JP5792502B2 - 解析装置、その方法及びそのプログラム - Google Patents
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Description
本実施形態の解析装置10の構成について、図1のブロック図に基づいて説明する。
まず、モデル作成部12について図3に基づいて説明する。
次に、データ取得部14について図4に基づいて説明する。
次に、識別部16について図5に基づいて説明する。
次に、第1計算部18について図6に基づいて説明する。
次に、第2計算部20について図7と図8に基づいて説明する。
次に、第3計算部22について説明する。
H(φ(P))=Era ・・・(2−1)
−1<=φ(P)/h<=1のときは、
H(φ(P))=(1+Era)/2+φ(P)/h×{15/16−5/8×(φ(P)/h)2+3/16×(φ(P)/h)4}×(1−Era) ・・・(2−2)
1<φ(P)/hのときは、
H(φ(P))=1.0 ・・・(2−3)
となる。但し、hはヘビサイド関数H(φ(P))が0〜1へ遷移するときの幅であって、本実施形態では有限要素の辺の長さとする。また、Eraとは相対ヤング率を意味し、相対ヤング率とは、意匠内側のヤング率に対する意匠外側のヤング率の比である。
次に、解析部24について説明する。
Π=U−W ・・・(3−1)
但し、Πとは全ポテンシャルエネルギー(外力を受けて変形した状態から元の状態に戻ろうとする仕事量)、Uとは歪みエネルギー、Wとは外力による仕事である。
但し、ε=(εx,εy,γxy)は歪みベクトル、σは応力ベクトルである。*はベクトルの内積を表す。
ε=B*ui ・・・(3−3)
但し、uiは節点変位ベクトル(但し、i=1〜nであり、n=節点の数×自由度である。節点とは、各有限要素が交わる点を意味し、自由度とは、次元数を意味し、本実施形態では2次元であるため、自由度は2である)、Bは歪み−変位マトリックスである。このBはタイヤの材料によって決定できる。なお、節点が、タイヤという構造物の変位場となり、節点変位ベクトルuiが、変位場の変位ベクトルとなる。
σ=D*ε ・・・(3−4)
但し、Dとは応力−歪みマトリックスである。
−W=−fi T*ui ・・・(3−7)
となる。但し、fiは節点外力ベクトルである(但し、i=1〜nであり、n=節点数×自由度である)。
Π=(ui T*K*ui−fi T*ui)/2 ・・・(3−8)
Πを各節点変位について偏微分して、まとめると、
dΠ/dui=K*ui−fi ・・・(3−9)
となる。
dΠ/dui=0 ・・・(3−10)
したがって式(3−9)と式(3−10)より
K*ui−fi=0 ・・・(3−11)
となる。この式を変形すると、
K*ui=fi ・・・(3−12)
となる。この式(3−12)が剛性方程式である。式(3−12)より未知数uiを求め、歪みベクトル及び応力ベクトルは次のように求めることができる。
歪みベクトル ε=B*ui ・・・(3−13)
応力ベクトル σ=D*ε ・・・(3−14)
以上により、変位場(節点)における歪みベクトルと応力ベクトルを導くことができる。
次に、関数算出部26ついて説明する。
関数算出部26が歪力βを求める方法について説明する。
β=−ε*D+2b*u (4−1)
ここでbは物体力のベクトル、uは変位場(2次元で表された節点変位ベクトル、簡略表記のために有限要素のアドレスを示す添え字のiは省略している)、εは歪みベクトル、Dは応力−歪みマトリックス(弾性定数マトリックス)を意味する。本実施形態で扱う問題は、物体力(重力、遠心力など)は無視するので式(4−1)は次のようになる。
β=−ε*D*ε ・・・(4−2)
本実施形態は2次元であるので、εは次の式(4−3)のように表される。
ε=(εx,εy,γxy) ・・・(4−3)
εx,εy,γxyは式(3−3)より求められる。すなわち、式(3−3)を再表記すると、
ε=(εx,εy,γxy)=B*ui ・・・(4−4)
となる。Dは次の式(4−5)のように表される。
関数算出部26が、ラグランジュの未定定数λを求める方法について説明する。
dH(φ)/dφ=0 ・・・(5−2)
−1<=φ/h<=1のときは、
dH(φ)/dφ
=15/16h×{1−(φ/h)2}2×(1−Era) ・・・(5−3)
1<φ/hのときは、
dH(φ)/dφ=0 ・・・(5−4)
となる。
λ=A/B ・・・(5−5)
(9−3)目的汎関数Jの求め方
関数算出部26が、最終的な目的汎関数Jを求める方法について説明する。
