本発明の第1の実施形態に係る成形機について、図1から図14及び図33を用いて説明する。図1は、成形機10を示す側面図である。図1に示すように、成形機10は、型締装置20と、射出装置30とを備えている。
型締装置20は、内側に金型21が設置されている。金型21内には、成形する製品に対応する空間が形成されている。この空間内に、後述される射出装置30によって可塑化された材料が射出されることによって、製品が成形される。
射出装置30は、フレーム31と、射出用バレル32と、射出用バレル32内に収容されるプランジャ33と、射出用バレル32内でプランジャ33を進退させるプランジャ駆動装置35と、可塑化装置40と、調整装置80と、フレーム31に対して可塑化装置40を支持する複数の支持台とを備える。射出用バレル32と、プランジャ33と、プランジャ駆動装置35とは、射出部34を構成する。また、可塑化装置40は、材料を可塑化する可塑化部の一例である。
フレーム31は、基台5上に配置される。フレーム31と基台5との間には、射出装置30を型締装置20に近づく方向に沿う移動と型締装置20から離れる方向に沿う移動をガイドする移動機構6が設けられている。フレーム31は、内側に、後述される射出用バレル32と、プランジャ駆動装置35とを収容している。
射出用バレル32は、一例として円筒形状である。射出用バレル32の内側は、後述されるプランジャ33が収容される収容スペースが設けられている。射出用バレル32の先端には、ノズル38が設けられている。
射出装置30が移動機構6によって型締装置20に近づいたとき、ノズル38は、金型21内の空間内に連通する。図1は、射出装置30のノズル38が金型21から離れている状態を示している。
プランジャ33は、射出用バレル32内に収容されている。プランジャ33は、後述されるプランジャ駆動装置35によって、射出用バレル32内を進退する。プランジャ33が射出用バレル32内を前進することによって、射出用バレル32内に収容される、可塑化された材料がノズル38を通して金型21内(射出装置30の外部)に射出される。
なお、射出用バレル32内を前進するとは、プランジャ33が射出用バレル32内をノズル38に向かって移動することである。また、プランジャ33が後退するとは、プランジャ33がノズル38から離れる方向に移動することである。前進する方向と後退する方向とは互いに逆方向であり、直線方向である。
プランジャ駆動装置35は、駆動力を発生する動力発生装置と、動力発生装置が発生する動力を、プランジャ33の進退方向の移動に変換してプランジャ33に伝達する伝達機構とを備えている。動力発生装置は、本実施形態では一例として、電動モータである。伝達機構は、電動モータの出力軸の回転を、プランジャ33の進退方向の移動に変換して、プランジャ33に伝達する。
可塑化装置40は、フレーム31の上に配置される。ここで、射出装置30の前後方向Lと、上下方向Vと、幅方向Wとについて説明する。上下方向Vは、平面上に射出装置30が配置されたとき、この平面に垂直な方向に平行である。そして、この平面に垂直な方向のうち、平面において射出装置30が配置される側から平面に向かう方向を下方向とし、逆方向を上方向とする。重力が作用する方向に垂直な平面上に射出装置30が配置されたとき、重力が作用する方向は下方向になる。前後方向Lは、射出装置30の型締装置20に向かう方向および離れる方向に平行であり、射出装置30が型締装置20に向かって進む方向を前方向とする。前方向に対し反対方向を、後方向とする。前後方向Lは、上下方向Vに垂直である。幅方向Wは、上下方向Vと前後方向Lとに垂直な方向である。本実施形態では、プランジャ33の進退方向は、前後方向Lに平行である。
可塑化装置40の構成の説明に戻る。可塑化装置40は、可塑化用バレル41と、可塑化用バレル41内に収容される可塑化用スクリュ42と、材料Mの供給口となるホッパ取付台43と、可塑化用スクリュ42を回転する回転装置44と、ヒータ49とを備えている。
可塑化用バレル41は、内側に可塑化用スクリュ42を収容するとともに、材料M(例えば、樹脂、ガラス、金属、炭素繊維、これらの化合物、あるいはこれらの混合物)を収容する。また、可塑化用バレル41は、例えば外周にヒータ49を備えている。可塑化用スクリュ42は、一方向に長い棒形状である。可塑化用スクリュ42が回転することによって材料Mが前方向に(型締装置20の方に向かって)送られながら、ヒータ49によって溶融されて、可塑化される。また、可塑化された材料Mは、可塑化用スクリュ42の回転にともなって可塑化用バレル41の先端に導かれる。
可塑化用バレル41は、射出用バレル32に連結されている。可塑化用バレル41と射出用バレル32との連結構造について、具体的に説明する。射出用バレル32において、ノズル38が形成される側の端部には、バレルホルダ36が形成されている。バレルホルダ36は、射出用バレル32に対して上側に位置している。バレルホルダ36内には、射出用バレル32内に形成される収容空間、つまりプランジャ33が収容される空間と連通する連通通路37が形成されている。バレルホルダ36は、可塑化部と射出部とを連結する連結部の一例である。
可塑化用バレル41は、連結キャップ45を介してバレルホルダ36に連結される。連結キャップ45は、可塑化部の一部である。図1は、可塑化用バレル41が、連結キャップ45を介してバレルホルダ36に連結されている状態を示している。連結キャップ45内は、連結キャップ45を貫通する通路46が形成されている。連結キャップ45が可塑化用バレル41に連結されると、連結キャップ45の通路46は、可塑化用バレル41内の空間、つまり可塑化用スクリュ42が収容される空間に連通する。連結キャップ45がバレルホルダ36に連結されると、連結キャップ45の通路46は、バレルホルダ36内の連通通路37に連通する。
このように、可塑化用バレル41は、連結キャップ45とバレルホルダ36とを介して、射出用バレル32に連結される。
ホッパ取付台43は、可塑化用バレル41に固定されている。ホッパ取付台43の内側は、可塑化用バレル41の内側の空間に連通している。材料Mは、図示しないホッパからホッパ取付台43内に供給される。ホッパ取付台43内に供給された材料Mは、可塑化用バレル41内に供給される。
回転装置44は、本実施形態では、動力発生装置と、動力発生装置によって発生された動力を可塑化用スクリュ42の回転に変換して可塑化用スクリュ42に伝達する伝達機構とを備えている。本実施形態では、動力発生装置は、一例として電動モータである。
複数の支持台は、可塑化装置40を支持する。本実施形態では、支持台として、複数の前側支持台50と、複数の第1の後側支持台60と、第2の後側支持台70とを備えている。また、複数の前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70は、可塑化部を支持する支持部の一例である。前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70とは、後述される調整装置80によってフレーム31に支持されており、調整装置80によって前側支持台50や第1,2の後側支持台60,70の位置が調整される。このため、まず、調整装置80について、説明する。
図2は、調整装置80を示す斜視図である。なお、図2中では、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70とは、省略されている。図3は、調整装置80を下側から見た図である。図2に示すように、調整装置80は、複数の楔81と、楔ホルダ82と、複数の楔位置調整機構83と、楔ホルダ位置調整機構84とを備えている。
図2に示すように、調整装置80は、フレーム31の上部に設けられる天板31aの上面31b上に配置されている。上面31bは、上下方向Vに垂直な平面である。楔ホルダ82は、一例として、上下方向Vに所定の厚みを有する、平面形状が四角の板形状である。図3に示すように、楔ホルダ82の前端部の両側には、楔81を1つずつ収容する収容溝85が形成されている。楔ホルダ82の後端部の両側には、楔81を1つずつ収容する収容溝85が形成されている。収容溝85は、楔ホルダ82の下面から上方に向かって形成されている。このように、本実施形態では、複数の楔の一例として、4つの楔81が用いられる。
図4は、図2に示すF4−F4線に沿って示す、調整装置80の断面図である。図4は、楔ホルダ82を、収容溝85を通るように前後方向Lに沿って切断して、これを幅方向Wに沿って見た状態を示している。また、図4は、収容溝85と、収容溝85内に収容される楔81を示している。本実施形態では、一例として、4つの楔81の形状は全て同じであり、収容溝85の形状はすべて同じである。
図4に示すように、収容溝85は、楔81の上面81aと面接触する上面85aを有する。楔ホルダ82の前端部に形成される収容溝85は、楔81を、上面81aが後方に向かって進むにつれて下方に下がる姿勢で収容するように形成されている。言い換えると、楔ホルダ82の前端部に形成される収容溝85の上面85aは、後方に向かって進むにつれて、下方に下がる。
楔ホルダ82の後端部に形成される収容溝85は、楔81を、上面81aが後方に向かって進むにつれて上方に上がる姿勢で収容するように形成されている。言い換えると、楔ホルダ82の後端部に形成される収容溝85の上面85aは、後方に向かって進むにつれて上方に上がる形状である。収容溝85の幅は、楔81の幅と略同じであり、楔81の移動を妨げない程度楔81の幅よりも大きい。
楔ホルダ82の前端部と後端部に形成される収容溝85が上記のように形成されることによって、収容溝85に対する楔81の位置に応じて、楔ホルダ82の上面82aの位置が変化する。この点について、具体的に説明する。
図5は、収容溝85に対する楔81の位置が、図4に示される収容溝85に対する楔81の位置とは異なる状態を、図4と同様に切断して示す断面図である。図5に示すように、楔81は、収容溝85内を移動することができる。図5に示される楔81は、図4に示される楔81に対して、収容溝85から出る方向に移動している。
なお、楔81が収容溝85から出るとは、楔ホルダ82の前端部に形成される収容溝85に収容される楔81においては前方に移動することであり、楔ホルダ82の後端部に形成される収容溝85に収容される楔81においては、後方に移動することである。また、楔81が収容溝85に入り込むとは、楔ホルダ82の前端部に形成される収容溝85に収容される楔81においては、後方に移動することであり、楔ホルダ82の後端部に形成される収容溝85に収容される楔81においては前方に移動することである。
図5に示すように、楔81が収容溝85から出る方向に移動すると、収容溝85の上面85aが楔81の上面81aをスライドすることによって、フレーム31の天板31aの上面31bに対する楔ホルダ82の上面82aの位置が下がる。
図6は、収容溝85に対する楔81の位置が、図4に示される収容溝85に対する楔81の位置よりも入り込んでいる状態を示している。図6に示すように、楔81が収容溝85内に入り込むことによって、フレーム31の天板31aの上面31bに対する楔ホルダ82の上面82aの位置が上がる。
本実施形態では、楔81は、楔ホルダ82の4つの角部のそれぞれに、1つずつ設けられている。このため、各収容溝85に対する楔81の位置を調整することによって、楔ホルダ82の上面82aを上下方向Vに垂直な平面に保ったまま上下方向に移動することができる。さらに、収容溝85ごとに楔81の位置を変えることによって、楔ホルダ82の上面82aを、上下方向Vに垂直ではない姿勢にすることもできる。
