JP5790632B2 - 鋼板の製造装置および鋼板の製造方法 - Google Patents

鋼板の製造装置および鋼板の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、珪素(Si)を含有した高張力鋼板の製造に際して、表面に形成されるSi含有酸化物層を除去でき、化成処理性に優れるとともに型かじり性や曲げ性などの成形性にも優れた高張力鋼板を製造可能な鋼板の製造装置および鋼板の製造方法に関する。
近年、自動車に関しては、地球環境の保全の観点から燃費の改善が求められている。また、自動車の衝突時における乗員保護の観点から安全性の向上も求められている。そのため、自動車の車体を軽量化および高強度化することが要求され、自動車部品の薄肉化と高強度化とが積極的に進められている。
一方、多くの自動車部品は鋼板をプレス成形することによって製造される。そのため、鋼板には高い強度と高い延性、すなわち優れた強度と延性とのバランス(強度−延性バランス)が求められている。ここで、高い延性を有する高張力(高強度)冷延鋼板には、強化元素としてSiを多量に含有させる場合が多く、焼鈍時に高張力(高強度)冷延鋼板の表面にSi含有酸化物層が形成される。
そのため、このようなSiの含有量が多い高張力(高強度)冷延鋼板は、焼鈍工程の次工程において化成処理を行ったとしても、化成結晶を均一かつ微細に形成することができず、部分的に欠損した表面状態になってしまう。化成処理が不良になった鋼板は、その表面に電着塗装などの塗装を施したとしても密着性が良好な塗膜を得られず、塗装後の耐食性も満足しなくなる。
そこで、このような問題を解決すべく種々の技術が提案されている。特許文献1には、第1段階としてブラシ研削を行った後、続く第2段階として塩酸酸洗を行って、表層の酸化膜を除去する方法が開示されている。特許文献2には、アルミナ研磨剤入りナイロンブラシにより表層の酸化膜を研磨する技術が開示されている。特許文献3には、JIS−R6001規格の砥粒番号で#200以下の粒度の砥粒入りブラシを用いて、表層の酸化膜を研削する方法が開示されている。
特開平5−317949号公報 特開平7−70724号公報 特開2003−226920号公報
しかしながら、Siの含有量が0.5質量%以上の高張力鋼板などの鋼板に対して連続焼鈍を行うと、鋼板の表面に非常に強固かつ厚肉なSi含有酸化物層が形成される。さらに、このSi含有酸化物層は、鋼板の表面の微小な凹凸形状に対応して不均一に分布する。
そのため、連続焼鈍後に鋼板の表面を研削する際には、強固かつ厚肉なSi含有酸化物層を除去するために重研削が必要となる。また、特許文献1〜3に記載されているような研削ブラシは、砥粒や研磨材を埋め込んだブラシ毛がロール状に植毛され、鋼板の表面とブラシ毛とが接触することで研削が行われる。
そこで、この研削ブラシを用いて重研削を行うためには、砥粒と鋼板との接触圧力を大きくする必要がある。ところが、研削ブラシを鋼板の表面に大きな力で押圧させると、この研削ブラシが曲折してしまって重研削が困難になる問題がある。したがって、従来の研削ブラシを用いても、Si含有酸化物層を均一かつ十分に除去することは困難であった。
一方、高張力鋼板などの鋼板においては、プレス加工や曲げ加工などを施して最終製品形状を得るために、その成形性も重要となる。ところが、上述したような表面研削を行うと鋼板の表面にスジ状の研削痕が生じてしまう。このスジ状の研削痕の存在によって、プレス加工における型かじりや曲げ加工における表面割れが発生しやすくなる。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、その目的は、焼鈍時に鋼板表面に形成された表層酸化物を効率よく除去し、化成処理性および成形性がともに優れた鋼板を製造することができる鋼板の製造装置および鋼板の製造方法を提供することにある。