次に、更新部28について説明する。
dφ/dt+(β+λ)×dH(φ)/dφ=0 ・・・(7−1)
ここで、
g=(β+λ)×dH(φ)/dφ ・・・(7−2)
とおくと、
dφ/dt+g=0 ・・・(7−3)
となる。この式(7−3)が偏微分方程式である。この偏微分方程式を前進オイラー法を用いて有限差分法で近似すると次の式(7−4)のようになる。
(φn+1 i−φn i)/Δt=−g ・・・(7−4)
但し、添字のnは反復回数、iは有限要素のアドレス、Δtは更新幅である。式(7−4)を変形すると、
φn+1 i=φn i−Δt×g ・・・(7−5)
となる。この式(7−5)によりレベルセット関数φを更新幅Δtで更新する。
dφmin/Δr<=1 ・・・(7−6)
ここでΔrは有限要素の間隔である。この式(7−6)を変形すると、
dφmin<=Δr ・・・(7−7)
この式(7−6)で表されたCFL条件を満たすようにdφminを決定する。dφminを決めた後に、Δtを以下の式(7−8)により定める。
Δt=dφmin/max{g} ・・・(7−8)
この更新幅Δtを用いることで安定的に解が求まる。但し、max{g}は、上記の式(7−2)で求めるgの最大値を意味する。
次に、再初期化部30について説明する。
φ=0の等位線を求めるには、図9に示すように、レベルセット関数φの4つの評価点で囲まれた仮想有限要素について、各辺を構成する評価点のレベルセット関数φの符号が異なる辺で必要があることがわかる。
φ(s,t)=a0+a1×s+a2×t+a3×s×t ・・・(8−1)
と定義する。但し、a3=0の場合について考える。φ(s,t)=0上の点は、任意のθを用いて次の式(8−2)、式(8−3)のように表せる。
s=−a2/a3+(|(a1×a2−a0×a3)/a3 2|)1/2×eθ
・・・(8−2)
t=−a1/a3+(|(a1×a2−a0×a3)/a3 2|)1/2×eθ
・・・(8−3)
となる。θは、図10に示すように点P0と仮想点Rとの間の角度であるので、次の式(8−4)により求まる。
θk=θ0+(θk−1−θ0)×k/(m−1) ・・・(8−4)
但し、k=1,2,・・・m−2である。
再初期化部30は、上記で求めた仮想点Rを一般座標系(s,t)から全体座標系(x,y)へ座標変換する。その変換について図11に基づいて説明する。
F1=(1.0+s1)(1.0+t1)
F2=(1.0−s1)(1.0+t1)
F3=(1.0−s1)(1.0−t1)
F4=(1.0+s1)(1.0−t1) ・・・(9−1)
全体座標系における有限要素の4つの節点座標をQ1(x1,y1),Q2(x2,y2),Q3(x3,y3),Q4(x4,y4)とする。これらより点Q(x’,y’)は次の式(10−1)、式(10−2)により求まる。
x’=F1×x1+F2×x2+F3×x3+F4×x4 ・・・(10−1)
y’=F1×y1+F2×y2+F3×y3+F4×y4 ・・・(10−2)
以上により、再初期化部30は、等位線φ=0上の仮想点Rの群を一般座標系(s,t)から全体座標系(x,y)へ座標変換して点Qの群を求める。
再初期化部30は、上記で求めた点Qの群とレベルセット関数φの評価点(有限要素の重心点)との距離を計算し、最短距離にある点間距離を新たにレベルセット関数φの値とする。この計算は、第2計算部20が式(1)を用いて計算した方法と同様にして求める。この計算が再初期化である。なお、各レベルセット関数の符号は、再初期化する前のレベルセット関数の符号をそのまま付加する。
次に、修正部32について説明する。
φ’=φ−q ・・・(11−5)
となる。なお、以下の説明では、φ’は、単にφで表記する。
次に、判定部32について説明する。
次に、変換部36について図12に基づいて説明する。
次に、出力部38について図14と図15に基づいて説明する。
以上により、本実施形態の解析装置10であると、固定初期意匠を保持したまま、変更初期意匠のみについて形状及び位相の最適化問題を解決できる。
Claims (16)
- タイヤのトレッドパターンの意匠を求める解析装置において、
初期意匠を表した有限要素モデルを作成するモデル作成部と、
前記有限要素モデルにおける初期意匠の境界を表した点列群に関するデータを取得するデータ取得部と、
前記初期意匠に関して、予め識別可能なようにフラグが立てられた設計変更が可能な初期意匠である変更初期意匠と、設計変更が不可能な初期意匠である固定初期意匠とに識別する識別部と、
