鋸歯T2〜T7における第2の逃げ面RF2の逃げ角は55°である。そして、各鋸歯T2〜T7において、ガレットGAの歯底TBと第2の逃げ面RF2とを接続する円弧の半径Rが異なると、前記面積B/面積Aの値B/Aが異なり、半径Rが大きくなると、値B/Aが小さくなっている。しかし、鋸歯T1と鋸歯T7とを比較すると、第2の逃げ面RF2の逃げ角が40°、55°と異なることによって前記値B/Aが大きく異なっている。
そこで、図3に示すように、鋸歯T1において第2の逃げ面RF2の逃げ角αを次第に大きくして値B/Aを求めると共に、第2の逃げ面RF2において同一条件でもってエンドレス溶接を行ったときの溶接性の良否の実験を行った。ここで、α=40°のとき、A=0.60mm2 、B=1.44mm2 で、値B/Aは240%であった。したがって、逃げ角αを次第に大きくして面積A、Bを演算すると、
α=42°、A=0.62mm2 、B=1.51mm2 、B/A=244%
α=43°、A=0.63mm2 、B=1.55mm2 、B/A=246%
α=44°、A=0.63mm2 、B=1.59mm2 、B/A=252%
α=45°、A=0.64mm2 、B=1.63mm2 、B/A=255%
α=50°、A=0.68mm2 、B=1.84mm2 、B/A=271%
である。そして、第2の逃げ面RF2における溶接性を前述同様に総合的に評価すると、α=43°で値B/A=246%の場合は良であったが、α=44°で値B/A=252%の場合は不良であった。
したがって、帯鋸刃において、エンドレス溶接を行うための鋸歯T1における第2の逃げ面RF2の逃げ角αは44°未満で、距離L=1mmとしたときの面積B/面積Aの値B/Aは246%以下であることが望ましいものである。
なお、前記距離Lを、例えば0.1mm、0.3mm、0.5mmなどと種々変更した場合には、値B/Aは距離Lの値によって種々変わるものである。したがって、帯鋸刃のエンドレス溶接を行うときの溶接性の良否を判定(評価)するには、前記距離Lの値に対応して値B/Aを予め実験的に求めて値B/Aの所定値を予め設定しておくことが望ましいものである。ところで、前記値B/Aの最小値は100%となるものである。すなわち、前記交差位置Mの部分に、例えば第3の逃げ面として、帯鋸刃の走行方向(図2において左右方向)に平行な逃げ面(逃げ角は0°)を形成した場合には、前記距離Lが小さいときには面積B=面積Aとなって値B/A=100%となるものである。
ところで、長い帯鋸刃を所望の長さに切断してエンドレス状に接続するために、帯鋸刃における鋸歯グループの所望の直歯に切断箇所として、前記第3の逃げ面を予め形成することも可能である。この場合、前記第3の逃げ面においてフラッシュバット溶接を行うことになるから、エンドレス溶接の溶接を考慮すると、前記第3の逃げ面の逃げ角は0°以上で44°未満であることが望ましいものとなる。
上述のように、帯鋸刃における鋸歯グループの所望の直歯に、エンドレス溶接を行う箇所として予め第3の逃げ面を形成することにより、常にこの第3の逃げ面の位置においてエンドレス溶接としてのフラッシュバット溶接を行うこととなり、帯鋸刃におけるエンドレス溶接の溶接性を常に良好に保持することができるものである。なお、前記第3の逃げ面の長さとしては、フラッシュバット溶接によって消失する長さ(溶接代)を見込んだ長さ以上とすることが望ましいものである。
既に理解されるように、前記帯鋸刃1Aにおいて、鋸歯グループにおける少なくとも1つの直歯T1の第2の逃げ面RF2を44°未満に設定し、この直歯T1における第2の逃げ面RF2をエンドレス溶接を行うための溶接箇所とすることにより、帯鋸刃1Aのエンドレス溶接の溶接性を常に良好に保持することができるものである。
図4は第2の実施形態に係る帯鋸刃2Aを示すものである。なお、帯鋸刃2Aにおいて前記帯鋸刃1Aの構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。この帯鋸刃2Aは、鋸歯として直歯T1、左アサリ歯T2、右アサリ歯T3、左アサリ歯T4、直歯T5、右アサリ歯T6、左アサリ歯T7及び右アサリ歯T8の8歯を1つの鋸歯グループとして備えた構成である。
