JP5790489B2 - バルブ特性制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関においてエンジンバルブのバルブ特性を制御するバルブ特性制御装置に関する。
従来、バルブ特性制御装置としては、第一エンジンバルブと第二エンジンバルブとにより同一の気筒が開閉される内燃機関において、それらエンジンバルブのバルブ特性を制御する装置が、知られている。
例えば特許文献1,2に開示の装置では、第一及び第二エンジンバルブを駆動する第一及び第二バルブカムと、カム軸との間に設けられた調整機構により、カム軸に対して各バルブカムの回転位相が調整されるようになっている。こうした回転位相の調整によれば、バルブ特性として一気筒あたりの見かけ上のバルブ作用角が可変制御されるのである。
実開平2−63006号公報 特開平7−54623号公報
さて、特許文献1,2に開示の装置では、第一及び第二エンジンバルブを駆動する第一及び第二バルブカムの位相調整を、共通の調整機構により実現している。このような共通調整の作用を受ける気筒では、第一及び第二エンジンバルブの開閉タイミングが同時に且つそれぞれ決まった量だけ変化することになる。そのため、特に第一及び第二エンジンバルブが吸気系のエンジンバルブである場合、それら各エンジンバルブのリフト量に応じた吸気ポート面積を個別に制御することはできない。こうした制御性の制限は、内燃機関の燃費性能を高める上においてネックとなるため、望ましくない。
そこで、本発明の目的は、内燃機関の燃費性能を高めるためのバルブ特性制御装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、第一エンジンバルブと第二エンジンバルブとにより同一の気筒が開閉される内燃機関において、それら吸気系のエンジンバルブのバルブ特性を制御するバルブ特性制御装置であって、第一エンジンバルブを駆動する第一バルブカムに内蔵され、内燃機関のカム軸に対する当該第一バルブカムの第一回転位相を、所定の第一位相範囲内において調整する第一個別調整機構と、第一エンジンバルブよりも小さい最大リフト量となるように第二エンジンバルブを駆動する第二バルブカムに内蔵され、カム軸に対する当該第二バルブカムの第二回転位相を、第一位相範囲に対して進角側にずれた第二位相範囲内において、第一回転位相とは独立して調整する第二個別調整機構とを、備え、第一位相範囲の最遅角位相と第二位相範囲の最進角位相とにおいて、第二エンジンバルブの閉じるタイミング以降に第一エンジンバルブが開くことを特徴とする
この発明において吸気系の第一及び第二エンジンバルブが開閉する気筒では、第一及び第二エンジンバルブを駆動する第一及び第二バルブカムにそれぞれ内蔵の第一及び第二個別調整機構により、第一及び第二回転位相がカム軸に対して互いに独立して調整される。こうした独立調整の作用を受ける気筒では、第一エンジンバルブの開閉タイミングと、第一エンジンバルブよりも小さい最大リフト量に駆動される第二エンジンバルブの開閉タイミングとを、それぞれの適時に且つ各別の量をもって変化させ得る。しかも、第二回転位相の調整範囲である第二位相範囲は、第一回転位相の調整範囲である第一位相範囲に対して進角側にずれているので、第二回転位相を第一回転位相に対して相対的に進角させ得るのである。
これらのことから、第一回転位相に対する第二回転位相の相対的な進角により、第二エンジンバルブの小さな最大リフト量に応じて吸気ポート面積を絞った後、第一エンジンバルブの大きな最大リフト量に応じて吸気ポート面積を拡大させ得る。このような吸気ポート面積の可変制御によれば、絞られた吸気ポートから気筒内への吸気ガスの流入速度を高めて気筒内にスワール流を発生させた状態下、大きく開いた吸気ポートから大量の吸気ガスを気筒内に流入させて分散させ得る。その結果、内燃機関の中低速回転時等の気筒において空燃比を高めた希薄燃焼が可能となるので、内燃機関の燃費性能を高めることができるのである。
また、この発明において、第一回転位相が第一位相範囲の最遅角位相となり且つ第二回転位相が第二位相範囲の最進角位相となるときに、第一エンジンバルブの開くタイミングは、第二エンジンバルブの閉じるタイミング以降となる。これにより気筒内では、第二エンジンバルブの開きによりスワール流が発生した後、第二エンジンバルブの閉じによりピストンのリフトダウンに応じて負圧が発生した状態下、第一エンジンバルブが開かれ得る。その結果、スワール流と負圧との作用が相俟って大量の吸気ガスが気筒内に流入し分散するので、内燃機関の燃費性能を飛躍的に高め得る希薄燃焼を実現することが可能となるのである。
請求項2に記載の発明によると、内燃機関において複数の気筒は、各別の第一エンジンバルブと各別の第二エンジンバルブとにより開閉され、各気筒毎の第一エンジンバルブを個別に駆動する第一バルブカムにそれぞれ内蔵される第一個別調整機構と、各気筒毎の第二エンジンバルブを個別に駆動する第二バルブカムにそれぞれ内蔵される第二個別調整機構とは、それら各機構の調整対象である第一回転位相又は第二回転位相を独立して調整する。
請求項3に記載の発明によると、第一位相範囲の最進角位相と第二位相範囲の最遅角位相とにおいて、第一エンジンバルブと第二エンジンバルブとが同時に開く。