図4〜6に示すように、各楔81の下面81bの全面には、摺動材90が設けられている。摺動材90は、例えば、MCナイロンである。摺動材90は、フレーム31の上面31bに対してスムーズに摺動可能である。
図2に示すように、楔位置調整機構83は、各楔81に対して1つずつ設けられており、第1の調整ボルト83aと、第2の調整ボルト83bと、第1の調整ナット83cと、第2の調整ナット83dとを備えている。なお、楔位置調整機構83の構造は、各楔81において同じである。
図7は、図4中に示すF7−F7線に沿って示す楔81の一部を示す断面図である。図2〜7に示すように、各楔81において収容溝85から離れた側の端部には、楔81の移動方向に楔ホルダ82の側面と対向する縦壁部81cが形成されている。
楔ホルダ82において、縦壁部81cと対向する部分には、ねじ穴82bが形成されている。本実施形態では、ねじ穴82bは、楔ホルダ82において縦壁部81cと対向する範囲のうち、楔ホルダ82の周方向に沿って中心に配置されている。ねじ穴82bは、収容溝85に対する楔81の移動方向に平行に延びている。
図7に示すように縦壁部81cにおいてねじ穴82bに対向する位置には、貫通孔83fが形成されている。貫通孔83fは、収容溝85に対する楔81の移動方向に平行に延びている。第1の調整ボルト83aは、貫通孔83fを通って縦壁部81cを貫通した後、ねじ穴82bに形成される雌ねじに螺合する。貫通孔83fは、第1の調整ボルト83aに接触しない大きさを有している。
第1の調整ナット83cは、第1の調整ボルト83aにおいて縦壁部81cを挟んで楔ホルダ82側の部分に螺合している。第1の調整ナット83cが縦壁部81cに向かって締め付けられることによって、第1の調整ボルト83aのヘッド部83hと第1の調整ナット83cとの間で縦壁部81cを挟み込む状態となり、第1の調整ボルト83aを回転することができない状態で縦壁部81cに固定する。第1の調整ナット83cをゆるめると、第1の調整ボルト83aを回転することができる。第1の調整ボルト83aを回転することによって、楔ホルダ82に対する第1の調整ボルト83aのヘッド部83hの位置を調整することができる。
本実施形態では、第2の調整ボルト83bは、2つ用いられる。縦壁部81cにおいて、貫通孔83fを挟んで両側には、ねじ孔83gが1つずつ形成されている。ねじ孔83gは、収容溝85に対する楔81の移動方向に平行に延びており、縦壁部81cを貫通している。ねじ孔83gの内面には、第2の調整ボルト83bが螺合する雌ねじが形成されている。
第2の調整ボルト83bは、ねじ孔83gに螺合するとともに、縦壁部81cを貫通している。第2の調整ボルト83bの先端83iは、楔ホルダ82の側面に接触している。第2の調整ボルト83bの長さと、縦壁部81cに対する第2の調整ボルト83bの位置とは、先端83iが楔ホルダ82の側面に接触した状態でヘッド部83jが縦壁部81cから離れた位置にあるように、調整されている。
第2の調整ナット83dは、第2の調整ボルト83bにおいて、縦壁部81cと第2の調整ボルト83bのヘッド部83jとの間の部分に螺合している。第2の調整ナット83dが縦壁部81cに向かって締め付けられることによって、縦壁部81cに対する第2の調整ボルト83bの位置が固定されて第2の調整ボルト83bを回転することができなくなる。第2の調整ナット83dを緩めることによって、第2の調整ボルト83bを回転することができる。第2の調整ボルト83bを回転することによって、縦壁部81cに対する、第2の調整ボルト83bの先端83iの位置を調整することができる。
つぎに、楔ホルダ82の高さを調整する動作について説明する。楔ホルダ82の高さを調整する場合、楔ホルダ82に対する楔81の位置を調整する。まず、楔ホルダ82の高さを上げる動作について説明する。なお、第1,2の調整ボルト83a,83bと、第1,2の調整ナット83c,83dは、作業者によって締められたり、ゆるめられたりする。
楔ホルダ82の高さを上げるために、楔位置調整機構83は、楔81を収容溝85内に押し入れる。まず、第2の調整ナット83dをゆるめて、第2の調整ボルト83bが回転できるようにする。
この状態で、図8に示すように、第2の調整ボルト83bを、第2の調整ボルト83bの先端83iが楔ホルダ82の側面から離れる方向に回転して、第2の調整ボルト83bの先端83iと楔ホルダ82の側面との間に、楔81の移動を可能とする空き空間83kを設ける。図8は、図7に示す状態から、第2の調整ボルト83bを回転した状態を示している。
空き空間83kの大きさは、楔81の移動距離となる。空き空間83kの大きさは、楔ホルダ82を所望の高さに上げるために必要な楔81の移動量であり適宜決定される。第2の調整ボルト83bの先端83iと楔ホルダ82の側面との間の空き空間83kが、必要量確保されると、第2の調整ナット83dを縦壁部81cに向かって締め付ける。このため、縦壁部81cに対して第2の調整ボルト83bが固定されて、第2の調整ボルト83bが回転できなくなる。
つぎに、第1の調整ナット83cをゆるめて、第1の調整ボルト83aが回転できるようにする。つぎに、第1の調整ボルト83aを、ヘッド部83hが楔ホルダ82に近づくように回転する。ヘッド部83hが楔ホルダ82に近づくことによって、縦壁部81cは、ヘッド部83hによって楔ホルダ82に向かって押圧される。
第1の調整ボルト83aは、縦壁部81cに形成される貫通穴83f内を貫通している。このため、縦壁部81cがヘッド部83hに押圧されることによって、楔81は、収容溝85内に押し込まれる。楔81が移動することによって、縦壁部81cに固定された第2の調整ボルト83bと第1,2の調整ナット83c,83dは、楔81とともに移動する。楔81が収容溝85内に入り込むことによって、楔ホルダ82の高さが上げられる。
楔81が楔ホルダ82に向かって移動することによって、第2の調整ボルト83bの先端83iと楔ホルダ82の側面との間に形成される空き空間83kは、次第に小さくなる。第1の調整ボルト83aは、第2の調整ボルト83bの先端83iが楔ホルダ82の側面に接触するまで回転される。第2の調整ボルト83bの先端83iが楔ホルダ82の側面に接触することによって、それ以上第1の調整ボルト83aが回転することができなくなる。このため、楔81の移動が停止される。
上記したように、空き空間83kの大きさは、楔ホルダ82の所望の高さに対応して決定されている。このため、空き空間83kがなくなることによって、楔ホルダ82は、高さが所望の位置まで上げられた状態になる。第2の調整ボルト83bの先端83iが楔ホルダ82の側面に接触した後、第1の調整ナット83cを縦壁部81cに向かって締め付けて第1の調整ボルト83aを縦壁部81cに固定する。
つぎに、楔ホルダ82の高さを下げる動作について説明する。楔ホルダ82の高さを下げる場合、楔ホルダ82に対して楔81を収容溝85から出す方向に移動する。まず、第1の調整ナット83cをゆるめて第1の調整ボルト83aが回転できるようにする。ついで、図9に示すように、第1の調整ボルト83aを、ヘッド部83hが縦壁部81cから離れる方向に回転して、ヘッド部83hと縦壁部81cとの間に空き空間83lを形成する。図9は、図7に示す状態から第1の調整ボルト83aを回転した状態を示している。
空き空間83lの大きさは、楔ホルダ82の高さを所望の位置まで下げるために必要な楔81の移動距離であり適宜決定される。空き空間83lの大きさが、楔ホルダ82に求められる高さまで下げるために必要な大きさになると、第1の調整ボルト83aの回転が停止される。
第1の調整ボルト83aの回転が停止されると、第1の調整ナット83cを縦壁部81cに向かって締め付けて、第1の調整ボルト83aが回転することができないようにし、第1の調整ボルト83aを縦壁部81cに固定する。
つぎに、第2の調整ナット83dをゆるめて、第2の調整ボルト83bを回転できるようにする。第2の調整ナット83dをゆるめると、ついで、第2の調整ボルト83bを、第2の調整ボルト83の先端83iが楔ホルダ82の側面から離れる方向とは逆の方向、つまり楔81が収容溝85から出る方向に回転する。楔81が収容溝85から出ることによって、楔ホルダ82の高さが下がる。
第2の調整ボルト83bが回転されることによって、第1の調整ボルト83aのヘッド部83hと縦壁部81cとの間の空き空間83lが小さくなる。第2の調整ボルト83bは、第1の調整ボルト83aのヘッド部83hが縦壁部81cに接触するまで回転される。第1の調整ボルト83aのヘッド部83hが縦壁部81cに接触することによって、楔ホルダ82の高さが所望位置まで下げられたことになるとともに、楔81は楔ホルダ82に対して収容溝85から出る方向に移動できなくなる。
第1の調整ボルト83aのヘッド部83hが縦壁部81cに接触すると、第2の調整ナット83dを縦壁部81cに向かって締め付けて、第2の調整ボルト83bを回転できないように縦壁部81cに対して固定する。
上記のように楔位置調整機構83の第1,2の調整ボルト83a,83bを調整することによって、楔ホルダ82の高さを調整することができる。なお、本実施形態では、第1,2の調整ナット83c,83dは、縦壁部81cを挟んで互いに反対側に配置されている。例えば、第1,2の調整ナット83c,83dは、縦壁部81cに対して同じ側に配置されてもよい。この場合、第1,2の調整ナット83c,83dは、縦壁部81cに対してヘッド部83h,83j側に配置されてもよいし、または、縦壁部81cを挟んでヘッド部83h,83jと反対側に配置されてもよい。または、第1,2の調整ナット83c,83dは、図7に示す位置関係に対して、互いに逆になるように配置されてもよい。つまり、第1の調整ナット83cが、縦壁部81cに対してヘッド部83h側に設けられ、第2の調整ナット83dが、縦壁部81cに対して楔ホルダ82側に設けられてもよい。
図2に示すように、楔ホルダ位置調整機構84は、フレーム31に対する楔ホルダ82の、前後方向Lに沿う位置と、幅方向Wに沿う位置とを調整する機能を有している。楔ホルダ位置調整機構84は、楔ホルダ82の前後方向Lに沿う位置を調整する前後方向調整部87と、楔ホルダ82の幅方向Wに沿う位置を調整する幅方向調整部86とを備えている。
前後方向調整部87は、楔ホルダ82を前後方向Lに挟んで前と後ろとに1つずつ設けられている。前後方向調整部87は、固定部87aと、調整ボルト87bとを備えている。固定部87aは、フレーム31の天板31aに固定されている。
調整ボルト87bは、固定部87aに螺合しており、前後方向Lに伸びている。固定部87aには、調整ボルト87bが螺合する雌ねじが形成されている。調整ボルト87bの先端は、楔ホルダ82に接触している。
図33に示すように、一方の調整ボルト87bは、楔ホルダ82から離れる方向に回転することにより、一方の調整ボルト87bと楔ホルダ82との間に空間87cができる。ただし、この空間87cは、楔ホルダ82の前後方向Lに対する移動量となるため、適宜決定される。
次に、他方の調整ボルト87bが楔ホルダ82に対して楔ホルダ82から離れる方向とは逆の方向につまり楔ホルダ82を押圧するように回転する。これにより、楔ホルダ82は他方の調整ボルト87bによって押圧され、前後方向Lの方向に移動する。このとき、楔ホルダ82が前後方向Lに移動する量に伴って、一方の調整ボルト87bと楔ホルダ82との間にできた空間87cが減っていく。一方の調整ボルト87bと楔ホルダ82との間にできた空間87bがなくなると、一方の調整ボルト87bと楔ホルダ82とは再び接触する。従って、楔ホルダ82は、調整ボルト87bによって、前後方向Lに移動する。
