図1は、本発明の実施形態に係る着脱コネクタシステム1の概略構成を示す斜視図であり、図2は、着脱コネクタシステム1の概略構成を示す側面図である。
着脱コネクタシステム1は、第1のコネクタ(たとえばオスコネクタ)3と第2のコネクタ(たとえばメスコネクタ)5とを備えたコネクタ7と、コネクタ7とは別体であるコネクタ用治具9とを備えて構成されている。メスコネクタ5は、オスコネクタ3とは別体になっており、オスコネクタ3とメスコネクタ5とは着脱自在(接続・分離自在)になっている。また、上記着脱はコネクタ用治具9を用いてなされるようになっている。
なお、説明の便宜のために、本件明細書において、所定の一方向を縦方向とし、この縦方向に直交する方向を横方向とし、縦方向と横方向とに直交する方向を着脱方向(高さ方向)とする場合がある。
オスコネクタ3は、複数の第1の端子(図示せず)を備えており、メスコネクタ5は、複数の第2の端子11を備えている。そして、複数の第1の端子のそれぞれが、複数の第2の端子11のそれぞれに接続(本接続)されるようになっている。本接続についての詳細は後述する。
各コネクタ3,5同士の接続(お互いが分離されているオスコネクタ3の第1の端子とメスコネクタ5の第2の端子11との接続)を行うときは、まず、コネクタ用治具9の引っ掛け部13をオスコネクタ3の第1の被引っ掛け部15に引っ掛け、コネクタ用治具9の押し込み部17をメスコネクタ5の第2の被当接部19に当接させる。
続いて、上記引っ掛けと上記当接とをした状態で、メスコネクタ5がオスコネクタ3に近づくように(オスコネクタ3の第1の端子がメスコネクタ5の第2の端子11に挿入されるように)、コネクタ用治具9の押し込み部17で、メスコネクタ5を押すことによってなされる構成になっている。
一方、各コネクタ3,5同士の分離(お互いが接続されているオスコネクタ3の第1の端子とメスコネクタ5の第2の端子11との分離)を行うときは、まず、コネクタ用治具9の当接部21をオスコネクタ3の第1の被当接部23に当接させ、コネクタ用治具9の引き出し部25をメスコネクタ5の第2の被引っ掛け部27に引っ掛ける。
続いて、上記当接と上記引っ掛けとをした状態で、メスコネクタ5がオスコネクタ3から離れるように(オスコネクタ3の第1の端子がメスコネクタ5の第2の端子11から抜け出るように)、コネクタ用治具9の引き出し部25で、メスコネクタ5を引き出すことによってなされる構成になっている。
また、オスコネクタ3(たとえば、オスコネクタ3の筒状部29)には、第1のコネクタロック部31と第1のコネクタ仮係止部33とが設けられている。第1のコネクタロック部31と第1のコネクタ仮係止部33とはお互いが離れている。
メスコネクタ5(たとえば、メスコネクタ5の第2のコネクタ本体部35)には、第2のコネクタロック部37と第2のコネクタ仮係止部39とが設けられている。第2のコネクタロック部37と第2のコネクタ仮係止部39とはお互いが離れて別個に設けられている。
第2のコネクタロック部37は、オスコネクタ3の第1の端子とメスコネクタ5の第2の端子11とをお互いに接続する途中で第1のコネクタロック部31に係合(たとえば接触)して弾性変形するようになっている。
また、オスコネクタ3の第1の端子とメスコネクタ5の第2の端子11との接続が終了(完了)したときに(第1の端子と第2の端子11とが本接続状態になったときに;オスコネクタ3とメスコネクタ5とが本接続状態になったときに)、第2のコネクタロック部37が復元するようになっている。この復元によって第2のコネクタロック部37が第1のコネクタロック部31に係合し、メスコネクタ5の第2の端子11の、オスコネクタ3の第1の端子からの分離が阻止されるように構成されている。
さらに、第2のコネクタロック部37は、オスコネクタ3の第1の端子とメスコネクタ5の第2の端子11とがお互いに接続されているとき(本接続状態にあるとき)に、所定の外力が加えられることによって(所定の外力を受けることによって)弾性変形し、第1のコネクタロック部31との係合がはずれるようになっている。すなわち、第2の端子11の、第1の端子からの分離阻止が解除され、メスコネクタ5がオスコネクタ3から分離できるようになっている。
また、第2のコネクタロック部37は、メスコネクタ5の第2の端子11をオスコネクタ3の第1の端子から分離する途中で第1のコネクタロック部31に係合(たとえば接触)して弾性変形し、メスコネクタ5の第2の端子11の、オスコネクタ3の第1の端子からの分離が終了したときに、第1のコネクタロック部31から離れて復元するようになっている。
第2のコネクタ仮係止部39は、オスコネクタ3の第1の端子とメスコネクタ5の第2の端子11とをお互いに接続するときに、第1のコネクタ仮係止部33と係合して、オスコネクタ3(たとえば筒状部29)とメスコネクタ5(たとえば第2のコネクタ本体部35)とを仮接続の状態にするように構成されている。仮接続の状態の詳細については後述する。
オスコネクタ3は、第1のコネクタ本体部41と、複数の前述した第1の端子(図示せず)と、筒状部29と、第1の突起43とを備えて構成されている。第1の端子は、たとえば針状に形成された金属製の雄端子であり、第1の端子を除く、第1のコネクタ本体部41や筒状部29や第1の突起43等の樹脂部分は、たとえばモールド成形によって一体成形されている。
複数の第1の端子は、第1のコネクタ本体部41の上面から突出している。筒状部29は、複数の第1の端子を囲むように(第1の端子が内側に入るように)、第1のコネクタ本体部41の上面から突出している。第1の突起43は、筒状部29の先端(上端)部側(たとえば先端部)で、筒状部29の外周壁から筒状部29の外側(筒状部29の延出方向に直交する方向で筒状部29の中心から離れる側)に、筒状部29の中心に対して対称的(「対称的」についての詳細は後述する。)に突出して設けられている。
そして、たとえば、第1の突起43が、上述した第1の被引っ掛け部15と、上述した第1の被当接部23とを構成している。
なお、オスコネクタ3の第1のコネクタ本体部41の底面からは、複数の第1の端子に応じた複数の配線(たとえば可撓性を備えた電線;図示せず)が延出している。