前記帯鋸刃2Aにおける各鋸歯T1〜T8の構成は、前記特許文献4に記載の鋸歯の構成と類似の構成であるので、簡単に説明すると、各鋸歯T1〜T8は、歯先TEからの第1の逃げ面RF1を備えると共に後続歯のガレットの歯底(底面)TBに接続した第2の逃げ面RF2を備えている。そして、前記第1の逃げ面RF1と第2の逃げ面RF2との間に、帯鋸刃2Aの走行方向に平行な逃げ面の第3の逃げ面RF3を形成した歯欠けプロテクタを備えた構成である。なお、この第3の逃げ面RF3は歯先TEに近接してあるので、この第3の逃げ面RF3をエンドレス溶接の溶接箇所とすることは望ましいものではない。
前記帯鋸刃2Aにおいて、各鋸歯T1〜T8のガレット深さHは3mmに設定してあり、各鋸歯T2〜T4、T6〜T8における第2の逃げ面RF2の逃げ角は50°に設定してある。そして、直歯T1、T5の第2の逃げ面RF2は、当該第2の逃げ面RF2の位置をエンドレス溶接を行うための溶接箇所として、その逃げ角は44°未満である29.1°に設定してある。なお、各鋸歯T1〜T8における第2の逃げ面RF2と各ガレットの歯底TBは、半径R=1.7mmの円弧でもって接続してある。
上記帯鋸刃2Aにおける各鋸歯T1〜T8における第2の逃げ面RF2でのエンドレス溶接の溶接性の良否を判定(評価)するために、前記帯鋸刃1Aの場合と同一の評価方法において面積B、面積Aを演算し、かつ値B/Aを求めたところ、直歯T1、T5の値B/Aは219%であって246%以下であった。
ところで、前記構成においては、後続歯T2、T6の掬い面に半径R=1.7mmで連続した円弧の歯底TBで深さH=3mmで一定のガレットGA2、GA6とし、直歯T1、T5における第3の逃げ面RF3から前記歯底TBに接した直線の第2の逃げ面RF2とすることにより、第2の逃げ面RF2の逃げ角は29.1°となったものである。そして、前述したように値B/Aは219%となったものである。
既に明らかなように、帯鋸刃2Aにおいては、直歯T1と直歯T5との間隔寸法は、間に左右のアサリ歯T2、T3、T4又はT6、T7、T8の3歯を備えた構成であって29mmと小さな値である。すなわち、1つの鋸歯グループ内にエンドレス溶接位置となり得る直歯T1、T5が複数(2歯)存在することとなる。したがって、帯鋸刃の一端側を例えば直歯T1として他端側を直歯T5とすることができ、帯鋸刃をエンドレス状に溶接したときに、所定の直径に対する直径の誤差が小さくなるものである。従って、帯鋸盤における駆動ホイール、従動ホイールに掛回したときにおける従動ホイールの調節量が小さくてよいこととなるものである。
そして、前記構成においては、直歯T1、T5の後続歯T2、T6のガレット面積は14.21mm2 であって、帯鋸刃2Aにおいての最小ピッチ6.2mmのガレット面積11.00mm2 よりも大きいものである。したがって、ガレット面積が過度に小さくなるようなことがなく、切削効率に影響するようなことはないものである。
すなわち、前記帯鋸刃2Aの構成によれば、1つの鋸歯グループにおいての最大ピッチ8.3mmのガレット内にエンドレス溶接箇所を備えたことにより、ガレット面積の縮小による影響を抑制することができ、かつ前記値B/Aを、他の鋸歯の値B/Aよりも小さくすることができるものである。
図5は第3の実施形態に係る帯鋸刃3Aを示すものである。なお、帯鋸刃3Aにおいて、前記帯鋸刃1A、2Aの構成要素と同一機能を奏する構成要素には同一符号を付することとして重複した説明は省略する。
この帯鋸刃3Aにおいては、前記帯鋸刃2Aの構成とほとんど同一の構成であって、その異なるところは、直歯T1、T5における第2の逃げ面RF2を円弧状に形成してある点である。この第2の逃げ面RF2の円弧の半径Rは6mmであって、ガレット深さH=3mmより大きく設定してある。すなわち、第2の逃げ面RF2の円弧の中心位置はガレットの外側に設定してある。
上記構成において、直歯T1、T5における第2の逃げ面RF2においてのエンドレス溶接の溶接性の良否を判別(判定)するために、前記帯鋸刃1Aの場合と同一の評価方法において面積B及びAを演算し、かつ値B/Aを求めたところ、直歯T1、T5の値B/Aは210%であって、246%以下であった。この帯鋸刃3Aにおいても、前記帯鋸刃2Aと同様の効果を奏するものである。
