JP5792827B2 - 工作機械用誘導システム - Google Patents

Description

本発明は、ガイドレールが固定されている第１装置部材からなる工作機械誘導システムに関し、特に、個々の前記第１装置部材が、その内部、及び／又は、表面おいて前記ガイドレールを固定するための係止台を有し、そして、この第１装置部材のガイドレール上で、シューを用いて、動力発生装置で移動可能に、第２装置部材が支持されている、工作機械の誘導システムに関する。

装置の運転時間、及び、非生産的な時間の問題を改善するために、工作機械における装置部材の駆動軸の速度及び加速度は、増加の一途にある。その結果、駆動・誘導部材における大幅な摩擦損失により、装置のある部分が多量の熱を有することとなる。この問題を低減するため、個々の駆動装置部材用の駆動モーターを密閉して冷却することが行われている。このように、駆動モーターを熱的に密閉することにより、現状では、特に駆動部分が多い装置にあっては、モーターの駆動そのものよりも、むしろ線形誘導部材で発生する摩擦により、より多くの熱が装置の構造部分にもたらされるまでになっている。この、ガイドシューを介して装置側面の決められた部位にある滑動部にもたらされる熱は、必要に応じて、固定した接触式温度計センサーにより測定することができ、これにより、その装置に加えられた熱の影響を線形補償することができる。一方、装置の構造部分に加えられる熱は、ガイドレールを介して「回線負荷」の形で発生し、この熱的回線負荷−さらには、装置の個々の部分に、それらが駆動している間に加えられる熱の、局所的な分散状態−は、いくつかのパラメーターや、数値制御プログラムに依存する。このように、加えられた熱は、装置内部の部位により変化するので、これを一ヵ所に固定した温度計センサーで解析することはもはや不可能である。このことは、特に、１個または複数個の加工部材に対して、小さな押上距離を伴う短時間の機械加工を、高速で連続的に行う場合にあてはまる。このような欠点は、ガイドレールの加熱や変形に帰し、かかる変形により、装置精度が損なわれ、損傷が増すことにより誘導システムの寿命を縮めることにもなる。

特許文献１及び２の先行技術には、工作機械の構成部分にある駆動軸が、その軸内部に冷却機構を有し、これにより、その全有効長にわたって前記軸の温度を下げ、特に負荷のかかる長さ方向の部分に熱が集中しないようにする技術が含まれている。
ここでは、冷却のため、２本の長手方向に沿った流路が、前記軸の内部に形成され、前記流路は、その一方の端部で互いに接続され、もう一方の端部には、冷却液の供給と排出のための接続部材が設けられている。しかしながら、前記軸が回転するため、高圧冷却液用の多重密閉型回転接続部材を用いなければならず、特殊な技術を要し、高コストを伴う。また、これらの技術は、線形駆動部材により駆動する誘導システムの装置部分の熱的挙動には、何ら効果がない。

特許文献３には、線形誘導システム用のガイドレールであって、工作機械に使用されるよう設計されているものが、開示されている。個々のガイドレールは、その内部に、冷却液を用いる冷却機構を有している。ここでは、特殊な技術を用いてその内部に長手方向に沿った中空部を形成する代わりに、前記ガイドレールの底部に長手方向に沿った溝を設け、冷却液で前記溝を満たしている。しかしながら、長期間の運転中に機械的、及び／又は、さらなる熱的負荷が高まったときは、冷却液の漏れが発生するという問題がある。

欧州特許出願公開第１７８５２２５（Ａ１）号明細書 特開２００２−２６６９７７号公報 独国特許出願公告第１０２００５０２９８５４（Ｂ４）号明細書

本願発明の目的は、工作機械用誘導システムであって、相当量の熱がガイドレールを介して装置の構造部分にもたらされることを回避するものを提供することにある。

上記目的を達成するため、本発明１は次の特徴を有する。すなわち、表面の広い領域にわたって、ガイドレール、及び、適宜、熱的負荷がかかる装置部材に加圧密着するように配置された本発明の冷却台を用いることで、冷却台の高い熱伝導性により、比較的大量の熱がガイドレールやその隣接した装置部材の領域から冷却台、及び／又は、その冷却台を通じて流れる冷媒に伝達される。

