JP5791058B2 - 建造物の補強構造 - Google Patents
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Description
図4に示した従来の補強構造は、上記柱1を主囲い鋼板aで補強し、柱1と梁2との交差部を上記主囲い鋼板aとは形態を異にした異形囲い鋼板bで補強している。
上記主囲い鋼板aは、直角に曲げた2枚の分割鋼板3,3の一部を重ね合わせて全体を凹字状にしたものを一単位の主囲い鋼板としている。
上記のようにした主囲い鋼板aは、その幅を、分割鋼板3,3の重ね合わせ量を調節して、上記柱1の前面の幅と同じにして、上記柱1の前面に沿って積層する。そして、これら積層した主囲い鋼板aの周囲には帯状シート6を接着して、分割鋼板3,3同士及び各主囲い鋼板a同士を一体化している。
このようにして固定された異形囲い鋼板bは、柱1の前面では上記主囲い鋼板aと連続するが、梁2に対向する面では上記主囲い鋼板aとは不連続になる。
をまたいで帯状シートを巻き付けることができなくなる。そのために、これら両囲い鋼板の接合部では、両囲い鋼板a,bが帯状シートによって一体化できないので、その分、この接合部の強度が多少落ちるという問題があった。
この発明の目的は、主囲い鋼板と異形囲い鋼板との接合部の強度を十分に保つことができる建造物の補強構造を提供することである。
なお、上記「ほぼ面一」とは、主囲い鋼板と異形囲い鋼板を積層するとき、両鋼板間に意図的に段差を設けたものではない無視できる程度の誤差を指す。
そして、この第1実施形態における主囲い鋼板aと、異形囲い鋼板bとは従来と同じ構成にしている。
なお、帯状シート6の重ね合わせ枚数は、求める強度に応じて異なることは当然で、場合によっては1枚だけを接着することもありうる。
さらに、上記帯状シート6を、各主囲い鋼板aの積層部分である主鋼板接合部10をまたぐようにして2〜3重に接着すれば、これら各主囲い鋼板aとともに分割鋼板3,3のそれぞれが一体化されることになる。
なお、上記ほぼ面一とは、両鋼板a,bを積層するとき、両鋼板a,b間に意図的に段差を設けたものではない無視できる程度の誤差を指す。
そして、上記異形囲い鋼板bには、主囲い鋼板aと同様に、繊維シートからなる帯状シート8を接着する。すなわち、上記異形囲い鋼板bには、繊維シートからなる複数の帯状シート8を、柱1の周方向である異形囲い鋼板bの周方向に接着している。このようにした帯状シート8は、2〜3重にして接着するが、その重ね合わせ枚数は、求める強度に応じて異なることは当然で、場合によっては1枚だけを接着することもありうる。
いずれにしても、帯状シート8を周方向に接着することによって、分割鋼板4,4が、柱1の前面を基準にして前後に離れる方向の力に対して強度を発揮するとともに、分割鋼板4,4のそれぞれを一体化することになる。
したがって、帯状シート6,8を、上記主囲い鋼板aと異形囲い鋼板bとの両鋼板接合部11をまたがせて接着することができない。
上記のように両鋼板接合部11に接着した上記連結シート12は、上記帯状シート6,8を接着する前に、上記両鋼板接合部11をまたいで接着するとともに、それを上記柱1の長手方向に延伸させている。
なお、連結シート12は、主囲い鋼板aと異形囲い鋼板bとが面一になる面に相当する幅を覆うことを目的にしているので、その面一となる面のすべてを覆う一枚もののシートを用いてもよいし、図1に示すように何枚ものシートを平行に接着するようにしてもよい。
また、上記連結シート12は、その縦糸方向を上記柱1の長手方向に沿わせ、縦糸を柱1の周方向に沿わせた帯状シート6と、それらの縦糸方向を互いに交差させている。
このように連結シート12と帯状シート6,8との縦糸方向を互いに交差させたので、それら連結シート12と帯状シート6,8とが相乗的に作用して、上記両鋼板接合部11の接合強度がさらに強くなる。
また、上記異形囲い鋼板bは、上記主囲い鋼板aからはみ出た部分が、主囲い鋼板aと連続性がなくなるので、当該部分には、図示していない底板を設け、充填したグラウト材を保持できるようにしている。
また、上記連結シート12も、上記主鋼板接合部10のすべてをまたぐにようにして接着してもよい。この場合に、連結シート12は、柱1の長さに相当する長さのものを用いてもよいし、上記柱1の長手方向における一単位の主囲い鋼板aの長さ分に等しい連結シート12を、柱1の長手方向に何枚か連続させるようにしてもよい。
