JP2013142348A - バルブ特性制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】内燃機関の性能を高める。
【解決手段】複数の気筒3が各別のエンジンバルブVi1,Vi2により開閉される内燃機関1において、それらエンジンバルブVi1,Vi2のバルブ特性を制御するバルブ特性制御装置10は、各気筒3のエンジンバルブVi1,Vi2を個別に駆動するバルブカムC1,C2の組毎にそれぞれ内蔵され、内燃機関1のカム軸2に対して当該内蔵先のバルブカムC1,C2の回転位相を互いに独立して調整する複数の個別調整機構20を、備える。これにより、製造公差に起因して各気筒3毎に異なる燃焼状態についても、内燃機関1の性能を高める上において必要な状態へ個別制御可能となるのである。
【選択図】図7

Description

本発明は、内燃機関においてエンジンバルブのバルブ特性を制御するバルブ特性制御装置に関する。
従来、バルブ特性制御装置としては、複数の気筒が各別のエンジンバルブにより開閉される内燃機関において、それらエンジンバルブのバルブ特性を制御する装置が、知られている。
例えば特許文献1〜3に開示の装置では、各気筒のエンジンバルブを個別に駆動するバルブカムと、カム軸との間に設けられた調整機構により、カム軸に対して各バルブカムの回転位相が調整されるようになっている。ここで特に、特許文献1〜3に開示の装置においてエンジンバルブは、各気筒毎に一対ずつ設けられている。故に、各気筒の少なくとも一方のエンジンバルブを駆動するバルブカムにつき、カム軸に対する回転位相を調整することで、バルブ特性として各気筒における見かけ上のバルブ作用角が可変制御されるのである。
実開平2−63006号公報 特開平7−54623号公報 特表2010−502884号公報
さて、特許文献1〜3に開示の装置では、各気筒のエンジンバルブを駆動するバルブカムの位相調整を、共通の調整機構により実現している。こうした共通調整の作用を受ける各気筒では、位相調整先のバルブカムにより駆動されるエンジンバルブの開閉タイミングが同時に且つ同量をもって変化することになるので、各気筒毎の燃焼状態を個別に制御することはできない。一般に各気筒では、各気筒を形成するシリンダブロックのウォータージェケットを通過する水温や、各気筒毎への流入ガス量、排気ガス再循環(EGR)の量等に起因して燃焼状態に差が生じるため、そうした燃料状態の個別制御は、内燃機関の性能を高める上において必要となっている。
そこで、本発明の目的は、内燃機関の性能を高めるためのバルブ特性制御装置を提供することにある。
請求項1に記載の発明は、複数の気筒が各別のエンジンバルブにより開閉される内燃機関において、それらエンジンバルブのバルブ特性を制御するバルブ特性制御装置であって、各気筒のエンジンバルブを個別に駆動するバルブカムにそれぞれ内蔵され、内燃機関のカム軸に対して当該内蔵先のバルブカムの回転位相を互いに独立して調整する複数の個別調整機構を、備える。
この発明では、各気筒のエンジンバルブを個別に駆動するバルブカムにそれぞれ内蔵される複数の個別調整機構により、カム軸に対して当該内蔵先のバルブカムの回転位相が互いに独立して調整される。こうした独立調整の作用を受ける各気筒では、位相調整対象のバルブカムにより駆動されるエンジンバルブの開閉タイミングを、それぞれの適時に且つ各別の量をもって変化させて、それら各気筒毎の燃焼状態を個別に制御し得る。これによれば、製造公差に起因して各気筒毎に異なる燃焼状態についても、内燃機関の性能を高める上において必要な状態へ個別制御可能となるのである。
請求項2に記載の発明によると、各個別調整機構は、カム軸と一体回転する個別回転体を有し、内蔵先のバルブカム内に当該個別回転体により区画形成されて作動液が入出する作動室の液圧に応じて、カム軸に対するバルブカムの回転位相を調整する。
この発明の各個別調整機構では、カム軸と一体回転する個別回転体が内蔵先のバルブカム内に区画形成する作動室に対して、作動液が入出することにより、当該作動室の液圧に応じて、カム軸に対する内蔵先バルブカムの回転位相が調整される。こうした各個別調整機構によれば、作動室に対する入出作動液の互いに独立した液圧調整により、位相調整の独立も確実に実現し得るので、各気筒毎の燃焼状態の正確な個別制御が可能となる。
請求項3に記載の発明によると、エンジンバルブとしての第一エンジンバルブ及び第二エンジンバルブが各気筒毎に設けられ、各気筒の第一エンジンバルブを個別に駆動する上記バルブカムとしての第一バルブカムは、カム軸に固定され、各気筒の第二エンジンバルブを個別に駆動する上記バルブカムとしての第二バルブカムに、カム軸に対する当該内蔵先の第二バルブカムの回転位相を調整する個別調整機構が内蔵される。
この発明において、各気筒毎に第一エンジンバルブを駆動する第一バルブカムについては、固定先のカム軸に対する回転位相が変化しない。これに対し、各気筒毎に第二エンジンバルブを駆動する第二バルブカムについては、内蔵の個別調整機構によりカム軸に対する回転位相が調整されることで、第二エンジンバルブの開閉タイミングを第一エンジンバルブの開閉タイミングに対してずらし得る。故に各気筒では、第一エンジンバルブに対する第二エンジンバルブの相対的な開閉タイミングを、それぞれの適時に且つ各別の量をもって変化させることで、内燃機関の性能をさらに高め得る燃焼状態を各気筒毎に個別制御可能となる。
請求項4に記載の発明によると、エンジンバルブとしての第一エンジンバルブ及び第二エンジンバルブが各気筒毎に設けられ、各気筒の第一エンジンバルブを個別に駆動する上記バルブカムとしての第一バルブカムに、カム軸に対する当該内蔵先の第一バルブカムの第一回転位相を調整する上記個別調整機構として第一個別調整機構が内蔵され、各気筒の第二エンジンバルブを個別に駆動する上記バルブカムとしての第二バルブカムに、カム軸に対する当該内蔵先の第二バルブカムの第二回転位相を調整する上記個別調整機構として第二個別調整機構が内蔵され、同一の気筒において第一エンジンバルブと第二エンジンバルブとを個別に駆動する第一バルブカムと第二バルブカムとにそれぞれ内蔵された第一個別調整機構と第二個別調整機構とは、それら各機構の調整対象である第一回転位相と第二回転位相とを互いに独立して調整する。