前記有限要素モデルにおける有限要素毎のヘビサイド関数の初期値を、前記有限要素の重心点が、前記初期意匠を表す境界の内側にあるか否かに基づいて設定する第1計算部と、
(1)前記有限要素毎の評価点と最短距離にある前記初期意匠を表す点を特定し、前記最短距離を値とするレベルセット関数を、前記有限要素毎に計算すると共に、(2)前記最短距離の値に関して前記ヘビサイド関数に基づいてプラス又はマイナスの符号を付加する第2計算部と、
前記有限要素毎のレベルセット関数を用いて、前記初期値を計算したヘビサイド関数を再計算する第3計算部と、
有限要素法を用いて各有限要素の変位場における歪みベクトルを少なくとも解析する解析部と、
再計算した前記ヘビサイド関数の値と前記歪みベクトルとから目的凡関数を、前記有限要素毎に算出する関数算出部と、
前記目的凡関数を最小化することにより、前記変更初期意匠に関する前記有限要素のレベルセット関数のみを更新する更新部と、
更新した前記レベルセット関数を再初期化する再初期化部と、
前記有限要素毎の再初期化した前記レベルセット関数が収束しているか否かを判定し、収束していなければ前記解析部、前記関数算出部、更新部、再初期化部の処理を繰り返すように制御し、収束していれば、収束した前記レベルセット関数を最適化したレベルセット関数と判定する判定部と、
前記有限要素毎の最適化したレベルセット関数から、最適化した意匠に変換する変換部と、
を有することを特徴とする解析装置。 - 前記モデル作成部が作成する有限要素モデルは、2次元の有限要素モデル、又は、3次元の有限要素モデルである、
ことを特徴とする請求項1に記載の解析装置。 - 前記タイヤパターンの設計領域に関する面積制約、又は、体積制約に基づいて、再初期化した前記レベルセット関数を修正する修正部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の解析装置。 - 前記評価点が、前記有限要素の重心点である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の解析装置。 - 前記第1計算部は、前記有限要素の前記評価点が、前記初期意匠を表す境界よりも外側のときは前記初期値を0と設定し、前記初期意匠を表す境界よりも内側のときは前記初期値を1と設定する、
ことを特徴とする請求項4に記載の解析装置。 - 前記第2計算部は、前記最短距離を値とする前記レベルセット関数の符号に関して、前記ヘビサイド関数の前記初期値が0のときはマイナスの符号を付加し、前記初期値が1のときはプラスの符号を付加する、
ことを特徴とする請求項5に記載の解析装置。 - 前記第3計算部は、前記レベルセット関数の値に加えて、前記有限要素の辺の長さと、意匠内側のヤング率に対する意匠外側のヤング率の比である相対ヤング率とから前記ヘビサイド関数の値を、前記有限要素毎に再計算する、
ことを特徴とする請求項6に記載の解析装置。 - 前記解析部は、前記有限要素の前記評価点を節点とした前記変位場における前記歪みベクトルと応力ベクトルを、前記有限要素法における剛性方程式に基づいて解析する、
ことを特徴とする請求項7に記載の解析装置。 - 前記関数算出部は、
前記歪みベクトルを用いて歪力を前記有限要素毎に算出し、
前記歪力と前記レベルセット関数を用いてラグランジュの未定定数を前記有限要素毎に算出し、
再計算した前記ヘビサイド関数、前記ラグランジュの未定定数、前記歪みベクトルを用いて、前記目的凡関数を前記有限要素毎に算出する、
ことを特徴とする請求項8に記載の解析装置。 - 前記更新部は、
前記レベルセット関数に関する偏微分方程式を、前進オイラー法を用いた有限差分法で近似し、この近似した式に関して、前記変更初期意匠に属する前記有限要素については所定の更新幅で更新し、かつ、前記固定初期意匠に属する前記有限要素については前記更新幅を0として更新するか、又は、この更新を計算しない、
ことを特徴とする請求項9に記載の解析装置。 - 前記再初期化部は、
更新した前記レベルセット関数φに関して、φ=0の等位線又は等位面を算出し、
前記有限要素毎の評価点と前記φ=0上の点と最短距離にある前記φ=0上の点を特定し、前記最短距離を値とする前記レベルセット関数を、前記有限要素毎に計算する、
ことを特徴とする請求項10に記載の解析装置。 - 前記判定部は、
前記更新後で、かつ、再初期化した前記レベルセット関数の値と、前記更新前で、かつ、再初期化した前記レベルセット関数の値との平均自乗残差値を求め、前記平均自乗残差値が所定値より小さくなれば収束したと判定する、
ことを特徴とする請求項11に記載の解析装置。 - 前記変換部は、