幅方向調整部86は、楔ホルダ82を幅方向Wに挟んで両側において、前側に1つ、後側に1つ設けられている。幅方向調整部86は、固定部86aと、調整ボルト86bとを備えている。固定部86aは、フレーム31の天板31aに固定されている。調整ボルト86bは、固定部86aに螺合している。固定部86aには、調整ボルト86bが螺合する雌ねじが形成されている。調整ボルト86bは、幅方向Wに延びている。調整ボルト86bの先端は、楔ホルダ82に接触している。
図33に示すように、一方の調整ボルト86bは楔ホルダ82から離れる方向に回転することにより、一方の調整ボルト86bと楔ホルダ82との間に空間86cができる。ただし、この空間86cは楔ホルダ82の幅方向Wに対する移動量となるため、適宜決定される。次に、他方の調整ボルト86bが楔ホルダ82に対して楔ホルダ82から離れる方向とは逆の方向につまり楔ホルダ82を押圧するように回転する。これにより、楔ホルダ82は他方の調整ボルト86bによって押圧され、幅方向Wの方向に移動する。このとき、楔ホルダ82が幅方向Wに移動する量に伴って、一方の調整ボルト86bと楔ホルダ82との間にできた空間86cが減っていく。一方の調整ボルト86bと楔ホルダ82との間にできた空間86cがなくなると、一方の調整ボルト86bと楔ホルダ82とは再び接触する。従って、楔ホルダ82は、調整ボルト86bによって幅方向Wに移動する。
なお、本実施形態では、一例として、4つの幅方向調整部86が用いられており、楔ホルダ82の4つの角部の近傍に1つずつ配置されている。このため、各幅方向調整部86を調整することによって、楔ホルダ82の姿勢を、前後方向Lに対して斜めになるように変化させることができる。なお、前後方向Lに対して斜めとは、調整装置80の初期状態に対して、斜めになることである。
つぎに、支持台の説明に戻る。図1に示すように、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70とは、楔ホルダ82の上面82aに固定されている。図2では、楔ホルダ82の上面82aにおいて前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70とが固定される箇所を、2点鎖線で示している。図2に示すように、本実施形態では、一例として、前側支持台50は、3つ用いられる。第1の後側支持台60は、2つ用いられる。第2の後側支持台70は、1つ用いられる。
図2に示すように、第1の後側支持台60は、楔ホルダ82の上面82aにおいて、幅方向Wに第2の後側支持台70を挟んで両側に1つずつ配置されている。図10は、第1の後側支持台60を、幅方向Wに沿って中央の位置で前後方向Lに沿って切断した状態を、幅方向Wに沿って見る側面図である。
図11は、図1に示すF9−F9線に沿って示す射出装置30の断面図である。図11は、射出装置30において第1,2の後側支持台60,70が設けられる部位を上下方向Vに切断したものを、前から後ろに向かって見た状態を示している。図11に示すように、可塑化装置40の駆動装置44の下端部には、旋回軸47が設けられている。具体的には、可塑化装置40の駆動装置44の幅方向両端部の各々には、下方に向かって延びる支持壁部48が設けられている。旋回軸47は、一方の支持壁部48と他方の支持壁部48に支持されており、幅方向Wに延びている。
図10に示すように、第1の後側支持台60は、旋回軸47を収容する溝61を有している。溝61は、溝61内で旋回軸47が移動できる幅を有している。溝61は、可塑化装置40の可塑化用スクリュ42の回転軸となる軸線Xの延びる方向D1に平行に延びている。溝61内に旋回軸47が収容されると、旋回軸47が溝61の下面62に接触する。そのため、可塑化装置40の荷重が第1の後側支持台60に加わる。
第2の後側支持台70は、楔ホルダ82の上面82aの幅方向Wに沿って中央に配置されている。図12は、第2の後側支持台70を、幅方向Wに沿って中央で前後方向Lに沿って切断した状態を、幅方向Wに見た断面図である。図10,12に示すように、第2の後側支持台70は、第1の後側支持台60と略同様の構造である。第2の後側支持台70において第1の後側支持台60と同じ構造については、第1の後側支持台60と同じ符合を付して説明を省略する。第2の後側支持台70は、第1の後側支持台60の構造に対して、さらに、コイルばね71と、受け板72と、調整ボルト73と、ストッパ74とを備えている。
コイルばね71は、溝61内に収容されている。受け板72は、コイルばね71の両端に1つずつ配置されている。旋回軸47が第2の後側支持台70の溝61内に収容されると、可塑化装置40の荷重は、コイルばね71の一端側に配置される受け板72を介してコイルばね71に入力される。このため、可塑化装置40の荷重は、コイルばね71に支持される。
調整ボルト73は、溝61内に突出しており、コイルばね71の内側を通っている。調整ボルト73は、コイルばね71に可塑化装置40の荷重が入力されて縮んだときのコイルばね71の縮み量を調整する。例えば、可塑化装置40をフレーム31に取り付けるときなどに、可塑化装置40の荷重がコイルばね71に急激に入力されると、コイルばね71の縮み量が瞬間的に大きくなってしまう。調整ボルト73は、このときの縮みによってコイルばね71が塑性変形しないように、コイルばね71の縮み量を規制する。
調整ボルト73の先端は、例えば、コイルばね71が塑性変形をはじめる位置又はコイルばね71が塑性変形をはじめる位置よりも少しだけ伸びている位置(例えば、コイルばね71が塑性変形をはじめる位置より数mm又は数cmだけ伸びている位置)に設置されている。
このため、コイルばね71が大きく縮んでも、受け板72が調整ボルト73の先端に接触するので、コイルばね71の変形がとまる。そのため、コイルばね71が塑性変形することを防止できる。コイルばね71の他端に配置される受け板72は、調整ボルト73に干渉しないように、調整ボルト73が通る貫通孔が形成されている。
ストッパ74は、溝61の開口に設けられている。ストッパ74は、板部材であり、ボルト75によって溝61の開口を塞ぐ姿勢で第2の後側支持台70に固定されている。ストッパ74は、旋回軸47が溝61から出ることを防止する。
図11に示すように、第1,2の後側支持台60,70の溝61は、幅方向Wに並んでいる。そして、幅方向Wに第1,2の後側支持台60,70の溝61を見ると、各溝61のふちは、互いに重なる。
旋回軸47は、射出装置30が図1に示されるように実際に使用される姿勢にあるときに、可塑化装置40の重心Gの位置よりも後方に位置している。なお、実際に使用される姿勢とは、図1に示されるように、連結キャップ45とバレルホルダ36とによって可塑化用バレル41内と射出用バレル32内とが連通する姿勢であって、可塑化用スクリュ42の軸線Xが延びる方向(可塑化部40の長手方向)D1とプランジャ33の進退方向に平行な方向(射出部34の長手方向)D2とが互いに傾斜する姿勢である。そして、可塑化用バレル41の前側が後側に対して下方に位置する姿勢である。
図1に示すように、前側支持台50は、可塑化装置40のホッパ取付台43の下端部を支持する。図2に示すように、本実施形態では、一例として、前側支持台50は、3つ用いられている。なお、前側支持台50の数は、3つ以外であってもよい。例えば、1つでもよく、複数であってもよい。
前側支持台50は、射出装置30が図1に示されるように実際に使用される姿勢にあるときに、ホッパ取付台43の傾斜した下面を支持する傾斜面51を有している。傾斜面51は、成形機10が稼動していない状態、つまり、熱膨張に影響を受けていない状態において可塑化用スクリュの旋回軸47の軸線Xの延びる方向D1に平行である。
傾斜面51には、摺動材52が設けられている。摺動材52の一例は、MCナイロンである。可塑化装置40のホッパ取付台43の下面は、摺動材52に面接触している。
前側支持台50には、調整ボルト53と、調整ボルト53を支持する調整部材用支持部54が設けられている。調整部材用支持部54は、前側支持台50の前端部に設けられており、上方に延びている。調整部材用支持部54には、調整ボルト53が螺合する雌ねじが設けられている。調整ボルト53は、傾斜面51に平行に延びている。
調整ボルト53を調整部材用支持部54に対して回転すると、調整ボルト53の先端の位置が変化する。可塑化装置40が調整ボルト53によって押圧されることによって、前側支持台50に対する可塑化装置40の位置を前後方向Lに調整することができる。
上述したように、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70とは楔ホルダ82に固定されており、それゆえ、お互いの相対位置関係は固定されている。このため、調整ボルト53を回転することによって前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70に対する可塑化装置40の位置を前後方向に変化することができる。
第1,2の後側支持台60,70の溝61と前側支持台50の傾斜面51とは、可塑化用スクリュ42の回転軸の軸線Xが延びる方向Yに平行な方向D1に延びている。このため、図1に示すように、射出装置30が実際に使用される状態にあるとき、調整ボルト53によって可塑化装置40が前後方向Lに変移する際、可塑化装置40のホッパ取付台43の下面は摺動材52上を滑り、かつ、旋回軸47は、溝61の下面62上を滑る。
上記のように、可塑化装置40が前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70とによって支持されることによって、射出装置30の側面形状は、射出用バレル32と可塑化用バレル41とによって、V字形状になる。射出装置30は、いわゆる、Vライン予備可塑化式射出装置である。
前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の上下方向の位置は、調整装置80によって調整可能である。
このように構成される射出装置30では、所定のタイミングで、可塑化用スクリュ42を交換する必要がある。可塑化用スクリュ42を交換する際の動作を説明する。図13は、可塑化用スクリュ42を交換するべく、可塑化装置40を、旋回軸47を回転軸として回転した状態を示している。
可塑化装置40を図13に示す姿勢にするためには、まず、前側支持台50の調整ボルト53を回転して、連結キャップ45とバレルホルダ36との接続が解除されるまで、可塑化装置40を後方に移動する。具体的には、調整ボルト53を回転することによって調整ボルト53の先端を可塑化装置40に接触させるとともに後方に押圧する。可塑化装置40は、調整ボルト53に押圧されることによって、傾斜面51上と溝61の下面62上を滑って後方に移動する。図14は、前側支持台50の調整ボルト53を回転することによって、連結キャップ45とバレルホルダ36との接続が解除された状態を示す側面図である。
連結キャップ45とバレルホルダ36との接続が解除されると、図13に示すように、上方からクレーン210などで可塑化装置40の前側を持ち上げる。図中、クレーン210の一部を示している。これにより、可塑化装置40は、旋回軸47を回転軸として回転し、図13に示す姿勢になる。