この発明の各気筒では、第一エンジンバルブを駆動する第一バルブカムに内蔵の第一個別調整機構により第一回転位相が、また第二エンジンバルブを駆動する第二バルブカムに内蔵の第二個別調整機構により第二回転位相が、それぞれカム軸に対して独立調整される。こうした独立調整の作用を受ける各気筒では、第一エンジンバルブの開閉タイミングと第二エンジンバルブの開閉タイミングとを、それぞれの適時に且つ各別の量をもって相対的にずらすことで、内燃機関の性能をさらに高め得る燃焼状態を各気筒毎に個別制御可能となる。
請求項5に記載の発明によると、内燃機関のクランク軸から出力トルクが伝達されることにより回転する駆動回転体、並びにカム軸に固定されて回転する従動回転体を有し、それら駆動回転体及び従動回転体間に相対回転を生じさせることにより、クランク軸に対する各バルブカムの回転位相を共通に調整する共通調整機構を、さらに備える。
この発明では、駆動回転体及び従動回転体間の相対回転が共通調整機構により生じさせられる。ここで、クランク軸から出力トルクが伝達されて回転する駆動回転体と、カム軸に固定されて回転する従動回転体との間の相対回転によれば、各気筒毎にエンジンバルブを駆動するバルブカムの回転位相は、クランク軸に対して共通に調整されることになる。これにより、各気筒のエンジンバルブの開閉タイミングを適時且つ各別量で変化させる個別調整と、当該開閉タイミングを同時且つ同量で変化させる共通調整とを、いずれも実施し得る。故に、こうした二種類の調整の結果として、内燃機関の性能を最大限にまで高めることが可能となる。
本発明の第一実施形態によるバルブ特性制御装置を内燃機関に搭載した状態を部分断面にて示す構成図である。 図1の一つの個別調整装置と共通調整装置とを拡大して示す断面図である。 図2のIII−III線断面図である。 図2のIV−IV線断面図である。 図2のV−V線断面図である。 図1の内燃機関について説明するための構成図である。 図1のバルブ特性制御装置の作動を説明するための特性図である。 本発明の第二実施形態によるバルブ特性制御装置の一つの個別調整装置と共通調整装置とを拡大して示す断面図である。 図8のバルブ特性制御装置の作動を説明するための特性図である。 本発明の第三実施形態によるバルブ特性制御装置の一組の第一及び第二個別調整装置と共通調整装置とを拡大して示す断面図である。 図10のXI−XI線断面図である。 図10のXII−XII線断面図である。 図10のバルブ特性制御装置の作動を説明するための特性図である。 図10の変形例を示す断面図である。
以下、本発明の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、各実施形態において対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部分のみを説明している場合、当該構成の他の部分については、先行して説明した他の実施形態の構成を適用することができる。また、各実施形態の説明において明示している構成の組み合わせばかりではなく、特に組み合わせに支障が生じなければ、明示していなくても複数の実施形態の構成同士を部分的に組み合せることができる。
(第一実施形態)
図1に示すように、本発明の第一実施形態によるバルブ特性制御装置10は、車両の内燃機関1に搭載される。内燃機関1は、カム軸2の長手方向に沿って直列に並ぶ複数の気筒3を各別に開閉するために、各気筒3毎に一組ずつの吸気系エンジンバルブVi1,Vi2を有しており(図6も参照)、バルブ特性制御装置10は、それらエンジンバルブVi1,Vi2のバルブ特性を制御する。ここで、特に本実施形態の内燃機関1は、ピストン(図示しない)が往復駆動する各気筒3内において、吸気ポートへ噴射されたガソリン燃料を燃焼させる、所謂ポート噴射式レシプロガソリンエンジンである。そこで、バルブ特性制御装置10は、各気筒3におけるガソリン燃料の燃焼状態をバルブ特性制御により最適化する。
図1〜5に示すようにバルブ特性制御装置10は、各気筒3毎に一つづつ設けられる個別調整機構20と、それら気筒3に共通に設けられる共通調整機構40とを、備えている。本実施形態の各機構20,40は特に、内燃機関1の運転に伴って図1のポンプ4から供給される「作動液」としての作動油により、作動する。尚、各個別調整機構20の構成については、互いに実質同一であるため、以下、図2〜4に示す個別調整機構20の構成のみを代表的に説明する。
図2〜4に示すように個別調整機構20は、第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2をそれぞれ個別に駆動する第一及び第二バルブカムC1,C2の双方に跨って、内蔵されている。具体的に個別調整機構20は、金属製のカム軸2と同軸上に一体形成される金属製の個別回転体21を、有している。個別回転体21は、第一及び第二バルブカムC1,C2内に同軸上に収容されてカム軸2と一体回転する、所謂ベーンロータである。ここで第一及び第二バルブカムC1,C2は、互いに実質同一のカムプロフィールP(即ち、第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2の最大リフト量を互いに実質同一とするカムプロフィールP)を形成する一対の金属製カムロブLを、個別回転体21にシール部材Sを介して嵌合する共通の金属製円筒ハウジングHに、一体に組み付けてなる。個別回転体21は、こうした第一及び第二バルブカムC1,C2のハウジングH内を回転方向に区画することで、図3,4に示すように、個別進角作動室23と個別遅角作動室24とをそれぞれ複数ずつ形成している。