メスコネクタ5は、前述した第2のコネクタ本体部35と複数の第2の端子11と第2の突起47とを備えて構成されている。第2の端子11は、針状の雄端子(オスコネクタ3の第1の端子)が嵌り込むたとえば金属製の雌端子であり、第2のコネクタ本体部35の底面でこの底面から上面側に凹んで設けられている。そして、第2の端子11のそれぞれに複数の第1の端子のそれぞれが挿入抵抗(挿入の際の反力)をもって挿入されて、複数の第1の端子のそれぞれと複数の第2の端子11のそれぞれとが、お互いに電気的に接続されるように構成されている。
第2の突起47は、第2のコネクタ本体部35の上面のほぼ中央部で前記上面から突出している。そして、たとえば、第2の突起47の一部が、前述した第2の被当接部19を構成しており、第2の突起47の他の一部が、前述した第2の被引っ掛け部27を構成している。
なお、第2の端子11を除く、第2のコネクタ本体部35や第2の突起47等の樹脂部分は、たとえばモールド成形によって一体成形されている。また、メスコネクタ5の第2のコネクタ本体部35の上面からは、複数の第2の端子11に応じた複数の配線(たとえば可撓性を備えた電線;図示せず)が延出している。
オスコネクタ3の筒状部29の内部には、第1のコネクタ本体部41の上面から延出しているリブ49が第1の端子を避けるようにして設けられている。また、メスコネクタ5の第2のコネクタ本体部35の底面には、メスコネクタ5を第1のコネクタに接続するときに(第1の端子を第2の端子11に接続するときに)、リブ49に係合(たとえば嵌合)する溝51が設けられている。
そして、オスコネクタ3にメスコネクタ5を接続するときに、リブ49に溝51が係合(たとえば滑り対偶をなして係合)するか、または、筒状部29の内壁に第2のコネクタ本体部35の側面が係合(たとえば滑り対偶をなして係合)するか、または、筒状部29の内壁に第2のコネクタ本体部35の側面が係合すると共にリブ49に溝51が係合して、オスコネクタ3に対してメスコネクタ5が着脱方向に移動するように、メスコネクタ5がガイドされるようになっている。
ここで、仮接続の状態とは、オスコネクタ3にメスコネクタ5を接続するときの途中の1つの状態であり、仮接続の状態であるときには、上述したリブ49等によるガイドがされており、オスコネクタ3の第1のコネクタ仮係止部33とメスコネクタ5の第2のコネクタ仮係止部39とがお互いに係合しており、オスコネクタ3の第1の端子とメスコネクタ5の第2の端子11とがお互いに離れて非接続になっている。
お互いが離れている(分離されている)各コネクタ3,5同士を仮接続状態にするには、大きな力は不要である。たとえば、オスコネクタ3(筒状部29)にメスコネクタ5(第2のコネクタ本体部35)を素手で挿入して嵌めることによりなすことができる。仮接続状態では、オスコネクタ3の第1のコネクタ仮係止部33とメスコネクタ5の第2のコネクタ仮係止部39とがお互いに係合しており、これによって仮接続状態が維持されるようになっている。
仮接続状態から、本接続状態(オスコネクタ3の第1の端子とメスコネクタ5の第2の端子11とのお互いの接続が終了した状態)にするには、大きな力(素手では発揮できない大きさの力)によって、オスコネクタ3の筒状部29にメスコネクタ5の第2のコネクタ本体部35を押し込む必要がある。
このような大きな力が必要な理由は、各コネクタ3,5に多数の端子11が設けられているからである。すなわち、オスコネクタ3に第1の端子が1つだけ設けられており、この1つの端子をメスコネクタ5の1つの端子11に挿入して端子同士を接続するのであれば、接続するときの抵抗力(端子の挿入抵抗)が小さいので素手による小さな力で端子同士の接続をすることができる。
しかし、オスコネクタ3には複数(多数)の端子が設けられており、メスコネクタ5にも複数(多数)の端子が設けられており、しかも、コネクタ7では多数の端子を同時に接続(多極の端子を一括して接続)するように構成されているので、接続するための抵抗力が大きく、本接続状態にするのに大きな力が必要になるのである。
そこで、仮接続状態から、本接続状態にするには、コネクタ用治具9が必要になる。コネクタ用治具9を用いて、仮接続状態から本接続状態にするために、各コネクタ3,5に所定の大きな力を加えると、まず、各コネクタ仮係止部33,39同士の係合状態が解除され、この後、オスコネクタ3の第1端子がメスコネクタ5の第2の端子11へ挿入されて本接続状態になる。本接続状態で、コネクタ7がたとえば自動車等車両に設置され使用されるようになっている。
また、本接続状態では、上述したように、第2のコネクタロック部37が第1のコネクタロック部31に係合し、第2の端子11の第1の端子からの分離(メスコネクタ5がオスコネクタ3から外れること)を阻止している。
なお、各コネクタロック部31,37を設けていない構成であっても、一旦接続された(本接続状態にある)各コネクタ3,5は、容易には分離されない。しかし、各コネクタロック部31,37を設けていない構成であると、振動によって各コネクタ3,5同士の接続が緩んだり、各コネクタ3,5同士が外れて(分離されて)しまうおそれがある。そこで、各コネクタロック部31,37を設けて、振動による各コネクタ3,5同士の緩み等を防止している。
お互いに接続されている(本接続状態にある)各コネクタ3,5を分離するときにも接続するときと同様にして大きな力が必要であるので、コネクタ用治具9が必要になる。なお、本接続状態では、各コネクタロック部31,37によってメスコネクタ5の第2の端子11の、第1の端子(オスコネクタ3の端子)からの分離が阻止されているので、コネクタ用治具9を用いても、本接続状態にある各コネクタ3,5の分離はできないようになっている。本接続状態にある各コネクタ3,5を分離する場合には、メスコネクタ5の第2のコネクタロック部37に別途外力を加えて第2のコネクタロック部37を弾性変形させ、第1のコネクタロック部31との係合をはずしておく。そして、コネクタ用治具9を用いて、オスコネクタ3からメスコネクタ5を引き抜く必要がある。