上述した課題を解決し、上記目的を達成するために、本発明に係る鋼板の製造装置は、珪素(Si)を0.5質量%以上含有する鋼板に対して焼鈍を行う焼鈍手段と、焼鈍手段によって焼鈍された鋼板の表面の研削を行う研削手段と、研削手段によって研削された鋼板に対して酸洗処理を行う酸洗手段と、を備え、研削手段が、鋼板の搬送方向に沿った上流側の第一の弾性砥石と、下流側の第二の弾性砥石とを有し、第一の弾性砥石は、粒度がJIS−R6001規格の砥粒番号で#220乃至#400、かつJIS−K6253規格の硬度が60以上95以下であり、第二の弾性砥石は、粒度がJIS−R6001規格の砥粒番号で#320乃至#800、かつJIS−K6253規格の硬度が60以上95以下であることを特徴とする。
本発明に係る鋼板の製造装置は、上記の発明において、鋼板を、表面の粗さが0.5μmRz以上5.0μmRz以下になるように形成可能に構成されていることを特徴とする。
本発明に係る鋼板の製造方法は、珪素(Si)を0.5質量%以上含有する鋼板を焼鈍する焼鈍ステップと、焼鈍ステップにおいて焼鈍された鋼板の表面を研削する研削ステップと、研削ステップにおいて研削された鋼板に対して酸洗処理を行う酸洗ステップと、を含み、研削ステップが、粒度がJIS−R6001規格の砥粒番号で#220乃至#400、かつ硬度がJIS−K6253規格で60以上95以下である第一の弾性砥石を用いて鋼板を研削する第1の研削ステップと、第1の研削ステップ後に、粒度がJIS−R6001規格の砥粒番号で#320乃至#800、かつ硬度がJIS−K6253規格で60以上95以下である第二の弾性砥石を用いて鋼板を研削する第2の研削ステップと、を含むことを特徴とする。
本発明に係る鋼板の製造方法は、上記の発明において、研削ステップおよび酸洗ステップによって、鋼板の表面の粗さが0.5μmRz以上5.0μmRz以下になる処理を行うことを特徴とする。
本発明に係る鋼板の製造装置および鋼板の製造方法によれば、焼鈍時に鋼板表面に形成された表層酸化物を効率よく除去し、化成処理性および成形性がともに優れた鋼板を製造することが可能となる。
図1は、本発明の一実施形態による鋼板の製造装置の構成を示す図である。 図2は、本発明の一実施形態による鋼板の製造方法を説明するためのフローチャートである。 図3は、本発明の一実施形態による鋼板の製造装置に使用する弾性砥石の砥粒番号における好適範囲を説明するための図表である。
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。また、本発明は以下に説明する一実施形態によって限定されるものではない。ここで、本発明の一実施形態について説明するにあたり、本発明の理解を容易にするために、本発明者が上述した課題を解決すべく行った鋭意検討について、その概要を説明する。
すなわち、本発明者は、焼鈍時に鋼板の表面に形成されたSi含有酸化物層を効率よく除去する方法について検討を行った。鋼板の表面からSi含有酸化物層を効率良く除去することができれば、化成処理性に優れた高張力鋼板を製造することが可能となる。
そして、本発明者が種々実験および検討を行った結果、鋼板に強い力で押圧させても従来の研削ブラシのように曲折することなく、高張力(高強度)鋼板のような硬質の鋼板に対しても重研削可能な研削手段として、弾性砥石を採用するのが好ましいことを想起した。弾性砥石とは、固形弾性体に砥粒を埋め込み、ロール状にしたものである。