以上の構成により個別調整機構20では、作動油の排出による個別進角作動室23の油圧低下と共に、作動油の導入による個別遅角作動室24の油圧上昇とが生じるのに応じて、内蔵先のバルブカムC1,C2が個別回転体21及びカム軸2に対して遅角方向に相対回転する。その結果、カム軸2に対するバルブカムC1,C2の回転位相である個別回転位相が共に遅角するので、各バルブカムC1,C2の駆動するエンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングも遅角することになる。一方、作動油の導入による個別進角作動室23の油圧上昇と共に、作動油の排出による個別遅角作動室24の油圧低下とが生じるのに応じて個別調整機構20では、内蔵先のバルブカムC1,C2が個別回転体21及びカム軸2に対して進角方向に相対回転する。その結果、カム軸2に対するバルブカムC1,C2の個別回転位相が共に進角するので、エンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングも進角することになる。
このように個別調整機構20は、内蔵先であるバルブカムC1,C2の個別回転位相を所定範囲R内に調整することで、同一気筒3における第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングを同時に変化させるのである(図7(a)〜(c)を参照)。その結果、同一気筒3の第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2同士については、実質同一のタイミングにて開き始めると共に、実質同一のタイミングにて閉じることになる。ここで図7に示すように、個別回転位相の調整範囲である位相範囲Rは、全個別調整機構20にて互いに実質同一の範囲に設定されている。また、特に本実施形態において図7(a)の作動状態は、各個別調整機構20が互いに共通な位相範囲Rのうち最遅角位相に個別回転位相を調整することで内燃機関1の始動を許容する状態となっており、以下では、「デフォルト状態」というものとする。
さて、図2,5に示すように共通調整機構40は、カム軸2の長手方向の一端部2aに外付けされている。具体的に共通調整機構40は、共に金属製の駆動回転体41と従動回転体42とを、有している。駆動回転体41は、クランク軸との間にタイミングチェーン5が掛け渡されて内燃機関1の出力トルクが伝達されることで、当該クランク軸と連動して回転する、所謂スプロケットハウジングである。従動回転体42は、カム軸2の一端部2aに同軸上に固定されることで、当該カム軸2と連動して回転する、所謂ベーンロータである。従動回転体42は、駆動回転体41内に同軸上に収容されて、シール部材Sを介して駆動回転体41の内周部に嵌合している。かかる嵌合形態により従動回転体42は、駆動回転体41内を回転方向に区画することで、共通進角作動室43と共通遅角作動室44とをそれぞれ複数ずつ形成している。
以上の構成により共通調整機構40では、作動油の排出による共通進角作動室43の油圧低下と共に、作動油の導入による共通遅角作動室44の油圧上昇とが生じるのに応じて、従動回転体42及びカム軸2が駆動回転体41に対して遅角方向に相対回転する。その結果、全ての個別調整機構20における第一及び第二バルブカムC1,C2の各回転位相は、駆動回転体41と連動するクランク軸に対して同時に遅角する。故に各個別調整機構20では、カム軸2に対してのバルブカムC1,C2の位相範囲Rが遅角側へ同量ずつずれることになるので、バルブカムC1,C2により駆動されるエンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングも全て遅角する。
一方、作動油の導入による共通進角作動室43の油圧上昇と共に、作動油の排出による共通遅角作動室44の油圧低下とが生じるのに応じて共通調整機構40では、従動回転体42及びカム軸2が駆動回転体41に対して進角方向に相対回転する。その結果、全個別調整機構20における第一及び第二バルブカムC1,C2の各回転位相は、クランク軸に対して同時に進角する。故に各個別調整機構20では、カム軸2に対してのバルブカムC1,C2の位相範囲Rが進角側へ同量ずつずれることになるので、エンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングも全て進角する。
このように共通調整機構40は、クランク軸に対する各バルブカムC1,C2の回転位相を共通に調整することで、各位相範囲Rを同時にずらして、全エンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングを変化させるのである(図7(a),(b)間の変化を参照)。ここで、図7(a)のデフォルト状態においては、各気筒3内のピストンが上死点TDCに到達すると同時に全エンジンバルブVi1,Vi2が開き始めるように、クランク軸に対する各バルブカムC1,C2の回転位相が調整されるようになっている。
尚、図7(a)のデフォルト状態において本実施形態では、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達と同時に、それら各気筒3の排気系エンジンバルブVeが閉じられるように、当該バルブVeの開閉タイミングが固定されている。ここで、第一及びエンジンバルブVi1,Vi2と同一の気筒3を開閉する排気系のエンジンバルブVeについては、図6に示すように、それら吸気系のエンジンバルブVi1,Vi2に準じて、各気筒3毎に一組ずつ設けられている。
図1に示すようにバルブ特性制御装置10は、以上説明した機構20,40に加えて、さらに入出制御系50,52及び電子制御回路60を有している。