この発明において、第一回転位相が第一位相範囲の最進角位相となり且つ第二回転位相が第二位相範囲の最遅角位相となるときには、第一及び第二エンジンバルブが同時に開く。故に、第一位相範囲のうち最進角位相より遅角側での第一回転位相の調整と、第二位相範囲のうち最遅角位相より進角側での第二回転位相の調整との少なくとも一方が生じることで、第二エンジンバルブが第一エンジンバルブよりも早く且つ小さな最大リフト量で開くことになる。これによれば、吸気ポート面積を絞った後に拡大させるための第一及び第二回転位相の相対的なずれを、最進角位相以外の第一位相範囲内と最遅角位相以外の第二位相範囲内という広い範囲内にて、調整することができる。したがって、第一及び第二回転位相の相対的なずれを内燃機関の運転状態に応じた量に調整することで、気筒におけるスワール流の発生状態と吸気ガスの流入量とを変化させて、当該内燃機関の燃費性能を高め得る希薄燃焼を実現することが可能となるのである。
請求項4に記載の発明によると、内燃機関は、吸気系の第一エンジンバルブ及び第二エンジンバルブと同一の気筒を開閉する排気系のエンジンバルブを、備え、気筒内におけるピストンが上死点に到達する前に、排気系のエンジンバルブが開いた状態で第二エンジンバルブを開くように、第二個別調整機構が第二回転位相を進角させる。
この発明では、第二回転位相が進角されることで、気筒内ピストンの上死点への到達前に、排気系のエンジンバルブの開状態で吸気系の第二エンジンバルブが開くことになる。その結果、内燃機関の中低速回転時等の気筒内にて第二エンジンバルブにより開かれた吸気ポートには、排気系エンジンバルブにより開かれた排気ポートから排気ガスが、上死点に向かうピストンのリフトアップに応じて流入する。こうした所謂内部EGRが発生することによれば、ポンピングロスの低減と排気ガス中の窒素酸化物の低減とを図ることができるので、内燃機関の燃費性能と共に環境性能を高めることが可能となるのである。
請求項5に記載の発明によると、第一個別調整機構は、カム軸と一体回転する第一回転体を有し、第一回転体が第一バルブカム内を区画することにより第一進角作動室及び第一遅角作動室を形成し、第一進角作動室から作動液が排出され且つ第一遅角作動室へ作動液が導入されることにより、第一回転位相を遅角させ、第二個別調整機構は、カム軸と一体回転する第二回転体を有し、第二回転体が第二バルブカム内を区画することにより第二進角作動室及び第二遅角作動室を形成し、第二進角作動室へ作動液が導入され且つ第二遅角作動室から作動液が排出されることにより、第二回転位相を進角させる。
この発明の第一個別調整機構では、カム軸と一体回転の第一回転体が第一バルブカム内に区画する第一進角作動室及び第一遅角作動室に対し、それぞれ作動液の排出及び導入が行われることにより、第一回転位相が遅角する。また一方、第二個別調整機構では、カム軸と一体回転の第二回転体が第二バルブカム内に区画する第二進角作動室及び第二遅角作動室に対し、それぞれ作動液の導入及び排出が行われることにより、第二回転位相が進角する。このような第一及び第二個別調整機構によれば、互いに独立した第一回転位相の遅角調整と第二回転位相の進角調整とのうち少なくとも一方により、第一回転位相に対する第二回転位相の相対的な進角状態を確実に得ることができる。故に、第二エンジンバルブの小さな最大リフト量に応じて吸気ポート面積を絞った後、第一エンジンバルブの大きな最大リフト量に応じて吸気ポート面積を拡大させて、内燃機関の燃費性能を高め得る希薄燃焼を実現することが可能である。
請求項6に記載の発明によると、内燃機関のクランク軸から出力トルクが伝達されることにより回転する駆動回転体、並びにカム軸に固定されて回転する従動回転体を有し、それら駆動回転体及び従動回転体間に相対回転を生じさせることにより、クランク軸に対する第一バルブカム及び第二バルブカムの各回転位相を共通に調整する共通調整機構を、さらに備える。
この発明では、駆動回転体及び従動回転体間の相対回転が共通調整機構により生じさせられる。ここで、クランク軸から出力トルクが伝達されて回転する駆動回転体と、カム軸に固定されて回転する従動回転体との間の相対回転によれば、同一気筒の第一及び第二エンジンバルブをそれぞれ駆動する第一及び第二バルブカムの回転位相は、クランク軸に対して共通に調整されることになる。これにより、第一及び第二エンジンバルブの開閉タイミングを適時且つ各別量で変化させる個別調整と、それらバルブの開閉タイミングを同時且つ同量で変化させる共通調整とを、切り替えて又は組み合わせて実施し得る。故に、こうした二種類の調整の切り替え又は組み合わせの結果、内燃機関の燃費性能を最大限にまで高めることが可能となるのである。
本発明の第一実施形態によるバルブ特性制御装置を内燃機関に搭載した状態を部分断面にて示す構成図である。 図1の一組の第一及び第二個別調整装置と共通調整装置とを拡大して示す断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 図2のV−V線断面図である。 図1の内燃機関について説明するための構成図である。 図1のバルブ特性制御装置の作動を説明するための特性図である。 本発明の第二実施形態によるバルブ特性制御装置の一組の第一及び第二個別調整装置と共通調整装置とを拡大して示す断面図である。 図8のバルブ特性制御装置の作動を説明するための特性図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1に示すように、本発明の第一実施形態によるバルブ特性制御装置10は、車両の内燃機関1に搭載される。内燃機関1は、カム軸2の長手方向に沿って直列に並ぶ複数の気筒3を各別に開閉するために、各気筒3毎に一組ずつの吸気系エンジンバルブVi1,Vi2を有しており(図6も参照)、バルブ特性制御装置10は、それらエンジンバルブVi1,Vi2のバルブ特性を制御する。ここで、特に本実施形態の内燃機関1は、ピストン(図示しない)が往復駆動する各気筒3内において、吸気ポートへ噴射されたガソリン燃料を燃焼させる、所謂ポート噴射式レシプロガソリンエンジンである。そこで、バルブ特性制御装置10は、各気筒3におけるガソリン燃料の燃焼状態をバルブ特性制御により最適化する。