本発明により、前記ガイドレールが比較的高温になり、また、特に、ガイドレールのある領域の温度が上昇することを回避することができる。

本発明の好適な態様によれば、個々の冷却台は、少なくとも１本の長手方向に沿った流路であって、冷却液の取込口のための接続部材と、排出口のための接続部材とを含むものを有している。この長手方向に沿った流路は、前記冷却台の長さ全体にわたって伸展し、これにより確実に、隣接したガイドレールが連続して効果的に冷却される。また、二本の長手方向に沿った流路が、それぞれ、個々の冷却台の側面に、適宜、設けられ、これにより、その流路間の中央部に前記冷却台を装置部材に取付けるための部材を配置することができる。この、平行して長手方向に沿った二本の流路は、適宜、前記冷却台の一方の端部において互いに接続され、これにより、冷却液の行きと返りの流れを形成することができる。この時、冷却液の取込口と排出口のための接続部材を一緒に、個々の前記冷却台のもう一方の端部に配置することができる。

前記冷却台は、二つの機能を同時に発揮するもので、すなわち、ガイドレールを効果的に冷却する一方で、さらに、ガイドレールを個々の装置部材の内部、及び／又は、表面の位置に恒久的に固定する。この目的のため、前記冷却台は、前記ガイドレールの土台部分に直接加圧接触するように、楔形の留具、及び、留ネジにより、保持されている。このようにして、個々の冷却台から熱が散逸し、その結果、前記ガイドレールの先頭部分の温度が低くなる。

本発明の効果を確実に得るためには、前記冷却台は、熱伝導率の高い材質、好ましくは、アルミニウム、もしくは、その合金のような軽金属からの連続した一体成型体とすることができる。

以下、図面を用いて、本発明の実施態様の詳細を説明する。

本発明の工作機械は、複数の装置部材を有し、第１装置部材１は、滑動部、装置コラムやベッドの一部であってもよい。成型体のガイドレール２が、図に示されたように第一装置部材１に取付けられ、第２装置部材が前記レールに沿って、ガイドシュー８を用いて誘導される。概略図１ａでは、１本のレールのみを示してある。図にあるように、個々のガイドレール２は、末広がりの土台３から、くびれた中央部分４を経て、頭部５で再び幅が広がっている。そして、第一装置部材１に、その長手方向に沿って間隔を置いて、皿穴ネジ６により取付けられている。ガイドレール２を固定するために、前記第１装置部材は、平坦で長手方向に沿って連続した穴７を有しており、これに、前記ガイドレール２の末広がりの土台３が、はめ込まれている。前記穴７は、平坦な底部を有し、この部分に前記ガイドレールの底の部分が加圧密着するように接している。

個々の前記ガイドレール２は、側面を係止・冷却台１０により、支持、固定されている。冷却台は、断面が長方形で、その二か所の側面のそれぞれにおいて、長手方向に沿った流路１１、１２を有する。個々の冷却台１０は、前記装置部材１において、長手方向に沿って伸展するサポート１４に、その長手方向に沿って、間隔を置いて、留ネジ１３により、取付けられている。前記冷却台１０、前記装置部材１におけるサポート１４、及び、前記ガイドレール２の前記土台３、各々の断面積の寸法は、留ネジ１３を締めた時に、その有効長全体にわたって、加圧接触がほぼ均一となるように、選択される。この結果、前記ガイドレール２の加熱された土台部分５から前記冷却台１０に、高度な熱の移動が生じる。前記冷却台の２本の冷却流路１１、１２は、それぞれ、冷却台の一方の端部において、接続部材１５、１６に接続され、この接続部材を介して、冷媒、好ましくは、冷却液が、な長手方向に沿った流路１０、１１に導入される。冷媒を連続的に循環させるため、前記冷却台１０にある、前記２本の長手方向に沿った流路１０、１２は、横断流路等により、互いに接続される。

図１〜３に描かれているように、前記冷却台１０は、異なる位置に設置することができる。たとえば、図１ａ、１ｂの態様の前記冷却台１０は、前記装置部材１の上に、水平方向に平らになるように設置され、前記冷却台１０の前記サポート１４に隙間なく留め付けられている。一方、図２ａ、２ｂにおいては、垂直方向となる位置が採られている。図３ａ、３ｂの態様でも、前記冷却台１０は垂直の位置にあり、上側に角度のついた面１７を有する。この面は、楔のような効果があり、対応する角度のついた傾斜面１８と協働して、前記装置部材１にある凹部に収まるようになっている。本態様においては、留付の作用を強固にするため、前記冷却台１０は、楔型を呈し、前記凹部１９の底部との間に間隔を有している。

上記、説明したすべての実施態様において、前記冷却台１０は、個々に割り当てられた前記ガイドレール２を側面で係止する機能を有し、さらにまた、相応する前記ガイドレールの土台部分領域だけでなく、その装置部分の隣接領域も強力に冷却するため、装置部材からガイドレール、特に、当該ガイドレール頭部５への熱の移動を抑えることができる。