個別入出制御系50は、内燃機関1に付設されるポンプ4及びドレンパン6と、各個別調整機構20との間に設けられている。個別入出制御系50は、各個別調整機構20の作動室23,24に対して、ポンプ4との接続により作動油を導入する状態と、ドレンパン6との接続により作動油を排出させる状態と、ポンプ4及びドレンパン6との非接続により作動油を留める状態とを切り替える。このような個別入出制御系50については、各個別調整機構20毎に独立して設けられる複数の電磁制御弁により、構成されている。また、図1〜4に示すように個別入出制御系50と各個別調整機構20の個別進角作動室23との間を連通する通路53については、それぞれ対応した個別調整機構20のハウジングHと共にカム軸2を軸受するカムジャーナルJから、当該ハウジングHに跨って形成される。さらに、図1〜4に示すように個別入出制御系50と各個別調整機構20の遅角作動室24との間を連通する通路54については、それぞれ対応した個別調整機構20のハウジングHと共にカム軸2を軸受するカムジャーナルJから、当該ハウジングHに跨って形成される。
図1に示す共通入出制御系52は、ポンプ4及びドレンパン6と、共通調整機構40との間に設けられている。共通入出制御系52は、共通調整機構40の各作動室43,44に対して、ポンプ4との接続により作動油を導入する状態と、ドレンパン6との接続により作動油を排出させる状態と、ポンプ4及びドレンパン6との非接続により作動油を留める状態とを切り替える。このような共通入出制御系52については、個別入出制御系50とは独立して設けられる電磁制御弁により、構成されている。また、図1,2,5に示すように共通入出制御系52と共通調整機構40の各作動室43,44との間をそれぞれ個別に連通する通路55,56については、カム軸2を軸受する直近のカムジャーナルJから、駆動回転体41に跨って形成される。
電子制御回路60は、マイクロコンピュータを主体に構成され、内燃機関1に付設されている。電子制御回路60は、各入出制御系50,52を構成する電磁制御弁と、内燃機関1において排気系に設けられるOセンサ7や排気圧センサ8等の各種電装品と接続されている。電子制御回路60は、センサ7,8等の各電装品からの信号に基づいて内燃機関1の運転状態を判断し、各入出制御系50,52の切り替え作動を当該運転状態に応じて制御する。
(作動)
次に、第一実施形態のバルブ特性制御装置10において電子制御回路60が各入出制御系50,52を制御することにより実行される作動を、詳細に説明する。
(1) 車両のエンジンスイッチのオン等により内燃機関1の始動条件が成立すると、各入出制御系50,52の制御に従う各機構20,40の位相調整作動により、内燃機関1が図7(a)のデフォルト状態にて始動し、アイドル回転状態となる。
(2) アイドル回転域の内燃機関1を設定回転数(例えば2000rpm等)以下の低速回転域にて運転する条件が成立すると、各入出制御系50,52の制御に従う各機構20,40の位相調整作動により、内燃機関1が図7(a)の状態から図7(b)の状態へ移行する。具体的には、各個別調整機構20と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2を開き始めるように、個別回転位相を最遅角位相に保持したままの各位相範囲Rを進角側へずらす。
(3) 低速状態の内燃機関1を気筒間の燃焼バラツキを減らすことでより低い回転数にて運転する条件が成立すると、各入出制御系50,52の制御に従う各機構20,40の位相調整作動により、内燃機関1が図7(b)の状態から図7(c)の状態へ移行する。具体的には、各個別調整機構20と共通調整機構40との共同により、第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングを決める個別回転位相につき、最遅角位相からの進角量を各位相範囲R内にてそれぞれ調整する。このとき特に本実施形態では、O又は排気圧センサ7,8からの検出信号に基づき各気筒3の燃焼状態を燃焼限界に個別制御するように、進角量調整を行うこととなる。
尚、以上の(2),(3)により図7(b),(c)の作動状態へ移行された後においては、(2),(3)とは逆の位相調整作動を各機構20,40に実行させることで、図7の白抜矢印の如く移行元の状態へ戻ることは、勿論、可能である。
(作用効果)
次に、以上説明した第一実施形態のバルブ特性制御装置10による作用効果を、詳細に説明する。
第一実施形態において、各気筒3のエンジンバルブVi1,Vi2を個別駆動するバルブカムC1,C2の組毎にそれぞれ内蔵される複数の個別調整機構20によると、カム軸2に対して当該内蔵先バルブカムの個別回転位相が互いに独立して調整される。こうした独立調整の作用を受ける各気筒3では、位相調整対象のバルブカムC1,C2により駆動されるエンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングを、図7(c)の如くそれぞれの適時に且つ各別の量をもって変化させて、それら各気筒3毎の燃焼状態を個別に制御し得る。これによれば、製造公差に起因して各気筒3毎に異なる燃焼状態についても、内燃機関1の性能を高める上において必要な燃焼限界等の状態へ個別制御可能となるのである。
また、第一実施形態の各個別調整機構20では、カム軸2と一体回転する個別回転体21が内蔵先のバルブカムC1,C2内に区画形成する作動室23,24に対して作動油が入出することにより、それら作動室23,24の油圧に応じて個別回転位相が調整される。こうした各個別調整機構20によれば、作動室23,24に対する入出作動油の互いに独立した油圧調整により、位相調整の独立も確実に実現し得るので、各気筒3毎の燃焼状態の正確な個別制御が可能となる。
さらに第一実施形態では、駆動回転体41及び従動回転体42間の相対回転が共通調整機構40により生じさせられる。ここで、クランク軸から出力トルクが伝達されて回転する駆動回転体41と、カム軸2に固定されて回転する従動回転体42との間の相対回転によれば、各気筒3毎にエンジンバルブVi1,Vi2を駆動するバルブカムC1,C2の回転位相は、クランク軸に対して共通に調整されることになる。これにより、各気筒3のエンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングを適時且つ各別量で変化させる個別調整と、それらバルブの開閉タイミングを同時且つ同量で変化させる共通調整とを、図7の如くいずれも実施し得る。故に、こうした二種類の調整の結果として、内燃機関1の性能を燃焼限界という最大限にまで高めることが、可能となるのである。