例えば、上記帯状シート6,8は、グラウト材を充填したときに、主囲い鋼板a及び異形囲い鋼板bが、グラウト材の充填圧で変形したりするのを押さえられる。
また、主囲い鋼板aと異形囲い鋼板bとを1枚の鋼板で構成した場合にも、主鋼板接合部10及び両鋼板接合部11のそれぞれの部分には、ずれ防止の補強が必要になる。
先ず、腰壁13に対応する柱部分を補強する第1異形囲い鋼板b1は、少なくとも一対の鋼板15,15を備えるとともに、それら鋼板15,15の両端部分に取付け片16,16を設けている。
そして、この主囲い鋼板aは、上記腰壁13及び垂れ壁14から外れた部分における柱1のすべてを囲うもので、したがって、その外れた部分の長手方向の長さによっては複数の主囲い鋼板aが積層される場合がある。
ただし、主囲い鋼板aは、柱1の全周に相当する範囲に帯状シートを接着し、第1,2異形囲い鋼板b1,b2は、腰壁13及び垂れ壁14に固定した取付け片16,19の範囲に帯状シートを接着する。
また、連結シート22及び帯状シートは、原則的には、それを何枚も重ね合わせて使用するが、その重ね合わせ枚数は、求める強度に応じて相違することは当然で、場合によっては1枚だけを接着することもありうることは、第1実施形態と同様である。
このように連結シート22と帯状シートとの繊維の縦糸方向を互いに交差させたので、それら連結シート22と帯状シートとが相乗的に作用して、上記両鋼板接合部21の接合強度がさらに強くなる。ただし、第1実施形態でも説明したように、繊維によっては、縦糸あるいは横糸の区別なく織られているものがあるが、この場合には、いずれの方向にも引っ張り力に対して抗力を発揮するので、繊維の方向性はほとんど問題にならない。
なお、上記第2実施形態は、腰壁13及び垂れ壁14を備えた柱の補強構造を示したが、腰壁13あるいは垂れ壁14のいずれか一方を備えた柱の補強にも適用できるし、第1実施形態のように柱1の一面のみを補強するものにも適用できる。
つまり、積層状態における主囲い鋼板と異形囲い鋼板との、少なくとも一つの面がほぼ面一に連続するとともに、全体的な形態が不連続になるものについては、それらの建造物の形態いかんにかかわりなく、すべてこの発明の補強構造が適用できる。
2 梁
a 主囲い鋼板
b 異形囲い鋼板
b1,b2 第1,2異形囲い鋼板
6,8 帯状シート
10 主鋼板接合部
11 両鋼板接合部
12,22 連結シート
21 両鋼板接合部
Claims (5)
- 梁、腰壁あるいは垂れ壁のいずれかに交わっている柱であって、これら梁、腰壁あるいは垂れ壁とは交差していない柱の表面を囲う主囲い鋼板と、この主囲い鋼板とは形態を異にするとともに、上記梁、腰壁あるいは垂れ壁との交差部を囲う異形囲い鋼板とを備え、これら主囲い鋼板と異形囲い鋼板とを、上記柱の長手方向に連続して積層し、上記柱と、主囲い鋼板及び異形囲い鋼板との間に形成した間隔にグラウト材を充填する建造物の補強構造において、上記主囲い鋼板及び異形囲い鋼板には、積層状態で面一になる面であって互いに接合する接合部をまたいで上記柱の長手方向に延伸する連結シートを接着した建造物の補強構造。
- 上記主囲い鋼板及び異形囲い鋼板の周囲でかつ柱の周方向に沿って、上記連結シートに交差させた帯状シートを接着し、この帯状シートで連結シートを覆う構成にした請求項1に記載された建造物の補強構造。
- 上記連結シートと帯状シートとのそれぞれを縦糸及び横糸からなる繊維シートで構成するとともに、上記連結シートはその縦糸方向を上記柱の長手方向に沿わせ、上記帯状シートはその縦糸を上記柱の周方向に沿わせるとともに、それら両シートの縦糸方向を交差させた請求項2に記載された建造物の補強構造。
- 上記連結シートは、上記柱の長手方向に沿った方向の長さを、互いに接合する単位主囲い鋼板と異形囲い鋼板の合計長さと等しいかあるいはほぼ等しい長さにした請求項1〜3のいずれか1に記載された建造物の補強構造。
- 上記主囲い鋼板と異形囲い鋼板のいずれか一方には、上記連結シートに対応する位置であって、上記主囲い鋼板と異形囲い鋼板とを上記接合部をまたぐ位置に少なくとも1つの添え板を固定するとともに、この添え板は他方の囲い鋼板と接触する関係位置を保つ一方、上記連結シートと上記添え板との間で、上記接合部を挟持する構成にした請求項1〜4のいずれか1に記載された建造物の補強構造。
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