図1〜5に示すようにバルブ特性制御装置10は、各気筒3毎に一組づつ設けられる個別調整機構20,30と、それら気筒3に共通に設けられる共通調整機構40とを、備えている。本実施形態の各機構20,30,40は特に、内燃機関1の運転に伴って図1のポンプ4から供給される「作動液」としての作動油により、作動する。尚、各組の個別調整機構20,30の構成については、互いに実質同一であるため、以下、図2〜4に示す組の個別調整機構20,30の構成のみを代表的に説明する。
図2〜4に示すように第一及び第二個別調整機構20,30は、それぞれ対応した第一又は第二エンジンバルブVi1,Vi2を個別に駆動する第一又は第二バルブカムC1,C2に、内蔵されている。具体的に第一及び第二個別調整機構20,30は、金属製のカム軸2と同軸上に一体形成される金属製の第一及び第二回転体21,31を、それぞれ有している。第一及び第二回転体21,31は、それぞれ対応した第一又は第二バルブカムC1,C2内に同軸上に収容されてカム軸2と一体回転する、所謂ベーンロータである。ここで第一及び第二バルブカムC1,C2は、互いに異なるカムプロフィールP1,P2を形成する金属製のカムロブLと、それぞれ対応した第一又は第二回転体21,31にシール部材Sを介して嵌合する金属製の円筒ハウジングHとを、一体に組み付けてなる。第一及び第二回転体21,31は、こうした第一又は第二バルブカムC1,C2のハウジングH内を回転方向に区画することで、図3,4に示すように、第一又は第二進角作動室23,33と第一又は第二遅角作動室24,34とをそれぞれ複数ずつ形成している。
以上の構成により第一個別調整機構20では、作動油の排出による第一進角作動室23の油圧低下と共に、作動油の導入による第一遅角作動室24の油圧上昇とが生じるのに応じて、内蔵先の第一バルブカムC1が第一回転体21及びカム軸2に対して遅角方向に相対回転する。その結果、カム軸2に対する第一バルブカムC1の回転位相である第一回転位相が遅角するので、当該カムC1の駆動する第一エンジンバルブVi1の開閉タイミングも遅角することになる。一方、作動油の導入による第一進角作動室23の油圧上昇と共に、作動油の排出による第一遅角作動室24の油圧低下とが生じるのに応じて第一個別調整機構20では、第一バルブカムC1が第一回転体21及びカム軸2に対して進角方向に相対回転する。その結果、カム軸2に対する第一バルブカムC1の第一回転位相が進角するので、第一エンジンバルブVi1の開閉タイミングも進角することになる。
また同様に、第二個別調整機構30では、作動油の排出による第二進角作動室33の油圧低下と共に、作動油の導入による第二遅角作動室34の油圧上昇とが生じるのに応じて、内蔵先の第二バルブカムC2が第二回転体31及びカム軸2に対して遅角方向に相対回転する。その結果、カム軸2に対する第二バルブカムC2の回転位相である第二回転位相が遅角するので、当該カムC2の駆動する第二エンジンバルブVi2の開閉タイミングも遅角することになる。一方、作動油の導入による第二進角作動室33の油圧上昇と共に、作動油の排出による第二遅角作動室34の油圧低下とが生じるのに応じて第二個別調整機構30では、第二バルブカムC2が第二回転体31及びカム軸2に対して進角方向に相対回転する。その結果、カム軸2に対する第二バルブカムC2の第二回転位相が進角するので、第二エンジンバルブVi2の開閉タイミングも進角することになる。
このように第一及び第二個別調整機構20,30は、第一及び第二回転位相を互いに独立してそれぞれ所定の範囲R1,R2内に調整することで、同一気筒3における第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングを変化させるのである(図7(a)〜(e)を参照)。ここで図7に示すように、第一個別調整機構20の第一回転位相の調整範囲である第一位相範囲R1に対して、第二個別調整機構30の第二回転位相の調整範囲である第二位相範囲R2は、進角側にずれて設定されている。それと共に、第一位相範囲R1の最進角位相と第二位相範囲R2の最遅角位相とは、カム軸2に対する実質同一位相に設定されている。これらの設定は、範囲R1の最進角位相に調整された第一バルブカムC1が第一エンジンバルブVi1を開き始めると同時に、範囲R2の最遅角位相に調整された第二バルブカムC2が第二エンジンバルブVi2を開き始める作動状態の現出を、図7(a)の如く可能にする。特に本実施形態において図7(a)の作動状態は、内燃機関1の始動を許容する状態であり、以下では、「デフォルト状態」というものとする。
また、開閉タイミングが上述の如く変化する第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2の最大リフト量ΔV1,ΔV2については、当該変化に拘らず、それぞれ対応した第一又は第二バルブカムC1,C2のカムプロフィールP1,P2に従う大きさとなる(図7(a)〜(e)を参照)。ここで図2,7に示すように、本実施形態における第二エンジンバルブVi2の最大リフト量ΔV2は、第一エンジンバルブVi1の最大リフト量ΔV1に対して、例えば半値等に小さく設定されている。