可塑化装置40を回転することによって、可塑化装置40を可塑化用スクリュ42の交換に適した姿勢にすることができる。可塑化装置40が、可塑化用スクリュ42の交換作業に適した位置まで回転すると、ついで、姿勢保持用のブラケット92を楔ホルダ82に取り付ける。ブラケット92は、下方から可塑化装置40を支持する。ブラケット92は、着脱可能である。図13では、ブラケット92が取り付けられた状態を示している。図2では、楔ホルダ82の上面82aにおいてブラケット92が取り付けられる位置を2点鎖線で示している。図2に示すように、ブラケット92は、一例として、2つ用いられる。
可塑化装置40は、姿勢保持用のブラケット92を取り付けることにより、図13に示すような姿勢の保持できるため、クレーン210による吊り上げ状態を解除しても、可塑化装置40の姿勢は変わらない。よって、連結キャップ45を外して可塑化用スクリュ42を交換することができる。
また、図13では、ブラケット92は、楔ホルダ82の前端部に取り付けられているが、例えば、楔ホルダ82の後端部に取り付けられてもよい。要するに、ブラケット92を取り付けることによって、可塑化装置40を図13に示すような可塑化用スクリュ42の交換を行いやすい姿勢に保持できればよい。
可塑化用スクリュ42が交換されると、連結キャップ45とバレルホルダ36とを接続する。まず、可塑化装置40をクレーン210で吊り上げた状態にして、ブラケット92を取り外す。ついで、可塑化装置40が前側支持台50の傾斜面51に設けられる摺動材52に接触するまで、可塑化装置40の前端部を下げる。
このとき、連結キャップ45とバレルホルダ36との位置を調整する。位置がずれている場合は、調整装置80の各楔位置調整機構83の第1,2の調整ボルト83a,83bと、楔ホルダ位置調整機構84の調整ボルト86b、87bとを調整して前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70の位置を調整し、連結キャップ45とバレルホルダ36の位置を調整する。
各楔位置調整機構83が調整されることによって、楔ホルダ82の高さが調整される。楔ホルダ82の高さが調整されることによって、楔ホルダ82に固定される前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70の高さが調整される。前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70の高さが調整されることによって、可塑化装置40の高さが調整される。楔ホルダ位置調整機構84が調整されることによって可塑化装置40の位置が調整される。このようにして、連結キャップ45とバレルホルダ36との位置合わせが行われる。
バレルホルダ36と連結キャップ45との位置合わせ作業が終了すると、前側支持台50の調整ボルト53を回転して、可塑化装置40を前方に移動する。この点について具体的に説明する。第1,2の後側支持台60,70の溝61と、前側支持台50の傾斜面51とは、可塑化用スクリュ42の回転軸の軸線Xの延びる方向に平行な方向D1に延びている。このため、前側支持台50の調整ボルト53を回転することによって調整ボルト53の先端の位置を前方に移動すると、可塑化装置40は、可塑化装置40自重によって、溝61の下面62上と傾斜面51に設けられる摺動材52上とを滑って前方に移動する。
バレルホルダ36と連結キャップ45の位置合わせは終了しているので、可塑化装置40が傾斜面51と溝61とに沿って滑って前方に移動すると、連結キャップ45は、バレルホルダ36に接合される。
また、射出装置30が稼動すると、バレルホルダ36や、可塑化用バレル41は、材料Mを可塑化するための熱(主にヒータ49の熱)によって、高温になる。バレルホルダ36と可塑化用バレル41は、高温になると、熱膨張をする。バレルホルダ36と可塑化用バレル41とが熱膨張することによって、可塑化装置40の全体が後方に変移する。
稼働中の可塑化装置40は、射出用バレル32に対してV字状になるように配置されている。このため、可塑化装置40が後方に延びることによって、可塑化装置40において支持される部分の高さも変化する。可塑化装置40において支持される部分とは、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70とによって支持される部分である。
このため、バレルホルダ36と連結キャップ45とが熱膨張すると、調整装置80の楔位置調整機構83の調整ボルト83bを調整して、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の高さを調整する。
さらに、可塑化装置40の全体が後方に変移するので、可塑化装置40の後方への移動に合わせて、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70とを後方に移動する。具体的には、楔ホルダ位置調整機構84の調整ボルト87bを調整して、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70とを後方に移動する。
また、熱膨張によっては、可塑化装置40が幅方向Wに曲がる場合もある。可塑化装置40が幅方向に曲がる、つまり、前後方向Lに対して斜め方向に延びる場合は、可塑化装置40の延びに合わせて楔位置調整機構83ごとに調整ボルト83bを調整し、かつ、楔ホルダ位置調整機構84の前後方向調整部87と幅方向調整部86ごとに調整ボルト87b,86bを調整することによって、調整装置80は、可塑化装置40の熱膨張に合わせて、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70との高さと位置とを調整することができる。
このように、本実施形態の成形機10では、射出装置30は、調整装置80を備えているので、可塑化装置40の稼働中に生じる熱膨張に合わせて、可塑化装置40を支持する部位の位置(高さ位置、前後位置、幅位置)を調整することができる。
このため、連結キャップ45とバレルホルダ36との接合部に作用する負荷を抑制することができる。なお、連結キャップ45とバレルホルダ36との接合部は、可塑化部と連結部との接合部の一例である。
また、調整装置80は、楔81を用いる構造であるので、簡素な構造にすることができる。
また、調整装置80は、4つ用いられているので、楔ホルダ82の姿勢を細かく調整することができる。このため、可塑化装置40の稼働中に生じる熱膨張に合わせて、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70との位置を細かく調整することができる。
また、調整装置80の楔ホルダ位置調整機構84は、楔ホルダ82の位置を幅方向Wに調整することができる。このため、可塑化装置40の稼動中に生じる熱膨張によって、可塑化装置40が幅方向Wにも変移しても、調整装置80は、熱膨張に合わせて前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70との位置を調整することができる。
なお、本実施形態では、上下方向Vは、連結部から可塑化部の長手方向に離れるにしたがい射出部に対して可塑化部が離れる方向に平行な方向の一例である。調整装置80は、支持部の位置を調整する調整手段の一例である。
また、本実施形態では、調整装置80は、支持部の位置を調整する調整機構の一例となるとともに、第1,2の調整ボルト83a,83bと、第1,2の調整ナット83c,83dが調整機構を操作する操作部の一例となる。また、楔ホルダ位置調整機構84と摺動材90とは、移動手段の一例であるとともに、楔ホルダ位置調整機構84は移動機構の一例である。調整ボルト86b、87bは、移動機構を操作する移動機構用操作部の一例である。
つぎに、本発明の第2の実施形態に係る成形機を、図15,16を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70の位置を自動的に調整するために、調整装置は、駆動装置100と、制御部110とをさらに備える。射出装置は、温度検出センサ120をさらに備える。第2の実施形態は、これらの点が、第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。
このため、本実施形態の成形機には、符号10aを付し、本実施形態の射出装置には符号30aを付し、本実施形態の調整装置には符合80aを付す。なお、本実施形態の構成は、上記異なる点以外は、第1の実施形態と同じである。
図15は、本実施形態の成形機10aを示す側面図である。図15に示すように、射出装置30aは、さらに、温度検出センサ120を備える。温度検出センサ120は、一例として連結キャップ45に設けられており、連結キャップ45の温度を検出する。温度検出センサ120は、検出結果を、後述される制御部110に送信する。
図16は、本実施形態の調整装置80aを示す斜視図である。図15,16に示すように、調整装置80aは、第1の実施形態で説明された調整装置80に対して第1,2の調整ナット83c,83dを備えていない。また、調整装置80aは、さらに、駆動装置100と、制御部110とを備える。駆動装置100は、調整装置80aの各調整ボルト83a,83b,86b,87bを調整するために、各調整ボルト83a,83b,86b,87bに対して1つずつ設けられている。駆動装置100は、後述される制御部110からの信号を受けて、調整ボルト83a,83b,86b,87bを回転する。
なお、第1の調整ボルト83aに対して設けられる駆動装置100は、第1の調整ボルト83aを回転する機能を有するとともに、駆動しない場合、つまり、第1の調整ボルト83aを回転しない場合は第1の調整ボルト83aを回転しないように保持する機能を有している。つまり、駆動装置100は、第1の調整ボルト83aを回転駆動していない状態では、第1の調整ボルト83aを縦壁部81cに対して回転しないように固定する機能を有している。
同様に、第2の調整ボルト83bに対して設けられる駆動装置100は、第2の調整ボルト83bの回転する機能を有するとともに、駆動しない場合、つまり、第2の調整ボルト83bを回転しない場合は第2の調整ボルト83bを回転しないように保持する機能を有している。つまり、駆動装置100は、第2の調整ボルト83bを回転駆動していない状態では、第2の調整ボルト83bを縦壁部81cに対して回転しないように固定する機能を有している。
制御部110は、温度検出センサ120の検出結果に基づいて、各駆動装置100の動作を制御する。制御部110は、連結キャップ45の温度と可塑化装置40の熱膨張との関係を示す情報を有する(記憶した)記憶部111aを有している。この情報は、例えば実験をすることによって得ることができる。
また、制御部110は、さらにタッチパネル付きヒューマンタッチインターフェイス(HMI)112、及び可塑化装置40を支持する前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70との高さと位置を記憶する記憶部111bとを有している。
制御部110は、温度検出センサ120の検出結果に基づいて、可塑化装置40の熱膨張後の状態に合わせて前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70との高さと位置とを調整するべく、各駆動装置100に動作信号を送信する。