以上のごとき説明より理解されるように、長い帯鋸刃を切断してエンドレス状に溶接するとき、前述したように、直歯T1における第2の逃げ面RF2の逃げ角を44°未満にすること、又は第2の逃げ面RF2を凹状の円弧面とした場合には、この円弧面の中心がガレットの外側に位置するように大きな半径6mmとすることにより、エンドレス溶接の溶接性の良否を判別する場合、良好になることがわかった。そして、この場合、前述した判別法(評価法)によれば、前述した面積Bと面積Aとの比の値B/Aは246%以下となり、良と判別できるものである。
ところで、帯鋸刃をエンドレス状に溶接するときの溶接性の良否を数値化して数値的に評価することは難しいものであった。しかし、前述したごとき判別法(評価法)のごとく、帯鋸刃のエンドレス溶接を行う箇所を、直歯における逃げ面であって、後続歯におけるガレットの底面(歯底)に接続する逃げ面(第2の逃げ面)に特定化する。そして、この逃げ面の溶接すべき位置(前記垂直線Cの位置)を特定し、この溶接すべき位置を中心として帯鋸刃の走行方向に等しい距離(幅)Lの前後の面積A,B(走行方向の前側がB、後側がA)を演算し、面積B/面積Aの値B/Aが予め実験的に求めた所定の数値以下であるか否かを確認することによって、エンドレス溶接の溶接性が良否を評価(判別)することができるものである。
したがって、前記評価方法(判別方法)に従って帯鋸刃における直歯の形状の設定を行うことにより、エンドレス溶接の溶接性の良好な帯鋸刃とすることができるものである。
ところで、従来の帯鋸刃における鋸歯の構成としては種々の構成があり、また種々の鋸歯の構成が想定されるものである。したがって、従来の実際の鋸歯や想定した鋸歯について、前述した評価方法(判別方法)を適用して、各種構成の鋸歯についてエンドレス溶接の溶接性について検証することにする。
図6は、前記特許文献3に記載の歯形において、歯先ピッチ6.35mmとし、掬い角4°〜7°から5.5°、第1逃げ角25°〜31°から28°、第2逃げ角53°〜61°から57°、ガレット深さH(0.46〜0.56)×ピッチから0.51×6.35=3.24mm、歯底R(0.38〜0.48)×ガレット深さから0.43×3.24=1.39mm、歯底直線長さ0.1×ピッチ以上から0.1×6.35=0.635mmの条件を適用して作図した図である。ここで、歯底直線部と第2逃げ面側の歯底R1.39mmとの交点から第1逃げ面と第2逃げ面との交点までの水平方向の距離は1.99mmである。この範囲内でエンドレス溶接の溶接性について数値的な判定(評価)をしようとすると、実際には歯底直線部と逃げ面側の歯底Rとの交点がどこなのか判別し難い。
そこで、歯底から0.03mm歯先側にオフセットした直線と逃げ面側の歯底Rとが交差する点を基準として垂直線を引き、さらに走行方向であって歯先側に2mmオフセットしたときの中心位置を垂直線Cとした。この場合、垂直線Cと第2の逃げ面とが交差する位置は、歯底から0.82mmであって、H/4にほぼ等しいものであった。したがって、前記垂直線Cの前後にL=1mmにおける面積A,Bを演算すると、面積A=0.30mm2 で面積B=1.55mm2 であって、値B/A=517%であった。この場合、246%超えであるから判定はNG(溶接性困難)である。
図7〜図9は、従来の鋸歯の形状であって逃げ角は30°で一定であり、ガレット深さHや歯底Rの数値が異なる場合である。上記形状の場合は、面積A=0.46mm2 、面積B=1.04mm2 、値B/A=226%(図7):面積A=0.56mm2 、面積B=1.14mm2 、値B/A=204%(図8):面積A=0.59mm2 、面積B=1.16mm2 、値B/A=197%(図9)で判定はG(溶接性容易)である。すなわち、逃げ角は44°未満の30°である。
図10〜図12は従来の公知の鋸歯の形状の場合であって、鋸歯の各要素の寸法は図10〜12に示すとおりである。この場合、図10の鋸歯においては面積A=0.29mm2 、面積B=1.50mm2 で、値B/A=517%であり、246%超えであるから、判定はNGである。図11、図12の場合も面積A=0.45mm2 、面積B=1.73mm2 、値B/A=384%:面積A=0.49mm2 、面積B=1.78mm2 、値B/A=363%でそれぞれ246%超えであるから、NGである。