さて、図2,5に示すように共通調整機構40は、カム軸2の長手方向の一端部2aに外付けされている。具体的に共通調整機構40は、共に金属製の駆動回転体41と従動回転体42とを、有している。駆動回転体41は、クランク軸との間にタイミングチェーン5が掛け渡されて内燃機関1の出力トルクが伝達されることで、当該クランク軸と連動して回転する、所謂スプロケットハウジングである。従動回転体42は、カム軸2の一端部2aに同軸上に固定されることで、当該カム軸2と連動して回転する、所謂ベーンロータである。従動回転体42は、駆動回転体41内に同軸上に収容されて、シール部材Sを介して駆動回転体41の内周部に嵌合している。かかる嵌合形態により従動回転体42は、駆動回転体41内を回転方向に区画することで、共通進角作動室43と共通遅角作動室44とをそれぞれ複数ずつ形成している。
以上の構成により共通調整機構40では、作動油の排出による共通進角作動室43の油圧低下と共に、作動油の導入による共通遅角作動室44の油圧上昇とが生じるのに応じて、従動回転体42及びカム軸2が駆動回転体41に対して遅角方向に相対回転する。その結果、全ての個別調整機構20,30における第一及び第二バルブカムC1,C2の各回転位相は、駆動回転体41と連動するクランク軸に対して同時に遅角する。故に各個別調整機構20,30では、カム軸2に対してのバルブカムC1,C2の位相調整範囲である位相範囲R1,R2が遅角側へ同量ずつずれることになるので、バルブカムC1,C2により駆動されるエンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングも全て遅角する。
一方、作動油の導入による共通進角作動室43の油圧上昇と共に、作動油の排出による共通遅角作動室44の油圧低下とが生じるのに応じて共通調整機構40では、従動回転体42及びカム軸2が駆動回転体41に対して進角方向に相対回転する。その結果、全個別調整機構20,30における第一及び第二バルブカムC1,C2の各回転位相は、クランク軸に対して同時に進角する。故に各個別調整機構20,30では、カム軸2に対してのバルブカムC1,C2の位相調整範囲である位相範囲R1,R2が進角側へ同量ずつずれることになるので、エンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングも全て進角する。
このように共通調整機構40は、クランク軸に対する全バルブカムC1,C2の各回転位相を共通に調整することで、各位相範囲R1,R2を同時にずらして、全エンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングを変化させるのである(図7(a),(b)間及び図7(d),(e)間の変化を参照)。ここで、図7(a)のデフォルト状態においては、各気筒3内のピストンが上死点TDCに到達すると同時に全エンジンバルブVi1,Vi2が開き始めるように、クランク軸に対する全バルブカムC1,C2の各回転位相が調整されるようになっている。
尚、図7(a)のデフォルト状態において本実施形態では、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達と同時に、それら各気筒3の排気系エンジンバルブVeが閉じられるように、当該バルブVeの開閉タイミングが固定されている。ここで、第一及びエンジンバルブVi1,Vi2と同一の気筒3を開閉する排気系のエンジンバルブVeについては、図6に示すように、それら吸気系のエンジンバルブVi1,Vi2に準じて、各気筒3毎に一組ずつ設けられている。
図1に示すようにバルブ特性制御装置10は、以上説明した機構20,30,40に加えて、さらに入出制御系50,52及び電子制御回路60を有している。
個別入出制御系50は、内燃機関1に付設されるポンプ4及びドレンパン6と、各個別調整機構20,30との間に設けられている。個別入出制御系50は、各個別調整機構20,30の作動室23,24,33,34に対して、ポンプ4との接続により作動油を導入する状態と、ドレンパン6との接続により作動油を排出させる状態と、ポンプ4及びドレンパン6との非接続により作動油を留める状態とを切り替える。このような個別入出制御系50については、第一個別調整機構20の全てに共通の電磁制御弁と、第二個別調整機構30の全てに共通の電磁制御弁とから構成してもよいし、各個別調整機構20,30毎に独立して設けられる複数の電磁制御弁から構成してもよい。また、図1〜4に示すように個別入出制御系50と各個別調整機構20,30の進角作動室23,33との間を連通する通路53については、それぞれ対応した個別調整機構20,30のハウジングHと共にカム軸2を軸受するカムジャーナルJから、当該ハウジングHに跨って形成される。さらに、図1〜4に示すように個別入出制御系50と各個別調整機構20,30の遅角作動室24,34との間を連通する通路54については、それぞれ対応した個別調整機構20,30のハウジングHと共にカム軸2を軸受するカムジャーナルJから、当該ハウジングHに跨って形成される。
図1に示すように共通入出制御系52は、ポンプ4及びドレンパン6と、共通調整機構40との間に設けられている。共通入出制御系52は、共通調整機構40の各作動室43,44に対して、ポンプ4との接続により作動油を導入する状態と、ドレンパン6との接続により作動油を排出させる状態と、ポンプ4及びドレンパン6との非接続により作動油を留める状態とを切り替える。このような共通入出制御系52については、個別入出制御系50とは独立した電磁制御弁により構成される。また、図1,2,5に示すように共通入出制御系52と共通調整機構の各作動室43,44との間をそれぞれ個別に連通する通路55,56については、カム軸2を軸受する直近のカムジャーナルJから、駆動回転体41に跨って形成される。