各駆動装置100は、制御部110から送信された駆動信号に基づいて、調整ボルト83a,83b,86b,87bを調整する。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の効果に加えて、さらに、調整装置80aによって、可塑化装置40を支持する前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の位置を、高さ方向と天板31aの面に沿う方向とに自動的に調整することができる。
本実施形態では、移動機構(移動手段)として、図16に示す楔ホルダ位置調整機構84としたが、これに限らず、例えば、移行機構として、XYテーブルを用いてもよい。つまり、移動機構としては、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70の前後方向Lの位置と幅方向Wの位置を調整することができるものであればよい。
駆動装置100は、調整機構と移動機構とを駆動する駆動部の一例である。制御部110は、駆動部の動作を制御する制御部の一例である。
本実施形態においても、可塑化用スクリュ42を交換した後に連結キャップ45とバレルホルダ36とを接続する場合では、第1の実施形態と同様に、各駆動装置100が第1,2の調整ボルト83a,83b,86b,87bを調整して前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70の位置を調整し、連結キャップ45とバレルホルダ36の位置を調整する。
具体的には、まず、可塑化用スクリュ42を交換する際の連結キャップ45とバレルホルダ36との接続が解除される時に、タッチパネル付きヒューマンタッチインターフェイス(HMI)112を、可塑化用スクリュ42を交換するときに用いる画面に合わせ、可塑化用スクリュ42の交換モードとなるように、タッチパネル付きヒューマンタッチインターフェイス(HMI)112をタッチする、つまり操作する。
これにより、可塑化用スクリュ42を交換する際の連結キャップ45とバレルホルダ36との接続が解除される時の可塑化装置40を支持する前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の高さと位置を記憶部111bに記憶する。この時、後述するクレーン210及び姿勢保持用のブラケット92を用いて可塑化装置40が図13と同様の姿勢がとれるように駆動装置100の各々の調整ボルト83a,83b,86b,87bの保持機能が解除できるようになっている。
次に、第1の実施形態と同様に、クレーン210及び姿勢保持用のブラケット92を用いて可塑化装置40が図13と同様の姿勢となるようにし、可塑化用スクリュ42の交換を行う。可塑化用スクリュ42を交換した後、クレーン210及び姿勢保持用のブラケット92を取り除く。
次に、可塑化用スクリュ42の交換モードを解除するようにタッチパネル付きヒューマンタッチインターフェイス(HMI)112をタッチする、つまり操作する。これにより、駆動装置100の各々の調整ボルト83a,83b,86b,87bは、記憶部111bに記憶された連結キャップ45とバレルホルダ36との接続が解除される時の可塑化装置40を支持する前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70の高さと位置になるように、自動的に調整される。このように、可塑化装置40の高さと位置の調整が自動的に行われる。
連結キャップ45とバレルホルダ36との位置合わせが完了した後は、駆動装置100の各々の調整ボルト83a,83b,86b,87bの保持機能が回復する。ついで、第1の実施形態と同様に連結キャップ45は、バレルホルダ36に接合される。
なお、本実施形態では、温度検出センサ120が連結キャップ45の温度を検出し、制御部の一例である制御部110は温度検出センサ120の検出結果に基づいて、駆動装置100を制御した。他の例としては、温度検出センサ120は可塑化部の一例である可塑化装置40または連結部の温度を検出し、制御部110は検出された可塑化部または連結部の温度に基づいて駆動装置100の動作を制御してもよい。可塑化装置40において温度を検出する部分は、例えば可塑化用バレル41である。また、温度検出センサ120は、連結部の一例であるバレルホルダ36に設けられてバレルホルダ36の温度を検出してもよい。
つぎに、本発明の第3の実施形態に係る成形機を、図17を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、調整装置80を前後方向に移動可能とするために、摺動材90に変えて、スライドレール130が用いられる点が、第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点についてのみ説明する。
図17は、本実施形態の調整装置80とその近傍を示す側面図である。なお、図17では、楔ホルダ位置調整機構84とは、省略されている。図17に示すように、フレーム31の天板31aと各楔81との間には、スライドレール130が設けられている。
スライドレール130は、各楔81の下面に固定される第1のレール131と、天板31aの上面31bに配置される第2のレール132とを備えている。第1のレール131は、第2のレール132に組みつけられており、第2のレール132に沿ってスライド可能である。第1,2のレール131,132は、射出装置30の初期状態では、前後方向Lに平行に延びている。なお、初期状態とは、楔ホルダ位置調整機構84によって楔ホルダ82の位置が変更される前の状態である。
なお、第2のレール132は、天板31aの上面31bには固定されていない。このため、本実施形態であっても、楔ホルダ82は、楔ホルダ位置調整機構84によって幅方向Wと前後方向Lとに位置を調整することができる。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。さらに、摺動材90に代えてスライドレール130を用いることによって、調整装置80の前後方向Lに沿う移動を行いやすくなる。
なお、第2の実施形態の射出装置30aであっても、本実施形態と同様に、摺動材90に代えてスライドレール130が用いられてもよい。この場合、第2の実施形態と同様の効果が得られるとともに、さらに、調整装置80aの前後方向Lに沿う移動を行いやすくなる。スライドレール130は、移動手段の一例である。
つぎに、本発明の第4の実施形態に係る成形機を、図18を用いて説明する。なお、第2の実施形態の成形機と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、調整装置80を摺動可能にする摺動材90に代えてボールねじ140が用いられる点と、ボールねじ140を駆動する駆動装置141とを備える点と、制御部110が駆動装置141の動作を制御する点が、第2の実施形態と異なる。他の構造は、第2の実施形態と同じである。上記異なる点を説明する。
図18は、本実施形態の調整装置80とその近傍を示す側面図である。なお、図18では、楔ホルダ位置調整機構84は省略されている。図18に示すように、各楔81とフレーム31の天板31aとの間には、ボールねじ140が設けられている。
ボールねじ140は、天板31aの上面31bに設置されるボールねじ軸142と、ボールねじ軸142に螺合するボールナット143と、ボールナット143が固定される基部144とを備えている。ボールねじ軸142は、天板31aには固定されていない。このため、ボールねじ140は、楔ホルダ位置調整機構84の幅方向調整部86の調整を阻害することはない。
各楔81は、基部144上に移動可能に配置されている。ボールねじ軸142が回転することによって、ボールナット143が移動する。ボールナット143が移動することによって、基部144が移動する。ボールねじ軸142は、射出装置30の初期状態では、前後方向Lに延びている。なお、ボールねじ軸142とボールナット143とは、幅方向Wに複数設けられてもよい。射出装置30の初期状態とは、楔ホルダ位置調整機構84によって楔ホルダ82の位置が変更される前の状態である。
駆動装置141は、ボールねじ軸142を回転する。制御部110は、駆動装置141の動作を制御する。具体的には、本実施形態では、制御部110の記憶部111aは、連結キャップ45の温度と可塑化装置40の熱膨張との関係を示す情報の他に、温度検出センサ120の検出結果に基づいて、調整装置80の前後方向Lに沿うあるべき位置の情報も有している。制御部110は、温度検出センサ120の検出結果に基づいて駆動装置141に駆動信号を送信する。駆動装置141は、制御部110から送信される駆動信号に基づいて動作する。
本実施形態では、第2の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。
ボールねじ140は、移動機構の一例である。駆動装置141は、移動機構を駆動する移動機構用駆動部の一例である。制御部110は、移動機構用駆動部を制御する移動機構用制御部の一例である。
本実施形態では、調整機構を駆動する駆動部を制御する制御部の一例である制御部110が、移動機構を駆動する移動機構用駆動部を制御する制御部としても機能する。なお、他の例としては、駆動装置141を制御する制御部が、制御部110とは別に設けられてもよい。駆動装置141を駆動する制御部は、温度検出センサ120の検出結果に基づいて本実施形態の制御部110と同様に駆動装置141を制御する。なお、本実施形態では、楔ホルダ位置調整機構84は、前後方向調整部87が不要となる。
つぎに、本発明の第5の実施形態に係る成形機を、図19を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第2の後側支持台の構造が、第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点について説明する。
図19は、本実施形態の第2の後側支持台70を、図12と同様に示す断面図である。図19に示すように、本実施形態の第2の後側支持台70は、コイルばね71に代えて皿ばね75が用いられている。本実施形態では、第1の実施形態と同様の作用と効果とが得られる。
なお、第2〜4の実施形態であっても、本実施形態の第2の後側支持台70が用いられてもよい。この場合、各実施形態と同様の効果が得られる。
つぎに、本発明の第6の実施形態に係る成形機を、図20を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符号を付して説明を省略する。本実施形態では、第2の後側支持台が、第1の実施形態と異なる。他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点を説明する。
図20は、本実施形態の第2の後側支持台70を、図12と同様に示す断面図である。図20に示すように、本実施形態の第2の後側支持台70は、コイルばね71に代えてダンパ76を備えている。ダンパ76は、一例としてオイルダンパである。ダンパ76は、溝61内に固定されている。
ダンパ76は、可塑化装置40の荷重が第2の後側支持台70に急激に加わった場合に、その衝撃を吸収する。ダンパ76は、ばねのように急激に圧縮されることによって塑性変形することがない。このため、調整ボルト73が不要となる。