図13、図14は、図3に示した前記鋸歯の構成(形状)において、第2の逃げ角が43°、44°の場合であり、図15は、第1実施形態の前記直歯T1の場合である。したがって、既に述べたように、図13の構成においての評価はG、図14の構成においての評価はNG、図15の構成においての評価はGである。
図16〜18の鋸歯は、図4に示した前記鋸歯の構成の場合であって、図17の鋸歯においては、歯先ピッチ8.3mmで第2の逃げ面の逃げ角が50°の場合を想定した。図16、17においては、面積A=0.32mm2 、面積B=1.35mm2 、値B/A=422%であり、図18においては、面積A=0.47mm2 、面積B=1.03mm2 、値B/A=219%であって、図16、17の鋸歯の評価はNGで、図18の鋸歯の評価はGである。
図19は、図5において最大ピッチ8.3mmの場合を示すもので、面積A=0.51mm2 、面積B=1.07mm2 、値B/A=210%で評価はGである。図20、21は従来の鋸歯形状であって、面積A=0.45mm2 、面積B=1.46mm2 で値B/A=324%で評価がNGの場合と、面積A=1.20mm2 、面積B=1.87mm2 で値B/A=156%で評価がGの場合を示している。
図22の鋸歯は、第2の逃げ面の逃げ角が50°と大きいが、ガレットGAの歯底TBと前記第2の逃げ面とを接続する円弧の半径Rが5mmと大きい場合を想定して示してある。この場合、面積A=1.17mm2 、面積B=2.21mm2 で、値B/A=189%となり、246%よりも小さくなった。したがって、この場合の評価はGである。ここで、第2の逃げ面の逃げ角が50°であって44°よりも大きいにも拘わらず値B/A=189%となって判定がGになった理由は、図5に示した直歯T1の場合の半径R=6mmに近似した半径であって大きな半径であるから、前記判定(評価)を行うときの面積A,Bが半径が大きな円弧部分(曲率が小さな部分)の範囲内にあるからと考察できる。よって、エンドレス溶接の溶接性を良好にするには、鋸歯の第2の逃げ面とガレットGAの歯底TBとを接続する半径Rを5mm以上にすることが望ましいものである。
図23は、鋸歯の第2の逃げ面を半径R=3.5mmの円弧に形成した場合を想定して示してある。この場合、面積A=1.04mm2 、面積B=2.78mm2 、値B/A=267%であって250%より大きく評価はNGである。この場合、第2の逃げ面としての円弧の半径が3.5mmと、第2の逃げ面の曲率が大きいからと考察することができる。よって、第2の逃げ面を円弧の構成とする場合には、曲率を小さくするために第2の逃げ面の半径を大きく、例えばR=5mm以上とすることが望ましいものである。
図24は、鋸歯の逃げ面の逃げ角を30°と44°以下に設定し、この逃げ面とガレットの歯底とを半径R=10mmの円弧で接続した場合を想定して示してある。この場合、逃げ面の逃げ角が小さくかつ前記半径がR=10mmと大きいので、面積A=1.71mm2 、面積B=2.29mm2 、値B/A=134%となり、判定はGである。
図6〜図24に示した各鋸歯形状に対するエンドレス溶接の溶接性の評価(判定)方法は、図2に示した評価方法であって、直線Gから平行線K(クロスラインKと称することもある)までの高さ位置をH/4とし、かつ垂直線Cからのオフセットした第1、第2の垂直線D、Eまでのオフセット距離、すなわち距離Lを1mmとした場合である。そこで、前記平行線(クロスライン)Kの高さ位置を種々変更した場合及び前記オフセット距離すなわち距離Lを種々変更した場合について検討した。
ここで、鋸歯形状として図6に示した鋸歯形状の場合について前記クロスライン(平行線)Kの高さ位置及びオフセット距離を適用した場合について検討した。なお、鋸歯形状としては、図6に示した鋸歯形状に限ることなく、その他の鋸歯形状に適用してもよいものである。