電子制御回路60は、マイクロコンピュータを主体に構成され、内燃機関1に付設されている。電子制御回路60は、各入出制御系50,52を構成する電磁制御弁と、内燃機関1の各種電装品とに接続されている。電子制御回路60は、各電装品からの信号に基づいて内燃機関1の運転状態を判断し、各入出制御系50,52の切り替え作動を当該運転状態に応じて制御する。
(作動)
次に、第一実施形態のバルブ特性制御装置10において電子制御回路60が各入出制御系50,52を制御することにより実行される作動を、詳細に説明する。
(1) 車両のエンジンスイッチのオン等により内燃機関1の始動条件が成立すると、各入出制御系50,52の制御に従う各機構20,30,40の位相調整作動により、内燃機関1が図7(a)のデフォルト状態にて始動し、アイドル回転状態となる。
(2) アイドル回転域の内燃機関1を触媒の早期活性化が必要な暖気運転へと切り替える条件が成立すると、各入出制御系50,52の制御に従う各機構20,30,40の位相調整作動により、内燃機関1が図7(a)の状態から図7(b)の状態へ移行する。具体的には、第一及び第二個別調整機構20,30と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2を開き始めるように、第一及び第二位相範囲R1,R2を同時に進角側へとずらす。
したがって、図7(b)の状態では、第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2の双方が各気筒3内ピストンの上死点TDC到達前のリフトアップ中に開き始める。これにより各気筒3では、進角側へずらされた第一位相範囲R1と第二位相範囲R2とのそれぞれ最進角位相と最遅角位相とにて、第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2が同時に開閉することになる。
(3) アイドル回転域の内燃機関1を設定回転数(例えば4000rpm等)以下の中低速回転域まで増速させて運転する条件が成立すると、各入出制御系50,52の制御に従う各機構20,30,40の位相調整作動により、内燃機関1が図7(a)の状態から図7(c)の状態へ移行する。具体的には、第二個別調整機構30と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達と同時に第二エンジンバルブVi2を開き始めるように、第二回転位相を第二位相範囲R2の最遅角位相のまま保持する。また一方、第一個別調整機構20と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達後に第一エンジンバルブVi1を開き始めるように、第一回転位相を第一位相範囲R1の最進角位相から最遅角位相にまで遅角させる。
したがって、図7(c)の状態では、第二回転位相が第一回転位相に対して相対的には進角して、第二エンジンバルブVi2が第一エンジンバルブVi1よりも小さい最大リフト量ΔV2且つ早いタイミングにて開き始める。これにより各気筒3では、第二エンジンバルブVi2の小さな最大リフト量ΔV2に応じて吸気ポート面積が絞られた後、第一エンジンバルブVi1の大きな最大リフト量ΔV1に応じて吸気ポート面積が拡大することになる。
(4) 中低速回転域の内燃機関1をトルク負荷の小さい一定速運転へと切り替える条件が成立すると、入出制御系50,52の制御に従う各機構20,30,40の位相調整作動により、内燃機関1が図7(c)の状態から図7(d)の状態へ移行する。具体的には、第一個別調整機構20と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達後に第一エンジンバルブVi1を開き始めるように、第一回転位相を第一位相範囲R1の最遅角位相のまま保持する。また一方、第二個別調整機構30と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に、排気系エンジンバルブVeの開いた状態で第二エンジンバルブVi2を開き始めるように、第二回転位相を第二位相範囲R2の最遅角位相から最進角位相にまで進角させる。
したがって、図7(d)の状態では、第一回転位相に対する第二回転位相の相対的な進角量が増大して、第一エンジンバルブVi1よりも小さい最大リフト量ΔV2の第二エンジンバルブVi2が各気筒3内ピストンの上死点TDC到達前のリフトアップ中に開き始める。これにより各気筒3では、第一位相範囲R1の最遅角位相と第二位相範囲R2の最進角位相とにて、小さな最大リフト量ΔV2の第二エンジンバルブVi2が閉じるタイミング以降(図7(d)の例は、閉じタイミングと同時)に、第一エンジンバルブVi1が大きな最大リフト量ΔV1にて開くことになる。
尚、図7(d)の状態については、設定回転数を超える高速回転域にて内燃機関1を運転する条件が成立した場合にも、移行される。この場合、上記(4)と同様にして図7(c)の状態から移行させてもよいし、あるいは上記(3),(4)の組み合わせにより図7(a)のデフォルト状態から、移行させてもよい。
(5) 中低速回転域の内燃機関1をトルク負荷が大きい高速回転域まで増速させて運転する条件が成立すると、入出制御系50,52の制御に従う各機構20,30,40の位相調整作動により、内燃機関1が図7(d)の状態から図7(e)の状態へ移行する。具体的には、第一個別調整機構20と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達と同時に第一エンジンバルブVi1を開き始めるように、第一位相範囲R1を進角側へとずらす。また同時に、第二個別調整機構30と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前において第二エンジンバルブVi2の開き始めタイミングをさらに早めるように、第二位相範囲R2を進角側へとずらす。