なお、コネクタ7において、メスコネクタ5の第2のコネクタロック部37の代わりに、オスコネクタ3の第1のコネクタロック部31が弾性変形する構成であってもよい。
次に、オスコネクタ3の筒状部29の中心に対して対称的に突出して設けられた第1の突起43(第1の被引っ掛け部15)と、メスコネクタ5の第2の突起47(第2の被当接部19,第2の被引っ掛け部27)とについて説明する。
第1の突起43は、たとえば、複数設けられている。オスコネクタ3とメスコネクタ5とが仮接続状態や本接続状態にあるときに、各コネクタ3,5の高さ方向(着脱方向)からオスコネクタ3とメスコネクタ5とを見ると、複数の第1の突起43を内接する多角形や複数の第1の突起43を内接する閉曲線(複数の第1の突起43を包洛する閉曲線)の内側に(たとえば、中心の位置に)、メスコネクタ5の第2の突起47が位置している。
具体的には、第1の突起43は、図3で示すようにたとえば3つ設けられている(突起43A,43B,43C)。第1の各突起43A,43B,43Cが内接する多角形は四角形(点P1,P2,P3,P4を結ぶ四角形)になり、第2のコネクタの第2の突起47は、上記四角形の各対角線の交点のところに位置している。
そして、コネクタ用治具9を用いて、各コネクタ3,5を本接続状態にするには、コネクタ用治具9の複数の引っ掛け部材53の引っ掛け部13のそれぞれを複数の第1の突起43のそれぞれに係合させて、コネクタ用治具9の移動部材(たとえばボルト)55に設置されている押し込み部材57を第2の突起47に係合させるので、各コネクタ3,5を本接続状態にするときに、メスコネクタ5にモーメント(横方向に延びている軸まわりの回転モーメントと、縦方向に延びている軸まわりの回転モーメント)が発生し難くなっており、メスコネクタ5がオスコネクタ3に対してスムーズに移動する(メスコネクタ5がオスコネクタ3にスムーズに嵌まる)ようになっている。
また、コネクタ用治具9を用いて各コネクタ3,5を分離するには、コネクタ用治具9の治具本体部59に設けられている複数の当接部21のそれぞれを、複数の第1の突起43の上面(先端面45)のそれぞれに当接させて、コネクタ用治具9のボルト55に設置されている引き出し部材61を第2の突起47に係合させるので、各コネクタ3,5を分離するときに、メスコネクタ5にモーメントが発生し難くなっており、メスコネクタ5をオスコネクタ3からスムーズに外せるようになっている。
次に、コネクタ用治具9について詳しく説明する。
コネクタ用治具9は、前述したように、お互いが分離されているオスコネクタ3とメスコネクタ5とをお互いに接続し、また、お互いが接続させているオスコネクタ3とメスコネクタ5とを分離するときに使用する治具であり、治具本体部59と、一対の引っ掛け部材(第1の係合部材)53(53A,53B)と、移動部材(たとえば、ボルト)55とを備えて構成されている。
治具本体部59には、所定の切り欠き63とオスコネクタ3の第1の被当接部23(先端面45)に当接する当接部21とが設けられている。
引っ掛け部材53には、所定の切り欠き65とオスコネクタ3の被引っ掛け部(第1の被引っ掛け部)15に引っ掛かる引っ掛け部13とが設けられている。また、引っ掛け部材53は、治具本体部59に回動自在に支持されている。回動自在に支持されていることによって、コネクタ用治具9を各コネクタ3,5へ設置する際、引っ掛け部材53の引っ掛け部13がオスコネクタ3の第1の被引っ掛け部15に当接して引っ掛け部材53が回動する(図12や図13参照)。これにより、コネクタ用治具9の各コネクタ3,5への設置がしやすくなっている。
ボルト55は、メスコネクタ5の第2の被当接部19に当接する押し込み部材(押し込み部17を備えた押し込み部材)57を支持し、もしくは、メスコネクタ5の第2の被引っ掛け部27に引っ掛ける引き出し部材(引き出し部25を備えた引き出し部材)61を支持するようになっている。また、ボルト55は、治具本体部59に係合(たとえば螺合)して治具本体部59に対して所定の方向(高さ方向)に移動するようになっている。さらに、押し込み部材57や引き出し部材61は、ボルト55に対して容易に着脱自在になっている。
お互いが分離されているオスコネクタ3とメスコネクタ5とをお互いに接続するときには、まず、ボルト55で押し込み部材57を支持する。続いて、オスコネクタ3とメスコネクタ5とが仮接続の状態で、引っ掛け部材53の引っ掛け部13をオスコネクタ3の第1の被引っ掛け部15に引っ掛ける。続いて、メスコネクタ5をオスコネクタ3に押す方向(押し込む方向)にボルト55を回転させながら移動して押し込み部材57の押し込み部17をメスコネクタ5の第2の被当接部19に当接させ、ボルト55の移動によりメスコネクタ5をオスコネクタ3側に押すようになっている。
一方、お互いが接続されているオスコネクタ3とメスコネクタ5とを分離するときには、まず、ボルト55で引き出し部材61を支持する。続いて、治具本体部59の当接部21をオスコネクタ3の第1の被当接部23(先端面45)に当接させ、引き出し部材61の引き出し部25をメスコネクタ5の第2の被引っ掛け部27に引っ掛ける。続いて、メスコネクタ5の第2のコネクタロック部37に外力を加えて、第2のコネクタロック部37とオスコネクタ3の第1のコネクタロック部31との係合をはずしておいて、ボルト55の移動によりメスコネクタ5をオスコネクタから離す方向に引き出す。そして、メスコネクタ5をオスコネクタ3から離すようになっている。
ところで、前述したように、オスコネクタ3には、第1のコネクタロック部31が設けられており、メスコネクタ5には、第2のコネクタロック部37が設けられている。そして、治具本体部59と引っ掛け部材53とに切り欠き63,65を設けてあることによって、お互いに接続されているオスコネクタ3とメスコネクタ5とを分離するときに、第2のコネクタロック部37に所定の外力を加えることができるようになっている。すなわち、治具本体部59の切り欠き63と引っ掛け部材53との切り欠き65とを通して指で直接もしくは器具を用いて、第2のコネクタロック部37に力を加え(図18の矢印AR参照)、第2のコネクタロック部37を弾性変形させて、メスコネクタ5のオスコネクタ3からの分離の阻止機能が解除されるようになっている。