所望の高い冷却効果を確実に得るため、前記ガイドレールは、高い熱伝導性を有する物質で形成されたものであることが好ましい。長手方向に沿った流路１１、１２が、加圧成型工程おいて、実質的に追加的な加工工程を経ずに成型される場合、加工性と熱伝導性の観点から、軽金属、特に、アルミニウム、及び、その合金の連続一体成型体であることが特に好適である。

本発明は、上述の実施態様に制限されるものではない。たとえば、前記ガイドレールの長手方向に沿って連続した冷却・係止用の台に替えて、比較的短い冷却・係止用の台のみを有するものであってもよく、この場合、前記ガイドレールの長手方向に沿った部分で特に熱を持つ部分に設けることが好ましい。

本発明の第一の態様の誘導システムの部分透視図（ａ）、及び、その部分断面図（ｂ）である。 本発明の別の態様の誘導システムの部分透視図（ａ）、及び、その部分断面図（ｂ）である。 本発明のさらに別の態様の誘導システムの部分透視図（ａ）、及び、その部分断面図（ｂ）である。

ここで、図１〜３に描かれたもののうち、同一の装置部材には、同じ番号を付してある。

１．．．第１装置部材、２．．．ガイドレール、３．．．土台、４．．．中央部、５．．．頭部、７．．．穴、８．．．ガイドシュー、１０．．．冷却台、１１．．．流路、１２．．．流路、１３．．．留ネジ、１４．．．サポート、１５．．．接続部材、１６．．．接続部材

Claims (9)

1. ガイドレール（２）が固定されている第１装置部材（１）と、前記第１装置部材の前記ガイドレール（２）上で、ガイドシュー（８）を用いて、動力発生装置で移動可能に、支持された第２装置部材とからなる工作機械の誘導システムであって、ここにおいて、
   冷媒が用いられている冷却台（１０）が、その表面の広い領域にわたって加圧接触するように、前記第１装置部材（１）に固定され、かつ、個々の前記ガイドレール（２）の土台部分（３）に常に加圧接触していることを特徴とする、工作機械の誘導システム。
2. 前記冷却台（１０）が少なくとも１本の長手方向に沿った流路（１１、１２）を有し、当該流路（１１、１２）が、前記冷媒用の取込口みと排出口のための接続部材（１５、１６）を備えることを特徴とする、請求項１の誘導システム。
3. 前記冷却台（１０）が、その二か所の側面において、長手方向に沿った流路（１１、１２）を有し、かつ、それらの中央部にある固定部材（１３）により、前記冷却台（１０）が前記第１装置部材（１）に固定されていることを特徴とする請求項２の誘導システム。
4. 前記長手方向に沿った２本の流路（１１、１２）が、その一方の端部において互いに接続されており、かつ、他方の端部において、共に前記冷媒用の取込口みと排出口のための接続部材（１５、１６）を備えていることを特徴とする請求項３の誘導システム。
5. 前記冷却台（１０）が、楔形の留具、及び、留ネジ（１３）により保持されることにより、その側面で、個々の前記ガイドレール（２）の土台部分（３）の一側面に対して、加圧接触していることを特徴とする請求項１〜４のいずれか１項の誘導システム。
6. 前記ガイドレール（２）の末広がりの土台（３）が、前記第１装置部材（１）において、その長手方向に連続して設けられた平坦な底部を有する穴（７）に、はめ込まれていることを特徴とする請求項１〜５のいずれか１項の誘導システム。
7. 前記冷却台（１０）、前記第１装置部材（１）におけるサポート（１４）、及び前記ガイドレールの土台（３）の各々の断面積の寸法は、留ネジ（１３）を締めた時に、その有効長全体にわたって前記加圧接触がほぼ均一となるように選択され、前記冷却台（１０）が、前記第１装置部材（１）において、長手方向に伸展する前記サポート（１４）に、その長手方向に沿って、間隔をおいて、複数の前記留ネジ（１３）により取付けられることにより、相応するガイドレールの土台（３）に、側面から圧力を加えることを特徴とする請求項１〜６のいずれか１項の誘導システム。
8. 前記冷却台（１０）が、熱伝導性物質、または、アルミニウム、もしくは、その合金の連続一体成型体であることを特徴とする請求項１〜７のいずれか１項の誘導システム。
9. 前記冷却台（１０）は、楔のような効果がある角度のついた面（１７）を有し、前記第１装置部材（１）において、対応する角度のついた傾斜面（１８）と協働することを特徴とする請求項１〜８のいずれか１項の誘導システム。