したがって、図7(e)の状態では、第一回転位相に対する第二回転位相の相対的な進角量が増大したまま、第一エンジンバルブVi1よりも小さい最大リフト量ΔV2の第二エンジンバルブVi2が各気筒3内ピストンのリフトアップ中の可及的に早期から開き始める。これにより各気筒3では、共に進角側へずれた第一位相範囲R1と第二位相範囲R2とのそれぞれ最遅角位相と最進角位相とにて、第二エンジンバルブVi2の閉じタイミング以降(図7(e)の例は、閉じタイミングと同時)に第一エンジンバルブVi1が開くことになる。
尚、上記(2)〜(5)により図7(b)〜(e)の作動状態へ移行された後においては、上記(2)〜(5)とは逆の位相調整作動を各機構20,30,40に実行させることで、図7の白抜矢印の如く移行元の状態へ戻ることは、勿論、可能である。
(作用効果)
次に、以上説明した第一実施形態のバルブ特性制御装置10による作用効果を、詳細に説明する。
第一実施形態において吸気系のエンジンバルブVi1,Vi2が開閉する各気筒3では、それらバルブを駆動するバルブカムC1,C2にそれぞれ内蔵の個別調整機構20,30により、第一及び第二回転位相がカム軸2に対して互いに独立して調整される。こうした独立調整の作用を受ける各気筒3では、第一エンジンバルブVi1の開閉タイミングと、第一エンジンバルブVi1よりも小さい最大リフト量ΔV2に駆動される第二エンジンバルブVi2の開閉タイミングとを、それぞれの適時に且つ各別の量をもって図7の如く変化させ得る。しかも、第二回転位相の調整範囲である第二位相範囲R2は、第一回転位相の調整範囲である第一位相範囲R1に対して進角側にずれているので、図7(c)〜(e)の如く第二回転位相を、第一回転位相に対して相対的に進角させ得るのである。
これらのことから、第一回転位相に対する第二回転位相の相対的な進角により、第二エンジンバルブVi2の小さな最大リフト量ΔV2に応じて吸気ポート面積を絞った後、第一エンジンバルブVi1の大きな最大リフト量ΔV1に応じて吸気ポート面積を拡大させ得る。このような吸気ポート面積の可変制御によれば、絞られた吸気ポートから各気筒3内への吸気ガスの流入速度を高めて各気筒3内にスワール流を発生させた状態下、大きく開いた吸気ポートから大量の吸気ガスを各気筒3内に流入させて分散させ得る。その結果、内燃機関1の中低速回転時等の各気筒3において空燃比を高めた希薄燃焼が可能となるので、内燃機関1の燃費性能を高めることができるのである。
また、図7(a)の如く第一実施形態では、第一回転位相が第一位相範囲R1の最進角位相となり且つ第二回転位相が第二位相範囲R2の最遅角位相となるときに、第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2が同時に開く。故に、第一位相範囲R1のうち最進角位相より遅角側での第一回転位相の調整と、第二位相範囲R2のうち最遅角位相より進角側での第二回転位相の調整との少なくとも一方が図7(c)〜(e)の如く生じることで、第二エンジンバルブVi2が第一エンジンバルブVi1よりも早く且つ小さな最大リフト量ΔV2で開くことになる。これによれば、吸気ポート面積を絞った後に拡大させるための第一及び第二回転位相の相対的なずれを、最進角位相以外の第一位相範囲R1内と最遅角位相以外の第二位相範囲R2内という広い範囲内にて、調整することができる。したがって、第一及び第二回転位相の相対的なずれを内燃機関1の運転状態に応じた量に調整することで、各気筒3におけるスワール流の発生状態と吸気ガスの流入量とを変化させて、当該内燃機関1の燃費性能を高め得る希薄燃焼を実現することが可能となるのである。
さらに、第一実施形態において各気筒3毎の第一個別調整機構20では、カム軸2と一体回転の第一回転体21が第一バルブカムC1内に区画する第一進角作動室23及び第一遅角作動室24に対し、それぞれ作動油の排出及び導入が行われることで、第一回転位相が遅角する。また一方、各気筒3毎の第二個別調整機構30では、カム軸2と一体回転の第二回転体31が第二バルブカムC2内に区画する第二進角作動室33及び第二遅角作動室34に対し、それぞれ作動油の導入及び排出が行われることで、第二回転位相が進角する。これら個別調整機構20,30によれば、互いに独立した第一回転位相の遅角調整と第二回転位相の進角調整とのうち少なくとも一方により、図7(c)〜(e)の如く、第一回転位相に対する第二回転位相の相対的な進角状態を確実に得ることができる。故に各気筒3では、第二エンジンバルブVi2の小さな最大リフト量ΔV2に応じて吸気ポート面積を絞った後、第一エンジンバルブVi1の大きな最大リフト量ΔV1に応じて吸気ポート面積を拡大させて、内燃機関1の燃費性能を高め得る希薄燃焼を実現することが可能である。
加えて、図7(d),(e)の如く第一実施形態では、第一回転位相が第一位相範囲R1の最遅角位相となり且つ第二回転位相が第二位相範囲R2の最進角位相となるときに、第一エンジンバルブVi1の開くタイミングが第二エンジンバルブVi2の閉じるタイミング以降となる。これにより各気筒3内では、第二エンジンバルブVi2の開きによりスワール流が発生した後、第二エンジンバルブVi2の閉じによりピストンのリフトダウンに応じて負圧が発生した状態下、第一エンジンバルブVi1が開かれることになる。その結果、スワール流と負圧との作用が相俟って大量の吸気ガスが各気筒3内に流入し分散するので、内燃機関1の燃費性能を飛躍的に高め得る希薄燃焼を実現することが可能となるのである。