次に、コネクタ7(オスコネクタ3、メスコネクタ5)、コネクタ用治具9についてさらに詳しく説明する。図3は、オスコネクタ3とメスコネクタ5との概略構成を示す斜視図である。なお、図3では、オスコネクタ3とメスコネクタ5とは分離されている。図1、図3等を参照するに、オスコネクタ3、メスコネクタ5、コネクタ用治具9は、コネクタ7やコネクタ用治具9の中心を通り、横方向に対して直交した平面(高さ方向と縦方向とに展開している平面)に対してほぼ対称に形成されている。また、オスコネクタ3、メスコネクタ5、コネクタ用治具9は、コネクタ7やコネクタ用治具9の中心を通り、縦方向に対して直交した平面(高さ方向と横方向とに展開している平面)に対してほぼ対称に形成されている。
まず、オスコネクタ3について説明すると、オスコネクタ3の第1のコネクタ本体部41は、直方体状に形成されている。第1のコネクタ本体部41の上面には、複数の第1の端子(図示せず)が上方に突出して設けられている。各端子は、横方向および縦方向で所定の間隔をあけてマトリックス状に配置されている。筒状部29も矩形状に形成されており、第1のコネクタ本体部41の上面から突出している。筒状部29の側面は、第1のコネクタ本体部41の側面の延長上に存在している。すなわち、図1、図3等の高さ方向からオスコネクタ3を見ると、オスコネクタ3(第1のコネクタ本体部41、筒状部29)の外形は矩形状になっている。
第1のコネクタ本体部41からの筒状部29の延出高さは、オスコネクタ3の第1の端子の延出高さよりも高くなっている。したがって、横方向等の側面からオスコネクタ3を見た場合、オスコネクタ3の第1の端子は筒状部29に隠れている。
第1の被引っ掛け部15を形成している第1の突起43は、図3で示すようにまた前述したように3つ設けられており、各突起43A,43B,43Cは、矩形な板状に形成されている。
突起43Aの縦方向(長手方向)の寸法は、筒状部29の縦方向の寸法よりも小さくなっており、突起43Aの高さ方向(厚さ方向)の寸法は、筒状部29の縦方向の寸法に比べて十分に小さく、筒状部29の厚さと等しいか筒状部29の厚さよりも僅かに大きくなっている。突起43Aの横方向(幅方向)の寸法は、突起43Aの厚さ方向の寸法と等しいか突起43Aの幅方向の寸法よりも僅かに大きくなっている。
そして、突起43Aは、長手方向が筒状部29の縦方向と一致し、厚さ方向が筒状部29の高さ方向と一致し、幅方向が筒状部29の横方向と一致するようにして、また、筒状部29の縦方向の中間部および筒状部29の上端部で、筒状部29の横方向の一方の側面から突出し、筒状部29に一体で設けられている。なお、突起43Aの厚さ方向の一方の面(上面45)と、筒状部29の上面とは、1つの平面(高さ方向に対して直交している平面)上に位置している。また、突起43Aの上面45は、第1の被当接部23を形成している。
突起43Bと突起43Cとは、お互いがほぼ同じ形状に形成されている。突起43Bの厚さ方向の寸法および幅方向の寸法は、突起43Aの寸法とほぼ等しくなっている。一方、突起43Bの長手方向の寸法は突起43Aの長手方向の寸法よりも小さくなっている。さらに、突起43Bの長手方向の寸法と突起43Cの長手方向の寸法との和は、突起43Aの長手方向の寸法よりも小さくなっている。
そして、突起43B,43Cは、突起43Aと同様にして、筒状部29の横方向の他方の側面から突出し、筒状部29に一体で設けられている。さらに説明すると、各突起43B,43Cは、筒状部29の縦方向で所定の間隔(切り欠き69により間隔)をあけて設けられている。また、各突起43B,43Cと間の間隔が設けられておらず、各突起43B,43Cが突起43Aのようにつながっているとすると、このつながっている仮想の突起と突起43Aとは、同じ形態になる。
第1のコネクタロック部31は、筒状部29に一体成形で設けられた突起67で形成されている(たとえば、図17におけるXVIII部の拡大図である図18参照)。突起67は、筒状部の1つの平板状の側壁(各突起43B,43Cが設けられている側壁)に一体成形で設けられている。また、突起67は、筒状部29(メスコネクタ5)の縦方向の中央部(各突起43B,43Cの間)であって、筒状部29の高さ方向の先端部(切り欠き69が設けられている筒状部29の部位における上端部)の近傍に設けられている。さらに、突起67は、筒状部29の内壁から筒状部29の内側(中心)側に突出している。
第1のコネクタ仮係止部33は、筒状部29に一体成形で設けられた突起71で形成されている(たとえば、図7におけるIX−IX断面である図9(a)のIX部の拡大図である図9(b)参照)。突起71は、筒状部29の2つの平板状の側壁(オスコネクタ3の縦方向の両端部に位置している一対の側壁)のそれぞれに設けられている。また、突起71は、筒状部29の高さ方向では筒状部29の下側(第1のコネクタ本体部41側)に、筒状部29の横方向では筒状部29の中間部に設けられている。さらに、突起71は、筒状部29の内壁から筒状部29の内側(中心)側に突出している。
突起71の裏側(外側)における筒状部29の部位には、凹部73が設けられており、第1のコネクタ仮係止部33が第2のコネクタ仮係止部39に係合するときに、第1のコネクタ仮係止部33が弾性変形しやすくなっている。
次に、メスコネクタ5について説明する。
メスコネクタ5の第2のコネクタ本体部35は、図3等で示すように、直方体状に形成されており、底面(下面)に複数の第2の端子11が上方に凹んで設けられている。各端子11は、オスコネクタ3の第1の各端子に対応して、横方向および縦方向で所定の間隔をあけてマトリックス状に配置されている。第2のコネクタ本体部35の縦方向の寸法は、筒状部29の縦方向における内面(内壁)間の寸法とほぼ等しくなっており、第2のコネクタ本体部35の横方向の寸法は、筒状部29の横方向における内面(内壁)間の寸法とほぼ等しくなっており、第2のコネクタ本体部35の高さ方向の寸法は、筒状部29の高さ方向の寸法とほぼ等しくなっている。