(第二実施形態)
図8に示すように、本発明の第二実施形態は第一実施形態の変形例である。第二実施形態のバルブ特性制御装置210において各個別調整機構220は、それぞれ対応した気筒3の第二エンジンバルブVi2を駆動する第二バルブカムC2のみに、内蔵されている。即ち、各個別調整機構220では、第二バルブカムC2においてカムロブLに一体に組み付けられたハウジングH内が、カム軸2と一体の個別回転体21により区画されている。またそれに応じて、各気筒3の第一エンジンバルブVi1を駆動する第一バルブカムC1が、カム軸2に嵌合固定されたカムロブLにより構成されている。尚、各個別調整機構220のその他の構成については、第一実施形態の個別調整機構20と実質等しいものとなっている。
このような構成により各個別調整機構220は、カム軸2に対する各第一バルブカムC1の回転位相である第一回転位相を不変とつつ、カム軸2に対する各第二バルブカムC2の回転位相である第二回転位相を互いに独立して所定範囲R内に調整する。こうした各個別調整機構220の位相調整により、各気筒3における第一エンジンバルブVi1の開閉タイミングは固定されながら、各気筒3における第二エンジンバルブVi2の開閉タイミングは変化するのである(図9(a)〜(d)を参照)。ここで特に、図9(a)に示すデフォルト状態では、各個別調整機構220が互いに共通な位相範囲Rのうち最遅角位相に第二回転位相を調整することで、内燃機関1の始動が許容されることになる。また、各個別調整機構220に対して共通調整機構40がクランク軸に対する各バルブカムC1,C2の回転位相を共通に調整することで、第二回転位相の位相範囲Rがずらされることになる(図9(a),(b)間の変化を参照)。
(作動)
次に、第二実施形態のバルブ特性制御装置210において電子制御回路60が各入出制御系50,52を制御することにより実行される作動を、詳細に説明する。
(1) 内燃機関1の始動条件が成立すると、各入出制御系50,52の制御に従う各機構220,40の位相調整作動により、内燃機関1が図9(a)のデフォルト状態にて始動し、アイドル回転状態となる。
(2) アイドル回転域の内燃機関1を低速回転域にて運転する条件が成立すると、各入出制御系50,52の制御に従う各機構220,40の位相調整作動により、内燃機関1が図9(a)の状態から図9(b)の状態へ移行する。具体的には、各個別調整機構220と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2を開き始めるように、クランク軸に対する各バルブカムC1,C2の回転位相を進角側へとずらす。故にこのときには、第二回転位相を最遅角位相に保持したままの各位相範囲Rが進角側へとずらされる。
(3) 低速回転域の内燃機関1を希薄燃焼状態で運転する条件が成立すると、各入出制御系50,52の制御に従う各機構220,40の位相調整作動により、内燃機関1が図9(b)の状態から図9(c)の状態へ移行する。具体的には、各個別調整機構220と共通調整機構40との共同により、第二エンジンバルブVi2の開閉タイミングを決める第二回転位相につき、最遅角位相からの進角量を各位相範囲R内にてそれぞれ調整する。このとき本実施形態においても、O又は排気圧センサ7,8からの検出信号に基づき各気筒3の燃焼状態を燃焼限界に個別制御するように、進角量調整を行うこととなる。
(4) アイドル回転域の内燃機関1を設定回転数(例えば4000rpm等)超の高速回転域まで増速させて運転する条件が成立すると、各入出制御系50,52の制御に従う各機構220,40の位相調整作動により、内燃機関1が図9(a)の状態から図9(d)の状態へ移行する。具体的には、各個別調整機構220と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に第二エンジンバルブVi2を開き始めるように、第二回転位相を各位相範囲Rの最遅角位相から最進角位相にまで進角させる。故にこのとき、固定される第一回転位相に対して第二回転位相が相対的に進角するので、エンジンバルブVi1,Vi2の双方が開いている位相範囲、即ち各気筒3における見かけ上のバルブ作用角がデフォルト状態よりも拡大する。
(作用効果)
次に、以上説明した第二実施形態のバルブ特性制御装置210による作用効果を、詳細に説明する。
第二実施形態において、各気筒3のエンジンバルブVi1,Vi2のうち一方を個別駆動するバルブカムC2にそれぞれ内蔵される複数の個別調整機構220によると、カム軸2に対して当該内蔵先バルブカムの第二回転位相が互いに独立して調整される。こうした独立調整の作用を受ける各気筒3では、位相調整対象のバルブカムC2により駆動されるエンジンバルブVi2の開閉タイミングを、図9(c)の如くそれぞれの適時に且つ各別の量をもって変化させて、それら各気筒3毎の燃焼状態を個別に制御し得る。これによれば、製造公差に起因して各気筒3毎に異なる燃焼状態についても、内燃機関1の性能を高める上において必要な燃焼限界等の状態へ個別制御可能となるのである。
また、各個別調整機構220では、カム軸2と一体回転する個別回転体21が内蔵先のバルブカムC2内に区画形成する作動室23,24に対して作動油が入出することにより、それら作動室23,24の油圧に応じて個別回転位相が調整される。こうした各個別調整機構220によれば、作動室23,24に対する入出作動油の互いに独立した油圧調整により、位相調整の独立も確実に実現し得るので、各気筒3毎の燃焼状態の正確な個別制御が可能となる。