図6に示した鋸歯形状に、平行線Kの高さ位置として、H/4(0.81mm)、H/3.5(0.93mm)、H/3(1.08mm)、H/2.7(1.20mm)及びH/2.6(1.25mm)を適用する。そして、歯底直線部(0.635mm)と第2の逃げ面の半径R=1.39mmとの接点Oから、前記各平行線Kの高さ位置0.81mm(H/4)、0.93mm(H/3.5)、1.08mm(H/3)、1.20mm(H/2.7)、1.25mm(H/2.6)においての第2の逃げ面との交差位置Mからの垂直線Cまでの距離は、図25に示すように、それぞれ1.28mm、1.36mm、1.46mm、1.53mm及び1.56mmとなる。したがって、垂直線Cからのオフセット距離LはH/4(0.81mm)の場合では1.28mmが最大となる。
ここで、平行線Kの高さ位置をH/4とし、オフセット距離Lを1.28mmとして前述した面積A、Bを求め値B/Aを演算すると、図26に示すとおりであった。図26におけるH/4、オフセット1.28mmの欄を見ると、評価がGであった図13の鋸歯の場合は345%であるのに対して、評価がNGであった図23の鋸歯の場合は321%となり、図13に示した鋸歯の場合よりも図23に示した鋸歯の場合の数値が小さくなり、H/4、オフセット1.0mmの場合と矛盾することになる。すなわち、H/4、オフセット1.28mmでは評価(判定)不能であることになる。
次に、前述同様に平行線Kの位置をH/4とし、オフセット距離Lを1.1mmとして同様に値B/Aを演算すると、図13に示した鋸歯の場合は291%となり、図23に示した鋸歯の場合は286%となり、この場合も判定不能である。さらに、平行線Kの高さ位置をH/4としてオフセット距離Lを小さくして0.1mmとして値B/Aを求めると、図26に示すように、図13に示した鋸歯形状の場合には109.6%となり、図23に示した鋸歯形状の場合には110.2%ととなった。この場合には、H/4、オフセット1.0mmの場合と矛盾しないので判定可能である。
すなわち、平行線Kの高さ位置をH/4とした場合には、オフセット距離L=0.1mm〜1.0mmの範囲において、値B/Aは異なるものの溶接性の判定(評価)が可能である。なお、オフセット距離Lを0.1mmよりも小さくすることも可能である。しかし、オフセット距離Lが0.1mmよりも小さくなると、微妙な判定となるので、オフセット距離Lを0.1mmよりも小さくすることは望ましいものではないものである。
既に理解されるように、平行線Kの高さ位置(例えばH/4)とオフセット距離Lの範囲との関係には適正な範囲があり、かつ適正な範囲内のオフセット距離Lにおいては、溶接性の評価(判定)するための値B/A(%)は、各オフセット距離L毎に異なるものである。よって、適用する平行線Kの高さ位置及びオフセット距離Lに対応して値B/Aは、実験的に求めた値に予め設定しておくものである。
前述したように、平行線Kの高さ位置(例えばH/4)に対応して適用し得るオフセット距離Lの範囲は定まるものであるから、前記平行線Kの高さ位置とオフセット距離Lとの関係を求めるために、図6〜図24に示した各鋸歯形状に対して各種の高さ位置(H/4.3〜H/2.5)を適用し、かつ各高さ位置に対して各種のオフセット距離Lを適用して、前記値B/Aを求めた結果は、図26に示すとおりであった。
ここで、クロスライン(平行線)Kの高さ位置をH/4.3とすると、図13に示した鋸歯形状の場合における値B/A(110.3%)よりも図23に示した鋸歯形状の値B/A(110.1%)が小さくなるので溶接性の判定は不能になる。すなわち、高さ位置を求める分母の数が4.3以上では判定不能である。以下、まとめると次のとおりである。
(1)クロスラインH/4.3、分母が4.3以上では判定不能。
(2)クロスラインH/4.2ではオフセット量0.1mmで判定可能。
この時の判定は、110.1%以下で溶接性容易、110.5%以上で溶接性困難。
(3)クロスラインH/4ではオフセット量0.1mmから1.0mmの範囲で判定可能。
オフセット量0.1mmの時の判定は、109.6%以下で溶接性容易、109.9%以上で溶接性困難。
オフセット量1.0mmの時の判定は、246%以下で溶接性容易、252%以上で溶接性困難。
(4)クロスラインH/3.5ではオフセット量0.1mmから1.2mmの範囲で判定可能。