メスコネクタ5の第2のコネクタロック部37は、図18で示すように、可撓性を備えた棒状の部位75を備えて構成されており、この棒状部位75の長手方向の中間部(たとおえば先端部側)に設けられている凸部(突起)77が、第1のコネクタロック部31を構成している突起67に係合して、本接続されたコネクタ7(オスコネクタ3、メスコネクタ5)の分離が阻止されるようになっている。
棒状部位75は、第2のコネクタ本体部35に一体成形で設けられている。棒状部位75は、この基端部が第2のコネクタ本体部35に接続されており、棒状部位75の長手方向が第2のコネクタ本体部35(メスコネクタ5)の高さ方向と一致して、第2のコネクタ本体部35から僅かに離れ、第2のコネクタ本体部35の下から上方に向かって延びている。また、棒状部位75の基端部は、縦方向では、第2のコネクタ本体部35の中央部に位置しており、高さ方向では、第2のコネクタ本体部35の下側に位置しており、横方向では、第2のコネクタ本体部35の横方向の一方の面内に位置している。
そして、オスコネクタ3とメスコネクタ5とをお互いに接続する途中では、棒状部位75(たとえば凸部77)が第1のコネクタロック部31に当接し、棒状部位75と第2のコネクタ本体部35との間隔が小さくなるように(図18に矢印A8で示す方向に)棒状部位75が弾性変形して撓むようになっている。また、オスコネクタ3とメスコネクタ5との接続が終了したときには、棒状部位75が復元し(図18の矢印A9で示す方向に復元し)、棒状部位75の凸部77が、図18で示しているように、オスコネクタ3の筒状部29に設けられている突起67の下側に位置するようにして、凸部77が突起67に当接し、メスコネクタ5がオスコネクタ3から抜け出ないようになっている(各コネクタ3,5の分離が阻止されるようになっている)。また、各コネクタ3,5が本接続されている状態で、棒状部位75の先端部に外力(図18の矢印ARで示す力)を加えると、棒状部位75(凸部77)とメスコネクタ5の突起67との係合がはずれ、各コネクタ3,5の分離阻止が開放されるようになっている(各コネクタ3,5を分離できるようになっている)。
メスコネクタ5の第2のコネクタ仮係止部39は、メスコネクタ5の高さ方向で互いが隣接している2つの突起79で形成されている(図9(b)参照)。突起79は、細長い溝81の底部から突出している。溝81は、第2のコネクタ本体部35の側面(縦方向の端部に位置している側面)に、メスコネクタ5の高さ方向に延びて設けられている。なお、突起79の高さは、溝81の深さとほぼ等しくなっている。また、溝81の深さは、第1のコネクタ仮係止部33を形成している突起71の高さとほぼ等しくなっており、溝81の幅(図9(b)の紙面に直交する方向の寸法)は、突起71,79の幅とほぼ等しくなっている。
これにより、メスコネクタ5をオスコネクタ3に接続するときに、突起71が溝81に滑り対偶をなして係合し、上述したリブ49と溝51との係合等に代えてもしくは加えて、メスコネクタ5がオスコネクタ3に対して着脱方向(高さ方向)にガイドされて移動するようになっている。
また、メスコネクタ5とオスコネクタ3とが仮係止状態にあるときには、図9(b)で示してあるように、お互いが隣接している2つの突起79の間に、第1のコネクタ仮係止部33を形成している突起71が入り込み、メスコネクタ5とオスコネクタ3とが仮係止状態が維持されるようになっている。
なお、メスコネクタ5とオスコネクタ3とにおいて、溝81を第2のコネクタ本体部35ではなくオスコネクタ3の筒状部29に設けてもよいし、1組の各コネクタ仮係止部33,39において、突起71を2つにし突起79を1つにして、仮係止状態で、2つ突起71の間に突起79が入り込むようにしてもよい。
メスコネクタ5の第2の突起47は、第2のコネクタ本体部35と一体で成形された起立部83と一対の突出部85とで構成されている。起立部83は、四角柱状等の柱状に形成されて第2の被当接部19を構成しており、起立部83の上面に、コネクタ用治具9の押し込み部17が当接するようになっている。また、起立部83は、第2のコネクタ本体部35の中央部で、第2のコネクタ本体部35の上面から突出している。
突出部85は、円柱状等の柱状に形成されて第2の被引っ掛け部27を形成している。また、突出部85は、この高さ方向(軸の延伸方向)が第2のコネクタ本体部35の横方向と一致するようにして、起立部83に設けられている。これにより、第2の突起47は「十」字状に形成されている。なお、オスコネクタ3とメスコネクタ5とを一旦接続した後の分離が不要であれば、突出部85を削除した構成であってもよい。
次に、コネクタ用治具9について説明する。
コネクタ用治具9は、たとえば、図2で示すように、前述した治具本体部59、ボルト55、一対の引っ掛け部材53、押し込み部材57、引き出し部材61に加えて、引っ掛け部材53を所定の回動方向(軸C1,C2を中心にした矢印A1,A2で示す方向)に付勢する付勢部材(たとえば圧縮コイルばね)87を備えて構成されている。
治具本体部59は、図4(治具本体部59の概略構成を示す斜視図)等で示すように、矩形な平板状の基部89と、矩形な平板状の第1の側部91と、第1の側部91と同形状に形成された第2の側部93とを備えてたとえば金属で形成されている。このように形成されている治具本体部59をこの高さ方向から見ると、基部89の形状である矩形状になっている。また、治具本体部59をこの縦方向から見ると、「コ」字状になっている。さらに、治具本体部59の各側部91、93の細長い矩形な平面状の先端面(基部89とは反対側の面)は、オスコネクタ3の第1の被当接部23に当接する当接部21を形成している。
基部89の中央部には、移動部材55が係合する移動部材係合部95が設けられている。移動部材係合部95は、基部89の厚さ方向(治具本体部59の高さ方向)を貫通しているメスねじによって形成されており、このメスねじ95に、ボルト55のねじ部(治具本体部への係合部)が螺合するようになっている。メスねじ95に螺合しているボルト55は、図2等で示すように、治具本体部59(コネクタ用治具9)の高さ方向で、ボルト55の頭部が各側部91,93の反対側に位置し、ボルト55のオスねじの先端部側が、各側部91,93側に位置し、横方向で、ボルト55のオスねじの先端部側が、各側部91,93の間に位置している。また、ボルト55を回すことによって、ボルト55が推力を得て治具本体部59の高さ方向で治具本体部59に対して移動するようになっている。