以上の検討後、本発明者はさらに従来技術の問題点について検討を行い、少なくとも2種類の第一の弾性砥石と第二の弾性砥石とを用いて、少なくとも2段階で断続的に研削を行う方法を想起した。具体的に、本発明者は、少なくとも2種類の弾性砥石を用い、少なくとも1つの第一の弾性砥石により主に研削減量を確保するための研削を行い、少なくとも1つの第二の弾性砥石によって主に表面粗さの調整を行う研削を行う、という方法を案出した。また、本発明者は、主に研削の対象となる高張力鋼板に対して重研削を行う際に好ましい弾性砥石について検討を行ったところ、不織布に砥粒を絡ませてポリビニルアルコールなどの結合剤で成形した多孔質砥石を適用するのが好ましいことを知見するに至った。本発明は、以上の鋭意検討に基づいて案出されたものである。
次に、以上の鋭意検討により案出された、本発明の一実施形態による鋼板の製造装置について説明する。図1は、この一実施形態による鋼板の製造装置の概略構成図を示す。
図1に示すように、この一実施形態による鋼板の製造装置は、タンデム圧延機によって冷間圧延された例えば高張力鋼板である鋼板1に対して、連続焼鈍、研削、および酸洗の各処理を順次実行可能に構成されている。すなわち、この鋼板の製造装置においては、焼鈍手段としての連続焼鈍設備2と、複数の研削手段の1つである第一の弾性砥石を構成する上面用弾性砥石装置3および下面用弾性砥石装置4と、複数の研削手段の1つである第二の弾性砥石を構成する上面用弾性砥石装置5および下面用弾性砥石装置6と、酸洗手段としての酸洗設備7と、調質圧延機8と、コイラー9とを備える。
上面用弾性砥石装置3、下面用弾性砥石装置4、上面用弾性砥石装置5、下面用弾性砥石装置6、および酸洗設備7は、連続焼鈍設備2に対して鋼板1の搬送方向に沿った出側(下流側)に順次配置されている。調質圧延機8およびコイラー9は、酸洗設備7よりさらに下流側に配置され、鋼板1は、調質圧延機8を通過した後に最終的にコイラー9に巻き取られる。
以上のように構成された鋼板の製造装置における上面用弾性砥石装置3、下面用弾性砥石装置4、上面用弾性砥石装置5、および下面用弾性砥石装置6はそれぞれ、一対のロールから構成されている。これらの弾性砥石装置において、例えば、上面用弾性砥石装置3の上ロールや下面用弾性砥石装置4の下ロールなどの大径ロールが弾性砥石である。一方、例えば、上面用弾性砥石装置3の下ロールや下面用弾性砥石装置4の上ロールなどの小径ロールは、鋼板1を支持するバックアップロールとなる。これによって、上面用弾性砥石装置3,5は、大径ロールによって鋼板1の上面を研削可能に構成されているとともに、下面用弾性砥石装置4,6は、大径ロールによって鋼板1の下面を研削可能に構成されている。すなわち、第一の弾性砥石および第二の弾性砥石はいずれも、鋼板1の上面および下面の両面を研削可能に構成されている。
ここで、この一実施形態において、上面用弾性砥石装置3および下面用弾性砥石装置4からなる第一の弾性砥石の砥粒、すなわち弾性砥石装置3,4の大径ロールの砥粒としては、JIS−R6001規格により規定される粒度が砥粒番号で#220番乃至#400番のものを採用するのが望ましい。砥粒番号で#220より粗い砥粒では、砥粒の剥離が多くなって、弾性砥石の消耗が大きくなる。一方、砥粒番号で#400番より細かい砥粒では、研削量が小さくなって、必要な研削量を確保するために大径ロールの回転数を増加させるなどの、研削動力負荷を大きくする必要が生じる。
また、第一の弾性砥石の硬度、すなわち弾性砥石装置3,4の大径ロールの硬度としては、JIS−K6253規格により規定される硬度が60乃至95(60以上95以下)であるものを採用するのが望ましい。なお、この弾性砥石の硬度は、デュロメータと称される硬さ計、この一実施形態では中硬さの測定に用いられるデュロメータのタイプAの規定を用いて測定する。ここで、弾性砥石の硬度を60未満にして柔らかい弾性砥石を採用すると、研削減量によって評価される研削能力が低下する。一方、弾性砥石の硬度を95よりも大きくして硬い弾性砥石を採用すると、チャタリングと称される振動が発生しやすくなり、安定な研削状態を維持できなくなる。これにより、弾性砥石のJIS−K6253規格により規定される硬度は60乃至95とするのが好ましい。