また加えて、図7(d),(e)の如く第一実施形態では、第二回転位相が第二位相範囲R2の最遅角位相よりも進角されることで、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に、排気系エンジンバルブVeの開状態で吸気系第二エンジンバルブVi2が開く。その結果、内燃機関1の各気筒3内にて第二エンジンバルブVi2により開かれた吸気ポートには、排気系エンジンバルブVeにより開かれた排気ポートから排気ガスが、上死点TDCに向かうピストンのリフトアップに応じて流入する。こうした所謂内部EGRが発生することによれば、ポンピングロスの低減と排気ガス中の窒素酸化物の低減とを図ることができるので、内燃機関1の燃費性能と共に環境性能を高めることが可能となるのである。
さらに加えて、第一実施形態では、駆動回転体41及び従動回転体42間の相対回転が共通調整機構40により生じさせられる。ここで、クランク軸から出力トルクが伝達されて回転する駆動回転体41と、カム軸2に固定されて回転する従動回転体42との間の相対回転によれば、各気筒3のエンジンバルブVi1,Vi2をそれぞれ駆動するバルブカムC1,C2の回転位相は、クランク軸に対して共通に調整されることになる。これにより、各気筒3のエンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングを適時且つ各別量で変化させる個別調整と、それらバルブの開閉タイミングを同時且つ同量で変化させる共通調整とを、図7(a),(b)間の如く切り替えて、又は図7(a)から図7(e)に到るまでの如く組み合わせて実施し得る。故に、こうした二種類の調整の切り替え又は組み合わせの結果、内燃機関1の燃費性能や環境性能を最大限にまで高めることが可能となるのである。
ここで例えば、図7(e)に到るまでの個別調整及び共通調整の組み合わせによれば、内燃機関1の各気筒3では、開き始めタイミングを早められた第二エンジンバルブVi2が開く吸気ポートに対して、排気ガスの流入量が増大する。故に、内部EGRの効果、ひいては燃費性能及び環境性能を最大限に高めることが可能となるのである。
以上の他、図7(d)の作動状態が内燃機関1の高速回転時に実現される場合には、第一及び第二回転位相の相対的なずれが最大となるので、各気筒3における見かけ上のバルブ作用角(即ち、エンジンバルブVi1,Vi2の双方が開いている位相範囲)が拡大される。これによれば、慣性吸気効果を利用したトルクアップが期待できるので、内燃機関の出力性能を高めることも可能となるのである。
(第二実施形態)
図8に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態のバルブ特性制御装置210には、共通調整機構40及び共通入出制御系52が設けられず、クランク軸との間にタイミングチェーン5が掛け渡されるタイミングスプロケット241がカム軸2の一端部2aに固定されている。これによりカム軸2は、タイミングスプロケット241を通じて内燃機関1の出力トルクを伝達されることにより、クランク軸と同期(具体的に、クランク軸の半回転と同期)して回転することになるので、カム軸2を基準とした位相範囲R1,R2は、クランク軸に対しては図9の如くずれない範囲となる。
このような第二実施形態では、第一実施形態における(1),(3),(4)の各作動により、図9(a),(b),(c)の各作動状態が、それぞれ図7(a),(c),(d)と同様に実現される。したがって、第一実施形態で説明した作用効果のうち図7(a),(c),(d)の作動状態に関連するものを、第二実施形態によっても発揮することができるのである。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
具体的には、第一及び第二実施形態において図7(a)〜(e)又は図9(a)〜(c)の各作動状態は、第一実施形態で説明した(1)〜(5)及びその補足形態(尚書き段落部分)の作動により実現する以外にも、例えば各作動状態を移行元及び移行先のいずれかとしたときに想定可能な組み合わせのいずれかにより実現してもよい。また、第一及び第二実施形態では、図7(a)〜(e)又は図9(a)〜(c)の各作動状態間にて実現される中間の作動状態を、実現してもよい。
さらに、第一及び第二実施形態の図7(d)又は図9(c)の作動状態では、第一位相範囲R1の最遅角位相と第二位相範囲R2の最進角位相とにおいて、第二エンジンバルブVi2が閉じるよりも前に第一エンジンバルブVi1が開くようにしてもよい。またさらに、第一及び第二実施形態の図7(a),(b)又は図9(a)の作動状態では、第一位相範囲R1の最進角位相と第二位相範囲R2の最遅角位相とにおいて、第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2が互いにずれたタイミングにて開くようにしてもよい。
加えて、第一及び第二実施形態において排気系のエンジンバルブVeについては、機構20,30,40の少なくとも一つに準ずる構成の適用により、開閉タイミングを可変させてもよい。この場合、例えば第一実施形態の図7(d)において、気筒3内ピストンの上死点TDC到達前に排気系エンジンバルブVeが閉じた状態で、第二エンジンバルブVi2が開くようにしてもよい。あるいは、例えば第一実施形態の図7(c),(d)において、気筒3内ピストンの上死点TDC到達後まで排気系エンジンバルブVeが開いた状態で、第二エンジンバルブVi2が開くようにしてもよい。