また、治具本体部59の第1の側部91には、切り欠き63と一対の第1の係合部材支持部(引っ掛け部材支持部)97が設けられている。切り欠き63は、矩形状に形成されており、治具本体部59の高さ方向では第1の側部91の先端部(下部)に、治具本体部59の縦方向では、第1の側部91の中間部に設けられている。
一対の引っ掛け部材支持部97のうちの一方の引っ掛け部材支持部97は、中央部に円形状の貫通孔99を備えた小さな板状に形成されており、この板の厚さ方向と貫通孔99の貫通方向とが、治具本体部59の縦方向と一致するようにして、第1の側部91に一体で設けられている。
また、一対の引っ掛け部材支持部97のうちの一方の引っ掛け部材支持部97は、治具本体部59の横方向では第1の側部91から外側(第2の側部93から離れる側)に突出し、治具本体部59の高さ方向では第1の側部91の中間部に位置し、治具本体部59の縦方向では第1の側部91の一方の側に位置している。
一対の引っ掛け部材支持部97のうちの他方の引っ掛け部材支持部97は、第1の側部91の中央を通る平面(第1の側部91の中心を取り治具本体部59の縦方向に直交している平面)に対して、一方の引っ掛け部材支持部97と対称に設けられている。
治具本体部59の第2の側部93とこの第2の側部93に設けられている切り欠き63と一対の引っ掛け部材支持部97とは、治具本体部59の中央を通る平面(治具本体部59の中心を取り治具本体部59の横方向に直交している平面)に対して、第1の側部91やこの切り欠き63や引っ掛け部材支持部97と対称に設けられている。
ボルト55の先端部(六角柱状の頭部とは反対側の部位)には、たとえば、図2で示すようにリング状の溝(クビレ)101が設けられており、このクビレ101が設けられている部位が、押し込み部材57や引き出し部材61と係合してそれらを支持する第2の係合部材支持部103を形成している。
一対の引っ掛け部材53(53A,53B)は、たとえば金属で構成されており、各側部91,93の場合と同様にして、コネクタ用治具9の中心を通り横方向に対して直交する平面に対して、対称に設けられている。なお、各引っ掛け部材53A,53Bはお互いが同じ形状に形成されているので、ここでは、一方の引っ掛け部材53Aの形状を説明する。
引っ掛け部材53Aは、図6等で示すように、所定の厚さを備えたほぼ矩形な板状に形成されている。また、引っ掛け部材53Aには、切り欠き65と、オスコネクタ3の第1の突起43に係合する(引っ掛かかる)引っ掛け部13と、治具本体部59の引っ掛け部材支持部97に係合する一対の被支持部105とが一体成形で設けられている。
切り欠き65は、矩形状に形成されており、引っ掛け部材53Aの高さ方向では引っ掛け部材53Aの先端部(下部)に、引っ掛け部材53Aの縦方向では、引っ掛け部材53Aの中間部に設けられている。
引っ掛け部13は、斜面106を備えた突起で構成されており、この突起は、引っ掛け部材53Aの高さ方向では、引っ掛け部材53Aの先端部(下部)に、引っ掛け部材53Aの縦方向では、切り欠き65が設けられている部位を除く全長にわたって、引っ掛け部材53Aの横方向(厚さ方向)では、一方の端面(引っ掛け部材53Aを治具本体部59に設置したときに第1の側部91側の面)から突出して設けられている。
一対の被支持部105のうちの一方の被支持部105は、外径が治具本体部59の引っ掛け部材支持部97に設けられている貫通孔99の内径とほぼ等しい円柱状に形成されている。そして、一方の被支持部105は、引っ掛け部材53Aの高さ方向および横方向(厚さ方向)では、引っ掛け部材53Aの中間部に、引っ掛け部材53Aの縦方向では、一方の端面から突出して設けられている。一対の被支持部105のうちの他方の被支持部105は、引っ掛け部材53Aの中央面(引っ掛け部材53Aの中心を通り引っ掛け部材53Aの縦方向に直交する平面)に対して、一方の被支持部105と対称に設けられている。
また、矩形状の治具本体部59の縦方向の寸法は、治具本体部59の第1の側部91(第2の側部93)に設けられている引っ掛け部材支持部97間の寸法とほぼ等しくなっている。さらに、引っ掛け部材53Aには、斜面部107が設けられている。斜面部107は、引っ掛け部材53Aの上端部側で引っ掛け部13が設けられている側に設けられており、この斜面部107が設けられている部位では、引っ掛け部材53Aの上端部に向かうにしたがって、引っ掛け部材53Aの厚さが薄くなっている。
そして、引っ掛け部材53の被支持部105が治具本体部59の引っ掛け部材支持部97に嵌り込むようにして、一方の引っ掛け部材53Aを第1の側部91に設置し、他方の引っ掛け部材53Bを第2の側部93に設置すると、たとえば図2で示すように、治具本体部59の横方向で、一対の引っ掛け部材53が治具本体部59の外側に位置する。このときには、一対の引っ掛け部13が、治具本体部59よりも下側に位置していると共に、治具本体部59の内側に突出している。
さらに、圧縮コイルばね87で付勢されているので、常態(図2に示す状態;コネクタ用治具9に何ら外力が加わっていない状態)では、引っ掛け部材53の厚さ方向と側部91,93の厚さ方向とがお互いに一致している。また、常態では、一対の引っ掛け部13の先端部間の距離L1が、オスコネクタ3の筒状部29の横方向の外形寸法L2とほぼ等しくなっており、一対の引っ掛け部13の基端部間の距離L3が、オスコネクタ3の第1の突起43Aと第1の突起43B(43C)の距離L4(図3も併せて参照)とほぼ等しくなっている。