さらに、各気筒3毎に第一エンジンバルブVi1を駆動する第一バルブカムC1については、固定先のカム軸2に対する回転位相が変化しない。これに対し、各気筒毎3に第二エンジンバルブVi2を駆動する第二バルブカムC2については、内蔵の個別調整機構220によりカム軸2に対する回転位相が調整されることで、第二エンジンバルブVi2の開閉タイミングを第一エンジンバルブVi1の開閉タイミングに対してずらし得る。故に各気筒3では、第一エンジンバルブVi1に対する第二エンジンバルブVi2の相対的な開閉タイミングを、図9(d)の如くそれぞれの適時に且つ各別の量をもって変化させることで、内燃機関1の性能をさらに高め得る燃焼状態を各気筒3毎に個別制御可能となる。ここで特に、内燃機関1の高速回転時には、図9(d)の如き第二回転位相の第一回転位相に対する進角により、各気筒3での見かけ上のバルブ作用角を拡大させることで、慣性吸気効果を利用したトルクアップによる出力性能の向上が可能となるのである。
(第三実施形態)
図10に示すように、本発明の第三実施形態は第一実施形態の変形例である。第三実施形態のバルブ特性制御装置310は、各気筒3毎に一組ずつの個別調整機構320,330を、備えている。尚、各組の個別調整機構320,330の構成については、互いに実質同一であるため、以下、図10に示す組の個別調整機構320,330の構成のみを代表的に説明する。
図10〜12に示すように第一及び第二個別調整機構320,330は、それぞれ対応した第一又は第二エンジンバルブVi1,Vi2を個別に駆動する第一又は第二バルブカムC1,C2に、内蔵されている。具体的に第一及び第二個別調整機構320,330は、金属製のカム軸2と同軸上に一体形成される金属製の第一及び第二回転体321,331を、それぞれ有している。第一及び第二回転体321,331は、それぞれ対応した第一又は第二バルブカムC1,C2内に同軸上に収容されてカム軸2と一体回転する、所謂ベーンロータである。ここで第一及び第二バルブカムC1,C2は、互いに異なる要素L,H,Sの組から、構成されている。第一及び第二回転体321,331は、こうした第一又は第二バルブカムC1,C2の構成要素のうちハウジングH内を回転方向に区画することで、図11,12に示すように、第一又は第二進角作動室323,333と第一又は第二遅角作動室324,334とをそれぞれ複数ずつ形成している。
このような構成により、第一実施形態の個別調整機構20に準じて第一及び第二個別調整機構320,330は、カム軸2に対する第一又は第二バルブカムC1,C2の回転位相である第一又は第二回転位相を、互いに独立してそれぞれ所定の範囲R1,R2内に調整する。こうした第一及び第二個別調整機構320,330の位相調整の結果、同一気筒3における第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングが変化する(図13(a)〜(f)を参照)。
ここで図13に示すように、第一個別調整機構320の第一回転位相の調整範囲である第一位相範囲R1は、第二個別調整機構330の第二回転位相の調整範囲である第二位相範囲R2と実質等しく設定されている。故にこの設定は、範囲R1の最遅角位相に調整された第一バルブカムC1が第一エンジンバルブVi1を開き始めると同時に、範囲R2の最遅角位相に調整された第二バルブカムC2が第二エンジンバルブVi2を開き始める図13(a)のデフォルト状態の現出を、可能にしている。したがって、本実施形態の本実施形態においても、図13(a)のデフォルト状態において内燃機関1の始動が許容されることになる。また、第一及び第二個別調整機構320,330に対して共通調整機構40がクランク軸に対する各バルブカムC1,C2の回転位相を共通に調整することで、各位相範囲R1,R2が同時にずらされることになる(図13(a),(b)間及び図13(d),(e)の変化を参照)。
図10に示す第三実施形態の個別入出制御系350は、各個別調整機構320,330の作動室323,324,333,334に対して、第一実施形態の場合と同じ三つの状態を切り替える。このような個別入出制御系350については、各個別調整機構320,330毎に独立して設けられる複数の電磁制御弁により、構成されている。また、図10〜12に示すように個別入出制御系350と各個別調整機構320,330の進角作動室323,333との間は、それぞれ個別の通路53により連通している。さらに、図10〜12に示すように個別入出制御系350と各個別調整機構320,330の遅角作動室324,334との間は、それぞれ個別の通路54により連通している。
(作動)
次に、第三実施形態のバルブ特性制御装置310において電子制御回路60が各入出制御系350,52を制御することにより実行される作動を、詳細に説明する。
(1) 内燃機関1の始動条件が成立すると、各入出制御系350,52の制御に従う各機構320,330,40の位相調整作動により、内燃機関1が図13(a)のデフォルト状態にて始動し、アイドル回転状態となる。
(2) アイドル回転域の内燃機関1を低速回転域にて運転する条件が成立すると、各入出制御系350,52の制御に従う各機構320,330,40の位相調整作動により、内燃機関1が図13(a)の状態から図13(b)の状態へ移行する。具体的には、各個別調整機構320,330と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2を開き始めるように、クランク軸に対する各バルブカムC1,C2の回転位相を進角側へとずらす。故にこのときには、第一及び第二回転位相をそれぞれ最遅角位相に保持したままの各位相範囲R1,R2が進角側へとずらされる。
(3) 低速回転域の内燃機関1を希薄燃焼状態で運転する条件が成立すると、各入出制御系350,52の制御に従う各機構320,330,40の位相調整作動により、内燃機関1が図13(b)の状態から図13(c)の状態へ移行する。具体的には、各個別調整機構320,330と共通調整機構40との共同により、第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングを決める第一及び第二回転位相につき、最遅角位相からの進角量を各位相範囲R1,R2内にてそれぞれ調整する。このとき本実施形態においても、O又は排気圧センサ7,8からの検出信号に基づき各気筒3の燃焼状態を燃焼限界に個別制御するように、進角量調整を行うこととなる。