また、上面用弾性砥石装置5および下面用弾性砥石装置6からなる第二の弾性砥石の砥粒、すなわち弾性砥石装置5,6の大径ロールの砥粒としては、JIS−R6001規格により規定される粒度が砥粒番号で#320番乃至#800番のものを採用するのが望ましい。砥粒番号で#320より粗い砥粒では、研削後の表面粗さが粗くなりすぎてしまう。一方、砥粒番号で#800より細かい砥粒では、製造するのが困難になり工業生産に適さない。
また、第二の弾性砥石の硬度、すなわち弾性砥石装置5,6の大径ロールの硬度としては、第一の弾性砥石の場合と同様の理由から、JIS−K6253規格により規定される硬度が60乃至95(60以上95以下)であるものを採用するのが望ましい。なお、弾性砥石の砥粒番号および硬度に関する好適な範囲の詳細については後述する。
次に、以上のように構成された一実施形態による鋼板の製造装置を用いた鋼板の製造方法について説明する。図2は、この一実施形態による鋼板の製造方法を示すフローチャートである。
図2に示すように、この一実施形態においては、まず、連続焼鈍設備2において鋼板1に対する連続焼鈍を行う(ステップST1)。ここで、この一実施形態においては、鋼板1として、Siを0.5質量%以上含有する高Si含有高張力鋼板を採用する。鋼板1に含有されるSi量が0.5質量%未満の場合、焼鈍時に鋼板1の表層に濃化するSi量はわずかであり、特別な前処理を要することなく充分な化成処理性を確保できる。そこで、この一実施形態においては、鋼板1として、従来技術では充分な化成処理性を確保するのが困難な高張力鋼板を採用する。一方、Si量の上限については特に限定されないが、鋼板1に含有されるSi量が3質量%を超えると鋼板1の加工性が劣化する傾向があることを考慮すると、好適には3質量%以下である。なお、鋼板1には、炭素(C)、マンガン(Mn)、リン(P)、硫黄(S)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、チタン(Ti)、ニオブ(Nb)、および、sol.Alからなる群より選ばれた少なくとも1種類の元素が適量添加されていてもよい。ステップST1における連続焼鈍によって、鋼板1の表面には、濃化して生成された表層酸化物としてSi含有酸化物層が形成される。
続いて、表層酸化物を除去する第一段階としてステップST2に移行する。ステップST2においては、連続焼鈍時に形成された鋼板1の両表面に形成されたSi含有酸化物層を、上面用弾性砥石装置3および下面用弾性砥石装置4からなる第一の弾性砥石によって研削する。これにより、主に鋼板1の研削減量を確保するための研削が行われる。ここで、上面用弾性砥石装置3および下面用弾性砥石装置4における大径ロールの回転数は、鋼板1や大径ロールにおける種々の条件によって決定され、具体的には、600〜1500rpmが好ましい。
その後、表層酸化物を除去する第二段階としてステップST3に移行する。ステップST3においては、鋼板1を、第二の弾性砥石を構成する上面用弾性砥石装置5および下面用弾性砥石装置6に順次搬送して、鋼板1の両表面を研削する。これにより、主に鋼板1の表面粗さを調整するための研削が行われる。ここで、上面用弾性砥石装置5および下面用弾性砥石装置6における大径ロールの回転数も、鋼板1や大径ロールにおける種々の条件によって決定され、具体的には、600〜1500rpmが好ましい。