なお、コネクタ用治具9を仮設置状態の各コネクタ3,5に設置する際には、図2に矢印A1,A2で示す方向に、一対の引っ掛け部材53が回動し(図13参照)、コネクタ用治具9の設置を容易ならしめている。すなわち、図13で示すように、引っ掛け部材53の傾斜面106が、オスコネクタ3の第1の突起43に当接して、各引っ掛け部材53A,53Bが「ハ」状になり、各引っ掛け部13間の距離が大きくなり、仮設置状態の各コネクタ3,5へのコネクタ用治具9の設置が容易になる。また、各引っ掛け部材53A,53Bの傾斜面(斜面部)107は、各引っ掛け部材53A,53Bが図13で示すように回動したときに、各引っ掛け部材53A,53Bと治具本体部59とが干渉しないようにするために設けられている。
押し込み部材57は、図5で示すように矩形な枡状に形成されている。そして、枡の開口部と隣り合っている1つの側壁部には、「U」字状の切り欠き109が形成されている。この切り欠き109の部位を、ボルト55のクビレ101に係合させることにより、図2で示すように、押し込み部材57がボルト55に着脱自在に設置されるようになっている。なお、枡状の押し込み部材57の他の1つの側壁部(「U」字状の切り欠き109が形成されている側壁部と対向している側壁部)が、メスコネクタ5の第2の被当接部19に当接する押し込み部17を形成している。
次に、引き出し部材61について詳しく説明する。
図19は、引き出し部材61の概略構成を示す斜視図であり、図20、図21は、引き出し部材61の正面図である。なお、図20では、引き出し部材61が、ボルト55に設置されていると共に、引き出し部材61の引き出し部25が、第2のコネクタ5の被引っ掛け部27に係合して、第2のコネクタ5を引き出すことができる状態を示している。図21(a)では、引き出し部材61が、ボルト55に設置されていると共に、引き出し部材61の引き出し部25が、第2のコネクタ5の被引っ掛け部27に係合する前の状態を示している。図21(b)では、引き出し部材61が、ボルト55に設置されていると共に、引き出し部材61の引き出し部25が、第2のコネクタ5の被引っ掛け部27に係合する途中の状態を示している。
引き出し部材61は、基材111と爪部材113と付勢部材(たとえば圧縮コイルバネ)115とを備えて構成されている。基材111には、切り欠き117が設けられており、この切り欠き117の部位がボルト55のクビレ101に係合することによって、引き出し部材61が、ボルト55に着脱自在に設置されるようになっている。
爪部材113は、図20に示す軸C3を回動中心にして、図20に示す状態(常態)から矢印A10の方向に回動するように、基材111に設けられている。また、爪部材113には、斜面119,121が設けられている。斜面119は、引き出し部25を形成する斜面であり、斜面121は、メスコネクタ5の第2の被引っ掛け部27(突出部85)に爪部材113を係合させるとき(引っ掛けるとき)に、圧縮コイルバネ115の付勢力に抗して、爪部材113(引き出し部25)を回動させるための斜面である(図21(b)参照)。
なお、図20や図21では、爪部材113を1つだけ設けてあるが、図22(引き出し部材の変形例を示す図)で示すように、基材111aに一対の爪部材113A,113Bを設けて、これらの一対の爪部材113A,113Bが、メスコネクタ5の第2の被引っ掛け部27(突出部85)に係合するようにしてもよい。この場合、一方の爪部材113Aは軸C5を回動中心にして、常態から矢印A13で示す方向の回動し、他方の爪部材113Bは軸C4を回動中心にして、常態から矢印A12で示す方向の回動するようになっている。
ところで、コネクタ用治具9では、押し込み部材57や引き出し部材61がボルト55に着脱自在になっており、押し込み部材57、引き出し部材61のいずれか一方がボルト55に設置されるようになっているが、ボルト55と押し込み部材57とを一体で構成してもよいし、または、ボルト55と引き出し部材61とを一体で構成してもよい。さらには、オスコネクタ3にメスコネクタ5を押し込む際、図5で示す押し込み部材57を使用せず、ボルト55をメスコネクタ5の第2の被当接部19に直接当接させてもよい。
次に、分離されているオスコネクタ3とメスコネクタ5とをお互いに接続するときの動作について、図7〜図18等を参照しつつ説明する。
図7は、仮接続状態にあるオスコネクタ3とメスコネクタ5とを示す斜視図であり、図8は、図7におけるVIII−VIII断面を示す図である。図9(a)は、図7におけるIX−IX断面を示す図であり、図9(b)は、図9(a)のIX部の拡大図である。
図10、図11は、仮接続状態にあるオスコネクタ3とメスコネクタ5とにコネクタ用治具9を設置する前の状態を示す図であり、図12、図13は、仮接続状態にあるオスコネクタ3とメスコネクタ5とにコネクタ用治具9を設置している途中の状態を示す図であり、図14、図15は、仮接続状態にあるオスコネクタ3とメスコネクタ5とにコネクタ用治具9を設置し終えた状態を示す図であり、図16、図17は、コネクタ用治具9によって、オスコネクタ3とメスコネクタ5とを本接続した状態を示す図である、図18は、図17のXVIII部の拡大図である。
まず、接続作業をする者がたとえば素手で、図3に矢印A3で示す方向にメスコネクタ5を移動して、オスコネクタ3とメスコネクタ5とを仮接続状態(図7〜図9参照)にする。
続いて、図10から図15で示すように、仮接続状態にあるオスコネクタ3とメスコネクタ5とに、押し込み部材57が設置されているコネクタ用治具9を設置する。すなわち、図10で示すように、オスコネクタ3とメスコネクタ5との上方の位置にコネクタ用治具9を位置させ、図10、図11に矢印A4で示す方向(下方)にコネクタ用治具9を移動する。この移動によって、引っ掛け部材53の傾斜面106が、オスコネクタ3の第1の突起43に当接して、引っ掛け部材53が回動し一対の引っ掛け部13の間隔が広がる(図12、図13参照)。図12や図13で示す状態から、矢印A5で示す方向(下方)にコネクタ用治具9をさらに移動する。
この移動によって、引っ掛け部材53の傾斜面106が、オスコネクタ3の第1の突起43から外れ、圧縮コイルばね87の付勢力で、引っ掛け部材53がもとの回動角度(図10、図11等で示した姿勢)に戻り、オスコネクタ3とメスコネクタ5とへのコネクタ用治具9の設置が終了する(図14、図15参照)。なお、図14、図15に示す状態では、治具本体部59の当接部21が、オスコネクタ3の第1の突起43の上面に当接している。また、コネクタ用治具9の引っ掛け部材53の引っ掛け部13と、オスコネクタ3の第1の突起43との間には、小さな隙間が形成されている。