本実施形態では、第1の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。さらに、ダンパ76が用いられることによって、射出装置30の稼動中に生じる振動を、ダンパ76によって吸収することができる。さらに、調整ボルト73を用いる必要がなくなるので、部品数を削減することができる。しいては、製造コストまたはメンテナンスコストを抑制することができる。
なお、第2〜4の実施形態においても、本実施形態の第2の後側支持台70が用いられてもよい。この場合、各実施形態の効果に加えて、さらに、ダンパ76が用いられることによって、射出装置30の稼動中に生じる振動を、ダンパ76によって吸収することができる。さらに、調整ボルト73を用いる必要がなくなるので、部品数を削減することができる。しいては、製造コストまたはメンテナンスコストを抑制することができる。
つぎに、本発明の第7の実施形態に係る成形機を、図21を用いて説明する。なお、第2の実施形態と同様の機能を有する構成は、第2の実施形態と同一の符合を付して説明を省略する。本実施形態では、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の高さを調整するために、調整装置80に代えて、アクチュエータ150が用いられる点が第2の実施形態と主に異なる。さらに、駆動装置100は、アクチュエータ150を駆動する点が第2の実施形態と主に異なる。他の構造は、第2の実施形態と略同じである。上記異なる構造について説明する。
図21は、本実施形態の第2の後側支持台70とその近傍を、図12と同様に切断して示す断面図である。なお、図中アクチュエータ150は切断されていない。図21に示すように、本実施形態では、調整装置80に代えて、アクチュエータ150が用いられる。アクチュエータ150は、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の各々に1つずつ用いられている。図21では、一例として、第2の後側支持台70に用いられるアクチュエータ150を代表して示している。他のアクチュエータ150も同じである。
アクチュエータ150は、フレーム31の天板31aに配置される本体部151と、本体部151に対して上下方向Vに進退可能な可動部152とを備えている。可動部152は、下方から第2の後側支持台70に当接して第2の後側支持台70を支持している。
アクチュエータ150は、ピエゾ式のアクチュエータである。このため、本体部151内には、ピエゾ素子が収容されている。制御部110の記憶部111aには、温度検出センサ120の検出結果に基づいて、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70の位置を熱膨張に合わせた適切な位置に調整するための、各ピエゾ素子に印加すべき電圧値の情報が記憶されている。
本実施形態では、駆動装置100に代えて駆動装置100aが用いられる。駆動装置100aは、各アクチュエータ150に対して1つずつ設けられている。駆動装置100aは、制御部110の制御によって、本体部151内のピエゾ素子に電圧を印加する。ピエゾ素子に電圧が印加されることによって、可動部152が上下方向Vに変移する。この結果、第2の後側支持台70の高さが調整される。
また、本実施形態では、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の前後方向L(プランジャ33の進退方向に平行な方向D2)と幅方向Wの位置を調整する移動機構(移動手段)として、例えば、第2の実施形態で示したXYテーブルを備える。すなわち、制御部110の制御によって、駆動装置100aを介してXYテーブルに備えられた2つのボールネジを駆動させ、温度検出センサ120の検出結果に基づいて、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の前後方向Lと幅方向Wの位置を熱膨張に合わせた適切な位置に調整する。
図21では、第2の後側支持台70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構は省略されているが、アクチュエータ150と第2の後側支持台70との間に構成される。これは、前側支持台50と第1の後側支持台60の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構についても同様である。
本体部151の下端面には、摺動材90が設けられている。このため、例えば作業者などによって、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70とを、天板31aの上面31b内で摺動することができる。すなわち、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70とを、プランジャ33の進退方向に平行な方向D2に沿って移動することができる摺動材90は、移動手段の一例である。
他の前側支持台50と第1の後側支持台60に対して設けられるアクチュエータ150も、上記と同様に動作する。アクチュエータ150は、調整手段と調整機構と駆動部との一例であり、制御部110は、駆動部を制御する制御部の一例である。
本実施形態であっても、第2の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。第3〜6の実施形態においても、調整手段として調整装置に代えてアクチュエータ150を用いてもよい。
また、第1の実施形態であっても、アクチュエータ150が用いられてもよい。この場合、作業者がアクチュエータ150を操作する。
つぎに、本発明の第8の実施形態に係る成形機を、図22,21を用いて説明する。なお、第8の実施形態と同様の機能を有する構成は、第7の実施形態と同一の符合を付して説明を省略する。本実施形態では、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70とを上面に固定する支持板部材160を備える点が第7の実施形態と異なる。他の構造は、第7の実施形態と同じである。上記異なる点を説明する。
図22は、本実施形態の第2の後側支持台70と、その近傍とを、図12と同様に切断して示す断面図である。なお、アクチュエータ150は、切断されていない。本実施形態では、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70とは、支持板部材160上に固定されている。図23は、支持板部材160を示す平面図である。図23中、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70とは、2点鎖線で示されている。アクチュエータ150は、支持板部材160を下方から支持する。
また、本実施形態は、第7の実施形態と同様に、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構として、例えば、第2の実施形態で示したXYテーブルを備える。そのため、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移行機構については、第7の実施形態で示した説明を参照することとし、詳しい説明を省略する。図22では第2の後側支持台70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移行機構は省略されているが、支持部材160と第2の後側支持台70との間に構成される。これは、前側支持台50と、第1の後側支持台60の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移行機構についても同様である。
本実施形態では、第7の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。さらに、アクチュエータ150は支持板部材160を支持するので、アクチュエータ150は、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70とに1つずつ用いられることに限定されないので、アクチュエータ150の数を、支持台の数に対して少なくすることができる。なお、第1〜6の実施形態においても、本実施形態で説明された支持板部材160が用いられてもよい。
なお、本実施形態では、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70を支持する部材として、板形状の支持板部材160が用いられたが、これは板形状に限定されるものではない。要するに、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70とを支持する、支持板部材160と同様の機能を有する支持部であればよい。
つぎに、本発明の第9の実施形態に係る成形機を、図24を用いて説明する。なお、第7の実施形態と同様の機能を有する構成は、第7の実施形態と同一の符合を付して説明を省略する。本実施形態では、アクチュエータ150に変えてジャッキ170が用いられる。他の構造は、第7の実施形態と同じである。上記異なる点を説明する。
ジャッキ170は、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70の各々に対して1つずつ設けられている。図24は、本実施形態の第2の後側支持台70と、その近傍とを、図12と同様に切断して示す断面図である。なお、図中ジャッキ170は、切断されていない。
図24に示すように、本実施形態では、アクチュエータ150に代えて、ジャッキ170が用いられる。本実施形態では、ジャッキ170は、ねじ部171を有しており、ねじ部171を調整することによって、高さを調整する。本実施形態では、ねじ部171は、作業者の手動で操作される。ジャッキ170は、調整手段および調整機構の一例であり、ねじ部171は、調整機構を操作する操作部の一例となる。
ジャッキ170の下端面には、摺動材90が設けられている。このため、例えば作業員などが、熱膨張に合わせてジャッキ170を調整して、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70との高さを調整するとともに、天板31aの上面31b上での前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の位置を調整する。
しかしながら、ジャッキ170を操作する駆動装置を備えて、この駆動装置を、第7の実施形態のように、温度検出センサの検出結果に基づいて制御部によって自動的で駆動されるようにしてもよい。この場合、駆動装置は調整機構であるジャッキ170を駆動する駆動部の一例となる。
また、本実施形態は、第7,8の実施形態と同様に、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構として、例えば、第2の実施形態で示したXYテーブルを備える。そのため、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構については、第7の実施形態で示した説明を参照することとし、詳しい説明を省略する。ただし、ジャッキ170を操作者の手動で操作するときは、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構についても同様に、XYテーブルに備えられた2つのボールネジを操作者の手動で操作する。図24では第2の後側支持台70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構は省略されているが、ジャッキ170と第2の後側支持台70との間に構成される。これは、前側支持台50と、第1の後側支持台60の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構についても同様である。