また加えて、第一及び第二実施形態において個別調整機構20,30については、それぞれ個別のバルブカムC1,C2に内蔵されて、それら各バルブカムC1,C2のカム軸2に対する回転位相を独立して調整する構造であれば、各種の構造を採用できる。さらに加えて、第一及び第二実施形態において共通調整機構40については、クランク軸からの出力トルクの伝達により回転する駆動回転体41と、カム軸2に固定されて回転する従動回転体42との間に相対回転を生じさせる構造であれば、例えば電動バルブタイミング調整装置等の各種の構造を採用できる。
またさらに加えて、本発明は、第一及び第二実施形態の如く内燃機関1としてのポート噴射式レシプロガソリンエンジンに適用される以外にも、本発明の作用効果を得られる限りにおいて、例えば直噴式レシプロガソリンエンジンやレシプロディーゼルエンジン等の各種の内燃機関に適用できる。
1 内燃機関、2 カム軸、3 気筒、10,210 バルブ特性制御装置、20 第一個別調整機構、21 第一回転体、23 第一進角作動室、24 第一遅角作動室、30 第二個別調整機構、31 第二回転体、33 第二進角作動室、34 第二遅角作動室、40 共通調整機構、41 駆動回転体、42 従動回転体、43 共通進角作動室、44 共通遅角作動室、50 個別入出制御系、52 共通入出制御系、60 電子制御回路、241 タイミングスプロケット、C1 第一バルブカム、C2 第二バルブカム、R1 第一位相範囲、R2 第二位相範囲、TDC 上死点、Ve 排気系エンジンバルブ、Vi1 第一エンジンバルブ、Vi2 第二エンジンバルブ、ΔV1,ΔV2 最大リフト量

Claims (6)

  1. 第一エンジンバルブと第二エンジンバルブとにより同一の気筒が開閉される内燃機関において、それら吸気系のエンジンバルブのバルブ特性を制御するバルブ特性制御装置であって、
    前記第一エンジンバルブを駆動する第一バルブカムに内蔵され、前記内燃機関のカム軸に対する当該第一バルブカムの第一回転位相を、所定の第一位相範囲内において調整する第一個別調整機構と、
    前記第一エンジンバルブよりも小さい最大リフト量となるように前記第二エンジンバルブを駆動する第二バルブカムに内蔵され、前記カム軸に対する当該第二バルブカムの第二回転位相を、前記第一位相範囲に対して進角側にずれた第二位相範囲内において、前記第一回転位相とは独立して調整する第二個別調整機構とを、
    備え
    前記第一位相範囲の最遅角位相と前記第二位相範囲の最進角位相とにおいて、前記第二エンジンバルブの閉じるタイミング以降に前記第一エンジンバルブが開くことを特徴とするバルブ特性制御装置。
  2. 前記内燃機関において複数の前記気筒は、各別の前記第一エンジンバルブと各別の前記第二エンジンバルブとにより開閉され、
    各前記気筒毎の前記第一エンジンバルブを個別に駆動する前記第一バルブカムにそれぞれ内蔵される前記第一個別調整機構と、各前記気筒毎の前記第二エンジンバルブを個別に駆動する前記第二バルブカムにそれぞれ内蔵される前記第二個別調整機構とは、それら各機構の調整対象である前記第一回転位相又は前記第二回転位相を独立して調整することを請求項1に記載の特徴とするバルブ特性制御装置。
  3. 前記第一位相範囲の最進角位相と前記第二位相範囲の最遅角位相とにおいて、前記第一エンジンバルブと前記第二エンジンバルブとが同時に開くことを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブ特性制御装置。
  4. 前記内燃機関は、吸気系の前記第一エンジンバルブ及び前記第二エンジンバルブと同一の前記気筒を開閉する排気系のエンジンバルブを、備え、
    前記気筒内におけるピストンが上死点に到達する前に、前記排気系のエンジンバルブが開いた状態で前記第二エンジンバルブを開くように、前記第二個別調整機構が前記第二回転位相を進角させることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のバルブ特性制御装置。
  5. 前記第一個別調整機構は、前記カム軸と一体回転する第一回転体を有し、前記第一回転体が前記第一バルブカム内を区画することにより第一進角作動室及び第一遅角作動室を形成し、前記第一進角作動室から作動液が排出され且つ前記第一遅角作動室へ作動液が導入されることにより、前記第一回転位相を遅角させ、
    前記第二個別調整機構は、前記カム軸と一体回転する第二回転体を有し、前記第二回転体が前記第二バルブカム内を区画することにより第二進角作動室及び第二遅角作動室を形成し、前記第二進角作動室へ作動液が導入され且つ前記第二遅角作動室から作動液が排出されることにより、前記第二回転位相を進角させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブ特性制御装置。
  6. 前記内燃機関のクランク軸から出力トルクが伝達されることにより回転する駆動回転体、並びに前記カム軸に固定されて回転する従動回転体を有し、それら駆動回転体及び従動回転体間に相対回転を生じさせることにより、前記クランク軸に対する前記第一バルブカム及び前記第二バルブカムの各回転位相を共通に調整する共通調整機構を、
    さらに備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のバルブ特性制御装置。
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