続いて、図14や図15で示す状態で、ボルト55を矢印A6で示すように回すと、ボルト55が下降し、押し込み部材57がメスコネクタ5(第2の被当接部19)を押仕込む。この押し込みによる反力(上向きの力)により、コネクタ用治具9が全体的に僅かに上昇し、治具本体部59の当接部21とオスコネクタ3の第1の突起43の上面との間に僅かな間隙が生じ、コネクタ用治具9の引っ掛け部材53の引っ掛け部13がオスコネクタ3の第1の突起43に接触して引っ掛け部13が第1の突起43から押圧力(下向きの力)受ける。
ボルト55を矢印A6で示すようにさらに回すと、ボルト55がさらに下降し、メスコネクタ5が下方(図14や図15に矢印A7で示す方向)に移動して、メスコネクタ5がオスコネクタ3に押し込まれ、メスコネクタ5とオスコネクタ3との本接続がなされる(図16、図17参照)。
この本接続がなされたときに、図18で示すように、第2のコネクタロック部37を構成している凸部77が、第1のコネクタロック部31を構成している突起67に当接して、メスコネクタ5(第2の端子11)のオスコネクタ3(第1の端子)からの分離が阻止させる。すなわち、図18で示す状態では、凸部77が突起67の下側で突起67に当接しているので、オスコネクタ3に対してメスコネクタ5が上方に移動しようとしても、凸部77が突起67に引っ掛かり、上記上方への移動ができないようになっている。
なお、仮接続から本接続に移行する途中の状態では、まず、図18で示す状態とは異なり、オスコネクタ3に対してメスコネクタ5が上方に位置し、凸部77が突起67の上方で突起67から離れている。この状態から、オスコネクタ3に対してメスコネクタ5を下方に移動すると、凸部77が突起67に当接して、棒状部位75が図18に矢印A8で示す方向に弾性変形して撓む。この撓みによって、オスコネクタ3に対してメスコネクタ5がさらに下方に移動でき、凸部77が突起67を乗り越える。この乗り越えが終了したときに、オスコネクタ3とメスコネクタ5との本接続が終了し、棒状部位75が図8に矢印A8で示す方向に復元し、図18で示す状態になる。
次に、本接続がされている状態で、オスコネクタ3からメスコネクタ5を分離(取り外す)動作を説明する。
まず、図16や図17で示すように、本接続がされているオスコネクタ3とメスコネクタ5とに、コネクタ用治具9を設置する。図16や図17では、コネクタ用治具9のボルト55に押し込む部材57が設置されているが、オスコネクタ3からメスコネクタ5を分離するときには、押し込む部材57に代えて、図19等で示す引き出し部材61が設置される。また、コネクタ用治具9を設置するときには、図21(a)、図21(b)、図20にこの順で示すようにして、引き出し部材61が、メスコネクタ5の第2の被引っ掛け部27に係合する。
続いて、図18で示す状態において、治具本体部59の切り欠き63と引っ掛け部材53の切り欠き65とを介して、図18に矢印ARで示す力を第2のコネクタロック部37(棒状部位75)に加えて、図18に矢印A8で示す方向に棒状部位75を弾性変形させて撓ませ、突起67と凸部77とを非係合(非当接)状態にする。
このように、突起67と凸部77とを非当接状態にしておいて、ボルト55を左回り(図14の矢印A6とは逆回り)すると、ボルト55が上昇する。このボルト55の上昇によって、メスコネクタ5がオスコネクタ3に対して上方に引き出され、オスコネクタ3とメスコネクタ5とが仮接続状態になる。仮接続状態になったときには、図18で示している態様とは異なり、凸部77が突起67から離れて突起67の上方に位置しており、第2のコネクタロック部37(棒状部位75)は復元している。また、仮接続状態になる前であってメスコネクタ5が上方に引き出されているときには、ボルト55は下向きの力を受けており、オスコネクタ3の第1の突起43に当接している治具本体部59の当接部21が、上向きの力を受けている。
コネクタ7によれば、従来のコネクタ400のように、各コネクタ3,5毎にボルトやナットを設けていないので、コネクタ7が軽量化され、コネクタ7の構成が簡素化され、コネクタ7の製造工程が簡素化され、コネクタ7の製造コストを低減することができる。
なお、従来のコネクタ400のようにボルトやナットが設けられていないので、各コネクタ3,5同士の接続は、すでに理解されるように、オスコネクタ3の第1の被引っ掛け部15にコネクタ用治具9の引っ掛け部13を引っ掛け、メスコネクタ5の第2の被当接部19にコネクタ用治具9の押し込み部17を当接させ、コネクタ用治具9の押し込み部17で、メスコネクタ5を押すことによってなされる。
また、従来のコネクタ400のようにボルトやナットが設けられていないので、各コネクタ3、5の分離は、すでに理解されるように、オスコネクタ3の第1の被当接部23にコネクタ用治具9の当接部21を当接させ、メスコネクタ5の第2の被引っ掛け部27にコネクタ用治具9の引き出し部25を引っ掛け、コネクタ用治具9の引っ掛け部27で、メスコネクタ5を引き出すことによってなされる。
また、コネクタ7によれば、各コネクタロック部31,37が設けられていることによって、お互いに接続(本接続)されている各コネクタ3,5の分離が阻止され、お互いに接続されている各コネクタ3,5を分離するときには、第2のコネクタロック部37に別途外力を加える必要があるので、お互いに接続されたオスコネクタ3とメスコネクタ5とが使用されている状態では分離しないようになっている一方で、お互いに接続されたオスコネクタ3とメスコネクタ5とを分離する場合には、第2のコネクタロック部37に別途外力を加えればよいので、修理等の場合作業者の意思により、お互いが接続された各コネクタ3,5を容易に分離することができる。
また、コネクタ7によれば、コネクタ用治具9を用いることで、多極のコネクタを容易い接続しまた分離できるようになっている。