(4) アイドル回転域の内燃機関1を高負荷状態で低速回転域まで増速させて運転する条件が成立すると、各入出制御系350,52の制御に従う各機構320,330,40の位相調整作動により、内燃機関1が図13(a)の状態から図13(d)の状態へ移行する。具体的には、各第一個別調整機構320と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達と同時に第一エンジンバルブVi1を開き始めるように、第一回転位相を各第一位相範囲R1の最遅角位相のまま保持する。また一方、各第二個別調整機構330と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に、第二エンジンバルブVi2を開き始めるように、第二回転位相を各第二位相範囲R2の最遅角位相から最進角位相にまで進角させる。故にこのとき、第一回転位相に対して第二回転位相が相対的に進角するので、エンジンバルブVi1,Vi2の双方が開いている位相範囲、即ち各気筒3における見かけ上のバルブ作用角がデフォルト状態よりも拡大する。
(5) 高負荷状態で低速回転域の内燃機関1を高負荷のまま設定範囲(例えば2000〜4000rpm等)の中速回転域まで増速させて運転する条件が成立すると、各入出制御系350,52の制御に従う各機構320,330,40の位相調整作動により、内燃機関1が図13(d)の状態から図13(e)の状態へ移行する。具体的には、各個別調整機構320,330と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に第一及び第二エンジンバルブVi1,Vi2のいずれも開き始めるように、クランク軸に対する各バルブカムC1,C2の回転位相を進角側へとずらす。故にこのときには、各気筒3における見かけ上のバルブ作用角が拡大されたまま、第一回転位相を最遅角位相に保持したままの各第一位相範囲R1と、第二回転位相を最進角位相に保持したままの各第二位相範囲R2とが、進角側へとずらされる。
尚、図13(e)の状態については、中速回転域の内燃機関1を高負荷状態で運転する条件が成立した場合にも、図13(b)の状態から移行される。この場合、各第二位相範囲R2内にて第二回転位相を最進角位相まで進角させることで、図13(e)の状態を実現することができる。
(6) 高速回転域の内燃機関1を高負荷で運転する条件が成立すると、各入出制御系350,52の制御に従う各機構320,330,40の位相調整作動により、内燃機関1が図13(e)の状態から図13(f)の状態へ移行する。具体的には、具体的には、各第二個別調整機構330と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に第二エンジンバルブVi2を開き始めるように、第二回転位相を各第二位相範囲R2の最進角位相のまま保持する。また一方、各第一個別調整機構320と共通調整機構40との共同により、各気筒3内ピストンの上死点TDCへの到達前に第一エンジンバルブVi1を開き始めるように、第一回転位相を各第一位相範囲R1の最遅角位相から最進角位相にまで進角させる。
尚、以上の(2)〜(6)により図13(b)〜(f)の作動状態へ移行された後においては、(2)〜(6)とは逆の位相調整作動を各機構320,330,40に実行させることで、図13の白抜矢印の如く移行元の状態へ戻ることは、勿論、可能である。
(作用効果)
次に、以上説明した第三実施形態のバルブ特性制御装置310による作用効果を、詳細に説明する。
第三実施形態において、各気筒3のエンジンバルブVi1,Vi2を個別駆動するバルブカムC1,C2毎にそれぞれ内蔵される複数の個別調整機構320,330によると、カム軸2に対して当該内蔵先バルブカムの第一又は第二回転位相が互いに独立して調整される。こうした独立調整の作用を受ける各気筒3では、位相調整対象のバルブカムC1,C2により駆動されるエンジンバルブVi1,Vi2の開閉タイミングを、図13(c)の如くそれぞれの適時に且つ各別の量をもって変化させて、それら各気筒3毎の燃焼状態を個別に制御し得る。これによれば、製造公差に起因して各気筒3毎に異なる燃焼状態についても、内燃機関1の性能を高める上において必要な燃焼限界等の状態へ個別制御可能となるのである。
また、上述の如き独立調整の作用を受ける各気筒3では、第一エンジンバルブVi1の開閉タイミングと第二エンジンバルブVi2の開閉タイミングとが、図13(d),(e)の如くそれぞれの適時に且つ各別の量をもって相対的にずらされる。これにより、内燃機関1の性能をさらに高め得る燃焼状態を、各気筒3毎に個別制御することが可能となる。ここで特に、内燃機関1の高速回転時には、図13(d)の如き第二回転位相の第一回転位相に対する進角により、各気筒3での見かけ上のバルブ作用角を拡大させることで、慣性吸気効果を利用したトルクアップによる出力性能の向上が可能となるのである。
さらに各第一個別調整機構320では、カム軸2と一体回転する第一回転体321が内蔵先のバルブカムC1内に区画形成する作動室323,324に対して作動油が入出することにより、それら作動室323,324の油圧に応じて第一回転位相が調整される。同様に各第二個別調整機構330では、カム軸2と一体回転する第二回転体331が内蔵先のバルブカムC2内に区画形成する作動室333,334に対して作動油が入出することにより、それら作動室333,334の油圧に応じて第一回転位相が調整される。故に、こうした第一及び第二個別調整機構320,330によれば、作動室323,324,333,334に対する入出作動油の互いに独立した油圧調整により、位相調整の独立も確実に実現し得るので、各気筒3毎の燃焼状態の正確な個別制御が可能となるのである。
(他の実施形態)
以上、本発明の複数の実施形態について説明したが、本発明は、それらの実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態及び組み合わせに適用することができる。