本実施形態であっても第8の実施形態のように支持板部材160を用いてもよい。また、第1〜7の実施形態であっても、本実施形態のジャッキ170が用いられてもよい。本実施形態では、第7の実施形態あるいは第8の実施形態と同様の作用と効果とを得ることができる。
つぎに、本発明の第10の実施形態に係る成形機を、図25を用いて説明する。なお、第7の実施形態と同様の機能を有する構成は、第7の実施形態と同一の符合を付して説明を省略する。本実施形態では、ピエゾ式のアクチュエータ150に代えて、ねじ式のアクチュエータ180が用いられる。他の構造は、第7の実施形態と同じである。上記異なる点を説明する。
アクチュエータ180は、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70の各々に1つずつ設けられている。図25は、本実施形態の第2の後側支持台70とその近傍とを、図12と同様に切断して示す断面図である。
図25に示すように、ねじ式のアクチュエータ180は、天板31aの上面31b上に配置される本体部181と、ねじ部182とを備えている。本体部181の下端面には、摺動材90が設けられている。本体部181は、摺動材90によって、天板31aの上面31b上を摺動することができる。
ねじ部182は、本体部181に対して上下方向Vに進退可能である。本体部181内には、ねじ部182の進退を調整する調整部183が収容されている。調整部183は、駆動装置100aに代えて、駆動装置100bによって制御される。ねじ部182の先端は、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70を支持している。
本実施形態では、アクチュエータ180は、調整手段の一例である。調整部183は、調整機構の一例である。駆動装置100bは、駆動部の一例である。制御部110は、制御部の一例である。
また、本実施形態は、第7〜9の実施形態と同様に、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構として、例えば、第2の実施形態で示したXYテーブルを備える。そのため、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構については、第7,9の実施形態と同様であるため、第7,9の実施形態で示した説明を参照することとし、詳しい説明を省略する。図25では第2の後側支持台70の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構は省略されているが、ねじ式のアクチュエータ180と第2の後側支持台70との間に構成される。これは、前側支持台50と、第1の後側支持台60の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構についても同様である。
本実施形態では、第7の実施形態と同様の作用と効果とが得られる。なお、第8の実施形態と同様に支持板部材160が用いられてもよい。その場合、本実施形態は、第8の実施形態と同様の作用と効果が得られる。第1〜7の実施形態に本実施形態のアクチュエータ180が用いられてもよい。
つぎに、本発明の第11の実施形態に係る成形機を、図26,34を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符合を付して説明を省略する。本実施形態では、調整装置80と前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70とが用いられず、可塑化装置40は、アクチュエータ190によって、直接あるいは図34に示すように、第8の実施形態で示した支持板部材160と同様な可塑化装置40を上面に固定する支持板部材201を介してフレーム31に支持される。
他の構造は、第1の実施形態と同じである。上記異なる点を説明する。本実施形態では、成形機に符合10bを付す。なお、成形機10bは、上記異なる点以外は、第1の実施形態で説明された成形機10と同じである。
図26,34は、本実施形態の成形機10bを示す側面図である。図26,34に示すように、可塑化装置40は、複数のアクチュエータ190によって直接または支持板部材201を介して支持されている。アクチュエータ190は、本体部191と可動部192とを備えている。
本実施形態では、射出装置30を、容易に稼働中の姿勢がV字形状になるように、フレーム31の天板31a上に台200を設けている。しかしながら、台200を用いず、複数のアクチュエータ190によって射出装置30を射出装置30の稼働中の姿勢がV字形状となるようにしてもよい。本体部191は、台200の上に配置されている。本体部191の下面には、摺動材90が設けられている。本体部191は、台200上を摺動可能である。
可動部192は、本体部191に対して上下方向Vに進退可能である。可動部192は、可塑化装置40を支持している。本体部191に対する可動部192の位置は、手動で調整されてもよい。また、アクチュエータ190として、第7の実施形態で用いられたピエゾ式のアクチュエータ150または第10の実施形態で用いられたねじ式のアクチュエータ180と同じアクチュエータが用いられてもよい。また、アクチュエータ190の代わりとして、第9の実施形態で用いられたジャッキ170が用いられてもよい。また、アクチュエータ190あるいはアクチュエータ150、アクチュエータ180、ジャッキ170のいずれかは、第2の実施形態のように、温度検出センサ120の検出結果に基づいて、制御部110によって自動的に制御されてもよい。
また、本実施形態は、アクチュエータ190、あるいは、可塑化装置40の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構として、台200あるいは支持板部材201に例えば、第2の実施形態で示したXYテーブルを備える。アクチュエータ190は、あるいは、可塑化装置40の前後方向Lと幅方向Wの位置を調整する移動機構については、第7〜10の実施形態で示した説明と略同様であるため、詳しい説明を省略する。
各アクチュエータ190において、本体部191に対する可動部192の位置を調整することによって、可塑化装置40の高さを調整することができる。また、摺動材90によって、可塑化装置40を、台200の上面内で移動することができる。つまり、可塑化装置40を、プランジャ33の進退方向に平行な方向D2に沿って移動することができる。また、摺動材90の代わりとして、第3の実施形態で用いられたスライドレール130または第4の実施形態で用いられたボールねじ140が用いられてもよい。このため、第1,3,4,7〜10の実施形態と同様の作用と効果とが得られる。
つぎに、本発明の第12の実施形態に係る成形機を、図27を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符合を付して説明を省略する。本実施形態では、成形機は、いわゆる、竪型に配置される竪型の成形機である。
本実施形態の成形機に符合10cを付し、本実施形態の型締装置に符合20cを付し、本実施形態の射出装置に符合30cを付し、本実施形態の可塑化装置に符合40cを付す。
図27は、本実施形態の成形機10cを示す側面図である。図27に示すように、本実施形態の成形機10cでは、型締装置20cは、第1の実施形態と同様に金型21を保持している。金型21において溶融した材料Mを流入する流入口は、上部に開口している。
本実施形態の射出装置30cは、第1の実施形態で説明された射出装置30に対して、姿勢が異なる点と、さらに、フレーム31に対して可塑化装置40cが落下することを防止する第1の落下防止装置300と、第2の落下防止装置310と、カウンタバランス機構400とを備える点とが異なる。他の構造は、第1の実施形態の射出装置30と同じである。同じ機能を有する部分については、同一の符合を付して説明を省略する。
本実施形態の可塑化装置40cは、第1の実施形態で説明された可塑化装置40に対して、姿勢が異なる。他の点は、第1の実施形態の可塑化装置40と同じである。同様の機能を有する構成については同じ符合を付して説明を省略する。
本実施形態では、射出装置30cは、第1の実施形態の射出装置30に対して上記の点以外同じ構成を有しており、第1の実施形態で定義された前後方向Lが上下方向Vと平行になる姿勢で配置されている。
このため、本実施形態においては、射出装置30cが図27に示すように実際に用いられる姿勢にあるとき、第1の実施形態で定義された前後方向と上下方向とは互いに同じ方向を示す。
このため、第1の実施形態で説明された前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70とは、互いに前後方向に並ぶのではなく、上下方向Vに並ぶ。本実施形態の射出装置30cは、射出装置30の前側支持台50と同様の構造を有する支持台を備えるとともに、この支持台を下側支持台320とする。同様に、第1,2の後側支持台60,70と同様の構造を有する支持台を備えるとともに、この支持台を第1の上側支持台330と、第2の上側支持台350とする。下側支持台320と第1の上側支持台330と第2の上側支持台350と楔ホルダ82との相対位置関係は、射出装置30での、前側支持台50と、第1,2の後側支持台60,70と楔ホルダ82との相対位置関係と同じである。同様に、楔ホルダ位置調整機構84の前後方向調整部87と同様の調整部を備えるとともに、この調整部を上下方向調整部とする。
このように、第1の実施形態において、各構成要素間の前後方向に沿う位置関係は、本実施形態では、上下方向に沿う位置関係となる。なお、第1の実施形態において射出装置10に対して設定され幅方向Wは、本実施形態でもそのまま幅方向とする。
本実施形態では、調整装置80が調整する高さは、射出装置30cのフレーム31の天板31aに対する、上側支持台330と、第1の上側支持台330と第2の上側支持台350との、面31bに垂直な方向に沿う高さである。
第1の落下防止装置300は、フレーム31に対して調整装置80が落下しないように調整装置80をフレーム31に保持する機能を有している。図28は、図27に示されるF28−F28線に沿って示す射出装置30cの断面図である。図28は、射出装置30cにおいて第1の落下防止装置300と第1の落下防止装置300の近傍を、プランジャ33の移動方向D2に垂直な方向に沿って切断した状態を示している。
図28に示すように、第1の落下防止装置300は、第1のストッパ301と、摺動材302と、固定用ボルト303とを備えている。第1のストッパ301は、楔ホルダ82をフレーム31に保持する機能を有している。具体的には、第1のストッパ301は、天板31aの側面と楔ホルダ82とを覆おう大きさを有している。第1のストッパ301の一端部301aは、固定用ボルト303によって、天板31aの側面に固定されている。一端部301aには、固定用ボルト303が貫通する貫通孔304が形成されている。貫通孔304の形状については、後で詳細に説明する。天板31aには、固定用ボルト303が螺合するねじ穴305が形成されている。