このように、第一の弾性砥石および第二の弾性砥石によって鋼板1の両表面が複数回研削された後、ステップST4に移行する。ステップST4において、鋼板1は酸洗設備7に搬送されて酸洗処理が行われる。この酸洗処理後、ステップST5に移行して、鋼板1は調質圧延機8に搬送されて調質圧延が行われる。そして、鋼板1は、最終的にステップST6においてコイラー9により巻き取られる。
以上の一実施形態において、鋼板1は、その表面の粗さが0.5μmRz以上5.0μmRz以下になるように形成するのが望ましい。鋼板1の表面の粗さをこの範囲外、すなわち0.5μmRz未満または5.0μmRzを超えた粗さにすると、プレス加工における型かじりや曲げ加工における表面割れが発生しやすくなる。
また、鋼板1に対して、上面用弾性砥石装置3,5および下面用弾性砥石装置4,6による機械的研削が行われると、その質量は減少する。このとき、鋼板1の質量の減少量が鉄(Fe)換算で4.0g/m未満の場合、Si含有酸化物層は全面に亘って均一に除去されず、化成結晶が欠損した表面状態になる可能性がある。そこで、上面用弾性砥石装置3,5および下面用弾性砥石装置4,6を、鋼板1の質量の減少量がFe換算で4.0g/m以上になるように制御する。一方、鋼板1の質量の減少量の上限は特に規定されないが、鋼板1の質量の減少量がFe換算で15.0g/mを超えると、材料歩留まりが悪化するのみならず作業能率も悪くなる傾向がある。したがって、上面用弾性砥石装置3,5および下面用弾性砥石装置4,6を、鋼板1の質量の減少量がFe換算で15.0g/m以下になるように制御するのが好ましい。
ここで、鋼板1の質量の減少量は、以下のように求められる。すなわち、まず、同一鋼種かつ同一製造条件の鋼板1を2体準備する。そして、一方の鋼板1に対しては、研削、酸洗、および調質圧延を行う。他方の鋼板1に対しては、研削も酸洗も行うことなく調質圧延のみを行う。その後、前者の鋼板1、すなわち研削、酸洗、および調質圧延を行った一方の鋼板1から所定面積分を切り出して質量を測定し、後者の鋼板1、すなわち研削も酸洗も行っていない他方の鋼板1から、所定面積分を切り出して質量を測定する。そして、前者の鋼板1の質量を所定面積で除することで前者の鋼板1の単位面積当たりの質量を算出するとともに、後者の鋼板1の質量を所定面積で除することで後者の鋼板1の単位面積当たりの質量を算出する。この算出後、前者の鋼板1の単位面積当たりの質量から、後者の鋼板1の単位面積当たりの質量を減算して差分を算出すると、研削および酸洗処理による鋼板1の単位面積当たりの質量の減少量が求められる。
図3は、種々の粒度とした第一の弾性砥石および第二の弾性砥石による研削を行った場合の、鋼板1の質量の減少量および表面粗さを評価した結果を示す。ここで、対象となる鋼板1は、引張強度が980MPaでSiが1.5質量%含有された高張力鋼板である。また、使用する弾性砥石は、硬度が80であり、その大径ロールの回転数を1200rpmとした。さらに、比較のために、粒度が砥粒番号で#100である第一の弾性砥石、および粒度が砥粒番号で#220の第二の弾性砥石を用いた結果も併せて示す。なお、図3において、鋼板1における研削減量がFe換算で4.0g/m2以上かつ表面粗さが0.5μmRz以上5.0μmRz以下の場合を「○」、それ以外を「×」とした。
図3から、第一の弾性砥石の粒度をJIS−R6001規格の砥粒番号で#220乃至#400とし、かつ、第二の弾性砥石の粒度をJIS−R6001規格の砥粒番号で#320乃至#800とした場合に結果が「○」であり、鋼板1の質量の減少量および表面粗さが良好であることが分かる。また、本発明者が、第一の弾性砥石および第二の弾性砥石として使用する弾性砥石の硬度を60〜95の範囲内で種々変えて、上述と同様の評価を行ったところ、図3に示す評価と同様の結果になることが確認された。
(実施例および比較例)