具体的には、第一実施形態における図7(a)〜(c)の各作動状態は、第一実施形態で説明した(1)〜(3)及びその補足形態(尚書き部分)の作動により実現する以外にも、例えば各作動状態を移行元及び移行先のいずれかとしたときに想定可能な組み合わせのいずれかにより実現してもよい。また、こうした変形形態は、第二実施形態における図9(a)〜(d)及び第三実施形態における図13(a)〜(f)の各作動状態についても、同様に採用可能である。さらに第一〜第三実施形態では、図7(a)〜(c)又は図9(a)〜(d)又は図13(a)〜(f)の各作動状態間にて実現される中間の作動状態を、実現してもよい。
またさらに、第一〜第三実施形態において個別調整機構20,220,320,330については、内蔵先のバルブカムC1及び/又はC2のカム軸2に対する回転位相を独立して調整する構造であれば、各種の構造を採用できる。加えて、第一〜第三実施形態において共通調整機構40については、クランク軸からの出力トルクの伝達により回転する駆動回転体41と、カム軸2に固定されて回転する従動回転体42との間に相対回転を生じさせる構造であれば、例えば電動バルブタイミング調整装置等の各種の構造を採用できる。また加えて、第一〜第三実施形態では、図14に変形例(同図は、第三実施形態の変形例)を示すように、共通調整機構40及び共通入出制御系52を設ける代わりに、クランク軸との間にタイミングチェーン5が掛け渡されるタイミングスプロケット400をカム軸2の一端部2aに固定してもよい。
さらに加えて、第一〜第三実施形態における排気系のエンジンバルブVeについては、吸気系のエンジンバルブVi1,Vi2に加えて又は代えて、機構20,30,40,220,320,330の少なくとも一つに準ずる構成を適用することにより、開閉タイミングを可変させてもよい。またさらに加えて、本発明は、第一〜第三実施形態の如く内燃機関1としてのポート噴射式レシプロガソリンエンジンに適用される以外にも、本発明の作用効果を得られる限りにおいて、例えば直噴式レシプロガソリンエンジンやレシプロディーゼルエンジン等の各種の内燃機関に適用できるのである。
1 内燃機関、2 カム軸、3 気筒、10,210,310 バルブ特性制御装置、20,220 個別調整機構、21 個別回転体、23 個別進角作動室、24 個別遅角作動室、40 共通調整機構、41 駆動回転体、42 従動回転体、43 共通進角作動室、44 共通遅角作動室、50,350 個別入出制御系、52 共通入出制御系、60 電子制御回路、320 第一個別調整機構、321 第一回転体、323 第一進角作動室、324 第二遅角作動室、330 第二個別調整機構、331 第二回転体、333 第二進角作動室、334 第二遅角作動室、400 タイミングスプロケット、C1 第一バルブカム、C2 第二バルブカム、R 位相範囲、R1 第一位相範囲、R2 第二位相範囲、TDC 上死点、Ve 排気系エンジンバルブ、Vi1 吸気系エンジンバルブ・第一エンジンバルブ、Vi2 吸気系エンジンバルブ・第二エンジンバルブ

Claims (5)

  1. 複数の気筒が各別のエンジンバルブにより開閉される内燃機関において、それら前記エンジンバルブのバルブ特性を制御するバルブ特性制御装置であって、
    各前記気筒の前記エンジンバルブを個別に駆動するバルブカムにそれぞれ内蔵され、前記内燃機関のカム軸に対して当該内蔵先のバルブカムの回転位相を互いに独立して調整する複数の個別調整機構を、
    備えることを特徴とするバルブ特性制御装置。
  2. 各前記個別調整機構は、前記カム軸と一体回転する個別回転体を有し、内蔵先の前記バルブカム内に当該個別回転体により区画形成されて作動液が入出する作動室の液圧に応じて、前記カム軸に対する内蔵先の前記バルブカムの回転位相を調整することを特徴とする請求項1に記載のバルブ特性制御装置。
  3. 前記エンジンバルブとしての第一エンジンバルブ及び第二エンジンバルブが各前記気筒毎に設けられ、
    各前記気筒の前記第一エンジンバルブを個別に駆動する前記バルブカムとしての第一バルブカムは、前記カム軸に固定され、
    各前記気筒の前記第二エンジンバルブを個別に駆動する前記バルブカムとしての第二バルブカムに、前記カム軸に対する当該内蔵先の第二バルブカムの回転位相を調整する前記個別調整機構が内蔵され、
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブ特性制御装置。
  4. 前記エンジンバルブとしての第一エンジンバルブ及び第二エンジンバルブが各前記気筒毎に設けられ、
    各前記気筒の前記第一エンジンバルブを個別に駆動する前記バルブカムとしての第一バルブカムに、前記カム軸に対する当該内蔵先の第一バルブカムの第一回転位相を調整する前記個別調整機構として第一個別調整機構が内蔵され、
    各前記気筒の前記第二エンジンバルブを個別に駆動する前記バルブカムとしての第二バルブカムに、前記カム軸に対する当該内蔵先の第二バルブカムの第二回転位相を調整する前記個別調整機構として第二個別調整機構が内蔵され、
    同一の前記気筒において前記第一エンジンバルブと前記第二エンジンバルブとを個別に駆動する前記第一バルブカムと前記第二バルブカムとにそれぞれ内蔵された前記第一個別調整機構と前記第二個別調整機構とは、それら各機構の調整対象である前記第一回転位相と前記第二回転位相とを互いに独立して調整することを特徴とする請求項1又は2に記載のバルブ特性制御装置。
  5. 前記内燃機関のクランク軸から出力トルクが伝達されることにより回転する駆動回転体、並びに前記カム軸に固定されて回転する従動回転体を有し、それら駆動回転体及び従動回転体間に相対回転を生じさせることにより、前記クランク軸に対する各前記バルブカムの回転位相を共通に調整する共通調整機構を、
    さらに備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のバルブ特性制御装置。
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