第1のストッパ301の他端部301bは、天板31aとの間に楔ホルダ82を挟みこんで落下しないように固定するように、側面形状がL字形状に形成されている。他端部301bの内面のうち、互いに直交する第1の面306と第2の面307には、摺動材302が設けられている。摺動材302は、一例としてMCナイロンである。摺動材302は、楔ホルダ82に接触している。第1のストッパ301は、摺動材302を介して天板31aとの間に楔ホルダ82を挟みこんで保持している。固定用ボルト303が締め付けられることによって、第1のストッパ301は、天板31aに対して移動しようないように固定される
なお、図28では、楔ホルダ82の一側面に対向して配置される第1の落下防止装置のみ開示されている。しかしながら、楔ホルダ82の他方の側面、つまり、楔ホルダ82を挟んで図示されている第1の落下防止装置300の反対側においても、第1の落下防止装置300が同様に設けられている。第1の落下防止装置300の数は、複数あってもよい。
図28に示すように、第1のストッパ301の一端部301aに形成される貫通孔304は、楔ホルダ82の位置調整に追従できるように、天板31aに対して楔ホルダ82が位置方向に沿って長い長孔形状である。なお、固定用ボルト303を調整することによって、楔ホルダ82を天板31aの面31bに沿って変位することができる。
第2の落下防止装置310について説明する。図27に示すように、第2の落下防止装置310は、複数の下側支持台320のうち、幅方向Wに沿って両端に配置される下側支持台320に1つずつ設けられる。第2の落下防止装置310は、下側支持台320と、第1の上側支持台330と第2の上側支持台350とに対して可塑化装置40cが落下することを防止する機能を有している。
なお、本実施形態では、旋回軸47は、溝61内に収容されている。このため、旋回軸47が溝61に引っかかることによって、上側支持台に対して可塑化装置40cが落下することは防止されている。このため、本実施形態では、第2の落下防止装置310は、下側支持台320にのみ設けられている。
図29は、図27中に示すF29−F29線に沿って示す射出装置30cの断面図である。図29は、第2の落下防止装置310とその近傍とを可塑化用スクリュ42の軸線Xが延びる方向に対して垂直な方向に沿って切断した状態を示す断面図である。
図29に示すように、第2の落下防止装置310は、第2のストッパ311と、固定用ボルト312とを備えている。第2のストッパ311は、下側支持台320から可塑化装置40cの一部40aを覆う大きさを有している。
第2のストッパ311の一端部311aは、下側支持台320の側面に固定用ボルト312を介して固定されている。本実施形態では、固定用ボルト312は、一対用いられる。第2のストッパ311には、固定用ボルト312が通る貫通孔313が形成されている。下側支持台320には、固定用ボルト312が螺合するねじ穴314が形成されている。
第2のストッパ311の他端部311bは、下側支持台320との間に可塑化装置40cの一部40aを挟み込んで落下しないように固定するように、L字形状に形成されている。他端部311bにおいて互いに直交する第3,4の面315,316には、摺動材317が設けられている。摺動材317は、一例としてMCナイロンである。摺動材317は、可塑化装置40cの一部40aに接触している。第2のストッパ311は、摺動材317を介して、可塑化装置40cの一部40aを下側支持台320との間に挟みこんで固定している。固定用ボルト312が締め付けられることによって、第2のストッパ311は、下側支持台320に対して移動しないように固定される。
また、射出装置30cの重心がプランジャ33の軸心上となるように射出装置30cに対して可塑化装置40cとは反対側に可塑化装置40c、下側支持台320、上側支持台330,350、第1の落下防止装置300、第2の落下防止装置310、及び調整装置80と同等な重さを有するカウンタバランス機構400を備える。
カウンタバランス機構400は、カウンタバランス401と例えばねじ式のジャッキ機構402とを備えている。ジャッキ機構402は、一端がフレーム31に固定され、他端はカウンタバランス401を支持している。カウンタバランス401は、ジャッキ機構402に支持されている。
ジャッキ機構402は、調整装置80の調整に伴って動く射出装置30cの重心位置のズレを解消するように、即ち、射出装置30cの重心が常にプランジャ33の軸心上となるようにカウンタバランス401を動かす。なお、一例として、ジャッキ機構402は、カウンタバランス401を矢印A1の方向に移動する。移動した後の状態のカウンタバランス401の一部を2点鎖線で示している。従って、成形機10cが稼働中であるとき、射出装置30cの重心はプランジャ33の軸心上にある。このため、射出装置30cの重心位置のズレに対する射出動作への影響をなくすことができる。
なお、カウンタバランス401の位置を調整する手段としては、上記のようにジャッキ機構402以外の機構が用いられてもよい。また、カウンタバランス401の移動方向としては、図中に示す矢印で示す方向A2にでもよい。
また、本実施形態では、ジャッキ機構として、ねじ式のものを採用したが、これに限られるものではない。例えば、液体作動式、空気式のジャッキ機構であってもよい。
つぎに、調整装置80について説明する。図30は、調整装置80のうちの1つの楔81の近傍を示す平面図である。図30に示すように、本実施形態では、各楔81と楔ホルダ82との間には、楔ホルダ82と楔81とを一体に固定する固定機構340が設けられている。
図31は、図30に示すF31−F31線に沿って示す、楔ホルダ82と楔81との断面図である。固定機構340は、固定用ボルト341と、楔ホルダ82に形成される貫通孔342と、楔81に形成されるねじ穴343とを備えている。図30,31に示すように、貫通孔342は、楔ホルダ82に対して楔81が移動できるように、楔ホルダ82に対する楔81の移動方向に平行な方向に長い形状である。
固定用ボルト341が貫通孔342を貫通してねじ穴343に螺合することによって、楔ホルダ82が楔81と固定用ボルト341のヘッド部341aとの間に挟まれるので、楔81と楔ホルダ82が互いに一体に固定される。カウンタバランス401は、ねじ式機構402により調整装置80の調整に伴って動いた射出装置30cの重心位置のズレを解消にするように上下方向に動かされる。
楔ホルダ82の高さの調整は、固定用ボルト303,341がゆるめられた状態で行われる。本実施形態のように、竪型の成形機10cであっても、第1の実施形態と同様の作用と効果とがえられる。
つぎに、第13の実施形態に係る成形機を、図32を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同様の機能を有する構成は、第1の実施形態と同一の符合を付して説明を省略する。本実施形態では、射出装置は、第1の実施形態の射出装置30に対して、射出部34の姿勢が異なる。他の構造は、第1の実施形態で説明した射出装置30と同じである。本実施形態では、射出装置に符合30dを付す。射出装置30dは、上記の点以外、第1の実施形態の射出装置30と同じである。なお、成形機の他の構造は、第1の実施形態の成形機10と同じである。
図32は、本実施形態の成形機10を示す側面図である。図32に示すように、本実施形態では、射出装置30dは、竪型であり、射出部34がプランジャ33の移動方向D2が上下方向Vに平行になるように配置されている。本実施形態では、調整装置80は、台360の上に固定されている。
型締装置20に代えて型締装置20dが用いられている。型締装置20dは、金型21を保持している。本実施形態では、金型21は、材料Mが供給される供給口が上部に形成されている。本実施形態のように、射出部34が竪型に配置される成形機であっても、第1の実施形態と同様の作用と効果とが得られる。
なお、第1〜10,13の実施形態では、第2の後側支持台70は、可塑化装置40の荷重を受ける部材が設けられる。この部材としては、コイルばね71と皿ばね75とダンパ76とが用いられた。このように、可塑化部を支持する支持部に、可塑化部の荷重を受ける荷重受け部材を設けることによって、連結部と可塑化部との接合部に作用する負荷を、より一層軽減することができる。なお、荷重受け部材としては、コイルばね71と皿ばね75とダンパ76以外であってもよい。例えば、やわらかい樹脂などであってもよいし、他の種類のばねであってもよいし、他の構造を有する弾性体であってもよい。
同様に、第12の実施形態では、第1の上側支持台330と第2の上側支持台とは、可塑化装置40cの荷重を受ける部材が設けられる。この部材としては、コイルばね71と皿ばね75とダンパ76とが用いられた。このように、可塑化部を支持する支持部に、可塑化部の荷重を受ける荷重受け部材を設けることによって、連結部と可塑化部との接合部に作用する負荷を、より一層軽減することができる。なお、荷重受け部材としては、コイルばね71と皿ばね75とダンパ76以外であってもよい。例えば、やわらかい樹脂などであってもよいし、他の種類のばねであってもよいし、他の構造を有する弾性体であってもよい。
また、第1〜10,13の実施形態では、前側支持台50と第1,2の後側支持台60,70とには、旋回軸47が滑ることができるように、傾斜面51と、面62とを有している。なお、第1〜10,13の実施形態では、傾斜面51に摺動材が設けられている。このように、可塑化部を支持する支持部に、可塑化部が滑ることができるすべり機構を設けることによって、可塑化部や連結部が急激に熱膨張をした場合であっても、この熱膨張を、支持部で吸収することができる。第1〜10,13の実施形態では、すべり機構の一例は、前側支持台50の傾斜面51と摺動材52と、これに面接触する可塑化装置の下面とによって構成されている。他の例としては、可塑化装置40の旋回軸47と、第1,2の後側支持台60,70の溝61の下面62とによって構成されている。すべり機構としては、上記以外であってもよい。
同様に、第12の実施形態では、下側支持台320と第1の上側支持台330と第2の上側支持台350とには、旋回軸47が滑ることができるように、傾斜面51と、面62とを有している。このように、可塑化部を支持する支持部に、可塑化部が滑ることができるすべり機構を設けることによって、可塑化部や連結部が急激に熱膨張をした場合であっても、この熱膨張を、支持部で吸収することができる。第12の実施形態では、すべり機構の一例は、前側支持台50の傾斜面51と摺動材52と、これに面接触する可塑化装置の下面とによって構成されている。他の例としては、可塑化装置40の旋回軸47と、第1の上側支持台330と第2の上側支持台の溝61の下面62とによって構成されている。すべり機構としては、上記以外であってもよい。
第1〜13の実施形態では、摺動材52,90,302,317の一例として、MCナイロンが用いられた。他の例としては、他の材料が摺動材として用いられてもよい。摺動材としては、摺動材に接触する相手側の部分がスムーズに移動できるようにする材料であればよい。
この発明は、上述した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上述した実施の形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、上述した実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良い。更に、異なる実施の形態に亘る構成要素を適宜組み合わせても良い。