次に、以上説明した一実施形態に基づいた実施例、および実施例と比較するための比較例について説明する。
まず、図1に示す鋼板の製造装置によって処理する鋼板1として、Si濃度が0.5〜1.5質量%、板厚が1.2mm、および板幅が950mmの高張力鋼板を採用する。そして、鋼板の製造装置の連続焼鈍設備2において鋼板1を90mpmのラインスピードで連続焼鈍する。ここで、鋼板1に対する焼鈍条件は、加熱速度を20℃/秒以上とした加熱を行って750〜850℃の温度範囲を20分程度維持した後、冷却速度を20℃/秒以上とした冷却を行うことによって、鋼板1を100℃以下まで冷却する条件とする。その後、第一の弾性砥石および第二の弾性砥石の少なくとも一方による研削と酸洗処理とを組み合わせてSi含有酸化物層を除去した後、調質圧延を行った。なお、酸洗条件としては、60℃の温度で濃度が10体積%の硫酸を用い、酸洗時間はラインスピードから換算して10秒間であった。
鋼板1の化成処理性については、調質圧延を行った後の鋼板1について、コイルからサンプルを採取して以下の方法により評価した。すなわち、化成処理においては、脱脂、水洗、および表面調整工程を経た後、市販の化成処理薬剤(日本パーカライジング株式会社製パルボンド:PB−L3020)を用いて化成処理を行う。そして、鋼板1の化成処理を行った後、その表面を走査型電子顕微鏡を用いて500倍の倍率で5視野の領域を観察する。この観察によって、面積率が95%以上の均一な化成結晶が5視野の全てにおいて生成しているものを「〇」(良好)、面積率が5%を超えた隙間が1視野だけ認められた場合を「△」(やや良好)、面積率が5%を超えた隙間が2視野以上認められた場合を「×」(不良)と評価した。
また、鋼板1の表面の最大粗さRzは、JIS−B0601(2001年)に準拠した方法に基づき、鋼板1の長手方向である研削によるスジ状模様の方向に対して、直角な方向に沿って接触式の粗さ計を用いて測定した。そして、成形性に関して、最大粗さRzが0.5μm以上5.0μm以下であれば良好、0.5μm未満または5.0μmより大きければ型かじりまたは曲げ加工での割れの可能性があるとして不良と判断した。その上で、以上の化成処理性および成形性がともに良好である場合を「○」(良好)、少なくともいずれか一方の特性が不良である場合を「×」(不良)として評価した。
以上の条件および評価方法に基づいて、第1〜第5の実施例、および第1〜第3の比較例を行った。表1に、これらの第1〜第5の実施例および第1〜第3の比較例における、研削対象となった鋼板1のSi濃度、第一の弾性砥石および第二の弾性砥石による研削条件、および得られた特性の評価結果の一覧を示す。
Figure 0005790632
表1に示すように、第1〜第5の実施例において、第一の弾性砥石として、その粒度が砥粒番号で#220乃至#400、かつ硬度が60乃至90(60以上90以下)のものを採用した。また、第二の弾性砥石として、その粒度が砥粒番号で#320乃至#800、かつ硬度が60乃至90(60以上90以下)のものを採用した。
他方、第1〜第3の比較例においては、研削対象となる鋼板1のSi濃度を1.5質量%とした。その上で、第1の比較例においては、第一の弾性砥石および第二の弾性砥石に、粒度が砥粒番号で#800の弾性砥石を用い、その硬度を90とした。また、第2の比較例においては、第一の弾性砥石および第二の弾性砥石に、粒度が砥粒番号で#400の弾性砥石を用い、その硬度を50とした。また、第3の比較例においては、第二の弾性砥石を用いずに、粒度が砥粒番号で#100、かつ硬度が80の第一の弾性砥石のみを用いた。