前記有限要素毎の最適化した前記レベルセット関数から求めたφ=0の各点をそれぞれ結んだ線又は面を、最適化した意匠の境界線又は境界面に設定する、
ことを特徴とする請求項12に記載の解析装置。 - 最適化した前記意匠を出力する出力部をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一項に記載の解析装置。 - 解析装置がタイヤのトレッドパターンの意匠を求める解析方法において、
前記解析装置のモデル作成部が、初期意匠を表した有限要素モデルを作成し、
前記解析装置のデータ取得部が、前記有限要素モデルにおける初期意匠の境界を表した点列群に関するデータを取得し、
前記解析装置の識別部が、前記初期意匠に関して、予め識別可能なようにフラグが立てられた設計変更が可能な初期意匠である変更初期意匠と、設計変更が不可能な初期意匠である固定初期意匠とに識別し、
前記解析装置の第1計算部が、前記有限要素モデルにおける有限要素毎のヘビサイド関数の初期値を、前記有限要素の重心点が、前記初期意匠を表す境界の内側にあるか否かに基づいて設定し、
前記解析装置の第2計算部が、(1)前記有限要素毎の評価点と最短距離にある前記初期意匠を表す点を特定し、前記最短距離を値とするレベルセット関数を、前記有限要素毎に計算すると共に、(2)前記最短距離の値に関して前記ヘビサイド関数に基づいてプラス又はマイナスの符号を付加し、
前記解析装置の第3計算部が、前記有限要素毎のレベルセット関数を用いて、前記初期値を計算したヘビサイド関数を再計算し、
前記解析装置の解析部が、有限要素法を用いて各有限要素の変位場における歪みベクトルを少なくとも解析し、
前記解析装置の関数算出部が、再計算した前記ヘビサイド関数の値と前記歪みベクトルとから目的凡関数を、前記有限要素毎に算出し、
前記解析装置の更新部が、前記目的凡関数を最小化することにより、前記変更初期意匠に関する前記有限要素のレベルセット関数のみを更新し、
前記解析装置の再初期化部が、更新した前記レベルセット関数を再初期化し、
前記解析装置の判定部が、前記有限要素毎の再初期化した前記レベルセット関数が収束しているか否かを判定し、収束していなければ前記解析部、前記関数算出部、更新部、再初期化部の処理を繰り返すように制御し、収束していれば、収束した前記レベルセット関数を最適化したレベルセット関数と判定し、
前記解析装置の変換部が、前記有限要素毎の最適化したレベルセット関数から、最適化した意匠に変換する、
ことを特徴とする解析方法。 - タイヤのトレッドパターンの意匠を求める解析プログラムにおいて、
コンピュータに、
初期意匠を表した有限要素モデルを作成するモデル作成機能と、
前記有限要素モデルにおける初期意匠の境界を表した点列群に関するデータを取得するデータ取得機能と、
前記初期意匠に関して、予め識別可能なようにフラグが立てられた設計変更が可能な初期意匠である変更初期意匠と、設計変更が不可能な初期意匠である固定初期意匠とに識別する識別機能と、
前記有限要素モデルにおける有限要素毎のヘビサイド関数の初期値を、前記有限要素の重心点が、前記初期意匠を表す境界の内側にあるか否かに基づいて設定する第1計算機能と、
(1)前記有限要素毎の評価点と最短距離にある前記初期意匠を表す点を特定し、前記最短距離を値とするレベルセット関数を、前記有限要素毎に計算すると共に、(2)前記最短距離の値に関して前記ヘビサイド関数に基づいてプラス又はマイナスの符号を付加する第2計算機能と、
前記有限要素毎のレベルセット関数を用いて、前記初期値を計算したヘビサイド関数を再計算する第3計算機能と、
有限要素法を用いて各有限要素の変位場における歪みベクトルを少なくとも解析する解析機能と、
再計算した前記ヘビサイド関数の値と前記歪みベクトルとから目的凡関数を、前記有限要素毎に算出する関数算出機能と、
前記目的凡関数を最小化することにより、前記変更初期意匠に関する前記有限要素のレベルセット関数のみを更新する更新機能と、
更新した前記レベルセット関数を再初期化する再初期化機能と、
前記有限要素毎の再初期化した前記レベルセット関数が収束しているか否かを判定し、収束していなければ前記解析機能、前記関数算出機能、更新機能、再初期化機能の処理を繰り返すように制御し、収束していれば、収束した前記レベルセット関数を最適化したレベルセット関数と判定する判定機能と、
前記有限要素毎の最適化したレベルセット関数から、最適化した意匠に変換する変換機能と、
を実現させるための解析プログラム。
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