オフセット量0.1mmの時の判定は、108.3%以下で溶接性容易、108.7%以上で溶接性困難。
オフセット量1.2mmの時の判定は、280%以下で溶接性容易、288%以上で溶接性困難。
(5)クロスラインH/3ではオフセット量0.1mmから1.46mmの範囲で判定可能。
オフセット量0.1mmの時の判定は、107.1%以下で溶接性容易、107.4%以上で溶接性困難。
オフセット量1.46mmの時の判定は、292%以下で溶接性容易、299%以上で溶接性困難。
(6)クロスラインH/2.7ではオフセット量0.1mmから1.53mmの範囲で判定可能。
オフセット量0.1mmの時の判定は、106.6%以下で溶接性容易、106.64%以上で溶接性困難。
オフセット量1.53mmの時の判定は、270%以下で溶接性容易、278%以上で溶接性困難。
(7)クロスラインH/2.6ではオフセット量1.5mmから1.56mmの範囲で判定可能。
オフセット量1.5mmの時の判定は、260%以下で溶接性容易、261%以上で溶接性困難。
オフセット量1.56mmの時の判定は、268%以下で溶接性容易、269%以上で溶接性困難。
(8)クロスラインH/2.5、分母が2.5以下では判定不能。
上記の結果をグラフ化すると、図27に示すとおりである。図27に示したグラフにおいて、ハッチングで示した範囲内であれば、溶接性の判定が可能である。
1A,2A,3A 帯鋸刃
T1〜T8 鋸歯
GA ガレット
TB 歯底(底面)
A,B 面積
RF1 第1の逃げ面
RF2 第2の逃げ面

Claims (7)

  1. 適数の直歯と適数の左アサリ歯及び右アサリ歯を適宜のピッチで1つの鋸歯グループとして備えた帯鋸刃であって、当該鋸歯グループにおける少なくとも1つの直歯に、当該直歯の歯先からの第1の逃げ面を備え、この第1の逃げ面の後側に、当該直歯の後側の後続歯におけるガレットの底面に接続した第2の逃げ面を備え、この第2の逃げ面においてエンドレス溶接を行うために、第2の逃げ面の逃げ角を44°未満に設定してあることを特徴とする帯鋸刃。
  2. 適数の直歯と適数の左アサリ歯及び右アサリ歯を適宜のピッチで1つの鋸歯グループとして備えた帯鋸刃であって、当該鋸歯グループにおける少なくとも1つの直歯に、当該直歯の歯先からの第1の逃げ面を備え、この第1の逃げ面の後側に、当該直歯の後側の後続歯におけるガレットの底面に接続した凹曲面からなる第2の逃げ面を備え、この第2の逃げ面においてエンドレス溶接を行うために、第2の逃げ面とガレットの底面は円弧でもって接続してあり、前記円弧の中心位置を前記ガレットの外側に設定してあることを特徴とする帯鋸刃。
  3. 適数の直歯と適数の左アサリ歯及び右アサリ歯を適宜のピッチで1つの鋸歯グループとして備えた帯鋸刃であって、当該鋸歯グループにおける少なくとも1つの直歯に、当該直歯の歯先からの第1の逃げ面を備え、この第1の逃げ面の後側に、当該直歯の後側の後続歯におけるガレットの底面に接続した第2の逃げ面を備え、前記第1の逃げ面と第2の逃げ面との間に第3の逃げ面を備え、この第3の逃げ面においてエンドレス溶接を行うために、この第3の逃げ面の逃げ角を0°以上で44°未満に設定してあることを特徴とする帯鋸刃。
  4. 請求項1又は2に記載の帯鋸刃において、前記第2の逃げ面においてエンドレス状に溶接してあることを特徴とする帯鋸刃。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の帯鋸刃において、当該直歯と前記後続歯との間のピッチが最大ピッチであることを特徴とする帯鋸刃
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の帯鋸刃において、当該直歯と前記後続歯との間のガレット面積は、当該鋸歯グループにおける最小ピッチのガレット面積よりも大きいことを特徴とする帯鋸刃
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の帯鋸刃において、当該直歯と当該直歯との間の鋸歯の数は3歯以下であることを特徴とする帯鋸刃
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