表1から、第1〜第5の実施例においては、いずれも特性が「○」(良好)であったのに対し、第1〜第3の比較例においては、いずれも特性が「×」(不良)であることが分かる。これにより、第1〜第5の実施例においては、いずれの鋼板1においても、連続的に安定して良好な化成被膜が得られ、かつプレス加工での型かじりや曲げ加工での割れ発生を招来しない平滑な表面性状が得られ、化成処理性および成形性に優れた高張力鋼板を製造できることが分かる。また、この鋼板1は、引張強度が960〜1000MPa、伸びが20〜25%であった。
以上説明した本発明の一実施形態によれば、Si含有量の高い高張力鋼板などの鋼板であっても、連続焼鈍によって生ずる表層酸化物を効率良く適切に除去することができるので、鋼板1の全表面に亘って良好な化成被膜を形成できる。また、プレス加工での型かじりや曲げ加工での割れ発生を招来しない平滑な表面性状を維持して、鋼板1において良好な化成処理性と成形性とを確保することができるので、鋼板1の表面粗さに起因するプレス時のプレス金型や鋼板の焼き付き、すなわちプレス型かじりや曲げ加工での割れが生じにくい高張力鋼板などの鋼板1を製造することが可能となる。
以上、本発明の一実施形態について具体的に説明したが、本発明は、上述の一実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。例えば、上述の一実施形態において挙げた、回転数、ラインスピード、および酸洗条件などの数値はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれと異なる数値を用いてもよい。
1 鋼板
2 連続焼鈍設備
3,5 上面用弾性砥石装置
4,6 下面用弾性砥石装置
7 酸洗設備
8 調質圧延機
9 コイラー

Claims (2)

  1. 珪素(Si)を0.5質量%以上含有する鋼板に対して焼鈍を行う焼鈍手段と、
    機械的研削による前記鋼板の質量の減少量が鉄換算で4.0g/m 以上15.0g/m 以下となり、かつ前記鋼板の表面の粗さが0.5μmRz以上5.0μmRz以下になるように、前記焼鈍手段によって焼鈍された鋼板の表面の機械的研削を行う研削手段と、
    前記研削手段によって研削された前記鋼板に対して酸洗処理を行う酸洗手段と、を備え、
    前記研削手段が、前記鋼板の搬送方向に沿った上流側の第一の弾性砥石と、下流側の第二の弾性砥石とを有し、前記第一の弾性砥石は、粒度がJIS−R6001規格の砥粒番号で#220乃至#400、かつJIS−K6253規格の硬度が60以上95以下であり、前記第二の弾性砥石は、粒度がJIS−R6001規格の砥粒番号で#320乃至#800、かつJIS−K6253規格の硬度が60以上95以下である
    ことを特徴とする鋼板の製造装置。
  2. 珪素(Si)を0.5質量%以上含有する鋼板を焼鈍する焼鈍ステップと、
    機械的研削による前記鋼板の質量の減少量が鉄換算で4.0g/m 以上15.0g/m 以下となり、かつ前記鋼板の表面の粗さが0.5μmRz以上5.0μmRz以下になるように、前記焼鈍ステップにおいて焼鈍された鋼板の表面を機械的研削する研削ステップと、
    前記研削ステップにおいて研削された前記鋼板に対して酸洗処理を行う酸洗ステップと、を含み、
    前記研削ステップが、粒度がJIS−R6001規格の砥粒番号で#220乃至#400、かつ硬度がJIS−K6253規格で60以上95以下である第一の弾性砥石を用いて前記鋼板を研削する第1の研削ステップと、前記第1の研削ステップ後に、粒度がJIS−R6001規格の砥粒番号で#320乃至#800、かつ硬度がJIS−K6253規格で60以上95以下である第二の弾性砥石を用いて前記鋼板を研削する第2の研削ステップと、を含む
    ことを特徴とする鋼板の製造方法。
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